JP3220895B2 - 注入同期発振器 - Google Patents

注入同期発振器

Info

Publication number
JP3220895B2
JP3220895B2 JP34510395A JP34510395A JP3220895B2 JP 3220895 B2 JP3220895 B2 JP 3220895B2 JP 34510395 A JP34510395 A JP 34510395A JP 34510395 A JP34510395 A JP 34510395A JP 3220895 B2 JP3220895 B2 JP 3220895B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
terminal
output terminal
output
injection
locked oscillator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34510395A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09162733A (ja
Inventor
健司 鴨川
恒雄 徳満
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP34510395A priority Critical patent/JP3220895B2/ja
Publication of JPH09162733A publication Critical patent/JPH09162733A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3220895B2 publication Critical patent/JP3220895B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Stabilization Of Oscillater, Synchronisation, Frequency Synthesizers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波帯およ
びミリ波帯注入同期発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図10は従来の非可逆4端子分配/合成
回路を用いた注入同期発振器(IEEE Trans.
Microwave Theory and Tec
h.,vol.42,pp.2572−2578,De
c.1994)である。端子11または端子12より入
力した信号は端子13および14にのみ分配され、端子
11−12間および端子13−14間には信号の伝達は
ない分配/合成回路10において、端子13と端子12
間に増幅器20を挿入している。ここで、21および2
2は上記増幅器20の入力端子、出力端子である。端子
13と端子12は増幅器20から見て結合端子であり、
増幅器20の入出力間に帰還回路を形成し、13−21
−20−22−30−12−13のループの利得が1以
上で、位相回りが2πの整数倍となる周波数において発
振を生じる。30は、ループの位相回りを調整する遅延
線路である。この発振器は端子1を介して端子11に注
入信号が入力されると、発振周波数が注入信号に同期
し、発振出力は端子14を介して端子2から取り出さ
れ、注入同期発振器として動作する。トランジスタで形
成した分配/合成回路10は、トランジスタの広帯域性
によってn=1の基本波およびn=2、3、4…のサブ
ハーモニックに対して分配/合成回路10の動作が保持
されるため、サブハーモニック係数1/nの値を自由に
設定可能となり、かつサブハーモニック係数1/nの小
さいサブハーモニックを注入した場合でも注入同期発振
する。これは逓倍器と同じ機能である。また、図10の
注入同期発振器はモノリシック化が容易であり、注入発
振源として市販シンセサイザICと組み合わせることに
より1ないし2チップ構成により、簡易でかつ経済的な
マイクロ波およびミリ波帯MMICシンセサイザを実現
することが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図10に示す
注入同期発振器を発振器として動作させるには、ループ
の利得を1以上にする必要がある。図11は、ミリ波帯
で有効なデバイスの1つであるPHEMT(カットオフ
周波数80GHz)を用いて形成した非可逆分配/合成
回路の入力端子から出力端子への分配特性をシミュレー
ションした結果である。図11に示すように非可逆分配
/合成回路の分配特性は周波数が増加するとともに劣化
し、例えば、60GHzでの分配損失は−10dBであ
る。即ち、60GHz帯において、図10に示す注入同
