JP3223683B2 - 楽音波形信号合成装置 - Google Patents

楽音波形信号合成装置

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JP3223683B2 JP34328493A JP34328493A JP3223683B2 JP 3223683 B2 JP3223683 B2 JP 3223683B2 JP 34328493 A JP34328493 A JP 34328493A JP 34328493 A JP34328493 A JP 34328493A JP 3223683 B2 JP3223683 B2 JP 3223683B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、閉鎖ウェーブガイド
ネットワークを利用して楽音波形信号を発振し合成する
楽音波形信号合成装置に関し、詳しくは、楽音波形信号
発振のための制御の簡易化と合成された音における倍音
成分の豊富化とを両立させることができるようにしたこ
とに関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭63−40199号公報において
は、閉鎖ディジタルウェーブガイドネットワークを利用
して楽音波形信号を発振し合成する技術の基本的構成が
示されている。これは、遅延回路やフィルタなどを閉ル
ープ状に接続してディジタル波形信号を循環させる信号
循環路(閉鎖ディジタルウェーブガイドネットワーク)
を構成し、ディジタルの励起信号をこの循環路に導入し
て該循環路を循環させることにより波形信号を発振さ
せ、ループ内の適当な個所から出力楽音波形信号を取り
出すようにしたものである。この技術は、管楽器や弦楽
器などの所望の自然楽器の物理的特性を閉鎖ディジタル
ウェーブガイドネットワークによってモデル化し、もっ
て該自然楽器の音をシミュレートすることを基本的コン
セプトとしている。すなわち、信号循環路(閉鎖ディジ
タルウェーブガイドネットワーク)は、管や弦などの媒
体内において進行したり反射したりする振動信号の物理
的伝播をモデルするものである。
【0003】管楽器をシミュレートする場合について言
えば、上記信号循環路は、管楽器の管部分に対応してお
り、そこにおける信号遅延時間によって管部の共振特性
を設定する。また、弦楽器をシミュレートする場合は、
上記信号循環路は、弦部分に対応している。信号循環路
における信号遅延時間はパラメータに応じて可変であ
り、これによって該信号循環路における共振特性を制御
できるようになっている。合成される楽音波形信号のピ
ッチは、主にこの信号遅延時間に応じて設定若しくは制
御されるが、他のファクタ(例えば、信号を励起するた
めの非線形回路におけるパラメータなど)によっても設
定若しくは制御可能である。
【0004】信号循環路は、振動信号の伝播経路におけ
る物理的境界部(例えば、リード等の振動励起部や、管
の開口孔や、弦の取付け端部など)における信号の進行
及び反射をモデルするための信号ジャンクション部を適
宜具備している。例えば、振動励起部をモデルするため
の信号ジャンクション部は、非線形変換部を含む。ま
た、その他の物理的境界部をモデルするための信号ジャ
ンクション部は、進行波信号と反射波信号の振り分けと
合成等を行なう演算回路を含む。
【0005】振動信号を励起するための上記非線形変換
部には非線形テーブルが使用される。信号循環路のルー
プに、ブレス圧力あるいは擦弦操作等に対応する適宜の
電気的圧力信号を導入することにより、該圧力信号を該
非線形テーブルで非線形変換した信号が信号循環路を循
環し、振動波形信号が励起される。前記特開昭63−4
0199号公報においては、2種類の非線形テーブルが
示されている。その1つは、不変化領域と変化領域を有
し、変化領域においては入力の変化に対して一方向にの
み単調に変化する変換出力特性を示す非線形テーブルで
あり、これは、クラリネット等のリードを有する管楽器
の振動波形信号をシミュレートするのに適している。も
う1つは、変化領域では入力の変化に対して山型の(双
方向の傾きを持つ)変換出力特性を示す非線形テーブル
であり、これは、バイオリンのような擦弦楽器の振動波
形信号をシミュレートするのに適している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前者の一方向単調変化
変換特性を示す非線形テーブルを使用した場合について
は、偶数倍音の抜け落ちた奇数倍音からなる振動波形信
号を発振することができることが知られている。また、
制御パラメータに対する発振領域が広く、安定した発振
が可能である上、ループ内の信号遅延時間と発振音高が
良く対応し、制御が比較的容易であることが確認されて
いる。その反面、上記のように偶数倍音が抜けるため
に、クラリネットやフルートなど特定の楽器に近い音し
か合成できず、音作りの幅が狭いという問題がある。
【0007】これに対して、後者の山型の変換特性を示
す非線形テーブルを使用した場合については、非常に複
雑な倍音構成からなる振動波形信号を発振できることが
知られており、擦弦楽器音のように整数倍音がすべてき
れいに並んだ倍音特性を持つ音を発振することもできる
し、また、特に、山の頂上付近の変換特性を使用して常
に発振するようなパラメータの与え方をすれば、ホワイ
トノイズに近い信号を発振することもできる。このよう
に、複雑な倍音構成が得られることから様々な特性の音
を発振できる可能性を持つが、実際問題としては、発振
を起こさせるためのパラメータの領域が狭く、その調整
が非常に難しいという問題点を持つ。更には、ループ内
の信号遅延時間と発振音高があまり良く対応していず、
チューニングが狂い易いなど、制御上若しくは取扱上の
問題点を抱えていた。
【0008】この発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、閉鎖ウェーブガイドネットワークのように音源の物
理的共振特性をモデルして楽音波形信号を発振し合成す
る楽音波形信号合成装置において、比較的容易な制御
で、複雑な倍音を含む楽音波形信号を合成することがで
きるようにした楽音波形信号合成装置を提供しようとす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】 この発明に係る楽音波
形信号合成装置は、信号を循環する閉鎖ループを形成
し、かつ信号を遅延する遅延手段を該ループ内に含み、
この遅延時間を可変することによって共振特性が制御さ
れる信号循環手段と、前記信号循環手段のループ内に波
形信号を励起する励起手段と、前記信号循環手段のルー
プから波形信号を取り出し、この波形を変形して倍音成
分を付加する波形変形手段と、前記波形変形手段で変形
した波形信号を前記信号循環手段のループから取り出し
た別の波形信号で演算する演算手段と、前記信号循環手
段のループから取り出した波形信号と前記波形変形手段
で変形した波形信号に基づく前記演算手段の出力波形信
とを出力する出力手段とを具えたことを特徴とするも
のである。
【0010】
【作用】 信号循環手段と励起手段により、前述の閉鎖
型ウェーブガイドネットワークを使用した物理モデルタ
イプの音源と同様な又は類似の電子的閉鎖ループ音源が
構成され、所望の物理的音源の物理的共振特性がモデル
される。従って、信号循環手段と励起手段からなる電子
的閉鎖ループ音源部では、モデルした物理的音源をシミ
