JP3233770B2 - 耐デント性ならびに耐面ひずみ性に優れた深絞り用bh鋼板の製造方法 - Google Patents
耐デント性ならびに耐面ひずみ性に優れた深絞り用bh鋼板の製造方法Info
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- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
ひずみ性に優れた深絞り用BH冷延鋼板および表面処理
鋼板の製造方法に関するものである。
C,Nを炭窒化物の形で固定したIF鋼板(Interstitia
l atom free steel sheet)は優れた深絞り性を有する冷
延鋼板として広く使用されている。しかし、この鋼板の
弱点は軟質のため、耐面ひずみ性には優れているが、耐
デント性が劣り、自動車用の外板等に適用すると成形後
外力を加えると形状が容易に崩れる欠点がある。一方、
耐デント性を向上させるには降伏点を高めることが有効
であることが知られているが、この場合形状凍結性が悪
くなり面ひずみが生じやすくなる。
鋼板の製造方法として最近表層をハイテン化した複層鋼
板による製造方法を開示した特開平4−143227号
公報がある。しかし、複層鋼板による製造方法は大幅な
コスト増となる。一方、表面近傍層だけをハイテン化す
る方法として、浸炭処理あるいは窒化処理がよく知られ
ており、特開平3−243757号公報に窒化処理によ
り表面近傍で強度の高い冷延鋼板ならびにその製造方法
が開示されている。しかし、その発明では表層をハイテ
ン化することにより耐デント性が向上する可能性は言及
しているものの、耐デント性に関する実施例の提示はな
く、適正なBH性を得る技術に関しては全く開示されて
おらず、示唆する結果も提示されていない。
幅なコスト高を伴う複層鋼板でだけで可能であった耐デ
ント性と耐面ひずみ性を同時に満足するBH冷延鋼板を
安価に製造する方法を提供するものである。
雰囲気ならびに焼鈍条件を変化させ、BH性を有し、耐
デント性と耐面ひずみ性を同時に満足する冷延鋼板の製
造方法を検討し、数々の新しい知見を得て、鋼の成分と
ガス浸炭窒化条件を最適化することにより連続焼鈍でこ
の種の鋼を製造できることを見いだした。
C:0.005%以下、N:0.01%以下、Mn:
1.5%以下、Si:1.0%以下、P:0.15%以
下、Al:0.005%以上、0.2%以下、S:0.
02%以下、C/12+N/14+S/32<0.9
(Ti/48+Nb/93)なる条件を満足し、かつT
iおよびNbのいずれか一方または双方を合計で0.0
2%以上含有し、必要に応じB:0.0002%以上、
0.005%以下を添加し、残部Feおよび不可避的不
純物からなる鋼を、冷延後、連続焼鈍炉内で再結晶焼鈍
をした後、平衡炭素濃度を0.005%以上、0.03
%以下に制御した浸炭・窒化雰囲気で600℃以上、8
50℃以下での滞在時間(秒)とNH3 の濃度(%)と
の積が50以上、1000以下の条件で浸炭・窒化処理
をすることを特徴とする耐デント性ならびに耐面ひずみ
性に優れた深絞り用BH鋼板の製造方法にある。
本発明の成分の限定理由は次の通りである。Tiおよび
Nbのいずれか一方または双方を0.9(Ti/48+
Nb/93)>C/12+N/14+S/32なる関係
を満足し、かつTiおよびNbのいずれか一方または双
方の添加量の和を0.02%以上と限定したのは、鋼中
のCおよびNを析出物の形で固定し、固溶のC,Nを冷
延時にほとんど存在させずにスムースな結晶回転を可能
にすることにより、その後の再結晶焼鈍で製品の深絞り
性を良好ならしめるに有利な方位である(111)〈1
12〉,(554)〈225〉等の集積度の高い集合組
織を有する鋼板を得ることができること、それに窒化時
に必要な強度の上昇が得られるためである。
1%以下、S:0.02%以下としたのはこれらの量を
超えて、C,N,Sを添加すると製品の加工性を損なう
のみならず、上記条件式を満足せしめるに必要なTiあ
るいはNbの量が多くなり、不必要に製造コストを高く
するためである。なお、他の成分として、強度向上のた
めに通常含まれる成分、すなわちSi,Mn,Pの上限
をそれぞれSi:1.0%以下、Mn:1.5%以下、
