JP3250570B2 - インクジェットプリンタにおける用紙の排出方法とその装置 - Google Patents

インクジェットプリンタにおける用紙の排出方法とその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リンタにおける用紙の排出方法とその装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】用紙の面にインク滴を吐出して印字する
形式のインクジェットプリンタでは、複数枚の用紙に連
続して印字する場合、インクが乾かないうちにつぎに排
出されてきた用紙が前の用紙の上に乗って印字面と接触
し、この面を汚してしまうといった不都合が生じる。
【０００３】このような問題に対して特開平３−１３４
８６５号公報に開示された装置は、排紙トレイを用紙の
排出方向と平行な向きに延びる凹状の部材として形成
し、排出されてきた用紙をこの凹状の面に積層させて凹
状に曲成することにより、つぎに排出されてきた用紙と
接触するまでの間に若干の時間遅れを生じさせるように
するか、もしくは送り出されてくる用紙に排出方向と平
行な向きの波を強制的に打たせて真すぐに排出させるこ
とにより、前の用紙と接触する時間を遅らせるようにし
て、接触によって生じる印字面の汚れを防ぐようにした
ものである。
【０００４】しかしながら、前者のような排紙トレイを
用いても、コシの強い用紙では必ずしも樋状に凹成され
た状態で積層されないため、用紙相互の接触に時間遅れ
を生じさせることはできず、また、用紙自体に波を打た
せる後者の手法では、その影響が印字部にまで及んで、
印字品質を損ねるといった別の問題が派生する。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、
使用する用紙の如何に拘りなく前の用紙と接触する時間
を効果的に遅らせることにより印字面の汚れを未然に防
ぐことを可能とする新たな用紙の排出方法とその装置を
提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はかか
る課題を達成するためのインクジェットプリンタにおけ
る用紙の排出方法として、印字処理を終えた用紙を平ら
に保持しつつ送り出し、ついで該用紙を紙搬送方向に樋
状に凹成しつつ該用紙を後続する用紙の先端部により押
圧して一段低い排紙部へ排出するようにしたものであ
り、また、先方の用紙と当接した段階で後続する用紙を
一時的に停止させるようにしたものであり、、さらに
は、用紙の排出装置として、両側支持部に紙搬送方向下
手側に向けて徐々に高くなるよう傾斜した上縁部を設け
るようにするか、樋状凹成手段を、用紙の両側部を支持
するリブ状の両側支持部と、用紙の巾方向中央部を押下
げる押下げギザローラとにより構成するとともに、押下
げギザローラを、アームを介して固定部材に変位可能に
枢支するか、押下げギザローラを自重により変位可能に
するようにしたものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】そこで以下に本発明の実施例につ
いて説明する。図面はいずれもインクジェットプリンタ
に適用した本発明の一実施例をなす用紙の排紙装置につ
いて示したものである。
【０００８】はじめに、この装置が適用されたインクジ
ェットプリンタの全容を図３をもとに説明すると、給紙
部１０から印字部６０に至る給紙経路２０には、紙送り
ローラ３０と、この紙送りローラ３０に圧接して転動す
るゲートローラ４０とピンチローラ５０が配設され、ま
た、印字部６０から排紙トレイ１００に至る排紙経路７
０には、後述する搬送ローラ８１と搬送ギザローラ８２
とからなる搬送部８０及び、用紙の中央部を下方に押下
げる押下げギザローラ９２を備えた排出部９０が設けら
れていて、ここから一段低い位置に配設された排紙トレ
イ１００へ印字済みの用紙を排出するように構成されて
いる。
【０００９】上記した給紙部１０は、プリンタの下ケー
ス１１の底部１１ａに設けたスタッカと、このスタッカ
に積層載置した最上位の用紙ｐの中央部と接触してこれ
を給紙経路２０に向けて送り出す給紙ローラ１２とによ
り構成され、さらに、この給紙ローラ１２は、図４に示
したように、紙送りモータ２００から歯車列２１０、紙
送り軸３１の一端及び他端に固定した歯車３２、３３、
太陽歯車１３、遊星歯車１４及び給紙ローラ軸１６に固
定した歯車１５を介して駆動され、かつキャリッジが紙
送り位置にきたときにのみ上記歯車１５と噛合う遊星歯
車１４から駆動力を受けて回転するように構成されてい
る。
【００１０】一方、給紙経路２０に配設した紙送りロー
ラ３０は給紙ローラ１２が回転している間紙送り方向と
逆方向に回転し、給紙ローラ１２により給送されてきた
用紙ｐの先端をゲートローラ４０との間で阻止してスキ
ュー取りした上、ピンチローラ５０を介して印字部６０
へ給送するように構成されている。
【００１１】他方、インクジェット式の記録ヘッド６２
は、ガイドシャフト６３と上フレーム１２０に案内され
て紙巾方向に往復動するキャリッジ６１に担持されつつ
中間フレーム１１０の上面との間に若干の間隙をおいて
走行するように構成されている。
【００１２】これに対して、排紙経路７０のうちの紙搬
送方向上手側に位置する排紙部８０には、互いに対向す
る搬送ローラ８１と搬送ギザローラ８２が配設され、印
字処理された用紙ｐを平坦に保持しつつ記録ヘッド６２
から排紙トレイ１００へ送り出すように構成されてい
る。
【００１３】この搬送ローラ８１は、図１、図４に示し
たように、中間フレーム１１０に支持された左右２本の
回転軸８３、８４にそれぞれ３個づつ取り付けられ、ま
たこれらの各搬送ローラ８１ａ〜ｆと対応するように配
設した６個の搬送ギヤローラ８２ａ〜ｆは、３本の軸８
６にそれぞれ２個づつ取り付けられている。そして、こ
れら３本の軸８６は、図７に示したように、上フレーム
１２０から紙搬送方向と平行な向きに折り曲げた支持部
１２１の縦向きの長孔１２２に支持された上、上フレー
ム１２０の舌片１２３に係止したバネ８７により支持し
た搬送ギヤローラ８２を搬送ローラ８１の周面に圧接す
るように付勢されており、さらに、搬送ローラ８１と搬
送ギヤローラ８２が接触し合うニップ部は、図９に示し
たように、中間フレーム１１０の上面から若干浮かした
状態で用紙ｐを印字部６０で支えるように構成されてい
る。
【００１４】この搬送ローラ８１は、回転軸８３、８４
に固定した搬送ローラ歯車８３ａ、８４ａを介して紙送
りローラ３０の正転時にのみ紙送りローラ３０に駆動さ
れて回転するように、かつ紙送りモータ２００のパルス
数をもとに、用紙ｐの先端がこの搬送ローラ８１から突
出した時点で回転を一旦停止するようなプログラムをも
って駆動されるように構成されている。
【００１５】すなわち、搬送ローラ８１の回転軸８３、
８４に固定された搬送ローラ歯車８３ａ、８４ａは、紙
送りローラ３０に接して転動するローラ８５ｂの軸８５
ｃに固定した伝達歯車８５ａと噛合って紙送りローラ３
０から回転駆動力を受けるように構成され、さらにこれ
らの軸８５ｃの両端は、図５に示したように、中間フレ
ーム１１０に設けた縦長の矩形孔１１１に変位可能に支
持されていて、紙送りローラ３０が正転方向、つまり紙
送り方向に回転したときには、図中下方へ変位して搬送
ローラ歯車８３ａ、８４ａと噛合い、また、紙送りロー
ラ３０が逆転方向、つまり図６の矢印方向の反紙送り方
向に回転したときは、図中上方へ変位して紙送りローラ
３０の周面から離間してこのローラ３０からの回転を伝
えないように構成されている。
【００１６】他方、この搬送部８０の紙搬送方向下手側
に位置する排出部９０は、用紙ｐに紙搬送方向と平行な
向きに樋状に凹ませつつ、これを一段低く配設した排紙
トレイ１００へ排出させるようにした部分で、この排出
部９０は、用紙ｐの両側部分を下方から支える両側支持
部９１、９１と、用紙ｐの巾方向中央部を上方から下方
へ押下げる押下げギザローラ９２とによって構成されて
いる。
【００１７】両側支持部９１は、図１、図９に示したよ
うに、搬送ギザローラ８２のうちの両側に位置する搬送
ギザローラ８２ａ、８２ｆと一致する位置に、かつ搬送
ローラ８１の紙搬送方向下手側に位置するように中間フ
レーム１１０から一体的に立上げ形成されていて、その
上縁は、紙搬送方向に徐々に高くなるような傾斜した縁
として形成されている。
【００１８】一方、押下げギザローラ９２は、図９に示
したように、その周縁が両側支持板９１の上縁よりも若
干下方に位置するよう、上フレーム１２０にアーム９３
を介して上下動し得るように取付けられている。
【００１９】このアーム９３は、図１０に示したよう
に、紙搬送方向上手側に延びた部分が二股に形成され、
さらにこれらの先端にはストッパ９３ｂ、９３ｃが間隙
をおいて外方に突出形成されていて、上フレーム１２０
にクランク状に折り曲げ形成した部分の隅部に設けた窓
孔１２３にこれらのアーム９３の先端をすぼめて挿入す
ることにより、ストッパ９３ｂ、９３ｃの紙搬送方向下
手側に位置する押下げギザローラ９３がその自重によっ
て用紙ｐの巾方向中央部を下方に撓ませることができる
ように上下動可能に枢支している。
【００２０】つぎにこのように構成された装置による用
紙の排出方法について説明する。給紙ローラ１２により
送り出され、反紙送り方向に回転する紙送りローラ３０
と従動ローラ２０との間でスキュー取りされた用紙ｐが
紙送りローラ３０から搬送ローラ８１のもとまでくる
と、紙送りローラ３０よりも周速度が１２％程度速く設
定された搬送ローラ８１は、これに張力を加え印字部６
０で用紙ｐを平坦に保ちつつ、中間フレーム１１０の上
面から若干浮かせるようにしてその印字面に所要の記録
書き込みを行わせる。
【００２１】そして、紙送りモータ２００のパルス数が
予め設定した値となって、用紙ｐの先端が搬送ローラ８
１から若干突出した状態まで送り出したら、紙送りモー
タの回転を一旦停止させる。
【００２２】ところでこの状態では、その直前に印字処
理され搬送ローラ８１により排出部９０へ送り出された
用紙ｐは、図１３に示したように、搬送ローラ８１によ
る搬送力を断たれた状態で、その両側部を両側支持部９
１、９１に支えられつつ巾方向中央部を押下げギザロー
ラ９２により押下げられ、紙搬送方向に樋状に凹成され
て停止している。
【００２３】このため、この状態のもとであとから送ら
れてきた用紙ｐ2が平らな状態を保ちつつ、樋状に曲成
された前の用紙ｐの後端ｐｂと突当って停止すると、押
し出された前の用紙ｐは、図１４に示したように、その
慣性によってあとの用紙ｐ2の先端ｐ2ａとの間に若干の
間隙を形成し、突き当たった際に例え前後の用紙ｐ1、
ｐ2が重なり合ったとしても互いに離れた状態になる。
【００２４】したがって、若干の時間をおいて再び紙送
りローラ３０が正転を始め、これに伴って搬送ローラ８
１があとの用紙ｐ2を送り出すと、この用紙は平らな状
態を保ちつつ、あらためて前の用紙ｐの後端ｐｂを正し
く押圧しながら、これを一段低い排紙トレイ１００の上
へ排出する。
【００２５】一方、あとの用紙ｐ2は、前の用紙ｐを排
出し終った段階でその両側部を両側支持部９１、９１に
支えられつつ巾方向中央部を押下げギザローラ９２によ
り押下げられて、図１２に示したような樋状に凹成さ
れ、搬送方向に強くなったそのコシにより、排紙トレイ
１００上に排出された前の用紙ｐとの間に隙間を形成し
つつ真すぐに直進し、互いに接触し合う時間を遅らせる
ことによって、前の用紙の汚れを未然に防止する。
【００２６】ところで、以上は通常サイズの普通紙の例
で本発明の排紙方法について説明したものであるが、封
筒やはがきのような巾が狭い用紙の場合には、両端支持
部９１の一方にしか用紙が乗らずこれを樋状に凹成する
ことはできないが、これらの用紙は巾が狭くしかもコシ
が強いため、排紙トレイ１００上の用紙との間に十分の
隙間を設けた状態でまっすぐに排出させることができ
る。
【００２７】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、印字
処理を終えた用紙を平らに保持しながら送り出し、つい
で先行する用紙を樋状に凹成した状態で保持しながらこ
れを後続する用紙の先端により押圧して排出するように
したので、印字部では良好な記録書き込みを可能にしつ
つ、長手方向に真直ぐにされた用紙をそのままの状態で
後続する紙によって送り出すことによってインクによる
汚れをさらに少なくすることができる。
【００２８】またさらに、先行する用紙と当接した段階
で後続する用紙を一時的に停止させるようにしたことに
より、前後の用紙の間に隙間を形成しこれらの重なり合
いをなくして、先行する用紙の排出をより確実にするこ
とができる。
【００２９】しかも、用紙を樋状に凹成する手段とし
て、用紙の両側を支えるリブ状の部材と巾方向中央部を
押下げる押下げギザローラとにより構成したので、印字
面を乱すことなく用紙を円滑にかつ確実に凹成すること
ができるばかりでなく、リブ状の部材の上縁を紙搬送方
向に向けて斜め上方に傾斜させたことにより、自重によ
る押下げギザローラと協同して、用紙を排出しつつ凹成
する作業をより確実にすることができる。
【００３０】
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例を示す排紙装置を備えたプリ
ンタの正面図である。
【図２】同上プリンタの上面図である。
【図３】同上プリンタの側面図である。
【図４】用紙の給排紙経路を示した正面図である。
【図５】用紙の排出部の正転状態を示した側面図であ
る。
【図６】用紙の排出部の逆転状態を示した側面図であ
る。
【図７】用紙の排出部を示した側面図である。
【図８】同上排出部を示した正面図である。
【図９】同上排出部を拡大して示した側面図である。
【図１０】押下げギザローラを示した斜視図である。
【図１１】排紙の状態を示した詳細図である。
【図１２】同上説明図である。
【図１３】同上説明図である。
【図１４】同上説明図である。
【符号の説明】
３０ 給紙経路 ７０ 排紙経路 ８０ 搬送部 ８１ 搬送ローラ ８２ 搬送ギザローラ ８５ 伝達ギヤ ９０ 排出部 ９１ 両側支持部 ９２ 押し下げギザローラ ９３ アーム １００ 排紙トレイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−267252（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−39054（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B41J 13/00 - 13/32 B65H 29/20

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 インクジェット式の記録ヘッドを用いて
    印字する形式のプリンタにおける用紙の排出方法とし
    て、 印字処理を終えた用紙を平らに保持しつつ送り出し、つ
    いで該用紙を紙搬送方向に樋状に凹成しつつ該用紙を後
    続する用紙の先端部により押圧して一段低い排紙部へ排
    出するようにしたことを特徴とするインクジェットプリ
    ンタにおける用紙の排出方法。
  2. 【請求項２】 先方の用紙と当接した段階で後続する用
    紙を一時的に停止させるようにしたことを特徴とする請
    求項１記載のインクジェットプリンタにおける用紙の排
    出方法。
  3. 【請求項３】 印字部の紙搬送方向下手側に印字面を上
    にして用紙を平らに保持しつつ搬送する搬送手段を設け
    るとともに、該搬送手段の紙搬送方向下手側に、用紙の
    両側部を支持しつつ巾方向中央部を下方に向けて押下げ
    る用紙の樋状凹成手段を設けたインクジェットプリンタ
    における用紙の排出装置として、 前記両側支持部に、紙搬送方向下手側に向けて徐々に高
    くなるよう傾斜した上縁部を設けたことを特徴とするイ
    ンクジェットプリンタにおける用紙の排出装置。
  4. 【請求項４】 前記樋状凹成手段を、用紙の両側部を支
    持するリブ状の両側支持部と、用紙の巾方向中央部を押
    下げる押下げギザローラとにより構成するとともに、前
    記押下げギザローラを、アームを介して固定部材に変位
    可能に枢支したことを特徴とする請求項３記載のインク
    ジェットプリンタにおける用紙の排出装置。
  5. 【請求項５】 前記押下げギザローラを自重により変位
    可能となしたことを特徴とする請求項３記載のインクジ
    ェットプリンタにおける用紙の排出装置。
JP24222892A 1992-09-10 1992-09-10 インクジェットプリンタにおける用紙の排出方法とその装置 Expired - Fee Related JP3250570B2 (ja)

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