JP3212928B2 - 伝動用ベルト - Google Patents

伝動用ベルト

Info

Publication number
JP3212928B2
JP3212928B2 JP30530797A JP30530797A JP3212928B2 JP 3212928 B2 JP3212928 B2 JP 3212928B2 JP 30530797 A JP30530797 A JP 30530797A JP 30530797 A JP30530797 A JP 30530797A JP 3212928 B2 JP3212928 B2 JP 3212928B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
belt
layer
powder
adhesive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP30530797A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11141621A (ja
Inventor
義隆 田島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bando Chemical Industries Ltd filed Critical Bando Chemical Industries Ltd
Priority to JP30530797A priority Critical patent/JP3212928B2/ja
Publication of JPH11141621A publication Critical patent/JPH11141621A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3212928B2 publication Critical patent/JP3212928B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、VベルトやVリブ
ドベルト等の伝動用ベルトに関し、特に、該伝動用ベル
トのコスト低減のための技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、VベルトやVリブドベルト等
の伝動用ベルトはよく知られており、Vベルトとして
は、外周全体を外被帆布で覆ったラップドタイプや、側
面のみに帆布が無くてゴムが露出しているローエッジタ
イプがある。このローエッジタイプのVベルトの製造工
程においては、ベルト素材を加硫缶に装着してベルト長
さに対応する円筒状に加硫成形し、続いて、この成形さ
れたものをベルト幅に合わせて環状に切離した後に、そ
の各々を断面が台形状になるように研削する。
【0003】また、上記Vリブドベルトは、ベルト基体
に対しベルト長手方向に延びる複数のVリブが形成され
ているもので、その製造工程では、上記ローエッジタイ
プのVベルトと同様、加硫成形後に環状に切離したもの
の底ゴム部を研削して、Vリブ形状を削り出すようにし
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
ローエッジタイプのVベルトやVリブドベルトにおいて
は、その製造工程で研削によるゴム屑が発生して廃棄さ
れており、その分量が供給材料の30パーセント近くに
達する。
【0005】また、上記ローエッジタイプのVベルトや
Vリブドベルトに限らず、ラップドタイプのVベルトや
変速ベルト等も含めて、製造工程で生じた不良品は廃棄
される。従って、上述の如く発生する研削によるゴム屑
と合わせて、伝動用ベルトの製造工程では、加硫ゴムや
繊維等のベルト素材からなる廃棄物がかなり発生し、そ
の処分のための経費がコストを押し上げるという問題が
ある。
【0006】本発明は、斯かる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、VベルトやVリブド
ベルトの製造時に発生するゴム屑や使用済みのベルト等
の廃棄物に、加硫ゴムや繊維等が含まれていることに着
目して、それらを含む加硫ゴムを、所定条件下で伝動用
ベルトの材料の一部に利用することにより、環境保全に
も配慮しつつ、伝動用ベルトのコスト低減を図ることに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の解決手段では、伝動用ベルトの製造工程に
