JP3233461B2 - 発泡包装材 - Google Patents

発泡包装材

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JP3233461B2
JP3233461B2 JP21209192A JP21209192A JP3233461B2 JP 3233461 B2 JP3233461 B2 JP 3233461B2 JP 21209192 A JP21209192 A JP 21209192A JP 21209192 A JP21209192 A JP 21209192A JP 3233461 B2 JP3233461 B2 JP 3233461B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂を発泡させてなる
発泡包装材に関し、更に詳しくは新しい鮮度保持剤を担
持させた果実等の包装に有用な発泡包装材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来果実用発泡包装材の一つとして、発
泡プラスチック製筒型網状包装材が良く使用されてい
る。この発泡プラスチック製筒型網状包装材自体は、各
種の種々のものが知られているが、その代表的なものと
しては例えば特開平1−111684号に示されるよう
に、それぞれが筒状をなす内外2つのストランド群のス
トランド走行方向が互いに斜交しており、ストランド同
士が接触点で互いに接着している発泡プラスチックス製
筒型網状包装材を例示出来、更にこれに筒の長手軸に対
するストランドの傾斜角が異なる2つの帯状ゾーンを有
し、且つ傾斜角の大きな帯状ゾーンの少なくとも1部
に、内外ストランド境界面と一体になった帯状融着領域
が形成されたもの等を例示出来る。また、果実の底部を
受け入れる凹部を有するシート状の発泡包装材も例示す
ることが出来る。
【0003】これ以外にも数多くのものが知られてお
り、例えば特開昭52−49284号、特開昭53−7
4575号、特開昭54−46693号、特開昭55−
46939号、特開昭57−59728号、特開昭57
−59729号、特開平2−266922号、実開昭5
5−115978号、実開平3−93413号等を挙げ
ることが出来る。
【0004】これ等発泡包装材は、樹脂を発泡させて成
るため、優れた緩衝性を有し、果実用として極めて好適
なものであり、広く使用されている。しかしながら、従
来この発泡包装材はあくまで果実の保護のために使用さ
れて来たものであり、果実の鮮度保持という点について
は、全く考慮が払われていなかった。
【0005】一方、本発明者は、従来から果実用の鮮度
保持剤について研究を続けて来たが、この研究に於い
て、極めて優れた鮮度保持剤の開発に成功し、既に出願
(特願平4−84795号)した。
【0006】この新しい鮮度保持剤は、トバモライト
[Ca5x(Si6-xA1x182)・4H2O、0≦X
≦1、Mは一価の陽イオン]の層間イオンであるCa2+
またCa2+と一価の陽イオンを、銀イオンでイオン交換
して得られる[Ca5-Y/2AgY+ZX-Z(Si6-XAlX
182)・4H2O、0≦X≦1、0.001≦Y≦
2、0≦Z≦0.1、Mは上記に同じ]の組成で表され
る銀含有トバモライトから成るものである。
【0007】この新しい銀含有トバモライトを、従来の
発泡包装材と併用出来れば、従来の発泡包装材に更に優
れた鮮度保持作用を賦与出来るかもしれないとの全く新
しい着想に至った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、上記新しい着想を実際に実現する
ことであり、これを換言すれば、新しい鮮度保持剤を用
いて、発泡包装材に更に鮮度保持作用を賦与せしめるこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題は、樹脂発泡材
に上記組成を有する銀含有トバモライトを担持せしめる
ことにより解決される。
【0010】
【発明の構成並びに作用】本発明に於いて使用される鮮
度保持剤たる上記銀含有トバモライトは、それ自体新規
化合物であり、ましてやこの新しい化合物が果実の鮮度
保持作用を有すること自体も全く新しいことである。先
ずこの銀含有トバモライトについて説明する。
【0011】本発明に於いて使用される銀含有トバモラ
イトとしては、特願平4−84795号に記載のものが
全て使用出来る。
【0012】本発明の新規なトバモライトは、トバモラ
イトの層間に、銀イオンを担持させたものであり、耐熱
性、耐水性、機械的強度に優れ、しかもエチレン吸着能
および抗菌性を有する新規なトバモライトであり、更に
は従来全く試みられていなかったトバモライトの層間に
存在するCa2+イオンまたはこれと一価の陽イオン例え
ばNa+イオンを、銀イオンと陽イオン交換法により、
交換担持させたものである。
【0013】尚、以下一価の陽イオンを代表してNa+
イオンを例に取り説明する。
【0014】本発明者は、650℃の高温に耐え、しか
も断熱性が優れているため、従来は軽量保温材、不燃性
建材として広く利用されている繊維状層状化合物である
トバモライトに着目し、層間に存在するCa2+イオン又
はこれとNa+イオンを、銀イオンと陽イオン交換させ
得るのではないかという全く新しい着想に至り、この着
想の基づき、更に鋭意研究を続けた結果、初めてトバモ
ライトの層間に存在するCa2+イオン又はこれとNa+
イオンを、銀イオンと陽イオン交換させることに成功
し、しかもこの新しい物質がエチレン吸着能及び抗菌性
を有することを見出した。
【0015】純粋なトバモライトの組成式は、5CaO
・6SiO2・5H2O、示性式はCa5(Si6
182)・4H2Oで表され、斜方晶(a=11.3オン
グストローム、b=7.3オングストローム、c=2
2.6オングストローム)に属し、11オングストロー
ムトバモライトとも呼ばれている。
【0016】トバモライトは粘度鉱物であるカオリナイ
トによく似た層状構造をしており、その一つの層は、S
iO3鎖群が中心層であるCa−O層を両側から挟み込
んで[Ca4/(Si39H)22-層を形成している。
残りの1個のCa2+イオンと4分子のH2OはSiO3
のよじれによってできた空洞(層間)に充填されてお
り、このCa2+イオンが本発明に於いては、銀イオンと
陽イオン交換する。
【0017】トバモライトはオートクレーブ中で、Ca
Oと石英(またはケイソウ土)のCaO/SiO2
1.0の混合物を180℃で水熱反応させることにより
容易に得られる。
【0018】本発明に於いては、原料トバモライトとし
て、上記従来のトバモライトが使用出来る。
【0019】またトバモライトはSiとAlの置換反応
により、Siに対して最高16.7mol%(Al/Si
+Al)のAl及び一価の陽イオンを構造内に入れたト
バモライトを合成することが出来る。このトバモライト
を一般にAl置換トバモライトという。
【0020】本発明の原料トバモライトとしては、この
Al置換トバモライトも使用することが出来る。
【0021】このように本発明で使用するトバモライト
としては[Ca5X(Si6-XAlX182)・4H
2O、0≦X≦1、Mは一価の陽イオン]で表されるも
のが使用出来る。この際の一価の陽イオンとしては、H
+、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、NH4 +を例示す
ることが出来る。これら一価の陽イオンが数種類同時に
Al置換トバモライト中に存在していても何ら問題はな
い。
【0022】本発明の銀含有トバモライトは、各種濃度
の硝酸銀水溶液に、上記で示したトバモライトの乾燥微
粉末を常温で数時間浸漬させることにより得られる。こ
の際の粒度は通常0.5〜20μm程度である。
【0023】トバモライトと銀イオンとの反応を考える
場合、トバモライトの陽イオン交換容量は、1.0gの
トバモライトの層間に存在するCa2+イオンのモル数の
2倍と、Na+イオンのモル数の和で表すことが出来
る。即ち純粋なトバモライト(分子量=730.90)
1.0gの層間には1.37mmolのCa2+イオンが存在
するので、その銀イオン交換容量は2.74mmol/gで
あり、一方、後述の実施例で用いたAl置換トバモライ
ト(分子量=739.42)1.0gの層間には、1.
35mmolのCa2+イオンと、0.53mmolのNa+イオ
ンが存在するので、その陽イオン交換容量は3.23mm
ol/gである。しかしながら、このAl置換トバモライ
ト1.0gを高濃度の硝酸銀水溶液中で陽イオン交換反
応させても、陽イオン交換容量以下の2.80mmolの銀
イオンしか担持できず、またこの時、反応後の水溶液中
に遊離したCa2+イオンとNa+イオンの量は、このA
l置換トバモライト中の層間イオンとして存在するCa
2+イオンの100%と、Na+イオンの10%の量にほ
ぼ一致することが判明した。
【0024】このことより、Al置換トバモライトと銀
イオンの反応では、銀イオンが1価の陽イオンであるに
もかかわらず、K+イオンやCs+イオンといった他の1
価の陽イオンとの反応の場合とは異なり、層間に存在す
るNa+イオンは銀イオンに対して選択的に陽イオン交
換せず、Ca2+イオンと選択的に陽イオン交換すること
が判明した。
【0025】すなわち、このAl置換トバモライトの銀
イオンに対する最大イオン交換量は2.80mmol/gであ
り、たとえ高温、高圧および高濃度の条件下で銀置換反
応を行っても、トバモライトの結晶構造の破壊や副生物
の生成につながるのみで、この値以上の銀イオンをトバ
モライトに担持させることはできない。このことは純粋
なトバモライトについても同様であり、銀イオンは層間
に存在する全てのCa2+イオンと陽イオン交換すること
が可能であるが、その陽イオン交換容量である2.74m
mol/g以上の銀イオンをトバモライトに担持させること
はできない。
【0026】このことを逆に言えば、本発明の銀含有ト
バモライトは、常温での陽イオン交換法により、硝酸銀
水溶液の濃度を変えるだけで、その特徴的な層状構造を
破壊することなく、トバモライト中の銀イオン担持量を
自由に制御することができるということである。
【0027】本発明に於いて陽イオン交換する方法は何
等限定されないが、通常以下の条件が採用される。即ち
【0028】1)硝酸銀水溶液のように銀イオンが完全
に解離している水溶液を使用すること。この際完全に解
離していないと、反応性が低くなるだけでなく生成物中
に不純物が混入することになる。
【0029】2)反応溶液のpH値は通常3〜10であ
ること。この際3未満ではトバモライトが溶解してしま
い、また逆に10より高いと銀イオンが塩基性塩として
沈殿してしまう。
【0030】3)反応温度は通常0〜100℃であるこ
と。0℃未満では銀イオン水溶液とならずに凍ってしま
い、またたとえ銀イオンの濃度が高いなどの理由で水溶
液となっても、反応が非常に緩慢となり、陽イオン交換
に適さない。また逆に100℃より高くなると反応容器
が開放系の場合には、水分の激しい蒸発により銀イオン
濃度が一定にならず、密封系ではトバモライトの構造が
破壊される可能性がある。
【0031】その代表的な条件を示せば、トバモライト
の量(重量)が約2.5g前後、pHが5.0、液温25
℃、反応液の銀イオン濃度は1.0リットル中10.0mm
ol、反応時間は24時間のバッチ方式の如くである。尚
本発明に於いては、トバモライトの層間に存在するCa
2+または更にこれとNa+イオンを銀イオンでイオン交
換することを最大の要旨としているが、トバモライトの
結晶構造を変化させない範囲で、更にトバモライトの層
内に存在するCa2+イオンを銀イオンと交換しても良
い。
【0032】また本発明の新規物質たる銀含有トバモラ
イトは、後記参考例で述べるように、良好なエチレン吸
着能および抗菌性を示す。一度トバモライト中のCa2+
イオンと陽イオン交換した銀イオンは、蒸留水による繰
り返し洗浄でも水相にほとんど溶出せず、溶出した場合
でも銀担持量の多いものに限られ、そのオーダーもpp
b程度の許容範囲内である。
【0033】銀含有トバモライトの素材であるトバモラ
イトは、元来耐熱性、耐水性を有し、機械的強度も大で
あることから、銀含有トバモライトも同様の物理的性質
を有する。
【0034】また電子顕微鏡で観察した銀含有トバモラ
イトの結晶形態も、銀担持以前のトバモライトと同じ繊
維状を保っていることから、銀含有トバモライトはトバ
モライトが利用されている技術分野全てに応用が可能で
あるだけでなく、エチレン吸着能および抗菌性を有する