ュレートした楽音波形信号が合成される。信号循環手段
のループで合成された楽音波形信号が、ループの外に取
り出されて波形変形手段に入力され、倍音成分が付加さ
れるように該波形信号の波形が変形される。この変形に
よって該波形信号が含有する倍音構成を豊富にすること
ができる。さらに、この波形変形手段で変形した波形信
号を、信号循環手段のループから取り出した別の波形信
号で演算することにより、演算の結果得られる波形信号
を複雑に変化させることができる。信号循環手段のルー
プから取り出した楽音波形信号とこの波形変形手段で変
形した波形信号に基づく演算手段の出力波形信号とを出
力し、両波形信号を電気的に又は空間的に適宜合成する
ことにより両波形信号を合成してなる楽音が得られる。
【0011】 信号循環手段と励起手段からなる閉鎖ル
ープ音源部分によって上記物理モデルタイプの音源回路
に特有の音作りが可能である一方で、波形変形手段によ
り閉鎖ループ音源部分において発生しない倍音成分を作
成するような波形変形を行なうことにより、該閉鎖ルー
プ音源部分で合成した波形信号の倍音構成を豊富に増す
ことができる。従って、閉鎖ループ音源部分での音作り
は、安定した発振が可能で比較的制御が容易な方式を採
用したとしても、波形変形手段の部分で倍音成分を作成
する波形変形がなされることにより、両者の合成からな
楽音信号においては豊富な倍音が制御可能であり、こ
れによって音作りの幅を広げることができる。従って、
閉鎖ループ音源部分での制御は比較的容易でありなが
ら、最終的に得られる楽音においては複雑な倍音を含む
楽音波形信号を合成することができるようになる。
【0012】 例えば、閉鎖ループ音源部分では、前述
したような一方向単調変化変換特性を示す非線形テーブ
ルを使用して振動信号を励起するようにすれば、安定し
た発振が可能であり、制御が比較的容易である。また、
波形変形手段としては、信号循環手段のループから取り
出した波形信号を微分する微分手段を含むものを使用す
れば、例えば、偶数倍音の抜け落ちた奇数倍音からなる
方形波状の入力波形信号を鋸歯状波のような鋭角的な波
形に変形することができ、偶数倍音成分を付加すること
ができるものであり、構成も極めて簡単である。また、
波形変形手段においては、波形の一部位相区間の極性反
転や切取りなど、適宜の部分的波形加工処理技術を使用
してもよい。
【0013】また、波形変形手段の別の例としては、、
非線形変換テーブルを含み、信号循環手段のループから
取り出した波形信号を該非線形変換テーブルに入力して
非線形変換することにより波形変形を行うようにしたも
のであってもよい。非線形変換によって波形の形状を大
きく変形することができ、入力波形になかった倍音成分
の付加が可能である。この場合、信号循環手段のループ
を通る波形信号の振幅レベルを検出し、検出した振幅レ
ベルの大きさに応じて前記非線形変換テーブルに入力す
る前記波形信号の振幅を制御するようにしてもよい。ア
タック、ディケイ等の音量エンベロープレベルの変動に
対応して信号循環手段のループから取り出す波形信号の
レベルが変動する場合、その入力波形レベルの変動によ
って非線形変換テーブルでの波形変形の態様が変化して
しまうので、これを防ぐためには、例えば、検出した振
幅レベルが小さいほど非線形変換テーブルに入力する波
形信号の振幅を大きくするよう制御するとよい。
【0014】
【実施例】以下、添付図面を参照してこの発明の一実施
例を詳細に説明しよう。図1の実施例は、閉鎖ウェーブ
ガイドネットワークと同様の原理に従ってクラリネット
のような管楽器の物理モデル音源を構成したものであ
る。なお、この実施例において、閉鎖ウェーブガイドネ
ットワークに対応する遅延フィードバックループ部10
の構成は、簡略化された構成からなっている。
【0015】図1において、遅延フィードバックループ
部10は、デジタル波形信号を遅延しかつ循環する閉鎖
ループを形成してなるもので、波形信号を遅延する遅延
回路11を該ループ内に含み、この遅延時間を制御パラ
メータDCによって可変することによって該ループにお
ける共振特性を制御し、合成される楽音のピッチを設定
することができるものである。また、遅延フィードバッ
クループ部10は、ループ内にローパスフィルタ12と
オールパスフィルタ13を含んでおり、更に、振動を励
起するために非線形特性の励起部14をループ内に挿入
してなる。ループ内において、励起部14の入力側に
は、加算器15と極性反転用の反転回路16とが設けら
れている。
【0016】励起部14の入力側に設けられた加算器1
5は、演奏パラメータの1つである圧力信号Pをループ
内に導入するためのものである。圧力信号Pに対応する
デジタルデータが加算器17を経由して加算器15に入
力され、遅延フィードバックループ部10を循環する信
号を反転回路16で極性反転した信号がこれに加算さ
れ、その加算結果が非線形変換テーブル21,22に入
力される。すなわち、励起部14の出力信号が、ローパ
スフィルタ12とオールパスフィルタ13で処理され、
かつ遅延回路11で遅延され、反転回路16及び加算器
15を介して入力側に負帰還される。この反転回路16
は、後述するように、非線形変換テーブル21,22と
の協働により、ループ部10内で振動を励起するよう作
用するものであり、ループ内に挿入された非線形変換要
素の一部とみなしてもよい。なお、物理モデルの側面か
ら見ると、クラリネット開口端での反射(位相反転)を
シミュレートするものである。
【0017】圧力信号Pは、振動信号を励起するための
直流的な(振動波形ではない)デジタルデータからなる
もので、演奏パラメータ発生部20から、任意の発音持
続時間に対応して持続的に発生される。演奏パラメータ
発生部20は、合成する楽音の諸特性をリアルタイムで
制御するための各種の演奏パラメータデータを発生する
ものであり、演奏者の意志やその他の要素に基づいて各
演奏パラメータデータを発生する。例えば、音高、音色
等の選択スイッチ類やブレスコントローラなどの各種演
奏操作子、及びエンベロープ発生器などの各種データ発
生手段等を含んでいてよい。例えば、演奏者がブレスコ
ントローラを吹くと、その息圧に対応して圧力信号Pが
発生される。ノイズ発生器18,フィルタ19及び加算
器17は、圧力信号Pを所望に応じて変調するためのも
のである。フィルタをかけたノイズ信号を圧力信号Pに
加算することにより、圧力信号Pにゆらぎを与え、楽音
合成形態をより複雑にしようとするものである。
【0018】励起部14では、2つの非線形変換テーブ
ル21,22をパラレルに具備しており、更に、各非線
形変換テーブル21,22の出力に可変の係数C1,C
2をそれぞれ掛けるための乗算器23,24と、乗算器
23,24の出力を加算する加算器25とを具備してい
る。2つの非線形変換テーブル21,22(テーブル#
1,#2)における非線形変換特性の一例を示すと、図
2の(a)(b)のようである。一方の非線形変換テー
ブル21(テーブル#1)の非線形変換特性は、図2の
(a)に示すように、変化領域と不変化領域を有し、変
化領域では一方向に単調変化を示す変換カーブからなっ
ている。他方の非線形変換テーブル22(テーブル#
2)の非線形変換特性は、図2の(b)に示すように、
入力値の小さい或る範囲が不変化領域となっていて、変
化領域では大部分が増加変化を示すが一部で減少変化を
示す変換カーブからなっている。
【0019】励起部14全体から見た非線形変換特性
は、2つの非線形変換テーブル21,22の変換特性を
