JP3515034B2 - 酸化チタンゾル及びその製造方法 - Google Patents

酸化チタンゾル及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化チタン濃度
(以下TiO2という)が5重量%のときの電気伝導度が5mS/
cm以下であることを特徴とするアナターゼ型結晶性酸化
チタンゾル及びその製造方法に関する。この様な特徴を
有するゾルは使用条件すなわち、添加する成分との相性
に応じてpHを制御できる上、基本的にpHの変動や溶媒の
添加に対して安定であるため、他の化合物との複合化が
容易であり、紫外線吸収、光触媒等の機能性向上に有益
である。
【0002】
【従来の技術】これまで酸化チタンゾルは、イルメナイ
ト鉱石に硫酸あるいは塩酸を反応させて得られる硫酸チ
タンあるいは塩化チタン水溶液の加水分解あるいは中和
によって生じる水酸化チタンを中和、洗浄した後に塩
酸、硝酸などの鉱酸で解膠する方法によって製造されて
いる。このような酸化チタンゾルは一般にpH1〜3、酸化
チタン10〜40重量%のゾルである。ところがこれらのゾ
ルはpHが低く、他の化合物(以下「添加成分」という)と
混合して用いる場合には添加成分との相溶性に問題があ
り、該ゾルと添加成分を混合すると添加成分あるいは酸
化チタンあるいはこの両者が沈殿したりして不均一なゾ
ルしか得られず、従ってこれらゾルと相溶性の良い添加
成分しか用いることができないという問題点があった。
また鉱酸酸性のゾルはpHが低いため使用に際して安全上
の十分な注意が必要であるばかりでなく、使用機器の腐
食などについても配慮する必要があり、工業的な用途に
は必ずしも適していなかった。このような問題点を解決
するために、実質的に鉱酸を含まず広いpH範囲で安定な
酸化チタンゾルが望まれていた。鉱酸を含まないゾルと
して、特許第2608758号公報には、チタン酸と有機酸の
反応物から得られた非晶質のチタン酸を含む酸化チタン
薄膜形成材料が開示されているがこの酸化チタン薄膜形
成材料は、ゾルの外観を示す溶液であり、本発明のアナ
ターゼ型結晶性酸化チタンゾルとは基本的に異なる。詳
細に説明すると、非晶質の酸化チタンは、熱処理しなけ
れば結晶質酸化チタンにならないため、紙、プラスチッ
クなどの耐熱性の低い基材に塗布した場合、熱処理して
結晶化させることができず、本来の結晶性酸化チタンの
性能を発揮できない。さらにこの酸化チタン薄膜形成材
料は本発明のアナターゼ型結晶性酸化チタンゾルのよう
にpHを制御することができず、pHを中性以上にすると、
ゲル化したり沈殿を生じたりすることに加えて、ゾルの
外観を呈する条件で、濃度10重量%(TiO2)以上のものを
得ようとすると、粘度が高くなり取り扱いが甚だ困難と
なる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはこれらの
実状に鑑み、安全性、透明性および分散性に優れたアナ
ターゼ型結晶性酸化チタンゾルを得るため、鋭意研究を
重ねた結果、ヒドロキシカルボン酸を含み、特定の物性
を有するアナターゼ型結晶性酸化チタンゾルが極めて安
定であることを見いだし、本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決する為の手段】即ち、第1の発明はヒドロ
キシカルボン酸から選ばれた一種以上の酸で分散安定化
されたアナターゼ型結晶性酸化チタンゾルであって、酸
化チタン濃度(TiO2)が5重量%のときの電気伝導度が5mS
/cm以下であることを特徴とするアナターゼ型結晶性酸
化チタンゾルに関する。
【0005】第2の発明は、ヒドロキシカルボン酸が、
乳酸、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、マ
ンデル酸から選ばれた1種またはそれ以上のものである
結晶性酸化チタンゾルに関する。
【0006】第3の発明は、ゾル粒子がアナターゼ型結
晶であり結晶子径が5〜30nmである結晶性酸化チタンゾ