おいて、未加硫の新ゴムに粉体ゴムを混入して用いるよ
うにした。
【0008】具体的には、請求項1記載の発明では、ベ
ルト長さ方向に延びる心線が埋設された接着ゴム層と、
該接着ゴム層のベルト外面側及びベルト内面側にそれぞ
れ設けられた引張ゴム層及び圧縮ゴム層とを備えてなる
伝動用ベルトを前提とする。そして、上記接着ゴム層、
引張ゴム層又は圧縮ゴム層のうちの少なくとも1つを、
ベルト製造工程の未加硫の状態で、ベルトのゴム廃棄物
から形成された粉体ゴムが混入されたゴム組成物により
構成し、該粉体ゴムの混合割合としては、上記混入対象
の層が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエ
ンゴム、高飽和ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエ
チレンゴム又はアルキル化クロロスルホン化ポリエチレ
ンゴムのうちのいずれかにより構成されている場合は、
重量比で30%以下とし、また、上記混入対象の層がク
ロロプレンゴムにより構成されている場合は、重量比で
25%以下とする構成とする。
【0009】この構成によれば、伝動用ベルトの接着ゴ
ム層、引張ゴム層又は圧縮ゴム層のうちの少なくとも1
つに対し、粉体ゴムが充填剤として混入されているの
で、その分だけ新ゴムの分量を減らして材料費を低減す
ることができる。
【0010】しかも、上記粉体ゴムとして、ベルトの製
造工程で発生する研削によるゴム屑や、不良品及び使用
済みのゴムベルト等のゴム廃棄物を粉砕したものをリサ
イクルして用いることで、それらの廃棄処分に要する経
費を節約してベルト製造コストの低減を図ることがで
き、また、資源の有効利用及び廃棄物の低減によって、
環境保全にも有用である。
【0011】さらに、粉体ゴムの混合割合を上記の所定
割合以下に限定することで、粉体ゴムの混入過多による
加硫前のゴムシートの粘着性の悪化を抑制することがで
き、製造工程での作業の容易性を確保することができ
る。加えて、加硫成形時のゴムの流動性の低下を抑制す
ることができ、さらに、加硫後の表面の荒れや屈曲性の
悪化等を抑制することができる。
【0012】請求項2記載の発明では、ベルト長さ方向
に延びる心線が埋設された接着ゴム層と、該接着ゴム層
のベルト外面側及びベルト内面側にそれぞれ設けられた
オーバーコード層及びアンダーコード層と、該アンダー
コード層のベルト内面側に設けられた底ゴム層とを備え
てなる伝動用ベルトを前提とする。そして、上記接着ゴ
ム層、オーバーコード層、アンダーコード層又は底ゴム
層のうちの少なくとも1つを、製造工程の未加硫の状態
で、ベルトのゴム廃棄物から形成された粉体ゴムが混入
されたゴム組成物により構成し、該粉体ゴムの混合割合
としては、上記混入対象の層が、天然ゴム、スチレンブ
タジエンゴム、ブタジエンゴム、高飽和ニトリルゴム、
クロロスルホン化ポリエチレンゴム又はアルキル化クロ
ロスルホン化ポリエチレンゴムのうちのいずれかにより
構成されている場合は、重量比で30%以下とし、ま
た、上記混入対象の層がクロロプレンゴムにより構成さ
れている場合は、重量比で25%以下とする構成とす
る。
【0013】この構成によれば、請求項1記載の発明と
同様、材料費やベルト製造コストの低減を図ることがで
き、しかも、環境保全にも有用である。また、上記請求
項1記載の発明と同様に製造工程での作業の容易性を確
保でき、さらに、加硫後のゴムの表面の荒れや屈曲性の
悪化等を抑制することができる
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0015】(実施形態1) 図1は、本発明の実施形態1に係る伝動用ベルトとして
のラップドタイプのVベルトWBを示す。このVベルト
WBは基本構造が周知のもので、ベルト長さ方向に延び
るケーブルコード(心線)1,1,…が埋設された接着
ゴム層2と、該接着ゴム層2の上面側(ベルト外面側)
及び底面側(ベルト内面側)にそれぞれ設けられたオー
バーコード層3及びアンダーコード層4と、該アンダー
コード層4の底面側に設けられた底ゴム層5とを備え、
外周は、ベルト長さ方向全体に亘って外被帆布6で覆わ
れている。
【0016】そして、本発明の特徴として、上記オーバ
ーコード層3、アンダーコード層4及び底ゴム層5は、
製造工程の未加硫の状態でリサイクルの粉体ゴム材料が
混入されたゴム組成物により構成されていて、該リサイ
クル材料に含まれる短繊維10,10,…は、略ベルト