期発振器を実現するためには、10dB以上の利得を有
する増幅器を挿入する必要がある。しかし、周波数が高
くなるとデバイス特性が劣化し、高い利得を有する増幅
器を実現することが段々と困難になり、多段増幅器を用
いなければならなくなる。その結果、増幅器部の回路面
積が大きくなるとともに、増幅器内の位相回りが大きく
なるため周波数同期範囲が狭くなる。また、分配/合成
回路と増幅器との接続がレイアウト的に難しくなる。ま
た、デバイスのカットオフ周波数近くになると、自由発
振の条件を実現できなくなり、従来の注入同期発振器に
は適用周波数の上限が存在した。即ち、デバイス動作周
波数の上限に近づく程、従来の注入同期発振器構成では
実現性が極端に低くなる問題があった。
【0004】本発明の目的は適用周波数の広い注入同期
発振器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めの本発明の特徴は、第1および第2の入力端子と第1
および第2の出力端子を有し、第1の入力端子から第1
の出力端子および第2の出力端子への信号伝達が非可逆
であり、第2の入力端子から第1の出力端子および第2
の出力端子への信号伝達が非可逆であり、第1の入力端
子と第2の入力端子間および第1の出力端子と第2の出
力端子間が電気的にアイソレートされた非可逆4端子回
路と、前記第1の出力端子と前記第2の入力端子間に前
記4端子回路の動作周波数帯域の少なくとも一部の帯域
で動作する増幅器を有し、前記第1の入力端子に注入信
号を入力し、前記第2の出力端子から発振出力を得る注
入同期発振器において、前記第1の出力端子と前記増幅
器の入力の間に低インピーダンス線路からなるインピー
ダンス変成器を挿入した注入同期発振器にある。
【0006】好ましくは、上記注入同期発振器におい
て、上記第2の出力端子から低インピーダンス線路から
なるインピーダンス変成器を介して発振出力を得る注入
同期発振器にある。
【0007】好ましくは、上記注入同期発振器におい
て、上記第2の出力端子からインダクティブな線路と終
端短絡スタブからなるインピーダンス整合回路を介して
発振出力を得る注入同期発振器にある。
【0008】好ましくは、上記注入同期発振器におい
て、上記インピーダンス整合回路がインダクティブな線
路と終端開放スタブからなる注入同期発振器にある。
【0009】好ましくは、上記注入同期発振器におい
て、上記増幅器と上記第2の入力端子の間に可変移相器
を挿入した注入同期発振器にある。
【0010】本発明に係わる注入同期発振器は、低イン
ピーダンス線路からなるインピーダンス変成器により高
い周波数帯で分配/合成回路の第1の出力端子における
不整合が改善され、分配/合成回路の第2の入力端子か
ら第1の出力端子への分配損失を適用周波数帯で改善で
きる。分配損失の改善効果については、実施例で詳しく
述べる。分配/合成回路の分配特性が、例えば、数dB
改善できれば、増幅器の利得要求を改善量分軽減するこ
とができ、ミリ波帯のような高い周波数帯においても一
般的な増幅器を用いて自由発振動作を得ることが可能と
なる。そして、デバイスの動作周波数範囲の高周波帯に
おいても、増幅器をライブラリから引用してループを形
成することにより注入同期発振器を容易に実現できる。
また、低インピーダンス線路を用いることにより、目標
周波数帯での分配損失改善と50Ωインピーダンス整合
が行なえる。ここで、低い周波数帯の結合度の劣化が数
dB以下と小さいので、従来と同様にサブハーモニック
信号による同期発振動作を得ることができる。
【0011】また、本発明による注入同期発振器は、分
配/合成回路の第2の出力端子からインピーダンス変成
器を介して発振出力を取り出すため、発振ループから発
振出力端子への結合度をも改善しており、従来に比較し
て発振出力の低下を防止できる。
【0012】また、本発明に係わる注入同期発振器は、
分配/合成回路の第2の出力端子からインダクティブな
線路と終端短絡スタブ(または終端開放スタブ)からな
るインピーダンス整合回路を介して発振出力を取り出す
ため、発振ループから発振出力端子への結合度をも改善
しており、発振出力の低下を防止できる。また、第1の
入力端子から第2の出力端子間において発振周波数帯以
外の信号伝達が抑圧できるため、サブハーモニック同期
動作時に問題となる注入信号およびその高調波成分の発
振出力端子への漏洩を抑圧できる。その結果、出力端子
から低スプリアスな発振信号を得ることが可能となる。
【0013】また、本発明に係わる注入同期発振器は、
発振ループに可変移相器を挿入することにより、ループ
内の位相回りが変化し、自由発振周波数を変えることが
できるため、周波数引込範囲を従来に比較して広げるこ
とができる。すなわち、一般に注入同期発振器の引込範
囲Δfは、