ルに関する。
【0007】第4の発明は、水溶性チタン化合物とアン
モニア化合物を反応させゲルを生成させた後、これを水
熱処理し、これにヒドロキシカルボン酸を添加してさら
に水熱処理を行うことを特徴とするアナターゼ型結晶性
酸化チタンゾルの製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のアナターゼ型結晶性酸化
チタンゾルはアナターゼ型の酸化チタン微粒子を分散さ
せた水分散型ゾルであり、含有するアナターゼ結晶子の
大きさは、乾燥粉の粉末X線回折によるシェラー法の測
定値で5nm〜30nmである。また、本発明のアナターゼ型
結晶性酸化チタンゾルはヒドロキシカルボン酸によって
分散安定化されているため基本的にはpH1〜5を示し酸性
であるが、アルカリ剤を添加して中和することによりpH
12までの範囲で任意のpHに調節することができ、調整さ
れたpHで長期にわたり、安定な分散状態を示す。また、
これらのゾルは低級アルコール類やセルソルブなどの水
溶性エーテル類とも容易に混合することができ、各種の
無機成分、有機成分と混合して使用することができる。
この特徴は、従来の酸化チタンゾルでは安定性不足のた
め実現できなかった。本発明のアナターゼ型結晶性酸化
チタンゾルはこの特徴を生かし第二、第三の成分の添加
を可能にする。即ち、珪素、ジルコニウム、アルミニウ
ム、セリウム、錫、白金、鉄、銅イオン等を含む溶液、
これらの酸化物を含む溶液あるいはこれらのゾル、更に
また樹脂エマルションなどの有機材料を本発明のゾルに
均一に混合することによって各種の機能性材料を作成す
ることができる。
【0009】本発明のゾルに含まれる酸化チタン粒子は
結晶質の一次粒子からなり、動的散乱法による平均粒子
径は数nmから150nm程度であるため無定型酸化チタンの
ゾルに比較して高濃度のゾルを得ることができ、高濃度
においても比較的低粘度である。実用的には5〜35重量%
に調製して使用することができる。高濃度でも低粘度で
あるという特性は、たとえば機能性膜の作成において一
回のコーティングで所望の膜厚を得ることができるとい
う長所となる。
【0010】次に、本発明の結晶性酸化チタンゾルの製
造方法について詳細に説明する。本発明に用いられる水
溶性酸化チタン化合物としては四塩化チタン、硝酸チタ
ン、硫酸チタンなどが開示できる。これらの化合物は、
加熱加水分解した後中和し、洗浄するか、あるいは直接
アルカリで中和分解した後、洗浄して含水酸化チタンゲ
ルを得る。中和に用いられるアルカリとしては重炭酸ア
ンモニウム、炭酸アンモニウム、アンモニア水などが適
しているが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの
アルカリ金属の水酸化物を用いても、後に洗浄してカチ
オンを十分に除去することによって、同様の効果とな
る。これらの含水酸化チタンゲルの製造条件に関しては
反応温度は10℃〜95℃である。水溶性チタン化合物の濃
度については特に限定されないが、高い濃度ではのり状
のゲルとなりハンドリング性が悪いため、通常はTiO2
して15重量%以下で行うことが好ましい。また、中和方
法、添加順序に関しては何ら限定されず、水溶性チタン
化合物に中和剤、すなわちアルカリを添加しても、アル
カリに水溶性酸化チタンを添加しても、あるいは両者を
同時に容器内に添加してもかまわない。中和に用いられ
るアルカリ剤の量は水溶性チタン化合物に含まれる酸量
に対する当量比が1.0〜1.5の範囲が経済的に好ましい。
仮に、上記の範囲を逸脱して中和してしまった場合で
も、後段の洗浄時に希薄な酸やアルカリでpHを調整して
さらに洗浄することによって、含水酸化チタンゲルを調
製することができる。このようにして得られたゲルは濾
過洗浄することによって中和により生じた不純物を除去
する。残存する不純物のうち、アルカリ金属、塩素イオ
ン、硝酸イオン、硫酸イオンなどは、本発明の結晶性酸
化チタンゾルの特性に負の影響即ち、安定性阻害要因と
