JP3232814B2 - 感熱記録媒体用インキ組成物 - Google Patents

感熱記録媒体用インキ組成物

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JP3232814B2
JP3232814B2 JP25744593A JP25744593A JP3232814B2 JP 3232814 B2 JP3232814 B2 JP 3232814B2 JP 25744593 A JP25744593 A JP 25744593A JP 25744593 A JP25744593 A JP 25744593A JP 3232814 B2 JP3232814 B2 JP 3232814B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定のバインダーを用
いることにより、感熱記録インキ層の可塑剤移行が少な
くて可塑剤移行にともなう熱可塑性樹脂印刷文字の褪色
が少なく、また染料分散性、耐熱性、透明度、膜強度が
充分で、印字消去タイプといった加熱回数の多い用途に
も使用可能な感熱記録媒体用インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】支持体の表面に、フェノール系化合物な
どの酸性物質と該酸性物質と加熱下で反応して発色する
ロイコ染料などの発色性物質をバインダー中に含む感熱
記録媒体が知られており、鉄道、バスなどの乗車券、回
数券、発券機などを用いて発行するシステム、あるいは
ファクシミリ、各種計測用プリンターなどに広く用いら
れている。しかしながら、従来の感熱記録媒体では、フ
ェノール系化合物と該フェノール系化合物と加熱下で反
応して発色するロイコ染料とが熱印字前に反応しないよ
うにするため、これらの化合物を溶解しない溶剤を用い
てインキ化する必要があり、この溶剤は、極性の低い脂
肪族炭化水素などに限定されている。このため、バイン
ダーも、脂肪族炭化水素に溶解するものでなければなら
ず、例えばフェノール樹脂、クマロン樹脂、テルペン樹
脂、ビニルトルエン−ブタジエン共重合体、ビニルトル
エン−アクリル酸エステル共重合体、環化ゴムなどに限
定されている。
【0003】このような従来の感熱記録インキ層のバイ
ンダーは、合成樹脂、特にポリ塩化ビニル系樹脂に用い
られる可塑剤の浸透を防止することができず、この可塑
剤を含む物質に触れると、可塑剤の浸透により発色成分
であるロイコ染料またはフェノール系化合物が溶解する
ため、一旦、発色した文字が褪色し、あるいはフェノー
ル系化合物とロイコ染料の間に可塑剤が入り込むため印
字した文字が褪色し、いずれも甚だしい場合には、まっ
たく消えてしまうという問題がある。
【0004】例えば、印字した乗車券をポリ塩化ビニル
系樹脂製品に触れさせておくと、可塑剤がポリ塩化ビニ
ル系樹脂製品から乗車券の感熱記録インキ層に浸透する
ため、通常、40℃で2〜3時間で印字記録が消えてし
まう。従って、バスや鉄道の定期券のように使用期間の
長いものにあっては、ポリ塩化ビニル系樹脂製の定期券
入れに納めておくと、上記のような不都合を生じる。
【0005】上記の問題を解決するために、バインダー
としてアクリル樹脂を用いる技術が、特公平3−261
54号公報で開示されているが、アクリル樹脂はガラス
転移温度(Tg)が93℃程度で感熱記録に対する耐熱
性が不充分であり、感熱記録の熱によってバインダーが
変質・変形するといった問題があり、特に印字消去方式
のような加熱回数の多い用途では、印字−消去を繰り返
すうちに、バインダーの変質により、印字が不鮮明なも
のとなり、甚だしい場合には全く印字することができな
くなってしまう。そこで、可塑剤の浸透が少なく、かつ
染料分散性、透明性、膜強度が充分であり、しかも耐熱
性に優れ、印字消去方式のような用途でも常に鮮明な印
字記録を与えるバインダーが望まれているが、従来これ
らの要求を全く満たし得るバインダーはなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、ポリ塩化ビニル系樹
脂などに用いられている可塑剤が浸透し難く、また染料
分散性、耐熱性、透明度、膜強度が充分で、印字消去タ
イプといった加熱回数の多い用途にも使用可能な感熱記
録媒体用インキ組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、加熱下で発色
する染料成分と、該染料成分を分散させるバインダー成
分としてノルボルナン骨格を有する熱可塑性樹脂とを含
有する感熱記録媒体用インキ組成物を提供するものであ
る。
【0008】本発明において、加熱下で発色する染料成