【数1】 で表され、注入信号の入力レベルに依存する。ただし、
0 は発振器の自由発振周波数、Qeff は発振器の外部
Q、Po は発振器の出力、Pi は外部からの注入信号入
力電力である。しかし、本発明の注入同期発振器では可
変移相器による自由発振周波数の変化量をΔfoとする
と、引込範囲Δfは
【数2】 と表され、注入信号の入力レベルに関係なく、周波数引
込範囲をΔfo広げることができる。また、サブハーモ
ニックを注入した場合、図10に示す従来の注入同期発
振器では、基本波を注入した場合の周波数引込範囲Δf
1とn次サブハーモニックを注入した場合の周波数引込
範囲Δfnには、次式のような経験的な関係がある(I
EEE Trans.Microwave Theor
y andTech.,vol.42,pp.2572
−2578,Dec.1994参照)。
【0014】
【数3】 ここで、nはサブハーモニック次数である。しかし、同
様に本発明の注入同期発振器では自由発振周波数がΔf
o変化できるため、n次サブハーモニック注入時の周波
数引込範囲Δfnは
【数4】 と表される。従って、次数の高いサブハーモニックを注
入した場合においても広い引込範囲が実現でき、広帯域
な周波数逓倍器として動作することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明によ
る実施例について説明する。
【0016】第1の実施例 図1は本発明の注入同期発振器の第1の実施例である。
図1において、図10と同一のものについては同一の符
号を付す。
【0017】1は注入信号入力端子、2は発振信号出力
端子である。また、10は非可逆分配/合成回路であっ
て、11は第1の入力端子、12は第2の入力端子、1
3は第1の出力端子、14は第2の出力端子である。端
子1を介して端子11より入力した信号は端子13およ
び14にのみ分配され、端子12より入力した信号は端
子13および14のみに分配され、端子11−12間お
よび端子13−14間には信号の伝達はない(アイソレ
ートされている)。図中の矢印は該信号伝達の様子を示
す。また、40は低インピーダンス線路からなるインピ
ーダンス変成器であり、分配/合成回路10の第1の出
力端子13と端子13aの間に挿入されている。さら
に、20は増幅器で、21と22はそれぞれ入力端子、
出力端子であり、30は遅延線路である。増幅器20の
入力端子21はインピーダンス変成器40を介して分配
/合成回路10の端子13に接続され、増幅器20の出
力端子22は遅延線路30を介して分配/合成回路10
の端子12に接続されている。ここで、分配/合成回路
10の端子12と端子13は増幅器20から見て結合端
子であり、増幅器20の入出力間に帰還回路を形成し、
13−40−13a−21−20−22−30−12−
13のループの利得が1以上で、位相回りが2πの整数
倍となる周波数において自由発振を生じる。遅延線路3
0はループの位相回りを調整する高周波線路であり、一
部または全部を端子13aと端子21間に形成してもよ
い。
【0018】分配/合成回路10の端子11より高安定
・低位相雑音の信号を入力するとその一部が端子13を
介して増幅器20に入力され、発振中の増幅器の非線形
性によって高調波が生じる。この高調波が上記自由発振
周波数付近の場合には、該発振周波数と高調波とにうね
りが生じ、これが零になるように状態が変化して注入信
号に同期した発振状態になる。発振出力は端子12を介
して端子14に出力され、端子2から出力される。ここ
で、分配/合成回路10の非可逆性により端子11に発
振出力は現れない。従って、端子11が不整合の状態で
あったとしても発振出力の一部が端子11で反射されて
該発振ループに再注入されることはない。また同様に、
端子14での反射波は他のどの端子にも現われないので
再注入されない。つまり、外部回路の影響を受けにくい
構成である。
【0019】次に、インピーダンス変成器40の作用に
ついて述べる。ここで、従来例との比較を明確化するた
め、非可逆分配/合成回路10は図9のシミュレーショ
ンに用いたものと同じものとし、設計発振周波数として
60GHzを用いる。図2に非可逆分配/合成回路10
の回路図を示す。図2において、図1と同一のものにつ
いては同一の符号を付す。分配/合成回路10はゲート
接地FET2つからなる同相分配器を図2のように組み
合わせた4端子回路である。ここで、トランジスタとし
て電解効果トランジスタを用いるので、Sはソース、D
はドレイン、Gはゲートを表す。
【0020】例として、インピーダンス変成器40が2
0Ω線路である場合の動作原理を説明する。図3は端子
13aから見た分配/合成回路の出力インピーダンス特
性をスミスチャートで表したものであり、端子13aお
よび端子13から見た60GHzにおける出力インピー
