JP3216508B2 - 液圧ブレーキ装置 - Google Patents

液圧ブレーキ装置

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JP3216508B2
JP3216508B2 JP33664295A JP33664295A JP3216508B2 JP 3216508 B2 JP3216508 B2 JP 3216508B2 JP 33664295 A JP33664295 A JP 33664295A JP 33664295 A JP33664295 A JP 33664295A JP 3216508 B2 JP3216508 B2 JP 3216508B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マスタシリンダ以
外の液圧源の液圧が機械的にマスタシリンダ液圧に対応
する液圧に制御されてホイールシリンダに供給されると
ともに、その供給される液圧が電気的にも制御可能であ
る液圧ブレーキ装置に関するものであり、特に、製造コ
ストの低減に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の液圧ブレーキ装置は既に知られ
ており、特開平7─2088号公報に記載されている装
置はその一例である。このブレーキ装置は、ブレーキ
操作部材の操作力に応じた作動液の液圧を加圧室に発生
させるマスタシリンダと、ホイールシリンダに液圧が
供給されることにより車輪の回転を抑制するブレーキ
と、リザーバと、マスタシリンダとは別の液圧源
と、それらマスタシリンダとホイールシリンダとリザ
ーバと液圧源との間に設けられ、液圧源の液圧をマスタ
シリンダの液圧をパイロット圧としてマスタシリンダの
液圧に応じた高さに機械的に制御してホイールシリンダ
に供給する液圧制御弁装置と、電気的に制御される力
を液圧制御弁装置に付与することにより、ホイールシリ
ンダに供給される液圧を変更する電気的液圧変更装置と
を含むように構成される。
【0003】通常の作動状態においては、マスタシリン
ダとは別の液圧源である動力液圧源の液圧(動力液圧源
液圧と称する)が、液圧制御弁装置によりマスタシリン
ダの液圧(マスタシリンダ液圧と称する)に対応する液
圧に制御されてホイールシリンダに供給される。マスタ
シリンダ液圧は動力液圧源液圧を制御するために使用さ
れるのであって、ホイールシリンダを作動させるのは動
力液圧源から供給される作動液である。したがって、例
えば、マスタシリンダから供給される作動液より量や液
圧が大きい作動液をホイールシリンダに供給することが
でき、通常制動時におけるブレーキ操作部材の所要操作
ストロークや所要操作力を小さくしてブレーキフィーリ
ングを向上させることができる。
【0004】また、液圧制御弁装置により制御されてホ
イールシリンダに供給される液圧を、電気的液圧変更装
置により変更することができるため、ホイールシリンダ
液圧をマスタシリンダ液圧に対応する大きさとは異なる
大きさに制御することも可能である。例えば、制動時に
車輪のスリップが過大となることを防止するアンチスキ
ッド制御,ブレーキ操作部材の操作力に正確に対応した
車両減速度を得るための制動効果制御,車両の操縦性能
を増すための車両ステアリング制御等のためにホイール
シリンダ液圧制御を行うことができるのである。その
上、液圧制御弁装置は、マスタシリンダ液圧をパイロッ
ト圧として機械的に動力液圧源液圧を制御するものであ
るため、電気的液圧変更装置の故障時にも支障なくホイ
ールシリンダを作動させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】しかしながら、上記公報に記載の液圧ブレーキ装置
を始めとする従来装置においては、液圧制御弁装置がス
プール弁を、また、電気的液圧変更装置がフォースモー
タをそれぞれ主体とするものであったために、装置コス
トが高くなる問題があった。液圧制御弁装置が、スプー
ルの一方の端面にマスタシリンダ液圧に基づく力が作用
させられ、他方の端面にホイールシリンダ液圧に基づく
力が作用させられて、両力の差に基づくスプールの移動
により、ホイールシリンダの、動力液圧源およびリザー
バとの連通状態の切換えを行うものとされており、スプ
ールと弁孔との隙間を小さくして作動液の漏れを防止す
るために、スプールと弁孔との加工精度を極めて高くす
ることが必要であり、そのために製造コストが高くなる
ことを避け得なかったのである。また、フォースモータ
は構造が複雑であるため、これも製造コストが高くなる
ことを避け得なかった。
【0006】そこで、本発明は、スプール弁とフォース
モータとの代わりにシート弁とソレノイドとを用いるこ
とにより、液圧ブレーキ装置の製造コストを低減させる
ことを課題としてなされたものであり、本発明によっ
て、以下の各項に記載の液圧ブレーキ装置が得られる。
【0007】(1)ブレーキ操作部材の操作力に応じた
作動液の液圧を加圧室に発生させるマスタシリンダと、
ホイールシリンダに液圧が供給されることにより車輪の
回転を抑制するブレーキと、リザーバと、前記マスタシ
リンダとは別の液圧源と、それらマスタシリンダとホイ
ールシリンダとリザーバと液圧源との間に設けられ、液
圧源の液圧を前記マスタシリンダの液圧をパイロット圧
としてマスタシリンダの液圧に応じた高さに機械的に制
御して前記ホイールシリンダに供給する液圧制御弁装置
と、電気的に制御される力を前記液圧制御弁装置に付与
することにより、前記ホイールシリンダに供給される液
圧を変更する電気的液圧変更装置とを含む液圧ブレーキ
装置であって、前記液圧制御弁装置が、第1弁座と第1
弁子とを有し、第1弁子が第1弁座に着座することによ
り、前記液圧源から前記ホイールシリンダへの作動液の
流れを遮断する第1シート弁と、第2弁座と第2弁子と
を有し、第2弁子が第2弁座に着座することにより、前
記ホイールシリンダから前記リザーバへの作動液の流れ
を遮断する第2シート弁と、受圧面に前記マスタシリン
ダの液圧を受けて作動する第1作動部材と、その第1作
動部材の作動力を前記第1弁子に伝達する第1作動力伝
達手段と、受圧面に前記マスタシリンダの液圧を受けて
作動する第2作動部材と、その第2作動部材の作動力を
前記第2弁子に伝達する第2作動力伝達手段とを有する
マスタシリンダ液圧対応力付与装置とを含み、かつ、前
記電気的液圧変更装置が、励磁電流に基づく力を前記電
気的に制御された力として前記第1弁子に付与する第1
ソレノイドと、励磁電流に基づく力を前記電気的に制御
された力として前記第2弁子に付与する第2ソレノイド
とを含むことを特徴とする液圧ブレーキ装置(請求項
1)。上記液圧制御弁装置は、複数のシート弁の状態の
組合わせを変えることによっ て液圧源,ホイールシリン
ダおよびリザーバの連通状態を切り換えるものである。
この連通状態は、例えば、(1) ホイールシリンダと液圧
源とが連通し、かつ、ホイールシリンダとリザーバとが
遮断された増圧状態と、(2) ホイールシリンダと液圧源
とが遮断され、かつ、ホイールシリンダとリザーバとが
連通した減圧状態と、(3) 液圧源とホイールシリンダと
リザーバとが互いに遮断された保持状態とを含むものと
することができる。なお、液圧源とリザーバとが直接連
通させられて作動液が液圧源からリザーバに漏れ、制動
に使用されない無駄な作動液を供給するためのエネルギ
(エネルギ損失)が大きくなることを回避するために、
ホイールシリンダが液圧源とリザーバとに同時に連通す
る状態となることがないようにされることが望ましい。
また、上記 (1)増圧状態と (2)減圧状態とを短い周期で
交互に切り換えてそれらの平均的な状態として擬似的な
保持状態や、緩増圧状態と緩減圧状態との少なくとも一
方を実現することも可能であり、保持状態,緩増圧状
態,緩減圧状態等を、液圧制御弁装置の他に保持状態実
現用あるいは緩急切換用の電磁弁を設けることによって
も実現することも可能である。電気的液圧変更装置は、
ソレノイドの作動力を上記液圧制御弁装置のシート弁に
付与することにより、液圧源,ホイールシリンダおよび
リザーバの連通状態をを変更するものである。例えば、
弁子が弁座に着座した状態で作動液の液圧が弁子を弁座
に押しつける向きに作用するシート弁において、ソレノ
イドの作動力を弁子にそれを弁座から離間させる向きに
作用させてシート弁を強制的に開かせたり、それまでソ
レノイドの作動力が作用した状態で開いていたシート弁
をソレノイドの作動力を消滅させることにより閉じさせ
たり、逆に、弁子が弁座に着座した状態で作動液の液圧
が弁子を弁座から離間させる向きに作用するシート弁に
おいて、ソレノイドの作動力を弁子にそれを弁座に着座
させる向きに作用させてシート弁を強制的に閉じさせた
り、それまでソレノイドの作動力が作用した状態で閉じ
ていたシート弁をソレノイドの作動力を消滅させること
により開かせたりするのである。このような電気的液圧
変更装置の力は、各シート弁の弁子に対する液圧の作用
方向や大きさ、スプリング等の付勢手段の付勢力の作用
方向や大きさ、弁子の有 効受圧面積等を考慮して適宜決
定されるべきものであり、電気的液圧変更装置の力の制
御により液圧制御弁装置の複数のシート弁の状態を強制
的に上記増圧状態,減圧状態,保持状態,疑似的保持状
態,緩増圧状態,緩減圧状態等に切り換えることによ
り、通常制動時の特性を改善し、あるいはアンチスキッ
ド制御や車両ステアリング制御等を実現することができ
る。この場合には、液圧源の液圧をマスタシリンダの液
圧に応じた高さに制御してホイールシリンダに供給する
液圧制御弁装置のシート弁と、アンチスキッド制御等を
実行するための電磁開閉弁のシート弁と兼用したことに
なる。その分構成が簡単となって、液圧ブレーキ装置の
コストを低減させることができる。このように、本発明
に係る液圧ブレーキ装置の液圧制御弁装置は、従来のス
プール弁の代わりに複数のシート弁を用いるものであ
り、シート弁は弁子と弁座との間の作動液の漏れを防止
することが、スプールと弁孔との間の隙間を小さくする
ことにより防止する場合に比較して容易であるため、製
造コストを低減させることができる。また、ソレノイド
はフォースモータに比較して構成が簡単であるため、安
価に製造し得、電気的液圧変更装置の製造コストも低減
させることができる。さらに、液圧制御弁装置とアンチ
スキッド制御用電磁開閉弁等とのシート弁の兼用による
構成の単純化によっても液圧ブレーキ装置全体のコスト
を低減させることができる。しかも、第1,第2シート
弁の状態を、互いに独立に電気的に制御可能であるた
め、第1,第2ソレノイドの励磁電流の大きさを変更す
ることによって、アンチスキッド制御等においてマスタ
シリンダの液圧の大きさに対応しないホイールシリンダ
の液圧を実現し得る。 (2)前記第1シート弁が、前記第1弁子を前記第1弁
座に着座させる向きに付勢する第1弁子付勢手段を有
し、第1弁子が、前記液圧源の液圧を第1受圧面に第1
弁座から離間する向きに受ける一方、前記ホイールシリ
ンダの液圧を第2受圧面に前記第1弁座に着座する向き
に受けるものであり、前記第2シート弁が、前記第2弁
子を前記第2弁座に着座させる向きに付勢する第2弁子
付勢手段を有し、第2弁子が、前記ホイールシリンダの
液圧を第3受圧面に第2弁座から離間する向きに受ける
一方、前記リザーバの液圧を第4受圧面に第2弁座に着
座する 向きに受けるものであり、かつ、前記マスタシリ
ンダ液圧対応力付与装置が、前記第1作動部材の受圧面
に前記マスタシリンダの液圧を受け、その第1作動部材
の作動力を前記第1作動力伝達手段が前記第1弁子にそ
の第1弁子を前記第1弁座から離間させる向きに伝達
し、また、前記第2作動部材の受圧面に前記マスタシリ
ンダの液圧を受け、その第2作動部材の作動力を前記第
2作動力伝達手段が前記第2弁子にその第2弁子を前記
第2弁座に着座させる向きに伝達するものである (1)項
に記載の液圧ブレーキ装置(請求項2)。 (3)前記液圧制御弁装置が、前記マスタシリンダの液
圧に基づいて第1敷居液圧とそれより大きい第2敷居液
圧とを決定する敷居液圧決定手段を含み、前記第1,第
2ソレノイドが、前記第1弁子に前記第1弁座に着座す
る向きの力を、前記第2弁子に前記第2弁座から離間す
る向きの力をそれぞれ付与するものであり、かつ、前記
電気的液圧変更装置が、通常制動時に前記ソレノイドに
通常制動時励磁電流を供給する通常制動時励磁電流供給
手段を含み、さらに、その通常制動時励磁電流の大きさ
が、前記ホイールシリンダの液圧が前記第1敷居液圧よ
り大きいときは、前記第1弁子が前記第1弁座に着座さ