ことから、青果物の鮮度保持剤、また多くの食料品の変
敗防止剤としての新しい分野への利用も可能である。尚
銀イオンを全く担持していない、即ち従来公知のトバモ
ライトは期待するエチレン吸着能も抗菌性もほとんど示
さない。
【0035】さらに銀含有トバモライトの素材であるト
バモライトの主原料は、土壌中に多量に含まれるCa
O、石英(SiO2)であることから、銀含有トバモラ
イトが使用済みとなり、廃棄する場合でも土壌下で徐々
に分解され、土壌成分に還って行くので、地球に対し優
しく安全である。
【0036】一方、本発明に於いて使用される樹脂発泡
材としては、従来から知られているものが全て包含さ
れ、その製造方法としても従来知られている製造方法で
製造されたものが、全て含まれる。具体的には、特開平
1−111684号をはじめ、その他特開昭52−49
284号、特開昭53−74575号、特開昭54−4
6693号、特開昭55−46939号、特開昭57−
59728号、特開昭57−59729号、特開平2−
266922号、実開昭55−115978号、実開平
3−93413号等を挙げることが出来る。
【0037】また本発明の発泡包装材としては筒状ばか
りでなく、シート状のものも含まれる。
【0038】これ等はほんの一例であり、本発明はこれ
等に限定されるものではない。
【0039】本発明はこの樹脂発泡材に、上記銀含有ト
バモライトを担持させることをその最大の要旨としてい
るが、この担持手段自体は何等限定されず、上記銀含有
トバモライトが確実に上記発泡材に担持出来る手段であ
れば、どのような手段でも良い。例えば上記発泡材を製
造する際に、予め樹脂組成物に銀含有トバモライトを添
加して均一に混合しておく手段や、その他上記発泡材を
製造した後、銀含有トバモライトを接着剤と共に噴霧す
る方法、銀含有トバモライトを接着剤(通常は液状)に
均一に分散し、その中に発泡材を浸漬、通過させた後、
乾燥定着させる方法等の手段を代表例として例示出来
る。接着剤としては従来公知のものがいずれも使用出来
るが、特に比較的速乾性のものが良い。
【0040】以下に上記発泡材となる樹脂組成物に銀含
有トバモライトを予め練り込んでおく手段を例にとって
説明する。
【0041】上記発泡包装材を製造する工程に於いて、
原料となる樹脂を溶融、ならびに発泡剤を発泡させるた
めに、シリンダーフランジ、ダイ等の温度は、100〜
250℃にも達するが、銀含有トバモライトは650℃
の高温に耐え得るため、全く問題なく使用出来る。また
銀含有トバモライトの比重は、非常に低く(0.5〜
1.9)、また粒度も通常0.5〜20μm程度である
ので、樹脂内での分散性も良く、発泡後、上記樹脂組成
物の表面上に、析出しやすいという特徴をもち、樹脂自
体の表面積の増大と相俟ってガス吸着力の低下が少な
い。
【0042】通常、ガス吸着剤が、樹脂中に存在してい
る場合は、本来有するガス吸着能が極度に低下するが、
銀含有トバモライトの場合には、このような欠点も極め
て少なくなる。
【0043】実際にどの程度の銀含有トバモライトが樹
脂表面上に析出し、エチレン吸着能を有するのかを確認
するために、従来知られている製造方法に従って、銀含
有トバモライトが樹脂に対して1〜10重量%の範囲内
で担持した網状発泡包装材を作成した。
【0044】以下の実験例で、これら銀含有トバモライ
ト担持網状発泡包装材のエチレン吸着能を検討した結
果、銀含有トバモライト担持量が増加するに従い、エチ
レン吸着能が増加することが判明した。銀含有トバモラ
イトが、上記発泡包装材中に1重量%以上あれば、鮮度
保持効果が期待出来るが、担持量が10重量%を越える
と、樹脂そのものの緩衝性や柔軟性が損なわれるので、
最適な担持パーセントとして5〜10重量%が望ましい
ことが判明した。但し、この場合に使用する銀含有トバ
モライトは銀含有量が0.04mmol/g以上のものが望
ましい。
【0045】
【参考例1】以下の参考例で使用された、本発明の新規
物質の素材(原料)であるトバモライトは、試薬一級の
酸化カルシウムを1000℃で3時間仮焼することによ
って得られたCaO、非晶質シリカ(SiO2ゲル)、
試薬特級NaOH、Al(NO33・9H2Oを出発原
料とし、それぞれCa:Si:Na:Al=5:5.
5:0.5:0.5の反応モル比となるように蒸留水と
ともにオートクレーブに充填し、175℃で96時間反
応させて、製造した。
【0046】次に反応後のスラリーを、蒸留水で洗浄
し、上澄液がpH8以下になってから固形分を取り出し
た後、105℃で乾燥した。出発原料のCaOを1.0
kg使用した場合、得られたトバモライトは約2630
gであった。次にこの試料を200〜400メッシュに
なるように粉砕し、参考例で使用した(以後これを
0)とする)。
【0047】上記で製造したトバモライト(T0)のト
バモライト乾燥微粉末2.5g(この中に交換可能な層
間Ca2+イオンは約3.38mmol、Na+イオンは約
1.32mmol存在し、理論的には8.08mmolの銀イオ
ンとイオン交換することが可能である)を、10.0m
Mの硝酸銀水溶液1.0lに混合し、25℃の恒温水槽
内で撹拌しながら反応させた。このときの溶液は炭酸塩
および酸化物等の副生物生成を防止するために脱気し、
空気と接触する部分は窒素で置換したものを用いた。反
応後の混合液はブフナー漏斗にて吸引濾過し、固体と液
体を分離した。
【0048】所定時間毎の液体中の銀イオン、Ca2+
よびNa+イオンの濃度をそれぞれフォルハルト法、E
DTAキレート滴定法、および原子吸光法で分析した。
その結果を図1及び表1に示した。但し図1中の●記は
銀イオンを表す。
【0049】固体は蒸留水2.0lで洗浄後、常温で真
空乾燥させた後副生物の存否を粉末X線回折法により解
析した。結果を図2及び3に示した。但し図2はT
0の、図3はT1〜T5の結果を示す。但しT1〜T5は後
述の実施例3で合成される本発明の新規物質たる銀含有
トバモライトの略称である。
【0050】
【表1】
【0051】表2および図1より、水溶液中の銀イオン
の濃度は時間の経過と共に徐々に減少し、24時間で定
常状態となった。この時の水溶液中の銀イオン、Ca2+
イオンおよびNa+イオンの濃度は、それぞれ6.07
mM、2.09mM、0.03mMであり、減少した銀
イオン量(3.93mmol)に対して水溶液中に遊離した
Ca2+イオンおよびNa+イオン量は約50%(2.1
2mmol)であった。またこのうち遊離したCa2+イオン
は、層内に存在する全てのCa2+イオンの約62%であ
るのに対し、Na+イオンは約2.2%であった。
【0052】このことよりトバモライト中の層間イオン
と銀イオンとの反応は、反応モル比(Ag+/Ca2+
Na+)2:1の陽イオン交換反応であり、しかも水溶
液中の銀イオンは、Ca2+イオンと選択的に反応するの
に対し、Na+イオンとはあまり反応しないことが判明
した。
【0053】銀イオンと陽イオン交換後のトバモライト
試料の粉末X線回折図形は、反応前と全く変化はなく、
炭酸塩、酸化物等の副生物も検出されなかった。
【0054】これより本実施例により得られた物質は、
トバモライトの層間イオンとして銀イオンを有する新規
物質であることが判明した。
【0055】また図4にトバモライト(T0)の、図5
に新規物質(T1〜T5)のIR図形を示した。
【0056】
【参考例2】参考例1の結果を基に銀担持量の異なる新
規物質を製造した。すなわちTO25gを0.255m
M、0.509mM、1.018mM、10.0mMおよ
び31.9mMの濃度の硝酸銀溶液10.0lにそれぞれ
添加、混合し、常温で撹拌しながら陽イオン交換反応さ
せた。このときの溶液は炭酸塩および酸化物などの副生
物生成を防止するために脱気し、空気と接触する部分は
窒素で置換したものを用いた。24時間後にこれらを吸
引ろ過により固液分離し、固体部を蒸留水で洗浄してか
ら常温で真空乾燥し、新規物質を製造した。これらの組
成、分子量、銀含有量および比表面積を表2に示した。
ただし組成式ではNa+イオンと陽イオン交換している
銀イオンは微量なので無視して計算した。以下ではこれ
ら新規物質を銀担持量の少ないものからT1、T2
3、T4およびT5とする。
【0057】
【表2】
【0058】
【参考例3】表2に示した本発明の新規物質T1、T2
3、T4、T5および銀を担持していないトバモライト
(TO)の抗菌性を調べるために、これらの物質100
mgを1.0mlの蒸留水に分散し、直径30mmの紙
製のディスクに含浸させて乾燥させたものを被験ディス
クとした。このディスク1枚で数〜数十mgの新規物質
が担持できた。被験菌として大腸菌(Escherichia Col
i)および黄色ブドウ球菌(Staphylococus aureus)の
細菌類を用いた。培地はMuller Hinton培地を使用し
た。抗菌性の試験はディスク法に基づいて行われた。す
なわち培地を直径90mmのシャーレ内に用意し、被験
菌を108個/ml浮遊させた生理食塩水0.1mlを接
種した後、コンラージ棒で分散させ被験ディスクをその
上に貼り付けた。その後37℃で18時間保持して培養
し、阻止帯形成の有無を観察した。試験の結果を表3に
示した。
【0059】
【表3】
【0060】表3より新規物質T1、T2、T3、T4およ
びT5を含有する被験ディスクを貼り付けた培地では、
ディスクを貼り付けない培地およびTOを含有する被験
ディスクを貼り付けた培地より、菌の発育が明らかに阻
害されており、新規物質T1、T2、T3、T4およびT5