加算又は減算合成した特性であり、その一例を示すと図
2の(c)や(d)のようである。(c)は(a)
(b)に示すような2つの変換特性を加算合成した例を
示し、(d)は減算合成した例を示す。(c)や(d)
のような、合成される非線形変換特性のカーブは、乗算
器23,24に与える係数C1,C2の値の大小及び符
号によって適宜可変制御することができる。例えば、係
数C1の符号を正、係数C2を負で与えると、(d)の
ような減算合成特性となる。このような合成された非線
形変換特性においては、図示のように、一部に小さな
「こぶ」や「へこみ」が現われる。この「こぶ」や「へ
こみ」の部分で、従来知られた山型非線形変換特性に似
た非線形変換がなされ、倍音成分の発生を複雑にするの
で、有利である。しかも、「こぶ」や「へこみ」の部分
での極端な傾きの反転が生じないので、比較的安定した
発振が確保でき、制御が比較的容易であるという利点も
ある。加えて、係数C1,C2の可変によって合成非線
形変換特性を随時可変できるという利点もある。
【0020】係数C1,C2は、例えば、演奏パラメー
タ発生部20から、適宜の操作子の操作に応じて手動的
に、又は選択音色、選択音高あるいは選択効果等に連動
して自動的に、発生されかつ可変されるようになってい
てよい。勿論、この発明の実施にあたっては、励起部1
4は、図示のような2つの非線形変換特性を合成するタ
イプに限らず、1つの非線形変換テーブルのみによって
構成されていてもよい。あるいは、3以上の異なる非線
形変換特性を合成するようにしてもよい。
【0021】閉鎖ループ内に設けられたローパスフィル
タ12は、管楽器の反射端(例えばクラリネットの開口
端)における高音域損失や管全体での高音域損失をシミ
ュレートするものであり、係数群FC1に応じてそのカ
ットオフ周波数等のフィルタ特性が可変制御される。こ
れにより、合成する楽音の音色を調整することができ
る。このフィルタ係数群FC1も、例えば、演奏パラメ
ータ発生部20から、適宜の操作子の操作に応じて手動
的に、又は選択音色、選択音高あるいは選択効果等に連
動して自動的に、発生されかつ可変されるようになって
いてよい。
【0022】閉鎖ループ内に設けられたオールパスフィ
ルタ13は、通過する信号の振幅は制御しないが、その
位相遅延量をその周波数に対応して異ならせるものであ
る。このオールパスフィルタ13は、物理的には、管楽
器の管内を伝播する音波の進行速度がその音高周波数に
よって異なることを模倣するものである。オールパスフ
ィルタ13における位相遅延量対周波数の特性は、フィ
ルタ係数FC2及び/又はFC3によって制御される。
フィルタ係数FC2は、演奏パラメータ発生部20から
選択音色等の適宜のファクタに応じて発生されるもので
あり、これにより選択音色等によりオールパスフィルタ
13における位相遅延量対周波数の特性を可変制御し、
合成楽音の音色を微妙に調整することができる。フィル
タ係数FC3は、ループ内を通る波形信号をアンプ26
で適宜にレベル調整した信号からなる。つまり、フィル
タ係数FC3は、ループ内を循環する発振波形信号の振
幅レベルに概ね対応している。息圧の強弱に応じて、こ
の発振波形信号の振幅レベルが変動し、これに対応する
フィルタ係数FC3に応じてオールパスフィルタ13の
特性が可変制御され、合成楽音の音色を息圧に応じて微
妙に調整することができる。
【0023】上記構成から成る遅延フィードバックルー
プ部10における発振作用は、概ね次のようである。圧
力信号Pの立ち上がりに応じて、励起部14では、これ
を非線形変換した信号を出力する。この信号がローパス
フィルタ12、オールパスフィルタ13、遅延回路11
及び反転回路16を経由して、該ループの合計遅延時間
経過後に反転されて加算器15にフィードバックされ
る。そこで、加算器15では、圧力信号Pからこのフィ
ードバック信号の絶対値分を引き算することになる。そ
して、加算器15の出力が非線形変換テーブル21,2
2に入力されて非線形変換され、ループを通って所定の
遅延時間後に反転されて加算器15にフィードバックさ
れる。ループにおけるこの繰返しによって振動が励起さ
れることになる。従って、図1に示された音源モデルの
場合、発振される波形信号の音高の1周期は、ループの
合計遅延時間の2倍となる。
【0024】遅延回路11の遅延時間を可変設定する制
御パラメータDCは、所望音高に対応して演奏パラメー
タ発生部20から発生される。上述のように、発振され
る波形信号の音高は、遅延回路11の遅延時間のみによ
って決定されるのではなく、ループ全体の遅延時間によ
って決定されるので、制御パラメータDCによって設定
する遅延時間は、フィルタ12,13における遅延時間
を差し引いて考慮しなければならない。
【0025】図1に示した遅延フィードバックループ部
10は、簡易型のクラリネットモデルであり、そこで合
成される波形信号の音色的特徴はクラリネット的であ
り、偶数次倍音が不足するものである。その分、励起部
14における非線形変換特性は比較的単純であり、発振
が安定しており、その制御も比較的容易である。図3の
(a)は、遅延フィードバックループ部10で合成され
た波形信号の一例を示す。矩形波の形状に近く、偶数次
倍音が不足していることが理解できる。
【0026】この遅延フィードバックループ部10にお
ける任意の位置(図では加算器25の出力)からその発
振波形信号を取り出し、これを波形変形部27に入力す
る。波形変形部27では、ループから取り出された波形
信号の波形を変形して倍音成分を付加する処理を行な
う。図1では、波形変形部27は、微分回路28、絶対
値回路29、比較器30を含んでいる。微分回路28
は、遅延フィードバックループ部10で合成されたデジ
タル波形信号(例えば図3のa)を微分するものである
が、デジタル処理であるから実際は差分演算をする。こ
の微分回路28の出力の一例を示すと図3の(b)のよ
うである。絶対値回路29は、微分回路28の出力の振
幅値を絶対値変換するものである。すなわち、負の値を
正の値に変換する。この絶対値回路29の出力の一例を
示すと図3の(c)のようである。比較器30は、微分
回路28の出力と0とを比較し、0以上の値つまり正の
値を出力する。この比較器30の出力の一例を示すと図
3の(d)のようである。
【0027】絶対値回路29の出力と比較器30の出力
は、乗算器31及び32でそれぞれ個別の係数C3,C
4が掛けられてレベル制御され、これらが加算器33で
加算合成される。係数C3,C4は両方が正負どちらの
値にでも可変できるか、若しくは少なくとも係数C4が
可変の負の値を持つ。すなわち、図3の(c)から明ら
かなように、絶対値回路29の出力は、遅延フィードバ
ックループ部10で合成された楽音波形信号の本来のピ
ッチの2倍の周波数(1オクターブ上)を持つので、係
数C3,C4の可変制御によって波形変形部27での波
形変形の態様が制御できるのみならず、その周波数を1
オクターブ上に変えることもできる。
【0028】例えば、比較器30の出力に0の係数C4
を掛けて絶対値回路29の出力に加算すれば、絶対値回
路29の出力がそのまま加算器33から出力され、波形
変形部27で波形変形した波形信号の周波数は、本来の
楽音ピッチの2倍音となる。また、比較器30の出力に
−1の係数C4を掛けて絶対値回路29の出力に加算す
れば、図3の(c)における鋸歯波形が1波おきに取り
除かれることになるので、加算器33の出力波形つまり