幅方向に配向されている。
【0017】上記粉体ゴムは、例えばローエッジタイプ
のVベルトやVリブドベルトを研削した屑ゴム、又は、
使用済みの各種伝動用ベルトを予め細断した後、粗粉砕
したものを、さらに、粉砕機により細かく粉砕したもの
である。その際、粉体ゴムの粒子径が1.6mm以下
で、かつ、該粉体ゴムに含まれる短繊維10,10,…
の平均長さが4mm以下になるように細かく粉砕する。
このことで、上記粉体ゴムを練り込んだゴムシートは、
ピン穴や突起等のシート表面の荒れが抑制される。
【0018】このようにしてリサイクルされた粉体ゴム
は、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエン
ゴム、ブタジエンゴム、高飽和ニトリルゴム、クロロス
ルホン化ポリエチレンゴム(以下、CSMという)、ア
ルキル化クロロスルホン化ポリエチレンゴム(以下、A
CSMという)等のゴム組成物であり、また、短繊維1
0,10,…は、ベルトの一般的な構成部材である、
綿、テトロン、ナイロン、ビニロン又はアラミド等を含
むものである。
【0019】上記VベルトWBの製造工程においては、
上記粉体ゴムを新ゴムに混入して、ニーダーやバンバリ
ーミキサー等により混練りして一様に分散させる。その
際、粉体ゴムの混合割合は、混入される新ゴムの種類に
応じて、重量比で最大25〜30%とする。このこと
で、粉体ゴムの混入過多による分散性の悪化を防止する
ことができる。
【0020】そして、上記練りゴムをカレンダーによっ
て圧延加工することで、粉体ゴムに含まれている短繊維
10,10,…が圧延方向に略95%の配向率でもって
配向されたゴムシートが得られる。このゴムシートは、
上述の如く粉体ゴムの混合割合が所定以下に限定されて
いるため、表面の荒れや粘着性の悪化が抑制されてい
て、粉体ゴムが混入されていないゴムシートと同様に取
り扱うことができるので、製造工程での作業の容易性が
確保される。
【0021】続いて、上記ゴムシートを、その長手方向
(圧延方向)と直交する方向に切断し、切断片を上記ゴ
ムシートの幅方向(圧延方向と直交する方向)に繋ぎ合
わせて、短繊維が幅方向に配向されたゴムシートを得
る。このゴムシートを用いて、周知の方法により、短繊
維10,10,…がベルト幅方向に配向されたVベルト
WBが製造される。その際、上述の如くゴムシートにお
ける粉体ゴムの混合割合が所定以下に限定されているた
め、加硫成形時に新ゴムの流動性の低下を抑制すること
ができ、さらに、加硫後の屈曲性の悪化を抑制すること
ができる。
【0022】したがって、この実施形態では、Vベルト
WBのオーバーコード層3、アンダーコード層4及び底
ゴム層5を構成するゴム組成物に対し、ベルトのリサイ
クル材料である粉体ゴムを充填剤として混入したので、
その分だけ新ゴムの分量を減らして材料費を低減するこ
とができる。しかも、上記リサイクル材料を廃棄する場
合の経費を節約することができるので、コスト低減が図
られる上、資源の有効利用及び廃棄物の低減が可能にな
るので、環境保全にも有用である。
【0023】さらに、上記粉体ゴムに含まれる短繊維1
0,10,…がオーバーコード層3及びアンダーコード
層4において略ベルト幅方向に配向されているので、ベ
ルトの上下両側でベルト幅方向の弾性率を選択的に高め
ることができる。このことで、VベルトWBのベルト長
さ方向の屈曲性を確保しつつ、耐側圧性を高めることが
できる。ここで、粉体ゴムを、熱硬化性のあるクロロプ
レンゴム組成物とすれば、より高い補強性が期待でき
る。 (実施形態2) 図2は、本発明をローエッジタイプのVベルトRE1 ,
RE2 に適用した実施形態2を示す(尚、図1と同じ部
分については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略す
る)。このVベルトRE1 ,RE2 は、実施形態1のV
ベルトWBと同様に基本構造が周知のもので、同図
(a)に示すVベルトRE1 は、接着ゴム層2の上面側
(ベルト外面側)に上ゴム層(引張ゴム層)7が設けら
れ、該上ゴム層7の上面側に上帆布8が一体に接着され
ている一方、上記接着ゴム層2の底面側(ベルと内面
側)には底ゴム層(圧縮ゴム層)5が設けられていて、
上記上ゴム層7、接着ゴム層2及び底ゴム層5の側面は
露出した状態になっている。
【0024】また、同図(b)に示すVベルトRE2
は、上記VベルトRE1 と略同様に構成されていて、さ
