JP3231077B2 - 貯血槽 - Google Patents

貯血槽

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JP3231077B2
JP3231077B2 JP14830692A JP14830692A JP3231077B2 JP 3231077 B2 JP3231077 B2 JP 3231077B2 JP 14830692 A JP14830692 A JP 14830692A JP 14830692 A JP14830692 A JP 14830692A JP 3231077 B2 JP3231077 B2 JP 3231077B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液中の気泡を分離除
去する除泡装置を備える貯血槽に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、心臓外科手術においては、送血
ポンプを作動して患者の静脈より脱血し、人工肺により
ガス交換を行なった後、この血液を再び患者の動脈に戻
すという人工肺体外血液循環が行なわれる。また、術野
から血液を吸引し、異物を瀘別除去した後、返血するラ
インも設けられる。このような人工肺体外血液循環回路
には、脱血した血液を一時的に貯留しておく貯血槽や、
術野から吸引された血液を瀘過し、一時的に貯留してお
く貯血槽(カーディオトミーリザーバー)が設置され
る。
【0003】このような貯血槽は、回路内の血液量を調
整し、返血量を一定に保つための緩衝機能を有する他、
貯血槽内に除泡装置を設置し、血液中の気泡を除去する
機能をも有している。
【0004】この除泡装置としては、一般に、貯血槽へ
の血液導入部の周囲を囲むように濾過部材を配置し、こ
の濾過部材にシリコーン消泡剤を担持し、血液が瀘過部
材を通過する際に、血液中に混入した気泡が消泡剤と接
触して消泡される構成のものが知られているが、このよ
うな除泡装置では、濾過部材を血液が通過する際に、消
泡剤が離脱して血液中に混入することがある。消泡剤と
して使用されるシリコーンは、不活性物質であり、それ
自体ほとんど有害ではないが、人体により物質代謝され
ないために、人体内に蓄積され易く、また、極細の毛細
管や血管等を詰まらせることもあり得るので、血液中へ
の混入は、極力避けるべきである。
【0005】そこで、血液中への消泡剤の混入を防止す
ることができるものとして、脱泡要素(消泡部材)の上
端にのみ消泡剤を担持させ、この消泡剤担持領域を血液
の最高液面レベルより上方に設定し、血液と消泡剤とが
接触しないようにした除泡装置が開示されている(特開
昭63−21064号公報)。
【0006】しかしながら、この除泡装置では、次のよ
うな欠点がある。すなわち、消泡剤担持領域が血液の最
高液面レベルより上方に設定されているため、血液流入
量が比較的少なく、平均的なまたはそれ以下の貯血量が
維持されているときには、その血液液面と消泡剤担持領
域の下端との間に相当の距離があり、この部分に常に気
泡が残留し、脱泡要素の内側に付着している状態とな
る。そのため、脱泡要素全体の面積に対する実効面積の
割合が低くなり、圧力損失が増加してプライミング量の
増大を招く。
【0007】また、上記状態から血液流入量が急激に増
大して、血液液面が上昇した場合には、これに伴って血
液液面付近の残留気泡が消泡剤担持領域に押し上げられ
るとともに、血液流入量に対応した多量の気泡が除泡装
置内に新たに流入してくるため、消泡しきれなくなり、
特に消泡剤担持領域の面積が小さいこともあって、消泡
されないまま気泡が除泡装置外に流出することがある。
【0008】このように、特開昭63−21064号公
報に記載の除泡装置では、貯血量の変動に伴う気泡の増
減に対し、安定した除泡効果が得られないという欠点が
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、消泡
剤の血液中への混入を最低限に抑え、かつ貯血量の変動
に対しても優れた気泡除去能を安定的に得られる貯血槽
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)の本発明により達成される。また、下記(2)〜
(6)であるのが好ましい。
【0011】(1) 血液流入口と血液流出口とを有す
るハウジングと、前記血液流入口に連通するよう前記ハ
ウジング内に設置された除泡装置とを有する貯血槽であ
って、前記除泡装置は、前記血液流入口に接続された血
液導入管と、フィルター部材と、このフィルター部材の
上方に設置され、消泡剤を担持する消泡部材とを備えて
おり、前記フィルター部材は、下方側にある消泡剤を実
質的に担持しない第1フィルター部と、上方側にある消
泡剤を担持する第2フィルター部とで構成されているこ
とを特徴とする貯血槽。
【0012】(2) 前記第1フィルター部と前記第2
フィルター部との境界は、最大貯血量の5〜75%の範
囲の貯血量に対応した液面レベルの範囲内に形成されて
いる上記(1)に記載の貯血槽。
【0013】(3) 前記血液流入口より流入した血液
が前記血液導入管により少なくとも前記消泡部材に接触
することなく除泡装置内に導入されるように構成されて
いる上記(1)または(2)に記載の貯血槽。
【0014】(4) 前記消泡部材の下端部が、前記第
2フィルター部の上端部に接合されている上記(1)〜
(3)のいずれかに記載の貯血槽。
【0015】(5) 前記消泡部材は、前記フィルター
部材より血液の通過抵抗が低い材料で構成されている上
記(1)〜(4)のいずれかに記載の貯血槽。
【0016】(6) 前記消泡部材における消泡剤の担
持量が、前記第2フィルター部における消泡剤の担持量
よりも多い上記(1)〜(5)のいずれかに記載の貯血
槽。
【0017】
【作用】ハウジングの上部に形成された血液流入口およ
びこれに接続された血液導入管を経て除泡装置内に流入
した血液は、フィルター部材を通過し、この際に、血液
中に混入していた気泡が分離除去される。すなわち、血
液はフィルター部材の目(細孔)を通過してフィルター
部材の外側に流出し、ハウジング内の貯血空間に貯留さ
れ、一方、気泡はフィルター部材の目を通過することが
できず、自らの浮力および血液流によるウォッシュアウ
トの作用によりフィルター部材の内面に沿って浮上し、
血液の液面付近に集積される。
【0018】平均的な貯血量においては、血液は、その
ほとんどが消泡剤を実質的に担持しない第1フィルター
部を通過するので、消泡剤が血液と接触して血液中に混
入することはない。
【0019】フィルター部材の第1フィルター部より上
方にある第2フィルター部には、消泡剤が担持されてお
り、血液の液面付近の気泡がある程度集積して上昇した
り、貯血量が増大して血液液面が上昇したときには、血
液液面付近の気泡は第2フィルター部に接触し、消泡剤
の作用により破泡する。破泡した気泡は、空気として除
泡装置の外部へ排気される。
【0020】第1フィルター部と第2フィルター部との
境界は、最大貯血量における血液液面レベルよりも下
方、特に、最大貯血量の10〜75%の範囲の貯血量に
対応した液面レベルの範囲内に設定されているので、前
記気泡の集積や液面上昇に迅速に対応して消泡すること
ができるとともに、第2フィルター部に血液が接触する
頻度は少なく、よって第2フィルター部に担持された消
泡剤が離脱して血液中に混入する量は少ない。
【0021】血液の流入量が増大して血液液面がさらに
上昇した場合には、これに伴って血液液面付近の気泡も
上昇し、消泡部材に接触して消泡剤の作用により破泡す
る。この消泡部材は、前記第2フィルター部よりも消泡
能力が高く、上昇してくる気泡を迅速に消泡する。
【0022】消泡部材の下端を最大貯血量における血液
液面レベル付近またはそれより上方に設定した場合に
は、血液が消泡部材に接触することはほとんどない。従
って、消泡部材から消泡剤が離脱したとしても、その量
は極微量となる。
【0023】このようにして除泡装置により除泡された
血液は、貯血空間に貯留され、さらにハウジングの下部
に形成された血液流出口からハウジング外へ流出する。
この血液中の気泡および除泡剤の混入量は、極めて少な
いものとなっている。
【0024】
【実施例】以下、本発明の貯血槽を、添付図面に示す好
適実施例に基いて詳細に説明する。
【0025】図1は、本発明の貯血槽の構成例を示す側
面図、図2は、図1中のA−A線での断面図、図3は、
図1中のB−B線での断面図である。図1に示すよう
に、本発明の貯血槽1は、ハウジング本体3と蓋体4と
で構成されるハウジング2を有する。このハウジング2
の内部には、血液を貯留する貯血空間25が形成されて
いる。
【0026】ハウジング本体3は、図1中左側において
下方に突出する突出部31を有する箱形をなしており、
この突出部31の下部には、貯血空間25に連通する管
状の血液流出口6が形成されている。この血液流出口6
は、例えば体外血液循環回路の送血ラインのチューブに
接続される。
【0027】蓋体4は、ハウジング本体3の上部開口を
覆うようにハウジング本体3の上端に嵌合されている。
また、蓋体4の所定位置には、それぞれ貯血空間25に
連通する2つの管状の血液流入口5aおよび5bが形成
されている。これらのうち、血液流入口5aは、例えば
体外血液循環回路の脱血ラインのチューブに接続され、
血液流入口5bは、例えば術野からの血液吸引ラインの
チューブに接続される。
【0028】血液流入口5aの側部には、後述する除泡
装置7aにプライミング液を注入する際に使用されるプ
ライミング液注入口5cが形成されている。また、血液
流入口5aのプライミング液注入口5cと逆側の側部に
は、脱気口5dが形成されている。後述する除泡装置7
aにより破泡された気泡は、その一部がこの脱気口5d
から空気として外部へ排出される。なお、貯血槽1内で
の血液の増減に伴う空気の出入は、この脱気口5dを介
して行われる。
【0029】また、血液流入口5bの両側部には、心腔
内血吸引のための心腔内血流入口5eが複数形成されて
いる。このようなハウジング2において、貯血空間25
の容積は特に限定されないが、例えば、成人用では30
00〜5000ml程度、小児用では1000〜2500
ml程度とするのが好ましい。
【0030】ハウジング本体3および蓋体4の構成材料
としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル−ス
チレン共重合体、アクリル−ブタジエン−スチレン共重
合体等を挙げることができ、このなかでも特に、ポリカ
ーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビ
ニルが好ましい。
【0031】また、ハウジング本体3および蓋体4は、
貯血量や内部の血液の状態を目視で確認することができ
るように、実質的に透明であるのが好ましい。なお、ハ
ウジング本体3の正面(図1中左側端面)や側面には、
貯血量を示す目盛り(図示せず)が設けられているのが
好ましい。
【0032】このような貯血槽1には、貯血空間25に
流入した血液中に含まれる気泡を除去する2つの除泡装
置7aおよび7bが設置されている。以下、これらの除
泡装置の構成を順次説明する。
【0033】図2に示すように、除泡装置7aは、血液
流入口5aに連通するものであり、血液流入口5aに接
続された血液導入管8と、フィルター部材9と、このフ
ィルター部材9の上方に設置された消泡部材10とを備
えている。
【0034】血液導入管8は、ほぼ鉛直方向に延在する
直管状の部材であり、その上端部は、血液流入口5aに
接続されている。また、血液導入管8の下端は、除泡装
置7a内の底部付近まで延長されている。これにより、
血液流入口5aから血液導入管8へ導入された血液は、
後述する消泡部材10および第2フィルター部92に接
触することなく除泡装置7a内に供給され、このような
血液導入時における血液中への消泡剤の混入が防止され
る。
【0035】また、除泡装置7a内には、血液導入管8
より小径のプライミング液導入管11が設置され、その
上端は、プライミング液注入口5cに接続されている。
また、プライミング液導入管11の下端は、血液導入管
8と同様、除泡装置7a内の底部付近まで延長されてい
る。
【0036】血液導入管8およびプライミング液導入管
11の構成材料としては、例えば、ポリカーボネート、
アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、アクリル−スチレン共重合体、アクリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体等の高分子材料、各種ガラス、ア
ルミナ、シリカ等の各種セラミックス、ステンレス、ア
ルミニウム、銅、チタン等の金属、各種炭素材料等、あ
るいはこれらのうちの2以上を組合せたものを挙げるこ
とができるが、このなかでも特に、ポリ塩化ビニル、ポ
リカーボネート、ポリスチレン、PET、ステンレスが
好ましい。
【0037】このような血液導入管8およびプライミン
グ液導入管11の周囲には、フィルター部材9および消
泡部材10が設置されている。フィルター部材9は、血
液中の異物や気泡を除去する機能を有するものであり、
図中下方の第1フィルター部91と、これより上方の第
2フィルター部92とで構成されている。第1フィルタ
ー部91には、実質的に消泡剤が担持されておらず、第
2フィルター部92には、後述するような消泡剤が担持
されている。
【0038】フィルター部材9の素材は、十分な血液の
透過性を有する多孔質材料で構成される。このような多
孔質材料としては、メッシュ(ネット)状のもの、織
布、不織布等が挙げられ、これらを単独でまたは任意に
組み合わせて(特に積層して)用いることができる。本
発明では、フィルター部材9として、メッシュ状のもの
を含んでいるのが好ましい。メッシュは、血液の透過性
に優れるとともに、開口精度が高く、気泡等を有効に除
去することができるからである。
【0039】ここで、メッシュとは、規則的に配列され
た網目を有するシート状の部材であって、その形態は、
繊維の織物または編物、一体成形物、加工物等が挙げら
れる。
【0040】フィルター部材9の構成材料、特にメッシ
ュの構成材料としては、PET、PBTのようなポリエ
ステル、ナイロン(ポリアミド)、テトロン、レーヨ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンのようなポリオレフ
ィン、ポリ塩化ビニル等の高分子材料、アルミニウム、
ステンレス等の金属材料、あるいはこれらのうちの2以
上を組み合わせたものが挙げられるが、そのなかでも、
特に、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、
ステンレスが好ましい。
【0041】また、フィルター部材9に用いられるメッ
シュの網目のオープニングは15〜300μm 程度、特
に20〜200μm であるのが好ましい。300μm を
超えると、微細な気泡は血液とともにメッシュの網目を
透過することがあり、また、15μm 未満であると、血
液の通過抵抗が増大し、除泡装置7a内での血液の液面
が上昇する傾向となるからである。
【0042】なお、フィルター部材9には、血液の透過
性をさらに向上するために、必要に応じ、プラズマ処理
や親水性高分子材料のコーティングのような親水化処理
を施しておくことができる。この場合、プラズマ処理等
の親水化処理は、常法に従って行なえばよい。
【0043】以上のようなフィルター部材9により、例
えば、直径約20μm 以上の気泡を有効に除去すること
ができる。このようなフィルター部材9は、それ自体剛
性が低いため、図2に示す構成例では、格子状のフレー
ム部材12により支持、固定されている。このフレーム
部材12の構成材料は、前記血液導入管8と同様のもの
を用いることができる。
【0044】フィルター部材9の第2フィルター部92
に担持される消泡剤は、気泡が接触すると破泡するよう
な機能を有するものであり、その代表例としては、シリ
コーン(シリカを配合したコンパウンド型、オイル型
等)等が挙げられる。このような消泡剤の第2フィルタ
ー部92への担持方法は、例えば、消泡剤を含む液を素
材に含浸、塗布またはスプレーし、その後、乾燥(例え
ば、30℃、180分)することにより行なう。
【0045】なお、第1フィルター部91と、第2フィ
ルター部92との境界94の位置については、後に詳述
する。フィルター部材9の上方に設置された消泡部材1
0には、前記と同様の消泡剤が担持されている。消泡部
材10への消泡剤の担持方法も前記と同様である。
【0046】なお、図示の例では、消泡部材10の外面
をフィルター部材9の延長部93が被覆しているが、こ
の延長部93は、消泡部材10の一部としてとらえるこ
とができる。また、このような延長部93が存在しない
か、または消泡部材10の外面の一部のみを被覆してい
てもよい。
【0047】消泡部材10の素材としては、例えば、発
泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレ
ン、発泡ポリスチレン等の発泡体、メッシュ、織布、不
織布または、多孔質セラミックスや樹脂等の焼結体のよ
うな各種多孔質材を挙げることができるが、そのなかで
も、比較的血液の通過抵抗(圧力損出)が少ない材料を
用いるのが好ましい。
【0048】血液の通過抵抗が少ない材料として、発泡
ポリウレタンのような発泡体やその他の多孔質材を用い
る場合には、その孔径は20μm 〜5mm程度、特に30
μm〜2mm程度とするのが好ましい。消泡部材10の下
端面、すなわち消泡部材10と第2フィルター部92と
の境界101の位置は、貯血槽1の最大貯血量における
液面レベル(最大液面レベルLmax )付近またはそれよ
り上方とするのが好ましい。
【0049】ここで、最大貯血量とは、これを超えると
貯血槽1より血液が溢れ出るおそれが生じる限界の血液
量のことを言い、貯血槽1の機能や構造によっても異な
るが、通常は、貯血空間25の実質容積の70〜100
%程度とされる。
【0050】また、フィルター部材9において、第1フ
ィルター部91と第2フィルター部92との境界94の
位置は、貯血槽1の最大貯血量の好ましくは5〜75%
の範囲、より好ましくは20〜70%の範囲の貯血量に
対応した液面レベルの範囲内に設定されている。5%未
満であると、血液が第2フィルター部92と接触する頻
度が多くなり、血液中への消泡剤の混入量が比較的多く
なる傾向を示し、また、75%を超えると、逆に血液中
への消泡剤の混入は皆無となるが、血液液面と境界94
との間の距離が大きくなり、この部分に蓄積される気泡
の量が増大して、消泡能力が低下する。
【0051】さらに、境界94の位置は、除泡装置7a
内の血液の常用液面レベルL0 付近に設定されているの
が好ましい。
【0052】ここで、常用液面レベルL0 とは、臨床的
には、全循環血液量から、貯血槽1以外の循環回路のプ
ライミングボリュームおよび患者の最適循環血液量を差
し引いた量の血液が貯血槽1の貯血空間25に存在する
ときの液面レベルを言い、前記血液量は、主に輸液や心
筋保護剤の注入によって増加し、排尿によって減少す
る。実際には、血液流入口5a、5bおよび心腔内血流
入口5eからの合計血液流入量と血液流出口6からの流
出量とのバランスで決定される。貯血槽1の貯血量は、
通常、血液循環開始時には、安全に循環できる最低量
(最大貯血量の約10〜30%)でスタートし、その後
最大貯血量の約20〜50%で循環される。また、心筋
保護剤が注入された時に最大量(最大貯血量の40〜7
0%)となるのが一般的である。従って、除泡装置7a
内における実際の血液液面は、常用液面レベルL0 より
上下に変動する。
【0053】消泡部材10および第2フィルター部92
のそれぞれにおける消泡剤の担持量(単位体積当りの総
重量)は特に限定されないが、消泡部材10における消
泡剤の担持量が、第2フィルター部92における消泡剤
の担持量と同等またはそれよりも多いのが好ましい。消
泡部材10と第2フィルター部92とでは、後者の方が
下方にあるため、血液液面の変動に対し血液と接触する
頻度が多いが、消泡剤の担持量に上記のような差異を設
けておけば、血液中への消泡剤の混入量をより減少し、
かつ優れた除泡効果を安定的に得ることができる。
【0054】なお、本発明において、消泡部材10およ
び第2フィルター部92のそれぞれの消泡剤担持量が同
等であってもよいことは言うまでもない。また、消泡部
材10および第2フィルター部92における除泡剤は、
同一の組成のものでも、異なる組成のもの(例えば、添
加剤の種類や添加量が異なるもの)でもよい。
【0055】図示の構成において、第2フィルター部9
2と第1フィルター部91とは、消泡剤が担持されてい
るか否かについてが相違し、その他はほぼ同様の構成で
あるが、これらの境界は厳密なものでなくてもよい。例
えば、これらの境界付近において、第1フィルター部9
1から第2フィルター部92へ向かって、消泡剤の担持
量が連続的または段階的に増加するような構成であって
もよい。
【0056】また、図示の構成では、境界94や境界1
01は、血液液面に対しほぼ平行な平面であるが、これ
に限らず、血液液面に対し平行でないもの、あるいは平
面形状でないもの(例えば、湾曲面)であってもよい。
【0057】次に、除泡装置7bについて説明する。な
お、除泡装置7bについて、前記除泡装置7aと同様の
事項についてはその説明を省略する。図3に示すよう
に、除泡装置7bは、血液流入口5bに連通しており、
カーディオトミーリザーバーを構成するものである。こ
の除泡装置7bは、血液流入口5bに接続された血液導
入管14と、フィルター部材15と、このフィルター部
材15の内側上方部分に設置された消泡部材16と、血
液分配部材17とを備えている。
【0058】血液導入管14は、ほぼ鉛直方向に延在
し、下方へ向かって内径が漸減する管状の部材であり、
その上端部は、血液流入口5bおよび心腔内血液入口5
eにそれぞれ連通している。また、血液導入管14の下
端は、後述する消泡部材16の下端面161よりやや上
方に位置しており、これにより、血液流入口5bから血
液導入管14へ導入された血液は、血液導入管14の下
端より落下して、消泡部材16に接触することなく除泡
装置7a内に供給される。
【0059】このような血液導入管14の周囲には、好
ましくは円筒状の消泡部材16が設置され、さらにその
外周に好ましくは円筒状のフィルター部材15が設置さ
れている。フィルター部材15の下端開口には、除泡装
置7bの内部に向かって突出する血液分配部材17が装
着されている。この血液分配部材17は、血液導入管1
4の下端より落下してきた血液をフィルター部材15の
内面に向けて放射状に均一に分配する機能を有するもの
である。
【0060】また、フィルター部材15の下端部は、充
填材18により血液分配部材17の外周部に固着されて
おり、フィルター部材15および消泡部材16の上端部
は、充填材18により血液導入管14の基部に固着され
ている。フィルター部材15は、前記と同様の第1フィ
ルター部151および第2フィルター部152で構成さ
れている。第1フィルター部151には、実質的に消泡
剤が担持されておらず、第2フィルター部152には、
前述したような消泡剤が担持されている。
【0061】この場合、図4に示すように、フィルター
部材15は、前述したような素材をひだ(プリーツ)状
に成形した内層155と、この内層155の外周に接着
された外層156とで構成されている。
【0062】内層155は、ひだ状に成形されているの
で、フィルター部材15の有効面積を十分に取ることが
できる。また、外層156は、消泡部材16との間で内
層155の変形を規制し、フィルター部材15を一定の
形状に保持する機能を有するものであり、比較的硬質の
メッシュ、ネットまたはフレーム部材が好適に用いられ
る。
【0063】フィルター部材15の上部内周面には、第
2フィルター部152と重なるように、前記と同様の消
泡部材16が設置されている。この消泡部材16には、
前記と同様の消泡剤が担持されている。消泡部材16の
下端面161の位置は、前記最大液面レベルLmax 付近
またはそれより上方とするのが好ましい。
【0064】また、フィルター部材15において、第1
フィルター部151と第2フィルター部152との境界
153の位置は、前記と同様の理由から、貯血槽1の最
大貯血量の好ましくは5〜75%の範囲、より好ましく
は20〜70%の範囲の貯血量に対応した液面レベルの
範囲内に設定されており、さらには、除泡装置7b内の
血液の常用液面レベルL0 付近に設定されているのが好
ましい。
【0065】なお、消泡部材16および第2フィルター
部152の各消泡剤の組成や担持量に差異を設けるこ
と、および境界153の形状や明確性については、前記
と同様である。図示の構成例では、1つのハウジング2
内に2つの除泡装置7aおよび7bが設置されているも
のを挙げたが、本発明ではこれに限らず、1つのハウジ
ング内に1つの除泡装置が設置されているものでもよ
い。
【0066】以上、本発明の貯血槽を、図示の構成例に
ついて説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。なお、本発明の貯血槽の用途は特に限定されない
が、体外血液循環回路において、脱血した血液を一時的
に貯留しておく貯血槽や、術野より吸引された血液から
異物を瀘別し、一時的に貯留しておく貯血槽(カーディ
オトミーリザーバー)に適用するのが好ましい。
【0067】次に、本発明の貯血槽を、具体的実施例に
基づいてさらに詳細に説明する。 (実施例1)図1に示す構成のハウジングに図2に示す
除泡装置を装着した構成の貯血槽を作製した。この貯血
槽における諸条件は、下記表1に示す通りである。
【0068】
【表1】
【0069】(実施例2)第1および第2フィルター部
の境界位置を、最大貯血量の10%の貯血量での液面レ
ベルの位置とした以外は、実施例1と同様の貯血槽を作
製した。
【0070】(実施例3)第1および第2フィルター部
の境界位置を、最大貯血量の70%の貯血量での液面レ
ベルの位置とした以外は、実施例1と同様の貯血槽を作
製した。
【0071】(実施例4)第2フィルター部の消泡剤担
持量を消泡部材の消泡剤担持量より少なくするために、
第2フィルター部の消泡剤担持条件として、0.5 %シリ
コーン/1000mlフレオンに浸漬後、自然乾燥した以外
は、実施例1と同様の貯血槽を作製した。
【0072】(比較例)第2フィルター部に消泡剤を担
持させない以外は、実施例1と同様の貯血槽を作製し
た。
【0073】上記実施例1〜4および比較例の各貯血槽
に対し、次のような実験を行った。血液流入口から、平
均流量4000ml/minで血液を供給するとともに、この
血液に100ml/minの割合で気泡(直径1〜5mm程度)
を混入させ、所定時間経過後、貯血槽内の気泡の状態を
観察した。なお、血液の供給量は、±500ml/minの範
囲で変動した。
【0074】その結果、実施例1〜4の貯血槽では、い
ずれも、10分以上経過しても気泡は正常に除去され続
けていたのに対し、比較例の貯血槽では、気泡の蓄積量
が徐々に増大し、10分経過した時点で、除泡措置の上
部から気泡が噴出した。また、実施例1〜4の貯血槽に
おいて、血液流出口から流出する血液中の消泡剤の濃度
を測定したところ、測定限界以下であった。
【0075】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の貯血槽によ
れば、消泡剤を実質的に担持しない第1フィルター部
と、消泡剤を担持する第2フィルター部と、消泡剤を担
持する消泡部材との3層構造としたことにより、血液流
入量の変動に伴う貯血槽内の血液液面の変動や気泡量の
変動が生じても、これに対応して有効に除泡することが
でき、しかも血液が消泡剤と接触する頻度が低く、消泡
剤の血液中への混入量を最大限に抑制することができる
ので、生体への悪影響がない。すなわち、優れた除泡効
果を安定的に得られることと、消泡剤の血液中への混入
抑制とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の貯血槽の構成例を示す側面図である。
【図2】図1中のA−A線での断面図である。
【図3】図1中のB−B線での断面図である。
【図4】図3中のC−C線での断面図である。
【符号の説明】
1 貯血槽 2 ハウジング 25 貯血空間 3 ハウジング本体 31 突出部 4 蓋体 5a、5b 血液流入口 5c プライミング液注入口 5d 脱気口 5e 心腔内血流入口 6 血液流出口 7a、7b 除泡装置 8 血液導入管 9 フィルター部材 91 第1フィルター部 92 第2フィルター部 93 延長部 94 境界 10 消泡部材 101 境界 11 プライミング液導入管 12 フレーム部材 14 血液導入管 15 フィルター部材 151 第1フィルター部 152 第2フィルター部 153 境界 155 内層 156 外層 16 消泡部材 161 下端面 17 血液分配部材 18 充填材 L0 常用液面レベル Lmax 最大液面レベル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/14 - 1/36

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血液流入口と血液流出口とを有するハウ
    ジングと、前記血液流入口に連通するよう前記ハウジン
    グ内に設置された除泡装置とを有する貯血槽であって、 前記除泡装置は、前記血液流入口に接続された血液導入
    管と、フィルター部材と、このフィルター部材の上方に
    設置され、消泡剤を担持する消泡部材とを備えており、 前記フィルター部材は、下方側にある消泡剤を実質的に
    担持しない第1フィルター部と、上方側にある消泡剤を
    担持する第2フィルター部とで構成されていることを特
    徴とする貯血槽。
  2. 【請求項2】 前記第1フィルター部と前記第2フィル
    ター部との境界は、最大貯血量の5〜75%の範囲の貯
    血量に対応した液面レベルの範囲内に形成されている請
    求項1に記載の貯血槽。
  3. 【請求項3】 前記血液流入口より流入した血液が前記
    血液導入管により少なくとも前記消泡部材に接触するこ
    となく除泡装置内に導入されるように構成されている請
    求項1または2に記載の貯血槽。
  4. 【請求項4】 前記消泡部材の下端部が、前記第2フィ
    ルター部の上端部に接合されている請求項1ないし3の
    いずれかに記載の貯血槽。
  5. 【請求項5】 前記消泡部材は、前記フィルター部材よ
    り血液の通過抵抗が低い材料で構成されている請求項1
    ないし4のいずれかに記載の貯血槽。
  6. 【請求項6】 前記消泡部材における消泡剤の担持量
    が、前記第2フィルター部における消泡剤の担持量より
    も多い請求項1ないし5のいずれかに記載の貯血槽。
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