JP3256093B2 - 耐レトルト処理性と耐熱性に優れた樹脂被覆金属板 - Google Patents

耐レトルト処理性と耐熱性に優れた樹脂被覆金属板

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JP3256093B2
JP3256093B2 JP21645394A JP21645394A JP3256093B2 JP 3256093 B2 JP3256093 B2 JP 3256093B2 JP 21645394 A JP21645394 A JP 21645394A JP 21645394 A JP21645394 A JP 21645394A JP 3256093 B2 JP3256093 B2 JP 3256093B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品缶詰、飲料缶その
他容器材料として使用される耐レトルト処理性と耐熱性
に優れた樹脂被覆金属板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、製缶用材料としては、ぶりき、電
解クロム酸処理鋼板、その他の表面処理鋼板、或いはア
ルミニウムに有機塗装、印刷を施した素材が使用されて
きた。しかし、これらの有機塗装、印刷工程は、大規模
な塗装焼付け炉が必要であり、長い焼付け時間が必要で
あるばかりでなく、塗膜形成時に多量の有機溶剤を排出
する為に、環境対策の面より、排出ガス処理が必要であ
るという、問題点を有していた。近年、これらの欠点を
克服する方法として、熱可塑性樹脂フィルムを被覆した
金属板が開発されている。一例としては、ポリエステル
フィルムを接着剤を用いずに金属板にラミネートしたも
のとしては、特開平1−192546号公報、特開平4
−105931号公報が開示されている。
【0003】しかしながら、これらの熱可塑性樹脂フィ
ルム被覆金属板は、絞り成形加工、内容物充填後に、内
容物の殺菌処理を施す事を目的として、120℃、25
分間程度のレトルト処理を施されるのが通常であり、そ
の際に樹脂皮膜に水滴状の模様が発生し外観の劣化を引
き起こしやすいという難点を有していた。本発明は特
に、このレトルト処理工程を受けても樹脂皮膜に水滴状
模様の発生の起こらない樹脂被覆金属板に関するもので
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平1−192
546号公報は「2軸配向ポリエチレンテレフタレート
樹脂を上層(表層)とし、その熱固定温度より10〜4
0℃結晶融解温度の低い無配向ポリエステル樹脂皮膜層
を下層(接着層)に有する事を特徴とする2層皮膜構造
のラミネート鋼板」であり、特開平4−105931号
公報は「上層(表層)が配向結晶構造を有する融点が2
00℃以上のポリエステル樹脂で、下層(接着層)が融
点160℃〜220℃のポリエステル樹脂である事を特
徴とする2層皮膜構造のラミネート鋼板」である。これ
らの樹脂被覆金属板は、接着剤を用いずにポリエステル
フィルムを金属板にラミネートするものであり、下層
(接着層)ポリエステル樹脂の融点程度に加熱された金
属板に熱接着する為に、その熱影響により金属板近傍の
樹脂層には、無定形ポリエステル層が生成しており、こ
の層によって密着性を確保している。
【0005】しかし、かかるポリエステル樹脂被覆金属
板は、100〜135℃、約25分間のレトルト殺菌処
理を受けると、生成した無定形ポリエステル層樹脂の結
晶化が不均一に進行し、樹脂皮膜に水滴状の模様が発生
し、外観劣化を引き起こしやすいという難点を有してい
た。この無定形ポリエステル層の厚みを薄くし、水滴模
様を目立ち難くする方法も考えられ、熱接着時の熱影響
を最小とする為に、フィルム圧着温度を下層樹脂の融点
よりも低めとする方法も考えられたが、高速製造時に、