変形された波形信号の周波数は、本来の楽音ピッチと同
じものとなる。また、係数C3又はC4を適宜変更する
と、それに応じた比率で絶対値回路29の出力と比較器
30の出力が加算合成(又は減算合成)され、波形変形
部27での波形変形の態様を制御できる。図3の(c)
又は(d)を見れば明らかなように、微分演算によって
変形された波形は、鋸歯状波に近いものとなり、偶数次
倍音を含むことが理解できる。
【0029】波形変形部27の出力はハイパスフィルタ
(HPF)34に入力される。このハイパスフィルタ3
4は、波形変形部27から出力される波形信号の直流成
分を除去するためのものである。すなわち、波形変形部
27の出力は一方の極性にオフセットされているため、
ここでその直流成分を除去する。ハイパスフィルタ34
の出力を入力したローパスフィルタ(LPF)35は、
ハイパスフィルタ34の出力信号から低帯域成分を取り
出すためのものである。ローパスフィルタ35で取り出
した低帯域成分信号はアンプ(乗算器)36で適宜にレ
ベル調整され、加算器37でハイパスフィルタ34の出
力信号と加算される。このローパスフィルタ35及び加
算器37による低帯域成分の加算は、波形変形部27で
波形変形処理した波形信号に対して低帯域成分のレベル
を増強するためである。その理由は、微分回路28にお
ける微分によってループ出力波形が本来持っていた低帯
域成分が減衰されるのでこれを補強するためであり、差
分に対する和分による特性補正という意味合いがある。
また、ハイパスフィルタ34による直流成分除去処理に
よって低帯域成分が幾分減衰することが考えられるが、
これを補強する意味合いもある。
【0030】加算器37の出力は乗算器38で適宜レベ
ル制御されて加算器40に入力される。一方、遅延フィ
ードバックループ部10から取り出された波形信号は、
ハイパスフィルタ41に入力されて直流成分が除去され
た後、乗算器39で適宜レベル制御されて加算器40に
入力される。これらの乗算器38,39及び加算器40
は、遅延フィードバックループ部10から取り出した波
形信号と波形変形部27で変形した波形信号とを乗算係
数C5,C6に応じた可変比率で加算合成するためのも
のである。これによって、遅延フィードバックループ部
10で合成された楽音波形信号に対して、波形変形部2
7で倍音成分を付加する波形変形が施された波形信号が
適宜の比率で合成され、その合成結果として、倍音成分
を豊富に含む楽音波形信号が合成される。加算器40の
出力は、フィルタ42で適宜音色調整された後、図示し
ないデジタル/アナログ変換回路によってアナログ信号
に変換され、音響的に発音される。フィルタ42は更な
る音色調整を行なうために設けられているにすぎず、勿
論、省略可能である。
【0031】前述のように図1の遅延フィードバックル
ープ部10はクラリネットモデルであり、そこから発生
される楽音波形信号は、奇数次倍音からなるクラリネッ
ト系音色の特徴を強く持つものである。これに対して、
波形変形部27では、前述のように、偶数次倍音が付加
された波形信号が得られる。また、絶対値回路29の出
力がそのまま出力されるように係数C3,C4の設定を
行なえば、1オクターブ上(2倍音)の周波数を持つも
のとすることができる。従って、波形変形部27で変形
した波形信号が遅延フィードバックループ部10で合成
した波形信号に加算されることにより、遅延フィードバ
ックループ部10で合成した波形信号に対して、不足し
ていた偶数次倍音成分を付加することができ、その音色
を劇的に変えることができる。例えば、偶数次倍音成分
が付加された波形変形部27の出力波形はトランペット
系の音色の特徴を持つ。また、1オクターブ上の倍音の
付加は、オルガン系の音色合成を模倣することができ
る。そのほか、合成比率を設定する係数C5,C6の設
定、及びその他各種パラメータの設定によって、任意の
幅広い音色の合成が可能となる。
【0032】各係数C3,C4,C5,C6は、前述と
同様に、例えば、演奏パラメータ発生部20から、適宜
の操作子の操作に応じて手動的に、又は選択音色、選択
音高あるいは選択効果等に連動して自動的に発生され、
かつ可変されるようになっていてよい。なお、波形変形
部27で変形した波形信号の混合比率設定は、係数C
3,C4によっても行なえるので、乗算器38及びそれ
に対応する係数C5は省略してもよい。また、図におい
て、係数の図示をしていない回路においても、それが係
数による制御が可能なもの(例えばアンプ26,36や
HPF,LPF、フィルタ42など)はすべて、演算パ
ラメータ発生部20で適宜の係数又はパラメータを発生
し、演奏時にリアルタイムでその特性を可変制御するこ
とが可能である。
【0033】なお、遅延フィードバックループ部10そ
れ自体の構成は、図示の構成のものに限らず、前述の特
開昭63−40199号公報やそれに続く他の特許出願
公開公報等によって公知のデジタルウェーブガイドネッ
トワークタイプの音源を適宜使用してもよい。
【0034】図4は、図1における励起部14の構成を
変更した実施例を示す。他の構成は図1に示されたもの
とほぼ同様であり、図1に示されたものと同一符号の回
路要素については、図1での説明を援用し、繰返し説明
を避ける。図4における励起部43は、非線形変換テー
ブルを省略し、その代わりに、励振波形発生部44を設
けたものである。励振波形発生部44は、演奏操作に対
応して演奏パラメータ発生部20から与えられる音高デ
ータKC,発音指示データKON,タッチコントロール
データTD等に応じて適宜の初期波形を発生するもので
あり、発生された初期波形信号が加算器45に入力され
ることにより、遅延フィードバックループ部10のルー
プに導入される。この初期波形信号がローパスフィルタ
12,オールパスフィルタ13,遅延回路11を介して
ループ内で遅延され、乗算器46で極性反転されかつレ
ベル制御されて、加算器45にフィードバックされる。
乗算器46の係数「−G」は、負の値であり、演奏パラ
メータ発生部20から可変的に発生される。この構成に
よって、前述と同様に、遅延フィードバックループ部1
0の全体遅延時間の2倍の周期を持つ振動が発振される
ことになる。この場合、比較的安定した発振が可能であ
るが、ループ部10で合成される波形信号は、前述と同
様に、偶数次倍音が不足する特性を持つものである。こ
の不足は、前述と同様に、波形変形部27によって補う
ことができる。なお、励振波形発生部44では、初期波
形に限らず、適宜のノイズ信号を発生するようにしても
よい。
【0035】図5は、波形変形部47について図1とは
別の実施例を示すものであり、また、遅延フィードバッ
クループ部48及び励起部49についても図1及び図4
に示したものとは異なる実施例が示されている。図5に
おける遅延フィードバックループ部48及び励起部49
はサキソフォンの物理モデルであり、図1や図4に示し
たものよりは複雑なモデルである。しかし、例えば特開
平2−294692号公報で示されたような公知の構成
と類似のものであるので、説明は簡単に行なう。なお、
圧力信号PRESのような各種演奏パラメータは、前述
と同様に、適宜の演奏パラメータ発生部より発生される
が、図示は省略する。
【0036】 遅延フィードバックループ部48は、サ
キソフォンの管の部分の動作をシミュレートするもので
あり、遅延時間の相対的に長い遅延回路51Lと短い遅
延回路51Sとを含んでおり、加算器50,遅延回路
1L,ローパスフィルタ52,乗算器53,加算器5
