JP3248558B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物

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JP3248558B2
JP3248558B2 JP07819495A JP7819495A JP3248558B2 JP 3248558 B2 JP3248558 B2 JP 3248558B2 JP 07819495 A JP07819495 A JP 07819495A JP 7819495 A JP7819495 A JP 7819495A JP 3248558 B2 JP3248558 B2 JP 3248558B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は流動性、剛性、耐衝撃
性、および成形外観のバランスに優れたポリプロピレン
系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは成形性、靱性、耐水
性、耐薬品性などに優れ、低比重で安価であることから
各種成型品やシート等に従来から広く利用されている。
しかしながら、耐衝撃性、特に低温での衝撃強度が劣る
ため、使用目的が限定される場合がある。そこで、この
問題点を改良するために、スチレン−ブタジエン−スチ
レンブロック共重合体の水添物、エチレン−α−オレフ
ィン共重合体ゴム等のゴム成分を配合する提案が多くな
されている。しかし、これらのポリプロピレン系樹脂組
成物では、耐衝撃性が改善されるものの、剛性、成形外
観の低下が見られ、実用上十分ではなかった。これらを
改善するために、高分子量タイプのエチレン−α−オレ
フィン系共重合体の使用が考えられる。しかし、ゴム成
分として高分子量タイプの使用は樹脂中の分散性が悪
く、さらに得られる組成物の流動性が低下するなど実用
上好ましくなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
技術的課題を背景になされたものであり、ポリプロピレ
ン、オレフィン系エラストマー、特定構造の水添ブロッ
ク共重合体、および必要に応じて無機充填材のブレンド
により流動性、剛性、耐衝撃性、成形外観のバランスに
優れたポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、 (イ)曲げ弾性率が8000kgf/cm(785M
Pa)以上かつ温度230℃、荷重2.16kgにおけ
るメルトフローレートが20〜300g/10分である
ポリプロピレン 50〜90重量% (ロ)オレフィン系エラストマー 50〜10重量%の
合計100重量部に対して (ハ)1,3−ブタジエンのみからなる重合体ブロック
とイソプレンのみからなる重合体ブロックのいずれか一
方または両方の重合体ブロックのみからなり、かつ、該
重合体ブロックを分子中に少なくとも二つ有し、重合体
ブロック中の1,2−結合および3,4−結合(以下、
「1,2−結合等」という)を有する共役ジエン部分の
最大含量と最小含量との差が15重量%以上であるブロ
ック共重合体中のオレフィン性不飽和結合の70%以上
を水素化してなる重量平均分子量が1〜70万である水
添ブロック共重合体 0.1〜50重量部 (ニ)無機充填材 0〜50重量部を含有してなるポリ
プロピレン系樹脂組成物を提供するものである。以下、
本発明を詳細に説明する。
【0005】(イ)成分 本発明の組成物に含有される(イ)ポリプロピレンは、
結晶性ポリプロピレンであり、プロピレンの単独重合体
あるいはエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘ
キセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3
−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、
5−メチル−1−ヘキセンなどのα−オレフィンを含ん
だ共重合体である。この共重合体としては、ランダム共
重合体、ブロック共重合体、あるいは多段重合で得られ
る単独重合体とのブレンド物、あるいは通常のブレンド
物であってもよい。なお、これらポリプロピレンを得る
方法としては、チーグラー・ナッタ系触媒のごときマル
チ・サイト触媒を用いる方法や、カミンスキー系触媒の
ごときシングル・サイト触媒を用いる方法などがある
が、本発明の(イ)成分としては、いずれの重合触媒に
よるポリプロピレンも好適に用いられる。ただし、プロ
