JP3225553B2 - 高純度の水性シリカゾルの製造方法 - Google Patents

高純度の水性シリカゾルの製造方法

Info

Publication number
JP3225553B2
JP3225553B2 JP26384291A JP26384291A JP3225553B2 JP 3225553 B2 JP3225553 B2 JP 3225553B2 JP 26384291 A JP26384291 A JP 26384291A JP 26384291 A JP26384291 A JP 26384291A JP 3225553 B2 JP3225553 B2 JP 3225553B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous solution
sio
sol
aqueous
silica
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP26384291A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0597422A (ja
Inventor
淑胤 渡部
博水 鈴木
幹夫 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Chemical Corp
Original Assignee
Nissan Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=17394985&utm_source=***_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3225553(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Nissan Chemical Corp filed Critical Nissan Chemical Corp
Priority to JP26384291A priority Critical patent/JP3225553B2/ja
Publication of JPH0597422A publication Critical patent/JPH0597422A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3225553B2 publication Critical patent/JP3225553B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Silicon Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、30〜50重量%のSiO2
度を有し、コロイダルシリカの平均粒子径は10〜30ミリ
ミクロンであって、しかも、シリカ以外の多価金属酸化
物を実質的に含まない所謂高純度を有する安定な水性シ
リカゾルの製造法の改良に関する。特に、本発明の方法
により得られたシリカゾルは、鉄、アルミニウム等多価
金属の酸化物の含有率が極度に低いので、シリカゾル中
これら多価金属分の不存在が望まれる用途、例えば、半
導体の研磨剤として用いられる。
【0002】
【従来の技術】種々の用途に用いられる工業製品の安定
な水性シリカゾルは、水溶性のアルカリ金属珪酸塩、特
に、安価に入手できる工業製品の水ガラスから製造され
ている。けれども、この水ガラスから製造された安定な
水性シリカゾルに対し、幾つかの用途、例えば、半導体
表面の研磨剤、石英ファイバー用原料、その他高純度の
ゾルが望まれる用途においては、それら分野の技術の高
度化と共に、そのシリカゾル中に通常微量に存在する金
属酸化物、特に、多価金属酸化物に原因して、しばしば
問題が起っている。
【0003】アルカリ金属酸化物を実質的に含まない水
性シリカゾルの製造法は既に知られている。例えば、米
国特許第 4054536号明細書には、アルカリ金属酸化物を
実質的に含まない水性シリカゾルの製造法として、アル
カノールアミンの熱水溶液に2〜10%の珪酸水溶液をア
ミンに対するSiO2のモル比として 1〜100 の比率に加え
ながら水を蒸留除去することによって得られたpH 8〜1
0、SiO25〜55%の水性ゾルを、イオン交換樹脂中を通過
させることによってアルカリ金属含量 200ppm以下、pH
2〜5 の水性シリカゾルを生成させ、これにアンモニア
をpH 9〜10となるように加えることによって、アルカリ
金属含量 200ppm 以下のシリカゾルを得る方法が開示さ
れている。
【0004】更に、特開昭61−158810号公報には、濃度
0.5〜7 重量%のアルカリ珪酸塩の水溶液を強酸型陽イ
オン交換樹脂と接触させて脱アルカリすることにより得
られた珪酸液に、酸を加えてpH 2.5以下、温度 0〜98℃
でその珪酸液を処理し、次いでこの処理後の液中の不純
物を限外濾過膜を通過させることにより除いた後、陰陽
イオン交換樹脂の混床、キレート樹脂層等を通過させ、
得られたオリゴ珪酸溶液の一部にアンモニア、アミン等
を加えてpH 7〜10のヒールゾルとなし、60〜98℃でこの
ヒールゾルにオリゴ珪酸溶液の残部を徐々に滴下するこ
とによりコロイダルシリカの粒子を成長させることによ
って、シリカ以外の多価金属酸化物含有率が低いシリカ
ゾルを得る方法が提案されている。
【0005】更に、特開昭63-285112 号公報には、約40
重量% のSiO2濃度を有し、シリカ以外の多価金属酸化物
を実質的に含まない、かつ、コロイダルシリカの大きさ
が揃っていてその粒子径が30〜100 ミリミクロンである
安定な水性シリカゾルの製造法として、酸添加により 0
〜2 のpHに調整されたSiO2濃度 2〜6 重量% の活性珪酸
の水溶液を陰陽両イオン交換樹脂で処理することにより
得られた活性珪酸の水溶液に、アルカリ金属水酸化物を
加えてSiO2/M2O (但し、M はアルカリ金属原子を表
す。) モル比が 100〜300 である安定化活性珪酸の水溶
液をつくり、この液をアルカリ金属水酸化物又はアルカ
リ金属珪酸塩の水溶液に90〜150 ℃で液中SiO2/M2Oモル
比が20〜60となるまで徐々に加えた後更に同温度で加熱
を続け、これにより得られたシリカゾルに酸を加えて液
中アルカリの40〜90% を中和し、更に同温度で加熱を続
け、得られた水性シリカゾルを微細多孔性膜を介して濃
縮する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】市販工業製品の水ガラ
スを原料として、その希釈水溶液を陽イオン交換樹脂層
に通すことによって得られた活性珪酸の水溶液を用い
て、上記米国特許第 4054536号明細書に記載の方法で水
性シリカゾルを製造すると、シリカに対するアルカリ金
属含有率 200ppm以下の水性シリカゾルを得ることがで
きるが、他の金属、例えば、鉄、アルミニウム等多価金
属の含有率はシリカに対し 300ppm 以上含有する水性シ
リカゾルしか得られない。この高い含有率で存在する多
価金属は、原料である水ガラス中に約 300ppm 以上含ま
れていた多価金属酸化物に由来するものである。
【0007】上記特開昭61−158810号公報に記載の方法
では、水ガラス等原料のアルカリ金属珪酸塩中に存在す
るアルカリ金属及び珪素以外の多価金属のいずれも、シ
リカゾルを製造する過程において除去することが行われ
る。けれども、この除去の方法は、加えられた酸を含有
する活性珪酸の水溶液から、その中に含まれている不純
物を限外濾過膜を通過させて除く際に、活性珪酸の水溶
液にこの液の20倍〜1万倍に相当する量の別途調製の酸
液を補給せねばならず、シリカゾルの工業生産プロセス
としては効率的でない。更に、この特開昭61−158810号
公報に記載の方法では、コロイダルシリカの粒子成長の
ため 760時間もの長時間を要し、そしてこの粒子成長を
終えた後にシリカゾルの濃縮が行われるから、シリカゾ
ルの工業生産プロセスとしてはやはり効率的でない。
【0008】上記特開昭63-285112 号公報に記載の方法
では、30ミリミクロンより小さいコロイダルシリカの安
定な水性ゾルは製造し難い。シリカゾルを結合剤として
用いる場合には、用いられるゾルのコロイダルシリカの
粒子径が小さい程、ゾルはより高い結合力を示すが、そ
の反面、用いられるゾルのコロイダルシリカの粒子径が
小さい程、ゾルは安定性に乏しくなるので、これを補う
にはゾルのSiO2濃度を低めねばならない。けれども、一
般に結合剤として用いる場合には、高いSiO2濃度であっ
てしかも結合力の充分なものが望まれる。
【0009】このように、シリカゾルを使用して得られ
る製品の性能の向上に適合する如き改良されたシリカゾ
ルを安価な工業製品として提供することが課題となって
いる。本発明は、このような課題及び上記従来のシリカ
以外の多価金属酸化物含量の低いシリカゾル製造法の問
題を解決しようとするものであって、シリカ以外の多価
金属酸化物含量がシリカに対し 300ppm より少なく、30
〜50重量%のSiO2濃度を有し、そしてコロイダルシリカ
の平均粒子径が10〜30ミリミクロンである安定な水性シ
リカゾルを、多価金属酸化物を不純物として含むアルカ
リ金属珪酸塩から効率よく製造する方法を提供しようと
するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の、30〜50重量%
のSiO2濃度を有し、シリカ以外の多価金属酸化物を実質
的に含まない、かつ、コロイダルシリカの平均粒子径が
10〜30ミリミクロンである安定な水性シリカゾルの製造
法は、下記工程(a) 、(b) 、(c) 、(d) 、(e)、(f) 、
(g) 及び(h) からなることを特徴とする。
【0011】(a) シリカ以外の多価金属酸化物をシリカ
に対し 300〜10000ppmの比率に含有する水溶性のアルカ
リ金属珪酸塩がこの珪酸塩に由来するSiO2分として 1〜
6 重量%の濃度に溶解しているアルカリ金属珪酸塩の水
溶液を、水素型強酸性陽イオン交換樹脂と接触させるこ
とによりSiO2濃度 1〜6 重量%の活性珪酸の水溶液を生
成させ、この生成液を回収する工程、(b) (a) 程で回収
された活性珪酸の水溶液に強酸を加えることにより該水
溶液をpH 0〜2.0 に調整した後、 0〜100 ℃に 0.1〜12
0 時間保持する工程、(c) (b) 程で得られた水溶液を水
素型強酸性陽イオン交換樹脂と接触させた後、この接触
によって生成した液を水酸基型強塩基性陰イオン交換樹
脂と接触させることにより、実質的に活性珪酸以外の溶
解物質を含まず、かつ、SiO2濃度が 1〜6 重量%である
活性珪酸の水溶液を生成させ、この生成液を回収する工
程、(d) (c) 工程で回収された活性珪酸の水溶液に、ア
ルカリ金属水酸化物の水溶液を加えることにより得られ
るアルカリ金属珪酸塩水溶液又はこの水溶液を濃縮又は
希釈することにより得られるSiO2/M2O (但し、M はアル
カリ金属原子を表す。) モル比 1〜4.5 及びSiO2濃度
0.1〜8 重量% を有するアルカリ金属珪酸塩水溶液、或
いは濃度 0.1〜5 重量% のアルカリ金属水酸化物の水溶
液に、上記(c)工程と同様にして得られた活性珪酸の水
溶液を、得られる混合液の温度を60〜150 ℃に保って充
分な攪拌下に、この混合液中のSiO2/M2O (但し、M は上
記に同じ。) モル比が30〜300 となるまで 1〜20時間の
間に供給する工程、(e) (d)工程で得られた液を攪拌下6
0〜150 ℃で 0.1〜10時間加熱することにより平均粒子
径10〜30ミリミクロンのコロイダルシリカの安定な水性
ゾルを生成させる工程、(f) (e)工程で得られた安定な
水性ゾルから、このゾルの水を微細多孔性膜を介して除
くことにより、SiO2濃度30〜50重量% の安定な水性シリ
カゾルを生成させる工程、(g) (f)工程で得られた安定
な水性シリカゾルを水素型強酸性陽イオン交換樹脂と接
触させた後、この接触により生成した水性シリカゾルを
水酸基型強塩基性陰イオン交換樹脂と接触させることに
よりシリカ以外の多価金属酸化物を実質的に含まない酸
性の水性シリカゾルを生成させる工程、及び(h) (g)工
程で生成した酸性の水性ゾルに、そのゾルのpHが 8〜1
0.5となるようにアンモニアを加えることにより、30〜5
0重量%のSiO2濃度を有し、シリカ以外の多価金属酸化
物を実質的に含まず、そしてコロイダルシリカの平均粒
子径が10〜30ミリミクロンである安定な水性シリカゾル
を生成させる工程 。
【0012】本発明の製造方法の(a) 工程に用いられる
アルカリ金属珪酸塩としては、市販工業製品として入手
されるものでよいが、それに含まれるアルカリ金属と珪
素とがSiO2/M2O( 但し、Mはアルカリ金属原子を表わ
す。)モル比として 0.5〜4.5程度である水溶性のもの
が適当である。特に、安価な工業製品としてシリカゾル
を大規模に生産するには、安価な工業製品である SiO2/
Na2Oモル比が2〜4 程度のナトリウム水ガラスを用いる
のが好ましい。けれども、この市販工業製品の水ガラス
中には、通常、シリカ以外の多価金属酸化物がその水ガ
ラス中のSiO2分に対し 300〜10000ppm程度不純物として
含有されている。その含有率が比較的に高い多価金属の
主なものはアルミニウム、鉄、カルシウム、マグネシウ
ム等である。
【0013】(a) 工程では、このようなシリカ以外の多
価金属酸化物を不純物として含有するアルカリ金属珪酸
塩を、この珪酸塩に由来するSiO2分として 1〜6 重量
%、好ましくは 2〜6 重量% の濃度に水に溶解させるこ
とによって得られたアルカリ金属珪酸塩水溶液が用いら
れる。この水としては工業用水を陽イオン除去処理した
ものでよい。
【0014】本発明の(a) 工程に用いられる水素型強酸
性陽イオン交換樹脂は、従来から水ガラス水溶液のアル
カリ金属イオン除去用に用いられているものでよく、市
販の工業製品として容易に入手される。その例として
は、商品名アンバーライトIR−120Bが挙げられる。本発
明の(a) 工程では、上記アルカリ金属珪酸塩水溶液を上
記水素型強酸性陽イオン交換樹脂に接触させることが行
われる。この接触は、このイオン交換樹脂充填のカラム
中を通液させることにより好ましく行うことができ、カ
ラム通過液は、SiO2濃度 1〜6 重量% 、好ましくは 2〜
6 重量%とpH 2〜4 を有する活性珪酸の水溶液として回
収される。用いられる水素型陽イオン交換樹脂の量とし
ては、アルカリ金属珪酸塩水溶液中のアルカリ金属イオ
ンの全量を水素イオンで交換するに充分な量でよい。カ
ラムを通過させる速度は1時間当たり 1〜10程度の空間
速度が好ましい。
【0015】(b) 程に用いられる強酸の例としては、塩
酸、硝酸、硫酸等の無機酸が挙げられるが、アルミニウ
ム分と鉄分の除去率を高めるには硝酸が最も好ましい。
この強酸は、(a) 工程で回収された活性珪酸の水溶液が
変質を起さない前、好ましくは上記回収直後の活性珪酸
の水溶液に添加される。加えられる強酸の量としては、
液のpHが 0〜2 の範囲、好ましくは 0.5〜1.8 となる量
がよい。(b) 工程では、この添加後、液は 0〜100 ℃で
0.1時間以上、好ましくは0.5 〜120 時間保持される。
【0016】(c) 工程に用いられる水素型強酸性陽イオ
ン交換樹脂は、(a) 工程に用いられるものと同じでよ
い。(c) 工程に用いられる水酸基型強塩基性陰イオン交
換樹脂も、従来からシリカゾル中の陰イオンを除くのに
用いられているものでよく、市販品として容易に入手で
きる。その例としては、商品名アンバーライト IRA−41
0 が挙げられる。
【0017】(c) 工程では、(b) 工程で得られた水溶液
を先ず、上記水素型強酸性陽イオン交換樹脂と接触させ
る。この接触は、 0〜60℃好ましくは 5〜50℃で上記水
素型強酸性陽イオン交換樹脂充填のカラム中を1時間当
たり 2〜20の空間速度で通液させることにより好ましく
行うことができる。次いで、この通液によって得られた
水溶液は、好ましくは、得られた直後に、上記水酸基型
強塩基性陰イオン交換樹脂と、 0〜60℃好ましくは 5〜
50℃で接触させる。この接触も、上記水酸基型強塩基性
陰イオン交換樹脂充填のカラム中を1時間当たり 1〜10
の空間速度で通液させることにより好ましく行うことが
できる。この通液によって得られた水溶液は、更に好ま
しくは、得られた直後に、上記水素型強酸性陽イオン交
換樹脂と、 0〜60℃好ましくは 5〜50℃で接触させるの
がよい。この接触もやはり、上記水素型強酸性陽イオン
交換樹脂充填のカラム中を1時間当たり 1〜20の空間速
度で通液させることにより好ましく行うことができる。
この通液後、水溶液は回収され、次の(d) 工程に供され
るが、この回収後 6時間以内に使用するのが好ましい。
【0018】(d) 程に用いられるアルカリ金属水酸化物
としては、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ま
しく、そのの水溶液としては、好ましくは純度95%以上
の市販工業製品の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム
を、陽イオンを除去した工業用水に、好ましくは 2〜20
重量%濃度となるように溶かすことにより得られる。0.
1 〜5 重量% のアルカリ金属水酸化物水溶液も上記ナト
リウム又はカリウムの水酸化物又はその水溶液からつく
るのがよい。
【0019】(d) 程に用いられるアルカリ金属珪酸塩水
溶液は、(c) 工程で得られた活性珪酸の水溶液に、好ま
しくは 2〜20重量% 濃度の上記アルカリ金属水酸化物水
溶液を加えることにより、或いは更にその混合液を希釈
又は濃縮することにより、SiO2/M2Oモル比 1〜4.5 及び
SiO2濃度 0.1〜8重量% を有する液として得られる。(d)
程に用いられる装置は、通常の、耐酸性、耐アルカリ
性及び耐圧性の容器に攪拌機、温度制御装置、液供給装
置等が具備されたものでよい。
【0020】(d) 工程では、被供給液中に供給液が 1〜
20時間の間に液の攪拌下に供給され、この時間の間上記
供給によって得られる混合液は、好ましくはその液から
の水の蒸発による濃縮を避けながら、60〜150 ℃の温度
に保たれる。この被供給液としては、(c) 工程で得られ
た活性珪酸の水溶液の一部又は全部に上記アルカリ金属
水酸化物の水溶液を加えることによって得られるSiO2
度 1〜6 重量%とSiO2/M2O (但し、M は上記に同じ。)モ
ル比 1〜4.5 を有するアルカリ金属珪酸塩の水溶液、或
いはこの水溶液を濃縮又は希釈することによって得られ
るSiO2濃度0.1 〜1 重量% 又は 6〜8 重量% のアルカリ
金属珪酸塩の水溶液、或いは更に、上記アルカリ金属水
酸化物の 0.1〜5 重量% 水溶液が用いられる。また、供
給液としては、(c) 工程で得られた活性珪酸の水溶液の
残部又は別途上記 (a)〜(c)工程と同様にして得られた
活性珪酸の水溶液が用いられる。そして、(d) 工程で
は、上記被供給液中に上記供給液を加えることによって
得られる混合液中のSiO2/M2O (但し、M は上記に同
じ。) モル比が30〜300 となるまで、上記被供給液中に
上記供給液の供給が続けられる。
【0021】(e) 工程は、(d) 工程の終了に引続き、こ
のましくは (d)工程の終了直後から開始される。この
(e)工程では、(d) 工程によって得られた液が、攪拌下6
0〜150 ℃で好ましくは 0.1〜10時間程度加熱され、こ
れによってコロイダルシリカの安定な水性ゾルが生成す
る。(f) 工程に用いられる微細多孔性膜は、通常コロイ
ド粒子の分散液の濃縮に用いられる市販の工業製品でよ
く、10ミリミクロン以下、特に 1〜7 ミリミクロンの孔
径を有する限外ろ過膜が好ましい。(f) 工程での濃縮
は、限外ろ過膜の安定性を損なわない限り高い温度で行
うのが好ましく、通常、水性シリカゾルの温度を20〜80
℃に保って行うのがよい。
【0022】(g) 工程に用いられる水素型強酸性陽イオ
ン交換樹脂は(a) 工程に用いられるものと同じでよい。
また、水酸基型強塩基性陰イオン交換樹脂も(c) 工程に
用いられるものでよい。(g) 工程における安定な水性ゾ
ルとイオン交換樹脂との接触は、(c) 工程における接触
と同様にして行うことができる。この水酸基型強塩基性
陰イオン交換樹脂との接触により生成した液を更に上記
水素型強酸性陽イオン交換樹脂と接触させると更に好ま
しい。
【0023】(h) 工程に用いられるアンモニアは、市販
工業製品でよいが、高純度のものが好ましく、そして 5
〜28重量%程度のアンモニア水として用いるのが好まし
い。このアンモニアの代りに、第4級アンモニウム水酸
化物、グアニジン水酸化物、水溶性アミン等も用いるこ
とができるが、アンモニアを使うことが特別に不所望で
ある場合を除き、一般にアンモニアの方が好都合であ
る。
【0024】(h) 工程では、(g) 工程で得られた水性ゾ
ルに、好ましくはその得られた直後に、上記アンモニア
が添加される。この添加は、常温〜100 ℃で行うことが
できるが、常温で行うのが好ましい。アンモニアの添加
量は、シリカゾルのpHが 8〜10.5となる量がよい。場合
によっては、更に金属成分を含まない酸、アンモニウム
塩等をゾル中 1000 ppm 以下の量加えてもよい。
【0025】シリカゾルのコロイド粒子の大きさは、B
ET法と呼ばれる窒素ガス吸着法により測定される比表
面積(m2/g)から常法により平均粒子径として算出され
る。また、このコロイド粒子の大きさは、電子顕微鏡に
より観測することができ、(h) 工程によって得られたシ
リカゾルは、平均粒子径10ミリミクロンのものでは通
常、最小の粒子径 7ミリミクロン程度から、最大13ミリ
ミクロン程度にわたるコロイド粒子からなり、また、平
均粒子径30ミリミクロンのものでは、最小24ミリミクロ
ン程度から最大36ミリミクロン程度にわたるコロイド粒
子からなる。
【0026】
【作 用】アルカリ金属珪酸塩の水溶液を水素型強酸性
陽イオン交換樹脂と接触させると、アルカリ金属イオン
が除かれた活性珪酸の水溶液が生成するが、この水溶液
中の活性珪酸は、珪酸又はその低重合体からなる3ミリ
ミクロン以下の微粒子の形態にあって、この水溶液は、
アルミニウムの如き多価金属が存在しても常温下で約 1
00時間以内にはゲル状に変る程に不安定である。そし
て、この不安定性は液中SiO2濃度が高い程、また、液温
が高い程大であるから、シリカゾルを大規模に工業生産
する場合には特に、(a) 工程では6重量%程度を越える
SiO2濃度は避けて、その濃度よりも低い濃度の活性珪酸
の水溶液を常温で生成させるのがよい。特に、原料中に
存在するアルカリ金属、多価金属等が珪酸の重合体粒子
の内部に取り込まれると、これら金属は除去し難いか
ら、珪酸の重合が進みにくい低濃度の水溶液が好まし
く、更に、常温下でも避けられない徐々なる珪酸の重合
による粒子化を回避するには、生成した活性珪酸の水溶
液全量を、この生成後少しでも早い時期に使用するのが
好ましい。この活性珪酸の水溶液のSiO2濃度が約 2重量
%以下、特に 1重量% より低いと、後で生成するシリカ
ゾルの濃縮において除去すべき水量が著しく多くなるた
めに効率的でない。(a) 工程では、生成した活性珪酸の
水溶液のSiO2濃度が 1〜6 重量%、好ましくは 2〜6 重
量% となるように、そしてその生成後直ちに(b) 工程に
回付できるように、水素型強酸性陽イオン交換樹脂との
接触前のアルカリ金属珪酸塩の水溶液は、SiO2として 1
〜6 重量%、好ましくは 2〜6 重量% の濃度に調整され
る。
【0027】(a) 工程において好ましく用いられる水素
型強酸性陽イオン交換樹脂充填カラム中への通液は、な
るべく多くの金属イオンを除くために、1時間当たり 1
〜10程度の空間速度を与えるのが好ましい。そして生成
した活性珪酸の水溶液中で珪酸の重合や、増粘又はゲル
化等が起りにくいように、液温も 0〜60℃程度が採用さ
れる。(a) 工程から(c) 工程までは、活性珪酸の水溶液
を安定化させるための特別の方法は付加されないから、
液のSiO2濃度及び温度は上記濃度及び温度が採用され
る。
【0028】(b) 工程において加えられる強酸は、活性
珪酸又はその重合体内部に結合している解離イオンの状
態にないアルカリ金属、多価金属等の不純物金属成分を
液中解離イオンの状態に変換させる。粒子径の小さい活
性珪酸の粒子程、この強酸による金属成分の溶出は容易
であるから、(a) 工程によって得られた活性珪酸の水溶
液にこの強酸を添加することも、できるだけ短時間に終
了させるのが好ましい。
【0029】けれども、この加えらえる強酸の量を、活
性珪酸の水溶液のpHが0以下となる程に増大させると、
金属成分の溶出効果を高めることはできても、(c) 工程
での陰イオンの除去が困難となり易く、また、液のpHが
2以上となる添加量では、金属成分の溶出効果に乏し
い。強酸の中でも硝酸はアルミニウム分、鉄分等の金属
成分の溶出に特に高い効果を示す。また、この強酸によ
る多価金属成分の溶出効果は、液の温度及び溶出時間に
も依存し、温度 0〜40℃では10〜120 時間、40〜60℃で
は 2〜10時間、60〜100 ℃では 0.1〜2 時間、特に 0.5
〜2 時間程度が好ましく、この溶出時間を越える長時間
の放置は、場合によっては液の増粘、或いはゲル化が起
ることがあるから避けるのがよい。
【0030】(c) 工程では、(b) 工程において液中に溶
出された金属イオンと加えられた酸による陰イオンが、
水素型強酸性陽イオン交換樹脂及び水酸基型強塩基性陰
イオン交換樹脂によって除かれる。1回目の水素型強酸
性陽イオン交換樹脂処理後の生成液中には、加えられた
酸の陰イオンが存在するために、溶出金属のイオンが液
中に残り易い。場合によっては、水酸基型強塩基性陰イ
オン交換樹脂処理後の残存金属イオンの量は、液が5〜
7のpHを示す程の量となることもあり、このような場合
では、液は約1時間以内にゲル化を起すことがある。水
酸基型強塩基性陰イオン交換樹脂による陰イオンが除か
れた後の2度目に行われる水素型強酸性陽イオン交換樹
脂による処理を行うと、このような不所望の溶出金属イ
オンを更に除くことができるので好ましい。
【0031】この(c) 工程によって得られた活性珪酸の
水溶液は、6時間以内にゲル化が起ることもある程に不
安定であるから、その生成後なるべく早く、好ましくは
直後に(d) 工程に回付される。(d) 工程において好まし
く加えられるナトリウム又はカリウムの水酸化物は、
(d) 工程においてコロイダルシリカ粒子を平均粒子径10
〜30ミリミクロンの大きさに成長させる際、これら水酸
化物に替えて他の塩基、例えば、アンモニア、アミン等
を上記水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムと同モル比
に使用した場合に比べ、約 2倍以上の速さのコロイダル
シリカ粒子成長速度を与える。この速い粒子成長速度に
より、(d) 工程では供給液の供給速度を高めることがで
きるから、シリカゾルの生産速度が著しく増大する。
【0032】(d) 工程において、加熱下に被供給液に供
給液を加えることにより、大部分は径が揃ったほぼ球形
の10〜30ミリミクロンの大きさのコロイダルシリカ粒子
が生成する。けれども、(d) 工程での温度が60℃以下で
は、シリカ粒子の成長は遅く、この温度は60℃以上高い
程好ましいが、150 ℃以上にも高いと粒子は30ミリミク
ロンより大きくなり易く、また、液の蒸気圧が5.85気圧
以上となり、工業生産には有利ではない。供給液を供給
する時間も短い程生産効率は高いが、この時間が 1時間
より短いとコロイダルシリカ粒子の充分な成長を達成さ
せることができず、また、大部分の生成コロイダルシリ
カ粒子は大きさが不揃いとなり、粒子径分布が拡大し過
ぎる。この供給時間が20時間以上では、工業生産として
は効率的でない。この(d) 工程で生成する液中には、通
常未反応の活性珪酸及び未成長のシリカ粒子が少量混在
するので、(d) 工程では水の蒸発による液の濃縮が起こ
らないようにして行うのが好ましい。
【0033】(d) 工程において混合液中のSiO2/M2Oモル
比が30以下又は300 以上になると、得られたゾルの安定
性が乏しくなったり、コロイダルシリカ粒子を平均粒子
径10〜30ミリミクロンの大きさにまで成長させ難く、こ
のモル比としては50〜200がとくに好ましい。(e) 工程
における加熱は、(d) 工程において生成した液中の少量
の未反応の活性珪酸及び未成長のシリカ粒子を消失させ
て、平均粒子径10〜30ミリミクロンのコロイダルシリカ
の安定な水性ゾルを生成させる。けれども、150 ℃以上
での加熱は、工業生産のプロセスとしては有利ではな
く、また、60℃以下では加熱に長時間を要す。60〜150
℃程度で 0.1時間以上がよいが、10時間以上にも長いと
効率的でなく、10時間以下の加熱が好ましい。
【0034】(f) 工程では、(e) 工程で得られたSiO2
度 1〜6 重量% の水性ゾルの濃縮が行われるが、(e) 工
程によって安定化されたゾルは、SiO2濃度50重量% 程度
にまで安定に濃縮することができる。この濃縮の際、微
細多孔性膜を通過する水と一緒にゾルに含まれていた陽
イオンの一部がゾルから除かれるが、(d) 工程で調整さ
れたSiO2/M2Oモル比30〜300 となる量のアルカリ分は、
この除去されるアルカリ分を充分に超える量であるか
ら、その残ったアルカリ分によってゾルは安定となる。
【0035】(f) 工程で生成したゾル中には、(d) 工程
で加えられたアルカリ金属イオン及び微量の陰イオンが
含まれているので、(g) 工程での水素型強酸性陽イオン
交換樹脂処理および水酸基型強塩基性陰イオン交換樹脂
処理によって、ゾルからその中の陽イオン及び陰イオン
が除かれる。特にアルカリ金属イオンを更に除くために
は、2度目の水素型強酸性陽イオン交換樹脂処理を行う
のがよい。(g) 工程で陽イオンが除かれたゾルは、活性
珪酸の水溶液の如き不安定性は示さないが、尚充分な安
定性を有していないから、イオン交換樹脂による処理も
なるべく高温で行わない方がよく、(g) 工程終了後なる
べく早く、好ましくは直ちに、(h) 工程に回付され安定
化される。この安定化のためにゾルに 8〜10.5のpHを与
えるのに用いられるアンモニアは、高純度でかつ安価に
アンモニア水として入手されるのみならず、使用後のシ
リカゾゾルから容易に揮散させることができ、シリカゾ
ルを種々の用途に用いるのに好都合である。
【0036】
【実施例】
(a) 工程 原料の水溶性アルカリ金属珪酸塩として、JIS 3号のナ
トリウム水ガラスを用意した。この水ガラスの水以外の
主な成分は、SiO228.8重量%、Na2O 9.47 重量%、Al2O
3 280 ppm 、Fe2O3 45 ppm、CaO 46 ppm、MgO 25 ppmで
あった。
【0037】上記水ガラス876gを純水6124g に溶かし
て、SiO2濃度 3.6重量%の珪酸ナトリウム水溶液7000g
を調製した。次いで、25℃の上記珪酸ナトリウム水溶液
を、水素型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーライトIR−
120B充填のカラムに1時間当たりの空間速度3で通液し
た後、得られたSiO2濃度3.54重量%、pH2.78、電気伝導
度 667.5μS/cmを有する25℃の活性珪酸の水溶液5950g
を容器に回収した。
【0038】(b) 工程 用いられる強酸として、市販品の特級試薬の硝酸 (比重
1.38、HNO361.3重量%)を用意した。(a) 工程で得られ
た直後の活性珪酸の水溶液5950g に上記硝酸 20.2gを加
え、pH 1.54 とし、20℃に48時間保持して(b) 工程を終
了した。
【0039】実施例1 上記(b) 工程終了後、下記(c) 工程〜(h) 工程を順次経
て本発明による安定な水性シリカゾルを製造した。水素
型強酸性樹脂陽イオン交換樹脂としては、アンバーライ
トIR−120 Bをその陽イオン交換容量の3倍に相当する
水素イオン含量の硫酸水溶液で処理したものが用いられ
た。また、水酸基型強塩基性陰イオン交換樹脂として
は、アンバーライト IRA−410 をその陰イオン交換容量
の3倍に相当する水酸基含量の水酸化ナトリウム水溶液
で処理したものが用いられた。
【0040】(c) 工程 上記(b) 工程で得られた直後の活性珪酸の水溶液5970g
を、上記水素型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーライト
IR−120B充填の約25℃のカラムに、1時間当たりの空間
速度5で通液した後、得られた液全量をそのまま引き続
き上記水酸基型強塩基性陰イオン交換樹脂アンバーライ
ト IRA−410 を充填した約25℃のカラムに1時間当たり
の空間速度3で通液した。引き続き、得られた液全量
を、別の上記水素型強酸性陽イオン交換樹脂アンバーラ
イトIR−120Bを充填した約25℃のカラムに、1時間当た
りの空間速度5で通液した後、得られた液全量5030g を
容器に回収した。この容器に回収された液は、 SiO2
度3.52重量%、pH4.38、電気伝導度 27.20μS/cmを有
し、0.25ppm の Al2O3、0.19ppm のFe2O3 、0.08ppm の
CaO 、0.02ppm のMgO を含有していた。
【0041】(d) 工程 内容積5リットルのガラス製反応器に、攪拌機、加熱装
置等が具備された反応装置が用いられた。10重量% の水
酸化カリウム水溶液43g と純水500gとを上記反応容器に
投入して、K2O として0.67重量% の水酸化カリウム水溶
液とし、加熱によって容器内液温を85℃に調節した後、
上記(c) 工程で得られた直後の活性珪酸の水溶液3920g
を供給液として6.0 時間を要して上記容器内に連続的に
供給し、容器内液温をこの間85℃に保った。但し、(c)
工程で造った活性珪酸の溶液は不安定であるために、
(d) 工程での供給に会わせて(c) 工程による活性珪酸の
水溶液の製造を 3回行い、 1回分の活性珪酸の水溶液は
2時間以内に使用した。
【0042】(e) 工程 (d) 工程に引続き、(d) 工程で得られた反応混合液を常
圧の水の沸騰還流状態に保ちながら 2時間加熱を続け、
4463g のゾルを得た。ここに得られたゾルは、SiO2 3.0
9 重量% 、pH 10.26、電気伝導度695 μS/cm、K2O 0.08
1 重量% 、SiO2/K2Oモル比60を有し、コロイダルシリカ
のBET法平均粒子径は平均粒子径として13.0ミリミク
ロンであり、電子顕微鏡写真に見られる粒子はほぼ球状
であった。
【0043】(f) 工程 次いで、(e) 工程で得られたシリカゾルを、孔径約5ミ
リミクロンのポリサルホン製の管状限外ろ過膜が装着さ
れた市販の限外ろ過装置を用いて、室温でSiO2濃度約35
重量% となるまで濃縮した。この濃縮中、液は安定であ
り、濃縮は極めて円滑であった。396gのシリカゾルが得
られた。
【0044】このシリカゾルは、比重 1.241、pH 9.9
5、20℃粘度 24.5cp 、電気伝導度3620μS/cmを示し、3
4.8重量% のSiO2、0.89重量% の滴定法K2O 、SiO2/K2O
モル比92、2.5ppmの Al2O3、2.0ppmの Fe2O3、0.8ppmの
CaO、0.2ppmの MgOを含有し、60℃で 1ケ月以上変質し
ないという安定性を有していた。 (g) 工程 (f) 工程で得られたシリカゾルを、水素型強酸性陽イオ
ン交換樹脂アンバーライトIR−120Bを充填した約25℃の
カラムに、1時間当たりの空間速度3の通液速度で通過
させ、次いで、この通過により得られたシリカゾルを引
き続き、水酸基型強塩基性陰イオン交換樹脂アンバーラ
イト IRA−410 を充填した約25℃のカラムに、1時間当
たりの空間速度3の速さで通過させ、最後に、この通過
により得られたシリカゾルを引き続き、水素型強酸性陽
イオン交換樹脂アンバーライトIR−120Bを充填した約25
℃のカラムに、1時間当たりの空間速度3の速さで通過
させることにより、酸性の水性シリカゾル425gを得た。
【0045】このゾルは、比重 1.214、pH4.68、20℃粘
度3.2cp 、電気伝導度74μS/cm、 SiO2 濃度32.5重量
%、K2O 440ppm、SiO2/K2Oモル比1158を有していた。 (h) 工程 市販の特級試薬の28%アンモニア水2.3gと純水16.7gと
を上記(g) 工程で得られた直後の25℃のシリカゾル300g
に撹拌下加えることにより、319gのシリカゾルを得た。
【0046】この得られたゾルは、比重 1.205、pH9.4
0、20℃粘度24.8cp、電気伝導度2760μS/cm、60℃で1
ヶ月以上変質しないという安定性を有し、 SiO230.6 重
量%、SiO2/(NH4)2Oモル比87、Al2O3 2.2ppm、Fe2O3 1.
7ppm、K2O 410ppm、Cl 1.0ppm、SO4 1.0ppmを含有して
いた。 実施例2 この実施例では、実施例1の(a) 〜(c) 工程と同様にし
てつくられた活性珪酸の水溶液から、下記(d) 〜(h) 工
程を経てシリカゾルが製造された。用いられたアンモニ
ア水、イオン交換樹脂、反応装置等は実施例1に用いら
れたものと同じものが用いられた。
【0047】(d) 工程 (c) 工程で得られた直後の活性珪酸の水溶液110gに純水
184g と10重量% の高純度水酸化ナトリウム水溶液16g
を加えることにより、310gの珪酸ナトリウム水溶液を調
製した。この水溶液は、SiO2濃度 1.25 重量% 、Na2O
0.4重量% 、SiO2/Na2O モル比3.21を有していた。
【0048】次いで、このこの珪酸ナトリウムの水溶液
全量を反応容器に投入し、攪拌下加熱により常圧の水の
沸騰還流温度に昇温させた後、(c) 工程で得られた直後
の活性珪酸の水溶液4390g をこの反応容器中に常圧の水
の沸騰還流下に 8時間を要して連続的に供給した。但
し、(d) 工程での供給に逢わせて(c) 工程による活性珪
酸の水溶液の製造を 4回行い、各回で得られた活性珪酸
の水溶液は 2時間以内に使用した。
【0049】(e) 工程 (d) 工程の終了に引続き、(d) 工程で得られた液を常圧
の水の沸騰還流下に 2時間保つことにより(e) 工程を終
了させた。この得られた水性シリカゾルは、SiO2濃度3.
36重量% 、Na2O 0.026重量% 、SiO2/Na2O モル比132 、
pH 10.02、電気伝導度572 μS/cm、BET法平均粒子径
21.0ミリミクロン、60℃で1ケ月以上変質しないという
安定性を有し、また、電子顕微鏡写真によれば、このゾ
ルのコロイダルシリカの粒子はほぼ球状であった。
【0050】(f) 工程 次いで、(e) 工程で得られたゾルを、実施例 1野(f) 工
程と同様にして限外ろ過装置で濃縮したところ、SiO2
度約45重量% の安定なシリカゾル353gが得られた。この
ゾルは、比重1.341 、pH 9.67 、20℃粘度28cp、電気伝
導度1950μS/cmを示し、44.7重量% のSiO2、0.24重量%
の滴定法Na2O、SiO2/Na2O モル比 192、3.2ppmのAl
2O3 、2.4ppmのFe2O3 、1.0ppmのCaO 、0.3ppmのMgO を
含有し、60℃で1ケ月以上変質しないという安定性を有
していた。
【0051】(g) 工程 (f) 工程で得られたシリカゾルを、水素型強酸性陽イオ
ン交換樹脂を充填した約25℃のカラムに、1時間当たり
の空間速度3の速さで通過させ、次いでこの通過により
得られたシリカゾルを引き続き、水酸基型強塩基性陰イ
オン交換樹脂を充填した約25℃のカラムに、1時間当た
りの空間速度3の速さで通過させ、最後に、この通過に
より得られたシリカゾルを引き続き、水素型強酸性陽イ
オン交換樹脂を充填した約25℃のカラムに、1時間当た
りの空間速度3の速度で通過させることにより、酸性の
水性シリカゾル375gを得た。
【0052】この得られたゾルは、比重 1.312、pH4.7
2、20℃粘度 5.4cp、電気伝導度 108μS/cm、SiO2濃度4
2.1重量%、Na2O 800ppm 、SiO2/Na2O モル比 561を有
していた。 (h) 工程 (g) 工程で得られた直後の水性シリカゾル330gに撹拌
下、28重量%アンモニア水3.0gと純水8.14gと10重量%
硝酸水溶液0.86gとを液温25℃で加えることにより342g
のシリカゾルを得た。
【0053】このゾルは、比重 1.296、pH 9.5、20℃粘
度24.7cp、電気伝導度3740μS/cm、60℃で1ヶ月以上変
質しないという安定性を有し、SiO2濃度40.6重量%、 S
iO2/(NH4)2O モル比 92 、 Al2O3 2.9ppm 、Fe2O3 2.2p
pm、Na2O 770ppm 、 Cl 1.0ppm 、SO4 1.0ppm、NO3 25
0ppmを含有していた。 比較例1 この例では、実施例1における(a) 〜(c) 工程と同様に
して(c) 工程まで進められたが、下記のように実施例1
の(d) 工程〜(e) 工程が変更された。
【0054】(d) 工程 反応容器に純水500gと10重量% の水酸化カリウム水溶液
43g を投入することにより、K2O として0.67重量% の水
酸化カリウム水溶液543gを調製した。次いで、この液を
攪拌下加熱することにより55℃に昇温させ、この温度を
保ちながら(c)工程により得られた活性珪酸の水溶液392
0g を 6時間を要して連続的に加えた。但し、活性珪酸
の水溶液の製造は、実施例 1と同様にして(d) 工程の時
間に合わせて行った。
【0055】(e) 工程 (d) 工程の終了に引続き、容器内液温を55℃に保って攪
拌下 2時間加熱を続けることにより(e) 工程を終了し
た。得られたゾルは、pH 9.87 、電気伝導度663 μS/c
m、SiO23.09% 、K2O 0.081重量% を含有し、SiO2/K2Oモ
ル比は60であった。また、電子顕微鏡写真によるとコロ
イダルシリカ粒子はほぼ球状であって、粒子径もかなり
揃っていたが、BET法による比表面積から算出された
平均粒子径は6.8 ミリミクロンであった。
【0056】(f) 工程 上記(e) 工程で得られたゾルを実施例 1の(f) 工程と同
様にして濃縮を開始したが、ゾルのSiO2濃度が約27重量
% に到った頃、限外ろ過膜上にシリカゲルが生成し、ろ
過速度が著しく低下して濃縮を続行させることができな
かった。限外ろ過増置からこの27重量% のゾルを取り出
し容器中に回収したが、室温24時間の放置後にこのゾル
は全量ゲルに変じた。
【0057】
【発明の効果】本発明の方法によると、30〜50重量%の
SiO2濃度を有し、かつ、コロイダルシリカの平均粒子径
が10〜30ミリミクロンである安定な水性シリカゾルを、
不純物として多価金属を含有する通常の工業製品の水ガ
ラス原料から、アルカリ金属酸化物含有量はシリカに対
し2000ppm 以下、そして多価金属酸化物含有量はシリカ
に対し300 ppm より低いという、高純度の工業製品とし
て効率よく生産することができる。
【0058】この本発明の方法により製造された水性シ
リカゾルは、粒子径が小さく高い結合強度を示し、そし
てそのコロイダルシリカ粒子の大きさが比較的揃ってい
るから、このゾルの硬化体には均一な微細孔が多数生
じ、担体として極めて優れた性質を有する。また、この
ゾルは、従来から用いられているシリカゾルの用途に広
く用いられるが、特に、半導体表面の研磨剤、触媒用結
合剤、その他高純度が望まれる結合剤としての用途等に
好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−2606(JP,A) 特開 昭63−285112(JP,A) 特開 昭61−158810(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 33/12 - 33/193 JICSTファイル(JOIS) WPI/L(QUESTEL)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程(a) 、(b) 、(c) 、(d)、(e)
    、(f) 、(g) 及び(h) からなる、30〜50重量%のSiO2
    濃度を有し、シリカ以外の多価金属酸化物を実質的に含
    まない、かつ、コロイダルシリカの平均粒子径が10〜30
    ミリミクロンである安定な水性シリカゾルの製造方法。 (a) シリカ以外の多価金属酸化物をシリカに対し 300〜
    10000ppmの比率に含有する水溶性のアルカリ金属珪酸塩
    がこの珪酸塩に由来するSiO2分として 1〜6 重量%の濃
    度に溶解しているアルカリ金属珪酸塩の水溶液を、水素
    型強酸性陽イオン交換樹脂と接触させることによりSiO2
    濃度 1〜6 重量%の活性珪酸の水溶液を生成させ、この
    生成液を回収する工程、 (b) (a) 工程で回収された活性珪酸の水溶液に強酸を加
    えることにより該水溶液をpH 0〜2.0 に調整した後、 0
    〜100℃に 0.1〜120 時間保持する工程、 (c) (b) 工程で得られた水溶液を水素型強酸性陽イオン
    交換樹脂と接触させた後、この接触によって生成した液
    を水酸基型強塩基性陰イオン交換樹脂と接触させること
    により、実質的に活性珪酸以外の溶解物質を含まず、か
    つ、SiO2濃度 1〜6 重量%及びpH 2〜5 の活性珪酸の水
    溶液を生成させ、この生成液を回収する工程、 (d) (c) 工程で回収された活性珪酸の水溶液に、アルカ
    リ金属水酸化物の水溶液を加えることにより得られるア
    ルカリ金属珪酸塩水溶液又はこの水溶液を濃縮又は希釈
    することにより得られるSiO2/M2O (但し、M はアルカリ
    金属原子を表す。) モル比 1〜4.5 及びSiO2濃度 0.1〜
    8 重量% を有するアルカリ金属珪酸塩水溶液、或いは濃
    度 0.1〜5 重量% のアルカリ金属水酸化物の水溶液に、
    上記(c)工程と同様にして得られた活性珪酸の水溶液
    を、得られる混合液の温度を60〜150 ℃に保って充分な
    攪拌下に、この混合液中のSiO2/M2O (但し、M は上記に
    同じ。) モル比が30〜300 となるまで 1〜20時間の間に
    供給する工程、 (e) (d)工程で得られた液を攪拌下60〜150 ℃で 0.1〜1
    0時間加熱することにより平均粒子径10〜30ミリミクロ
    ンのコロイダルシリカの安定な水性ゾルを生成させる工
    程、 (f) (e)工程で得られた安定な水性ゾルから、このゾル
    の水を微細多孔性膜を介して除くことにより、SiO2濃度
    30〜50重量% の安定な水性シリカゾルを生成させる工
    程、 (g) (f)工程で得られた安定な水性シリカゾルを水素型
    強酸性陽イオン交換樹脂と接触させた後、この接触によ
    り生成した水性シリカゾルを水酸基型強塩基性陰イオン
    交換樹脂と接触させることによりシリカ以外の多価金属
    酸化物を実質的に含まない酸性の水性シリカゾルを生成
    させる工程、及び (h) (g)工程で生成した酸性の水性ゾルに、そのゾルのp
    Hが8〜10.5となるようにアンモニアを加えることによ
    り、30〜50重量%のSiO2濃度を有し、シリカ以外の多価
    金属酸化物を実質的に含まず、そしてコロイダルシリカ
    の平均粒子径が10〜30ミリミクロンである安定な水性シ
    リカゾルを生成させる工程。
JP26384291A 1991-10-11 1991-10-11 高純度の水性シリカゾルの製造方法 Expired - Lifetime JP3225553B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26384291A JP3225553B2 (ja) 1991-10-11 1991-10-11 高純度の水性シリカゾルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26384291A JP3225553B2 (ja) 1991-10-11 1991-10-11 高純度の水性シリカゾルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0597422A JPH0597422A (ja) 1993-04-20
JP3225553B2 true JP3225553B2 (ja) 2001-11-05

Family

ID=17394985

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26384291A Expired - Lifetime JP3225553B2 (ja) 1991-10-11 1991-10-11 高純度の水性シリカゾルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3225553B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018186468A1 (ja) 2017-04-06 2018-10-11 株式会社日本触媒 シリカ粒子

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100349632B1 (ko) * 2000-08-04 2002-08-24 주식회사영일화성 실리카졸의 제조방법
JP3659965B1 (ja) * 2004-08-06 2005-06-15 日本化学工業株式会社 高純度コロイダルシリカの製造方法
KR100497413B1 (ko) * 2004-11-26 2005-06-23 에이스하이텍 주식회사 텅스텐-화학적 기계적 연마에 유용한 슬러리 및 그 제조방법
JP4852302B2 (ja) 2004-12-01 2012-01-11 信越半導体株式会社 研磨剤の製造方法及びそれにより製造された研磨剤並びにシリコンウエーハの製造方法
KR100894795B1 (ko) * 2007-06-26 2009-04-22 한국산업기술평가원(관리부서:요업기술원) 금속 규소로부터 직접산화법에 의한 콜로이달 실리카의제조방법
CN105263860B (zh) * 2013-05-20 2017-06-27 日产化学工业株式会社 硅溶胶以及含二氧化硅的环氧树脂组合物
CN108002394B (zh) * 2016-11-01 2019-07-09 航天特种材料及工艺技术研究所 一种硅溶胶的制备方法
WO2022210195A1 (ja) 2021-03-31 2022-10-06 日産化学株式会社 安定化された活性珪酸水溶液、それを用いたシリカゾル及び製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018186468A1 (ja) 2017-04-06 2018-10-11 株式会社日本触媒 シリカ粒子
KR20190120827A (ko) 2017-04-06 2019-10-24 가부시기가이샤 닛뽕쇼꾸바이 실리카 입자
US11214492B2 (en) 2017-04-06 2022-01-04 Nippon Shokubai Co., Ltd. Silica particles

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0597422A (ja) 1993-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0537375B1 (en) Method of preparing high-purity aqueous silica sol
EP0525631B1 (en) A stable aqueous alumina sol and method for preparing the same
JP3367132B2 (ja) 高純度の水性シリカゾルの製造法
JP4566645B2 (ja) シリカゾル及びその製造方法
WO2008072637A1 (ja) コロイダルシリカの製造方法
JP3225553B2 (ja) 高純度の水性シリカゾルの製造方法
JP4222582B2 (ja) 高純度シリカゾルの製造方法
JPH0454617B2 (ja)
JPH06199515A (ja) 酸性シリカゾルの製造方法
JP3584485B2 (ja) シリカゾルの製造方法
US4054536A (en) Preparation of aqueous silica sols free of alkali metal oxides
JP3837754B2 (ja) 結晶性酸化第二セリウムの製造方法
JP3225549B2 (ja) 高純度の水性シリカゾルの製造法
JP2508713B2 (ja) 高純度大粒子径シリカゾルの製造法
US3081154A (en) Process for preparing fine size silica
JP3758391B2 (ja) 高純度シリカ水性ゾル及びその製造方法
JP3691048B1 (ja) 高純度コロイダルシリカの製造方法
JP3362793B2 (ja) シリカゾルの製造方法
CN116216728A (zh) 一种致密的异形胶体二氧化硅及其制备方法和应用
JP4264701B2 (ja) 低アルカリ金属含有水性シリカゾルの製造方法
JP2001002411A (ja) 水性シリカゾルの製造方法
JPH0127975B2 (ja)
JP2694163B2 (ja) 高純度シリカの製造法
JPH0455970B2 (ja)
JPH0457604B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080831

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090831

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100831

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100831

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110831

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120831

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120831

Year of fee payment: 11