P:0.15%以下としたのは、これ以上の添加は加工
性を劣化するためである。
で、必要に応じ0.0002%以上を添加することは効
果的であるが、0.0050%超になると加工性の劣化
が著しくなるので、上限は0.0050%とする。Al
は溶鋼での確実な脱酸を可能にするために少なくとも
0.005%の添加が必要であるが、過度の添加は加工
性を劣化するので上限を0.2%とした。
る。本発明鋼の特性は加熱条件、熱延条件に大きく依存
しないので、特に限定する必要はない。すなわち、スラ
ブを再加熱した後熱延しても、直接鋳造後熱延しても差
しつかえない。また、熱延を省略した薄鋳片でも構わな
い。冷延条件も強いて限定する必要はないが、深絞り性
の好ましい集合組織を発達させるには70%以上の冷延
率が好ましい。再結晶焼鈍条件については、鋼板が再結
晶する前に浸炭窒化雰囲気にさらされると、再結晶が顕
著に抑制されるので、浸炭窒化雰囲気となる前に再結晶
する必要がある。また焼鈍後、溶融めっきあるいは電気
めっきをすることは本発明の趣旨を損ずるものではな
い。
化条件で、本発明鋼を600℃以上、850℃以下の窒
化雰囲気でNH3 の濃度(%)とこの温度域での滞在時
間(秒)の積が50以上、1000以下の条件で窒化処
理することにより、耐デント性と耐面ひずみ性を同時に
満足する冷延鋼板を製造することができる。NH3 の濃
度(%)とこの温度域での滞在時間(秒)の積が50以
下で耐デント性と耐面ひずみ性を同時に満足する冷延鋼
板を製造することができない理由は明確ではないが、必
ずしも窒化が十分に進行しないのではなく、耐デント性
を高める板厚方向の窒化分布が達成されないのが原因と
思われる。
の滞在時間(秒)の積が1000以上で耐デント性と耐
面ひずみ性を同時に満足する冷延鋼板を製造することが
できないのは、鋼板の降伏強度が高くなりすぎ、形状凍
結性が劣化し、面ひずみが生じるためと考えられる。一
方、焼鈍雰囲気での板表面の平衡炭素濃度を0.005
%以上、0.03%以下と限定したのは、0.005%
未満では鋼中へのCの侵入が不十分で、十分なBH性が
確保できないためで、また0.03%超になると炭窒化
物の生成が助長され、機械的性質が劣化するだけでな
く、固溶C量が増大しストレッチャーストレインの発生
の可能性が増すためである。
件で浸炭窒化処理をした。これらの条件と製品特性を表
2に示す。ここでの材料は、連続鋳造スラブを1200
℃に加熱し、約930℃で仕上圧延した4mm厚の熱延板
を80%冷延し、連続焼鈍の前半で800℃で30秒の
再結晶焼鈍をし、その後浸炭窒化処理をしたものであ
る。実験番号1から10までは同じ材料を用いてプロセ
ス条件の影響を明確にした。また、実験番号11から2
2までは鋼種の影響を明らかにした。
面ひずみが生じやすいという従来の知見に基づきYP<
250MPa ならば面ひずみが発生しないとした。また、
デント性の指標は図1に示す実験装置により鋼板に負荷
を与えた後、残った凹み量でもって表した。ストレッチ
ャーストレインの発生の有無は約2%の張出し加工をし
た時の表面を観察して評価した。BH量は材料を2%引
張った後170℃で20分加熱保持して再び引張試験を
して、その時のYPと2%引張り時の応力との差の値で
示す。
6,9,11,12,13,14,15,16,17,
22は面ひずみ指数、デント性指数共に良好で、加工性
にも優れ、40MPa 以上のBHも示す。一方、実験番号
1は窒化処理をしてないため、耐デント性が劣る。実験
番号7は窒化過剰のため耐面ひずみ性に支障をきたし
た。実験番号8ではストレッチャーストレインが発生し
た。これは雰囲気中の平衡炭素濃度が高かったため、鋼
中へのCの拡散が進み、焼鈍後に固溶Cが多く残ったた
めと思われる。実験番号11は逆に雰囲気中の平衡炭素
濃度が低すぎ、鋼中へのCの侵入が不十分でBH量が小
さかった。実験番号18はTi量が0.018%と低
く、耐デント性が十分得られなかった。これは窒化時に
十分な量のTiNが生成せず析出強化が小さかったため
と思われる。実験番号19と20は0.9(Ti/48
+Nb/93)>C/12+N/14+S/32の条件
を満足しなかったため、窒化時に析出物を形成する窒化
前の固溶のTi,Nbの量が少なく、窒化の効果が十分
に出ず、十分な耐デント性が得られなかった。また、実
験番号21ではTi,Nbが添加されていないため、窒
化の効果が十分に出ず、十分な耐デント性が得られなか
った。
うな大幅なコスト増なしには不可能であった耐面ひずみ
性と耐デント性を同時に満足する鋼板を、安価に製造で
き工業的に価値の高い発明である。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量比で C :0.005%以下、 N :0.01%以下、 Mn:1.5%以下、 Si:1.0%以下、 P :0.15%以下、 Al:0.005%以上、0.2%以下、 S :0.02%以下、 C/12+N/14+S/32<0.9(Ti/48+
Nb/93)なる条件を満足するTi,Nbのいずれか
一方または双方を合計0.02%以上、 残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を、冷延後、
連続焼鈍炉内で再結晶焼鈍をした後、平衡炭素濃度を
0.005%以上、0.03%以下に制御した浸炭・窒
化雰囲気で600℃以上、850℃以下の滞在時間
(秒)とNH3 の濃度(%)との積が50以上、100
0以下の条件で浸炭・窒化処理をすることを特徴とする
耐デント性ならびに耐面ひずみ性に優れた深絞り用BH
鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 重量比でB:0.0002%以上、0.
005%以下を含有することを特徴とする請求項1記載
の耐デント性ならびに耐面ひずみ性に優れた深絞り用B
H鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01747994A JP3233770B2 (ja) | 1994-02-14 | 1994-02-14 | 耐デント性ならびに耐面ひずみ性に優れた深絞り用bh鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01747994A JP3233770B2 (ja) | 1994-02-14 | 1994-02-14 | 耐デント性ならびに耐面ひずみ性に優れた深絞り用bh鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07224372A JPH07224372A (ja) | 1995-08-22 |
JP3233770B2 true JP3233770B2 (ja) | 2001-11-26 |
Family
ID=11945147
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01747994A Expired - Lifetime JP3233770B2 (ja) | 1994-02-14 | 1994-02-14 | 耐デント性ならびに耐面ひずみ性に優れた深絞り用bh鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3233770B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7384488B2 (en) * | 2003-09-18 | 2008-06-10 | Mahindra & Mahindra Ltd | Method for producing gears and/or shaft components with superior bending fatigue strength and pitting fatigue life from conventional alloy steels |
KR100851691B1 (ko) * | 2004-01-19 | 2008-08-11 | 신닛뽄세이테쯔 카부시키카이샤 | 용기용 강판 및 그 제조 방법 |
-
1994
- 1994-02-14 JP JP01747994A patent/JP3233770B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07224372A (ja) | 1995-08-22 |
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