ダンスを×、△で表示する。△は、低インピーダンス線
路を挿入しない場合における分配/合成回路の出力イン
ピーダンスでもあり、60GHzでは実軸からかなり回
転し、整合から大きくはずれている。そこで、20Ω線
路を挿入することにより△は20Ω系で矢印方向にまず
変換され、20Ω線路の長さに合わせてθ回転し、実軸
上で50Ω系に再変換することにより、スミスチャート
の中心(完全整合点)に近づき、×に来る。この結果、
60GHz帯では端子13aで整合性が良くなり、端子
12から端子13aへの分配特性が改善される。図4
は、低インピーダンス線路を挿入した場合における、端
子12から端子13aへの分配特性を計算した結果であ
る。△の出力インピーダンスが数Ωと低いため、より低
いインピーダンス線路を挿入することにより分配特性が
改善できる。図4より、20Ω線路を挿入すると結合度
が5.5dB上昇し、増幅器20の利得が5dBでも、
ループ13−40−13a−21−20−22−30−
12−13は自由発振し、第1の実施例に示した回路は
注入同期発振器として動作できる。5dB増幅器はミリ
波帯においても容易に実現でき、高周波帯における注入
同期発振器の設計が非常に簡易になる。また、異なった
より高い周波数帯でも低インピーダンス線路の長さを調
整することにより適用できる。
【0021】以上、本発明の第1の実施例では、非可逆
分配/合成回路の第1の出力端子でのインピーダンス整
合により第2の入力端子から第1の出力端子への結合度
が改善できるため、ミリ波帯のような高い周波数帯にお
いても一般的な増幅器を用いて容易に自由発振動作を可
能とする。その結果、デバイスの特性が劣化する高周波
帯においても、発振周波数に適した増幅器をライブラリ
から引用してループを形成することにより、注入同期発
振器を実現できる。
【0022】また、注入信号としてサブハーモニックを
入力し、本発明の第1の実施例の注入同期発振器に逓倍
器の機能も付加して動作させるためには、低い周波数帯
での注入信号入力端子11から端子13aへの分配特性
が良好である必要がある。図4の計算結果は端子11か
ら端子13aへの分配特性でもあり、低インピーダンス
線路を挿入することにより、低い周波数帯の結合度の劣
化は数dB以下と小さいので、従来と同様にサブハーモ
ニック信号による同期発振動作を得ることができる。
【0023】第2の実施例 図5は本発明の注入同期発振器の第2の実施例である。
図5において、図1と同一のものについては同一の符号
を付す。
【0024】1は注入信号入力端子、2は発振信号出力
端子である。また、10は非可逆分配/合成回路であっ
て、11は第1の入力端子、12は第2の入力端子、1
3は第1の出力端子、14は第2の出力端子である。端
子1を介して端子11より入力した信号は端子13およ
び14にのみ分配され、端子12より入力した信号は端
子13および14のみに分配され、端子11−12間お
よび端子13−14間には信号の伝達はない(アイソレ
ートされている)。図中の矢印は該信号伝達の様子を示
す。また、40および41は低インピーダンス線路から
なるインピーダンス変成器であり、分配/合成回路10
の第1の出力端子13と端子13aの間、第2の出力端
子14と端子14aの間にそれぞれ挿入されている。さ
らに、20は増幅器で、21と22はそれぞれ入力端
子、出力端子であり、30は遅延線路である。増幅器2
0の入力端子21はインピーダンス変成器40を介して
分配/合成回路10の端子13に接続され、増幅器20
の出力端子22は遅延線路30を介して分配/合成回路
10の端子12に接続されている。ここで、分配/合成
回路10の端子12と端子13は増幅器20から見て結
合端子であり、増幅器20の入出力間に帰還回路を形成
し、13−40−13a−21−20−22−30−1
2−13のループの利得が1以上で、位相回りが2πの
整数倍となる周波数において自由発振を生じる。遅延線
路30はループの位相回りを調整する高周波線路であ
り、一部または全部を端子13aと端子21間に形成し
てもよい。
【0025】以上の第2の実施例によれば、本発明の第
1の実施例と同様の効果に加えて、端子12から発振出
力端子14aへの分配損失も改善できるため、発振出力
を従来に比較して高いレベルで取り出すことができる。
【0026】第3の実施例 図6Aは本発明の注入同期発振器の第3の実施例であ
る。図6Aにおいて、図1と同一のものについては同一
の符号を付す。
【0027】1は注入信号入力端子、2は発振信号出力
端子である。また、10は非可逆分配/合成回路であっ
て、11は第1の入力端子、12は第2の入力端子、1
3は第1の出力端子、14は第2の出力端子である。端
子1を介して端子11より入力した信号は端子13およ
び14にのみ分配され、端子12より入力した信号は端
子13および14のみに分配され、端子11−12間お