らに、底ゴム層5の底面側に下帆布9,9,9が三重に
積層されて、耐久性及び静粛性の向上が図られたもので
ある。
【0025】そして、上記VベルトRE1 ,RE2 で
は、いずれも、底ゴム層5が、上記実施形態1と同様、
製造工程の未加硫の状態でリサイクルの粉体ゴムが混入
されたゴム組成物により構成されていて、上記粉体ゴム
に含まれる短繊維10,10,…は、略ベルト幅方向に
配向されている。
【0026】したがって、この実施形態においては、上
記実施形態1と同様の作用効果が得られ、コストの低減
が図られる上、環境保全にも有用である。また、プーリ
と直接接触する底ゴム層5の側面において、新練りゴム
の部分で伸びや圧縮が吸収される一方、粉体ゴムの部分
でプーリとの摩擦が受け持たれることから、該底ゴム層
5の耐摩耗性を向上させることができる。 (他の実施形態) なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではな
く、その他種々の実施形態を包含するものである。すな
わち、上記実施形態1及び2では、粉砕した屑ゴムに含
まれる繊維分を取り除かずに、そのまま新ゴムに混入す
るようにしているが、これに限らず、繊維分を分離した
ゴム分だけを混入するようにしてもよく、また、ベルト
の仕様に対応して、分離した繊維分だけを混入するよう
にしてもよい。
【0027】上記実施形態1及び2では、それぞれ伝動
用ベルトとしてラップドタイプのVベルトWB及びロー
エッジタイプのVベルトRE1 ,RE2 に本発明を適用
しているが、これに限らず、例えば、変速ベルト、Vリ
ブドベルト、平ベルト等、多種の伝動用ベルトに本発明
を適用することが可能である。
【0028】
【実施例】次に、上記実施形態1のラップドタイプのV
ベルトWBの具体的な実施例について説明する。
【0029】まず、新ゴムに混入するリサイクル材料と
して、ローエッジタイプのVベルト(図2参照)の研削
屑を準備し、予めギロチンカッターで15〜20cmに
切断した後、クラッカーロールで粗粉砕して2〜5cm
の屑ゴムとした。この屑ゴムは、主としてクロロプレン
ゴム組成物により構成されている。そして、この屑ゴム
を、粉砕機により2段階に別けて、すなわち、第1段階
ではスクリーンの穴径5.0mmφで、また、第2段階
では同じく1.0mmφで粉砕して、粉体ゴムを得た。
【0030】この粉体ゴムを送風機で送ってサイクロン
で分離すると、容易に繊維分とゴム分主体のものとに分
離することができ、繊維分として回収できる量は、全体
の20〜25%程度になる。この繊維分は、ベルト構成
部材の、綿、テトロン、ナイロン、アラミド等からな
り、特にケーブルコードの素材は、フィラメント状には
ならず、比較的長い下撚りの残ったままである。また、
ゴム分主体のものは、加硫ゴムのみではなく、繊維分を
包含するものである。
【0031】ここで、粉砕機のスクリーン穴径と粉体ゴ
ムの粒径及び繊維分の長さとの関係は、図3のグラフに
示すようになり、同図から、スクリーン穴径1.0mm
φで粉砕すれば、粉体ゴムの粒径は1.5mm以下にす
ることができ、また、繊維分の長さは3mm以下にする
ことができることが分かる。
【0032】上記粉体ゴムを混入したゴムシートの物性
を調べるために、粉体ゴム(ゴム分と繊維分とを分離し
ないもの)、繊維分を除いた分離ゴム分、及び分離繊維
分を、それぞれ混合割合を変更しながら、天然ゴム又は
スチレンブタジエンゴムの新ゴムに混合混練りして、未
加硫のゴムシートを製作し、さらに、該ゴムシートを加
硫して加硫ゴムシートを製作した。
【0033】上記未加硫のゴムシート及び加硫ゴムシー
トの物性を調べた結果は、表1に示すとおりである。
【0034】
【表1】
【0035】また、特に、未加硫のゴムシートにおける
粉体ゴムの混合割合と粘着性の悪化との相関関係を図4
に実線で示す。
【0036】すなわち、未加硫のゴムシートにおいて
は、粉体ゴムの混合割合が重量比で20%までのもので
は、ロール粘着性及びシート同士の粘着性が良好に維持
されて、ベルトの製造工程における作業の容易性が確保
されるが、混合割合が25%を越えると粘着性が次第に
低下して、混合割合が40%になると粘着性の不足によ
り作業が困難になる。したがって、図4に基づいて、製
造行程における作業性の確保という観点から、粉体ゴム
の混合割合は重量比で30%以下とする必要があると考
えられる。なお、上記未加硫のゴムシートにおいては、
ゴムの分散性は良好に保たれるが、シートの表面荒れや