せられ、前記ホイールシリンダの液圧が前記第1敷居液
圧を下回るときは、前記第1弁子が前記第1弁座から離
間させられ、前記ホイールシリンダの液圧が前記第2敷
居液圧より大きいときは、前記第2弁子が前記第2弁座
から離間させられ、前記ホイールシリンダの液圧が前記
第2敷居液圧を下回るときは、前記第2弁子が前記第2
弁座に着座させられる大きさである (2)項に記載の液圧
ブレーキ装置。本態様においては、敷居液圧決定手段が
マスタシリンダ液圧に基づいて第1,第2敷居液圧を決
定し、通常制動時にはそれら第1,第2敷居液圧とホイ
ールシリンダの液圧との関係で第1,第2シート弁の状
態が決まる。第2敷居液圧が第1敷居液圧より大きいた
め、液圧制御弁装置は増圧状態,保持状態および減圧状
態を取ることとなる。ホイールシリンダの液圧が第1敷
居液圧未満のときは、第1シート弁が開かれ、第2シー
ト弁が閉じられて増圧状態となり、ホイールシリ ンダの
液圧が第1敷居液圧以上第2敷居液圧未満のときは、第
1,第2シート弁が共に閉じられて保持状態となり、ホ
イールシリンダの液圧が第2敷居液圧以上のときは、第
1シート弁が閉じられ、第2シート弁が開かれて減圧状
態となるのである。なお、第1敷居液圧が第2敷居液圧
より大きくされることがないのは、そのようにすると、
ホイールシリンダの液圧が第1敷居液圧と第2敷居液圧
との間の大きさであるときに第1,第2シート弁が共に
開かれて液圧源からリザーバへ作動液が流出し続ける作
動液抜けが発生するので、それを回避するためである。
以上のことは、後に実施の形態で説明するように、作動
部材およびソレノイドの数が異なる複数の形態について
共通に当てはまることである。 (4)前記電気的液圧変更装置が、通常制動状態とアン
チスキッド制御の増圧状態とにおいては、前記第1,第
2ソレノイドにそれぞれ第1,第2電圧を印加し、アン
チスキッド制御の保持状態においては、前記第1ソレノ
イドに前記第1電圧よりも高い第3電圧を印加するとと
もに前記第2ソレノイドの印加電圧をゼロ以上前記第2
電圧以下の電圧とし、また、アンチスキッド制御の減圧
状態においては、前記第1ソレノイドに前記第3電圧を
印加するとともに前記第2ソレノイドに前記第2電圧よ
りも高い第4電圧を印加するアンチスキッド制御励磁電
流制御装置とを含む (2)項または (3)項に記載の液圧ブ
レーキ装置。2つのシート弁に対してそれぞれ設けられ
た2つのソレノイドの励磁電流をそれぞれ独立に段階的
に制御してアンチスキッド制御を実行する態様である。 (5)前記電気的液圧変更装置が、トラクション制御時
に、増圧状態においては、前記第1,第2ソレノイドの
印加電圧を共にゼロとし、保持状態においては、前記第
1ソレノイドに前記第1電圧よりも高い第5電圧を印加
するとともに前記第2ソレノイドの印加電圧をゼロと
し、減圧状態においては、前記第1ソレノイドに前記第
5電圧を印加するとともに前記第2ソレノイドに前記第
2電圧よりも高い第6電圧を印加するトラクション制御
励磁電流制御装置を含む (4)項に記載の液圧ブレーキ装
置。2つのシート弁に、それぞれ設けられた2つのソレ
ノイドの励磁電流をそれぞ れ独立に段階的、かつ、アン
チスキッド制御とは異なる制御を行うことによりトラク
ション制御をも可能にした態様である。第5電圧は第3
電圧と同じ電圧でもよい。また、第6電圧は第4電圧と
同じ電圧でもよい。 (6)ブレーキ操作部材の操作力に応じた作動液の液圧
を加圧室に発生させるマスタシリンダと、ホイールシリ
ンダに液圧が供給されることにより車輪の回転を抑制す
るブレーキと、リザーバと、前記マスタシリンダとは別
の液圧源と、それらマスタシリンダとホイールシリンダ
とリザーバと液圧源との間に設けられ、液圧源の液圧を
前記マスタシリンダの液圧をパイロット圧としてマスタ
シリンダの液圧に応じた高さに機械的に制御して前記ホ
イールシリンダに供給する液圧制御弁装置と、電気的に
制御される力を前記液圧制御弁装置に付与することによ
り、前記ホイールシリンダに供給される液圧を変更する
電気的液圧変更装置とを含む液圧ブレーキ装置であっ
て、前記液圧制御弁装置が、第1弁座と第1弁子とを有
し、第1弁子が第1弁座に着座することにより、前記液
圧源から前記ホイールシリンダへの作動液の流れを遮断
する第1シート弁と、第2弁座と第2弁子とを有し、第
2弁子が第2弁座に着座することにより、前記ホイール
シリンダから前記リザーバへの作動液の流れを遮断する
第2シート弁と、受圧面に前記マスタシリンダの液圧を
受けて作動する前記第1弁子と前記第2弁子とに共通の
作動部材と、その作動部材の作動力を前記第1弁子と前
記第2弁子とにそれぞれ伝達する作動力伝達手段とを有
するマスタシリンダ液圧対応力付与装置とを含み、か
つ、前記電気的液圧変更装置が、励磁電流に基づく力を
前記電気的に制御された力として前記共通の作動部材を
介して前記第1弁子に付与する第1ソレノイドと、励磁
電流に基づく力を前記電気的に制御された力として前記
共通の作動部材を介して前記第2弁子に付与する第2ソ
レノイドと を共に含むことを特徴とする液圧ブレーキ装
置(請求項3)。本態様は、作動部材が1つであり、そ
の作動部材によって第1,第2弁子が共に作動力を付与
される態様である。 (7)前記第1シート弁が、前記第1弁子を前記第1弁
座に着座させる向きに付勢する第1弁子付勢手段を有
し、第1弁子が、前記液圧源の液圧を第1受圧面に第1
弁座から離間する向きに受ける一方、前記ホイールシリ
ンダの液圧を第2受圧面に前記第1弁座に着座する向き
に受けるものであり、前記第2シート弁が、前記第2弁
子を前記第2弁座に着座させる向きに付勢する第2弁子
付勢手段を有し、第2弁子が、前記ホイールシリンダの
液圧を第3受圧面に第2弁座から離間する向きに受ける
一方、前記リザーバの液圧を第4受圧面に第2弁座に着
座する向きに受けるものであり、かつ、前記マスタシリ
ンダ液圧対応力付与装置が、受圧面に前記マスタシリン
ダの液圧を受けて作動する前記第1弁子と前記第2弁子
とに共通の作動部材と、その作動部材の作動力を前記第
1弁子にその第1弁子を前記第1弁座から離間させる向
きに、また、前記第2弁子にその第2弁子を前記第2弁
座から離間させる向きにそれぞれ伝達する作動力伝達手
段とを有するものである (6)項に記載の液圧ブレーキ装
置(請求項4)。作動部材はマスタシリンダの液圧を受
けて両方向に作動し、一方向に作動するする場合は第1
弁子を第1弁座から離間させ、液圧源とホイールシリン
ダとを連通させて増圧状態とし、他方向に作動する場合
は第2弁子を第2弁座から離間させ、ホイールシリンダ
とリザーバとを連通させて減圧状態とする。第1ソレノ
イドおよび第2ソレノイドもその共通の作動部材に力を
加えるため、第1,第2ソレノイドの励磁電流を制御す
ることにより、ホイールシリンダの増,減圧状態を切り
換えることができる。 (8)当該液圧ブレーキ装置が、前記液圧源と前記第1
シート弁との間に設けられ、それら液圧源と第1シート
弁との間の作動液の流れを絞る増圧絞り状態と作動液の
流れを絞らない増圧非絞り状態との2つの状態を選択的
に実現する選択的増圧絞り装置と、前記第2シート弁と
前記ホイールシリンダまたは前記リザーバとの間に設け
られ、ホイールシリンダとリザーバとの間の作動液の流
れを絞る減圧絞り状態と作 動液の流通を絞らない減圧非
絞り状態との2つの状態を選択的に実現する選択的減圧
絞り装置との少なくとも一方を含む (1)項ないし (7)項
のいずれかに記載の液圧ブレーキ装置。本態様は、選択
的増圧絞り装置を含むときはこれを増圧絞り状態とする
か否かによって、増圧状態を緩増圧状態とするか否かを
選択でき、また、選択的減圧絞り装置を含むときはこれ
を減圧絞り状態とするか否かによって、減圧状態を緩減
圧状態とするか否かを選択できる態様である。両絞り装
置を共に含む場合は、緩増圧状態と緩減圧状態とを共に
実現できる。ホイールシリンダと第2シート弁とを接続
する液通路とホイールシリンダとリザーバとを接続する
液通路との共通部分に1個の選択的絞り装置を設けれ
ば、その選択的絞り装置に選択的増圧絞り装置と選択的
減圧絞り装置とを兼ねさせることができる。 (9)前記液圧源の液圧が正常である状態では前記マス
タシリンダからの作動液が前記ホイールシリンダに供給
されることを阻止し、液圧源の失陥状態では許容する液
圧源失陥時マスタシリンダ有効化装置を含む (1)項ない
し (8)項のいずれかに記載の液圧ブレーキ装置。液圧源
が失陥した際のフェイルセーフを確保する態様である。 (10)前記液圧源失陥時マスタシリンダ有効化装置
が、前記マスタシリンダと前記第1シート弁との間に設
けられ、マスタシリンダから第1シート弁に向かう方向
の作動液の流れは許容するが、第1シート弁からマスタ
シリンダに向かう方向の作動液の流れを遮断する第1逆
止弁と、前記液圧源と前記第1シート弁との間に設けら
れ、液圧源から第1シート弁に向かう向きの作動液の流
れは許容するが、第1シート弁から液圧源に向かう向き
の作動液の流れを遮断する第2逆止弁とを含み、かつ、
それら第1逆止弁と第2逆止弁とが前記第1シート弁に
対して互いに並列に接続された (9)項に記載の液圧ブレ
ーキ装置。第1逆止弁は、液圧源が正常な状態におい
て、液圧源からマスタシリンダに向かう作動液の流れを
阻止する。液圧源が液圧発生不能となったときには、マ
スタシリンダからの作動液が第1逆止弁,第1シート弁
を経てホイールシリンダに供 給される。このとき、液圧
が発生していない液圧源に向かう作動液の流れは第2逆
止弁によって阻止される。 (11)前記液圧制御弁装置が、前記マスタシリンダ液
圧により作動するプランジャと、そのプランジャのマス
タシリンダ液圧に基づく作動力を前記第1シート弁と前
記第2シート弁との少なくとも一方であるシート弁の弁
子に伝達する作動力伝達子とを有するマスタシリンダ液
圧対応力付与装置と、前記作動力伝達子に前記シート弁
内の液圧に基づく力が作用することを実質的に回避する
シート弁内液圧影響除去手段とを含み、そのシート弁内
液圧影響除去手段が、前記シート弁の液圧が大気圧では
ない弁室内で前記作動力伝達子が前記弁子に当接させら
れるとともに、その作動力伝達子のその弁室に対する有
効受圧面積と等しい有効受圧面積を有しかつ向きが逆で
ある逆向き受圧面が前記プランジャまたは作動力伝達子
に設けられ、かつ、その逆向き受圧面に弁室の液圧を作
用させる導圧手段が設けられたものである (1)項ないし
(10)項のいずれかに記載の液圧ブレーキ装置(請求項
5)。第1発明に係る液圧ブレーキ装置の液圧制御弁装
置を、液圧源の液圧をマスタシリンダの液圧に応じた高
さに機械的に制御してホイールシリンダに供給するもの
とするためには、シート弁の弁子に当接する当接部を備
えてマスタシリンダ液圧が大きいほど大きな力を付与す
るマスタシリンダ液圧対応力付与装置を設けることが好
適であるが、この装置はシート弁内のホイールシリンダ
液圧や液圧源液圧の影響を受けないようにすることが望
ましい場合が多い。例えば、後に実施形態に関して説明
するように、液圧源液圧が当接部に与える力がマスタシ
リンダ液圧に基づく力とは逆向きとなり、制動開始時に
マスタシリンダ液圧に基づく力が液圧源液圧に基づく力
に打ち勝つまでマスタシリンダ液圧が増大するまではマ
スタシリンダ液圧対応力付与装置が作動せず、シート弁
が開かれない不利が生じたりするからである。そこで、
液圧制御弁装置を、シート弁の弁子にホイールシリンダ
の液圧の影響も液圧源の液圧の影響も受けることなくマ
スタシリンダの液圧に比例した力を付与するマスタシリ
ンダ液圧単独対応力付与装置を含むものとす ることとし
たのである。作動力伝達子をシート弁の液圧が大気圧で
ある弁室内において弁子に当接させる構成として、その
構成をシート弁内液圧影響除去手段とすることも可能で
あるが、本項に記載の構成によれば、作動力伝達子をシ
ート弁の液圧が大気圧ではない弁室内で弁子に当接させ
ることができる。 (12)前記液圧源が、前記リザーバ内の作動液を汲み
出すポンプを含む (1)項ないし(11)項のいずれかに記載
の液圧ブレーキ装置。 (13)前記液圧源が、前記ポンプが吐出する作動液を
収容するアキュムレータを含む(12)項に記載の液圧ブレ
ーキ装置。 (14)前記液圧源が、前記ポンプから前記アキュムレ
ータに向かう向きの作動液の流れは許容するが、アキュ
ムレータからポンプに向かう方向の作動液の流れを遮断
する逆止弁を含む(13)項に記載の液圧ブレーキ装置。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて具体的に説明する。図1において、10はブレ