分としては、例えばフェノール系化合物などの酸性物質
と、該酸性物質と加熱下で反応して発色するロイコ染料
などの発色性物質との組み合わせを挙げることができ
る。
【0009】このうち、フェノール系化合物としては、
上記ノルボルナン骨格を有する熱可塑性樹脂からなるバ
インダーを溶解する溶剤に対して非溶解性のものが用い
られる。このようなフェノール系化合物としては、例え
ばo−フタル酸、ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、ビ
スレゾルシノールエチレンエーテル、ジレゾルシノー
ル、β−レゾルシン酸エタノールアミド、没食子酸メチ
ル、没食子酸エチル、o−ヨード安息香酸、ヒドロキシ
ナフトエ酸、アセトアセトアミノサリチル酸、アセトア
セトアミノ−クロル−メチルベンゼンスルホン酸、トリ
カルバミン酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、
またはナフトールASもしくはその誘導体であるナフト
ールAS−BO、ナフトールAS−BS、ナフトールA
S−D、ナフトールAS−E、ナフトールAS−G、ナ
フトールAS−LB、ナフトールAS−OL、ナフトー
ルAS−SW、ナフトールAS−TR、ナフトールAS
−PHなどが挙げられ、これらは単独であるいは2種以
上併用することができる。
【0010】また、上記フェノール系化合物と加熱下で
反応して発色するロイコ染料としては、反応前にバイン
ダー中で無色もしくは淡色のものであって、本発明のノ
ルボルナン骨格を有する熱可塑性樹脂からなるバインダ
ーを溶解する溶剤に対して非溶解性であり、加熱により
フェノール系化合物が溶けて該ロイコ染料と接触し、発
色反応を呈するフルオラン系ロイコ染料が用いられる。
このフルオラン系ロイコ染料としては、例えば1,2−
ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ピロリジ
ノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどが挙げら
れる。
【0011】本発明の感熱記録媒体用インキ組成物は、
バインダーとしてノルボルナン骨格を有する熱可塑性樹
脂を用いる点に特徴を有する。このノルボルナン骨格を
有する熱可塑性樹脂をバインダーに用いると、上記発色
成分双方を溶解しない溶剤に可溶であり、またポリ塩化
ビニル系樹脂などの可塑剤として使用されるジオクチル
フタレートなどの浸透を防止できるうえ、染料分散性、
耐熱性、透明度、膜強度に優れるという特性を有する。
【0012】上記染料成分を分散させるバインダー成分
として用いられる本発明のノルボルナン骨格を有する熱
可塑性樹脂は、その繰り返し単位中にノルボルナン骨格
を有するものである。例えば、この熱可塑性樹脂として
は、一般式(I)〜(IV) で表されるノルボルナン骨格
を含むものである。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】(式中、A、B、CおよびDは、水素原子
または1価の有機基を示す。) 本発明で使用されるノルボルナン骨格を有する熱可塑性
樹脂は、充分な膜強度を得るために、その重量平均分子
量は5,000〜100万、好ましくは8,000〜2
0万である。
【0018】本発明において使用することのできるノル
ボルナン骨格を有する熱可塑性樹脂としては、例えば特
開昭60−168708号公報、特開昭62−2524
06号公報、特開昭62−252407号公報、特開昭
63−145324号公報、特開昭63−264626
号公報、特開平1−240517号公報、特開平2−1
33413号公報、特公昭57−8815号公報などに
記載されている樹脂などを挙げることができる。この熱
可塑性樹脂の具体例としては、下記一般式(V)で表さ
れる少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導体また
は該テトラシクロドデセンと共重合可能な不飽和環状化
合物とをメタセシス重合して得られる重合体を水素添加
して得られる水添重合体を挙げることができる。
【0019】
【化5】
【0020】(式中、A〜Dは、前記に同じ。) 前記一般式(V)で表されるテトラシクロドデセン誘導
体において、A、B、CおよびDのうちに極性基を含む
ことが、支持体との密着性の点から好ましい。さらに、
この極性基が−(CH2 n COOR1 (ここで、R1
は炭素数1〜20の炭化水素基、nは0〜10の整数を
示す)で表されるカルボン酸エステル基であることが、
得られる水添重合体が高いガラス転移温度を有するもの
となるので好ましい。
【0021】特に、このカルボン酸エステル基よりなる
