JP3235097B2 - 変性金属酸化物ゾル及びその製造法 - Google Patents

変性金属酸化物ゾル及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、3〜5価金属酸化物コロイド粒子の表面
を、2〜7ミリミクロンの酸化タングステン−酸化スズ
複合体のコロイド粒子で被覆することによって形成され
た、粒子径ほぼ4.5〜60ミリミクロンの3〜5価金属酸
化物の変性コロイド粒子のゾル及びその製造方法に関す
る。
本発明のゾルは、プラスチックレンズの表面に施され
るハードコート剤の成分として、その他種々の用途に用
いられる。
(従来の技術) 既に種々の金属酸化物のゾルが知られている。
近年多用されるようになって来たプラスチックレンズ
の表面を改良するために、この表面に適用されるハード
コート剤の成分として、高い屈折率を有する金属酸化物
のゾルが用いられている。
例えば、特公昭63−37142号公報には、Al,Ti,Zr,Sn,S
b等の金属酸化物の1〜300ミリミクロン粒子を含有させ
たハードコート剤が記載されている。
酸化タングステン単独の安定なゾルは未だ知られてい
ないが、珪酸塩の添加によって得られるWO3:SiO2:M2O
(但し、Mはアルカリ金属原子又はアンモニウム基を表
わす。)モル比が4〜15:2〜5:1であるゾルが、特開昭5
4−52686号公報に提案されている。
また、特公昭50−40119号公報には、Si:Snのモル比が
2〜1000:1であるケイ酸−スズ酸複合ゾルが提案されて
いる。
(発明が解決しようとする課題) けれども、これら従来の金属酸化物ゾル、特にカチオ
ン性の金属酸化物ゾルをハードコート剤の成分として用
いると、得られたハードコート剤の安定性が充分でない
のみならず、このハードコート剤の硬化被膜の透明性、
密着性、耐候性等も充分でない。また、Sb2O5ゾルをハ
ードコート剤成分として用いる場合には、Sb2O5の屈折
率が1.65〜1.70程度であるから、レンズのプラスチック
基材の屈折率が1.6以上のときには、もはやこのSb2O5
ルでは硬化被膜の屈折率が充分に向上しない。
上記特開昭54−52686号公報に記載の酸化タングステ
ンのゾルは、タングステン酸塩の水溶液を脱陽イオン処
理することにより得られるタングステン酸の水溶液に、
珪酸塩を加えることにより得られているが、強酸性にお
いてのみ安定であり、また、ハードコート剤の成分とし
て用いる場合には、塗膜の屈折率を向上させる効果は小
さい。
上記特公昭50−40119号公報に記載のケイ酸−スズ酸
複合ゾルは、ケイ酸アルカリとスズ酸アルカリの混合水
溶液を脱陽イオン処理することにより得られているが、
上記同様、やはりハードコート剤の成分として用いる場
合には、塗膜の屈折率を向上させる効果は小さい。
本発明は、高い屈折率、特に1.7以上の屈折率を有す
る金属酸化物のコロイド粒子の安定なゾルを提供しよう
とするものである。
本発明の更に他の目的は、プラスチックレンズ表面に
施されるハードコート膜の性能向上成分として、そのハ
ードコート用塗料に混合して用いることができる金属酸
化物ゾルを提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は、4〜50ミリミクロンの粒子径を有する原子
価3、4又は5の金属酸化物のコロイド粒子を核として
その表面が、WO3/SnO2重量比0.5〜100であって粒子径2
〜7ミリミクロンである酸化タングステン−酸化スズ複
合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成され
た粒子径4.5〜60ミリミクロンの変性金属酸化物コロイ
ド粒子を含む変性金属酸化物ゾルであって、上記変性金
属酸化物コロイド粒子は原子価3、4又は5の金属酸化
物100重量部に対し酸化タングステン−酸化スズ複合体
2〜100重量部の比率からなり、上記変性金属酸化物コ
ロイド粒子はその全金属酸化物として上記ゾル中に2〜
50重量%含まれる、上記変性金属酸化物ゾルに関する。
本発明の酸化タングステン−酸化スズ複合体のコロイ
ド粒子で表面被覆された粒子径4.5〜60ミリミクロンの
変性された金属酸化物のコロイド粒子のゾルは、0.5〜5
0重量%の原子価3、4又は5の金属酸化物濃度と4〜5
0ミリミクロンの粒子径を有する当該金属酸化物のコロ
イド粒子のゾルを当該金属酸化物として100重量部と、
2〜7ミリミクロンの粒子径と0.5〜100のWO3/SnO2重量
比と0.5〜40重量%のWO3及びSnO2合計濃度を有する酸化
タングステン−酸化スズ複合体からなるコロイド粒子の
ゾルを当該WO3及びSnO2合計として2〜100重量部の比率
に0〜100℃で混合することにより、或いは要すれば、
この混合によって得られたゾルを濃縮することによって
得られる。
本発明の酸化タングステン−酸化スズ複合ゾルの製造
に用いられる水溶性タングステン酸塩及び水溶性スズ酸
塩の例としては、アルカリ金属、アンモニウム又は水溶
性アミンのタングステン酸塩及びスズ酸塩が挙げられ
る。これらアルカリ金属、アンモニウム及びアミンの好
ましい例としては、Li,Na,K,Rb,Cs,NH4,エチルアミン,
トリエチルアミン,イソプロピルアミン,n−プロピルア
ミン,イソブチルアミン,ジイソブチルアミン,ジ(2
−エチルヘキシル)アミン等のアルキルアミン;ベンジ
ルアミン等のアラルキルアミン;ピペリジン等の脂環式
アミン;モノエタノールアミン,トリエタノールアミン
等のアルカノールアミンが挙げられる。特に、タングス
テン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O及びスズ酸ナトリウムNa
2SnO3・3H2Oが好ましい。また、酸化タングステン,タ
ングステン酸,スズ酸等をアルカリ金属水酸化物の水溶
液に溶解したものも使用することができる。
用いられる水素型陽イオン交換体としては、通常のも
のでよく、好都合には、水素型陽イオン交換樹脂を市販
品として入手することができる。場合によって用いられ
るアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、アミン
等も市販工業製品でよい。アルカリ金属水酸化物の例と
しては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リ
チウム等が挙げられる。
用いられるタングステン酸の水溶液は、上記タングス
テン酸塩の水溶液を上記陽イオン交換樹脂で100℃以
下、好ましくは室温〜60℃位の温度で処理することによ
り容易に得られる。このタングステン酸の水溶液は、コ
ロイド性を有しているためにゲル化し易い性質を有する
ので、好都合にはゲル化前に用いるのがよい。このタン