ピン穴は発生している。
【0037】そして、加硫後のゴムシートにおいては、
混合割合が重量比で20%までのものでは、配向性、反
列理屈曲性、硬さ影響及び接着性のいずれについても問
題ないが、混合割合が40%になると反列理屈曲性が悪
化する。ここで、反列理屈曲性とは、短繊維の反列理方
向、即ち短繊維の配向方向(列理方向)に直交する方向
での屈曲性であり、該短繊維がベルト幅方向に配向され
ている場合には、伝動用ベルトの屈曲耐久性に直接的に
反映されるものである。
【0038】以上から、天然ゴム又はスチレンブタジエ
ンゴム組成物に対する粉体ゴムの混合割合は、重量比で
最大30%までとすることが好適であると考えられる。
【0039】なお、粉体ゴムに代えて分離ゴム分を混合
混練りしたものでは、未加硫ゴムシートにおける粘着性
の低下が大きくなり、また、加硫後のゴムシートにおい
て、配向性が低下するとともに、反列理屈曲性と硬さ影
響にやや悪化が見られる。さらに、粉体ゴムに代えて分
離繊維分を混合混練りしたものでは、未加硫ゴムシート
におけるシート同士の粘着性がやや低下するものの、全
体として、粉体ゴムを混合した場合と同様の物性が得ら
れる。
【0040】上述の結果に基づき、粉体ゴムを天然ゴム
又はスチレンブタジエンゴムの新ゴムに対し、重量比で
20%の混合割合で混合混練りした練りゴムを用いて、
ラップドタイプのVベルト(図1参照)を試作した。そ
の際、オーバーコード層における粉体ゴム中の短繊維の
配向方向を90度変更して、試作仕様1及び試作仕様2
とした。そして、比較のため、粉体ゴムを用いない現行
のものと共に、標準屈曲耐久試験及びリバース耐久試験
により台上評価を行った。上記試作ベルト及び現行のベ
ルトの各仕様を表2に、また、それらの試験結果を表3
に、それぞれ示す。
【0041】
【表2】
【0042】すなわち、表2に示すように、試作仕様1
及び2では、両方共に、粉体ゴムを20%混合混練りし
た0.8mm厚のゴムシートを積層してオーバーコード
層及びアンダーコード層を構成している。その際、試作
仕様2では、オーバーコード層及びアンダーコード層共
に反列理として、短繊維の配向方向がベルト幅方向にな
るようにする一方、試作仕様1では、オーバーコード層
で、短繊維の配向方向がベルト長手方向になるように
(列理)している。なお、現行仕様には,オーバーコー
ド層及びアンダーコード層は設けていない。
【0043】
【表3】
【0044】そして、表3に示すように、上記各試験片
を用いた屈曲耐久試験の結果は、試作仕様1及び2の両
方共、現行仕様に比べて耐久性が大きく向上しており、
特に試作仕様2で著しい。これは、アンダーコード層4
及び底ゴム層5において、粉体ゴムに含まれる短繊維が
ベルト幅方向に配向されているので、ベルトの長手方向
の屈曲性を確保しつつ、耐側圧性が向上しているためと
考えられる。
【0045】また、リバース耐久試験の結果は、試作仕
様1では現行レベルであるが、試作仕様2では格段に向
上している。
【0046】ここで、標準屈曲耐久試験は、図5に示す
ように、同径の駆動プーリP1 及び従動プーリP2 の間
にVベルトWBを巻き掛け、図に矢印で示す方向に所定
のデッドウエイトをかけながら室温の雰囲気中で所定の
一定回転数で回転させるようにした。また、リバース耐
久試験は、図6に示すように、同径の駆動プーリP1及
び従動プーリP2 の間に巻き掛けたVベルトWBに、ア
イドラプーリP3 によりベルト外周側から所定の荷重を
加えてリバースベンドさせた状態で、室温の雰囲気中で
所定の一定回転数で回転させるようにした。
【0047】次に、実施形態2のローエッジタイプのV
ベルトRE1 ,RE2 の実施例について説明する。
【0048】まず、クロロプレンゴムの新ゴムに対し、
上述の如くリサイクルした粉体ゴム(ゴム分と繊維分と
を分離しないもの)を混合割合を変更しながら混合混練
りして、未加硫のゴムシート及び該ゴムシートを加硫し
た加硫ゴムシートを製作した。これらの未加硫及び加硫
ゴムシートの物性を調べた結果を表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】また、特に、未加硫のゴムシートにおける
粉体ゴムの混合割合と粘着性の悪化との相関関係を図4
に一点鎖線で示す。
【0051】すなわち、未加硫のゴムシートにおいて
は、粉体ゴムの混合割合が重量比で15%までのもので
は、ロール粘着性及びシート同士の粘着性が損なわれ
ず、ベルトの製造工程における作業の容易性が確保され