ーキ操作部材としてのブレーキペダルを示している。ブ
レーキペダル10が踏み込まれることによりマスタシリ
ンダ12に作動液の液圧PMC(マスタシリンダ液圧PMC
と称する)が発生する。マスタシリンダ12には、リザ
ーバ14から作動液が供給される。リザーバ14内の作
動液の液圧PRS(リザーバ液圧PRSと称する)は大気圧
に保たれている。なお、以下の説明において作動液の液
圧はゲージ圧で表わす。したがって、リザーバ液圧PRS
はゼロである。
【0014】図1において、16はポンプを示してい
る。ポンプ16は、モータ18に駆動されてリザーバ1
4から作動液を汲み上げる。作動液は、リザーバ14か
ら延びてポンプ16に至るポンプ吸入側通路20、ポン
プ16から延びて液圧源逆止弁22に至るポンプ吐出側
通路24,液圧源逆止弁22から延びてアキュムレータ
26に至るアキュムレータ通路28を経てアキュムレー
タ26に供給され、加圧下に蓄積される。液圧源通路3
0は、分岐点32においてアキュムレータ通路28から
分岐している。アキュムレータ26内には、図示しない
液圧センサが設けられており、この液圧センサの出力信
号に基づいてモータ18が制御されることにより、アキ
ュムレータ26内の作動液の液圧PGN(アキュムレータ
液圧PGNと称する)が予め定められた一定の液圧範囲に
保たれる。これらポンプ16,モータ18,液圧源逆止
弁22,ポンプ吐出側通路24,アキュムレータ26,
アキュムレータ通路28は、ほぼ一定のアキュムレータ
液圧PGNの作動液を供給する動力液圧源34を構成して
いる。本実施形態においては、マスタシリンダ12とは
別の液圧源として動力液圧源34が設けられているので
ある。
【0015】マスタシリンダ12から延びて第1シート
弁40の第1入口42に至る主通路44の途中には、マ
スタシリンダ12から第1シート弁40に向かう作動液
の流れは許容するが、その逆の作動液の流れを禁止する
主通路逆止弁46が設けられている。前述の液圧源通路
30は、主通路逆止弁46と第1シート弁40の第1入
口42との間の接続点48において主通路44に接続さ
れている。また、液圧源通路30の途中には、液圧源通
路逆止弁50が備えられており、動力液圧源34から第
1シート弁40に向かう作動液の流れが許容され、その
逆の向きの作動液の流れが阻止される。
【0016】主通路逆止弁46と液圧源通路逆止弁50
とによって、第1シート弁40の第1入口42に供給さ
れる作動液の液圧は、定常状態においてマスタシリンダ
液圧PMCとアキュムレータ液圧PGNとのうちの大きい方
とされる。また、第1シート弁40の第1入口42にお
ける作動液の液圧がマスタシリンダ液圧PMCまたはアキ
ュムレータ液圧PGNより大きくても、第1入口42から
マスタシリンダ12または動力液圧源34に向かう作動
液の流れが防止される。
【0017】第1シート弁40は、第1弁子56と第1
弁座58と第1出口60とを備えており、第1出口60
は第1ホイールシリンダ通路62によってホイールシリ
ンダ64と連通している。第1弁子56が第1弁座58
に着座した状態(閉状態)においては第1入口42と第
1出口60との間の作動液の流れが阻止されるが、第1
弁子56が第1弁座58から離間した状態(開状態)に
おいては第1入口42と第1出口60との間の作動液の
流れが許容され、そのときのホイールシリンダ64の液
圧PWC(ホイールシリンダ液圧PWCと称する)がマスタ
シリンダ液圧P MCまたはアキュムレータ液圧PGNよりも
小さければ、ホイールシリンダ64が増圧状態となり、
車輪66の制動力が増す。ホイールシリンダ64と第2
シート弁70の第2入口72とは、分岐点74において
第1ホイールシリンダ通路62から分岐した第2ホイー
ルシリンダ通路76によって連通させられている。
【0018】第2シート弁70は、第2弁子78と第2
弁座80と第2出口82とを備えており、第2出口82
はリザーバ通路84によってリザーバ14と連通させら
れている。第2弁子78が第2弁座80に着座した閉状
態においては第2入口72と第2出口82との間の作動
液の流れが阻止されるが、第2弁子78が第2弁座80
から離間した開状態においては第2入口72と第2出口
82との間の作動液の流れが許容されてホイールシリン
ダ64は減圧状態とされる。なお、第1,第2シート弁
40,70がともに閉状態であって、ホイールシリンダ
液圧PWCが一定に保たれる状態を保持状態と称する。
【0019】マスタシリンダ液圧PMCは、分岐点90に
おいて主通路44から分岐した第1プランジャ通路92
を経て第1液圧室94に導かれ、さらに、分岐点96に
おいて第1プランジャ通路92から分岐した第2プラン
ジャ通路98を経て第2液圧室100に導かれる。第
1,第2液圧室94,100は、それぞれ第1,第2ハ
ウジング102,104と、それら第1,第2ハウジン
グ102,104にOリング106,108によって液
密を保たれた状態でそれぞれ嵌合された第1,第2プラ
ンジャ110,112とによって構成されている。第1
プランジャ110は、第1液圧作動力伝達子114を介
して第1弁子56に、それを第1弁座58から離間させ
る向きの力を加え、第2プランジャ112は、第2液圧
作動力伝達子116を介して第2弁子78に、それを第
2弁座80に着座させる向きの力を加える。
【0020】第1,第2弁子56,78には、それぞれ
第1,第2ソレノイド120,122の励磁による電磁
力に基づいて第1,第2ソレノイド作動部材124,1
26に生じる作動力も加えられる。これらの作動力を、
それぞれ第1,第2ソレノイド作動力S1 ,S2 と称す
る。第1,第2ソレノイド作動力S1 ,S2 は、それぞ
れ第1ソレノイド作動力伝達子128を介して第1弁子
56に、第2ソレノイド作動力伝達子130を介して第
2弁子78に加えられる。第1ソレノイド作動力S1
第1弁子56を第1弁座58に着座させる向きに作用
し、第2ソレノイド作動力S2 は第2弁子78を第2弁
座80から離間させる向きに作用する。
【0021】第1,第2弁子56,78には、それぞれ
第1,第2スプリング132,134による付勢力も加
えられる。これらの付勢力を、それぞれ第1,第2付勢
力K 1 ,K2 と称する。なお、第1付勢力K1 は、直接
的には第1ソレノイド作動部材124に加えられ、さら
に第1ソレノイド作動力伝達子128を介して第1弁子
56に及ぶ。第2付勢力K2 は、直接第2弁子78に加
えられる。第1,第2スプリング132,134による
付勢力は、第1,第2弁子56,78のストロークが小
さいので一定と見なし得る。第1,第2付勢力K1 ,K
2 の向きは、第1,第2弁子56,78を、それぞれ第
2弁座58,80に着座させる向きとされている。
【0022】第1,第2ハウジング102,104の内
部の、それぞれ第1,第2液圧室94,100と第1,
第2プランジャ110,112を挟んで反対側に位置す
る第1,第2大気圧室140,142は、第1大気圧通
路144で互いに接続され、さらに第2大気圧通路14
6によってリザーバ通路84と連通させられている。し
たがって、万一、第1,第2液圧室102,104内の
作動液がそれぞれ第1,第2大気圧室140,142内
に漏れたとしても、リザーバ14に還流させられること
となり、作動液の外部への漏れはない。なお、147,
148は、それぞれ第1,第2大気圧室と第1,第2シ
ート弁40,70との間の作動液の漏れを阻止するOリ
ングである。
【0023】前記第1プランジャ110の断面積を第1
プランジャ断面積A1 、前記第1液圧作動力伝達子11
4の断面積を第1液圧作動力伝達子断面積b1 とすれ
ば、第1液圧作動力伝達子114を介して第1弁子56
に加えられる第1液圧作動力L 1 はL1 =PMC・A1
GN・b1 で表される。同様に、前記第2プランジャ1
12の断面積を第2プランジャ断面積A2 、前記第2液
圧作動力伝達子116の断面積を第2液圧作動力伝達子
断面積b2 とすれば、第2液圧作動力伝達子116を介
して第2弁子78に加えられる第2液圧作動力L2 はL
2 =PMC・A2 −PRS・b2 で表される。
【0024】さらに、第1,第2弁子56,78は、そ
れぞれのシート弁の入口と出口とにおける液圧の差の大
きさに基づく力を受ける。第1入口42,第1出口60
および第2入口72,第2出口82における液圧は、そ
れぞれアキュムレータ液圧P GN,ホイールシリンダ液圧
WC,リザーバ液圧PRS(=0)である。これらの液圧
は、それぞれ第1,第2弁子56,78の第1,第2弁
座58,80への接触線で囲まれた円の面積a1 ,a2
に作用する。これらの面積a1 ,a2 をそれぞれ、第
1,第2弁子有効受圧面積と称する。これらの液圧に基
づく第1,第2弁子56,78に加えられる力を、それ
ぞれ(1)式で与えられる第1差圧作動力D1 ,(2)
式で与えられる第2差圧作動力D2 と称する。 D1 =a1 ・(PGN−PWC) ・・・(1) D2 =a2 ・(PWC−PRS)=a2 ・PWC ・・・(2) (1),(2)式において、符号は第1,第2弁子5
6,78がそれぞれ第1,第2弁座58,80から離間
する向きが正とされている。なお、上記説明において、
第1入口42の液圧がマスタシリンダ液圧PMCではなく
アキュムレータ液圧PGNであるとされているが、これ
は、前述のように、主通路逆止弁46および液圧源通路
逆止弁50により第1入口42の液圧が必然的にマスタ
シリンダ液圧PMCとアキュムレータ液圧PGNとの高い方
とされ、かつ、本実施形態においては、マスタシリンダ
液圧PMCの大きさのいかんを問わず液圧ブレーキ装置の
ブースト比を1よりも大きくするために、アキュムレー
タ液圧P GNがマスタシリンダ12の発生する最大の液圧
MCmax よりも大きくされているからである。
【0025】前記第1,第2ソレノイド120,122
は制御装置149に接続されており、これらに印加され
る電圧が制御されることによりこれらの電磁力が制御さ
れる。制御装置149はコンピュータを主体とするもの
であり、このコンピュータのROMには、通常時(非制
動時および通常制動時を含む)における第1,第2ソレ
ノイド120,122の励磁電圧を制御するプログラム
と共に、アンチスキッド制御やトラクション制御を実行
するためのプログラムも格納されている。これらアンチ
スキッド制御プログラムおよびトラクション制御プログ
ラムは、後述する第1,第2ソレノイド120,122
の励磁電圧制御以外は通常のものであるので、詳細な説
明は省略する。
【0026】次に、上記第1,第2弁子56,78に加
えられる力と、第1,第2シート弁40,70の状態と
の間の関係を明らかにするとともに、第1,第2シート
弁40,70の状態を制御するために必要な条件を考察
する。ただし、当面は、単純化のために、第1,第2シ
ート弁40,70における摩擦抵抗を無視することとす
る。第1,第2シート弁40,70の状態は、(3)〜
(6)式で表される。 L1 +D1 >S1 +K1 ・・・(3) (第1シート弁開状態) L1 +D1 <S1 +K1 ・・・(4) (第1シート弁閉状態) L2 +K2 <D2 +S2 ・・・(5) (第2シート弁開状態) L2 +K2 >D2 +S2 ・・・(6) (第2シート弁閉状態) これらの関係式は、対応するシート弁のそれぞれの状態
を確実に実現するための条件なので、等号を含まない。
等号で関係付けられる状態では、第1,第2シート弁4
0,70の状態が開,閉いずれとも決まらないからであ
る。(3)〜(6)式を、マスタシリンダ液圧PMCとホ
イールシリンダ液圧PWCとの関係式に書き換えると、
(7)〜(14)式を得る。 PWC<α・PMC+ξ ・・・(7) (第1シート弁開状態) PWC>α・PMC+ξ ・・・(8) (第1シート弁閉状態) PWC>β・PMC+η ・・・(9) (第2シート弁開状態) PWC<β・PMC+η ・・・(10) (第2シート弁閉状態) α=A1 /a1 ・・・(11) β=A2 /a2 ・・・(12) ξ=(a1 ・PGN−b1 ・PGN−S1 −K1 )/a1 ・・・(13) η=(a2 ・PRS−b2 ・PRS−S2 +K2 )/a2 =(−S2 +K2 )/a2 ・・・(14)
【0027】なお、前述のようにリザーバ液圧PRSが大
気圧に保たれているため、PRS=0とした。また、α,
βをそれぞれ第1,第2受圧面積比と称し、ξ,ηをそ
れぞれ第1,第2ホイールシリンダ液圧切片と称する。
また、以下の説明において、液圧ブレーキ装置の設計時