ピレンユニットの立体規則性は、アイソタクチックもし
くはシンジオタクチックのものが本発明の(イ)成分と
して好ましい。本発明の(イ)ポリプロピレンにおいて
曲げ弾性率は8000kgf/cm(785MPa)
以上であるが、好ましくは10000〜100000k
gf/cm(981〜4903MPa)、より好まし
くは11000〜80000kgf/cm(1079
〜3923MPa)、さらに好ましくは12000〜6
0000kgf/cm(1177〜2942MPa)
であり、メルトフローレート(MFR、g/10分)は
20〜300、好ましくは30〜200、より好ましく
は40〜150である。曲げ弾性率が8000未満、M
FRが20未満では、流動性、剛性のバランスが劣るた
め好ましくない。
【0006】(ロ)成分 本発明に使用される(ロ)オレフィン系エラストマー
は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン等のα−オレフィン相互の共重合体、
あるいはこれらとジシクロペンタジエンや5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン等の非共役ジエンとの共重合体、
あるいは1−ヘキセン、1−オクテン等の高級α−オレ
フィンの単独重合体からなるエラストマーである。これ
らの中でもエチレン・プロピレン共重合体、エチレン・
1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテ
ン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジ
エン共重合体、エチレン・1−ブテン・ジシクロペンタ
ジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ブテン
・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレ
ン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチ
レン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン
共重合体、エチレン・1−ヘキセン・ジシクロペンタジ
エン共重合体、エチレン・1−ヘキセン・5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−オクテ
ン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・1−オ
クテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等
のエチレン系共重合体が好ましい。これらオレフィン系
エラストマーは2種以上の混合物であってもよい。該エ
ラストマーのMFRは、特に制限されるものではない
が、好ましくは0.1〜200g/10分である。尚、
本発明におけるオレフィン系エラストマーの製造に関し
ては何等制限されるものではなく、シングル・サイト触
媒によるもの、およびマルチ・サイト触媒によるものの
いずれも好適に用いられる。なお、(ロ)成分に使用さ
れるα−オレフィンとしては、上記以外にも1−ブテ
ン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メ
チル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メ
チル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−
ヘプテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1
−ヘキセン、4、4−ジメチル−1−ペンテン、1−デ
センなどが挙げられ、非共役ジエンとしては、トリシク
ロペンタジエン、5−メチル−2、5−ノルボナジエ
ン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニ
ル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノ
ルボルネン、5−(1−ブテニル)−2−ノルボルネ
ン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン、1、
5、9−シクロドデカトリエン、1、4−ヘキサジエ
ン、1、6−オクタジエン、1、7−オクタジエン、
1、8−ノナジエン、1、9−デカジエン、3、6−ジ
メチル−1、7−オクタジエンなどが挙げられる。これ
らは、一種単独であるいは二種以上併用して使用するこ
とができる。
【0007】(ハ)成分 本発明の(ハ)成分として用いられる水添ブロック共重
合体は、1,3−ブタジエンのみからなる重合体ブロッ
クとイソプレンのみからなる重合体ブロックのいずれか
一方または両方の重合体ブロックのみからなり、かつ、
該重合体ブロックを分子中に少なくとも二つ有し、重合
体ブロック中の1,2−結合等を有する共役ジエン部分
の最大含量と最小含量との差が15重量%以上であるブ
ロック共重合体中のオレフィン性不飽和結合の70%以
上を水素化してなる重量平均分子量が1〜70万である
水添ブロック共重合体である。
【0008】さらに、本発明に用いられる水添ブロック
共重合体においては、水添前のブロック共重合体の最小
の1,2−結合等を有する共役ジエン重合体ブロック
(以下、「ブロックA」という。)の1,2−結合等を
有する共役ジエン部分の含量[a]と、最大の1,2−
結合等を有する共役ジエン重合体ブロック(以下、「ブ
ロックB」という。)の1,2−結合等を有する共役ジ
エン部分の含量[b]とが、 [b]−[a]≧15% を満足することが必要である。 [a]と[b]の組み合わせとしては、例えば [a]≦20%、[b]=35〜60% [a]≦20%、[b]≧60% [a]=30〜45%、[b]≧60% の場合が挙げられ、この中でも、が好ましく、特に
の組み合わせが好ましい。 [b]−[a]<15%の場合、耐衝撃性、剛性のバラ
ンスが不十分となり、好ましくない。本発明に用いられ
る(ハ)水添ブロック共重合体の水添前のブロック構造
は、上記要件を満たすものであればいかなるものでもよ
く、例えば、一般式 (A−B) (A−B)−A (B−A)−B (但し、nは1以上の整数) などで表されるブロック共重合体が挙げられ、これ以外
に A−C−B (但し、Cは、1,2−結合等を有する共役ジエンの含
量[c]が、 [a]<[c]<[b] を満足する共役ジエン重合体ブロック) のような構造であってもよい。
【0009】また、(ハ)成分を得るための水添前のブ
ロック共重合体としては、例えば下記式のようにカップ
リング剤残基を介して重合体分子鎖が延長または分岐さ
れたものであってもよい。 (A−B)mX (B−A)mX (A−B−A)mX (B−A−B)mX (A−C−B)mX (但し、A、B、Cは前記に同じ、mは2以上の整数、
Xはカップリング剤残基)
【0010】この場合のカップリング剤としては、例え
ば、1,2−ジブロモエタン、メチルジクロロシラン、
トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、テトラク
ロロシラン、テトラメトキシシラン、ジビニルベンゼ
ン、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、ベン
ゼン−1,2,4−トリイソシアナート、トリレンジイ
ソシアナート、エポキシ化1,2−ポリブタジエン、エ
ポキシ化アマニ油、テトラクロロゲルマニウム、テトラ
クロロスズ、ブチルトリクロロスズ、ブチルトリクロロ
シラン、ジメチルクロロシラン、1,4−クロロメチル
ベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタンなどが挙げ
られる。なお、本発明の(ハ)成分を得るための水添前
のブロック共重合体としては、例えばA−B−A/A−
B、(A−B)2−X/A−B、(A−B)4−X/A−
B、(A−B)4−X/(A−B)2−X/A−B、(A
−B)4−X/(A−B)3−X/(A−B)2−X/A
−B(但し、A、B、Xは前記に同じ)など、2種また
はそれ以上のブロック共重合体のブレンド物も好適に用
いられる。さらに、二種またはそれ以上の(ハ)成分同
士のブレンド物、例えばA−B−Aの水添物/A−Bの
水添物、(A−B)2−Xの水添物/A−Bの水添物、
(A−B)4−Xの水添物/A−Bの水添物、(A−
B)4−Xの水添物/(A−B)2−Xの水添物/A−B
の水添物、(A−B)4−Xの水添物/(A−B)3−X
の水添物/(A−B)2−Xの水添物/A−Bの水添物
(但し、A、B、Xは前記に同じ)なども本発明の
(ハ)成分として好適に用いられる。
【0011】(ハ)成分を得るための水添前のブロック
共重合体中のブロックAの含有量は、5〜90重量%、
好ましくは5〜85重量%、ブロックBの含有量は、9
5〜10重量%、好ましくは95〜15重量%である。
ブロックAの含有量が5重量%未満あるいは90重量%
を超える場合、組成物としたときの耐衝撃性改良効果が
低下する。本発明に用いられる水添ブロック共重合体
は、重量平均分子量が1〜70万、好ましくは2〜60
万、さらに好ましくは3〜50万である。1万未満では
組成物とした場合の耐衝撃性改良効果が低下し、一方7
0万を超えると加工性が低下し、組成物の成形外観が悪
化する。
【0012】本発明の水添ブロック共重合体の製造方法
は、いかなる方法でもよいが、一般には有機溶媒中、有
機アルカリ金属化合物を開始剤としてリビングアニオン
重合し、水添前のブロック共重合体を得てから、水添反
応を行うことにより得られる。 上記有機溶媒として
は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチル
シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、キシレ
ン、トルエンなどの炭化水素溶媒が用いられる。重合開
始剤である有機アルカリ金属化合物としては、有機リチ
ウム化合物が好ましい。この有機リチウム化合物として
は、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、
有機ポリリチウム化合物が用いられる。これらの具体例
としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イ
ソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブ
チルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウ
ム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルリチウ
ム、イソプレニルジリチウムなどが挙げられ、モノマー
100重量部あたり0.02〜0.4重量部の量で用い
られる。
【0013】また、ブロックA、ブロックBにおける
1,2−結合等を有する共役ジエン化合物の含量(以下
「1,2−結合等の含量」という)の調節は、ルイス塩
基、例えばエーテル、アミンなど、具体的にはジエチル
エーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル、ブ
チルエーテル、高級エーテル、さらにはエチレングリコ
ールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチル
エーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ト
リエチレングリコールジメチルエーテルなどのポリエチ
レングリコールのエーテル誘導体、アミンとしてはテト
ラメチルエチレンジアミン、ピリジン、トリエチルアミ
ン、トリブチルアミンなどの第3級アミンなどが挙げら
れ、上記有機溶媒とともに用いられる。
【0014】さらに、重合反応は、通常、−30〜+1
50℃で実施される。また、重合は、一定温度にコント
ロールして実施しても、また上昇温度下にて実施しても
よい。 ブロック共重合体にする方法はいかなる方法で
もよいが、一般に上記有機溶媒中で、上記アルカリ金属
化合物などの重合開始剤を用いて、まずブロックAを重
合し、続いてブロックBを重合することによりブロック
A及びBを含有するブロック共重合体とすることができ
る。
【0015】以上のようにして重合されたブロック共重
合体を水添することにより、共役ジエン部分の二重結合
残基が水添された本発明の水添ブロック共重合体(ハ)
が得られる。すなわち、本発明の水添ブロック共重合体
は、このようにして得られるブロック共重合体を、不活
性溶媒中に溶解し、20〜150℃、1〜100kg/
cm2G の加圧水素下で水素化触媒の存在下で水添する
ことによって得られる。その際、ブロック共重合体中の
オレフィン性不飽和結合は70%以上、好ましくは80
%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは
95%以上が水素添加されていることが必要である。7
0%未満では、耐熱性、耐候性の点で不十分である。水
素化に使用される不活性溶媒としては、ヘキサン、ヘプ
タン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベ
ンゼンなどの炭化水素溶媒、またはメチルエチルケト
ン、酢酸エチル、エチルエーテル、テトラヒドロフラン
などの極性溶媒が挙げられる。
【0016】また、水素化触媒としては、ジシクロペン
タジエニルチタンハライド、有機カルボン酸ニッケル、
有機カルボン酸コバルトなどと周期律表第I〜III族
の有機金属化合物とからなる水素化触媒、カーボン、シ
リカ、ケイソウ土などで担持されたニッケル、白金、パ
ラジウム、ルテニウム、レニウム、ロジウム金属触媒、
コバルト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム錯体などの
金属触媒が挙げられる。また、リチウムアルミニウムハ
イドライド、p−トルエンスルホニルヒドラジドなどの
水素化化合物、さらにはZr−Ti−Fe−V−Cr合
金、Zr−Ti−Nb−Fe−V−Cr合金、LaNi
5などの水素吸蔵合金を用いた水素化反応なども、本発
明に用いられる水添ブロック共重合体の製造方法として
挙げられる。 共役ジエン部分の水添率は、水素化触
媒、水素化化合物の添加量、または水添反応時における
水素圧力、反応時間を変えることにより調節される。水
添されたブロック共重合体溶液からは、必要に応じて触
媒の残査を除去し、フェノール系またはアミン系の老化
防止剤を添加し、重合体溶液から水添ブロック共重合体
を容易に単離することができる。水添ブロック共重合体
の単離は、例えば水添されたブロック共重合体溶液に、
アセトンまたはアルコールなどを加えて沈澱させる方
法、重合体溶液を熱湯中に攪拌下、投入し溶媒を蒸留除
去する方法などで行うことができる。なお、本発明の水
添ブロック共重合体は、少なくとも1種の官能基を該水
添ブロック共重合体に導入して、変性水添ブロック共重
合体として用いることも可能である。
【0017】本発明の組成物は、(イ)ポリプロピレ
ン、(ロ)オレフィン系エラストマー、(ハ)水添ブロ
ック共重合体からなり、流動性、剛性、耐衝撃性、成形
外観のバランスに優れた組成物である。本発明の組成物
における(イ)ポリプロピレン、(ロ)オレフィン系エ
ラストマー、(ハ)水添ブロック共重合体の配合割合
は、(イ)成分50〜90重量%、(ロ)成分50〜1
0重量%、の合計100重量部に対して、(ハ)成分
0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜45重量部で
ある。(イ)成分が50重量%未満である場合、剛性の
低下が見られ、90重量%を超えると、組成物とした場
合の耐衝撃性の改良効果が不十分であり好ましくない。
また、(ロ)成分が10重量%未満の場合、組成物とし
た場合の耐衝撃性の改良効果が不十分であり、50重量
%を超えると剛性が低下し、流動性も不十分となり、本
発明の目的を達し得ないため好ましくない。さらに、
(ハ)成分が(イ)+(ロ)成分の合計100重量%に
対して0.1重量部未満である場合、組成物とした場合
の耐衝撃性の改良効果が不十分であり、50重量部を超
えると、剛性が低下し、本発明の目的を達し得ないため
好ましくない。
【0018】本発明の組成物には、必要に応じて、
(ニ)成分として無機充填材を添加することが可能であ
る。この(ニ)成分の添加により、特に剛性に優れ、高
剛性かつ高流動性で、しかも耐衝撃性、成形外観の良好
な組成物を得ることが可能となる。本発明の組成物にお
いて、(ニ)成分を構成する無機充填材は、組成物の剛
性を高めるものであり、例えば、シリカ、タルク、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラス繊維、炭素繊
維、金属繊維、ガラスビーズ、マイカ、チタン酸カリウ
ムウイスカー、モンモリロナイト、酸化亜鉛ウイスカー
等が挙げられ、単独で、または2種以上を混合して用い
られる。本発明の組成物における(ニ)成分の配合量
は、50重量部以下であり、好ましくは40重量部以
下、より好ましくは30重量部以下である。(ニ)成分
の配合量が50重量部を超えた場合、特に低温での耐衝
撃性の低下が大きく、さらに流動性、剛性、耐衝撃性、
成形外観のバランスが劣るため好ましくない。
【0019】本発明の組成物の製造としては、特に限定
されるものではなく、公知の方法を用いることができ
る。例えば、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダ
ー、ロールなどで各成分を混練りすることによって、本
発明の組成物を得ることができる。本発明の(ハ)成分
である水添ブロック共重合体や(イ)〜(ニ)成分を用
いた組成物には、必要に応じて各種添加剤、例えば老化
防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤などの安
定剤、カーボン、アラミド繊維、木粉、コルク粉末、セ
ルロースパウダー、ゴム粉などの充填剤などを配合して
用いることができる。また、本発明の組成物には、上記
添加剤とともに、可塑剤、オイル、低分子量ポリマーな
どの軟化剤を配合して使用することもできる。
【0020】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに説明す
るが、本発明の主旨を超えない限り、本発明は、かかる
実施例により限定されるものではない。なお、実施例中
の部および%は、特に断らない限り重量基準である。ま
た、実施例中の各種測定は、下記の方法に拠った。1,2−結合等の含量 1,2−結合等の含量は、赤外分析法を用い、ハンプト
ン法により算出した。水添率 共役ジエンの水添率は、四塩化エチレンを溶媒に、10
0MHz、1H−NMRスペクトルから算出した。重量平均分子量 重量平均分子量(以下、「分子量」ともいう)は、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用
い、ポリスチレン換算で求めた。流動性 JIS K7210に準拠して、230℃、荷重2.1
6kgでのメルトフローレート(MFR)を測定し、成
形加工性の指標とした。剛性 JIS K7203に従って曲げ弾性率を測定し、剛性
の指標とした。耐衝撃性 JIS K7110に従ってアイゾット衝撃強度を測定
し、耐衝撃性の指標とした。成形外観 下記の基準に従って、成形外観を目視評価した。 ○:外観が良好である。 ×:パール光沢、フローマークを有し、表面が荒れてい
るなど、外観不良現象が見られる。
【0021】参考例 実施例および比較例に示す配合に用いられる各種の成分
は、以下の通りである。ポリプロピレン 表1に示すMFR、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度を
有するポリプロピレン(PP−1〜PP−5)。
【表1】 オレフィン系エラストマー EP−1:エチレン・プロピレン共重合体 〔日本合成ゴム(株)製EP01NS〕 EP−2:エチレン・プロピレン共重合体 〔日本合成ゴム(株)製EP912〕 EB−1:エチレン・1−ブテン共重合体 〔日本合成ゴム(株)製EBM2041P〕 EB−2:エチレン・1−ブテン共重合体 〔三井石油化学工業(株)製タフマーA4085〕 EH−1:エチレン・1−ヘキセン共重合体 〔エクソン・ケミカル製EXACT2010〕 EH−2:エチレン・1−ヘキセン共重合体 〔エクソン・ケミカル製EXACT2009〕 EO−1:エチレン・1−オクテン共重合体 〔ダウ・ケミカル製ENGAGE EG8100〕 EO−2:エチレン・1−オクテン共重合体 〔ダウ・ケミカル製ENGAGE EG8200〕
【0022】水添ブロック共重合体 参考例1(水添ブロック共重合体の製造法) 10リットルのオートクレーブに脱気・脱水したシクロ
ヘキサン5kg、1,3−ブタジエン300gを仕込ん
だのち、テトラヒドロフラン0.25g、およびn−ブ
チルリチウム0.50gを加え重合温度が80℃である
一定の等温重合を行った。重合転化率がほぼ100%と
なったのち、反応液を40℃に冷却し、テトラヒドロフ
ラン75g、1,3−ブタジエン700gを加え、昇温
重合を行った。重合が完結した後、リビングLi量を測
定したところ、3.1ミリモルであった。この系内にベ
ンゾフェノン0.56gを添加し、10分間攪拌した。
ポリマー液の色の変化から、リビングアニオンとして生
きているポリマー末端リチウムがないことを確認した。
次に、20mlのシクロヘキサンに溶かしたベンゾフェ
ノン3.51gとn−ブチルリチウム1.20gを窒素
雰囲気下であらかじめ10分間反応させた反応生成物を
仕込み、さらにビス(シクロペンタジエニル)チタニウ
ムジクロライド0.52gと10mlのトルエンに溶か
した1.51gのジエチルアルミニウムクロライドを窒
素雰囲気下であらかじめ混合した成分をオートクレーブ
内に仕込み攪拌した。水素ガスを8kg/cm2Gの圧
力で供給し、90℃で1.5時間水素添加反応を行っ
た。得られた水添ポリマーの水添率は98%、分子量は
30.1万であった。また、第1段階目の1,3−ブタ
ジエンブロック重合終了時点で測定した1,3−ブタジ
エンブロックの1,2−ビニル結合含量は15%、第2
段階目の1,3−ブタジエンの重合終了時点で測定した
1,2−ビニル結合含量と第1段階目の1,2−ビニル
結合から算出した結果、第2段階目の1,3−ブタジエ
ンブロックの1,2−ビニル結合含量は80%であっ
た。参考例2〜14 参考例1と同様の方法により、表2〜4の各水添ブロッ
ク共重合体となるように、モノマー種、モノマー量、触
媒量、重合時間、重合温度などを変量することにより作
製した。これらの結果を表2〜4に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【0023】実施例1〜5、比較例1 上記参考例8で得られた水添ブロック共重合体(S−
8)とポリプロピレン、およびオレフィン系エラストマ
ーを4リットルバンバリー型混練り機を用いて、表5に
示す重量比率で混合した。混合された組成物は、シート
化の後、角ペレットに裁断し、射出成形により物性評価
用の試験片を作製した。物性評価の結果を表5に示す。
これらの実施例は、いずれも本発明の範囲内の水添ブロ
ック共重合体を用いた組成物であり、低温での耐衝撃性
に優れ、かつ流動性、剛性、耐衝撃性、成形外観のバラ
ンスが良好なものである。これに対し比較例1は、水添
ブロック共重合体を用いなかった例であるが、流動性は
高いものの、耐衝撃性、剛性が極めて劣り、全体として
物性のバランスに欠けるものとなる。
【表5】 実施例6〜53 実施例1と同様の方法で、上記参考例1〜11で得られ
た水添ブロック共重合体とポリプロピレン、オレフィン
系エラストマー、およびタルクを表6〜13に示す重量
比率の組成物を作製し、各物性を評価した。結果を表6
〜13に示す。これらの実施例は、いずれも本発明の範
囲内の水添ブロック共重合体を用いた組成物であり、特
に剛性と流動性に優れ、かつこれら流動性、剛性と耐衝
撃性、成形外観とのバランスに優れたものである。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】 比較例2〜6 実施例1と同様の方法で、上記参考例12〜15で得ら
れた水添ブロック共重合体を用いて射出成形物を作製
し、各物性を評価した。結果を表14に示す。本発明の
要件を外れる水添ブロック共重合体を用いた組成物で
は、流動性、剛性、耐衝撃性、成形外観のバランスに欠
けるものとなった。また比較例6は、水添ブロック共重
合体を用いなかった例であり、流動性、耐衝撃性が劣
り、さらにこれら流動性、耐衝撃性と剛性、成形外観と
のバランスに欠けるものとなる。
【表14】
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、ポリプロピレン、オレ
フィン系エラストマー、および特定構造の水添ブロック
共重合体をブレンドすることにより、流動性、剛性、耐
衝撃性、成形外観のバランスに優れたポリプロピレン系
樹脂組成物を得ることができる。 本発明の組成物は、
射出成形、押出成形、真空成形などによって各種成型品
として用いられ、その優れた特性を生かして、自動車内
外装材、電気・電子の各種部品、ハウジング、工業部
品、文具、医療用部材、フィルム・シート製品など幅広
く用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹村 泰彦 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (72)発明者 鴨志田 洋一 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−48485(JP,A) 特開 平6−306220(JP,A) 特開 平3−128957(JP,A) 商品カタログ「旭化成ポリプロ」1992 年3月 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)曲げ弾性率が8000kgf/c
    (785MPa)以上かつ温度230℃、荷重2.
    16kgにおけるメルトフローレートが20〜300
    /10分であるポリプロピレン 50〜90重量%、お
    よび (ロ)オレフィン系エラストマー 50〜10重量%の
    合計100重量部に対して (ハ)1,3−ブタジエンのみからなる重合体ブロック
    とイソプレンのみからなる重合体ブロックのいずれか一
    方または両方の重合体ブロックのみからなり、かつ、該
    重合体ブロックを分子中に少なくとも二つ有し、重合体
    ブロック中の1,2−結合および3,4−結合を有する
    共役ジエン部分の最大含量と最小含量との差が15重量
    %以上であるブロック共重合体中のオレフィン性不飽和
    結合の70%以上を水素化してなる重量平均分子量が1
    〜70万である水添ブロック共重合体0.1〜50重量
    部 (ニ)無機充填材 0〜50重量部を含有してなるポリ
    プロピレン系樹脂組成物。
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