なるので極力少ない方が好ましい。濾過洗浄方法に関し
ては特に限定されず、フィルタープレス、限外濾過など
の膜濾過や遠心分離法などの固液分離法が適用できる。
【0011】濾過洗浄されたゲルは次いで水熱処理に供
される。水熱処理の温度は100℃以上で行うが、処理温
度が高くなるほど、また処理時間が長くなるほど結晶子
径、粒子径共に大きくなる。経済的な理由および得られ
るゾルの安定性を考慮すると通常水熱処理温度は100℃
〜200℃が好ましい。しかしながら、100℃を下回る温度
では結晶が発達せず本発明の安定なアナターゼ型結晶性
酸化チタンゾルを得ることができない。水熱処理に共さ
れる酸化チタン(TiO2)濃度は一般に10重量%以下であ
り、好ましくは3〜8重量%である。
【0012】一回目の水熱処理によって得られた酸化チ
タンゾルのpHは基本的に含水酸化チタンゲルのpH6〜11
に準ずるが、ゲルの結晶化に伴いゲル中に残存していた
酸イオン、アルカリイオンが溶出して変動する場合があ
るので多少変動する。得られたゾルは外見上は安定な分
散状態を示すが、pHの変動に対して弱く、酸やアルカリ
の添加によってすぐにゲル化したり沈殿を生じたりす
る。また、アルコールなどの溶媒を大量に添加すると増
粘し、やがてゲル化する。そこで次に、本発明の特徴で
あるヒドロキシカルボン酸を加えて、二回目の水熱処理
を行うことにより、pH変動に対して安定なアナターゼ型
結晶性酸化チタンゾルを得る。この処理によりヒドロキ
シカルボン酸が酸化チタン表面に強固に吸着し、後のpH
調整、変動に影響されにくい安定な表面を形成する。ヒ
ドロキシカルボン酸の種類は特に限定されるものではな
く、分子内に一つ以上のカルボキシル基と一つ以上の水
酸基を同時に有する化合物であれば良いが、乳酸、クエ
ン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸か
ら選ばれた一種以上の酸を用いると、特に分散性がよ
く、pH変動に対し抵抗力の高いゾルが得られる。これは
上記ヒドロキシカルボン酸が酸化チタン表面に対してよ
り強く配位吸着することによるためと考えられる。
【0013】分散安定剤であるヒドロキシカルボン酸の
量はTiO21モルに対して0.05〜1.0モルの範囲が好ましい。特
に好ましくは0.1〜0.8モルである。この範囲より低いとゾ
ルの安定性は悪くなり、この範囲より高いと酸化チタン
表面に吸着しない余分なヒドロキシカルボン酸、即ち安
定化に関与しないヒドロキシカルボン酸が多くなり経済
的でない。
【0014】ヒドロキシカルボン酸の添加方法は特に限
定されることなく、一回目の水熱処理後のゾルに直接あ
るいは水溶液として投入することができる。ゾルとヒド
ロキシカルボン酸の混合物は次に二回目の水熱処理に供
する。この二回目の水熱処理の主目的は、添加したヒド
ロキシカルボン酸を酸化チタン微粒子表面に強固に配位
吸着させることであり、酸化チタンの結晶子径や粒子径
を制御するためではないから、一回目の水熱処理条件と
一致させる必要はない。ヒドロキシカルボン酸の配位吸
着は低温ではゆっくり、高温で速く起こることから、熱
源等を考慮して、製造条件に応じ処理温度、処理時間を
選べば良い。実際の製造においては100℃〜150℃の温度
で数時間水熱処理することによってヒドロキシカルボン
酸を酸化チタン表面に配位吸着させることができる。二
回目の水熱処理後のゾル溶液中には、酸化チタン表面に
吸着しなかった遊離のヒドロキシカルボン酸や一回目の
水熱処理で溶出してきたイオン類が存在している。
【0015】これらの塩やイオンを必要に応じて洗浄除
去することにより、さらに安定なゾルを得ることができ
る。この洗浄操作を全く行わない場合は、得られるゾル
は不安定なものとなる。洗浄除去の方法は、酸化チタン
粒子が十分に大きい場合は遠心分離によっても行うこと
ができるが、通常はイオン交換膜や限外濾過膜などを用
いる。また、水を加えて希釈したり、加熱、減圧状態で
水分を蒸発させて濃縮して濃度を調整することもでき