るが、混合割合が20%になると粘着性が次第に不足し
始め、混合割合が30%になると粘着性の不足により作
業が困難になる。したがって、図4に基づいて、製造行
程における作業性の確保という観点から、粉体ゴムの混
合割合は重量比で25%以下とする必要があると考えら
れる。なお、上記未加硫のゴムシートにおいても、ゴム
の分散性は良好に保たれるが、シートの表面は混合割合
が20%以上になると荒れが生じ始める。
【0052】そして、加硫後のゴムシートにおいては、
混合割合が重量比で20%までのものでは、配向性、反
列理屈曲性及び接着性のいずれについても略問題ない
が、混合割合が20%を越えるとゴム硬度のばらつきが
大きくなり、さらに、混合割合が30%になると反列理
屈曲性が悪化し、また、ゴム硬度のばらつきが大きくひ
どくなる。
【0053】以上から、クロロプレンゴム組成物に対す
る粉体ゴムの混合割合は、重量比で最大25%までとす
ることが好適であると考えられる。
【0054】上述の結果に基づき、粉体ゴムをクロロプ
レンゴムの新ゴムに対し、重量比で15%及び20%の
混合割合でそれぞれ混合混練りして未加硫のゴムシート
を2通り製作した。そして、この2通りのゴムシートを
用いて、図2の(a)、(b)に示す2つの仕様(RE
1 ,RE2 )のVベルトをそれぞれ2通りづつ試作し、
これらに加え、比較のため粉体ゴムを混入しない現行の
ものを用いて、高温高速耐久試験及び屈曲耐久試験を行
った。ここで、高温高速耐久試験は、図7に示すよう
に、同径の駆動プーリP1 及び従動プーリP2 の間に巻
き掛けたVベルトREに、アイドラプーリP3 によりベ
ルト内周側から所定の荷重を加えながら、高温雰囲気中
で高速回転させるようにした。また、屈曲耐久試験は、
図8に示すように、上側の駆動プーリP1 及び下側の従
動プーリP2 の間にVベルトREを巻き掛け、該従動プ
ーリP2 に下向きのデッドウエイトを加えながら室温の
雰囲気中で行った。これらの各試験結果を表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】すなわち、まず、(a)の仕様において、
高温高速耐久試験の結果は、15%混合したものも20
%混合したものも、現行のものと略同等の耐久性を示し
た。一方、屈曲耐久試験の結果は、15%混合したもの
では現行のものと略同等であるが、20%混合したもの
では、耐久性が顕著に向上している。
【0057】また、(b)の仕様において、高温高速耐
久試験及び屈曲耐久試験の両方共に、15%混合したも
のでは現行のものと略同等の耐久性を示す一方、20%
混合したものでは耐久性がやや低下している。
【0058】次に、上記ローエッジタイプVベルトの
(a)の仕様で、粉体ゴムの混合割合が20%のものと
粉体ゴムを混合しない現行のものとを用いて、図9に示
すような耐摩耗試験を行った。すなわち、同径の駆動プ
ーリP1 及び従動プーリP2 の間に巻き掛けたVベルト
RE1 に、アイドラプーリP3 によりベルト内周側から
所定の荷重を加えるとともに、上記従動プーリP2 でV
ベルトRE1 を強制的に所定のスリップ率で滑らせなが
ら、室温の雰囲気中で一定回転数で回転させるようにし
た。
【0059】そして、24時間経過後の摩耗割合を調べ
た結果、粉体ゴムを混入しない現行のもので2.05%
の摩耗率であったものが、粉体ゴムを混入したもので
は、1.60%の摩耗率になり、耐摩耗性が向上してい
ることが分かった。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1又は請求
項2に記載の発明における伝動用ベルトによれば、ベル
ト素材の新ゴムに粉体ゴムを充填剤として混入したの
で、材料費を低減することができる。しかも、ベルトの
ゴム廃棄物をリサイクル利用することで、環境保全にも
配慮しつつ、ベルト製造コストの低減が図られる。ま
た、粉体ゴムの混合割合を所定割合以下に限定すること
で、製造工程での作業の容易性を確保することができ、
さらに、加硫ゴムの表面の荒れや屈曲性の悪化等を抑制
することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るラップドタイプのV
ベルトの構成を示す断面図である。
【図2】実施形態2に係るローエッジタイプのVベルト
の構成を示す図1相当図である。
【図3】粉砕機のスクリーン穴径と粉体ゴムの粒径及び
繊維分の長さとの関係を示すグラフ図である。
【図4】粉体ゴムの混合割合と未加硫ゴムシートの粘着
性との相関関係を示すグラフ図である。
【図5】標準屈曲耐久試験装置の概略構成図である。
【図6】リバース耐久試験装置の概略構成図である。
【図7】高温高速耐久試験装置の概略構成図である。
【図8】屈曲耐久試験装置の概略構成図である。
【図9】耐摩耗試験装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 ケーブルコード(心線) 2 接着ゴム層 3 オーバーコード層 4 アンダーコード層 5 底ゴム層(圧縮ゴム層) 6 外被帆布 10 短繊維 P1 駆動プーリ P2 従動プーリ P3 アイドラプーリ WB,RE1 ,RE2 Vベルト(伝動用ベ
ルト)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16G 1/00 - 17/00 B29D 29/10 B29K 21/00 B29K 105:12 B29K 105:26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト長さ方向に延びる心線が埋設され
    た接着ゴム層と、該接着ゴム層のベルト外面側及びベル
    ト内面側にそれぞれ設けられた引張ゴム層及び圧縮ゴム
    層とを備えてなる伝動用ベルトにおいて、 上記接着ゴム層、引張ゴム層又は圧縮ゴム層のうちの少
    なくとも1つは、ベルト製造工程の未加硫の状態で、ベ
    ルトのゴム廃棄物から形成された粉体ゴムが混入された
    ゴム組成物により構成されており、 上記粉体ゴムの混合割合は、 混入対象の層が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、
    ブタジエンゴム、高飽和ニトリルゴム、クロロスルホン
    化ポリエチレンゴム又はアルキル化クロロスルホン化ポ
    リエチレンゴムのうちのいずれかにより構成されている
    場合は、重量比で30%以下とされており、 上記混入対象の層がクロロプレンゴムにより構成されて
    いる場合は、重量比で25%以下とされていることを特
    徴とする伝動用ベルト。
  2. 【請求項2】 ベルト長さ方向に延びる心線が埋設され
    た接着ゴム層と、該接着ゴム層のベルト外面側及びベル
    ト内面側にそれぞれ設けられたオーバーコード層及びア
    ンダーコード層と、該アンダーコード層のベルト内面側
    に設けられた底ゴム層とを備えてなる伝動用ベルトにお
    いて、 上記接着ゴム層、オーバーコード層、アンダーコード層
    及び底ゴム層のうちの少なくとも1つは、ベルト製造工
    程の未加硫の状態で、ベルトのゴム廃棄物から形成され
    た粉体ゴムが混入されたゴム組成物により構成されてお
    り、 上記粉体ゴムの混合割合は、 混入対象の層が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、
    ブタジエンゴム、高飽和ニトリルゴム、クロロスルホン
    化ポリエチレンゴム又はアルキル化クロロスルホン化ポ
    リエチレンゴムのうちのいずれかにより構成されている
    場合は、重量比で30%以下とされており、 上記混入対象の層がクロロプレンゴムにより構成されて
    いる場合は、重量比で25%以下とされていることを特
    徴とする伝動用ベルト
JP30530797A 1997-11-07 1997-11-07 伝動用ベルト Expired - Fee Related JP3212928B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30530797A JP3212928B2 (ja) 1997-11-07 1997-11-07 伝動用ベルト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30530797A JP3212928B2 (ja) 1997-11-07 1997-11-07 伝動用ベルト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11141621A JPH11141621A (ja) 1999-05-25
JP3212928B2 true JP3212928B2 (ja) 2001-09-25

Family

ID=17943534