充分な密着性を安定して確保する事が困難であるという
問題点を有していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、上
記の問題点を解決すべく、種々検討した結果、従来の2
層構造をもった熱可塑性樹脂被覆金属板では樹脂の熱特
性の内、融点のみを規定していた為に上記の問題点が発
生していた事を解明し、下層樹脂の結晶化温度を規定す
る事により、レトルト処理性に優れた2層構造樹脂被覆
金属板を提供するものである。すなわち、本発明の要旨
は、金属板の少なくとも片面上に、融点(Tm1 )が1
90℃≦Tm1 ≦250℃、かつ結晶化温度(Tc)1
00℃≦Tc≦130℃、かつ面配向係数が0〜0.1
00のポリエステル樹脂を被覆して下層樹脂層を形成
し、その上に融点(Tm2 )が(Tm1 +10℃)≦T
2 ≦260℃、かつ面配向係数が0.100〜0.1
69のポリエステル樹脂を被覆して上層樹脂層を形成し
たことを特徴とする耐レトルト処理性と耐熱性に優れた
樹脂被覆金属板である。
【0007】以下、本発明の内容について詳細に説明す
る。金属板の片面または両面に、2層構造の2軸配向ポ
リエステルフィルムを被覆する。使用される2軸配向フ
ィルム用ポリエステル樹脂は、上層下層とも同様の樹脂
でよく、分子鎖中に二重結合を含まない飽和ポリエステ
ル樹脂で、周知の様に飽和多価カルボン酸と飽和多価ア
ルコールとの重合体である。飽和多価カルボン酸として
は、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、コハク
酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン
ジオン酸、ジフェニルカルボン酸、2,6ナフタレンジ
カルボン酸、1,4シクロヘキサンジカルボン酸、無水
トリメット酸等があげられる。
【0008】また飽和多価アルコールとしては、エチレ
ングリコール、1,4ブタンジオール、1,5ペンタン
ジオール、1,6ヘキサンジオール、プロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチレング
リコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、1,4シクロヘキサンジメタノール、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール等があげられ
る。これら成分について、これらのホモポリマー、コポ
リマーの単体、及びブレンドされたポリエステル樹脂が
適用される。
【0009】また、上記ポリエステル樹脂に衝撃強度等
の改善を目的に、ポリアルキレングリコール誘導体等を
添加したものも適用できる。また潤滑性の変更、表面外
観の変更、耐指紋性の変更を目的に、フィルム表面粗度
を変更する事なども差し支えない。かかるフィルムに
は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、着色剤などを添加する事も差し支えな
い。
【0010】かかるポリエステル樹脂を、公知の共押し
出し装置により2層フィルムに成形し、フィルム成形
後、縦、横2方向に延伸した後、機械的強度や寸法安定
性を確保するための熱固定工程を適用する事により、均
質な2軸配向ポリエステルフィルムを得る事ができる。
2軸配向フィルムの分子鎖軸は、フィルム面に平行であ
るが、面内では無配向である。2軸配向フィルムは未延
伸フィルムに比して、一般に、寸法精度や機械的強度が
極端に向上する。2層構造ポリエステル樹脂フィルムの
厚みとしては、特に制限するものではないが、全体の厚
みが10μm〜60μmのものが使用され、接着層(鋼
板と接着される下層)厚みは、最低1μm以上、できれ
ば3μm以上が望ましい。全体厚みが10μm未満で
は、フィルムのピンホールが多数存在する様になり、耐