よび端子13−14間には信号の伝達はない(アイソレ
ートされている)。図中の矢印は該信号伝達の様子を示
す。また、40は低インピーダンス線路からなるインピ
ーダンス変成器であり、分配/合成回路10の第1の出
力端子13と端子13aの間に挿入されている。また、
50はインダクティブな線路と終端短絡スタブからなる
インピーダンス整合回路であり、分配/合成回路10の
第2の出力端子14と端子14aの間に挿入されてい
る。さらに、20は増幅器で、21と22はそれぞれ入
力端子、出力端子であり、30は遅延線路である。増幅
器20の入力端子21はインピーダンス変成器40を介
して分配/合成回路10の端子13に接続され、増幅器
20の出力端子22は遅延線路30を介して分配/合成
回路10の端子12に接続されている。ここで、分配/
合成回路10の端子12と端子13は増幅器20から見
て結合端子であり、増幅器20の入出力間に帰還回路を
形成し、13−40−13a−21−20−22−30
−12−13ループの利得が1以上で、位相回りが2π
の整数倍となる周波数において自由発振を生じる。遅延
線路30はループの位相回りを調整する高周波線路であ
り、一部または全部を端子13aと端子21間に形成し
てもよい。
【0028】次に、インダクティブな線路と終端短絡ス
タブからなるインピーダンス整合回路50の作用につい
て述べる。図7は端子14aから見た分配/合成回路の
出力インピーダンス特性をスミスチャートで表したもの
であり、端子14aおよび端子14から見た60GHz
における出力インピーダンスを×、△で表示する。ここ
で、計算に用いたインピーダンス整合回路は図7中に示
すように50Ω線路とキャパシタからなる一般的な整合
回路を用いた。図7の△は、インピーダンス整合回路5
0を挿入しない場合における分配/合成回路の出力イン
ピーダンスでもある。まず、直列の50Ω線路を直列に
挿入することにより△から線路長にあわせてθ回転し、
短絡スタブのもつ誘導性により並列サセプタンス分が打
ち消され、実軸上の×に来る。この結果、60GHz帯
では端子14aで整合性が良くなり、端子12から端子
14aへの分配特性が改善される。図8は、終端短絡ス
タブを挿入した場合の、端子12から端子14aへの分
配特性を計算した結果である。60GHz帯で分配損失
が約9dB改善でき、さらに整合性を上げることにより
利得を得ることも可能となる。
【0029】以上、第3の実施例によれば、本発明の注
入同期発振器の第2の実施例と同様の効果を有する。ま
た、インピーダンス整合回路を挿入することにより、注
入信号入力端子11から発振信号出力端子14aへの信
号伝達は発振周波数帯以外で抑圧できる。すなわち、図
8より60GHzを発振周波数とした場合、5〜30G
Hzの信号は−20dB以下に抑圧できる。高次のサブ
ハーモニック同期動作を行なう場合、注入信号およびそ
の高調波成分は発振スペクトルのスプリアスとなり、発
振信号の品質を劣化させる要因となるが、本発明の注入
同期発振器はこれらの不要波を大幅に抑圧し、図8中に
示すように従来に比較して低スプリアスは発振信号を得
ることが可能となる。また、インピーダンス整合回路と
して図6Bに示すようにインダクティブな線路と終端開
放スタブを用いても同様の効果を得る。
【0030】第4の実施例 図9は本発明の注入同期発振器の第4の実施例である。
図9において、図1と同一のものについては同一の符号
を付す。
【0031】1は注入信号入力端子、2は発振信号出力
端子である。また、10は非可逆分配/合成回路であっ
て、11は第1の入力端子、12は第2の入力端子、1
3は第1の出力端子、14は第2の出力端子である。端
子1を介して端子11より入力した信号は端子13およ
び14にのみ分配され、端子12より入力した信号は端
子13および14のみに分配され、端子11−12間お
よび端子13−14間には信号の伝達はない(アイソレ
ートされている)。図中の矢印は該信号伝達の様子を示
す。また、40は低インピーダンス線路からなるインピ
ーダンス変成器であり、分配/合成回路10の第1の出
力端子13と端子13aの間に挿入されている。また、
50はインダクティブな線路と終端短絡スタブからなる
インピーダンス整合回路であり、分配/合成回路10の
第2の出力端子14と端子14aの間に挿入されてい
る。また、60は可変移相器(または可変移相器と遅延
線路の従属接続)であり、61と62はそれぞれ入力端
子、出力端子である。さらに、20は増幅器で、21と
22はそれぞれ入力端子、出力端子であり、30は遅延
線路である。増幅器20の入力端子21はインピーダン
ス変成器40を介して分配/合成回路10の端子13に
接続され、増幅器20の出力端子22は可変移相器60
の入力端子61に接続され、可変移相器60の出力端子
62は遅延線路30を介して分配/合成回路10の端子
12に接続されている。ここで、分配/合成回路10の
端子12と端子13は増幅器20から見て結合端子であ
り、増幅器20の入出力間に帰還回路を形成し、13−
40−13a−21−20−22−61−60−62−
30−12−13ループの利得が1以上で、位相回りが
2πの整数倍となる周波数において自由発振を生じる。
遅延線路30はループの位相回りを調整する高周波線路
であり、一部または全部を端子13aと端子21間に形
成してもよい。また、可変移相器60は端子13aと端
子21間に形成してもよい。
【0032】以上の第4の実施例によれば、本発明の注
入同期発振器の第3の実施例と同様の効果を有する。ま
た、可変移相器を挿入することによりループ内の位相回
りが変わるため、自由発振周波数を変化できる。従っ
て、注入信号が低い入力レベルや高次サブハーモニック
である場合においても、自由発振周波数の変化量に応じ
て同期する引込範囲を広げることができる。
【0033】なお、第3の実施例と同様に終端短絡スタ
ブの代りに終端開放スタブを用いることができる。
【0034】
【発明の効果】以上記述したように本発明によれば、第
1の出力端子でのインピーダンス整合によりループを形
成している分配/合成回路の入力端子から出力端子への
結合度が向上できる。すなわち、増幅器への帰還量が増
大するため、増幅器の利得に対する要求が軽減され、高
い周波数帯でも一般的な構成の増幅器でループの自由発
振動作を可能とする。その結果、従来ではデバイス特性
の劣化により発振器としての適用周波数帯の上限が存在
したが、本発明の注入同期発振器ではデバイスの動作範
囲で発振器を実現することができる。また、インピーダ
ンス変成器として低インピーダンス線路を用いるため、
低い周波数帯の結合度の劣化が数dB以下と小さいの
で、従来と同様にサブハーモニック信号による同期発振
動作を得ることができる。
【0035】また、本発明によれば、分配/合成回路の
第2の出力端子からインピーダンス変成器を介して発振
出力を取り出すため、発振ループから発振出力端子への
結合度をも改善しており、発振出力の低下を防止でき
る。
【0036】また、本発明によれば、分配/合成回路の
第2の出力端子からインダクティブな線路と終端短絡ス
タブ(または終端開放スタブ)からなるインピーダンス
整合回路を介して発振出力を取り出すため、発振ループ
から発振出力端子への結合度をも改善しており、発振出
力の低下を防止できる。また、注入信号入力端子から発
振信号出力端子間において発振周波数帯以外の信号伝達
が抑圧できるため、サブハーモニック同期動作時に問題
となる注入信号およびその高調波成分の発振出力端子へ
の漏洩を従来に比較して抑圧でき、低スプリアスな発振
信号を得ることが可能となる。
【0037】さらに、本発明によれば、発振ループの自
由発振周波数を可変移相器により変えることができるた
め、注入信号が低い入力レベルや高次サブハーモニック
である場合でも、従来に比較して広い周波数引込範囲を
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である注入同期発振器の
回路図である。
【図2】電解効果トランジスタを用いた非可逆分配/合
成回路の回路図である。
【図3】本発明の第1の実施例における非可逆分配/合
成回路の分配特性改善の動作原理である。
【図4】本発明の第1の実施例において低インピーダン
ス線路を挿入した非可逆分配/合成回路の分配特性改善
効果である。
【図5】本発明の第2の実施例である注入同期発振器の
回路図である。
【図6A】本発明の第3の実施例である注入同期発振器
の回路図である。
【図6B】図6Aの変形例である。
【図7】本発明の第3の実施例における非可逆分配/合
成回路の分配特性改善の動作原理および計算に用いたイ
ンピーダンス整合回路の回路図である。
【図8】本発明の第3の実施例においてインピーダンス
整合回路を挿入した非可逆分配/合成回路の分配特性改
善効果と発振信号の低スプリアス化のイメージである。
【図9】本発明の第4の実施例である注入同期発振器の
回路図である。
【図10】非可逆4端子回路を用いた従来の注入同期発
振器の回路図である。
【図11】従来の注入同期発振器に用いた非可逆4端子
回路の分配特性である。
【符号の説明】
1 注入信号入力端子 2 発振信号出力端子 10 非可逆分配/合成回路 11、12、13、13a、14、14a 端子 20 増幅器 21、22 端子 30 遅延線路 40、41 インピーダンス変成器 50 インピーダンス整合回路 60 可変移相器 61、62 端子 S ソース D ドレイン G ゲート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03L 7/24 H03F 1/00 - 7/06