は良好な抗菌性を有することが判明した。
【0061】
【実験例1】
【0062】網状発泡包装材の基本樹脂10kgに対
し、100g、200g、500g、700g、1kg
の銀トバモライト(銀含有量0.30mmol/g)を発泡
剤と共に夫々添加し、従来の方法を用いて、銀含有トバ
モライト担持網状発泡包装材を作製した。これらを約
3.0gに細断し、今回のエチレン吸着試験に用いた。
【0063】これら細断物を銀含有トバモライトの少な
い順にH1、H2、H3、H4、H5と略記し、エチレン吸
着用の試材とした。即ち、H1には銀含有トバモライト
が0.03g、H2には0.06g、H3には0.15
g、H4には0.21g、H5には0.30gが担持され
ていることになる。
【0064】エチレンガス吸着実験は、これらエチレン
吸着用試材および実験に用いた銀含有トバモライト粉末
0.3gを不織布(内側ポリエチレン)製の袋に封入し
たもの(H6と略記する)を、ガスバリアー性の高い樹
脂容器に夫々入れ、内部の空気を203ppmの濃度
(N2ガス中)のエチレンガスで置換した後、直ちに時
間計測を始め、所定時間毎のエチレンガス濃度をガスク
ロマトグラフィーで測定することによって行われた。結
果を図6に示した。
【0065】但し、図6中の各記号は以下の通りであ
る。 ○:H1 ●:H2 □:H3 ■:H4 △:H5 ▲:H6
【0066】図6より明らかなように、同量の銀含有ト
バモライトを含有するH5とH6を比較すると、H5のエ
チレンガス吸着量は、H6の約70%である。即ち、添
加した銀含有トバモライトの約7割が網状発泡包装材の
表面に析出していることが判明した。また、H1〜H4
吸着量も、H6の吸着量をその含有量比で算出した理論
吸着量よりも若干小さいことから、同様のことが言え
る。そしてこれは本発明で用いるところの銀含有トバモ
ライト以外の吸着材では達し得なかったことである。ま
た、銀含有トバモライト含有量が最も少ないH1は、2
40分後で10ppmの吸着量であったが、本発明の発
泡包装材に適用される果物から排出するエチレンガスは
数ppmであるので、鮮度保持効果は充分と言える。
【0067】しかしながら、最適な範囲は50ppm以
上のガス吸着量を示すH3〜H5、即ち5〜10重量%の
担持量のものであり、この範囲の網状発泡包装材を使用
することは鮮度保持に極めて有効である。
【0068】
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】
【0070】図1は、TOと銀イオンの陽イオン交換特
性を示す。
【0071】
【図2】
【0072】図2はTOのX線回折図形を示す。
【0073】
【図3】
【0074】図3は、T1〜T5のX線回折図形を示す。
【0075】
【図4】
【0076】図4は、TOのIR図形を示す。
【0077】
【図5】
【0078】図5は、T1〜T5のIR図形を示す。
【0079】
【図6】
【0080】図6は、各種発泡包装材のエチレン吸着能
を測定した結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B65D 85/34 B65D 85/50 C 85/50 C01B 33/26 C01B 33/26 B29K 105:04 // B29K 105:04 B29L 28:00 B29L 28:00 B29C 67/22 A23B 7/144 7/00 101 (56)参考文献 特開 平1−164721(JP,A) 特開 昭60−147240(JP,A) 特開 平1−306473(JP,A) 特開 昭63−215584(JP,A) 特開 平4−142340(JP,A) 特開 平3−236301(JP,A) 実開 平2−3440(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65D 81/24 A23B 7/00 A23B 7/144 B29C 44/00 B65D 65/40 B65D 85/34 B65D 85/50 C01B 33/26 B29K 105:04 B29L 28:00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂発泡材に、銀含有トバモライトが担持
    された発泡包装材であって、上記銀含有トバモライト
    が、トバモライト[Ca5x(Si6-xA1x182
    ・4H2O、0≦X≦1、Mは一価の陽イオン]の層間
    イオンであるCa2+またはCa2+と一価の陽イオンを、
    銀イオンでイオン交換して得られる[Ca5-Y/2AgY+Z
    X-Z(Si6-XAlX182)・4H2O、0≦X≦
    1、0.001≦Y≦2、0≦Z≦0.1、Mは上記に
    同じ]の組成で表される銀含有トバモライトである発泡
    包装材。
  2. 【請求項2】上記発泡材が網状に形成されている、請求
    項1に記載の発泡包装材。
  3. 【請求項3】上記発泡包装材に担持される銀含有トバモ
    ライトが、上記発泡包装材を形成する樹脂に予め混練さ
    れたものである、請求項1または2に記載の発泡包装
    材。
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