において決定されるべきアキュムレータ液圧PGN,第
1,第2プランジャ断面積A1 ,A2 ,第1,第2弁子
有効受圧面積a1 ,a2 ,第1,第2液圧作動力伝達子
断面積b1 ,b2,第1,第2付勢力K1 ,K2 を設計
変数と総称し、液圧ブレーキ装置稼働時に変更し得る第
1,第2ソレノイド作動力S1 ,S2 を制御変数と総称
する。
【0028】(7)〜(10)式より、第1,第2シー
ト弁40,70の状態をマスタシリンダ液圧PMCとホイ
ールシリンダ液圧PWCとの関係とともに図示すると、図
2,3のようになる。第1,第2受圧面積比α,βは、
第1,第2プランジャ断面積A1 ,A2 と第1,第2弁
子有効受圧面積a1 ,a2 とが設計変数であるために作
動を考える上では不変であり((11),(12)式参
照)、第1,第2ホイールシリンダ液圧切片ξ,ηは、
制御変数である第1,第2ソレノイド作動力S1 ,S2
に依存しているため作動を考える上で可変である((1
3),(14)式参照)。本実施形態の液圧ブレーキ装
置は、これらα,β,ξ,ηの大きさに応じて図4〜図
8に示す5種類の作動パターンで作動する。以下、これ
らの図の説明において、それぞれ(15),(16)式
で表される第1,第2敷居液圧直線を用いる。 PWC=α・PMC+ξ ・・・(15) (第1敷居液圧直線) PWC=β・PMC+η ・・・(16) (第2敷居液圧直線)
【0029】図4〜図8におけるローマ数字は、本実施
形態の液圧ブレーキ装置が実現し得る4つの作動状態を
示す。I は、第1シート弁40が開状態であり、第2シ
ート弁70が閉状態である増圧状態、IIは、第1,第2
シート弁40,70が共に閉状態である保持状態、III
は、第1シート弁40が閉状態であり第2シート弁70
が開状態である減圧状態、IVは、第1,第2シート弁4
0,70が共に開状態となり、動力液圧源34とリザー
バ14とが第1,第2シート弁40,70を経て短絡さ
せられる短絡状態である。図4は、第1,第2敷居液圧
直線が一致し(α=β,ξ=η)、I ,III の状態を取
り、保持状態IIと短絡状態IVとを含まない作動パターン
を示す。図5は、第1,第2敷居液圧直線が交わらず
(α=β,ξ<η)、I 〜III の状態を取り、短絡状態
IVを含まない作動パターンを示す。
【0030】図6は、第1,第2敷居液圧直線が交わら
ず(α=β,ξ>η)、I ,III ,IVの状態を取り、保
持状態IIを含まない作動パターンを示す。図7は、第
1,第2敷居液圧直線がマスタシリンダ敷居液圧PMCth
において交わり(α>β,ξ<η)、I 〜IVの状態すべ
てを取り、マスタシリンダ液圧PMCがマスタシリンダ敷
居液圧PMCth未満の場合に保持状態IIとなる作動パター
ンを示す。図8は、第1,第2敷居液圧直線がマスタシ
リンダ敷居液圧PMCthにおいて交わり(α<β,ξ>
η)、I 〜IVの状態すべてを取り、マスタシリンダ液圧
MCがマスタシリンダ敷居液圧PMCthを超えた場合に保
持状態IIとなる作動パターンを示す。
【0031】なお、図5には、マスタシリンダ液圧PMC
がゼロからPMC1 まで上昇した後に再びゼロとなり、再
び上昇してPMC5 に達する過程におけるホイールシリン
ダ液圧PWCの変化が示されている。マスタシリンダ液圧
MCがゼロからPMC1 まで上昇する過程において、マス
タシリンダ液圧PMCとホイールシリンダ64の液圧PWC
との関係は、図5に1で示した点(第1点と称する。他
の点についても同じ)と第2点とを結ぶ線分で表され
る。このとき、ホイールシリンダ液圧PWCは、第1点の
液圧PWC1 (=ξと仮定する)から、第2点の液圧P
WC2 に至る。続いて、マスタシリンダ液圧PMCがPMC1
からPMC3 に減少すると、その間のマスタシリンダ液圧
MCとホイールシリンダ液圧PWCとの関係は、第2点と
第3点とを結ぶ線分で表される。このとき、ホイールシ
リンダ液圧PWCは第2点の液圧PWC2 (=PWC3 )のま
まとなり、保持状態となる。
【0032】続いて、マスタシリンダ液圧PMCがPMC3
からゼロに減少すると、その間のマスタシリンダ液圧P
MCとホイールシリンダ液圧PWCとの関係は、第3点と第
4点とを結ぶ線分で表される。このとき、ホイールシリ
ンダ液圧PWCは、第3点の液圧PWC3 (=PWC2 )から
第4点の液圧PWC4 (=η)まで減少する。第4点の液
圧PWC4 (=η)は、第1点の液圧PWC1 (=ξ)より
大きく、残圧PWC4 (=η)が残ることとなる。この状
態から、ホイールシリンダ64の液圧PWCを再び上昇さ
せるには、マスタシリンダ液圧PMCを第5点の液圧P
MC5 より高くする必要がある。上記残圧PWC4 を低く抑
えるためには、第1,第2ホイールシリンダ液圧切片
ξ,ηを小さくすればよい。
【0033】次に、通常制動時において望ましい作動パ
ターンを考察する。まず、短絡状態IVは、前述のように
動力液圧源34とリザーバ14とが短絡させられる状態
であるから、動力液圧源34から供給される作動液が第
1,第2シート弁40,70を通過してリザーバ14に
流れ続け、その状態でホイールシリンダ64の液圧が動
的に(16)式で表される値と(15)式で表される値
との間の値に制御されることとなる。作動液ポンプ16
の最大吐出量が、第1,第2シート弁40,70を通過
してリザーバ14に流れ続ける作動液の流量より大きけ
れば、作動液ポンプ16から吐出された作動液の一部が
アキュムレータ26に蓄積され、アキュムレータ液圧P
GNが上限設定液圧に達すれば作動液ポンプ16が停止す
るため、作動液ポンプ16の作動が間欠的となるのに対
して、最大吐出量の方が小さければ、作動液がキュムレ
ータ26に蓄積されることはなく、作動液ポンプ16の
作動が連続的となる。いずれにしても、エネルギ損失が
大きく、望ましくない。したがって、短絡状態IVとなる
ことは避けられるべきであり、必然的に短絡状態IVを含
む図6の作動パターンは望ましくないこととなる。
【0034】次に、図4の作動パターンは最も単純な作
動パターンであるが、この作動パターンが採用された液
圧ブレーキ装置の車両においては、第1,第2スプリン
グ132,134等の製造誤差や、第1,第2ソレノイ
ド120,122の制御誤差によって、第2ホイールシ
リンダ液圧切片ηの方が第1ホイールシリンダ液圧切片
ξより大きくなることがあり得、その場合には、図6の
場合と同様に短絡状態IVが発生することとなる。また、
(3)〜(6)式では無視されているが、実際にはOリ
ング106,108,147,148の摩擦力を始めと
する摩擦力が存在し、第1,第2シート弁40,70は
正確に(15),(16)式の第1,第2敷居液圧直線
上で開閉状態が変化するわけではないため、それによっ
ても短絡状態IVが発生する可能性がある。
【0035】そこで、短絡状態の発生を回避すべく、図
5に示した作動パターン(α=β,ξ<η)を選択した
とする。第1,第2敷居液圧直線が互いに交わらず、こ
れら直線に挟まれた領域が保持状態IIであるから、エネ
ルギ損失の発生を回避し得る。ただし、ホイールシリン
ダ液圧切片ηは、非制動時(マスタシリンダ12の液圧
MC=0)にホイールシリンダ64の液圧の閉じ込めが
生じないようにするために、0以下とすることが望まし
い。また、ブースト比を1より大とするために、第1,
第2有効受圧面積比α,βの大きさはそれぞれ1より大
きくすることが望ましい。しかし、図5に示した作動パ
ターンは、保持状態IIとなるマスタシリンダ液圧PMC
大きさの範囲がホイールシリンダ液圧PWCの大きさにか
かわらず一定であるため、ホイールシリンダ液圧PWC
小さい領域で操縦者に不自然な感じを与えないように、
ホイールシリンダ液圧切片η,ξの差を小さくすれば、
ホイールシリンダ液圧PWCが大きい領域で実際の第1,
第2敷居液圧直線の上下が誤差により逆転し、短絡状態
IVが生じてしまう恐れがある。それを回避するために、
ホイールシリンダ液圧切片η,ξの差を大きくすれば、
ホイールシリンダ液圧PWCが小さい領域で操縦者に不自
然な感じを与えてしまうこととなる。
【0036】したがって、図8に示すように、第1有効
受圧面積比αを第2有効受圧面積比βより小さくし、ホ
イールシリンダ64の液圧PWCが大きくなるほど保持領
域IIの幅が広くなるようにすることが望ましい。なお、
図8の作動パターンにおいては、マスタシリンダ液圧P
MCがマスタシリンダ敷居液圧PMCth以下の大きさである
領域で短絡状態IVが発生するが、設計変数および制御変
数の調整により、事実上、短絡状態IVが発生しないよう
にできる。
【0037】そこで、本実施形態においては、図8の作
動パターンの一例である図9の作動パターンが採用され
ている。図9から明らかなように、本作動パターンにお
いては、マスタシリンダ敷居液圧PMCthが見かけ上負と
なるように設計変数および制御変数が選ばれて、短絡状
態IVが事実上発生しないようにされるとともに、第2ホ
イールシリンダ液圧切片ηが負となるようにされている
ため、マスタシリンダ液圧PMCがゼロのときにホイール
シリンダ液圧PWCがゼロとなることが保証されている。
また、マスタシリンダ液圧PMCが正である領域におい
て、ホイールシリンダ液圧PWCがそれぞれ、第1敷居液
圧直線よりも小さいときに増圧状態I 、第1敷居液圧直
線よりも大きく第2敷居液圧直線よりも小さいときに保
持状態II、第2敷居液圧直線よりも大きいときに減圧状
態III となる。
【0038】なお、以下の説明において、第1,第2ソ
レノイド120,122に印加される電圧をそれぞれ第
1,第2ソレノイド電圧V1 ,V2 と称する。また、第
1,第2ソレノイドに電圧V1 ,V2 を印加したときに
発生する第1,第2ソレノイド作動力S1 ,S2 を、S
1 (V1 ),S2 (V2 )で表すことにする。そして、
(13),(14)式にS1 =S1 (V1N),S2 =S
2 (V2N)を代入すれば、それぞれ(17),(18)
式が得られる。 S1 (V1N)=(a1 −b1 )・PGN−a1 ・ξ−K1 ・・・(17) S2 (V2N)=−a2 ・η+K2 ・・・(18) ここで、(17),(18)式を満たす第1,第2ソレ
ノイド電圧V1 ,V2 をそれぞれ第1,第2ソレノイド
通常電圧V1N,V2Nと称することとする。
【0039】図10は、図9に示したように設計変数お
よび制御変数が選定された液圧ブレーキ装置における通
常制動時のマスタシリンダ液圧PMCとホイールシリンダ
液圧PWCとの変化の一例を示したものである。マスタシ
リンダ液圧PMCは、時刻t0 から増加を開始させられ、
時刻t9 においてゼロに戻される。図中のTh1 は第1
敷居液圧直線に対応する第1液圧関係線を示し、Th2
は第2敷居液圧直線に対応する第2液圧関係線を示して
いる。したがって、ホイールシリンダ液圧PWCが、第1
液圧関係線未満であれば増圧状態I ,第1液圧関係線を
超えて第2液圧関係線未満であれば保持状態II,第2液
圧関係線を超えれば減圧状態III である。
【0040】時刻t0 〜t1 の区間においてマスタシリ
ンダ液圧PMCが時間とともに一定の割合で増加すると、
ホイールシリンダ液圧PWCは時刻t0 からやや遅れて増
加を開始し、ほぼ第1液圧関係線に沿って増加する。続
く時刻t1 〜t2 の区間でマスタシリンダ液圧PMCが一
定とされると、ホイールシリンダ液圧PWCも一定とされ
て保持される。続く時刻t2 〜t3 の区間でマスタシリ
ンダ液圧PMCがさらに直線的に増加すると、時刻t0
1 の区間と同様にホイールシリンダ液圧PWCも直線的
に増加する。その後時刻t3 〜t4 の区間で時刻t1
2 の区間と同様にマスタシリンダ液圧PMCが一定にさ
れると、ホイールシリンダ液圧PWCも一定とされて再び
保持状態IIが実現する。続く時刻t4 〜t5 の区間で
は、ホイールシリンダ液圧PWCは図中に示した点P1
おいて減圧に転じる。続く時刻t5 〜t6 の区間では、
ホイールシリンダ液圧PWCは図中に示した点P2 におい
て増圧に転じる。続く時刻t6 〜t7 の区間では、ホイ
ールシリンダ液圧PWCは図中に示した点P3 において減
圧に転じる。続く時刻t7 〜t8 の区間では、ホイール
シリンダ64は保持状態IIとされる。最後に、時刻t8
〜t9 の区間では、ホイールシリンダ64は減圧状態II
I とされる。図10に示すように、マスタシリンダ液圧
MCがゼロとされる時刻t9よりもやや早く、ホイール
シリンダ液圧PWCはゼロとなる。このように、増圧状態
I と減圧状態III とが切り換わる際には、保持状態IIを