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30530797A Expired - Fee Related JP3212928B2 (ja) 1997-11-07 1997-11-07 伝動用ベルト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3212928B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004347108A (ja) * 2003-04-28 2004-12-09 Mitsuboshi Belting Ltd ローエッジvベルト
JP2007177195A (ja) * 2005-03-16 2007-07-12 Mitsuboshi Belting Ltd ゴム組成物およびこれを用いた動力伝動用ベルト
KR20120022752A (ko) * 2009-03-26 2012-03-12 반도 카가쿠 가부시키가이샤 평 벨트
CN104441716B (zh) * 2014-11-07 2017-01-25 台州市百花胶带有限公司 三角带的高效生产工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11141621A (ja) 1999-05-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2558070Y2 (ja) Vリブドベルト
JP5367006B2 (ja) 摩擦伝動ベルト
US7244207B2 (en) Frictional forced power transmission belt and belt drive system with the same
US5417619A (en) Canvas-rubber complex, V-ribbed belt using it and method of producing V-ribbed belt
JP5586282B2 (ja) 摩擦伝動ベルト及びその製造方法、並びにそれを用いたベルト伝動装置
JPWO2011074182A1 (ja) 摩擦伝動ベルト
JP4424747B2 (ja) ベルト伝動装置
KR20150035977A (ko) 전동 벨트 및 그 제조방법
KR20050022337A (ko) 마찰전동벨트 및 그 제조방법
WO2017033392A1 (ja) 摩擦伝動ベルト
JP3212928B2 (ja) 伝動用ベルト
JPH0511402Y2 (ja)
EP0169739B1 (en) Power transmission belt
JP4834331B2 (ja) 摩擦伝動ベルト及びそれを用いたベルト伝動装置
JPH0643518B2 (ja) 伝動ベルト
JPH1038033A (ja) 伝動ベルト用帆布及びそれを使用した伝動ベルト
JPH10103413A (ja) 伝動用ベルト
JP4757041B2 (ja) Vリブドベルト
KR20220110095A (ko) 마찰 전동 벨트
CN107383632A (zh) 具有横向纤维束的免维护三角带的生产工艺
JP2005337495A (ja) 動力伝達ベルト及びその製造方法
JPH10184812A (ja) Vリブドベルト
JP6082853B1 (ja) 摩擦伝動ベルト
JP2002039291A (ja) Vリブドベルト駆動装置
JP2001279024A (ja) 補強用短繊維含有ゴム組成物及びこれを用いた伝動ベルト

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20010703

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100719

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100719

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110719

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120719

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130719

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees