JP3224988B2

JP3224988B2 - 直液式筆記具

Info

Publication number: JP3224988B2
Application number: JP10474996A
Authority: JP
Inventors: 清人重松
Original assignee: セーラー万年筆株式会社
Priority date: 1996-04-03
Filing date: 1996-04-03
Publication date: 2001-11-05
Anticipated expiration: 2016-04-03
Also published as: JPH09272291A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、先端にペン体チッ
プが配置された軸筒内にインキが直接充填された直液式
筆記具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば水性インキを使用するボールペン
は、極細繊維を引き揃えて棒状に成形した中綿にインキ
を吸蔵させ、この中綿を軸筒内に収容した中綿式のもの
が実用化されているが、この中綿式筆記具は、インキの
吸蔵量に限界があって筆記可能距離が短く、またインキ
を使い尽くして筆記不能になるエンドポイントが分かり
にくい問題点がある。

【０００３】一方、軸筒内にインキを直接充填して中綿
を使用しない直液式筆記具は、インキを直接目視するこ
とができるのでエンドポイントが明確であり、また筆記
距離が長い利点を有する。かかる直液式筆記具は、軸筒
内の空気が高温になって膨張すると、インキが過剰に吐
出してボタ落ちするので、過剰に吐出したインキを一時
貯溜してボタ落ちを防止するとともに、インキの消費に
伴って空気を軸筒内に導入する気液交換機能を有するペ
ン芯を配置したものが多いが、ペン芯は構造が複雑であ
り、部品点数も多くなる不具合がある。

【０００４】このため、尾端が外気と連通した軸筒の尾
端側をペースト状の逆流防止体で封止するとともに、逆
流防止体の前方に、ゲルインキと称される水性インキを
充填してペン体チップと逆流防止体の間をインキのみで
充満させた生インキ式の筆記具が実用化されている。ゲ
ルインキは、静的には比較的高い粘性を有するが、筆記
時のボールの回転で粘性が低下してインキが流出する。
従って、インキの消費にともなって逆流防止体が前進す
るとともに、逆流防止体がインキの逆流を防止するが、
逆流防止体の前方にはインキのみが存在して空気が存在
しないので、高温になって膨張した空気によってインキ
が押し出されることがない。

【０００５】ところで、かかる直液式の筆記具を上向き
姿勢にすると、インキのヘッドが逆流防止剤にかかり、
逆流防止剤が逆流して尾端開口側に降下する。このた
め、ペン体チップに逆止弁などを配置し、筆記具を上向
き姿勢にしたときに逆止弁が閉じてインキのヘッドが逆
流防止剤にかからないようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このペ
ン体チップの逆止弁によるシールは必ずしも完全なもの
ではないので、ペン体チップから軸筒内に空気が入り、
インキのヘッドが逆流防止剤にかかることがある。従っ
て、逆流防止剤が軸筒の尾端開口側に降下するが、この
とき、逆流防止剤が下降の過程で軸筒の壁面に付着して
封止効果が失われ、インキが尾栓の空気孔から外部に洩
れ出す恐れがあり、ポケットに装着しているときに洩れ
出すと洋服を汚損する。

【０００７】このため、尾栓の空気孔に弁体がボールで
ある逆止弁を設け、筆記時には、この逆止弁が開くの
で、インキの消費に応じて空気孔から空気が軸筒内に進
入するが、上向き姿勢にしたときにこの逆止弁が閉じ、
仮に逆流防止剤の封止効果が失われても、この逆止弁に
よってインキの洩れ出しを防止することが提案されてい
る。

【０００８】しかしながら、尾栓に設けられた逆止弁
は、正常時にはインキが接触していないので、ボールの
弁体と弁座の接触部分がインキの毛細管現象によってシ
ールされていないのでシール効果が万全ではない。従っ
て、逆流防止剤の封止効果が失われてインキが最初に逆
止弁に到達したときに、ボールの弁体が弁座に接触して
いるにもかかわらず、最初のインキが少し洩れる。そし
て、このインキが尾栓の空気孔から洩れ出し、洋服を汚
損することがある。

【０００９】そこで本発明は、筆記具を上向き姿勢にし
たときに逆流防止剤の封止効果が失われても、インキが
軸筒の尾端に嵌着された尾栓の空気孔から外部に洩れ出
す恐れのない直液式の筆記具を提供することを目的とす
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明は、先端にペン体チップが配置され、尾端
に尾栓が嵌着された軸筒内にインキが直接充填されると
ともにインキの尾端側がペースト状の逆流防止体によっ
て封止された直液式筆記具において、尾栓に、弁体がボ
ールである逆止弁を配置するとともに、逆止弁の尾端側
に、この逆止弁がインキでシールされていないときに逆
止弁から洩れて尾栓の内壁に伝わるインキが貯留される
インキ溜り部を形成する。

【００１１】すなわち、尾栓に、弁体がボールである逆
止弁を配置するとともに、逆止弁の尾端側に、この逆止
弁がインキでシールされていないときに逆止弁から洩れ
て尾栓の内壁に伝わるインキが貯留されるインキ溜り部
を形成したので、ペン体チップを上向き姿勢にしたとき
に、逆流防止剤の封止効果が失われて、インキが少し逆
止弁から洩れても、この洩れたインキは尾栓のインキ溜
り部に入って保持される。従って、尾栓の空気孔からイ
ンキが洩れるのを防止することができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に、図面に基づいて本発明の
実施の形態を具体的に説明する。図１において、軸筒１
は、透明な合成樹脂で射出成形された内径が７．０mmφ
の筒体であり、従来の直液式筆記具の軸筒に比べて内径
が大きく、従って大量のインキを充填できるようになっ
ている。そして、軸筒１先端の先口部１１にボールペン
のペン体チップ２が取り付けられている。

【００１３】ペン体チップ２は、ステンレスにて砲弾型
に成形されており、ペン体チップ２先端のボールハウス
に、超硬合金からなるボール３がその一部がペン体チッ
プ２の先端から臨出した状態で回転自由に抱持されてい
る。ペン体チップ２内には、バネ力が例えば４０ｇの小
さなスプリング４が配置されており、このスプリング４
がボール３を弾発してペン体チップ２の内向きの先端縁
に圧接させ、ボール３と先端縁で弁機構を構成してい
る。つまり、筆記時は筆圧でボールが後退してインキが
流出し、非使用時はペン体チップ２がシールされて逆止
弁の役割を果たしている。

【００１４】軸筒１の尾端側内部には、有底筒状の軽量
の柱状体７が配置されている。この柱状体７は、例えば
外径が６mmφ、長さが１５mmである。柱状体７の周囲に
は、例えばポリブデン配合物からなるペースト状の逆流
防止体６が塗布されており、この逆流防止体６が軸筒１
の内周面と柱状体７の間隙を埋めている。つまり、軸筒
１の尾端側が、周囲にペースト状の逆流防止体６が塗布
された柱状体７によって封止されている。

【００１５】柱状体７前方の軸筒１内に、例えば粘度が
３０〜４０ｃｐｓのゲルインキ（図示せず）が充填され
ており、柱状体７前方の軸筒１内には空気は存在してい
ない。そして、筆記によってインキが消費されると、そ
れに応じて周囲にペースト状の逆流防止体６が塗布され
た柱状体７が前進するが、軸筒１の内径が大きくて内容
積が大きいので、多量のインキＩを軸筒１に充填するこ
とができ、筆記距離が長い利点を有する。

【００１６】軸筒１の尾端開口には尾栓５が嵌着されて
いる。尾栓５は、有底筒状であってその底面に管状部５
１が一体に連設されており、管状部５１の内部が空気孔
５２である。そして、管状部５１の外周面と尾栓５底部
の内周面で袋状部を構成しており、この袋状の部分がイ
ンキ溜り部５３である。そして、尾栓５の先端開口部に
は、弁座８１と複数個の半円突起８２を有する弁座部材
８が嵌着され、弁座部材８内には、ボールからなる弁体
９が前後動可能に配置されており、弁座部材８と弁体９
で逆止弁を構成している。従って、筆記時には、弁体９
は半円突起８２で保持されて弁体９の周囲を空気が通過
し、上向き姿勢にすると、弁体９が弁座８１に着座す
る。

【００１７】しかして、ポケットに装着する場合のよう
に、かかる筆記具を上向き姿勢にしたとき、ペン体チッ
プ２の先端開口がスプリング４で弾発されたボール３で
シールされているので、インキのヘッドが柱状体７や逆
流防止剤６にかからず、これらが降下することはない。
しかし、万一このシールが不完全であると、インキのヘ
ッドが柱状体７や逆流防止剤６にかかり、これらが逆流
して降下し、この過程で軸筒１の壁面に付着して封止効
果が失われることがある。

【００１８】逆流防止剤６の封止効果が失われると、イ
ンキは、弁座８１に着座している弁体９に到達するが、
この時点では、着座部分がインキでシールされていない
ので、インキが少し洩れる。そして、この逆止弁を洩れ
たインキは尾栓５の内面に沿って落下するが、尾栓５の
奥底にインキ溜り部５３が形成されているので、インキ
はインキ溜り部５３に溜り、空気孔５２から外部に洩れ
出すのを防止することができる。従って、洋服を汚損す
ることがない。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の直液式筆
記具は、インキが直接充填された軸筒の尾端に嵌着され
た尾栓に、弁体がボールである逆止弁を配置するととも
に、逆止弁の尾端側、この逆止弁がインキでシールされ
ていないときに逆止弁から洩れて尾栓の内壁に伝わるイ
ンキが貯留されるにインキ溜り部を形成したので、上向
き姿勢にしたときに、万一逆流防止剤が下降して封止効
果が失われても、逆止弁を少し洩れたインキはインキ溜
り部に溜り、インキが尾栓の空気孔から外部に洩れ出す
恐れのない直液式の筆記具とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の断面図である。

【符号の説明】

１軸筒１１先口部２ペン体チップ３ボール４スプリング５尾栓体５１管体５２空気孔５３インキ溜り部６逆流防止体７柱状体８弁座部材８１弁座８２半円突起９弁体

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】先端にペン体チップが配置され、尾端に
尾栓が嵌着された軸筒内にインキが直接充填されるとと
もにインキの尾端側がペースト状の逆流防止体によって
封止された直液式筆記具において、前記尾栓には、弁体がボールである逆止弁が配置される
とともに、逆止弁の尾端側に、該逆止弁がインキでシー
ルされていないときに該逆止弁から洩れて尾栓の内壁に
伝わるインキが貯留されるインキ溜り部が形成されたこ
とを特徴とする直液式筆記具。