内容物性が劣り、60μmを越えると、フィルムコスト
が高くなり、容器用素材としては、商業的には適さな
い。
【0011】樹脂の熱特性としては、下層(接着層)に
ついては、融点Tm1 が190℃〜250℃、かつ結晶
化温度が100〜130℃であり、上層樹脂の融点Tm
2 は、下層樹脂の融点Tm1 +10℃〜260℃である
事が必要である。ここでいう、樹脂の融点とは、測定対
象となる樹脂を一旦溶融した後に急速水冷し無定形状態
としたものを、示差走査熱量計(DSC7、パーキンエ
ルマー社製)にて昇温速度10℃/分にて測定した際
の、結晶融解時の吸熱ピークのピーク温度をいい、また
結晶化温度とは、同様にして測定した際に、樹脂の熱結
晶化が発生する時の発熱ピークのピーク温度をいう。
【0012】下層(接着層)の融点が190℃未満で
は、樹脂の特性から、同結晶融解開始温度が180℃未
満となり、製缶時の乾燥・加熱工程にて下層樹脂の融解
が発生し、フィルムの剥離が発生し、製缶性の低下を引
き起こし、250℃を越えると樹脂の結晶性が増大する
為、安定した無定型構造が存在できず、製缶時の熱処理
工程等で熱結晶化が進行し、密着力が不十分となる。下
層の結晶化温度は100℃〜130℃である事が必要で
ある。100℃未満だと、耐衝撃性が不十分となりやす
く、又130℃超では水滴模様の発生が顕著となる。
【0013】なお、下層樹脂の結晶化温度と水玉模様の
発現との関係については、以下のように考えられる。レ
トルト処理では、下層樹脂の無定型構造が水を含む雰囲
気中での加熱処理によって、結晶化を起こす。下層樹脂
の結晶化温度がレトルト温度よりも高い場合には、結晶
化の速度が遅く、生成する結晶の数も少ないため生成し
た結晶は大きな結晶へと成長する、この大きな結晶が水
玉模様として発現すると推測される。一方、結晶化温度
が低い場合には、結晶化の速度が早く、生成する結晶の
数も多いため結晶はお互いの相互作用のために、大きな
結晶へは成長できず、水玉模様が発現しないものと推測
される。なお、樹脂の耐衝撃性及び水玉模様の発現性の
安定性から、出来れば、下層樹脂の結晶化温度は105
℃〜125℃である事が望ましい。
【0014】上層の融点が、下層樹脂の融点+10℃未
満の温度では、ポリエステルフィルムを下層樹脂の融点
程度に加熱した金属板に圧着する際に、上層の2軸配向
結晶構造を破壊する事なく、下層のみに均一な無定型ポ
リエステル層を生成させる事が困難となると同時に、圧
着ロールへの上層樹脂の粘着による表面仕上がり劣化を
防止する事が困難となる。また、上層の融点が、260
℃超ではポリエステル樹脂自体が非常に剛直となり加工
性が極端に悪くなる。
【0015】次に、上層樹脂層の配向性は面配向係数と
して0.100〜0.169であり、下層樹脂層の面配
向係数は0〜0.100である事が重要である。ここで
いう、面配向係数は、ポリエステル樹脂被覆金属板を塩
酸に浸漬し、金属板表面を溶解させ、樹脂皮膜のみを剥
離し、そのフィルムの上層側、下層側の縦方向、横方
向、厚み方向の屈折率をアッベの屈折率計によりもと
め、(縦方向屈折率+横方向屈折率)/2−厚み方向屈
折率で定義される式により求められるものとする。上層
樹脂層の面配向係数が0.169を越えると、ポリエス
テル樹脂は剛直となり、加工性が低下してくる。また
0.100未満になると、耐衝撃性が低下し、衝撃を受
けた際にクラックが発生しやすくなる。下層樹脂層の面
配向係数が0.100を越えると金属板との密着性が著
しく低下し、加工時に剥離しやすくなる。
【0016】本発明に使用されるポリエステルフィルム
の一例としては、上下層樹脂ともカルボン酸としてはテ
レフタル酸とイソフタル酸、アルコールとしてはエチレ
ングリコールと1,4ブタンジオールを用いた重合体
で、熱特性が上層の融点が248℃、下層の融点が23
0℃、下層結晶化温度が122℃であり、上層厚み22
μm、下層厚み3μm、フィルム面配向係数0.15、