間に挟むか否かにかかわらず、マスタシリンダ液圧PMC
の変化に対するホイールシリンダ液圧PWCの変化に遅れ
を生じるが、この遅れは、第1,第2敷居液圧直線を互
いに近づけるほど小さくなる。
【0041】次に、本実施形態において、アンチスキッ
ド制御の増圧,減圧,保持の各状態を実現するための制
御変数の変更方法を説明する。増圧状態I では、ホイー
ルシリンダ液圧PWCがマスタシリンダ液圧PMCの大きさ
に応じて変更できるように通常制動時と同じ状態とされ
る。つまり、この場合の第1,第2ソレノイド電圧V
1 ,V2 をそれぞれ第1,第2ABS増圧電圧V1AI
2AI とすれば、これらの値は前記第1,第2ソレノイ
ド通常電圧V1N,V2Nと等しくされればよく、(1
9),(20)式が得られる。 S1 (V1AI )=S1 (V1N)=(a1 −b1 )・PGN−a1 ・ξ−K1 ・・・ (19) S2 (V2AI )=S2 (V2N)=−a2 ・η+K2 ・・・(20)
【0042】減圧状態III が実現されるためには、マス
タシリンダ液圧PMCが最大の液圧P MCmax とされ、か
つ、ホイールシリンダ液圧PWCがゼロとされた場合にお
いても、(8)および(9)式が共に成り立てばよい。
(8),(9)式から、それぞれ(21),(22)式
が導かれる。 0>α・PMCmax +ξ・・・(21) (第1シート弁閉状態) 0>β・PMCmax +η ・・・(22) (第2シート弁開状態) (21),(22)式を満たす第1,第2ソレノイド電
圧V1 ,V2 を、それぞれ第1,第2ソレノイドABS
減圧電圧V1AD ,V2AD とすると、(23),(24)
式が得られる。 S1 (V1AD )>A1 ・PMCmax +(a1 −b1 )・PGN−K1 ・・・(23) (第1シート弁閉状態) S2 (V2AD )>A2 ・PMCmax +K2 ・・・(24) (第2シート弁開状態 ) (19)式と(23)式とを比較すると、第1ソレノイ
ドABS減圧電圧V1ADは、(25)式が満たされるよ
うに第1ソレノイド通常電圧V1Nおよび第1ABS増圧
電圧V1AI よりも大きくされる必要がある。 S1 (V1AD )>S1 (V1N)+A1 ・PMCmax +a1 ・ξ=S1 (V1AI )+ A1 ・PMCmax +a1 ・ξ ・・・(25) また、(20)式と(24)式とを比較すると、第2ソ
レノイドABS減圧電圧V2AD は、(26)式が満たさ
れるように第2ソレノイド通常電圧V2Nおよび第2AB
S増圧電圧V2AI より大きくされる必要がある。 S2 (V2AD )>S2 (V2N)+A2 ・PMCmax +a2 ・η=S2 (V2AI )+ A2 ・PMCmax +a2 ・η ・・・(26)
【0043】保持状態IIを実現するためには、第1,第
2シート弁を共に閉状態とする必要があるが、第1シー
ト弁40については、マスタシリンダ液圧PMCが最大値
まで上昇させられた状態でもホイールシリンダ液圧PWC
をゼロに近い値に制御する必要があるため、この場合の
第1ソレノイド電圧V1 である第1ソレノイドABS保
持電圧V1AH は前記第1ソレノイドABS減圧電圧V
1AD と等しくされればよい。一方、第2シート弁70に
ついては、マスタシリンダ液圧PMCが高く、ホイールシ
リンダ液圧PWCが低いということは、閉状態を保つ上で
有利であり、また、アンチスキッド制御時には一般に、
通常制動時におけるマスタシリンダ液圧P MCとホイール
シリンダ液圧PWCとの関係以上にホイールシリンダ液圧
WCを高くする必要がないため、この場合の第2ソレノ
イド電圧V2 である第2ソレノイドABS保持電圧V
2AH は、第2ソレノイド通常時電圧V2Nとすれば十分で
ある。しかし、第2ソレノド作動力S2 (V2AH )をゼ
ロとすれば、励磁電流を要することなく一層確実にアン
チスキッド制御の保持状態を実現し得るため、本実施形
態においては S2 (V2AH )=0・・・(27) とされている。
【0044】次に、トラクション制御における制御変数
の変更方法について説明する。トラクション制御におい
てはマスタシリンダ液圧PMCがゼロである。したがっ
て、(7)〜(10)式から(28)〜(31)式が導
かれる。 PWC<ξ ・・・(28) (第1シート弁開状態) PWC>ξ ・・・(29) (第1シート弁閉状態) PWC>η ・・・(30) (第2シート弁開状態) PWC<η ・・・(31) (第2シート弁閉状態) (28)〜(31)式を変形すると、それぞれ(32)
〜(35)式が導かれる。 S1 +K1 <(a1 −b1 )・PGN−a1 ・PWC ・・・(32) (第1シー ト弁開状態) S1 +K1 >(a1 −b1 )・PGN−a1 ・PWC ・・・(33) (第1シー ト弁閉状態) S2 +a2 ・PWC>K2 ・・・(34) (第2シート弁開状態) S2 +a2 ・PWC<K2 ・・・(35) (第2シート弁閉状態)
【0045】増圧状態I は、(32)および(35)式
が共に成り立つときに実現される。これらの式が成り立
つためには、第1,第2ソレノイド作動力S1 ,S2
できる限り小さくされるべきであり、この場合の第1,
第2ソレノイド電圧V1 ,V 2 である第1,第2ソレノ
イドTRC増圧電圧V1TI ,V2TI は共にゼロとされて
いる。
【0046】減圧状態III においては、(33)および
(34)式が成り立つ必要がある。これらの式が成り立
つためには、第1,第2ソレノイド作動力S1 ,S2
大きくされるべきであるが、エネルギ消費量をできる限
り少なくするため、以下に説明するようにされる。第1
ソレノイド作動力S1 はホイールシリンダ液圧PWCがゼ
ロであっても(33)式を満たす必要がある。このとき
の第1ソレノイド電圧V1 を第1ソレノイドTRC減圧
電圧V1TD とすると、(36)式が得られる。 S1 (V1TD )>(a1 −b1 )・PGN−K1 ・・・(36) この(36)式を、通常制動時における第1ソレノイド
作動力S1 (V1N)の(17)式と比較すると、第1ソ
レノイドTRC減圧電圧V1TD は(37)式を満たす必
要があることがわかる。 S1 (V1TD )>S1 (V1N)+a1 ・ξ ・・・(37)
【0047】また、第2ソレノイド作動力S2 はホイー
ルシリンダ液圧PWCがゼロとなっても(34)式を満た
す必要がある。このときの第2ソレノイド電圧V2 を第
2ソレノイドTRC減圧電圧V2TD とすると、(38)
式が得られる。 S2 (V2TD )>K2 ・・・(38) この(38)式を、通常制動時における第2ソレノイド
作動力S2 (V2N)の(18)式と比較すると、第2ソ
レノイドTRC減圧電圧V2TD は(39)式を満たす必
要があることがわかる。 S2 (V2TD )>S2 (V2N)+a2 ・η ・・・(39)
【0048】保持状態IIにおいては、(33)および
(35)式が成り立つ必要がある。これらの式を満たす
第1,第2ソレノイド電圧V1 ,V2 を、それぞれ第
1,第2ソレノイドTRC保持電圧V1TH ,V2TH とす
る。上述の結果を用いると、第1ソレノイドTRC保持
電圧V1TH は、第1ソレノイドTRC減圧電圧V1TD
等しくされればよく、第2ソレノイドTRC保持電圧V
2TH はゼロとされればよいことがわかる。以上に導い
た、通常制動,アンチスキッド制御,トラクション制御
の各場合において、第1,第2ソレノイド120,12
2に印加すべき電圧の組の一例を図11に示す。
【0049】本実施形態においては、第1ソレノイド通
常電圧V1Nおよび第1ABS増圧電圧V1AI が前記第1
電圧に相当し、第2ソレノイド通常電圧V2Nおよび第2
ABS増圧電圧V2AI が前記第2電圧に相当し、第1ソ
レノイドABS減圧電圧V1A D および第1ソレノイドA
BS保持電圧V1AH が前記第3電圧に相当し、第2ソレ
ノイドABS減圧電圧V2AD および第2ソレノイドAB
S保持電圧V2AH が前記第4電圧に相当し、第1ソレノ
イドTRC減圧電圧V1TD および第1ソレノイドTRC
保持電圧V1TH が前記第5電圧に相当し、第2ソレノイ
ドTRC減圧電圧V2TD および第2ソレノイドTRC保
持電圧V2TH が前記第6電圧に相当するのである。以上
の説明から明らかなように、本実施形態においては、第
1,第2ソレノイド120,122に印加される電圧の
制御は、図11に示した電圧を印加するか否かのON/
OFF制御であり、そのため、液密の保持にOリング1
06,108,147,148等のシール部材を使用す
ることにより摩擦力が大きくなっても制御に支障を来す
ことはない。前記従来技術におけるように、フォースモ
ータ等を用いて行なわれる比例制御においては、移動部
材の摩擦力が大きいと制御精度が低下する問題が生じる
が、ON/OFF制御ではそのような問題が生じないの
である。
【0050】本実施形態の液圧ブレーキ装置は、動力液
圧源34が失陥した場合においても制動を確実に行うこ
とができる。通常制動時において、ポンプ16やモータ
18等の構成部品に異常が生じて動力液圧源34が正規
の液圧を供給できなくなった場合は、逆止弁46が開か
れる一方逆止弁50が閉じられてマスタシリンダ12か
らの作動液(液圧PMC)がホイールシリンダ64に供給
され、このマスタシリンダ12の液圧PMCによって通常
の制動が行えるため支障がない。なお、アンチスキッド
制御およびトラクション制御は、上述のアキュムレータ
26に備えられた液圧センサによってアキュムレータ2
6の液圧が不十分であると検出されたときには禁止され
る。
【0051】本実施形態の液圧ブレーキ装置は、第1,
第2ソレノイド120,122を制御する制御装置14
9が故障した場合でも、作動し得る。第1,第2ソレノ
イド作動力S1 ,S2 がゼロになれば、(13),(1
4)式から明らかなように、図9において第1,第2ホ
イールシリンダ液圧切片ξ,ηが上昇するため、ブレー
キ解除状態においてもホイールシリンダ液圧PWCがゼロ
にならず、多少ブレーキが引きずることとなるが、実際
上支障がない程度に制動および解除を行うことはできる
のである。
【0052】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、第1,第2シート弁40,70、第1,
第2プランジャ110,112、第1,第2液圧作動力
伝達子114,116、第1,第2スプリング132,
134、第1,第2ソレノイド作動部材124,12
6、第1,第2ソレノイド作動力伝達子128,130
等により液圧制御弁装置が構成され、第1,第2ソレノ
イド120,122、第1,第2ソレノイド作動部材1
24,126、第1,第2ソレノイド作動力伝達子12
8,130、制御装置149等により電気的液圧変更装
置が構成されている。
【0053】次に、図9の作動パターンとは別の作動パ
ターンを用いた実施形態を説明する。本実施形態は、図
12に示す作動パターンに基づくものである。図12の
作動パターンは、図5の作動パターンと基本的には同じ
ものであるが、マスタシリンダ液圧PMCがゼロとなって
も、ホイールシリンダ液圧PWCに第2ホイールシリンダ
液圧切片ηに等しい残圧が生じる。このことは、トラク
ション制御が終了した時点においても同じである。本実
施形態においては、この残圧をゼロとするために、ホイ
ールシリンダ液圧PWCが不要となった時点で、第2ソレ
ノイド122の電流が一時的に増されて第2ソレノイド
作動力S2 が増大させられ、第2シート弁70が強制的
に開かれ、その後本来の値に戻される。一時的に電流を
増すための第2ソレノイド電圧V2 は、マスタシリンダ
液圧PMCがゼロの場合に、第2スプリング134の付勢
力および摩擦抵抗に確実に打ち勝ち得る力を発生させる
電圧とされる。なお、上記ホイールシリンダ液圧PWC
不要となった時点とは、例えば、ブレーキペダル10の
踏み込みが解除された時点や、トラクション制御が終了
した時点である。
【0054】図13は、第1,第2シート弁40,70
と、第1,第2弁子56,78に力を及ぼす構成要素と
を具体化したものを示す図である。なお、図1に示した
構成要素に対応する構成要素には同じ符号を付して説明
を省略する。液圧室94,100からの作動液の漏れを
極力少なくするために、第1,第2プランジャ110,
112と第1,第2ハウジング102,104との隙間
にホイールシリンダ液圧PWCを供給する第1,第2漏れ
防止通路150,152が設けられている。第1漏れ防
止通路150は、分岐点153において第1ホイールシ
リンダ通路62から分岐し、第1漏れ防止口154に接
続されている。また、第2漏れ防止通路152は、分岐
点156において第1漏れ防止通路150から分岐し、
第2漏れ防止口158に接続されている。ホイールシリ
ンダ液圧PWCは概してマスタシリンダ液圧PMCの増大と
共に増大し、両者の差はマスタシリンダ液圧PMCと大気
圧との差より小さいため、ホイールシリンダ液圧PWC
第1,第2プランジャ110,112の嵌合隙間に供給
されれば、マスタシリンダ12の作動液の液圧室94,
100経由の漏れが抑制されるのである。
【0055】図13に示した構成においては、第1プラ
ンジャ110,第1液圧作動力伝達子114等がマスタ
シリンダ液圧対応力付与装置を構成する。しかし、第1
液圧作動力伝達子114の端面170に動力液圧源34
のアキュムレータ液圧PGNが作用し、第1プランジャ1
10の作動力を減殺する方向に力を加えるので好ましく
ない。そこで、第1液圧作動力伝達子114を図14に
示すような段付のシャフトとし、端面170とは逆向き
の端面172を設け、この端面172にも液圧室17
4,液通路176を経てアキュムレータ液圧PGNを作用
させ、アキュムレータ液圧PGNの影響を減殺することが
望ましい。このとき、端面170と端面172との第1
液圧作動力伝達子114の作動方向と直交する平面への
投影面積を等しくすれば、アキュムレータ液圧PGNの影
響を完全に無くすことができ、第1プランジャ110,
第1液圧作動力伝達子114,液圧室174,液通路1
76等がマスタシリンダ液圧単独対応力付与装置を構成
することとなる。
【0056】第1シート弁40の別の実施形態を、図1
5に示す。図15において、図1と共通の構成要素につ
いては同一の符号を付して対応関係を示し、説明は省略
する。本実施形態の第1シート弁40の第1弁子56に
は、第1プランジャ110側において、ピストン184
がロッド186によって一体的に結合されている。ピス
トン184の外周面にはOリング188が取り付けら
れ、液圧が保持されている。第1液圧室94内にはスプ
リング190が備えられ、第1プランジャ110を常時
ピストン184に当接させている。第1プランジャ11
0のマスタシリンダ液圧PMCに基づく作動力は、ピスト
ン184およびロッド186によって第1弁子56に伝
達される。ピストン184およびロッド186が第1液
圧作動力伝達子として機能するのである。
【0057】アキュムレータ液圧PGNは、第1弁子56
の第1プランジャ110側の第1弁子球面環状受圧面1
92と、ピストン184の第1弁子56側のリング状の
端面であるピストン受圧面194とに作用する。そし
て、これら第1弁子球面環状受圧面192とピストン受
圧面194との軸方向の投影面積(図15において
1′で示す)は等しくされているため、アキュムレー
タ液圧PGNに基づく第1弁子球面環状受圧面192とピ
ストン受圧面194とに対する作用力は常に釣り合い、
第1シート弁40の開閉状態がアキュムレータ液圧PGN
に影響されない。第1プランジャ110,ピストン18
4およびロッド186がマスタシリンダ液圧単独対応力
付与装置を構成していることとなる。そのため、第1ス
プリング132の付勢力である第1付勢力K1 の大きさ
を、上述の実施形態に比してa1 ・PGNだけ小さくでき
る。つまり、通常は第1弁子56が第1弁座58に着座
することを保証し得る大きさであればよく、上述の実施
形態の第1スプリング132に比較して著しく付勢力の
小さいもので済むのである。このことは、アキュムレー
タ液圧PGNが失陥した場合の制動がより迅速に行い得る
ことに繋がる。つまり、本実施形態においては、動力液
圧源34が失陥した場合に、第1シート弁40が開状態
となって制動が開始されるために必要なマスタシリンダ
液圧PMCが、a1 ・PGN/A1 だけ小さくて済むのであ
る。なお、スプリング190は、第1プランジャ110
をピストン184に当接させ、走行中の車両の振動によ
って第1プランジャ110が揺動することを防ぐための
もので、その付勢力は第1スプリング132の付勢力で
ある第1付勢力K1 よりやや小さくされて、通常は第1
弁子56が第1弁座58に着座することが保証されてい
る。
【0058】本発明の別の実施形態を図16に示す。本
実施形態は、第1,第2弁子56,78に力を及ぼすプ
ランジャを1つとした形態である。なお、図16におい
て、図1と共通の構成要素については同一の符号を付し
て対応関係を示し、説明は省略する。200は作動部材
たるプランジャである。プランジャ200は、外形が概
略段付の円筒形状であり、ハウジング202の内部にあ
って、第1端面204とハウジング202とで形成され
る第1液圧室206に導かれるマスタシリンダ液圧PMC
により第1シート弁40に向かう向き(第1シート弁4
0を開く向き)の力を受け、第2端面208とハウジン
グ202とで形成される第2液圧室210に導かれるホ
イールシリンダ液圧PWCにより第2シート弁70に向か
う向き(第2シート弁70を開く向き)の力を受ける。
第1端面204の有効受圧面積を第1プランジャ受圧面
積A1 とし、第2端面208の有効受圧面積を第2プラ
ンジャ受圧面積A2 とする。
【0059】第1端面204には、プランジャ200の
軸線上において、第1作動力伝達子212が固定的に設
けられている。第1作動力伝達子212の基端側の部分
は他の部分より大径の第1当接部213とされている。
第1当接部213は、プランジャ200が第2弁子78
側へ移動する際にハウジング202の内面に当接するこ
とにより、第1作動力伝達子212の第2弁子78側へ
の突出量を制限する。また、第2端面208には同様に
第2作動力伝達子214,第2当接部215が設けられ
ている。第1,第2作動力伝達子212,214は概し
て丸棒状であり、外周面の中間部に第1,第2フランジ
部216,218がそれぞれ設けられている。第1,第
2フランジ部216,218には、円環状の第1,第2
フランジ端面220,222がそれぞれ形成されてい
る。第1フランジ端面220は、第1作動力伝達子21
2の端面である第1先端面224に作用するホイールシ
リンダ液圧PWCによる作動力を打ち消すために設けられ
たものであり、これら2つの端面の面積は等しくされ
る。同様に、第2フランジ端面222と第2作動力伝達
子214の端面である第2先端面226との面積も等し
くされている。プランジャ200と第1,第2作動力伝
達子212,214との長さの総和は、第1,第2弁子
56,78が第1,第2弁座58,80に共に着座した
状態における第1,第2弁子56,78間の間隔より僅
かに小さくされており、第1,第2弁子56,78が共
に第1,第2弁座58,80に着座することが可能であ
る。
【0060】また、プランジャ200には、第1,第2
プランジャスプリング240,242による第1,第2
プランジャ付勢力K1 ,K2 がそれぞれ作用させられて
いる。第1,第2プランジャ付勢力K1 ,K2 がプラン
ジャ200に作用する向きはそれぞれ第1,第2シート
弁40,70に向かう向きとされている。さらに、プラ
ンジャ200には、増,減圧ソレノイド250,252
による増,減圧ソレノイド作動力SI ,SD が作用す
る。後述するように、増,減圧ソレノイド作動力SI
D は同時に作用させられることはなく、択一的に作用
させられる。増,減圧ソレノイド作動力SI ,SD がプ
ランジャ200に作用する向きは、それぞれ第1,第2
シート弁40,70に向かう向きである。一方、第1,
第2弁子56,78には、それぞれ第1,第2弁子スプ
リング254,256による第1,第2弁子付勢力W
1 ,W2 が直接作用する。これらの付勢力は、それぞれ
の弁子を対応する弁座に着座させる向きに作用する。
【0061】本実施形態においてもモータ18,増圧ソ
レノイド250,減圧ソレノイド252,ソレノイド2
84,286等はコンピュータを主体とする制御装置2
58により制御される。また、260,262,26
4,266,268,270,272,274は作動液
の漏れを防ぐシール部材たるOリングである。なお、O
リング270とOリング272との間、ならびにOリン
グ264とOリング266と間の空間は図示しない通路
によって大気に開放されている。
【0062】以上のように構成された装置において、プ
ランジャ作動力Lは(40)式で表される。 L=A1 ・PMC−A2 ・PWC+SI −SD +K1 −K2 ・・・(40) 第1シート弁40は、このプランジャ作動力Lが正であ
る場合にのみ開状態とされる。つまり、第1弁子56を
第1弁座58に着座させる向きの力を及ぼすホイールシ
リンダ64の液圧PWCがゼロであり、かつ、アキュムレ
ータ液圧PGNによる第1弁子56を第1弁座58から離
間させる向きの力が及ぼされている場合においても、第
1シート弁40が閉状態となるように、第1付勢力W1
は、a1 ・PGNより大きくされる。本実施形態において
は、(41)式に示す値とされる。 W1 =a1 ・PGN+Δw1 ・・・(41) 第1付勢力余裕Δw1 は、プランジャ作動力Lがゼロま
たは負である場合に第1シート弁40を確実に閉状態と
するための第1付勢力W1 の余裕値であり、小さな正の
値とされる。また、第2シート弁70は、ホイールシリ
ンダ64の液圧が最大液圧PWCmax 未満である場合に
は、プランジャ作動力Lが負である場合にのみ開状態と
される。つまり、第2付勢力W2 が、プランジャ作動力
Lがゼロまたは正である場合に、ホイールシリンダ64
の液圧が最大液圧PWCmax まで増加し得るように、(4
2)式で表される大きさとされている。 W2 =a2 ・PWCmax +Δw2 ・・・(42) 第2付勢力余裕Δw2 は、プランジャ作動力Lがゼロま
たは正である場合に第2シート弁70を確実に閉状態と
するための第2付勢力W2 の余裕値であり、小さな正の
値とされる。したがって、ホイールシリンダ64の液圧
WCは(W2 −Δw2 )/a2 を越えない。
【0063】(40)式のプランジャ作動力Lをゼロと
おくと、(43)〜(45)式を得る。 PWC=ρ・PMC+τ ・・・(43) ρ=A1 /A2 ・・・(44) τ=(SI −SD +K1 −K2 )/A2 ・・・(45) ここで、ρおよびτをそれぞれ、受圧面積比およびホイ
ールシリンダ液圧切片と称する。(43)式は、マスタ
シリンダ12の液圧PMCと、ホイールシリンダ64の液
圧PWCとが比例関係にあることを示しているが、この比
例関係はプランジャ作動力Lがゼロの場合にのみ成り立
つのである。しかし、プランジャ作動力Lが正または負
である場合にそれぞれ対応する別の比例関係式が成立
し、後述する(47)および(51)式がそれである。
【0064】プランジャ作動力Lが正(L>0)である
場合は、第1弁子56に、それを第1弁座58から離間
させる向きの力として作用する。そして、第1弁子56
と第1弁座58との接触力がゼロになった瞬間、すなわ
ち第1シート弁40が開く瞬間には、第1シート弁40
に関して(46)式が成立する。 a1 ・PGN+L=a1 ・PWC+W1 ・・・(46) なお、第2シート弁70は閉状態である。(46)式に
(40),(44)式を代入して変形すると、(47)
〜(49)式を得る。 PWC=α・PMC+μ ・・・(47) α=A1 /(a1 +A2 ) ・・・(48) μ=(SI −SD +K1 −K2 −Δw1 )/(a1 +A2 ) ・・・(49) ここで、αおよびμをそれぞれ、第1有効受圧面積比お
よび第1ホイールシリンダ液圧切片と称する。なお、
(47)〜(49)式が成り立つ場合は、プランジャ作
動力Lが正であるから、第2シート弁70は閉状態であ
る。したがって、プランジャ作動力Lが正である場合に
おいては、減圧状態III になり得ない。(47)〜(4
9)式は、増圧状態I におけるマスタシリンダ12の液
圧PMCとホイールシリンダ64の液圧PWCとの関係式な
のである。
【0065】プランジャ作動力Lが負である場合(L<
0)は、第2弁子78に、第2弁座80から離間する方
向の力が作用する。そして、第2シート弁70が開く瞬
間には、第2シート弁70に関して(50)式が成立す
る。 a2 ・PWC−L=W2 ・・・(50) なお、第1シート弁40は、前記第1付勢力余裕Δw1
によって閉状態に保たれる。(50)式に(40),
(45)式を代入して変形すると、(51)〜(53)
式を得る。 PWC=β・PMC+ν ・・・(51) β=A1 /(a2 +A2 ) ・・・(52) ν=(SI −SD +K1 −K2 +a2 ・PWCmax +Δw2 )/(a2 +A2 ) ・・・(53) ここで、βおよびνをそれぞれ、第2有効受圧面積比お
よび第2ホイールシリンダ液圧切片と称する。(51)
〜(53)式が成り立つ場合には、第1シート弁40は
閉状態であるから、(51)〜(53)式は、減圧状態
III におけるマスタシリンダ12の液圧PMCとホイール
シリンダ64の液圧PWCとの関係式なのである。
【0066】(47),(51)式に基づいた、通常制
動時における本実施形態の作動の一例を示すグラフを図
17に示す。この例は、次の3つの条件を満たしてい
る。 μ<ν<0 第1,第2ホイールシリンダ液圧切片μ,νが共に負と
されている。これは、マスタシリンダ12の液圧PMC
ゼロである場合に、第1シート弁40を閉状態とし、か
つ、第2シート弁70を開状態とすることにより、ホイ
ールシリンダ64の残圧をゼロとするためである。ま
た、第1ホイールシリンダ液圧切片μよりも第2ホイー
ルシリンダ液圧切片νが大きくれされている。これは、
保持状態IIを実現するためである。なお、本例において
は、増,減圧ソレノイド250,252に印加される電
圧である増,減圧ソレノイド通常電圧VIN,VDNは共に
ゼロとされ、増,減圧ソレノイド作動力SI ,SD がゼ
ロの状態で上記条件が満たされるようにされている。こ
れは、エネルギ消費量を抑えるためである。 α<β〜2 第1,第2有効受圧面積比α,βが共に2程度の大きさ
とされている。ブースト比が約2なのである。具体的に
は、A1 :A2 :a1 :a2 =1:2:10:20とさ
れている。したがって、α=5/3,β=20/11で
ある。なお、α<βとされているのは、前述の実施形態
と同様に、マスタシリンダ12の液圧PMCが高いほど保
持状態IIとされるマスタシリンダ12の液圧PMCの範囲
を広くするためである。 PMC1 〜PMCmax /12 PMC1 は、(47)式のホイールシリンダ64の液圧が
ゼロとなるときのマスタシリンダ12の液圧であり、増
圧開始マスタシリンダ液圧と称する。増圧開始マスタシ
リンダ液圧PMC1 が大きいと、制動が開始されるまでの
ブレーキペダル10の踏込力が大きくなるので、マスタ
シリンダ12の液圧の最大値PMCmax に対してあまり大
きくすることは望ましくない。そこで、本例では1/1
2程度とされているのである。なお、(51)式で表さ
れるホイールシリンダ64の液圧がゼロとなるときのマ
スタシリンダ12の液圧である減圧終了マスタシリンダ
液圧PMC2 は、(53)式の第2ホイールシリンダ液圧
切片νの値が負となるように、ここでは最大液圧P
MCmax の1/60程度の値とされている。(51)式よ
り、(53)式の第2ホイールシリンダ液圧切片νは−
β・PMC2 に等しい。これらの条件より、(54)式が
得られる。 K1 −K2 =−(67/55)・a2 ・PGN−Δw2 ・・・(54) なお、(54)式の導出に際して、アキュムレータ液圧
GNとホイールシリンダ64の最大液圧PWCmax とがほ
ぼ等しいことを利用した。(42)および(54)式に
よれば、第1および第2プランジャ付勢力K1 ,K2
差の大きさは、第2弁子付勢力W2 の大きさよりも若干
大きくされて、マスタシリンダ12の液圧PMCがゼロの
場合に、確実に第2シート弁70が開状態となるように
されているのである。第1プランジャスプリング240
が省略されて、第1プランジャ付勢力K1 がゼロとされ
てもよく、その場合には第2プランジャ付勢力K2
(55)式で与えられる。 K2 =(67/55)・a2 ・PGN+Δw2 ・・・(55) なお、第2プランジャ付勢力K2 の代わりに、減圧ソレ
ノイド作動力SD を(55)式を満たす値として作用さ
せて、第2プランジャスプリング242を省略してもよ
い。
【0067】マスタシリンダ12の液圧PMCがゼロであ
る初期状態から、ブレーキペダル10が踏み込まれる
と、まず増圧開始マスタシリンダ液圧PMC1 においてホ
イールシリンダ64の増圧が開始される。この増圧は
(47)式が示す比例関係で行われる。具体的には、マ
スタシリンダ12から作動液が第1液圧室206に供給
され、第1当接部215がハウジング202の内面に当
接するまでプランジャ200が移動させられて、第1シ
ート弁40が開かれ、アキュムレータ26から作動液が
ホイールシリンダ64に供給されて、ホイールシリンダ
液圧PWCが増大させられるのである。ブレーキペダル1
0の踏力が一定に保たれ、マスタシリンダ液圧PMCが一
定に保たれるようになれば、(47)式が満たされるま
でホイールシリンダ液圧PWCが増大したとき第1シート
弁が40が閉じられ、それにつれてプランジャ200が
第1液圧室206側に押し戻され、ブレーキペダル10
も押し戻される。ブレーキペダル10の踏力が緩められ
ると、(51)式が満たされるまでは保持状態IIとな
り、(51)式が満たされた後は(51)式が示す比例
関係で減圧が行われる。
【0068】ポンプ16,モータ18,モータ駆動回路
等の故障により、アキュムレータ液圧PGNが不十分とな
った場合には、マスタシリンダ12からの作動液が逆止
弁46,第1シート弁40を通ってホイールシリンダ6
4に供給される。この際に、第1液圧室206にも作動
液が供給されるが、前述のように、第2当接部215に
よってプランジャ200の第1シート弁40に向かう移
動が制限され、第1液圧室206に供給される作動液の
最大量が規定される。したがって、例えば、ホイールシ
リンダ64に供給される作動液と、第1液圧室206に
供給される作動液の最大量とがほぼ等しくなるように第
2当接部215が形成されれば、アキュムレータ液圧P
GNが不十分となった場合のブレーキペダル10の制動開
始時におけるストローク(ただし、遊びのストロークは
無視する)は、アキュムレータ液圧PGNが正常の場合の
それのほぼ2倍となる。
【0069】次に、アンチスキッド制御時の作動を説明
する。本実施形態においてアンチスキッド制御時に保持
状態IIを確実に実現するためには、増,減圧ソレノイド
作動力SI ,SD を、マスタシリンダ液圧PMCとホイー
ルシリンダ液圧PWCとの差圧に応じて変更する必要があ
る。そのためには複数の液圧センサを必要とするので、
本実施形態においては、液圧センサは使用されず、後述
するように保持状態IIの代わりに緩増圧状態V および緩
減圧状態VIが実現可能とされている。
【0070】増圧状態I は、ホイールシリンダ64の液
圧PWCの大きさにかかわらず確実に第1シート弁40を
開状態とし得るようにすれば実現でき、プランジャ作動
力Lが第1弁子付勢力W1 より大きくされればよいの
で、本実施形態においては、減圧ソレノイド作動力SD
がゼロとされる一方、増圧ソレノイド作動力SI が(5
6)式を満たす大きさとされている。 SI (VIAI )>(727/55)・a2 ・PGN+Δw1 ・・・(56) なお、(56)式の導出に際して、アキュムレータ液圧
GNとホイールシリンダ64の最大液圧PWCmax とを等
置した。以下の式の導出に際しても同様である。また、
IAI は、増圧ソレノイド250に印加される(56)
式を満たす増圧ソレノイドABS増圧電圧である。減圧
ソレノイド252に印加される電圧である減圧ソレノイ
ドABS増圧電圧VDAI はゼロとされる。
【0071】減圧状態III は、ホイールシリンダ64の
液圧PWCの大きさにかかわらず確実に第2シート弁70
を開状態とし得るようにすれば実現でき、プランジャ作
動力Lが負であり、かつ、その絶対値が第2弁子付勢力
2 より大きくされればよいので、本実施形態において
は、増圧ソレノイド作動力SI がゼロとされる一方、減
圧ソレノイド作動力SD が(57)式を満たす大きさと
されている。 SD (VDAD )>(708/55)・a2 ・PGN+Δw2 ・・・(57) なお、VDAD は、減圧ソレノイド252に印加される
(57)式を満たす減圧ソレノイドABS減圧電圧であ
る。増圧ソレノイド250に印加される電圧である増圧
ソレノイドABS減圧電圧VIAD はゼロとされる。
【0072】次に、トラクション制御における作動を説
明する。本実施形態において、トラクション制御時に保
持状態IIを確実に実現するためには、増,減圧ソレノイ
ド作動力SI ,SD を、ホイールシリンダ液圧PWCに応
じて変更する必要がある。そのためには液圧センサが必
要となるので、本実施形態においては、液圧センサは使
用されず、保持状態IIを実現する代わりに、緩増圧状態
V および緩減圧状態VIが実現可能とされてる。
【0073】増圧状態I は、ホイールシリンダ64の液
圧PWCの大きさにかかわらず確実に第1シート弁40を
開状態とし得るようにすれば実現でき、プランジャ作動
力Lが第1弁子付勢力W1 より大きくされればよいの
で、本実施形態においては、減圧ソレノイド作動力SD
がゼロとされる一方、増圧ソレノイド作動力SI が、上
記(56)式を満たす大きさとされている。つまり、増
圧時に増圧ソレノイド250に印加される電圧である増
圧ソレノイドTRC増圧電圧VITI は、前記増圧ソレノ
イドABS増圧電圧VIAI と等しくされる。また、減圧
ソレノイド252に印加される電圧である減圧ソレノイ
ドTRC増圧電圧VDTI は、前記減圧ソレノイドABS
減圧電圧VDAI と同様にゼロとされる。
【0074】減圧状態III は、ホイールシリンダ64の
液圧PWCの大きさによらず確実に第2シート弁70を開
状態とされれば実現でき、プランジャ作動力Lが負であ
り、かつ、その絶対値が第2弁子付勢力W2 より大きく
されればよいのであるが、トラクション制御ではマスタ
シリンダ12の液圧PMCは常にゼロであるから、増圧ソ
レノイド作動力SI はゼロとされて、減圧ソレノイド作
動力SD は(58)式を満たす大きさとされる。 SD (VDTD )>(122/55)・a2 ・PGN+Δw2 ・・・(58) なお、減圧時に減圧ソレノイド252に印加される減圧
ソレノイドTRC減圧電圧VDTD は、(58)式を満た
す電圧である。増圧ソレノイド250に印加される電圧
である増圧ソレノイドTRC減圧電圧VITD はゼロとさ
れる。
【0075】本装置には、図16に示すように、緩増圧
状態V を実現するための増圧勾配切換弁280と緩減圧
状態VIを実現するための減圧勾配切換弁282とが組み
込まれている。増圧勾配切換弁280は、逆止弁50と
接続点48との間の液圧源通路30上に設けられ、作動
液の流れを絞り288によって絞る絞り状態と絞らない
非絞り状態とを実現する。これらの状態の切換は、ソレ
ノイド284の励磁電流をON/OFF制御することで
行われる。また、減圧勾配切換弁282は、分岐点74
と第2入口72との間の第2ホイールシリンダ通路76
上に設けられ、作動液の流れを絞り290によって絞る
絞り状態と絞らない非絞状態とを実現する。これらの状
態の切換は、ソレノイド290の励磁電流のON/OF
F制御により行われる。ここでは、ソレノイド286,
290の励磁電流がONとされたときに、それぞれ絞り
状態となるようにされている。増圧状態I であってかつ
増圧勾配切換弁280が絞り状態の場合に緩増圧状態V
となり、減圧状態III であってかつ減圧勾配切換弁28
2が絞り状態である場合に緩減圧状態VIとなるのであ
る。なお、増,減圧勾配切換弁280,282を設ける
代わりに、第1ホイールシリンダ通路62の、分岐点7
4とホイールシリンダ64との間に、増,減圧勾配切換
弁280,282と同様の勾配切換弁を1つ設けてもよ
い。この場合には、緩増圧状態V と緩減圧状態VIとが共
に実現でき、かつ、ソレノイドと勾配切換弁とが1つで
済むのである。
【0076】以上説明した通常制動,アンチスキッド制
御,トラクション制御の各状態において、第1,第2ソ
レノイド120,122に印加すべき電圧の組と増圧勾
配切換弁280および減圧勾配切換弁282の状態との
一例を図18に示す。なお、通常制動時においては、ソ
レノイド286,290の励磁電流が共にOFFとされ
て、これら増,減圧勾配切換弁280,282はそれぞ
れ非絞り状態とされている。以上の説明から明らかなよ
うに、本実施形態においても、増,減圧ソレノイド25
0,252に印加される電圧の制御はON/OFF制御
であって、比例制御の必要がなく、液密を要する箇所に
Oリング等シール部材を使用しても制御に支障を来すこ
とがない。本実施形態は、液圧制御弁装置としての第
1,第2シート弁40,70,プランジャ200,ハウ
ジング260,第1,第2プランジャスプリング24
0,242,第1,第2弁子スプリング254,256
等の構成に加えて、第1,第2フランジ部216,21
8等が設けられたことにより、マスタシリンダ液圧単独
対応力付与装置を含む形態となっている。また、プラン
ジャ200、増,減圧ソレノイド250,252、制御
装置258等によって電気的液圧変更装置が構成されて
いる。プランジャ200は液圧制御弁装置および電気的
液圧変更装置に共通の構成部材なのである。
【0077】なお、本実施形態における増,減圧ソレノ
イド250,252のいずれか一方を省略した別の実施
形態とすることも可能である。例えば、増圧ソレノイド
250を省略する場合には、上述の第1プランジャ付勢
力K1 と減圧ソレノイド作動力SD との和を、増圧ソレ
ノイド作動力SI の最大値と同じだけ大きくすればよ
い。減圧ソレノイド252を省略する場合には、上述の
第2プランジャ付勢力K 2 と増圧ソレノイド作動力SI
との和を減圧ソレノイド作動力SD の最大値と同じだけ
大きくすればよい。以上、各請求項の発明の実施形態を
図面に基づいて具体的に説明したが、その他にも、特許
請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づい
て種々の変形,改良を施した態様で各請求項の発明を実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である液圧ブレーキ装置の
液圧回路図である。
【図2】図1に示した液圧ブレーキ装置の第1シート弁
の作動パターンを説明するためのグラフである。
【図3】図1に示した液圧ブレーキ装置の第2シート弁
の作動パターンを説明するためのグラフである。
【図4】図1に示した液圧ブレーキ装置の第1,第2シ
ート弁の一作動パターンを説明するためのグラフであ
る。
【図5】図1に示した液圧ブレーキ装置の第1,第2シ
ート弁の別の作動パターンを説明するためのグラフであ
る。
【図6】図1に示した液圧ブレーキ装置の第1,第2シ
ート弁のさらに別の作動パターンを説明するためのグラ
フである。
【図7】図1に示した液圧ブレーキ装置の第1,第2シ
ート弁のさらに別の作動パターンを説明するためのグラ
フである。
【図8】図1に示した液圧ブレーキ装置の第1,第2シ
ート弁のさらに別の作動パターンを説明するためのグラ
フである。
【図9】図8に示した作動パターンの一具体例を示すグ
ラフである。
【図10】図9の作動パターンを用いた液圧制御の一例
を説明するためのグラフである。
【図11】図1に示した液圧ブレーキ装置の第1,第2
ソレノイドに印加すべき電圧の組を示す図表である。
【図12】図8に示した作動パターンの別の具体例を示
すグラフである。
【図13】図1に示した液圧ブレーキ装置における液圧
制御弁装置の具体的な構成を示す図である。
【図14】図1に示した液圧ブレーキ装置における別の
液圧制御弁装置の具体的な構成を示す図である。
【図15】図1に示した液圧ブレーキ装置における液圧
制御弁装置の第1シート弁の別の構成を示す図である。
【図16】本発明の別の実施形態である液圧ブレーキ装
置の液圧回路図である。
【図17】図16に示した液圧ブレーキ装置の第1,第
2シート弁の作動パターンを説明するためのグラフであ
る。
【図18】図16に示した液圧ブレーキ装置の増,減圧
ソレノイドに印加すべき電圧の組を説明するための図表
である。
【符号の説明】
10 ブレーキペダル 12 マスタシリンダ 14 リザーバ 16 ポンプ 18 モータ 26 アキュムレータ 34 動力液圧源 40 第1シート弁 46 主通路逆止弁 50 液圧源通路逆止弁 56 第1弁子 58 第1弁座 64 ホイールシリンダ 110 第1プランジャ 112 第2プランジャ 114 第1液圧作動力伝達子 116 第2液圧作動力伝達子 120 第1ソレノイド 122 第2ソレノイド 132 第1スプリング 134 第2スプリング 184 スプール 186 ランド部 188 Oリング 192 第1弁子球面環状受圧面 194 スプール受圧面 200 プランジャ 212 第1作動力伝達子 214 第2作動力伝達子 240 第1プランジャスプリング 242 第2プランジャスプリング 250 増圧ソレノイド 252 減圧ソレノイド 254 第1弁子スプリング 256 第2弁子スプリング 280 増圧勾配切換弁 282 減圧勾配切換弁
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−149543(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 13/68 F16K 31/06 330

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキ操作部材の操作力に応じた作動
    液の液圧を加圧室に発生させるマスタシリンダと、ホイ
    ールシリンダに液圧が供給されることにより車輪の回転
    を抑制するブレーキと、リザーバと、前記マスタシリン
    ダとは別の液圧源と、それらマスタシリンダとホイール
    シリンダとリザーバと液圧源との間に設けられ、液圧源
    の液圧を前記マスタシリンダの液圧をパイロット圧とし
    てマスタシリンダの液圧に応じた高さに機械的に制御し
    て前記ホイールシリンダに供給する液圧制御弁装置と、
    電気的に制御される力を前記液圧制御弁装置に付与する
    ことにより、前記ホイールシリンダに供給される液圧を
    変更する電気的液圧変更装置とを含む液圧ブレーキ装置
    であって、 前記液圧制御弁装置が、第1弁座と第1弁子とを有し、第1弁子が第1弁座に着
    座することにより、前記液圧源から前記ホイールシリン
    ダへの作動液の流れを遮断する第1シート弁と、 第2弁座と第2弁子とを有し、第2弁子が第2弁座に着
    座することにより、前記ホイールシリンダから前記リザ
    ーバへの作動液の流れを遮断する第2シート弁と、 受圧面に前記マスタシリンダの液圧を受けて作動する第
    1作動部材と、その第1作動部材の作動力を前記第1弁
    子に伝達する第1作動力伝達手段と、受圧面に前記マス
    タシリンダの液圧を受けて作動する第2作動部材と、そ
    の第2作動部材の作動力を前記第2弁子に伝達する第2
    作動力伝達手段とを有するマスタシリンダ液圧対応力付
    与装置とを含み、かつ、前記電気的液圧変更装置が、 励磁電流に基づく力を前記電気的に制御された力として
    前記第1弁子に付与する第1ソレノイドと、 励磁電流に基づく力を前記電気的に制御された力として
    前記第2弁子に付与する第2ソレノイドと を含むことを
    特徴とする液圧ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 前記第1シート弁が、前記第1弁子を前
    記第1弁座に着座さ せる向きに付勢する第1弁子付勢手
    段を有し、第1弁子が、前記液圧源の液圧を第1受圧面
    に第1弁座から離間する向きに受ける一方、前記ホイー
    ルシリンダの液圧を第2受圧面に前記第1弁座に着座す
    る向きに受けるものであり、前記第2シート弁が、前記
    第2弁子を前記第2弁座に着座させる向きに付勢する第
    2弁子付勢手段を有し、第2弁子が、前記ホイールシリ
    ンダの液圧を第3受圧面に第2弁座から離間する向きに
    受ける一方、前記リザーバの液圧を第4受圧面に第2弁
    座に着座する向きに受けるものであり、かつ、前記マス
    タシリンダ液圧対応力付与装置が、前記第1作動部材の
    受圧面に前記マスタシリンダの液圧を受け、その第1作
    動部材の作動力を前記第1作動力伝達手段が前記第1弁
    子にその第1弁子を前記第1弁座から離間させる向きに
    伝達し、また、前記第2作動部材の受圧面に前記マスタ
    シリンダの液圧を受け、その第2作動部材の作動力を前
    記第2作動力伝達手段が前記第2弁子にその第2弁子を
    前記第2弁座に着座させる向きに伝達するものである請
    求項1に記載の液圧ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 ブレーキ操作部材の操作力に応じた作動
    液の液圧を加圧室に発生させるマスタシリンダと、ホイ
    ールシリンダに液圧が供給されることにより車輪の回転
    を抑制するブレーキと、リザーバと、前記マスタシリン
    ダとは別の液圧源と、それらマスタシリンダとホイール
    シリンダとリザーバと液圧源との間に設けられ、液圧源
    の液圧を前記マスタシリンダの液圧をパイロット圧とし
    てマスタシリンダの液圧に応じた高さに機械的に制御し
    て前記ホイールシリンダに供給する液圧制御弁装置と、
    電気的に制御される力を前記液圧制御弁装置に付与する
    ことにより、前記ホイールシリンダに供給される液圧を
    変更する電気的液圧変更装置とを含む液圧ブレーキ装置
    であって、 前記液圧制御弁装置が、 第1弁座と第1弁子とを有し、第1弁子が第1弁座に着
    座することにより、前記液圧源から前記ホイールシリン
    ダへの作動液の流れを遮断する第1シート弁と、 第2弁座と第2弁子とを有し、第2弁子が第2弁座に着
    座することにより、前記ホイールシリンダから前記リザ
    ーバへの作動液の流れを遮断する第2シート弁と、 受圧面に前記マスタシリンダの液圧を受けて作動する前
    記第1弁子と前記第2弁子とに共通の作動部材と、その
    作動部材の作動力を前記第1弁子と前記第2弁子とにそ
    れぞれ伝達する作動力伝達手段とを有するマスタシリン
    ダ液圧対応力付与装置とを含み、かつ、前記電気的液圧
    変更装置が、 励磁電流に基づく力を前記電気的に制御された力として
    前記共通の作動部材を介して前記第1弁子に付与する第
    1ソレノイドと、 励磁電流に基づく力を前記電気的に制御された力として
    前記共通の作動部材を介して前記第2弁子に付与する第
    2ソレノイドとを共に含むことを特徴とする液圧ブレー
    キ装置。
  4. 【請求項4】 前記第1シート弁が、前記第1弁子を前
    記第1弁座に着座させる向きに付勢する第1弁子付勢手
    段を有し、第1弁子が、前記液圧源の液圧を第1受圧面
    に第1弁座から離間する向きに受ける一方、前記ホイー
    ルシリンダの液圧を第2受圧面に前記第1弁座に着座す
    る向きに受けるものであり、前記第2シート弁が、前記
    第2弁子を前記第2弁座に着座させる向きに付勢する第
    2弁子付勢手段を有し、第2弁子が、前記ホイールシリ
    ンダの液圧を第3受圧面に第2弁座から離間する向きに
    受ける一方、前記リザーバの液圧を第4受圧面に第2弁
    座に着座する向きに受けるものであり、かつ、前記マス
    タシリンダ液圧対応力付与装置が、受圧面に前記マスタ
    シリンダの液圧を受けて作動する前記第1弁子と前記第
    2弁子とに共通の作動部材と、その作動部材の作動力を
    前記第1弁子にその第1弁子を前記第1弁座から離間さ
    せる向きに、また、前記第2弁子にその第2弁子を前記
    第2弁座から離間させる向きにそれぞれ伝達する作動力
    伝達手段とを有するものである請求項3に記載の液圧ブ
    レーキ装置。
  5. 【請求項5】 前記液圧制御弁装置が、 前記マスタシリンダ液圧により作動するプランジャと、
    そのプランジャのマスタシリンダ液圧に基づく作動力を
    前記第1シート弁と前記第2シート弁との少なくとも一
    方であるシート弁の弁子に伝達する作動力伝達子とを有
    するマスタシリンダ液圧対応力付与装置と、 前記作動力伝達子に前記シート弁内の液圧に基づく力が
    作用することを実質的 に回避するシート弁内液圧影響除
    去手段とを含み、そのシート弁内液圧影響除去手段が、 前記シート弁の液圧が大気圧ではない弁室内で前記作動
    力伝達子が前記弁子に当接させられるとともに、その作
    動力伝達子のその弁室に対する有効受圧面積と等しい有
    効受圧面積を有しかつ向きが逆である逆向き受圧面が前
    記プランジャまたは作動力伝達子に設けられ、かつ、そ
    の逆向き受圧面に弁室の液圧を作用させる導圧手段が設
    けられたものである請求項1ないし4のいずれかに記載
    の液圧ブレーキ装置。
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