極性置換基は、一般式(V)のテトラシクロドデセン誘
導体の1分子あたりに1個含有されることが、吸収性を
低下させる点で好ましい。前記一般式において、R1
炭素数1〜20の炭化水素基であるが、炭素数が多くな
るほど得られる水添重合体の吸湿性が小さくなる点では
好ましいが、得られる水添重合体のガラス転移温度との
バランスの点から、炭素数1〜4の鎖状アルキル基また
は炭素数5以上の(多)環状アルキル基であることが好
ましく、特にメチル基、エチル基、シクロヘキシル基で
あることが好ましい。
【0022】さらに、カルボン酸エステル基が結合した
炭素原子に、同時に炭素数1〜10の炭化水素基が置換
基として結合されている一般式(V)のテトラシクロド
デセン誘導体は、得られる重合体のガラス転移温度を低
下させずに吸湿性を低下させるので好ましい。特に、こ
の置換基がメチル基またはエチル基である一般式(V)
のテトラシクロドデセン誘導体は、その合成が容易な点
で好ましい。具体的には、8−メチル−8−メトキシカ
ルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 7,10〕ド
デカ−8−エンが好ましい。これらのテトラシクロドデ
セン誘導体、あるいはこれと共重合可能な不飽和環状化
合物の混合物は、例えば特開平4−77520号公報第
4頁右上欄第12行〜第6頁右下欄第6行に記載された
方法によって、メタセシス重合、水素添加され、本発明
に使用される熱可塑性樹脂とすることができる。
【0023】本発明において、熱可塑性樹脂として使用
される前記水添重合体は、クロロホルム中、30℃で測
定される固有粘度(ηinh )が、0.35〜0.55d
l/g、好ましくは0.40〜0.46dl/gであ
る。固有粘度(ηinh )が0.35dl/g未満では、
機械的特性に劣り、耐衝撃性が低下し、一方0.55d
l/gを超えると、粘度が高すぎるため、支持体上にイ
ンキ層を塗工して形成する場合、均一に塗工層を形成す
ることが難しい。また、水添重合体の水素添加率は、6
0MHz、 1H−NMRで測定した値が50%以上、好
ましくは90%以上、さらに好ましくは98%以上であ
る。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優
れる。
【0024】なお、本発明の熱可塑性樹脂として使用さ
れる水添重合体は、該水添重合体中に含まれるゲル含有
量が5重量%以下であることが好ましく、さらに1重量
%以下であることが特に好ましい。
【0025】本発明に使用されるノルボルナン骨格を有
する熱可塑性樹脂には、必要に応じてその耐候性および
耐光性を向上させるために、例えばベンゾトリアゾール
系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレ
ート系などの紫外線吸収剤をはじめ、ヒンダードアミン
系、ニッケル錯塩系、ベンゾエート系などの紫外線安定
剤を配合することができる。また、酸化防止剤、黄変防
止剤、内部離型剤、帯電防止剤、レベリング剤などのい
わゆる添加剤を加えることも可能である。
【0026】なお、本発明の感熱記録媒体用インキ組成
物に使用される溶剤としては、上記染料成分に溶解せ
ず、バインダーとなるノルボルナン骨格を有する熱可塑
性樹脂を溶解する溶剤であれば特に限定されるものでは
なく、例えばトルエン、キシレン、トリメチルベンゼン
などの芳香族系溶剤が挙げられる。これらの溶剤のうち
では、トリメチルベンゼンが好ましい。
【0027】以上のように、本発明の感熱記録媒体用イ
ンキ組成物は、上記染料成分およびノルボルナン骨格を
有する熱可塑性樹脂を主成分とするが、これらの割合
は、下記のとおりである。すなわち、染料成分を構成す
る酸性物質(フェノール系化合物)と発色性物質(ロイ
コ染料)との割合は、酸性物質が70〜30重量%、好
ましくは60〜40、発色性物質が30〜70重量%、
好ましくは40〜60重量%〔ただし、酸性物質+発色
性物質=100重量%〕である。発色性物質が、30重
量%未満では印字の際に発色濃度が充分に上がらず、一
方70重量%を超えると発色性物質のバインダー中の分
散性が悪くなり、熱印字前に酸性物質と反応し発色し易
くなる。また、染料成分とノルボルナン骨格を有する熱
可塑性樹脂との割合は、該熱可塑性樹脂が発色性物質に
対し、重量で1〜10倍量、好ましくは3〜8倍量であ
る。
【0028】なお、本発明の感熱記録媒体用インキ組成
物中における溶剤の割合は、染料成分およびノルボルナ
ン骨格を有する熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対
し、8〜18重量部、好ましくは10〜15重量部程度