る。濃度調整する際の濃度はTiO2として5〜35重量%が適
しており、5重量%以下であると濃度が低く経済的でな
い。35重量%以上になると粘度が高くなってハンドリン
グ性が悪くなる。
【0016】ゾルのpHはヒドロキシカルボン酸の添加に
よって低下し、ヒドロキシカルボン酸の添加量に応じて
pH1〜5の範囲となる。得られたゾルはすでに安定な分散
性を示し、本発明ゾルはこのまま単独で、あるいは目的
に応じた添加成分と混合して使用することができる。し
かしながら、用途より中性以上のpHが必要であるときは
これにアルカリ剤を添加することによってゾルの分散状
態を損なうことなくpHを調整することができる。
【0017】ゾルの中和、アルカリ化に用いることので
きるアルカリ剤はアンモニア水、アミン類である。アン
モニア水やアミン類の濃度や種類は特に限定されること
はなく、市販されているアンモニア水や各種のアミン類
を直接あるいは水溶液として使用できる。アミン類とし
ては、メチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミ
ン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒド
ロキシドなど一級から四級のアミン及びエタノールアミ
ン等のアルカノールアミンが例示できる。水酸化ナトリ
ウム等のアルカリ金属の水酸化物でpH調整するとゾルが
不安定になり、ゲル化したり、沈殿を生じるので避ける
べきである。
【0018】上記アルカリ剤の添加によって所望のpHに
調整したゾルは、必要に応じて再び塩やイオンを限外濾
過などの膜濾過で洗浄除去することにより、分散安定性
が増大する。特に、pH調整した後にアルコールなどの溶
媒を添加するときは塩やイオンの除去は重要である。pH
調整後に前述の方法により酸化チタン濃度を調整するこ
ともでき、再び酸やアルカリ剤を添加してさらにpHを調
整することもできる。いずれしても、本発明において極
めて肝要なことは、本発明ゾルの電気伝導度は、酸化チ
タン濃度(TiO2)が5重量%のとき5mS/cm以下であること
である。5mS/cm以上になると本発明ゾルは、pH12まで
の範囲で任意のpHに調節することが困難となる。また、
一時的にpHが調整できても調整されたpHで長期にわた
り、安定な分散状態を維持することは困難である。さら
にまた本発明ゾルは、5mS/cm以上の場合、低級アルコ
ール類やセルソルブなどの水溶性エーテル類との混合、
各種の無機成分、有機成分との混合においても長期安定
性を維持することができない。
【0019】本発明ゾルの電気伝導度の測定は酸化チタ
ン濃度(TiO2)を5重量%にして測定する。即ち、高濃度
ゾルの場合はイオン交換水で希釈し5重量%に調整して
測定する。さて、上記のようにして得られる本発明のア
ナターゼ型結晶性酸化チタンゾルは、実質的に腐食の原
因となる鉱酸を含まず、広いpH範囲のものが簡単に得ら
れるため、酸化チタンを含む機能性材料の設計に対して
甚だ有用である。
【0020】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、さらに説明を
行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、%はことわらない限りすべて重量%を示す。
【0021】(実施例1)攪拌下、四塩化チタン(和光純
薬工業株式会社製)をイオン交換水で2%希釈した溶液(T
iO2=2%)2000gを25℃に保持しながらアンモニア水(NH3=
2%)を添加し、含水酸化チタンゲルを生成させた。これ
を洗浄液中に塩素イオンが100ppm以下になるまで濾過洗
浄し、TiO2=7%、NH3=0.3%のゲルを得た。このゲル500g
をオートクレーブに入れ150℃で5時間水熱処理を行い、
ゾルを得た。次にこれにリンゴ酸(和光純薬工業株式会
社製)23.5g(リンゴ酸/TiO2(モル比)=0.4)を加えてよく
攪拌し、リンゴ酸を溶かした。このときpH10.3からpH2.
9に低下すると同時に、一時的に増粘、ゲル化し液が白
濁したが攪拌を続けることにより粘度は低下した。この
液を再び120℃で3時間水熱処理した。得られたゾルは30
00gの水を用いて濾過洗浄し、次いで加熱濃縮してTiO2=
25%、pH3.2のアナターゼ型結晶性酸化チタンゾルを得
た。ゾルを100℃で乾燥固化し粉末X線回折-シエラー法
(リガク社製 ガイガーフレックスRad-IA)によって結晶
子径を測定したところ15nmであった。また、動的散乱法
(パシフィックサイエンティフィック社製 ナイコンプ
モデル370)による平均粒子径は約100nmであり、TiO2が5
%までイオン交換水で希釈したときの電気伝導度(東亞
電波工業株式会社製CM-40S)は3.5mS/cmであった。この
ゾルは25℃で3ヶ月以上放置しても粘度変化、沈殿など
は認められなかった。
【0022】(実施例2)実施例1で得られた含水酸化チ
タンゲル500gをオートクレーブに入れ120℃で5時間水熱
処理を行い、ゾルを得た。次にこれに酒石酸(関東化学
社製)11.8g(酒石酸/TiO2=0.2)を加えてよく攪拌し、酒
石酸を溶かした。このときpH10.3からpH3.5に低下する
と同時に、一時的に増粘、ゲル化し液が白濁したが攪拌
を続けることにより粘度は低下した。この液を再び150
℃で1時間水熱処理した。得られたゾルは2000gのイオン
交換水を用いて限外濾過洗浄し、次いで加熱濃縮してTi
O2=15%、pH3.9のアナターゼ型結晶性酸化チタンゾルを
得た。ゾルを100℃で乾燥固化し粉末X線回折-シエラー
法によって結晶子径を測定したところサイズは10nmであ
り、TiO2が5%になるまでイオン交換水で希釈したとき
の電気伝導度は4.1mS/cmであった。また、動的散乱法
による平均粒子径は約25nmであった。このゾルにエタノ
ールアミン(和光純薬工業株式会社製)を添加してpHを調
整し、TiO2=15%、pH6.5の結晶性酸化チタンゾルを得
た。このゾルは25℃で3ヶ月以上放置しても粘度変化、
沈殿などは認められなかった。
【0023】(実施例3)実施例1で得たアナターゼ型結
晶性酸化チタンゾル1000gに10%テトラメチルアンモニ
ウムヒドロキシド(和光純薬工業株式会社)80gを添加し
てpH調整し、TiO2=15%、pH10.3のアナターゼ型結晶性酸
化チタンゾルを得た。このゾルは3ヶ月以上放置しても
粘度変化、沈殿などは認められなかった。
【0024】(実施例4)実施例1で得たアナターゼ型結
晶性酸化チタンゾルを加熱濃縮し、34.6%のゾルを得
た。濃度の増加と共に粘度が上昇し、チクソトロピー性
を示した。このゾルをエタノールで5%まで希釈したが、
ゲル化現象もなく、沈殿など生じることはなかった。
【0025】(実施例5)実施例1〜3で得られた本発明
ゾル及び市販の硝酸安定型酸化チタンゾル(pH1.5、TiO2
=30.5%)をTiO2=10%になるまでイオン交換水で希釈し
て得たゾルそれぞれ100gに旭電化工業株式会社製「シリ
カゾルAT-30」(pH9.7、SiO2=30%)を100g添加して相溶性
を調べた。その結果、実施例1〜3のゾルは混合後に沈
殿が生じたり、全体が固まったりすることはなかった
が、硝酸安定型酸化チタンゾルは明らかに濁りを生じ、
容器底に沈殿物が認められた。これらの結果を纏めて表
1に示す
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明はアナターゼ型結晶性酸化チタン
ゾルに関し、ヒドロキシカルボン酸を使用することによ
り有機溶媒等に対して優れた安定性を示すアナターゼ型
結晶性酸化チタンゾルを提供することを目的とする。殊
に本発明ゾルは長期保存安定性は勿論、広範囲のpH領
域に於いて安定であるから塗料等とも混合することがで
きるし、他の金属ゾルとも容易に混合することができ
る。更にまた、本発明ゾルは、プラスティク、金属、ガ
ラス、繊維、セラミックス、木材等にコーティングした
場合に於いても高強度で密着性の大きな被膜を得ること
ができる優れた効果を有する。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシカルボン酸から選ばれた一種
    以上の酸で分散安定化されたアナターゼ型結晶性酸化チ
    タンゾルであって、酸化チタン濃度(TiO2として)が5重
    量%のときの電気伝導度が5mS/cm以下であることを特
    徴とするアナターゼ型結晶性酸化チタンゾル。
  2. 【請求項2】 ヒドロキシカルボン酸が、乳酸、クエン
    酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸から
    選ばれた1種またはそれ以上のものである請求項1記載
    のアナターゼ型結晶性酸化チタンゾル。
  3. 【請求項3】 ゾル粒子の結晶子径が5〜30nmである請
    求項1記載のアナターゼ型結晶性酸化チタンゾル。
  4. 【請求項4】 水溶性チタン化合物とアンモニア化合物
    を反応させゲルを生成させた後、これを水熱処理し、こ
    れにヒドロキシカルボン酸を添加してさらに水熱処理を
    行うことを特徴とするアナターゼ型結晶性酸化チタンゾ
    ルの製造方法。
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