JP3226689B2 - 自己診断機能を備えた充電発電機 - Google Patents

自己診断機能を備えた充電発電機

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、自己診断機能を備えた
充電発電機に係り、特に内燃機関によって駆動される車
両用充電発電機として好適な自己診断機能を備えた充電
発電機に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、車両用交流発電機等の充電系の診
断装置は、例えば特開昭58−195436号公報に記載されて
いるように、充電系の各部分の状態情報を所定周期で入
力し、故障診断を行い、その結果をただちに表示装置上
に表示することが知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術の診断装
置では、充電系における各種異常の検出，異常発生時及
び異常継続時の運転者への警告が可能であるが、特定状
況下においてのみ発生するような一時的な異常の場合、
警告も一時的にしか行われないため、運転者に警告が伝
わらない場合が有り、整備及び開発担当者による異常の
発生状況確認及び原因究明等には余り有効なものとは言
えない。
【０００４】本発明の目的は、異常発生時，記憶手段に
異常情報，異常内容の少なくとも一つを保持し、必要に
応じて、外部から記憶内容を出力可能とすることによ
り、充電系異常の発生状況確認及び原因究明等を支援す
ることである。
【０００５】本発明の他の目的は、前記診断部におい
て、前記制御部の入出力信号を監視することにより、よ
り正確な自己診断を行い、運転者に対し、逐次充電系情
報を伝えるとともに、整備及び関係者に異常発生時の情
報を伝えることを可能とすることである。
【０００６】本発明の更なる目的は、必要に応じて、パ
ーソナル・コンピュータ等の情報の処理が可能な外部機
器を接続することにより、充電発電機または電圧調整器
単体における記憶内容の出力を容易にし、整備及び関係
者に異常の発生状況を容易に伝えることである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明は、自己診断手段
と，記憶手段と，出力手段を備えた自己診断機能を備え
た充電発電機において、異常検出時，記憶手段に異常デ
ータ，異常内容の少なくとも一つを保持し、その保持デ
ータが必要な時には、外部から特定信号を入力すること
により、出力手段より読み出すことによって達成され、
充電系異常の発生状況確認及び原因究明等を支援する自
己診断機能が可能となる。
【０００８】
【作用】自己診断手段は、回路の異常発生時，記憶手段
に異常データ，異常内容の少なくとも一つを保持し、必
要に応じて外部からの特定電圧、特定パルス等の特定入
力信号を入力することによって、出力手段より記憶内容
を出力可能とする。
【０００９】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づい
て説明する。
【００１０】図１は自動車等に搭載される充電発電機の
回路図で、１は発電機、１１は電機子巻線であり、１２
は電機子巻線１１に発生する交流電圧を直流に変換する
三相全波整流器、１３は前記電機子巻線１１に磁束を供
給する界磁巻線である。
【００１１】２は電圧調整器、３はチャージ・ランプ
で、４はエンジンのキー・スイッチである。５は前記発
電機１により充電され、外部負荷６にスイッチ６ａを介
して電流を供給する蓄電池である。７は車両に搭載され
る表示装置（ＣＲＴ）、８はエンジン制御装置で、９は
パーソナル・コンピュータである。
【００１２】次に電圧調整器２の詳細を説明する。２１
はフライホイルダイオードであり、界磁巻線１３を駆動
するパワー・トランジスタ２２がＯＮからＯＦＦに変わ
った時のフライバック電流をＢ端子へ逃がす役割をす
る。２３はチャージ・ランプ３を駆動するパワー・トラ
ンジスタである。２４は界磁電流検出用シャント抵抗で
あり、２５はパワー・トランジスタ２２をＯＮ−ＯＦＦ
駆動するための制御回路である。２６は自己診断回路で
ある。２７は外部から調整電圧を制御する外部コントロ
ール信号の入力用のＣ端子（以下Ｃ端子と略す）であ
り、２８は前記自己診断回路２６からの情報を外部のパ
ーソナル・コンピュータ９に出力する出力端子である。
【００１３】図２は、自己診断回路２６にマイクロ・コ
ンピュータを使用した内部構成の一例である。この図に
おいて２６１は演算を行うＣＰＵ、２６２はデータの記
憶、演算処理に使用するＲＡＭ、２６３はプログラムを
格納したＲＯＭ、２６４は書き込み可能なＲＯＭで不揮
発性メモリが用いられる。２６５は充電系情報及びＣ端
子２７からの信号入力用のＩ／Ｏレジスタ、２６６はパ
ワー・トランジスタ２３駆動信号とＣＲＴ７で表示され
る信号及び出力端子２８を介して外部パーソナル・コン
ピュータ９に送る信号出力用のＩ／Ｏレジスタ、２６７
はバスラインである。
【００１４】次に、図３，図４を用いて、上記構成の動
作を説明する。図３は通常動作時のフローチャートであ
り、エンジンのキー・スイッチ４の投入により、発電制
御装置２が起動し、ＲＯＭ２６３に格納された診断プロ
グラムが実行される。次に制御回路２５により、パワー
・トランジスタ２２を一定通流率でＯＮ／ＯＦＦ制御
し、界磁巻線１３に初期励磁電流が流されるとともに、
パワー・トランジスタ２３が導通し、チャージ・ランプ
３が点灯する。次にエンジンが始動することにより、エ
ンジンと発電機１にかけられた発電機駆動用ベルト（図
示せず）を介して発電機１が駆動され、電機子巻線１１
に交流電圧が誘起され、三相全波整流器１２により整流
された後、蓄電池５，発電制御装置２，負荷６等に電力
が供給される。この時、制御回路２５により前記発電機
１の発電開始を検出し、パワー・トランジスタ２３を非
導通としチャージ・ランプを消灯する。また前記蓄電池
５の端子電圧を検出し最適な出力電圧になるよう、パワ
ー・トランジスタ２２の通流率を制御する電圧制御を開
始する。以上の発電動作において、ステップ３０２で発
電機回転数，発電機出力電圧，界磁電流等の充電系情報
をRAM262に取り込み、ステップ３０３ではキー・スイッ
チ４の状態を読み込み、ＯＮ状態であればステップ３０
４に移り、ＯＦＦ状態であれば、プログラムを終了す
る。ステップ３０４ではステップ３０２でRAM262に取り
込んだ各種情報を、それぞれの設定値または設定範囲と
比較し、設定値と同一または設定範囲内であれば、ステ
ップ３０５で充電系情報を表示装置７に表示し、プログ
ラムを終了する。また、それ以外であれば、異常情報と
判断してステップ３０６に移る。
【００１５】次にステップ３０４において異常と判断さ
れた情報より、ステップ３０６で充電系を構成する配線
の断線、各配線接続用端子の外れ、パワー・トランジス
タの短絡等の制御装置の故障、前記発電機駆動用ベルト
のスリップ、切断等の異常内容を判断し、ステップ３０
７では前記異常内容に対応した信号により、パワー・ト
ランジスタ２３を駆動し、チャージ・ランプ３を点滅さ
せることによって運転者に異常を警告するとともに内容
を報知する。
【００１６】ステップ３０８においては、前記異常情
報，異常内容をＣＲＴ７に表示する。またステップ３０
９では、ROM264に保持されている異常内容をRAM262に取
り込み、今回の異常内容と比較し、異常内容が同じであ
ればプログラムを終了し、異常内容が異なればステップ
３１０で今回の異常内容を前記ROM264に追加保存した
後、プログラムを終了する。上記動作は、キー・スイッ
チがＯＮ状態の間、所定の周期で実行される。これによ
り、異常内容を時系列に記憶可能であり、異常発生時の
状況確認や原因究明に有益な情報をもたらすことができ
る。
【００１７】次に図４は、記憶データ出力時の動作であ
る。まずステップ４０２において、前記Ｃ端子２７から
信号を検出し、前記RAM262に取り込む。
【００１８】ステップ４０３において、前記信号値と記
憶データの出力モード信号値を比較し、同一であればス
テップ４０４、異なればプログラムを終了する。
【００１９】ステップ４０４では、ROM264に保存されて
いるデータの有無を確認し、記憶データがない場合には
プログラムを終了する。データが有れば、ステップ４０
５で記憶データを、図５のような所定の形式でＣＲＴ７
に表示し、出力端子２８を介してパーソナル・コンピュ
ータ９に出力後、ステップ４０４に戻る。以上が記憶デ
ータ出力モードであり、このモードにより容易に記憶デ
ータの出力ができる。ここで、ステップ４０３の補足説
明をする。本実施例において、前記自己診断回路２６へ
記憶データ出力を命令する出力モード信号は、前記外部
コントロール信号用のＣ端子２７を入力端子として使用
するため、入力信号を区別する必要がある。そこでま
ず、入力信号の電圧及び周波数の領域を図６に示す。こ
の図において領域ａが外部コントロール信号の領域であ
り、出力モード信号には電圧及び周波数の少なくとも一
つが異なる領域ｂが使用可能である。例えば外部コント
ロール信号が、図７に示したような電圧がＶＡ、周期ｔ
が一定なデューティー信号であれば、出力モード信号に
は前記領域ｂの一例として図８のような信号が使用でき
る。この信号は、電圧，周期の両方が、前記外部コント
ロール信号と異なっており、両信号の判別は容易であ
る。
【００２０】また本実施例では、前記出力モード信号の
電圧ＶＢを前記蓄電池５の端子電圧に設定することによ
り、特殊な装置を使わず前記蓄電池５の端子と前記Ｃ端
子２７の接続のみで、容易に記憶データの出力が可能で
ある。
【００２１】なお、上述の本実施例では、電圧調整器２
を車両に搭載したままで診断結果を出力する場合を説明
したが、上述の制御回路２５及び自己診断回路２６を備
えた電圧調整器２を車両から取外した状態で記憶内容を
読み出すようにすれば整備及び開発担当者による作業が
極めて容易となる。 また、本実施例では表示装置として
ブラウン管（ＣＲＴ）を使用したが、言うまでもなく液
晶パネル，ＬＥＤパネル等のあらゆる表示装置に置き換
えることができる。例えばナビゲーションシステムの表
示装置と兼用すれば、ナビゲーションシステムの一機能
として、自己診断機能を組み込むことができる。この場
合、前記ナビゲーションシステムのメニュー画面におい
て自己診断を選択した場合に、前記ナビゲーションシス
テムからＣ端子２７を介して自己診断回路２６に記憶デ
ータ出力モード信号を送り、前記自己診断回路２６より
出力される診断結果及び充電系情報が表示されるシステ
ムが可能である。
【００２２】
【発明の効果】本発明の効果の一つは、簡単な方法によ
り回路の異常状態を外部から読みだし可能とすることに
より、運転者への異常警告はもちろん、整備及び開発担
当者による充電系異常の発生状況確認及び原因究明等を
容易に支援することができる。本発明の他の効果は、診
断部において、制御部の入出力信号を監視することによ
り、より正確な自己診断を行い、運転者に対し、逐次充
電系情報を伝えると共に、整備及び開発担当者に異常発
生時の情報を正しく伝えることが出来る。
【００２３】本発明の他の効果は、必要に応じて、パー
ソナル・コンピュータ等の情報の処理が可能な外部機器
を接続することにより、充電発電機または電圧調整器単
体における記憶内容の出力を容易にし、整備及び開発担
当者に異常の発生状況を容易に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例による充電発電機の回路図。
【図２】本発明の一実施例による自己診断手段の構成
図。
【図３】本発明の一実施例による自己診断のフローチャ
ート図。
【図４】本発明の一実施例による記憶データ出力のフロ
ーチャート図。
【図５】本発明の一実施例による表示装置の表示フォー
マット図。
【図６】本発明の一実施例による入力信号の電圧及び周
波数領域図。
【図７】本発明の一実施例による外部コントロール信号
の波形図。
【図８】本発明の一実施例による出力モード信号の波形
図。
【符号の説明】
１…発電機、２…電圧調整器、３…チャージ・ランプ、
５…蓄電池、７…表示装置、８…エンジン制御装置、９
…パーソナル・コンピュータ、２５…制御部、２６…診
断部、２７…Ｃ端子、２８…出力端子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 引田 栄 茨城県勝田市大字高場字鹿島谷津2477番 地３ 日立オートモティブエンジニアリ ング株式会社内 (72)発明者 丸本 勝二 茨城県日立市大みか町七丁目１番１号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 特開 平１−260344（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) H02J 7/14 - 7/24 H02P 9/00 - 9/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】電機子巻線及び界磁巻線を備え、エンジン
    により駆動されて、その出力が蓄電池に充電される充電
    発電機であって、前記界磁巻線の界磁電流を制御して前
    記発電機の出力電圧を調整する電圧調整器を備え、前記
    電圧調整器には、エンジン制御装置から前記出力電圧を
    調整するためのコントロール信号を受けるコントロール
    信号入力端子が設けられ、前記電圧調整器は、前記コン
    トロール信号を受けて前記出力電圧を調整する制御機能
    と、前記制御機能を自己診断する自己診断機能と、前記
    自己診断の診断結果を保持する記憶機能とを有し、前記
    コントロール信号とは電圧又は周波数が異なる領域の出
    力モード信号が前記コントロール信号入力端子に入力さ
    れたときに前記記憶機能により保持された記憶内容を出
    力可能としたことを特徴とする自己診断機能を備えた充
    電発電機。
  2. 【請求項２】前記電圧調整器の制御機能は、前記コント
    ロール信号の他に、蓄電池電圧，界磁電流，発電機回転
    数等の充電系情報を受けて前記発電機の出力電圧を制御
    するとともに、前記電圧調整器の診断機能は、前記充電
    系情報、前記制御機能により出力される制御信号、及び
    前記コントロール信号を入力し、自己診断を行うことを
    特徴とする請求項１記載の自己診断機能を備えた充電発
    電機。
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