グステン酸の水溶液をつくるのに用いられる上記タング
ステン酸塩の水溶液としては、WO3として0.1〜15重量%
濃度のものが好ましく、タングステン酸の水溶液として
も、そのWO3濃度は、0.1〜15重量%程度が好ましい。
用いられるスズ酸塩の水溶液としては、SnO2濃度0.1
〜30重量%程度が好ましいが、これより濃くてもよい。
場合によっては固体のスズ酸塩も用いることができる。
本発明による酸化タングステン−酸化スズ複合ゾルの
製造は、上記タングステン酸の水溶液と上記スズ酸塩の
水溶液とを混合することにより行われる。この混合は充
分な撹拌下に、液が凍結する温度より高く、100℃以
下、好ましくは、室温〜60℃位で行うのがよい。混合す
べき液量としては、WO3/SnO2重量比で0.5〜100程度がよ
いが、特に2〜100が好ましい。この混合は5〜100分程
度、好ましくは30〜60分程度で終了させることができ
る。この混合により、得られた混合液中には、通常、前
記アルカリ金属イオン,アンモニウムイオン,アミン等
が含まれる。これらアルカリ金属原子、NH4又はアミン
分子をMで表わすと、この得られた混合液中のWO3とSnO
2の合計モル数に対し含まれるM2Oのモル数の比M2O/(WO
3+SnO2)は約0.01〜0.44である。
安定性の高い酸化タングステン−酸化スズ複合ゾルを
得るには、上記混合によって得られた液中のM2O/(WO3
+SnO2)モル比を0.02〜0.7程度に調節するのがよい。
上記混合により得られた液中の上記モル比を高める方法
としては、この混合液にアルカリ金属酸化物,水酸化ア
ンモニウム、アミン等を加えることによっても行うこと
ができるが、上記混合液を水素型陽イオン交換樹脂で処
理した後に、M2O/(WO3+SnO2)モル比が0.02〜0.7とな
るようにアルカリ金属水酸化物,水酸化アンモニウム,
アミン等を加えることによって行うことができる。
上記混合により、或いは更に行われる上記モル比調節
後の酸化タングステン−酸化スズ複合ゾルに含まれるWO
3とSnO2の複合体からなるコロイド粒子は、電子顕微鏡
によって観測することができ、通常その大きさは7ミリ
ミクロン以下であり、好ましいゾルの粒子径は通常2〜
5ミリミクロンである。
上記方法により得られた酸化タングステン−酸化スズ
複合ゾルの濃度を高めたいときには、通常の濃縮方法、
例えば、蒸発法、限外濾過法等により、ゾルの濃度を高
めることができる。特に、限外濾過法は好ましい。この
濃縮においても、ゾルの温度は約100℃以下、特に60℃
以下に保つことが好ましい。けれども、WO3とSnO2の合
計濃度として40重量%以上にも高く濃縮することは、ゾ
ルの安定性が乏しくなるので避けるのがよい。実用上の
好ましいこの濃度は2重量%以上であり、特に10〜30重
量%程度が好ましい。
上記の如くして得られた好ましい酸化タングステン−
酸化スズ複合体の水性ゾルは、通常1〜9のpHを示し、
無色の、透明又はほぼ透明な液である。そして、室温は
3ケ月以上、60℃でも1ケ月以上安定であり、このゾル
中に沈降物が生成することがなく、また、このゾルは増
粘したり、ゲル化を起すようなことはない。
上記水性ゾルの水を親水性有機溶媒で置換することに
よりオルガノゾルと呼ばれる親水性有機溶媒ゾルが得ら
れる。この親水性有機溶媒の例としてはメチルアルコー
ル,エチルアルコール,イソプロピルアルコール等の低
級アルコール;ジメチルホルムアミド,N,N′−ジメチル
アセトアミド等の直鎖アミド類;N−メチル−2−ピロリ
ドン等の環状アミド類;エチルセロソルブ,ブチルセロ
ソルブ,エチレングリコール等のグリコール類が挙げら
れる。
上記水と親水性有機溶媒との置換は、通常の方法、例
えば、蒸留置換法、限外濾過法等によって容易に行うこ
とができる。水性ゾルのpHが高い場合には、上記置換の
前又は同時に水性ゾルに、例えば、乳酸,酒石酸,くえ
ん酸,グルコン酸,りんご酸,グリコール酸等のオキシ
カルボン酸をWO3とSnO2の合計に対し約30重量%以下加
えるのがよい。このオキシカルボン酸の有無に係わら
ず、上記ゾルの媒体の置換の際にもゾルの温度は約100
℃以下、特に60℃以下に保つことが好ましい。
上記のようにして得られた酸化タングステン−酸化ス
ズ複合ゾルのコロイド粒子を、他の原子価3、4又は5
の金属の酸化物、例えば、Al2O3,Y2O3,Sb2O3,In2O3,Bi2
O3,TiO2,ZrO2,SnO2,CeO2,TeO2,Sb2O5,Nb2O5,Ta2O5等の
ゾルのコロイド粒子表面に結合させて、当該表面を上記
酸化タングステン−酸化スズ複合体のコロイド粒子で被
覆することにより、そのコロイド粒子を核としてその表
面が酸化タングステン−酸化スズ複合体の性質を有する
ように変性された上記原子価3〜5の金属酸化物のコロ
イド粒子を生成させることができ、そしてこの変性され
たコロイド粒子が液媒体に安定に分散したゾルとして得
ることができる。
用いられる上記3〜5価の金属の酸化物のコロイド粒
子は、公知の方法、例えば、イオン交換法、解膠法、加
水分解法、反応法等と呼ばれる方法により、約4〜50ミ
リミクロン程度の粒子径を有するコロイド粒子のゾルの
形態で容易につくることができる。
上記イオン交換法の例としては、上記金属の酸性塩を
水素型陽イオン交換樹脂で処理する方法、或いは上記金
属の塩基性塩を水酸基型陰イオン交換樹脂で処理する方
法が挙げられる。上記解膠法の例としては、上記金属の
酸性塩を塩基で中和するか、或いは上記金属の塩基性塩
を酸で中和させることにより得られるゲルを洗浄した
後、酸又は塩基で解膠する方法が挙げられる。上記加水
分解法の例としては、上記金属のアルコキシドを加水分
解する方法、或いは上記金属の塩基性塩を加熱下加水分
解した後、不要の酸を除去する方法が挙げられる。上記
反応法の例としては、上記金属の粉末と酸とを反応させ
る方法が挙げられる。
これら金属酸化物ゾルの媒体は、水、親水性有機溶媒
のいずれでもよいが、媒体が水である水性ゾルが好まし
い。また、これらゾルのpHとしては、ゾルを安定ならし
める値がよく、通常、1〜9程度がよい。本発明の目的
が達成される限り、これら金属酸化物ゾルには、任意の
成分、例えば、ゾルの安定化のためのアルカリ性物質、
酸性物質、オキシカルボン酸等が含まれていてもよい。
用いられる金属酸化物ゾルの濃度としては、金属酸化物
として0.5〜50重量%程度であるが、この濃度は低い方
がよく、好ましくは1〜30重量%である。また、本発明
の安定なゾルが得られる限り、2種以上の上記ゾルの混
合物も用いることができる。
前記の酸化タングステン−酸化スズ複合体のコロイド
粒子によって変性されたこれら3〜5価金属酸化物のコ
ロイド粒子のゾルは、これら3〜5価金属酸化物ゾルを