4,遅延回路51S,ローパスフィルタ55,乗算器5
6によって1つのループを構成している。そして、乗算
器57を介して与えられる励起部49の出力信号を加算
器50,54に入力してループ内に導入し、かつ、ルー
プ内の乗算器53,56でそれぞれ係数によって振幅制
御された信号を加算器58で加算してその出力を励起部
49にフィードバックし、励起部49をループに組み込
んでいる。遅延フィードバックループ部48で合成した
楽音波形信号の出力は、乗算器53,56から出力をそ
れぞれ取り出し、これを乗算器59,60でそれぞれ係
数m1,m2によって振幅制御し、その出力を加算器6
1で加算することにより得る。遅延フィードバックルー
プ部48内の遅延回路、乗算器及びフィルタには、それ
ぞれ遅延時間、乗算係数、フィルタ係数を可変設定して
合成楽音のピッチや音色を可変設定するための演奏パラ
メータが入力されるが、図示は省略してある。
【0037】励起部49はサキソフォンのリードの動作
をシミュレートするものであり、2つの非線形変換テー
ブル62,63を具備している。1つの非線形変換テー
ブル62は、スリット(Slit)関数のテーブルからなっ
ており、これは圧力に対するリードの変位量の物理特性
を模倣するものである。もう1つの非線形変換テーブル
63は、グレアム(Graham)関数のテーブルからなって
おり、これはリードでの差圧が流速に与える特性を模倣
するものであり、スリット関数による非線形変換を補正
するためのものである。
【0038】加算器64において、息圧に対応する演奏
パラメータとして与えられる圧力信号PRESが、遅延
フィードバックループ部48の加算器58を介してフィ
ードバックされる信号から減算される。この加算器64
の出力は、リードを変位させるための差圧に対応したも
のとなる。加算器64から出力される差圧に対応した信
号は、加算器65を介してローパスフィルタ66に入力
されると共に、非線形変換テーブル63に入力される。
【0039】ローパスフィルタ66は、リードが高域成
分に応答しない動特性を持っているので、これをシミュ
レートするためのものであり、加算器65を介して入力
される差圧信号の高域成分を除去する。ローパスフィル
タ66の出力は乗算器67でスリットゲインパラメータ
SGが乗算され、加算器68でアンブシュアパラメータ
EMBが加算される。スリットゲインパラメータSG
は、非線形変換テーブル62におけるスリット関数の傾
きを制御する(入力信号のゲインを制御することにより
実質的に関数の傾きを制御する)ものであり、0より大
つまり正の係数からなる。アンブシュアパラメータEM
Bは、リードの変位量が唇の構えや締め具合などに影響
されることを考慮し、それに応じた補正を行なうことに
より、微妙なリードの噛み具合をシミュレートするもの
である。ローパスフィルタ66の周波数特性を制御する
ピークパラメータQとカットオフ周波数パラメータf
c、及びスリットゲインパラメータSG、アンブシュア
パラメータEMBは、前述と同様に、図示しない演奏パ
ラメータ発生部から与えられ、演奏時にリアルタイムで
変更することが可能である。
【0040】加算器68の出力は、必要な各種の演算
(差圧演算、高域カット、ゲイン調整、アンブシュア補
正など)が施された圧力信号として、非線形変換テーブ
ル62に入力される。非線形変換テーブル62における
スリット関数の一例を示すと図6の(a)のようであ
り、単調変化特性を示すものであり、制御がしやすいも
のである。非線形変換テーブル62の出力は乗算器69
に入力され、非線形変換テーブル63の出力が乗算され
る。非線形変換テーブル63は、乗算器69に対して乗
算係数を供給するものであり、そこにおけるグレアム関
数の一例を示すと図6の(b)のようである。その入力
信号は加算器64から出力される差圧信号、出力は流速
係数であり、差圧が大きくなっても狭い管路では流速が
飽和して差圧と流速が比例しないことをシミュレートす
る関数である。結局、乗算器69では、非線形変換テー
ブル62から与えられる圧力に対応するリード変位量
(空気通路面積)を表わす信号に対して、非線形変換テ
ーブル63から与えられる流速係数を乗算する。乗算器
69の出力は、乗算器57で所定の係数が乗算されて、
遅延フィードバックループ部48に与えられる。なお、
非線形変換テーブル62の出力が乗算器70に入力さ
れ、適宜の係数が掛けられて、加算器65にフィードバ
ックされ、差圧信号に対して加算される。これは差圧信
号をリード変位量に応じて補正するためである。
【0041】図5において、波形変形部47は非線形変
換テーブル71を含んでいる。励起部49の加算器68
の出力を取り出し、非線形変換テーブル71に入力す
る。非線形変換テーブル71は、一例として図6の
(c)に示すような複雑なスリット関数からなるもので
ある。いくつかの山(正負の両方の傾きを持つ)を含む
関数に従って、入力信号が複雑に波形変形される。この
非線形変換テーブル71の出力が乗算器72に入力さ
れ、非線形変換テーブル63から出力された流速係数が
乗算される。乗算器72の出力は、乗算器73で所定の
係数が乗算されて、更に乗算器74で混合比率を設定す
る可変の係数m3が乗算され、加算器75に入力され
る。加算器75では、加算器61の出力すなわち遅延フ
ィードバックループ部48の合成楽音出力信号と加算さ
れる。従って、加算器75における遅延フィードバック
ループ部48の合成楽音出力と波形変形部47の出力と
の混合比率は、乗算器59,60,74の各係数m1,
m2,m3を可変することによって適宜制御される。
【0042】図5の実施例においては、励起部49の非
線形変換テーブル62の特性は図6の(a)に示したよ
うな比較的単調な変化特性を示すものであり、制御がし
やすく、息圧に応じた圧力信号PRESやアンブシュア
パラメータEMBなどの演奏パラメータに応じた制御に
よって、例えばアタック部での微妙なピッチ変化等を容
易にシミュレートすることができ、良質なサックス音を
合成することができる。それに加えて、サックス音にと
どまることなく、より多様/多彩な音色合成を、波形変
形部47の付加によって実現することができるようにな
る。すなわち、波形変形部47の非線形変換テーブル7
1は、遅延フィードバックループ部48のループから外
れているため、その非線形変換用の関数としては、任意
のもの(どのように複雑に変化する関数でもよい)を使
用することができるので、複雑な波形変形を行なうこと
ができ、倍音成分の付加が可能である。従って、混合比
率を設定する各係数m1,m2,m3の可変制御によっ
て、加算器75から出力される楽音波形信号の音色を大
きく変更することができる。
【0043】ところで、図5に示すような管楽器モデル
では、波形変形部47の付加によって音色をがらりと変
えようとしても、どうしても息で演奏しているような印
象が残ってしまう。これは、この種の物理モデル音源で
は、圧力信号エネルギーを徐々に加えていかなければ発
振が成長し難いという側面があるからである。すなわ
ち、遅延フィードバックループ部48及び励起部49か
らなる物理モデル音源において、合成される楽音信号の
振幅エンベロープは、管楽器音的な比較的ゆっくりした
立ち上がりを示すので、これに対応して波形変形部47
で波形変形を行なった場合、非線形変換テーブル71の
入力レベルが小さいために、十分な波形変形がなされ
ず、立ち上がり部分において波形変形部47による波形
変形効果が薄れ、息で演奏した音が立ち上がるような印