である。
【0029】以上のように本発明の感熱記録媒体用イン
キ組成物は、バインダーとして染料分散性、耐熱性、透
明度、膜強度に優れたノルボルナン骨格を有する熱可塑
性樹脂を用いたものである。このような組成からなる感
熱記録媒体用インキ組成物は、インキ状態において染料
成分(発色性物質および酸性物質)が溶剤中で分散状態
にあり、バインダーを介して互いに接触しないで発色反
応が生じ難いという作用を奏する。
【0030】本発明の感熱記録媒体用インキ組成物に
は、インキの保存性向上のため、例えばフェノール系化
合物とロイコ染料とはあらかじめ別にインキ化し、塗布
直前に混合することが好ましい。また、インキ化の際に
は、必要に応じて他の添加剤、例えば分散剤、充填剤、
白色系顔料、ワックス、染料や顔料などの着色剤、界面
活性剤などを添加し、あるいは塗布適性改善のための希
釈剤を加えてもよい。
【0031】以上のようにしてインキ化を行ったのち、
支持体の表面に公知の塗布方式、例えばバーコーター、
ダイコーター、ロールコーター、リバースコーター、グ
ラビアコーター、ナイフコーター、ホットメルトコータ
ーなどを用いることにより、塗布量(固形分換算)2〜
10g/m2 、好ましくは3〜8g/m2 となるように
塗布する。ここで、支持体としては、従来の感熱記録媒
体に使用するものであれば特に限定されず、例えば紙、
プラスチック、これらの複合体などが挙げられる。
【0032】なお、上記支持体には、必要に応じて感熱
記録インキ層との接着力を向上させるために、適宜のプ
ライマー層を設けてもよい。このプライマー層として
は、例えばポリエステルシートを支持体とするときに
は、ポリエステル樹脂もしくは塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体とイソシアネートとを配合したプライマー塗料
を用いてプライマー層を形成する。また、紙を支持体と
する場合には、感熱記録インキ層を設ける際の紙へのイ
ンキの浸透を防止するため、目止めもしくは接着力の向
上を目的として上記と同様のプライマー層を形成すれば
よい。
【0033】また、本発明の感熱記録媒体用インキ組成
物よりなる感熱記録媒体に対して、通常の感熱記録媒体
に設けられる保護層を設けてもよい。この保護層として
は、感熱記録インキ層を構成するバインダーとして、上
記ノルボルナン骨格を有する熱可塑性樹脂を主成分とす
る組成物を用いて構成するとよく、例えば該樹脂100
重量部に対し、ポリエチレンワックス5〜50重量部も
しくはポリテトラフルオロエチレン粉末5〜50重量部
を含むもの、あるいはポリエチレンワックスおよびポリ
テトラフルオロエチレン粉末5〜50重量部を含むもの
などを挙げることができる。このような保護層は、上記
熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に、ポリエチレ
ンワックスおよび/またはポリテトラフルオロエチレン
粉末を分散させたインキを作製し、公知の塗布手段を用
いて塗布すればよい。
【0034】さらに、上記感熱記録媒体の支持体の一
部、好ましくは裏面に、磁気記録層を設けてもよく、こ
のようにすることにより、自動改札用の定期券とするこ
とができる。さらに、上記感熱記録媒体の感熱記録イン
キ層の表面には、所定の欄に文字などを印刷しておいて
もよく、このようにすることにより、印字の字数を減ら
すことができ、印字の時間を短縮し、記録ヘッドの寿命
を延ばすこともできる。さらに、感熱記録インキ層を、
グラビア印刷などによりストライプ状もしはスポット状
に設けてもよく、あるいは発色色相の異なるロイコ染料
を用いて別々の個所に印刷し、支持体上の場所により発
色色相を変えるようにしてもよい。
【0035】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らな
いかぎり重量基準である。なお、実施例中の各種の測定
は、次のとおりである。固有粘度(ηinh 溶媒にクロロホルムを使用し、0.5g/dlの重合体
濃度で30℃の条件下、ウベローデ粘度計にて測定し
た。水添率 水添単独重合体の場合には、60MHz、 1H−NMR
を測定した。ガラス転移温度 走査熱量計(DSC)により、チッ素雰囲気下におい
て、10℃/分の昇温速度で測定した。
【0036】参考例1 8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
〔4.4.0.12,5 .17,10〕ドデカ−3−エン10
0g、1,2−ジメトキシエタン60g、シクロヘキサ
ン240g、1−ヘキセン9g、およびジエチルアルミ
ニウムクロライド0.96モル/lのトルエン溶液3.