極限粘度0.65のものが上げられる。
【0017】本発明に於いて適用される金属板は、特に
限定するものではなく、Snメッキ、Niメッキ、Sn
/Niメッキのそれぞれのメッキ層の上に、化成処理を
施したメッキ鋼板及び、電解クロム酸処理鋼板、化成処
理を施したアルミ板も使用される。電解クロム酸処理鋼
板は通称ティン・フリー・スティール(TFS)と呼ば
れているクロム・クロメート処理鋼板で、付着量は金属
クロムが30〜150mg/m2 、水酸化クロムは金属
クロム換算で5〜25mg/m2 が好ましい。
【0018】製造方法としては、下層樹脂の融点近傍に
加熱された金属板に、2層構造ポリエステルフィルムを
圧着して製造される。一例としては、前記の一例として
掲げたフィルム(厚み25μm)を、230℃に加熱さ
れたTFS(厚み0.22mm)にゴムロールで圧着
し、水中に浸漬急冷する方法が上げられる。
【0019】以下、本発明の実施例を示す。
【実施例】
実施例1 T−ダイ押出し後2軸延伸することにより、テレフタル
酸、イソフタル酸およびエチレングリコールを原料主成
分とするポリエステル系2層フィルムを作成した。この
2層フィルム(厚み15.0μ)は、下層(厚み5.0
μ)の融点195℃、結晶化温度が105℃で、上層
(厚み10.0μ)の融点210℃となるようイソフタ
ル酸共重合量が調整された。このフィルムを下層融点に
加熱したブリキ板(厚み0.24mm,硬度62(H
R30-T )、錫付着量2.8g/m2 )の片面にゴムロー
ルで圧着し、水中に浸漬急冷する方法により樹脂被覆金
属板を作成した。作成した樹脂被覆金属板を塩酸に浸漬
し、剥離された皮膜の面配向係数は上層0.112、下
層0.006であった。樹脂被覆金属板は2段絞り成形
により缶体作成された。1段目の絞り成形は、ブランク
径:120mm、絞り比1.5で成形し、2段目は、絞
り比1.3で成形し、トリミング、フランジ加工を行
い、缶径61mm、高さ35mmの深絞り缶を作成し
た。なお、耐熱性の評価として、絞り成形後、印刷、焼
付け(200℃、4分)を行ったが問題無かった。さら
に、成形缶は内容物が充填された缶蓋が巻締められた
後、125℃、25分間のレトルト殺菌処理された。樹
脂皮膜は缶体の外面、内面のいずれに使用された場合に
も、製缶加工時やレトルト殺菌処理時に皮膜欠陥を生じ
たり剥離することもなく、また、水玉状の模様が現れる
ことも無かった。
【0020】実施例2 T−ダイ押出し後2軸延伸することにより、テレフタル
酸、イソフタル酸およびエチレングリコールを原料主成
分とするポリエステル系2層フィルムを作成した。この
2層フィルム(厚み40.0μ)は、下層(厚み7.0
μ)の融点245℃、結晶化温度が125℃、上層(厚
み33.0μ)の融点260℃となるようイソフタル酸
共重合量が調整された。このフィルムを下層融点に加熱
した化成処理を施したアルミ板(厚み0.25mm)の
両面にゴムロールで圧着し、水中に浸漬急冷する方法に
より樹脂被覆金属板を作成した。作成した樹脂被覆金属
板を塩酸に浸漬し、剥離された皮膜の面配向係数は上層
0.160、下層0.081であった。樹脂被覆金属板
は2段絞り成形により缶体作成された。1段目の絞り成
形は、ブランク径:120mm、絞り比1.5で成形
し、2段目は、絞り比1.3で成形し、トリミング、フ
ランジ加工を行い、缶径61mm、高さ35mmの深絞
り缶を作成した。なお、耐熱性の評価として、絞り成形
後、印刷、焼付け(200℃、4分)を行ったが問題無
かった。さらに、成形缶は内容物が充填された缶蓋が巻
締められた後、125℃、25分間のレトルト殺菌処理
された。樹脂皮膜は缶体の外面、内面のいずれでも、製
缶加工時やレトルト殺菌処理時に皮膜欠陥を生じたり剥
離することもなく、水玉状の模様が現れることも無かっ
た。
【0021】実施例3 T−ダイ押出し後2軸延伸することにより、テレフタル
酸、イソフタル酸およびエチレングリコールを原料主成
分とするポリエステル系2層フィルムを作成した。この
2層フィルム(厚み25.0μ)は、下層(厚み5.0
μ)の融点225℃、結晶化温度が120℃、上層(厚
み20.0μ)の融点245℃となるようイソフタル酸
共重合量が調整された。このフィルムを下層融点に加熱
したTFS(厚み0.18mm、硬度71
(HR30-T )、金属クロム付着量:80mg/m2 、水
和酸化クロム[金属クロム換算]:15mg/m2 )の
両面にゴムロールで圧着し、水中に浸漬急冷する方法に
より樹脂被覆金属板を作成した。作成した樹脂被覆金属
板を塩酸に浸漬し、剥離された皮膜の面配向係数は上層
0.130、下層0.044であった。樹脂被覆金属板
は2段絞り成形により缶体作成された。1段目の絞り成
形は、ブランク径:120mm、絞り比1.5で成形
し、2段目は、絞り比1.3で成形し、トリミング、フ
ランジ加工を行い、缶径61mm、高さ35mmの深絞
り缶を作成した。なお、耐熱性の評価として、絞り成形
後、印刷、焼付け(200℃、4分)を行ったが問題無
かった。さらに、成形缶は内容物が充填された缶蓋が巻
締められた後、125℃、25分間のレトルト殺菌処理
された。樹脂皮膜は缶体の外面、内面のいずれでも、製
缶加工時やレトルト殺菌処理時に皮膜欠陥を生じたり剥
離することもなく、また、水玉状の模様が現れることも
無かった。
【0022】実施例4 T−ダイ押出し後2軸延伸することにより、テレフタル
酸、イソフタル酸およびエチレングリコールを原料主成
分とするポリエステル系2層フィルムを作成した。この
2層フィルム(厚み12.0μ)は、下層(厚み3.0
μ)の融点200℃、結晶化温度が115℃で、上層
(厚み9.0μ)の融点245℃となるようイソフタル
酸共重合量が調整された。このフィルムを下層融点に加
熱したSn/Niメッキ上に化成処理を施したメッキ鋼
板(厚み0.19mm、硬度61(HR30-T )、ニッケ
ル付着量25mg/m2 、錫付着量1.2g/m2 )の
両面にゴムロールで圧着し、水中に浸漬急冷する方法に
より樹脂被覆金属板を作成した。作成した樹脂被覆金属
板を塩酸に浸漬し、剥離された皮膜の面配向係数は上層
0.142、下層0.038であった。樹脂被覆金属板
は2段絞り成形により缶体作成された。1段目の絞り成
形は、ブランク径:120mm、絞り比1.5で成形
し、2段目は、絞り比1.3で成形し、トリミング、フ
ランジ加工を行い、缶径61mm、高さ35mmの深絞
り缶を作成した。なお、耐熱性の評価として、絞り成形
後、印刷、焼付け(200℃、4分)を行ったが問題無
かった。さらに、成形缶は内容物が充填され、缶蓋が巻
締められた後、125℃、25分間のレトルト殺菌処理
された。樹脂皮膜は缶体の外面、内面のいずれでも、製
缶加工時やレトルト殺菌処理時に皮膜欠陥を生じたり剥
離することもなく、水玉状の模様が現れることも無かっ
た。
【0023】比較例1 T−ダイ押出し後2軸延伸することにより、テレフタル
酸、イソフタル酸およびエチレングリコールを原料主成
分とするポリエステル系2層フィルムを作成した。この
2層フィルム(厚み15.0μ)は、下層(厚み5.0
μ)の融点185℃、結晶化温度が95℃で、上層(厚
み10.0μ)の融点240℃となるようイソフタル酸
共重合量が調整された。このフィルムを下層融点に加熱
したTFS(厚み0.24mm、硬度62
(HR30-T )、金属クロム付着量:80mg/m2 、水
和酸化クロム[金属クロム換算]:15mg/m2 )の
片面にゴムロールで圧着し、水中に浸漬急冷する方法に
より樹脂被覆金属板を作成した。作成した樹脂被覆金属
板を塩酸に浸漬し、剥離された皮膜の面配向係数は上層
0.142、下層0.006であった。樹脂被覆金属板
は2段絞り成形により缶体作成された。1段目の絞り成
形は、ブランク径:120mm、絞り比1.5で成形