象が残ってしまう。その改善策を図7以降に示す。
【0044】図7は、図5における波形変形部47の部
分の変更例であり、図示していない遅延フィードバック
ループ部48及び励起部49については図5に示された
ものと同じ構成であってよい。図7において、エンベロ
ープ検出回路76は、遅延フィードバックループ部48
及び励起部49におけるループの中の任意の個所(任意
のアルゴリズム個所)から取り出した楽音信号TSを入
力し、その振幅エンベロープを検出するものである。検
出した振幅エンベロープのレベルデータは、レベル変換
テーブル77に入力される。レベル変換テーブル77
は、入力レベルに概ね反比例して変化するデータを出力
する変換特性(若しくは、少なくとも入力レベルが所定
低レベル範囲にあるとき最も大きな出力値を出力する変
換特性)からなるものであり、その変換テーブルの一例
を示すと図8の(a)あるいは(b)などのようであ
る。すなわち、大勢としては、楽音信号TSの振幅エン
ベロープのレベルが小さいほど大きな値のデータを出力
するような変換特性であるが、細部においては図8の
(b)のように変動する変換特性であってもよい。
【0045】レベル変換テーブル77から出力されるデ
ータは、乗算器78に出力され、励起部49の加算器6
8から取り出された波形信号に対して乗算される。乗算
器78の出力が非線形変換テーブル71に入力される。
この構成によって、遅延フィードバックループ部48及
び励起部49におけるループにおいて生成される楽音信
号TSの振幅エンベロープが小さいとき、相対的に大き
な値の係数がレベル変換テーブル77から乗算器78に
対して与えられ、非線形変換テーブル71に入力される
波形信号のレベルが相対的に大きくされる。従って、非
線形変換テーブル71の入力信号が大きく振れ、非線形
変換特性を十分に活用して波形を大きく変形することが
できる。これにより、楽音の立ち上がり時においても、
波形変形部47による波形変形を効果的に行なうことが
できるようになり、息を吹き込むような管楽器的な立ち
上がり音色特性を打ち消し、立ち上がり時からがらりと
音色を変えることができる。
【0046】なお、上記では、レベル変換テーブル77
の出力によって波形変形部47の非線形変換テーブル7
1の入力側の信号レベルを制御することにより、該波形
変形部47で変形する波形信号の倍音成分を制御してい
るが、これに限らず、振幅を制御するようにしてもよ
い。すなわち、レベル変換テーブル77の出力によって
波形変形部47の出力レベルを制御するようにしてもよ
い。あるいは、合成しようとする目的の音色の種類に応
じて、レベル変換テーブル77の出力によって遅延フィ
ードバックループ部48から取り出す楽音信号の振幅を
制御することにより、立ち上がりの鈍さを解消するよう
にしてもよい。
【0047】ところで、波形変形部47で付加する倍音
成分の数を制御するためには、非線形変換テーブル71
に入力される波形信号のゲインを任意に制御し、非線形
変換カーブのどの領域を使用するかを変更制御するよう
にすればよい。そのためには、図5における波形変形部
47を図9のように変更例するとよい。図9においては
遅延フィードバックループ部48及び励起部49につい
て図示していないが、図5に示されたものと同じ構成で
あってよい。図9において、励起部49の加算器68か
ら取り出された波形信号を非線形変換テーブル71に入
力する経路において入力ゲイン制御用の乗算器79が設
けられており、この乗算器79のゲイン制御係数CF
は、図示しない操作子の操作や選択された音色種類など
の各種ファクタに応じて可変設定される。励起部49の
加算器68から取り出された波形信号の振幅レベルが係
数CFに応じて可変制御され、非線形変換テーブル71
に入力される該波形信号の振幅レベルが制御される。こ
れにより、非線形変換テーブル71において使用される
非線形変換カーブの入力領域が変化し、波形形状の変換
特性が種々に可変制御され、付加される倍音成分(倍音
の数及び量)を任意に制御できることになる。
【0048】図10は、図7に示された波形変形部47
に対して図9と同様の変更を施した例を示す。すなわ
ち、乗算器78と非線形変換テーブル71との間に乗算
器79が挿入されている。
【0049】図11は、図10に示された波形変形部4
7の変更例を示しており、非線形変換テーブル71の出
力側に乗算器80が設けられている。エンベロープ検出
回路76の出力をレベル変換テーブル81に入力し、入
力レベルに概ね正比例する適当な変換特性でレベル変換
出力を生じる。レベル変換テーブル81の出力が乗算器
80の乗算係数として入力され、変形された波形信号の
振幅レベルを制御する。これは、レベル変換テーブル7
7と乗算器78の部分による制御によって、ループ内で
生成される楽音信号TSの振幅レベルが小さいほど非線
形変換テーブル71の入力レベルが大きくなるように制
御されたことによって、該非線形変換テーブル71の出
力信号レベルが大きくなったため、このレベルを元の楽
音信号TSの振幅レベルに対応させて小さくするための
ものである。レベル変換テーブル81を設けずに、エン
ベロープ検出回路76の出力を直接又は適宜下位にビッ
トシフトして乗算器80の乗算係数として入力するよう
にしてもよい。これにより、楽音の立ち上がりにおい
て、波形変形部47による波形変形(倍音付加)は十分
に行なうが、その振幅レベルはゆるやかにする(息圧の
印象をつける)ことができる。同様の乗算器80とレベ
ル変換テーブル81を図7の実施例に付加してもよい。
若しくは、図11において乗算器79を省略してもよ
い。
【0050】図12は、図7の変更例を示すもので、複
数の異なるレベル変換テーブル77a,77b,…77
nを具備し、エンベロープ検出回路76の出力を各テー
ブル77a,77b,…77nに入力し、それぞれの出
力を乗算器82a,82b,…82nに与えて可変係数
(図示せず)にてそれぞれ制御し、これを加算器83で
加算合成して、乗算器78に入力するようにしている。
各乗算器82a,82b,…82nの乗算係数は、図示
しない操作子の操作や選択音色等の各種ファクタに応じ
て可変設定される。これにより、ループ内で合成される
楽音信号TSの振幅エンベロープレベルに対応して自由
な特性で、非線形変換テーブル71への入力ゲインを制
御することができ、倍音付加制御の態様を多様にするこ
とができる。非線形変換テーブル71への入力ゲインを
係数CFによって更に制御するために乗算器79が設け
られている。乗算器79は省略してもよい。
【0051】図13は、波形変形部47の更なる変更例
を示すものであり、非線形変換テーブル71の代わりに
関数演算回路(スリット関数演算部86)を用いたもの
である。図示していない遅延フィードバックループ部4
8及び励起部49については図5に示されたものと同じ
構成であってよい。図13の例では、励起部49のロー
パスフィルタ66から信号を取り出し、波形変形部47
の入力側に設けられたハイパスフィルタ84に入力する
ようにしている。このハイパスフィルタ84は直流分を
カットするためのものである。ハイパスフィルタ84の
出力はゲイン制御用の乗算器85を介してスリット関数
演算部86に入力される。
【0052】スリット関数演算部86は、所定のスリッ
ト関数の演算を行なうものであり、入力x(ただし、−
1<x<1)に対して乗算器87で1/2を掛け、その
積に加算器88で1/2を足し、その和a=(x+1)
/2を対数器89で2を底とする対数−logaに変換