4mlを、内容積1リットルのオートクレーブに加え
た。一方、別のフラスコに、六塩化タングステンの0.
05モル/lの1,2−ジメトキシエタン溶液20ml
とパラアルデヒドの0.1モル/lの1,2−ジメトキ
シエタン溶液10mlを混合した。この混合溶液4.9
mlを、前記オートクレーブ中の混合物に添加した。密
栓後、混合物を80℃に加熱して3時間攪拌を行った。
【0037】得られた重合体溶液に、1,2−ジメトキ
シエタンとシクロヘキサンの2/8(重量比)の混合溶
媒を加えて重合体/溶媒が1/10(重量比)にしたの
ち、トリエタノールアミン20gを加えて10分間攪拌
した。この重合溶液に、メタノール500gを加えて3
0分間攪拌して静置した。2層に分離した上層を除き、
再びメタノールを加えて攪拌、静置後、上層を除いた。
同様の操作をさらに2回行い、得られた下層をシクロヘ
キサン、1,2−ジメトキシエタンで適宜希釈し、重合
体濃度が10%のシクロヘキサン−1,2−ジメトキシ
エタン溶液を得た。
【0038】この溶液に20gのパラジウム/シリカマ
グネシア〔日揮化学(株)製、パラジウム量=5%〕を
加えて、オートクレーブ中で水素圧40kg/cm2
して165℃で4時間反応させたのち、水添触媒をろ過
によって取り除き、水添重合体溶液を得た。また、この
水添重合体溶液に、酸化防止剤であるペンタエリスリチ
ル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を、水添重合体
に対して0.1%加えてから、380℃で減圧下に脱溶
媒を行った。次いで、溶融した樹脂を、チッ素雰囲気下
で押し出し機によりペレット化し、固有粘度0.5dl
/g(30℃、クロロホルム中)、水添率99.5%、
ガラス転移温度168℃の熱可塑性樹脂Aを得た。
【0039】参考例2 6−エチリデン−2−テトラシクロドデセンを、参考例
1と同様にメタセシス開環重合したのち、水添し、ペレ
ット化して、固有粘度0.45dl/g(30℃、クロ
ロホルム中)、水添率99%、ガラス転移温度140℃
の熱可塑性樹脂Bを得た。
【0040】参考例3 エチレン55モル%と2−メチル−1,4,5,8−ジ
メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタ
ヒドロナフタレン45モル%とを付加重合し、ペレット
化して、固有粘度0.64dl/g(35℃、デカリン
中)、ガラス転移温度140℃の熱可塑性樹脂Cを得
た。
【0041】実施例1 下記配合処方のA液およびB液をガラスビーズ入りの攪
拌機を用いて1時間攪拌して調製した。A液配合処方 フルオラン系ロイコ染料 3部 〔保土谷化学工業(株)製、TH−106〕 熱可塑性樹脂A(参考例1) 10部 (30%トルエン溶液) トルエン 5部B液配合処方 2,4−ジヒドロキシ安息香酸 3部 熱可塑性樹脂A(参考例1) 10部 (30%トルエン溶液) トルエン 5部
【0042】上記A液、B液、トルエンおよびポリエチ
レンワックス30%トルエン分散液を、重量比で10:
10:10:3の割合で混合し、プロペラミキサーで攪
拌してインキとし、直ちに上質紙(坪量200g/
2 )上に、3本リバースロールコーティングにより乾
燥時塗布量として5g/m2 になるように塗布し、感熱
記録紙を得た。
【0043】実施例2 A液配合処方およびB液配合処方で用いられた熱可塑性
樹脂Aの代わりに、参考例2で得られた熱可塑性樹脂B
を用いる以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得
た。
【0044】実施例3 支持体として乳白色のポリエステルシート〔東レ(株)
製、厚み188μm〕を用い、下記配合処方のプライマ
ー塗料を塗布し、乾燥してプライマー層を形成した。プライマー塗料配合処方 ポリエステル樹脂 3部 〔東洋紡(株)製、パイロン200〕 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 2.5部 〔ユニオンカーバイト社製、VAGH〕 イソシアネート 2部 〔武田薬品工業(株)製、タケネートD−110N〕 トルエン 30部 メチルエチルケトン 20部
【0045】次に、下記配合処方のC液およびD液を実
施例1のA液、B液と同様にして調製した。C液配合処方 フルオラン系ロイコ染料 3部 〔保土谷化学工業(株)製、TH−106〕 熱可塑性樹脂C(参考例3) 10部 (30%トルエン溶液) トルエン 5部D液配合処方 o−フタル酸 3部 熱可塑性樹脂C(参考例3) 10部 (30%トルエン溶液) トルエン 5部
【0046】上記C液、D液およびトルエンを、重量比
で1:1:1の割合で混合し、プロペラミキサーで攪拌
してインキとし、前記ポリエステルシートのプライマー
層上に重ねて、3本リバースロールコーティングによ
り、乾燥塗布量として6g/m2 になるように塗布し、
感熱記録層を得た。
【0047】さらに、下記配合処方の保護塗料を、3本
リバースロールコーティングにより、上記の感熱記録層
の上に乾燥時塗布量が4g/m2 になるように塗布し、
保護層を形成した。保護塗料配合処方 熱可塑性樹脂C(参考例3) 10部 (10%トルエン溶液) ポリエチレンワックス 0.3部 〔旭電化工業(株)製、マークFC−113、30%ト
ルエン分散液〕 フッ素樹脂粉末 0.1部 〔東ソー(株)製、MOLD WIZ F57、50%
トルエン分散液〕 トルエン 3部
【0048】比較例1 A液およびB液に配合される熱可塑性樹脂Aの代わり
に、ポリメチルメタクリレート〔ロームアンドハース社
製、パラロイドA−11〕を用いる以外は、実施例1と
同様にして感熱記録紙を得た。
【0049】比較例2 C液およびD液および保護塗料に配合される熱可塑性樹
脂Cの代わりに、ポリメチルメタクリレート〔三菱レー
ヨン(株)製、ダイヤナールRB80〕を用いる以外
は、実施例3と同様にして感熱記録紙を得た。
【0050】実施例1〜3、比較例1〜2で得られた感
熱記録媒体の可塑剤浸透性を評価するため、感熱記録媒
体を所定の条件で印字し、その後、印字部にジオクチル
フタレート24.4%を含む軟質ポリ塩化ビニルシート
を重ねて加圧し、全体を加温して褪色を促進させ、その
時間経過にともなう褪色の進行度合いを反射濃度で測定
した結果を表1に示す。同様に、耐熱性を評価するた
め、印字消去方式の記録機を用い、感熱記録媒体に印字
と消去を10回繰り返したのちの外観を目視で評価し
た。結果を表1に示す。
【0051】印字条件 薄膜型サーマルヘッド使用、1.2mJ/ドット(4×
10-4cm2 保存条件 圧力50g/cm2 、温度40℃濃度測定 反射濃度計(コダックラッテンNo.106フィルタ
ー)を使用。耐熱性 ○;バインダーの変質・変形がなく、印字が鮮明なも
の。 ×;バインダーが変質・変形し、印字が不鮮明である
か、印字ができなくなったもの。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明の感熱記録媒体用インキ組成物
は、ポリ塩化ビニル系樹脂などに用いらている可塑剤が
浸透し難く、またバインダーの染料分散性、耐熱性、透
明度、膜強度が充分で、印字消去タイプといった加熱回
数の多い感熱記録媒体に使用することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/28 - 5/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱下で発色する染料成分と、該染料成
    分を分散させるバインダー成分としてノルボルナン骨格
    を有する熱可塑性樹脂とを含有する感熱記録媒体用イン
    キ組成物。
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