し、2段目は、絞り比1.3で成形し、トリミング、フ
ランジ加工を行い、缶径61mm、高さ35mmの絞り
缶を作成した。なお、耐熱性の評価として、絞り成形
後、印刷、焼付け(200℃、4分)を行ったが、缶体
の内外面いずれに適用した場合にも上層樹脂が10mm
以上膜ずれを起こした。さらに、下層皮膜の衝撃加工性
不足のためか、缶底の衝撃加工部では皮膜が密着してい
ない部分が生じ、実用に耐えないものであった。また、
成形無しの樹脂被覆金属板(100mm×100mm)
を焼付け(200℃、4分)処理を行ったところ、上層
樹脂が4mm膜ずれを起こし、熱処理を受ける用途で
は、実用に耐えないものであった。
【0024】比較例2 T−ダイ押出し後2軸延伸することにより、テレフタル
酸、イソフタル酸およびエチレングリコールを原料主成
分とするポリエステル系2層フィルムを作成した。この
2層フィルム(厚み25.0μ)は、下層(厚み5.0
μ)の融点255℃、結晶化温度が135℃、上層(厚
み20.0μ)の融点265℃となるようイソフタル酸
共重合量が調整された。このフィルムを下層融点に加熱
したTFS(厚み0.18mm、硬度71
(HR30-T )、金属クロム付着量:80mg/m2 、水
和酸化クロム[金属クロム換算]:15mg/m2 )の
両面にゴムロールで圧着し、水中に浸漬急冷する方法に
より樹脂被覆金属板を作成した。作成した樹脂被覆金属
板を塩酸に浸漬し、剥離された皮膜の面配向係数は上層
0.153、下層0.088であった。樹脂被覆金属板
は缶径206φの蓋に加工された。この蓋を用いて缶体
に内容物を充填し、125℃、25分間のレトルト殺菌
処理された。樹脂皮膜は缶体の外面、内面のいずれで
も、製缶加工時やレトルト殺菌処理時に皮膜欠陥を生じ
たり剥離することは無かったが、蓋の外面側に水玉状の
模様が現れた。外観上、実用に耐えないものであった。
【0025】比較例3 T−ダイ押出し後2軸延伸することにより、テレフタル
酸、イソフタル酸およびエチレングリコールを原料主成
分とするポリエステル系2層フィルムを作成した。この
2層フィルム(厚み25.0μ)は、下層(厚み5.0
μ)の融点220℃、結晶化温度が120℃、上層(厚
み20.0μ)の融点225℃となるようイソフタル酸
共重合量が調整された。このフィルムを下層融点に加熱
したTFS(厚み0.18mm、硬度71
(HR30-T )、金属クロム付着量:80mg/m2 、水
和酸化クロム[金属クロム換算]:15mg/m2 )の
両面にゴムロールで圧着し、水中に浸漬急冷する方法に
より樹脂被覆金属板を作成したが、密着性、耐衝撃性、
表面仕上がりの良い樹脂被覆鋼板を安定して得ることが
できなかった。
【0026】比較例4 T−ダイ押出し後2軸延伸することにより、テレフタル
酸、イソフタル酸およびエチレングリコールを原料主成
分とするポリエステル系2層フィルムを作成した。この
2層フィルム(厚み25.0μ)は、下層(厚み5.0
μ)の融点220℃、結晶化温度が120℃、上層(厚
み20.0μ)の融点245℃となるようイソフタル酸
共重合量が調整された。このフィルムを下層融点に加熱
したTFS(厚み0.18mm、硬度71
(HR30-T )、金属クロム付着量:80mg/m2 、水
和酸化クロム[金属クロム換算]:15mg/m2 )の
両面にゴムロールで圧着し、水中に浸漬急冷する方法に
より樹脂被覆金属板を作成した。作成した樹脂被覆金属
板を塩酸に浸漬し、剥離された皮膜の面配向係数は上層
0.175、下層0.088であった。樹脂被覆金属板
は2段絞り成形により缶体作成された。1段目の絞り成
形は、ブランク径:120mm、絞り比1.5で成形
し、2段目は、絞り比1.3で成形し、トリミング、フ
ランジ加工を行い、缶径61mm、高さ35mmの絞り
缶を作成した。加工時に缶体の内外面ともに皮膜剥離が
発生し、実用に耐えないものであった。
【0027】比較例5 T−ダイ押出し後2軸延伸することにより、テレフタル
酸、イソフタル酸およびエチレングリコールを原料主成
分とするポリエステル系2層フィルムを作成した。この
2層フィルム(厚み25.0μ)は、下層(厚み5.0
μ)の融点220℃、結晶化温度が120℃、上層(厚
み20.0μ)の融点245℃となるようイソフタル酸
共重合量が調整された。このフィルムを下層融点に加熱
したTFS(厚み0.18mm、硬度71
(HR30-T )、金属クロム付着量:80mg/m2 、水
和酸化クロム[金属クロム換算]:15mg/m2 )の
両面にゴムロールで圧着し、水中に浸漬急冷する方法に
より樹脂被覆金属板を作成した。作成した樹脂被覆金属
板を塩酸に浸漬し、剥離された皮膜の面配向係数は上層
0.085、下層0.044であった。樹脂被覆金属板
は2段絞り成形により缶体作成された。1段目の絞り成
形は、ブランク径:120mm、絞り比1.5で成形
し、2段目は、絞り比1.3で成形し、トリミング、フ
ランジ加工を行い、缶径61mm、高さ35mmの絞り
缶を作成した。缶体の衝撃加工部で皮膜が白化した。顕
微鏡で観察すると微小クラックが認められ、実用上問題
となった。
【0028】比較例6 T−ダイ押出し後2軸延伸することにより、テレフタル
酸、イソフタル酸およびエチレングリコールを原料主成
分とするポリエステル系2層フィルムを作成した。この
2層フィルム(厚み25.0μ)は、下層(厚み5.0
μ)の融点220℃、結晶化温度が120℃、上層(厚
み20.0μ)の融点245℃となるようイソフタル酸
共重合量が調整された。このフィルムを下層融点に加熱
したTFS(厚み0.18mm、硬度71
(HR30-T )、金属クロム付着量:80mg/m2 、水
和酸化クロム[金属クロム換算]:15mg/m2 )の
両面にゴムロールで圧着し、水中に浸漬急冷する方法に
より樹脂被覆金属板を作成した。作成した樹脂被覆金属
板を塩酸に浸漬し、剥離された皮膜の面配向係数は上層
0.145、下層0.120であった。樹脂被覆金属板
は2段絞り成形により缶体作成された。1段目の絞り成
形は、ブランク径:120mm、絞り比1.5で成形
し、2段目は、絞り比1.3で成形し、トリミング、フ
ランジ加工を行い、缶径61mm、高さ35mmの絞り
缶を作成した。加工時に缶体の内外面とも皮膜剥離が発
生し、実用に耐えないものであった。
【0029】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明による樹脂被
覆金属板から得られた、絞り缶体は加工性・耐レトルト
処理性・耐熱性に優れたものであり、絞り缶のみなら
ず、缶蓋(END)・イージー・オープン・エンド(E
OE)・ストレッチ加工を伴う絞り再絞り缶(DTR
缶)・5gal缶・ペール缶等の容器用の樹脂被覆金属
板として使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−331302(JP,A) 特開 平4−105931(JP,A) 特開 平1−192546(JP,A) 特開 平5−269858(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の少なくとも片面上に、融点(T
    1 )が190℃≦Tm1 ≦250℃、かつ結晶化温度
    (Tc)100℃≦Tc≦130℃、かつ面配向係数が
    0〜0.100のポリエステル樹脂を被覆して下層樹脂
    層を形成し、その上に融点(Tm2 )が(Tm1 +10
    ℃)≦Tm2 ≦260℃、かつ面配向係数が0.100
    〜0.169のポリエステル樹脂を被覆して上層樹脂層
    を形成したことを特徴とする耐レトルト処理性と耐熱性
    に優れた樹脂被覆金属板。
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