し、この対数値に乗算器90でパラメータnを乗算し、
その積b=−nlogaを指数−bとし2を底とする指数
関数を指数器91で求め、その出力に加算器92で−1
/2を足し、演算結果yを得るようにしている。結局、
演算結果yは、{(x+1)/2}をn乗した値から
(1/2)を引いた値となる。ここで、パラメータnが
1のときはy=x/2の単調変化を示すが、n<1又は
n>1にして可変制御することにより、非線形的関数カ
ーブを示すものとなる。従って、パラメータnの可変制
御により、非線形変換特性を可変制御できるという利点
がある。
【0053】ハイパスフィルタ84の出力はエンベロー
プ検出用のローパスフィルタ93に入力され、エンベロ
ープレベルに対応した出力を得る。ローパスフィルタ9
3のエンベロープ検出出力は乗算器94を介してレベル
変換テーブル77に入力され、レベル変換テーブル77
の出力は加算器95を介して前記乗算器85に入力され
る。これらのエンベロープ検出用ローパスフィルタ93
及びレベル変換テーブル77は、図7のエンベロープ検
出回路76及びレベル変換テーブル77の部分と同様の
働きをするものである。図示していないが、乗算器94
には適宜の係数パラメータが入力され、加算器95には
適宜の加算パラメータが入力され、ローパスフィルタ9
3には適宜のフィルタ係数パラメータが入力され、これ
らのパラメータを可変することにより、楽音信号エンベ
ロープレベルに応じた倍音付加制御の態様を自由に制御
できるようにしている。また、スリット関数演算部86
の出力が乗算器96に入力され、エンベロープ検出用の
ローパスフィルタ93の出力が乗算される。この乗算器
96は図11の乗算器80と同じ目的で設けられたもの
である。
【0054】なお、図5〜図12の実施例において、波
形変形部47に入力する信号は、励起部49の加算器6
8の出力としてあるが、これに限らず、遅延フィードバ
ックループ部48及び励起部49のどの部分から取り出
した信号でもよい。従って、エンベロープ検出回路76
に入力する楽音信号TSと同じものを変形対象たる波形
信号として波形変形部47に入力するようにしてもよ
い。また、取り出した楽音信号TS等は、図13に示さ
れたようにハイパスフィルタ処理によって直流分を適宜
カットするようにしてもよい。また、図13において
も、波形変形部47に入力する信号は、励起部49のロ
ーハイパスフィルタ66の出力に限らず、遅延フィード
バックループ部48及び励起部49のどの部分から取り
出した信号でもよい。
【0055】なお、図1〜図4に示されたような遅延フ
ィードバック部10及び励起部14,43からなる音源
回路において、図5〜図13に示されたような波形変形
部47を使用してもよい。反対に、図5に示されたよう
な遅延フィードバック部48及び励起部47からなる音
源回路において、図1に示されたような波形変形部27
を使用してもよい。更に、図5〜図13に示されたよう
な波形変形部47の構成及びそれに基づく技術思想は、
図示のような遅延フィードバック型音源若しくは閉鎖ウ
ェーブガイド型音源のような物理モデル型音源に限ら
ず、その他の任意の方式の音源に組み合わせて採用する
ようにしても効果的である。また、図7,図10,図1
1等に示したような楽音信号TSの振幅エンベロープレ
ベルの検出とそれに基づく波形変形部47での波形変形
制御態様の制御技術は、図1に示したような波形変形部
27を使用する場合にも適用できる。
【0056】更に、波形変形手段としては、図1や図5
〜図13の波形変形部27,47に示されたものに限ら
ず、その他のものでもよい。例えば、遅延フィードバッ
ク部10,48のループから取り出した変形対象たる波
形信号を変調波又は被変調波として可聴周波帯域での周
波数変調(FM)又は振幅変調(AM)演算を行なう変
調手段を含む回路によって波形変形手段を構成してもよ
い。図14はその一例を示しており、遅延フィードバッ
ク部10,48のループから取り出した変形対象たる波
形信号が乗算器97で係数k1によって適宜可変制御さ
れ、FM又はAM用の演算回路98に搬送波データ入力
CWに入力される。演算回路98は、搬送波データ入力
CWに与えられた信号を変調波データ入力MWに与えら
れた信号によって周波数変調又は振幅変調する演算を行
なう。その変調出力は、乗算器99で変調指数係数k2
によって適宜可変制御され、変調波データ入力MWにフ
ィードバックされる。更に、演算回路98の変調出力
は、乗算器100で係数k3によって適宜可変制御さ
れ、遅延フィードバック部10,48のループで合成さ
れた楽音信号に加算合成するために出力される。図14
のような自己フィードバック型の変調演算に限らず、そ
の他の形式の変調演算でもよい。
【0057】以上の各実施例に示された構成は、ハード
ワイアード回路に限らず、マイクロプロセッサやコンピ
ュータなどの汎用プロセッサを使用したプログラム処理
によるものであってもよいのは勿論である。また、各種
の演奏パラメータをリアルタイムで発生するための手段
としては、前述したブレスコントローラやキーボード、
スイッチ類に限らず、その他、ペダル操作子やジョイス
ティック、マウス、タッチセンサなど、どのようなもの
を使用してもよい。また、MIDI配線を介して、適宜
の演奏パラメータや制御信号を受け、これによって本発
明に従う楽音合成及び制御動作を制御するようにしても
よいのは勿論である。
【0058】以上の実施例から抽出される発明及び実施
の態様のいくつかを要約して列挙すると次のようであ
る。 1.信号を循環する閉鎖ループを形成し、かつ信号を遅
延する遅延手段を該ループ内に含み、この遅延時間を可
変することによって共振特性が制御される信号循環手段
と、前記信号循環手段のループ内に波形信号を励起する
励起手段と、前記信号循環手段のループから波形信号を
取り出し、この波形を変形して倍音成分を付加する波形
変形手段と、前記信号循環手段のループから取り出した
波形信号と前記波形変形手段で変形した波形信号との合
成により楽音波形信号を出力する合成手段とを具えた楽
音波形信号合成装置。 2.前記波形変形手段が、前記信号循環手段のループか
ら取り出した波形信号を微分する微分手段を含む前記1
項の楽音波形信号合成装置。 3.前記波形変形手段が、微分された波形信号の振幅値
を絶対値変換する手段を含む前記2項の楽音波形信号合
成装置。 4.前記波形変形手段が、微分された波形信号から正又
は負の一方の振幅値を持つ波形部分だけを抜き出す比較
手段と、この比較手段の出力波形と前記絶対値変換した
波形とをそれぞれのレベルを正負両方向に可変制御して
加算合成する手段とを含む前記3項の楽音波形信号合成
装置。 5.前記波形変形手段が、微分された波形信号から低帯
域成分を取り出す手段と、取り出した低帯域成分を該波
形変形手段の出力波形信号に加算する手段とを含む前記
3項又は4項の楽音波形信号合成装置。 6.前記波形変形手段は、波形の一部を切り取る手段を
含む前記1項の楽音波形信号合成装置。 7.前記波形変形手段は、非線形変換テーブルを含み、
前記信号循環手段のループから取り出した波形信号を該
非線形変換テーブルに入力して非線形変換することによ
り波形変形を行うものである前記1項の楽音波形信号合
成装置。 8.前記励起手段が、前記信号循環手段に導入する波形
信号の振幅を可変制御する振幅制御手段を含み、前記波
形変形手段が、前記非線形変換テーブルから出力される
変形された波形信号の振幅を前記振幅制御手段による制