その金属酸化物として100重量部と、上記酸化タングス
テン−酸化スズ複合ゾルをこのゾルのWO3とSnO2の合計
として2〜100重量部の比率に、好ましくは強撹拌下に
混合することによって得られる。この混合は0〜100℃
の温度、好ましくは室温〜60℃で行うのが好ましい。そ
してこの混合は、5〜10分程度、好ましくは30〜60分程
度で終了させることができる。この混合によって得られ
るべき変性されたコロイド粒子のゾルが、上記3〜5価
金属酸化物とWO3とSnO2の合計2〜40重量%を含有する
ように、上記混合に用いられる酸化タングステン−酸化
スズ複合ゾルの濃度及び3〜5価金属酸化物ゾルの濃度
を上記混合前に選定してから、これら両ゾルを混合する
のが好ましい。けれども、この混合によって得られたゾ
ルの濃度を更に高めたいときには、最大約50重量%ま
で、常法、例えば、蒸発法、限外濾過法等により濃縮す
ることができる。
上記混合によって得られたゾル中の変性されたコロイ
ド粒子は、電子顕微鏡によって観測することができ、ほ
ぼ4.5〜60ミリミクロンの粒子径を有する。上記混合に
よって得られたゾルはpHほぼ1〜9を有し、安定であ
る。ゾルのpHを調整したいときには、pHほぼ1〜9の範
囲で、上記混合後又は上記濃縮後に、前記アルカリ金
属,アンモニウム等の水酸化物,前記アミン,オキシカ
ルボン酸等をゾルに加えることによって行うことができ
る。特に、上記金属酸化物とWO3とSnO2の合計濃度が10
〜40重量%であるゾルは実用的に好ましい。
上記混合によって得られた変性された金属酸化物のゾ
ルが水性ゾルであるときは、この水性ゾルの水媒体を親
水性有機溶媒で置換することによりオルガノゾルが得ら
れる。この置換は、蒸留法、限外濾過法等通常の方法に
より行うことができる。この親水性有機溶媒の例として
はメチルアルコール,エチルアルコール,イソプロピル
アルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミ
ド,N,N′−ジメチルアセトアミド等の直鎖アミド類;N−
メチル−2−ピロリドン等の環状アミド類;エチルセロ
ソルブ,ブチルセロソルブ,エチレングリコール等のグ
リコール類が挙げられる。
(作 用) 前記本発明による酸化タングステン−酸化スズ複合体
のコロイド粒子及びこの粒子によって表面が被覆された
変性された3〜5価の金属酸化物のコロイド粒子のいず
れもゾル中で負に帯電した粒子であることが見出され
た。Sb2O5のコロイド粒子を除いて、前記例示の3〜5
価金属酸化物のコロイド粒子表面は陽に帯電しているか
ら、前記混合によって、この陽に帯電しているコロイド
粒子の周りに負に帯電している酸化タングステン−酸化
スズ複合体のコロイド粒子が電気的に引き寄せられ、そ
して陽帯電のコロイド粒子表面上に化学結合によって酸
化タングステン−酸化スズ複合体のコロイド粒子が結合
し、この陽帯電の粒子を核としてその表面を酸化タング
ステン−酸化スズ複合体が覆ってしまうことによって、
変性された3〜5価金属酸化物のコロイド粒子が生成し
たものと考えられる。しかし、Sb2O5コロイド粒子は陽
に帯電していないから、この粒子表面にはこの粒子自体
の静電引力ではない別の力によって酸化タングステン−
酸化スズ複合体のコロイド粒子が引き寄せられたことに
よってSb2O5コロイド粒子表面に酸化タングステン−酸
化スズ複合体のコロイド粒子が結合したものと考えられ
る。これら生成した負に帯電のコロイド粒子のゾルと、
よく知られている負に帯電したシリカゾルとを混合する
と、コロイド粒子の凝集は起らずに安定な混合ゾルが得
られることは、酸化タングステン−酸化スズ複合体のコ
ロイド粒子及びこの粒子によって表面が被覆された変性
された3〜5価金属酸化物のコロイド粒子のいずれも、
安定なゾルを維持できるに充分な負帯電のコロイド粒子
であることを示している。
けれども、3〜5価金属酸化物からなる粒子径4〜50
ミリミクロンのコロイド粒子のゾルと、酸化タングステ
ン−酸化スズ複合コロイド粒子のゾルとを混合するとき
に、WO3とSnO2の合計量が、上記金属酸化物100重量部に
対し2重量部より少ないと、安定なゾルが得られない。
このことは、酸化タングステン−酸化スズ複合体のコロ
イド粒子の量が不足するときは、この複合体コロイド粒
子による金属酸化物コロイド粒子を核とするその表面の
被覆が不充分となり、生成コロイド粒子の凝集が起り易
く、生成ゾルを不安定ならしめるものと考えられる。従
って、混合すべき酸化タングステン−酸化スズ複合体コ
ロイド粒子の量は、金属酸化物コロイド粒子の全表面を
覆う量より少なくてもよいが、安定な変性金属酸化物コ
ロイド粒子のゾルを生成せしめるに必要な最小量以上の
量である。この表面被覆に用いられる量を越える量の酸
化タングステン−酸化スズ複合体コロイド粒子が上記混
合に用いられたときには、得られたゾルは、酸化タング
ステン−酸化スズ複合体コロイド粒子のゾルと、生じた
変性金属酸化物コロイド粒子のゾルとの安定な混合ゾル
に過ぎない。
好ましくは、金属酸化物コロイド粒子をその表面被覆
によって変性するには、用いられる酸化タングステン−
酸化スズ複合体のコロイド粒子の量は、複合ゾル中のWO
3とSnO2の合計として、金属酸化物100重量部に対し、10
0重量部以下がよい。
本発明による変性された金属酸化物の好ましい水性ゾ
ルは、pH1〜9を有し、pHが1より低いとそのようなゾ
ルは不安定となり易い。また、このpHが9を越えると、
変性金属酸化物コロイド粒子を覆っている酸化タングス
テン−酸化スズ複合体が液中に溶解し易い。更に変性金
属酸化物コロイド粒子のゾル中の上記金属酸化物とWO3
とSnO2の合計濃度が50重量%を越えるときにも、このよ
うなゾルは不安定となり易い。工業製品として好ましい
濃度は10〜40重量%程度である。
上記3〜5価金属酸化物ゾルと、上記酸化タングステ
ン−酸化スズ複合ゾルを混合するときに、これらゾル中
の金属酸化物濃度、WO3とSnO2の合計濃度のいずれも50
重量%を越えるゾルを用いると、上記混合の際にゲル化
が起ることがあるので好ましくない。むしろ、この用い
られるゾルの濃度は低い方がよいが、濃度が低く過ぎる
と、混合によって得られたゾルを濃縮する際に、除去す
べき液量の増大をもたらす。また、この混合のときに、
100℃以上の高温で行うと、酸化タングステン−酸化ス
ズ複合体コロイド粒子が加水分解を受け易い。
3〜5価金属酸化物ゾルとして、SnO2ゾル,ZrO2ゾル,
TiO2ゾル,Sb2O5ゾル等を用いると、安定性、コロイド粒
子の大きさ、変性金属酸化物コロイド粒子の屈折率のい
ずれも充分な本発明のゾルが得られる。
酸化タングステン−酸化スズ複合体のコロイド粒子の
ゾルも好ましい方法でつくらないときには、実用性に乏
