JP3227893B2 - 調味料およびその製造法 - Google Patents

調味料およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は調味料、特に無塩調味料
とその製造法に関し、ス−プ、各種のつゆ類またはたれ
類などの加工用調味液に使用して好適な、風味に優れ品
質安定性の高い調味料とその製造法を提供することにあ
る。
【従来の技術】
【0002】我が国を代表する伝統的醸造調味料である
醤油は、古くから家庭内であるいは各種食品の加工調味
料として多量に消費されてきた。しかしながら、醤油に
は多量の食塩が含まれており、近年、健康上の配慮から
その使用を控える傾向にある。また、現代の食生活の多
様化に伴い、とくに加工食品用の調味料として、従来の
調味料とは異なる機能、例えばレトルト包装加熱時にも
安定した呈味、風味および色調を維持可能な機能を有す
る調味料が求められている。
【0003】このため、可能な限り食塩を含まずアミノ
酸を主要な呈味成分とする各種の調味料を製造する方法
が開発されている。例えば特開昭57−186455に
記載する方法がある。それらの多くは、タンパク質原料
をタンパク質加水分解酵素活性物質を使用して加水分解
し呈味性のアミノ酸を多量に含有する液状物製品を製造
する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如き方法においては、加水分解時に生成するアミノ酸お
よびタンパク質原料に由来する糖分にアミノカルボニル
化反応、「メイラ−ド(Maillard)反応」が生じ、風味
および色調を劣化せしめる褐変化物質を副生する。また
アミノカルボニル化反応生成物は製品の保存時にも引続
き生成され、風味および色調の劣化を来し品質安定性に
問題となるばかりでなく、この種の製品を使用する各種
の加工食品に対し好ましくない臭いを移転または発生せ
しめる。
【0005】また、可能な限り食塩を含まない条件下で
は、タンパク質原料をタンパク質加水分解酵素活性物質
を使用して加水分解を行う際には、雑菌の混入、増殖を
回避することは実際上不可能である。
【0006】なお、アミノカルボニル化反応生成物は、
タンパク質原料中に存在するペントザン、ヘミセルロ−
スなどが、代表的なタンパク質加水分解酵素活性物質で
ある麹菌の生成するガラクタナ−ゼ、キシリナ−ゼなど
の多糖加水分解酵素により加水分解をうけて生成するペ
ント−スを主成分とする糖分とアミノ酸が反応して生成
することから、ペント−スを主成分とする糖分量を低減
化する目的でペント−ス資化性乳酸菌を利用すること、
食塩水を使用してペント−スを除去するなどの報告およ
び対策が提案されている[醤油研究所雑誌,7(1),
19(1981);同誌,11,(5)189(198
5);同誌,12(4),132(1986)]。しか
し、未だ満足すべき効果を上げていない。
【0007】また、食塩の使用を可能な限り低減化する
目的で、最初にグルコ−スを添加、次いで低温下で酵母
菌を増殖せしめ、そこで生成するエタノ−ルの共存下に
おいてタンパク質原料およびタンパク質加水分解酵素活
性物質を接触せしめる試み[Agric. Biol. Chem., 55
(5) 1325 (1991) ]もあるが、雑菌の増殖を抑止しつ
つ、かつ、加水分解を有効に進行させ得るに必要なエタ
ノ−ル濃度を全工程期間にわったて適度に維持すること
は困難である。
【0008】さらに、タンパク質の加水分解はペプチド
の段階で止まり、呈味性に関係あるアミノ酸の生成効率
は必ずしも高くない。また、エタノ−ル臭、原料臭、高
温分解臭が製品の調味料に残る可能性がある。
【0009】その他、酢酸、乳酸などの有機酸を添加し
てタンパク質加水分解を行う方法(特公昭53−187
97)、初期諸味のpHを4〜6に調整すると共に、エ
タノ−ル生産能を有する酵母菌を添加して発酵および消
化分解を行う方法(特開平4−311366)も提案さ
れているが、低pH下ではタンパク質加水分解酵素の活
性低下による分解率の低下が生じ、そのため、呈味およ
び風味とも満足できる製品は得がたい。
【0010】さらに、タンパク質加水分解物中の褐変化
物質、褐変中間体物質を除去する目的で種々の膜処理が
おこなわれているが、これらの物質を完全に除去するこ
とは困難であり、更に残糖を膜処理で除去することも困
難であるので、膜処理を行った製品についても保存時の
品質安定性に不安が残る。
【0011】上記の通り、従来技術による無塩または低
塩の調味料の製造に関しては、製造の全工程中で静菌状
態を保持するために適切なエタノ−ル量を共存および維
持せしめることならびに製品調味料の呈味、風味および
色調を劣化せしめ、その保存時の品質安定性に不安を残
す褐変化物質、褐変中間体物質の生成防止および除去す
ることについては数多の問題があった。
【0012】本発明は、上記問題を解消し、食塩を含有
しないと共に、呈味、風味および品質安定性の優れたの
調味料およびその製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】上記目的を達成するため、請求項1に記載
の発明に係る調味料では、エタノール存在下、タンパク
質原料に、タンパク質加水分解酵素活性物質および糖分
資化性能を有する酵母菌を、初め25℃〜35℃で、次
いで50℃〜60℃で作用せしめ、固体成分を分離除去
することにより得られる糖分濃度1.0(重量/容量)
%以下のものとした。
【0014】また、請求項2に記載の発明に係る調味料
の製造法では、エタノール存在下、タンパク質原料に、
タンパク質加水分解酵素活性物質および糖分資化性能を
有する酵母菌を、初め25℃〜35℃で、次いで50℃
〜60℃で作用させ、固体成分を分離除去するものとす
る。
【0015】また、請求項3に記載の調味料の製造法で
は、請求項2に記載の調味料の製造法において、前記酵
母菌を、エタノ−ル発酵能を有するものとした。
【0016】また、請求項4に記載の調味料の製造法で
は、請求項2又は請求項3に記載の調味料の製造法にお
いて、前記エタノールが、タンパク質原料にタンパク質
加水分解酵素活性物質および糖分資化性能を有する酵母
菌を作用させた後の、固体成分を分離除去した液を減圧
下に濃縮して回収されるものとした。
【0017】
【作用】本発明は、無塩あるいは低塩条件下でタンパク
質原料にタンパク質加水分解酵素活性物質のタンパク質
加水分解酵素を作用せしめて調味料を製造する方法に関
して種々検討した結果、特定範囲にエタノール濃度を維
持しつつ、タンパク質加水分解酵素活性物質に加えさら
に糖分資化性能を有する酵母菌を作用させることによっ
て、好ましい呈味、風味および色調を有し、保存時の品
質安定性を阻害する褐変化物質、褐変中間体物質の含量
も少ない調味料液が得られることを見出し本発明に至っ
たものである。
【0018】これは、製品調味料の呈味、風味および色
調を劣化せしめ、その保存時の品質安定性を阻害する褐
変化物質、褐変中間体物質を生成するアミノカルボニル
化反応を有効に阻止することによって実現できるもので
あり、そのアミノカルボニル化反応の原因となるタンパ
ク質原料の加水分解時に生成する糖分を酵母菌によって
資化し、調味料中に存在する糖分を低濃度に保持するこ
とによる。なお、アミノカルボニル化反応の阻止に有効
な製品調味料中に存在する糖分濃度として1.0(重量
/容量)%以下が望ましい。
【0019】また、タンパク質原料にタンパク質加水分
解酵素活性物質を作用せしめる際には、当初より高濃度
のエタノ−ルを添加することなく、当初添加エタノ−ル
量および工程進行中にその場で生成するエタノ−ル量、
更に工程進行中に逸出するエタノ−ル量の合計量を考慮
して、全工程にわたってエタノ−ル濃度を静菌状態を保
持し、かつ、タンパク質加水分解酵素の活性を阻害しな
い範囲内に維持することが望ましいが、本発明において
は、用いる酵母菌をエタノール発酵能を有するものとす
ることにより、この酵母菌にタンパク質原料の加水分解
時に生成する糖分を資化させてエタノ−ルを生成させ、
該エタノールを利用することが可能となる。
【0020】なお、静菌状態を保持し、かつ、タンパク
質加水分解酵素の活性を阻害しない条件として。少なく
とも作用後の生成液に含有されるエタノ−ル濃度が2〜
20(容量/容量)%の範囲内となることが望ましい。
これは、通常、無塩または低塩条件下において、酵母菌
による作用後にエタノール濃度が2%以下となるような
状態では作用中に雑菌が増殖する恐れがあり、20%以
上となるような場合にはタンパク質加水分解酵素による
作用が阻害されてしまう可能性があり、いずれにしても
作用後に得られる調味液の呈味が良くないためである。
【0021】また、本発明に用いるタンパク質原料とし
ては、主に大豆、小麦、大麦、米、トウモロコシ、米分
離タンパク質、ジャガイモ分離タンパク質、ビ−ル醸造
副製品(ビ−ル粕など)等の植物性原料や、ゼラチン、
卵白、脱脂粉乳、全乳粉末、乳カゼイン、乳ホエイタン
パク質、魚肉、カツオ肉抽出物、鶏肉、牛肉、豚肉、獣
肉抽出エキスまたはこれらの加工品などの動物性原料が
挙げられる。もちろんこれら原料の混合原料でもよく、
例えば大豆とトウモロコシ、大豆と小麦、大豆とゼラチ
ン、大豆分離タンパク質と白身の魚肉フィレ−など種々
の組合わせが考えられる。
【0022】また本発明においては、タンパク質加水分
解酵素活性物質として、タンパク質加水分解活性を有す
る物質またはタンパク質加水分解活性に加えて多糖加水
分解活性を有する物質であれば広く使用可能であるが、
例えば分離したタンパク質加水分解酵素(プロテアー
ゼ)標品、微生物の培養物またはその加工品等がある。
またアスペルギルス(Aspergillus )属菌、バチルス
(Bacillus)属菌の液体培地培養物または固体培地培養
物、特に米麹、麦麹、豆麹、フスマ麹、醤油麹および植
物性原料に動物性原料を被覆し麹菌を培養した混合麹、
さらに、これら各種の麹を混合したものなどがある。
【0023】さらに、本発明で使用する酵母菌は、高い
糖分資化性能を有することが好ましい。さらに、エタノ
−ル発酵能の高い酵母菌であることが望ましいが、非耐
塩性の酵母菌、具体的には清酒酵母、ビ−ル酵母、ワイ
ン酵母、ウイスキ−原酒発酵用酵母およびパン酵母が適
当である。
【0024】また、使用する酵母はこれら各種の酵母の
高密度培養物の他に、酵母菌体を、例えばアルギン酸塩
・ゲル内に包埋した固定化酵母菌体、セラミックス担体
またはセライトに吸着、固定化した酵母菌体も使用でき
る。このような固定化酵母菌体は、長時間、連続使用が
できる可能性があり、調味料製造工程のバイオリアクタ
ーによる自動化、これに伴う全工程の高効率低コスト化
を実現可能とする。
【0025】タンパク質原料にタンパク質加水分解酵素
活性物質および糖分資化性の高い酵母菌を作用させる際
には、初め25〜35℃で、次いで50〜60℃で作用
させることが望ましい。
【0026】タンパク質原料にタンパク質加水分解酵素
活性物質および糖分資化性の高い酵母菌を作用させて得
られる調味料液を製品とするには、固液分離により生成
液中の固体成分を分離除去することが好ましい。これ
は、固体成分には製品調味料の呈味、風味および色調を
劣化せしめ、その保存時の品質安定性を阻害する褐変化
物質、褐変中間体物質が濃縮吸着されているためであ
る。
【0027】また、エタノールを含有する水溶液中でタ
ンパク質原料にタンパク質加水分解酵素活性物質および
糖分資化性の高い酵母菌を作用させる際に、使用するエ
タノ−ル水溶液として、それ以前にタンパク質原料に対
するタンパク質加水分解酵素活性物質および糖分資化性
を有する酵母菌の作用を行った後の、固体成分を分離除
去した液を減圧下に濃縮した時に回収される揮発成分を
含有する水溶液、あるいは該水溶液に適当量のエタノ−
ルまたは滅菌水を添加し、エタノ−ル濃度を調整した溶
液を利用することができる。このように濃縮時に回収さ
れる揮発成分を含有する水溶液を使用すると、製品調味
料の品質、特に風味を向上せしめる。
【0028】
【実施例】以下に本発明を実施例をもって説明する。本
実施例は、エタノール含有水溶液中においてタンパク質
原料としての脱脂大豆に対するタンパク質加水分解酵素
活性物質および酵母菌の作用を各々異なる条件1〜6の
操作に従って行うことによって各々調味液を製造するも
のである。
【0029】ここでは各条件での操作に共通して、ま
ず、市販の醤油麹「うすむらさき」(商品名:樋口松之
助商店製)より分離した麹菌をフスマ培地に接種し、3
0℃に3日間保つことによって新たにフスマ麹を製麹し
ておき、このフスマ麹300gと脱脂大豆1Kgとをエ
タノ−ル水溶液4L中に浸漬後、市販の清酒粕(メルシ
ャン株式会社製)より分離した非耐塩性酵母菌を10万
個/mlになるように添加し、エタノール発酵ならびに
加水分解を行い、生成物液を固液分離して調味液を得
た。
【0030】条件1(a〜d)の操作では、脱脂大豆1
Kg,フスマ麹300g,酵母菌10万個/mlを添加
混合した5(容量/容量)%エタノール水溶液をまず3
0℃5日間保持してエタノール発酵を行い、その後50
℃5日間保持して加水分解を行った。
【0031】条件2の操作では、脱脂大豆1Kg,フス
マ麹300g,酵母菌10万個/mlを添加混合した5
(容量/容量)%エタノール水溶液をまず50℃5日間
保持して加水分解を行い、その後30℃5日間保持して
エタノール発酵を行った。
【0032】条件3の操作では、エタノ−ル発酵を、ア
ルギン酸カルシウム・ゲルに包埋した非耐塩性酵母菌を
充填したカラムに通液する方法によった。ゲル内の酵母
菌濃度は1億個/ml(ゾル状態で非耐塩性酵母菌を1
0万個/ml濃度となし、ゲル化後、該ゲルを30度C
に24時間保持し前記の菌体濃度に調整)。通液条件は
SV=1(カラム内容積量を1時間を要して流下)、R
V=5(通液量はカラム内容積量の5倍)。
【0033】まず、脱脂大豆1Kg,フスマ麹300
g,酵母菌10万個/mlを添加混合した5(容量/容
量)%エタノール水溶液を50℃5日間保持して加水分
解を行う。その後、上記の固定化酵母菌が充填され下部
に流出量の制御可能なコックを備えたカラムへ、加水分
解後の糖を含む分解懸濁液をカラム内容量流入せしめ
る。一時間保持後、カラム下部のコックを開いて少しづ
つ液を流出させ、その流出速度と同一の速度で残余のカ
ラム4倍量の分解懸濁液をカラムへ供給する。最後にカ
ラム内容液が全部流出したところで水を流入せしめカラ
ム内の残渣を押し出す。
【0034】条件4の操作では、条件1の操作に従って
得られた調味液3Kgを減圧下に濃縮した際に分取した
揮発成分に、滅菌水およびエタノールを添加し、エタノ
ール濃度を5(容量/容量)%に調整した水溶液を用い
た。この濃縮揮発成分を含む5(容量/容量)%エタノ
ール水溶液4Lに脱脂大豆1Kg,フスマ麹300g,
酵母菌10万個/mlを添加混合し、まず30℃5日間
保持してエタノール発酵を行い、その後50℃5日間保
持して加水分解を行った。
【0035】条件5の操作では、条件1の操作に従って
得られた調味液3Kgを減圧下に濃縮した際に分取した
揮発成分に、滅菌水およびエタノールを添加し、エタノ
ール濃度を12(容量/容量)%に調整した水溶液を用
いた。この濃縮揮発成分を含む12(容量/容量)%エ
タノール水溶液4Lに脱脂大豆1Kg,フスマ麹300
g,酵母菌10万個/mlを添加混合し、まず30℃5
日間保持してエタノール発酵を行い、その後50℃5日
間保持して加水分解を行った。
【0036】条件6の操作では、条件1の操作に従って
得られた調味液3Kgを減圧下に濃縮した際に分取した
揮発成分に、滅菌水およびエタノールを添加し、エタノ
ール濃度を10(容量/容量)%に調整した水溶液を用
いた。この濃縮揮発成分を含む10(容量/容量)%エ
タノール水溶液4Lに脱脂大豆1Kg,フスマ麹300
g,酵母菌10万個/mlを添加混合し、まず30℃5
日間保持してエタノール発酵を行い、その後50℃5日
間保持して加水分解を行った。
【0037】以上の操作によって取得した各調味液につ
いて、ケ−ルダ−ル(Kjeldahl)法による総窒
素の分析、アミノ酸中のアミノ基をオルト・フェニルア
ルデヒドと反応せしめ生成する蛍光を測定するOPA法
[Poter, D. H., J. Agric. Food Chem., 32,334-339 (1
984)] )による分解率の測定、公定分析法であるフェ−
リング レ−マン ショウル(Fehring Lehmann Schor
l)法による還元糖濃度(g/dL)の測定、製品調味
料を100度Cに3時間保持した場合の吸光度法により
測定した色度の上昇率ならびに15名からなる官能評価
パネルによる官能評価試験を行った。結果を表1に示
す。
【0038】
【表1】
【0039】表1の結果からわかるように、エタノール
発酵は、タンパク質加水分解前に行っても後に行って
も、例えば条件1と条件2の結果を比較すると得られる
調味料液の評価に殆ど差ない。また、特に条件5の結果
から明らかなように、タンパク質原料に対するタンパク
質加水分解酵素活性物質および糖分資化性を有する酵母
菌の作用を行った後の、固体成分を分離除去した液を減
圧下に濃縮した時に回収される揮発成分を含有するエタ
ノール水溶液を使用してさらに調味料を製造すること
は、製品調味料の品質、特に風味を向上せしめる点から
有効である。
【0040】但し、条件5、6の結果から、当初より比
較的高いエタノール濃度でタンパク質加水分解を行う場
合には、分解作用が阻害されるためか調味液の呈味は余
り良くないという傾向が見られる。なお、その他の条件
においては作用後の生成液のエタノール濃度は、初期設
定濃度(表中1EtOH(%) で表示)より1〜2%程度低い
あるいは高い値であってほぼ変わりなく維持されてい
た。
【0041】なお、上記実施例においては、エタノール
発酵を30℃5日間、タンパク質加水分解を50℃5日
間で行ったが、本発明はこれに限定するものではなく、
用いるタンパク質原料、タンパク質加水分解酵素活性物
質および酵母菌の種類に応じて適宜設定すれば良い。
【0042】また、固定化酵母菌を用いる場合、実施例
に示した固定化法以外にも種々の方法が考えられるが、
これも用いる酵母菌、タンパク質原料に応じて、あるい
はバイオリアクターに組み込む場合には物理的・化学的
耐久性等、反応系に応じて適当な方法を選択することが
好ましい。
【0043】さらに、タンパク質原料に対してタンパク
質加水分解酵素活性物質を作用させ、次いで糖分資化性
能を有する酵母菌を作用させるという順を追った工程に
限らず、両者を同時に作用させる工程としても良い。
【0044】ここで、比較例として酵母の作用を関与さ
せないでタンパク質加水分解を行った。上記実施例と同
様に新たに製麹したフスマ麹300gと脱脂大豆1Kg
とを5(容量/容量)%エタノール水溶液4L中に添加
混合し、まず30℃5日間保持し、その後50℃に5日
間保持して(比較例1〜3)、あるいは2、5、7日目
にエタノール濃度を測定し、当初の濃度を維持するよう
エタノールの補充を行いながら(比較例4)タンパク質
加水分解を行った。取得した調味液について実施例と同
一の方法によって分析および官能評価試験を行った。結
果を表1に下部に示す。
【0045】表1からわかるように、比較例では酵母に
よる作用がなく、即ちタンパク質加水分解工程を経て生
成された糖の酵母による資化が十分行われておらず、い
ずれの比較例の場合も3g/dL前後と実施例に比べ多
くの還元糖が分析された。このように、エタノール存在
下でタンパク質加水分解を行っても、糖分資化という酵
母の関与がなければ呈味が良くかつ品質安定性の良い調
味料は得られないことが明らかとなった。
【0046】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
実質上食塩を含まず調味液として好ましい呈味、風味お
よび色調を有すると共に、褐変化物質、褐変中間体物質
の含量も少なく保存時の品質安定性にも優れた調味料が
得られる。このような調味料は、健康上の点および品質
の点から、安心して種々の調味材料、加工食品に利用で
きる。
フロントページの続き (72)発明者 高野 靖 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味 の素株式会社食品総合研究所内 (56)参考文献 特開 平4−311366(JP,A) 特開 平4−346768(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/22 - 1/237

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エタノール存在下、タンパク質原料にタ
    ンパク質加水分解酵素活性物質および糖分資化性能を有
    する酵母菌を、初め25℃〜35℃で、次いで50℃〜
    60℃で作用せしめ、固体成分を分離除去することによ
    り得られる糖分濃度1.0(重量/容量)%以下のもの
    であることを特徴とする調味料。
  2. 【請求項2】 エタノール存在下、タンパク質原料に、
    タンパク質加水分解酵素活性物質および糖分資化性能を
    有する酵母菌を、初め25℃〜35℃で、次いで50℃
    〜60℃で作用させ、固体成分を分離除去することを特
    徴とする請求項1に記載の糖分濃度1.0(重量/容
    量)%以下の調味料の製造法。
  3. 【請求項3】 前記酵母菌が、エタノ−ル発酵能を有す
    ることを特徴とする請求項2に記載の調味料の製造法。
  4. 【請求項4】 前記エタノールが、タンパク質原料にタ
    ンパク質加水分解酵素活性物質および糖分資化性能を有
    する酵母菌を作用させた後の、固体成分を分離除去した
    液を減圧下に濃縮して回収されるものであることを特徴
    とする請求項2または請求項3に記載の調味料の製造
    法。
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