御に連動して可変制御する手段を含む前記7項の楽音波
形信号合成装置。 9.前記波形変形手段が、前記信号循環手段のループを
通る波形信号の振幅レベルを検出する手段と、検出した
振幅レベルに応じて前記非線形変換テーブルに入力する
前記波形信号の振幅を制御する手段とを更に含む前記7
項又は8項の楽音波形信号合成装置。 10.前記検出した振幅レベルに応じて前記非線形変換
テーブルに入力する前記波形信号の振幅を制御する手段
は、検出した振幅レベルが小さいほど該波形信号の振幅
を増すように制御するものである前記9項の楽音波形信
号合成装置。 11.前記検出した振幅レベルに応じて前記非線形変換
テーブルに入力する前記波形信号の振幅を制御する手段
は、検出した振幅レベルに応じて振幅制御係数を読み出
すテーブルと、このテーブルから読み出した振幅制御係
数に応じて前記非線形変換テーブルに入力する前記波形
信号の振幅を制御する手段とを含む前記10項の楽音波
形信号合成装置。 12.前記テーブルが複数有り、そのうち選択された1
つのテーブルから読み出された振幅制御係数を使用する
前記11項の楽音波形信号合成装置。 13.前記非線形変換テーブルは、所定の非線形変換演
算を実行する演算手段からなる前記7項乃至12項のい
ずれか1つの楽音波形信号合成装置。 14.前記波形変形手段が、前記非線形変換テーブルに
入力する前記波形信号の振幅を操作子の操作に応じて制
御する手段を更に含む前記7項乃至13項のいずれか1
つの楽音波形信号合成装置。 15.前記波形変形手段が、前記信号循環手段のループ
から取り出した波形信号を変調波又は被変調波として周
波数変調演算を行なう変調手段を含む前記1項の楽音波
形信号合成装置。 16.前記波形変形手段が、前記信号循環手段のループ
から取り出した波形信号を変調波又は被変調波として振
幅変調演算を行なう変調手段を含む前記1項の楽音波形
信号合成装置。 17.前記変調手段の出力信号を変調波として使用し
て、前記信号循環手段のループから取り出した波形信号
を変調するようにした前記15項又は16項の楽音波形
信号合成装置。 18.前記励起手段は、前記信号循環手段のループ内に
挿入されてなり、入力された信号を非線形変換する非線
形変換手段と、発振を励起するための信号を前記ループ
内に導入する手段とを有する前記1項乃至17項のいず
れか1つの楽音波形信号合成装置。 19.前記励起手段は、所定の初期波形信号を前記信号
循環手段のループ内に導入する手段を有する前記1項乃
至17項のいずれか1つの楽音波形信号合成装置。 20.前記混合手段が、前記信号循環手段のループから
取り出した波形信号と前記波形変形手段で変形した波形
信号との混合比率を可変制御する手段を含む前記1項乃
至19項のいずれか1つの楽音波形信号合成装置。 21.演奏パラメータを入力する手段を具備し、入力さ
れたパラメータを前記信号循環手段、励起手段、波形変
形手段及び合成手段の少なくとも1つに与えて楽音波形
信号の合成を制御するようにした前記1項乃至20項の
いずれか1つの楽音波形信号合成装置。 22.波形信号を発生する波形発生手段と、前記波形発
生手段で発生した波形信号を入力し、該入力波形信号を
非線形変換する非線形変換手段と、前記波形発生手段で
発生する波形信号の振幅レベルを検出する手段と、検出
した振幅レベルの大きさに応じて前記非線形変換手段に
入力する前記波形信号の振幅を制御する手段と、前記波
形発生手段で発生した波形信号と前記非線形変換手段で
非線形変換された波形信号とを混合することにより楽音
波形信号を出力する混合手段とを具えた楽音波形信号合
成装置。
【0059】
【発明の効果】 以上の通り、この発明によれば、信号
循環手段と励起手段からなる閉鎖ループ音源部分によっ
て物理モデルタイプの又はそれに類似した特有の音作り
が可能である一方で、波形変形手段により閉鎖ループ音
源部分において発生しない倍音成分を作成するような波
形変形を行なうことにより、該閉鎖ループ音源部分で合
成した波形信号の倍音構成を豊富にすることができる。
従って、閉鎖ループ音源部分での音作りは、安定した発
振が可能で比較的制御が容易な方式を採用したとして
も、波形変形手段の部分で倍音成分を作成する波形変形
がなされることにより、豊富な倍音構成に基づいて音作
りの幅を広げることができ、更に、波形変形手段で変形
した波形信号を信号循環手段のループから取り出した別
の波形信号で演算することにより演算の結果得られる波
形信号を一層複雑に変化させることができるので、比較
的容易な制御でありながら複雑な倍音を含む高品位な
音波形信号を合成することができるようになる、という
優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示すブロック図。
【図2】図1における励起部の非線形変換テーブルの特
性例を示すグラフであり、(a)及び(b)は並列的に
設けられた2つの異なる非線形変換テーブルの特性例、
(c)及び(d)はそれらを適当な比率で合成した特性
例、を夫々示す図。
【図3】図1における波形変形部での波形変形動作例を
示す波形図。
【図4】この発明の別の実施例を示すブロック図。
【図5】この発明の更に別の実施例を示すブロック図。
【図6】図5における各非線形変換テーブルにおける変
換特性を例示するグラフ。
【図7】図5に示された波形変形部の変更例を示すブロ
ック図。
【図8】図7におけるレベル変換テーブルの変換特性例
を示すグラフ。
【図9】図5に示された波形変形部の別の変更例を示す
ブロック図。
【図10】図7に示された波形変形部の変更例を示すブ
ロック図。
【図11】図7に示された波形変形部の別の変更例を示
すブロック図。
【図12】図7に示された波形変形部の更に別の変更例
を示すブロック図。
【図13】図5に示された波形変形部の更に別の変更例
を示すブロック図。
【図14】図1又は図5に示された波形変形部の別の実
施例を示すブロック図。
【符号の説明】
10,48 遅延フィードバックループ部 11,51L,51S 遅延回路 14,49 励起部 20 演算パラメータ発生部 27,47 波形変形部 21,22,62,63,71 非線形変換テーブル 28 微分回路 29 絶対値回路 44 励振波形発生部 76 エンベロープ検出回路 77,77a,77b,77n レベル変換テーブル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10H 7/08 G10H 7/00 513

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 信号を循環する閉鎖ループを形成し、か
    つ信号を遅延する遅延手段を該ループ内に含み、この遅
    延時間を可変することによって共振特性が制御される信
    号循環手段と、 前記信号循環手段のループ内に波形信号を励起する励起
    手段と、 前記信号循環手段のループから波形信号を取り出し、こ
    の波形を変形して倍音成分を付加する波形変形手段と、前記波形変形手段で変形した波形信号を前記信号循環手
    段のループから取り出した別の波形信号で演算する演算
    手段と、 前記信号循環手段のループから取り出した波形信号と前
    記波形変形手段で変形した波形信号に基づく前記演算手
    段の出力波形信号とを出力する出力手段とを具えた楽音
    波形信号合成装置。
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