しいゾルしか得られない。
タングステン酸塩の水溶液を水素型陽イオン交換樹脂
で処理することにより得られるタングステン酸の水溶液
と、スズ酸塩の水溶液とをWO3/SnO2重量比2〜100に混
合することにより得られるゾルの安定性は、この混合に
よって生成した酸化スズのコロイド粒子と酸化タングス
テンのコロイド粒子又はタングステン酸の低重合物であ
るポリアニオンとの結合による酸化タングステンと酸化
スズの複合体のコロイド粒子に、スズ酸塩によって導入
されたアルカリ金属、アンモニウム、アミン等の陽イオ
ンが安定化の対イオンとして作用して、安定なコロイド
粒子が生成したことによるものと考えられる。
けれども、得られたゾル中のWO3/SnO2重量比が0.5未
満では、ゾルが酸性のとき不安定であり、また、この重
量比が100を越えると、やはりゾルは安定性を示さな
い。ゾル中に含まれているアルカリ金属、アンモニウ
ム、アミン等の陽イオンの量が前記M2O/(WO3+SnO2
のモル比として0.01未満のときにも、このようなゾルは
安定性に乏しく、また、このモル比が0.7を越えると、
このようなゾルを用いて得られる乾燥塗膜の耐水性は低
く、実用上好ましくない。高いpHの水性ゾルから上記オ
ルガノゾルをつくる際に加えられるオキシカルボン酸
も、ゾルの安定化に貢献するが、その添加量がゾル中の
WO3とSnO2の合計に対し30重量%以上にも多いと、この
ようなゾルを用いて得られる乾燥塗膜の耐水性が低下す
る。ゾル中のアルカリ金属、アンモニウム、アミン、オ
キシカルボン酸等の量に対応して、そのゾルのpHが変わ
る。ゾルのpHが1以下では、ゾルは不安定であり、pHが
9以上では、酸化タングステンと酸化スズの複合体のコ
ロイド粒子が液中に溶解し易い。ゾル中のWO3とSnO2
合計濃度が40重量%以上にも高いと、ゾルはやはり安定
性に乏しい。この濃度が薄すぎると非実用的であり、工
業製品として好ましい濃度は10〜30重量%である。
本発明の製法に代えて、タングステン酸塩とスズ酸塩
とが溶解している水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂で
処理すると、生成コロイド粒子が小さ過ぎたり、酸化ス
ズの析出が起り易い。この水素型陽イオン交換樹脂によ
る処理で得られた液に、上記アルカリ金属水酸化物、水
酸化アンモニウム、アミン等を加えることによるゾルの
製法は効率的でない。
また、用いられるタングステン酸の水溶液のWO3濃度
が0.1重量%以下では、得られたゾルの濃度が低下し、
濃縮の際多量の水の除去を要し効率的でない。反対にこ
のタングステン酸の水溶液のWO3濃度が15重量%以上に
も高いと、このような水溶液は安定性に乏しく、取り扱
いに困難を来たし易い。
濃縮において限外濾過法を用いると、ゾル中に共存し
ている酸化タングステンのポリアニオン、極微小粒子等
が水と一緒に限外濾過膜を通過して、ゾルの不安定化の
原因であるこれらポリアニオン、極微小粒子等をゾルか
ら除去せしめることができる。酸化タングステン−酸化
スズ複合体のコロイド粒子の水性ゾルは、100℃以上の
温度において、このゾル中の酸化タングステンと酸化ス
ズの複合体コロイド粒子が加水分解を受けて溶解した
り、これら酸化物が析出し易いので、上記陽イオン交換
樹脂による処理、混合、濃縮等の際に100℃以下に保た
れる。かかる変化を起させない安全な温度として60℃以
下が好ましい。
(実施例) 本発明を下記の実施例と比較例により、更に詳しく説
明する。たゞし、本発明はこれらの実施例により何ら限
定されるものではない。
参考例1 タングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(試薬一級)
の550gを水4850gに溶かすことにより、タングステン酸
ナトリウムの水溶液5400gを得た。この水溶液は、比重
1.086、pH9.79、WO3含量7.16重量%であった。
次いで、上記水溶液全量を、水素型陽イオン交換樹脂
(オルガノ社製、アンバーライト120B)充填のカラムに
通すことにより、タングステン酸の水溶液5690gを得
た。この水溶液は、比重1.068、pH1.60、粘度2.0cp、WO
3含量6.8重量%、Na2O含量0.04重量%であり、黄色透明
液であった。また、この水溶液は、室温で放置すると、
1時間後にゲル状に変った。
別途、スズ酸ナトリウムNa2SnO3・3H2O(試薬一級)
を水に溶かすことにより、比重1.244、pH12.8、SnO2
量15.0重量%、Na2O含量6.2重量%のスズ酸ナトリウム
水溶液を得た。
次いで、上記製造直後のタングステン酸の水溶液5690
gに、上記スズ酸ナトリウムの水溶液505gを、室温で強
撹拌下に加えることにより、本発明において使用され得
る酸化タングステン−酸化スズ複合水性ゾルを得た。こ
のゾルは、わずかにコロイド色を呈していたが、ほぼ無
色透明であった。そして、比重1.073、pH5.03、粘度1.5
cp、WO3含量6.25重量%、SnO2含量1.22重量%、Na2O含
量0.54重量%、電子顕微鏡観察によるコロイド粒子径約
5ミリミクロンであった。また、このゾルは、密閉下の
室温放置3ケ月以上の安定性を有していた。尚、上記値
から、このゾル中のWO3とSnO2の重量比WO3/SnO2の値は
5.12、Na2O/WO3+SnO2モル比の値は0.25と夫々算出され
る。
参考例2 参考例1で得られた水性ゾル3100gを水素型陽イオン
交換樹脂充填のカラムに通すことにより、比重1.062、p
H1.53、粘度1.5cp、WO3含量569重量%、SnO2含量1.11重
量%、Na2O含量0.04重量%の本発明において使用され得
る水性ゾルを得た。上記値から、このゾルのNa2O/WO3
SnO2モル比は0.02と算出される。
次いで、このpH1.53のゾル3400gと、参考例1で得ら
れたpH5.03のゾル3095gを室温で混合することにより本
発明において使用され得る水性ゾルを得た。ここに得ら
れたゾルは、少しコロイド色を呈していたが、ほぼ無色
透明であり、比重1.068、pH2.36、粘度1.5cp、WO3含量
5.96重量%、SnO2含量1.17重量%、Na2O含量0.28重量
%、電子顕微鏡観察によるコロイド粒子径約5ミリミク
ロンであった。室温放置のテストにより3ケ月以上安定
であった。尚、上記値から算出すると、WO3/SnO2重量比
5.12、Na2O/WO3+SnO2モル比0.135である。
次いで、このpH2.36のゾル6495gを限外濾過法により
濃縮したところ、1840gの高濃度ゾルが得られた。この
ゾルも、すこしコロイド色を呈していたが、ほぼ無色透
明であり、比重1.212、pH2.34、粘度2.5cp、WO3含量17.
1重量%、SnO2含量3.93重量%、Na2O含量0.88重量%、
電子顕微鏡観察によるコロイド粒子径約5ミリミクロ
ン、動的光散乱法(米国、コールター社製N4の装置)に
よる粒子径90ミリミクロンであった。尚、この高濃度ゾ
ルのWO3/SnO2重量比は4.35、NaO/WO+SnO2モル比は0.14
と算出される。また、上記限外濾過により、濾過前のゾ
ル中のWO3の約20%が減少している。この減少は、限外
濾過膜を通過するWO3のポリアニオン又は極微小粒子が
濾過前のゾル中に存在していたことを示している。
さらに、上記高濃度ゾルについてテストしたところ、
メタノールへの分散は良好であり、室温3ケ月以上の安
定性を有していた。また、このゾルを乾燥したものにつ
いて光の屈折率を測定したところ、1.84であった。
参考例3 WO3含量7.16重量%のタングステン酸ナトリウムの水
溶液5400gを水素型陽イオン交換樹脂充填のカラムに通
すことにより、タングステン酸の水溶液6135gを得た。
この水溶液は、比重1.062、pH1.48、粘度2.5cp、WO3
量6.16重量%、Na2O含量0.03重量%であった。従って、
Na2O/WO3モル比は、0.018と算出される。
次いで、上記製造直後のタングステン酸の水溶液6135
gに、スズ酸ナトリウムの水溶液(SnO2含量15.0重量
%、Na2O含量62重量%)765gを室温で強撹拌下に加える
ことにより、本発明において使用され得る水性ゾル6900
gを得た。このゾルは、比重1.073、pH6.72、粘度1.5c
p、WO3含量5.60重量%、SnO2含量1.67重量%、Na2O含量
0.71重量%であった。計算により、WO3/SnO2重量比3.3
5、Na2O/WO3+SnO2モル比0.33である。
次いで、上記ゾルをロータリーエバポレーターによ
り、減圧下濃縮したところ、1610gの高濃度水性ゾルが
得られた。この高濃度ゾルは、わずかにコロイド色を呈
したが、ほぼ無色透明であり、比重1.385、pH6.68、粘
度2.6cp、WO3含量24.0重量%、SnO2含量7.14重量%、Na
2O含量3.06重量%であり、電子顕微鏡によるコロイド粒
子径約5ミリミクロンであった。室温放置テストでも3
ケ月以上安定であった。
参考例4 参考例2で得られた比重1.068、pH2.36の水性ゾル325
0gに撹拌下、n−プロピルアミン22gと酒石酸19gとを加
えることにより水性ゾルを得た。このゾルは、比重1.06
7、pH3.82、粘度1.5cp、WO3含量5.88重量%、SnO2含量
1.16重量%、Na2O含量0.28重量%、上記アミン含量0.67
重量%、酒石酸含量0.58重量%であった。計算により、
Na2O+(アミン)2O/WO3+SnO2モル比0.31、酒石酸/WO3
+SnO29.52重量%である。
次いで、このゾルをロータリーエバポレーターにより
減圧下濃縮することにより、高濃度水性ゾル970gを得
た。このゾルは、少しコロイド色を呈していたが、ほぼ
無色透明であり、比重1.282、pH3.68、粘度2.3cp、WO3
含量1.99重量%、SnO2含量3.93重量%、Na2O含量0.95重
量%、上記アミン含量2.27重量%、酒石酸含量1.97重量
%であった。このゾルは、メタノールへの分散性が良好
であり、室温放置3ケ月以上の安定性を有していた。
参考例5 参考例2で得られた比重1.212、pH2.34の水性ゾル215
gをロータリーエバポレーターに投入し、これに源圧下
メタノール3を少量づつ連続的に加えながら、ゾルの
媒体を留出させることにより、水性ゾルの水がメタノー
ルで置換されたメタノールゾル376gを得た。このゾル
は、少しコロイド色を呈していたが、ほぼ無色透明であ
り、比重0.932、pH3.46(このゾルと水との等重量根極
物)、粘度6.2cp、WO3含量9.78重量%、SnO2含量2.25重
量%、水分7.5重量%であった。このゾルは、放置中に
極微量の沈降物を生じさせたが、その量は放置期間を延
ばしても増えず、安定でった。
参考例6 参考例4で得られた高濃度水性ゾル300gについても、
参考例5と同様にして、媒体の水をメタノール置換する
ことにより、メタノールゾル350gを得た。このゾルは、
少しコロイド色を呈したが、ほぼ無色透明であり、比重
0.978、pH5.28(このゾルと水との等重量混合物)、粘
度4.0cp、WO3含量17.1重量%、SnO2含量3.37重量%、Na
2O含量0.81重量%、n−プロピルアミン含量1.94重量
%、酒石酸含量1.69重量%、水分3.5重量%であり、室
温放置3カ月時点で沈降物は全く生成せず、安定であっ
た。
参考例7 タングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2Oの240gを水32
00gに溶かすことによりタングステン酸ナトリウムの水
溶液(WO34.88重量%)3440gを得た。次いでこの水溶液
を水素型陽イオン交換樹脂充填のカラムに通すことによ
り、タングステン酸の水溶液4450g(比重1.033、pH1.5
3)を得た。別途調整されたSnO2含量15.0重量%のスズ
酸ナトリウムNa2SnO3水溶液366gを、上記タングステン
酸水溶液3440gと混合することにより酸化タングステン
−酸化スズ複合ゾル(I)(比重1.042、pH7.02)3806g
を得た。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂のカラム
に通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化スズ複
合ゾル(I)(比重1.032、pH1.82、WO32.87重量%、Sn
O20.94重量%、WO3/SnO2重量比3.07)5860gを得た。こ
の酸性の酸化タングステン−酸化スズ複合ゾル(I)58
60gに上記スズ酸ナトリウム水溶液(SnO215.0%)413g
を混合することにより酸化タングステン−酸化スズ複合
ゾル(II)(比重1.044、pH7.26)6273gを得た。次いで
これを水素型陽イオン交換樹脂充填のカラムに通すこと
により酸性の酸化タングステン−酸化スズ複合ゾル(I
I)(比重1.032、pH2.07、WO32.22重量%、SnO21.55重
量%、WO3/SnO2重量比1.44)7556gを得た。
この酸性の酸化タングステン−酸化スズ複合ゾル(I
I)7556gに上記スズ酸ナトリウム水溶液(SnO215.0%)
445gを混合することにより酸化タングステン−酸化スズ
複合ゾル(III)(比重1.040、pH7.56)8001gを得た。
次いでこの複合ゾルに水22000gを加えた後、水素型陽イ
オン交換樹脂充填のカラムに通すことにより酸性の酸化
タングステン−酸化スズ複合ゾル(III)(比重1.013、
pH2.61、粘度1.5cp、WO30.77重量%、SnO20.85重量%、
WO3/SnO2重量比0.92)を得た。
更にこの酸性の複合ゾル(III)21.7kgにイソプロピ
ルアミン8.0gを加えて酸化タングステン−酸化スズ複合
ゾル(IV)を得た。このゾルは比重1.013、pH4.0、粘度
1.3cp、WO30.77重量%、SnO20.85重量%、WO3/SnO21.62
重量% WO3/SnO2重量比0.92、イソプロピルアミン0.03
7重量%、(イソプロピルアミン)2O/(WO3+SnO2)モ
ル比0.035、電子顕微鏡によるコロイド粒子径は5mμ以
下であり、わずかにコロイド色を呈し、ほぼ透明なゾル
であった。
参考例8 この参考例では、SnO2水性ゾル(A)、Sb2O5水性ゾ
ル(B)及びZrO2水性ゾル(C)が作られた。
(1)SnO2ゾル(A)の調製 金属スズ粉末と塩酸水溶液と過酸化水素水溶液との反
応により得られた比重1.420、pH0.40、撹拌直後の粘度3
2cp、SnO2含量33.0重量%、HCl含量2.56重量%、電子顕
微鏡による紡錘状コロイド粒子径10ミリミクロン以下、
BET法による粒子の比表面積120m2/g、この比表面積から
の換算粒子径7.2ミリミクロン、米国コールター社製N4
装置による動的光散乱法粒子径107ミリミクロン、淡黄
色透明の酸化スズ水性ゾル200gを水1800gに分散させた
後、これにイソプロピルアミン0.8gを加え、次いで、こ
の液を水酸基型陰イオン交換樹脂充填のカラムに通すこ
とにより、アルカリ性の酸化スズ水性ゾル(A)2240g
を得た。このゾル(A)は、安定であり、コロイド色を
呈しているが、透明性が非常に高く、比重1.029、pH8.8
0、粘度1.4cp、SnO2含量2.95重量%、イソプロピルアミ
ン含量0.036重量%であった。
(2)Sb2O5ゾル(B)の調製 特開昭61−227918号に提案の方法により、アンチモン
酸ソーダを原料として用い、塩酸との反応により得られ
たゲルを燐酸で解膠することにより、比重1.142、pH1.7
5、粘度5.6cp、Sb2O5含量13.4重量%、Na2O含量0.0017
重量%、電子顕微鏡による粒子径5〜15ミリミクロンの
Sb2O5水性ゾル(B)を得た。
(3)ZrO2ゾル(C)の調製 オキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解することに
より、透明性の高い安定なZrO2水性ゾル(C)を得た。
このゾルは、比重1.177、pH3.85、粘度5.6cp、ZrO2含量
22.1重量%、電子顕微鏡による粒子径5ミリミクロンで
あった。
実施例1 変性SnO2水性ゾルがつくられた。
参考例1で得られたpH2.36の複合ゾル420gに水500gを
加えて希釈複合ゾルとし、これを上記SnO2水性ゾル
(A)2240g中に強撹拌下、加えることにより安定な低
濃度の変性SnO2水性ゾル3160gを得た。このゾルは、比
重1.030、pH4.65、粘度1.4cp、(WO3+SnO2)/SnO2重量
比0.45であり、コロイド色を呈しているが透明性が高
く、電子顕微鏡による粒子径約10ミリミクロン、比表面
積104m2/g、比表面積からの換算粒子径8.7ミリミクロ
ン、米国コールター社製N4装置による動的光散乱法粒子
径108ミリミクロンであった。
次いで、上記低濃度の変性SnO2水性ゾル3160gを、分
画分子量5万の限外濾過膜の限外濾過装置により濃縮
し、高濃度の変性SnO2水性ゾル517gを得た。このゾル
は、比重1.172、pH4.20、粘度2.8cp、全SnO213.67重量
%、WO33.6重量%、Na2O0.19重量%、イソプロピルアミ
ン0.14重量%であり、(WO3+SnO2)/SnO2重量比0.35で
あった。そしてこのゾルは、コロイド色を呈している
が、透明性が高く、室温で3ケ月以上安定であった。上
記限外濾過前後のWO3含量の値から、限外濾過によりゾ
ルから元のWO3の約20%が水と一緒に限外濾過膜を通過
したことが認められた。
この高濃度ゾルは、メタノールへの良好な分散性を示
し、通常の陰イオン帯電のシリカゾルと混合することに
より安定な混合ゾルが得られる。また、この高濃度ゾル
の乾燥被膜は、1.84の屈折率を示した。
実施例2 変性SnO2水性ゾルがつくられた。
参考例1で得られたpH2.36の複合ゾル(WO35.96重量
%、SnO21.17重量%、WO3+SnO27.13重量%)420gに水5
00gを加えて希釈複合ゾルとし、これを参考例8で作成
したアルカリ性酸化スズ水性ゾル(A)3390g中に強撹
拌下に加え、更にイソプロピルアミン0.6gを加えること
により安定な低濃度の変性SnO2水性ゾル4310gを得た。
このゾルは、比重1.028、pH6.97、粘度1.4cP、(WO3+S
nO2)/SnO2重量比0.30であり、コロイド色を呈している
が透明性が高かった。
次いでこの低濃度の変性SnO2水性ゾル4310gを、分画
分子量5万の限外濾過膜の限外濾過装置により濃縮し、
高濃度の変性SnO2水性ゾル410gを得た。このゾルは比重
1.325、pH6.35、粘度6.2cp、全SnO225.4重量%、WO35.2
重量%、(WO3+SnO2)/SnO2重量比0.25、イソプロピル
アミン0.39重量%であった。このゾルは、コロイド色を
呈しているが透明性が高く、室温で3ケ月以上安定であ
った。上記限外濾過前後のWO3の値から元のWO3の約15重
量%が水と一緒に限外濾過膜を通過したことが認められ
た。このゾルはメタノールへの分散性が良好で、通常の
陰イオン帯電のシリカゾルとも安定に混合することがで
きた。
実施例3 変性SnO2水性ゾルがつくられた。
参考例7で得られた酸化タングステン−酸化スズ複合
ゾル(IV)(WO3+SnO21.62重量%)2370gに参考例8で
作成したアルカリ性酸化スズゾル(A)(SnO22.95重量
%)8678gを強撹拌下に加えることにより安定な低濃度
の変性SnO2ゾル11048gを得た。このゾルは比重1.026、p
H7.50、粘度1.4cp、(WO3+SnO2)/SnO2重量比0.15であ
りコロイド色を呈しているが透明性が高かった。
次いでこの低濃度の変性SnO2ゾル11048gを、分画分子
量5万の限外濾過膜の濾過装置により濃縮し、高濃度の
変性SnO2水性ゾル940gを得た。このゾルは比重1.332、p
H7.10、粘度4.0cp、全SnO229.3重量%、WO31.85重量
%、(WO3+SnO2)/SnO2し重量比0.14、イソプロピルア
ミン0.38重量%であった。このゾルは、コロイド色を呈
しているが、透明性が高く、室温で3ケ月以上安定であ
った。上記限外濾過前後のWO3の値から元のWO3の約5重
量%が水と一緒に限外濾過膜を通過したことが認められ
た。このゾルはメタノールへの分散性も良好で、通常の
陰イオン帯電のシリカゾルとも安定に混合することがで
きた。
実施例4 変性SnO2水性ゾルがつくられた。
参考例7で得られた酸化タングステン−酸化スズ複合
ゾル(IV)7410gに参考例8で作成したアルカリ性酸化
スズ水性ゾル(A)8136gを強撹拌下に加えることによ
り安定な低濃度の変性SnO2水性ゾル15546gを得た。この
ゾルは、比重1.0222、pH6.42、粘度1.4cp、(WO3+Sn
O2)/SnO2重量比0.50であり、コロイド色を呈している
が透明性が高かった。
次いでこの低濃度の変性SnO2ゾル15546gを、分画分子
量5万の限外濾過膜の限外濾過装置により濃縮し、高濃
度の変性SnO2水性ゾル1440gを得た。このゾルは比重1.2
56、pH6.21、粘度6.8cP、全SnO220.7重量%、WO33.63重
量%、(WO3+SnO2)/SnO2重量比0.46、イソプロピルア
ミン0.35重量%であった。このゾルは、コロイド色を呈
しているが、透明性が高く、室温で3ケ月以上安定であ
った。上記限外濾過前後のWO3の値から元のWO3の約10重
量%が水と一緒に限外濾過膜を通過したことが認められ
た。このゾルはメタノールへの分散性も良好で、通常の
陰イオン帯電のシリカゾルとも安定に混合することがで
きた。
実施例5 変性SnO2メタノールゾルがつくられた。
実施例1で得られた高濃度の変性SnO2水性ゾル510gに
イソプロピルアミン1.8gと酒石酸1.8gが加えられたゾル
を、ロータリーエバポレーター中減圧下、メタノール4
を少しづつ加えながら水を留去することにより、水性
ゾルの水をメタノールで置換した変性SnO2メタノールゾ
ル430gを得た。このゾルは、比重0.974、pH6.29(水と
の等重量混合物)、粘度3.0cp、全SnO216.23重量%、WO
34.27重量%、水分2.9重量%、イソプロピルアミン0.58
5重量%、酒石酸0.419重量%であった。このゾルは、極
微量の沈降物を含んでいたが、コロイド色を呈し、透明
性も高かった。そして室温3ケ月放置後も、当初の沈降
物量の増加がなく安定であった。
実施例6 変性SnO6メタノールゾルがつくられた。
実施例2の高濃度の変性SnO2水性ゾル410gに酒石酸2.
3g、ジイソブチルアミン7.4g、消泡剤(サンノプコ社製
SNディフォーマー483)1滴を加えた後、ロータリーエ
バポレーターにて減圧下、メタノール6を少しづつ加
えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタ
ノールで置換した変性SnO2メタノールゾル410gを得た。
このゾルは比重1.096、pH8.34(水との等重量混合
物)、粘度4.5cp、全SnO225.4重量%、WO35.2重量%、W
O3+SnO230.6重量%、水分2.3重量%、イソプロピルア
ミン0.35重量%、ジイソブチルアミン1.62重量%、酒石
酸0.56重量%であった。尚、アミンはメタノール置換時
その約10重量%が揮散により失われた。
このゾルは、コロイド色を呈し、透明性が高かく、室
温で3ケ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異
常は認められず安定であった。
このゾルの乾燥物の屈折率は1.84であった。
実施例7 変性SnO2メタノールゾルがつくられた。
実施例3の高濃度の変性SnO2水性ゾル940gに酒石散5.
6g、ジイソブチルアミン8.5g、消泡剤(サンノプコ社製
SNディフォーマー483)1滴を加えた後、ロータリーエ
バポレーターにて減圧下、メタノール12を少しづつ加
えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタ
ノールで置換した変性SnO2メタノールゾル950gを得た。
このゾルは比重1.120、pH7.10(水との等重量混合
物)、粘度7.5cp、全SnO229.0重量%、WO31.83重量%、
WO3+SnO230.8重量%、水分3.0重量%、イソプロピルア
ミン0.34重量%、ジイソブチルアミン0.82重量%、酒石
散0.59重量%であった。尚、アミンはメタノール置換時
その約10重量%が揮散により失われた。このゾルはコロ
イド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後も沈
降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定で
あった。このゾルの乾燥物の屈折率は1.83であった。
実施例8 変性SnO2メタノールゾルがつくられた。
実施例4の高濃度の変性SnO2水性ゾル1440gに酒石散
7.0g、ジイソブチルアミン12.0g、消泡剤(サンノプコ
社製SNディフォーマー483)2滴を加えた後、ロータリ
ーエバポレーターにて減圧下、メタノール21を少しづ
つ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの水を
メタノールで置換した変性SnO2メタノールゾル1160gを
得た。このゾルは比重1.118、pH6.82(水との等重量混
合物)、粘度8.5cp、全SnO225.7重量%、WO34.5重量
%、WO3+SnO230.2重量%、水分2.5重量%、イソプロピ
ルアミン0.37重量%、ジイソブチルアミン0.93重量%、
酒石散0.60重量%であった。尚、アミンはメタノール置
換時その約10重量%が揮散により失われた。このゾルは
コロイド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後
も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安
定であった。このゾルの乾燥物の屈折率は1.84であっ
た。
実施例9 変性Sb2O5水性ゾルがつくられた。
参考例8のSb2O5水性ゾル(B)1036gに、参考例1で
得られたpH2.36の複合ゾル590gを強撹拌下に加え、更に
n−プロピルアミン7.0gを加えることにより安定な低濃
度の変性Sb2O5水性ゾル1626gを得た。
次いで、この低濃度ゾルを分画分子量5万の限外濾過
膜で濃縮することにより高濃度の変性Sb2O5水性ゾル890
gを得た。このゾルは、比重1.214、pH2.81、粘度2.2c
p、Sb2O515.7重量%、WO33.52重量%、SnO20.84重量
%、Na2O0.18重量%、n−プロピルアミン0.72重量%、
(WO3+SnO2)/Sb2O5重量比0.28であった。このゾル
は、コロイド色を呈しているが、透明性が高く、室温3
ケ月以上安定であった。そして、このゾルはメタノール
への良好な分散性を示し、乾燥被膜の屈折率1.74を示し
た。
実施例10 変性Sb2O5メタノールゾルがつくられた。
実施例9で得られた高濃度の変性Sb2O5水性ゾル250g
に、ロータリーエバポレーター中、減圧下2.5のメタ
ノールを加えながら水を留去することにより、水性ゾル
の水をメタノールで置換した変性Sb2O5メタノールゾル3
35gを得た。このゾルは、比重0.946、pH3.69(水との等
重量混合物)、粘度12.8cp、Sb2O511.8重量%、WO32.7
重量%、SnO20.62重量%、水分6.1重量%、n−プロピ
ルアミン0.52重量%であった。このゾルは、コロイド色
を呈していたが、透明であり、室温3ケ月以上安定であ
った。
実施例11 変性ZrO2水性ゾルがつくられた。
参考例8のZrO2水性ゾル(C)200gに水1300gを加え
て希釈ZrO2水性ゾルをつくった。別途、参考例1で得ら
れたpH2.36の複合ゾル230gに水200gを加えて希釈複合ゾ
ルとした。
次いで、上記希釈ZrO2水性ゾル1500gに、上記希釈複
合ゾル430gを強撹拌下に加え、更にイソプロピルアミン
3.0gを加えることにより安定な低濃度の変性ZrO2水性ゾ
ル1930gを得た。
更に、この低濃度の変性ZrO2ゾルを、ロータリーエバ
ポレーター中減圧下濃縮することにより、高濃度の変性
ZrO2水性ゾル315gを得た。このゾルは、比重1.184、pH
7.05、粘度2.4cp、ZrO214.0重量%、WO34.35重量%、Sn
O20.85重量%、イソプロピルアミン0.95重量%、(WO3
+SnO2)/ZrO2重量比0.37であった。このゾルはコロイ
ド色を呈し、やゝ透明性が低いが、室温3ケ月以上安定
であった。そして、このゾルはメタノールへの良好な分
散性を示し、通常の陰イオン帯電のシリカゾルとも安定
に混合できた。このゾルの乾燥被膜の屈折率は1.95であ
った。
試験例1 この試験例では、上記実施例1〜11で得られた本発明
の変性金属酸化物ゾルを用いてハードコート剤をつく
り、ハードコート被膜の性能をテストした。
バインダーとしては、メチルトリメトキシシラン150
重量部にイソプロパノール400重量部を加え、撹拌下0.1
N塩酸12重量部と、水50重量部を滴下した後、更に10時
間撹拌し、次いで室温に16時間放置した後、イソプロピ
ルアミン0.6gを加えてpHをほぼ中性に調整することによ
り得られたメチルトリメトキシシランの加水分解液が用
いられた。
11種類のハードコート剤は、上記バインダー612gに、
上記実施例1〜11で得られた高濃度の変性金属酸化物水
性ゾル及び同メタノールゾルのいずれか300gと、市販の
シリコーン系界面活性剤0.2gと、市販の紫外線吸収剤0.
1gとを加え、4時間撹拌することによりつくられた。
基材としては、アルカリ処理後よく洗浄したジエチレ
ングリコールビスアルカリカーボネート重合体のレンズ
(商品名、CR−39)が用意された。
次いで、このレンズを上記ハードコート剤中に浸漬し
た後とり出し、室温に放置した後、120℃で2時間硬化
させることにより、上記レンズ上にハードコート被膜を
形成させた。この被膜はレンズに強く密着しており、屈
折率、密着性及び透明性も高かった。
下記比較例1〜2には、安定性に乏しい酸化タングス
テン−酸化スズ複合ゾルの例が、そして比較例3には安
定性に乏しい変性ZrO2水性ゾルの例が、更に比較例4に
は、参考例8の変性されていないZrO2水性ゾル(C)を
用いてハードコート被膜を形成させた例が示されてい
る。
比較例1 WO3含量7.16重量%のタングステン酸ナトリウムの水
溶液を、水素型陽イオン交換樹脂充填のカラムに通すこ
とによりタングステン酸の水溶液1420gを得た。この水
溶液は、比重1.068、pH1.60、粘度2.0cp、WO3含量6.8重
量%、Na2O含量0.04重量%であった。
別途調製されたSnO2含量15.0重量%、Na2O含量6.2重
量%のスズ酸ナトリウムの水溶液5gを、上記タングステ
ン酸の水溶液1420g中に強撹拌下加えることにより水性
ゾルを得たが、このゾルは約1時間後にゲル化した。製
造直後のこのゾルは、比重1.068、pH1.62、WO3含量6.78
重量%、SnO2含量0.053重量%、Na2O含量0.062重量%で
あり、WO3/SnO2重量比は128、Na2O/WO3+SnO2モル比は
0.034と算出される。
比較例2 参考例2で得られた比重1.062、pH1.53の水性ゾル210
0gと、SnO2含量15.0重量%、Na2O含量6.2重量%のスズ
酸ナトリウムの水溶液300gとを強撹拌下に混合すること
により水性ゾルを得た。このゾルは、わずかにコロイド
色を呈し、ほぼ無色透明であり、比重1.079、pH8.02、
粘度1.5cp、WO3含量4.98重量%、SnO2含量2.85重量%、
Na2O含量0.81重量%であった。
次いで、このゾルをロータリーエバポレーター中、減
圧下に濃縮したところ、濃縮の進行と共に白濁を呈し
た。
別途、上記ゾルに撹拌下、水素型陽イオン交換樹脂を
加えることによりpHを低下させたところ、pHが約5に至
ったときゾルは増粘を起し、安定なゾルは得られなかっ
た。
上記WO3、SnO2、Na2Oの各含量によれば、このゾルはW
O3/SnO2重量比1.75、Na2O/WO3+SnO2モル比0.32であ
る。
比較例3 参考例8で得られたZrO2水性ゾル(C)200gに水1300
gを加えて希釈ゾルとし、これに強撹拌下、参考例1で
得られたpH2.36の複合ゾル10gを加えたところ、混合物
は白濁すると共に増粘を起し、安定なゾルが得られなか
った。また、この混合物を通常の陰イオン帯電のシリカ
ゾルに加えたところ、著しいゲル化を起した。この混合
物では(WO3+SnO2)/ZrO2重量比が0.016であり、加え
られた複合ゾル量は不足していることを示している。
比較例4 試験例1のハードコート被膜の性能テストにおいて、
変性金属酸化物ゾルの代りに、参考例8によるZrO2水性
ゾル(C)を用いた他は同様にして、ハードコート被膜
を形成させたが、被膜は、屈折率は高いが、くもりを示
し、また、透明性、密着性、耐候性のいずれも不充分で
あった。
(発明の効果) 本発明によって得られる酸化タングステン−酸化スズ
複合体のコロイド粒子のゾルは、無色透明であって、そ
の乾燥塗膜は約1.8〜1.9の高い屈折率を示し、また、結
合強度、硬度のいずれも高く、耐水性及び付着性も大で
ある。更に、帯電防止性、耐熱性、耐摩耗性等も良好で
ある。この酸化タングステン−酸化スズ複合体のコロイ
ド粒子によって表面変性された3〜5価金属酸化物のコ
ロイド粒子のゾルも無色透明であって、その乾燥塗膜は
約1.7〜2.2の屈折率を示し、やはり、上記酸化タングス
テン−酸化スズ複合体のコロイド粒子のゾルと同様の優
れた性能を示す。
これらのゾルは、pHほぼ1〜9において安定であり、
工業製品として供給されるに充分な安定性も与えること
ができる。
これらのゾルは、そのコロイド粒子が負に帯電してい
るから、他の負帯電のコロイド粒子からなるゾルとの混
和性が良好であり、例えば、シリカゾル、五酸化アンチ
モンゾル、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤、ポ
リビニルアルコール等の水溶液、アニオン性又はノニオ
ン性の樹脂エマルジョン、水ガラス、りん酸アルミニウ
ム等の水溶液の如き分散体と安定に混合し得る。
このような性質を有する本発明のゾルは、プラスチッ
クレンズ上にハードコート膜を形成させるための屈折
率、染色性、耐薬品性、耐水性、耐候性、耐摩耗性等の
向上成分として特に有用であるが、その他種々の用途に
用いることができる。
これらのゾルを有機質の繊維、繊維接品、紙等の表面
に適用することによって、これら材料の難燃性、表面滑
り防止性、帯電防止性、染色性等を向上させることがで
きる。また、これらのゾルは、セラミックファイバー、
ガラスファイバー、セラミックス等の結合剤として用い
ることができる。更に、各種塗料、各種接着剤等に混入
して用いることによって、それらの硬化塗膜の耐水性、
耐薬品性、耐候性、耐摩耗性、難燃性等を向上させるこ
とができる。その他、これらのゾルは、一般に、金属材
料、セラミックス材料、ガラス材料、プラスチック材料
等の表面処理剤として用いることができる。更に、触媒
成分としても有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−151038(JP,A) 特開 平3−172369(JP,A) 特開 平4−4273(JP,A) 特公 昭50−21213(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 1/02 B01J 13/00 C03C 17/23 C09D 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4〜50ミリミクロンの粒子径を有する原子
    価3、4又は5の金属酸化物のコロイド粒子を核として
    その表面が、WO3/SnO2重量比0.5〜100であって粒子径2
    〜7ミリミクロンである酸化タングステン−酸化スズ複
    合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成され
    た粒子径4.5〜60ミリミクロンの変性金属酸化物コロイ
    ド粒子を含む変性金属酸化物ゾルであって、上記変性金
    属酸化物コロイド粒子は原子価3、4又は5の金属酸化
    物100重量部に対し酸化タングステン−酸化スズ複合体
    2〜100重量部の比率からなり、上記変性金属酸化物コ
    ロイド粒子はその全金属酸化物として上記ゾル中に2〜
    50重量%含まれる、上記変性金属酸化物ゾル。
  2. 【請求項2】4〜50ミリミクロンの粒子径を有する原子
    価3、4又は5の金属酸化物ゾルを、該ゾルに含まれる
    金属酸化物として100重量部と、2〜7ミリミクロンの
    粒子径と0.5〜100のWO3/SnO2重量比を有する酸化タング
    ステン−酸化スズ複合体ゾルを、該ゾルに含まれる複合
    体として2〜100重量部の比率に混合することを特徴と
    する、請求項1記載の変性金属酸化物ゾルの製造方法。
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