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1および第2の入力端子と第1および
    第2の出力端子を有し、第1の入力端子から第1の出力
    端子および第2の出力端子への信号伝達が非可逆であ
    り、第2の入力端子から第1の出力端子および第2の出
    力端子への信号伝達が非可逆であり、第1の入力端子と
    第2の入力端子間および第1の出力端子と第2の出力端
    子間が電気的にアイソレートされた非可逆4端子回路
    と、前記第1の出力端子と前記第2の入力端子間に前記
    4端子回路の動作周波数帯域の少なくとも一部の帯域で
    動作する増幅器を有し、前記第1の入力端子に注入信号
    を入力し、前記第2の出力端子から発振出力を得る注入
    同期発振器において、 前記第1の出力端子と前記増幅器の入力の間に低インピ
    ーダンス線路からなるインピーダンス変成器を挿入した
    ことを特徴とする注入同期発振器。
  2. 【請求項2】 前記非可逆4端子回路が4個の非可逆増
    幅器を有し、各々、第1の入力端子と第1の出力端子の
    間、第1の入力端子と第2の出力端子の間、第2の入力
    端子と第1の出力端子の間、及び第2の入力端子と第2
    の出力端子の間に挿入されることを特徴とする請求項1
    記載の注入同期発振器。
  3. 【請求項3】 前記非可逆4端子回路が4個のゲート接
    地FETを有し、第1のゲート接地FETのソースと第
    2のゲート接地FETのソースとを前記第1の入力端子
    に接続し、第3のゲート接地FETのソースと第4のゲ
    ート接地FETのソースとを前記第2の入力端子に接続
    し、第1のゲート接地FETのドレインと第3のゲート
    接地FETのドレインとを前記第2の出力端子に接続
    し、第2のゲート接地FETのドレインと第4のゲート
    接地FETのドレインとを前記第1の出力端子に接続し
    たことを特徴とする請求項1記載の注入同期発振器。
  4. 【請求項4】 前記第2の出力端子から、低インピーダ
    ンス線路からなるインピーダンス変成器を介して発振出
    力を得ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の注入同期発振器。
  5. 【請求項5】 前記第2の出力端子からインダクティブ
    な線路と終端短絡スタブからなるインピーダンス整合回
    路を介して発振出力を得ることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の注入同期発振器。
  6. 【請求項6】 前記第2の出力端子からインダクティブ
    な線路と終端開放スタブからなるインピーダンス整合回
    路を介して発振出力を得ることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の注入同期発振器。
  7. 【請求項7】 前記増幅器と前記第2の入力端子の間に
    可変移相器を挿入したことを特徴とする請求項1〜6の
    いずれか1項に記載の注入同期発振器。
JP34510395A 1995-12-08 1995-12-08 注入同期発振器 Expired - Fee Related JP3220895B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34510395A JP3220895B2 (ja) 1995-12-08 1995-12-08 注入同期発振器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34510395A JP3220895B2 (ja) 1995-12-08 1995-12-08 注入同期発振器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09162733A JPH09162733A (ja) 1997-06-20
JP3220895B2 true JP3220895B2 (ja) 2001-10-22

Family

ID=18374309

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34510395A Expired - Fee Related JP3220895B2 (ja) 1995-12-08 1995-12-08 注入同期発振器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3220895B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7812682B2 (en) * 2009-03-05 2010-10-12 Nel Frequency Controls, Inc. Crystal-based oscillator for use in synchronized system

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09162733A (ja) 1997-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5886595A (en) Odd order MESFET frequency multiplier
JP2003152455A (ja) 伝送線路型共振器を用いた高周波発振器
US6066997A (en) Frequency multiplier with fundamental wave reflection
US6369675B2 (en) Frequency multiplier capable of taking out efficiently and stably harmonics higher than fourth order
JP2007158803A (ja) 周波数逓倍器および無線通信装置
US5546056A (en) Injection-locked oscillator having non-reciprocal four port network
US20080143447A1 (en) High-frequency oscillator
US5339047A (en) X-band bipolar junction transistor amplifier
US6124742A (en) Wide bandwidth frequency multiplier
EP1154563B1 (en) Frequency multiplier without spurious oscillation
JP3220895B2 (ja) 注入同期発振器
KR20030009352A (ko) 다기능의 고주파 집적 회로 구조물
CN111277280B (zh) 一种基于毫米波压控振荡器的相控阵列发射芯片
JP3929254B2 (ja) 高周波回路及びそれを用いた通信装置
EP0266198A2 (en) A distributed balanced frequency multiplier
JPH1093349A (ja) 周波数逓倍器
JP3328827B2 (ja) 分配・合成回路とこの分配・合成回路を用いた注入同期発振器
Werthof et al. High gain PHEMT frequency doubler for 76 GHz automotive radar
JP3220896B2 (ja) 注入同期発振器
Siripon et al. Novel frequency doubler using feedforward for fundamental frequency component suppression
JPS62296604A (ja) プッシュプッシュ誘電型共振発振回路
JP2972014B2 (ja) 電圧制御発振器および同調回路
KR100958656B1 (ko) 전압 제어 발진기
Sinha et al. Compact Low Frequency Tripler With Integrated Filter for Space Applications
JPH03198507A (ja) バラクタ同調型vcoおよびその同調範囲を拡張する方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20010710

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070817

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080817

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080817

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090817

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090817

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100817

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees