JP3209662U - 潤滑構造およびこれを備える変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】差動装置のケースの回転抵抗をより一層低減する潤滑構造を提供する。【解決手段】デフケース36の外周面の大半を覆うカバー部材20をハウジング部8aのデフ収容部18bに対して相対回転不能に固定する。これにより、デフケース36の大半をカバー部材20によって変速機ケース8内と隔離することができるため、デフケース36の回転に伴って変速機ケース8内の潤滑油がデフケース36に連れまわることに起因する回転抵抗の発生を良好に抑制し得る。なお、カバー部材20の外周面に形成した開口23aを介してカバー部材20の内側に潤滑油を導入し得るため、差動装置6の潤滑不良を生じることもない。さらに、カバー部材20の内側に潤滑油を一時的に保持できるため、変速機ケース8内の潤滑油の油面を一時的に低下せしめることができる。これにより、差動装置6のデフケース36の回転に伴う潤滑油掻き上げに起因した回転抵抗を一層低減することができる。【選択図】図2

Description

本考案は、左右の車軸に生ずる速度差を吸収しつつ原動機からの動力を前記左右の車軸に分配して伝達する差動装置のケースが変速機ケースに対して回転可能に支持され、差動装置のケースの回転に伴って変速機ケースに貯留された潤滑油が掻き上げられることによって変速機各部の潤滑を行うように構成された潤滑構造およびこれを備える変速機に関する。
実開平5−42811号公報(特許文献1)には、ディファレンシャルケースの外周を覆うように略円錐形状のカバー部材が当該ディファレンシャルケースに固定されたディファレンシャル装置が開示されている。なお、カバー部材には、一箇所開口が形成されている。
上述した公報に記載のディファレンシャル装置では、複雑な表面形状を有するディファレンシャルケースの外周が略円錐形状のカバー部材によって覆われる構成であるため、ディファレンシャルケースの回転に伴う潤滑油の撹拌抵抗が低減され得る。また、ディファレンシャルケースと共にカバー部材が回転することによって、当該カバー部材の開口からディファレンシャルケース内に潤滑油を供給することができるため、カバー部材を設けたことによる潤滑不良を抑制できる。
実開平5−42811号公報
しかしながら、上述した公報に記載のディファレンシャル装置では、カバー部材がディファレンシャルケースと共に回転する構成であるため、カバー部材による潤滑油の撹拌抵抗が生じ、撹拌抵抗による回転抵抗低減という点において、なお改良の余地がある。
本考案は、上記に鑑みてなされたものであり、差動装置のケースの回転抵抗のより一層の低減に資する技術を提供することを目的とする。
本考案の潤滑構造およびこれを備える変速機は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本考案に係る潤滑構造の好ましい形態によれば、左右の車軸に生ずる速度差を吸収しつつ原動機からの動力を前記左右の車軸に分配して伝達する差動装置のケースが変速機ケースに対して回転可能に支持され、差動装置のケースの回転に伴って変速機ケースに貯留された潤滑油が掻き上げられることによって変速機各部の潤滑を行うように構成されている。当該潤滑構造では、差動装置のケースの外周形状に倣う内周面を有し、当該差動装置のケースの外周面を周方向に沿って覆うように構成されると共に変速機ケースに固定されるように構成されたカバー部材を備えている。そして、当該カバー部材には、当該該カバー部材の内外を貫通する開口が形成されている。
ここで、本考案における「差動装置のケースの外周形状に倣う」とは、カバー部材の内周面が差動装置のケースの外周形状と全く同じ形状を有する態様のみならず、カバー部材の内周面と差動装置のケースの外周形状とが概ね同じ形状を有する態様を好適に包含する。また、本考案における「外周面を覆う」とは、典型的には、カバー部材によって差動装置のケースの周方向全周を覆う態様がこれに該当するが、差動装置のケースの周方向のうち差動装置のケースが変速機ケース内の潤滑油に浸漬する部分のみを覆う態様を好適に包含する。また、車軸の軸線方向に沿う方向に関しては、当該車軸の軸線方向に沿う方向の全域に亘ってカバー部材が差動装置のケースを覆う態様の他、当該車軸の軸線方向に沿う方向の一部、特に、差動装置のケースの外周面のうち変速機ケース内の潤滑油を掻き上げる際に大きな抵抗を生じる可能性がある形状に形成された部分のみをカバー部材で覆う態様を好適に包含する。
本考案によれば、変速機ケースに固定されたカバー部材によって差動装置のケースの少なくとも一部が変速機ケースの内部から隔離される構成であるため、差動装置のケースの回転に伴って変速機ケース内の潤滑油が掻き上げられることを抑制できる。これにより、差動装置のケースの回転に伴う潤滑油掻き上げに起因した回転抵抗を低減することができる。また、差動装置のケースの回転に伴ってカバー部材と差動装置のケースとの間に構成される空間が負圧となり、変速機ケース内の潤滑油がカバー部材の開口を介して当該空間および差動装置のケース内に導入されるため、差動装置の潤滑不良を生じることもない。さらに、当該空間および差動装置のケース内に潤滑油が導入されることによって、変速機ケース内の潤滑油の油面を一時的に低下せしめることができるため、差動装置のケースの回転に伴う潤滑油掻き上げに起因した回転抵抗を一層低減することができる。
本考案に係る潤滑構造の更なる形態によれば、差動装置のケースは、当該差動装置のケースと一体回転するリングギヤを有していると共に、左右の車軸の軸線方向の両端部が軸受を介して変速機ケースに支持されている。カバー部材は、一方の軸受の近傍からリングギヤの近傍に亘って差動装置のケースを覆うように延在している。また、カバー部材の延在方向の両端部には、差動装置のケースの外周面と当接するように構成されたシール部材が設けられている。そして、カバー部材と差動装置のケースとの間に構成される空間が、カバー部材の両端部においてシール部材によって密閉されるように構成されている。
本形態によれば、カバー部材と差動装置のケースとの間に構成される空間に導入された潤滑油が漏出することを抑制できるため、変速機ケース内の潤滑油の油面を効果的に低下せしめることができる。これにより、差動装置のケースの回転に伴う潤滑油掻き上げに起因した回転抵抗をより一層低減することができる。
本考案に係る潤滑構造の更なる形態によれば、カバー部材のうち軸受に対向する側の端部には、空間と軸受が配置された側の第2空間とを連通する連通孔が形成されている。
本形態によれば、カバー部材と差動装置のケースとの間に構成される空間に導入された潤滑油を連通孔を介して軸受に供給することができる。これにより、軸受の潤滑性能を向上することができる。
本考案に係る潤滑構造の更なる形態によれば、カバー部材は、差動装置のカバーの回転に起因して開口を介して空間内に導入される潤滑油を連通孔に向けて誘導可能な誘導部を有している。
本考案によれば、カバー部材と差動装置のケースとの間に構成される空間に導入された潤滑油を良好に連通孔に向けて誘導することができるため、軸受に向けて供給される潤滑油量を増加することができる。これにより、軸受の潤滑性能を一層向上することができる。
カバー部材が誘導部を備える態様の本考案に係る潤滑構造の更なる形態によれば、誘導部は、カバー部材の内周面に形成された螺旋溝であるとすることもできる。
本考案によれば、カバー部材と差動装置のケースとの間に構成される空間に導入された潤滑油を連通孔に向けて誘導する構成を簡易に確保することができる。
本考案に係る潤滑構造の更なる形態によれば、開口は、差動装置のケースの回転方向のうち第1回転方向に対向する方向を向くように形成されている。ここで、本発明における「第1回転方向」とは、典型的には、差動装置を備える変速機が搭載された車両が前進走行する際に差動装置のケースが回転する方向がこれに該当する。
本考案によれば、差動装置のケースが第1方向に回転することに伴ってカバー部材と差動装置のケースとの間に構成される空間が負圧となった際に、差動装置のケースの回転方向に沿って開口から潤滑油が導入されるため、潤滑油の空間への導入を円滑に行うことができる。これにより、変速機ケース内の潤滑油の油面低下を迅速に行うことができる。
本考案に係る潤滑構造の更なる形態によれば、開口は、カバー部材の一部が切り起された切起部に設けられているものとすることもできる。
本考案によれば、開口を簡易に確保することができる。
本考案に係る変速機の好ましい形態によれば、原動機の出力を所望の回転数およびトルクに変換して左右の車軸に伝達するように構成されている。当該変速機では、原動機に機械的に接続される入力軸と、当該入力軸に平行に配置された出力軸と、入力軸および出力軸を接続可能なギヤ機構と、潤滑油を貯留可能に構成された変速機ケースと、軸受を介して変速機ケースに対して回転可能に支持され、左右の車軸に生ずる速度差を吸収しつつ出力軸に伝達された動力を左右の車軸に分配して伝達する差動装置と、上述したいずれかの態様の本考案に係る潤滑構造と、を備えている。そして、差動装置の回転に伴って変速機ケースに貯留された潤滑油が掻き上げられることによって変速機の各部が潤滑されるように構成されている。
本考案によれば、上述したいずれかの態様の本発明に係る潤滑構造を備える構成であるため、本考案の潤滑構造が奏する効果と同様の効果、例えば、差動装置のケースの回転に伴う潤滑油掻き上げに起因した回転抵抗を一層低減することができる効果や、差動装置の潤滑不良を防止できる効果などを奏することができる。
本考案によれば、差動装置のケースの回転抵抗をより一層低減することができる。
本考案の実施の形態に係る変速機1の構成の概略を示す概略構成図である。 本考案の実施の形態に係る変速機1の潤滑構造の要部を拡大して示す拡大説明図である。 ハウジング部8aのデフ収容部18bの概略を示す説明図である。 カバー部材20の外観を示す斜視図である。 上方から見たカバー部材20の一部を断面で示す一部断面平面図である。 小径側フランジ部24b側から見たカバー部材20の一部を断面で示す一部断面正面図である。 図2のA−A断面を示す断面図である。 デフケース36が回転した際の潤滑油の流れの様子を示す説明図である。
次に、本考案を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
本考案の実施の形態に係る変速機1は、図1に示すように、クラッチCLを介してエンジン90のクランクシャフト92に接続される入力軸2と、入力軸2に平行に配置された出力軸4と、入力軸2の回転を出力軸4に変速を伴って伝達するギヤ機構GMと、ギヤ機構GMを操作するための複数のシフトフォークFと、出力軸4の回転を出力ギヤGOを介して左右の車軸WSに伝達する差動装置6と、これらを収容可能に構成された変速機ケース8と、を備えている。エンジン90は、本考案における「原動機」に対応する実施構成の一例である。
変速機1は、本実施の形態では、エンジン90が横置き(クランク軸の軸線が車両の左右方向)に配置される所謂フロントエンジン・フロントドライブ(FF)式の車両に搭載されるFF車用の変速機として構成するものとした。
ギヤ機構GMは、図1に示すように、入力軸2に固定的に配置された駆動歯車G1,G2,G3,G4と、入力軸2に回転自在に配置された駆動歯車G5と、出力軸4に回転自在に配置されると共に駆動歯車G1,G2,G3,G4に噛合うように構成された被駆動歯車G1’,G2’,G3’,G4’と、出力軸4に固定的に配置されると共に駆動歯車G5に噛合うように構成された被駆動歯車G5’と、シンクロ装置S1,S2,S3と、を備えている。
駆動歯車G1,G2,G3,G4,G5は、それぞれ1速用駆動歯車,2速用駆動歯車,3速用駆動歯車、4速用駆動歯車および5速用駆動歯車を構成しており、被駆動歯車G1’,G2’,G3’,G4’,G5’は、それぞれ1速用被駆動歯車,2速用被駆動歯車,3速用被駆動歯車、4速用被駆動歯車および5速用被駆動歯車を構成している。
図1に示すように、シンクロ装置S1は1速用被駆動歯車G1’と2速用被駆動歯車G2’との間に配置されており、シンクロ装置S2は3速用被駆動歯車G3’と4速用被駆動歯車G4’との間に配置されており、シンクロ装置S3は5速用駆動歯車G5の側方に配置されている。シンクロ装置S1,S2,S3は、図示しないシンクロハブと、カップリングスリーブ(図示せず)と、ボークリング(図示せず)と、クラッチギヤ(図示せず)と、を備えている。
また、シンクロ装置S1,S2,S3のカップリングスリーブ(図示せず)には、シフトフォークFが係合されており、シフトフォークFによってカップリングスリーブ(図示せず)が入力軸2や出力軸4の軸線方向に移動されるように構成されている。これにより、遊転歯車として構成された1速,2速,3速および4速用被駆動歯車G1’,G2’,G3’,G4’や5速用駆動歯車G5が、その回転数を出力軸4や入力軸2の回転数に同期されながら出力軸4や入力軸2に選択的に固定される。
差動装置6は、図2に示すように、左右の車軸WSと一体回転可能に当該左右の車軸WSそれぞれに接続される一対のサイドギヤ32,32と、当該一対のサイドギヤ32,32と噛合う一対のデフピニオンギヤ34,34と、これらを収容するデフケース36と、当該デフケースに一体にされたリングギヤ38と、を備えており、出力軸4に伝達されたエンジン90からの動力を左右の車輪に生ずる速度差(回転数差)を吸収しつつ当該左右の車輪に分配して伝達するように構成されている。一対のデフピニオンギヤ34,34は、デフピニオンシャフト35を介してデフケース36に回転可能に支持されている。
デフケース36は、図2に示すように、左右の車軸WSが挿通される挿通孔37aが形成された一対の車軸挿通部37,37を備えている。当該一対の車軸挿通部37,37には、デフサイドベアリングDBが装着され、これにより、デフケース36(差動装置6)はデフサイドベアリングDBを介して変速機ケース8に回転可能に支持される。デフケース36は、本発明における「差動装置のケース」に対応し、デフサイドベアリングDBは、本発明における「軸受」に対応する実施構成の一例である。
変速機ケース8は、図1に示すように、ハウジング部8aと、当該ハウジング部8aに締結されるケース本体部8bと、を備えている。ハウジング部8aは、クラッチCLを収容するためのクラッチ収容部18aと、差動装置6を収容するためのデフ収容部18bと、を備えている。デフ収容部18bの内周面には、図3に示すように、一条の凹溝19が形成されている。
デフ収容部18bの内周面には、図2に示すように、カバー部材20が取り付けられる。カバー部材20は、図4に示すように、略円錐台形筒状に構成されている。より具体的には、カバー部材20は、図4および図5に示すように、円錐台形筒状部22と、当該円錐台形筒状部22の長手方向の両端部に一体にされた大径側フランジ部24aおよび小径側フランジ部24bと、円錐台形筒状部22の外周面に一体にされた一条の突起部26と、から構成されている。
円錐台形筒状部22は、カバー部材20の主要部として構成されており、円錐台形筒状部22の外周面には、図4に示すように、当該該周面の一部を切り起こすことにより形成された切起部23が設けられている。当該切起部23は、円錐台形筒状部22の外周面の周方向の一方側(本実施の形態に係る変速機1を搭載した車両が前進走行する際に差動装置6が回転する方向に対向する方向(図4の二点鎖線矢印)に沿う方向)を向く開口23aを有している。開口23aは、当該開口23aが向く方向側から見た場合に、略半円形状に形成されている。
また、円錐台形筒状部22の内周面は、差動装置6の外周面、特に、デフケース36の外周面の形状に倣う形状となるように構成されており、当該円錐台形筒状部22の内周面には、図4ないし図6に示すように、螺旋溝22aが形成されている。なお、当該螺旋溝22aのねじれ方向は、カバー部材20の内側に配置される差動装置6が正回転(本実施の形態に係る変速機1を搭載した車両が前進走行する際に差動装置6が回転する方向)した際に、カバー部材20の内周面と差動装置6のデフケース36の外周面との間の空間(図8参照)に導入された潤滑油が差動装置6(デフケース36)の回転に連れまわり、当該連れまわった潤滑油が小径側フランジ部24b側に誘導されるような方向に形成されている。螺旋溝22aは、本発明における「誘導部」に対応する実施構成の一例である。また、カバー部材20の内周面と差動装置6のデフケース36の外周面との間の空間は、本発明における「空間」に対応する実施構成の一例である。
大径側フランジ部24aおよび小径側フランジ部24bは、図5に示すように、円錐台形筒状部22の長手方向の両端部を当該円錐台形筒状部22の中心軸70側に向けて当該中心軸70に垂直となる方向に折り曲げた形状をしている。大径側フランジ部24aおよび小径側フランジ部24bのそれぞれの先端部(中心軸70側端部)には、オイルシール80が取り付けられている。各オイルシール80の内径は、当該オイルシール80のリップ部がデフケース36の外周面に適切な押圧力をもって当接可能な大きさに設定されている。また、小径側フランジ部24bには、図6に示すように、周方向に均等に複数の貫通孔50が形成されている。オイルシール80は、本発明における「シール部材」に対応し、貫通孔50は、本発明における「挿通孔」に対応する実施構成の一例である。
こうして構成されたカバー部材20は、図7に示すように、一条の突起部26が変速機ケース8(ハウジング部8aのデフ収容部18b)の一条の凹溝19に嵌合されることによって、変速機ケース8(ハウジング部8aのデフ収容部18b)に対して相対回転が禁止された状態で固定される。
ケース本体部8bは、図1に示すように、入力軸2や出力軸4、ギヤ機構GMなどを収容するための主収容部18cを備えている。ハウジング部8aとケース本体部8bとが締結されることによって、入力軸2や出力軸4、ギヤ機構GM、差動装置6などが収容される収容空間が構成され、当該収容空間内に入力軸2や出力軸4を支持するベアリングやギヤ機構GM、差動装置6などの変速機1の各部を潤滑するための潤滑油が貯留される。
次に、こうして構成された変速機1の動作に伴って差動装置6(デフケース36)が回転する際の潤滑油の動きについて説明する。エンジン90からクラッチCLを介して入力軸2に入力された動力は、ギヤ機構GMを介して所望の変速段の変速比に相当する回転数およびトルクに変換されて出力軸4に伝達され、出力軸4に伝達された当該動力が出力ギヤGOおよびリングギヤ38を介して差動装置6に伝達される。
これにより、差動装置6は、出力ギヤGOおよびリングギヤ38により構成される減速比に相当する回転数で回転される。このとき、リングギヤ38の回転に伴って変速機ケース8内に貯留された潤滑油が掻き上げられ、入力軸2や出力軸4を支持するベアリングやギヤ機構GM、差動装置6などの変速機1の各部に供給される。
一方、デフケース36は、その大半がカバー部材20によって覆われており、変速機ケース8内の潤滑油に直接触れない構成、即ち、デフケース36の大半がカバー部材20によって変速機ケース8内と隔離された構成とされているため、デフケース36の回転に伴って変速機ケース8内の潤滑油がデフケース36に連れまわることに起因する回転抵抗の発生が良好に抑制され得る。
ここで、差動装置6(デフケース36)が回転することによって、デフケース36とカバー部材20との間の空間には負圧が発生するため、カバー部材20に設けた開口23aを介して変速機ケース8内の潤滑油がデフケース36とカバー部材20との間の空間に流入する。当該空間に流入した潤滑油によって差動装置6の各部、具体的には、一対のサイドギヤ32,32や一対のデフピニオンギヤ34,34、デフピニオンシャフト35などが潤滑される。これにより、差動装置6自体の潤滑不良の発生を防止できる。
また、デフケース36とカバー部材20との間の空間に流入した潤滑油は、差動装置6(デフケース36)の回転に連れ回り回転し、カバー部材20の円錐台形筒状部22の内周面に形成された螺旋溝22aによって小径側フランジ部24bに向けて誘導される。そして、小径側フランジ部24bまで誘導された潤滑油は、図8に示すように、複数の貫通孔50から流出してデフサイドベアリングDBに供給される。これにより、デフサイドベアリングDBの潤滑性能の向上を図ることができる。ここで、複数の貫通孔50から流出する潤滑油が供給されるデフサイドベアリングDBが配置された側の空間は、本発明における「第2空間」に対応する実施構成の一例である。
なお、デフケース36とカバー部材20との間の空間は、その延在方向(デフケース36の長手方向、図8の左右方向)の両端において、オイルシール80によって密閉されているため、カバー部材20の開口23aからデフケース36とカバー部材20との間の空間およびデフケース36内に流入した潤滑油の当該空間外およびデフケース36外への流出が抑制され得る。これにより、当該空間およびデフケース36内に潤滑油を一時的に保持することができるため、変速機ケース8内の潤滑油の油面を低下させることができる。この結果、リングギヤ38による潤滑油の掻き上げの際の撹拌抵抗の低減を図ることができる。
以上説明した本実施の形態に係る変速機1によれば、変速機ケース8に固定されたカバー部材20によってデフケース36の外周面の大半を覆う構成、即ち、デフケース36の大半をカバー部材20によって変速機ケース8内と隔離する構成であるため、デフケース36の回転に伴って変速機ケース8内の潤滑油がデフケース36に連れまわることに起因する回転抵抗の発生を良好に抑制し得る。なお、カバー部材20の外周面には開口23aが形成されているため、デフケース36の回転に伴ってカバー部材20とデフケース36との間に構成される空間が負圧となった際に、変速機ケース8内の潤滑油が当該開口23aを介して当該空間およびデフケース36内に導入されるため、差動装置6の潤滑不良を生じることもない。さらに、当該空間およびデフケース36内に潤滑油を一時的に保持できるため、変速機ケース8内の潤滑油の油面を一時的に低下せしめることができる。これにより、差動装置6(デフケース36)の回転に伴う潤滑油掻き上げに起因した回転抵抗を一層低減することができる。
本実施の形態では、カバー部材20に設けた一条の突起部26とハウジング部8aのデフ収容部18bの一状の凹溝19とを嵌合することによって、カバー部材20を変速機ケース8(ハウジング部8a)に対して相対回転不能に固定する構成としたが、これに限らない。例えば、カバー部材20を変速機ケース8(ハウジング部8a)に対してボルトなどの締結部材によって固定する構成としても良い。
本実施の形態では、カバー部材20の外周面に開口23aを一箇所設ける構成としたが、開口23aは複数設けても良い。
本実施の形態では、カバー部材20の円錐台形筒状部22の外周面の一部を切り起こすことによって開口23aを形成する構成としたが、これに限らない。例えば、円錐台形筒状部22の外周面に形成した開口を切起部23に相当する蓋部材で覆うことによって開口23aを構成しても良い。
本実施の形態では、開口23aは、円錐台形筒状部22の外周面の周方向の一方側(本実施の形態に係る変速機1を搭載した車両が前進走行する際に差動装置6が回転する方向に対向する方向(図4の二点鎖線矢印)に沿う方向)を向くように構成したが、これに限らない。例えば、開口23aが、円錐台形筒状部22の外周面の法線方向を向く構成や、円錐台形筒状部22の外周面の周方向の他方側(本実施の形態に係る変速機1を搭載した車両が後進走行する際に差動装置6が回転する方向に対向する方向(図4の二点鎖線矢印とは反対方向)に沿う方向)を向く構成としても良い。
本実施の形態では、デフケース36とカバー部材20との間の空間に流入した潤滑油を小径側フランジ部24bに形成した貫通孔50に向けて誘導するために、デフケース36の内周面に螺旋溝22aを設ける構成としたが、これに限らない。例えば、デフケース36の外周面に螺旋状の羽根部を設けることにより、デフケース36とカバー部材20との間の空間に流入した潤滑油を小径側フランジ部24bに形成した貫通孔50に向けて誘導する構成としても良い。
本実施の形態では、デフケース36の内周面に螺旋溝22aを設ける構成としたが、螺旋溝22aは設けなくても良い。
本実施の形態では、大径側フランジ部24aおよび小径側フランジ部24bのそれぞれの先端部(中心軸70側端部)にオイルシール80を取り付けることによって、デフケース36とカバー部材20との間の空間を密閉する構成としたが、当該空間を密閉できる構成であれば如何なる構成でも良い。
本実施の形態では、大径側フランジ部24aおよび小径側フランジ部24bのそれぞれの先端部(中心軸70側端部)にオイルシール80を取り付けることによって、デフケース36とカバー部材20との間の空間を密閉する構成としたが、当該空間を密閉できる構成であれば如何なる構成でも良い。
本実施の形態では、小径側フランジ部24bの周方向に均等に複数の貫通孔50を形成したが、貫通孔50は周方向に不均等に配置されていても良く、また、貫通孔50は1つであっても良い。
本実施の形態では、カバー部材20は、デフケース36の周方向全体を覆うべく略円錐台形筒状に構成したが、デフケース36が変速機ケース8内の潤滑油に直接触れない構成であれば良く、例えば、カバー部材20を略円錐台形筒状の上部の一部が切り欠かれた形状に構成し、デフケース36の周方向の一部(変速機ケース8内の潤滑油に浸漬する部分)を覆う構成としても良い。
本実施形態は、本考案を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本考案は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
1 変速機(変速機)
2 入力軸(入力軸)
4 出力軸(出力軸)
6 差動装置(差動装置)
8 変速機ケース(変速機ケース)
8a ハウジング部
8b ケース本体部
18a クラッチ収容部
18b デフ収容部
18c 主収容部
19 凹溝
20 カバー部材(カバー部材)
22 円錐台形筒状部
22a 螺旋溝(誘導部、螺旋溝)
23 切起部(切起部)
23a 開口(開口)
24a 大径側フランジ部
24b 小径側フランジ部
26 突起部
32 サイドギヤ
34 デフピニオンギヤ
35 デフピニオンシャフト
36 デフケース(差動装置のケース)
37 車軸挿通部
37a 挿通孔
38 リングギヤ(リングギヤ)
50 貫通孔(連通孔)
70 中心軸
80 オイルシール(シール部材)
90 エンジン(原動機)
92 クランクシャフト
CL クラッチ
F シフトフォーク
GM ギヤ機構(ギヤ機構)
GO 出力ギヤ
S1 シンクロ装置
S2 シンクロ装置
S3 シンクロ装置
WS 左右の車軸(左右の車軸)
G1 駆動歯車,1速用駆動歯車
G2 駆動歯車,2速用駆動歯車
G3 駆動歯車,3速用駆動歯車
G4 駆動歯車,4速用駆動歯車
G5 駆動歯車,5速用駆動歯車
G1’ 被駆動歯車,1速用被駆動歯車
G2’ 被駆動歯車,2速用被駆動歯車
G3’ 被駆動歯車,3速用被駆動歯車
G4’ 被駆動歯車,4速用被駆動歯車
G5’ 被駆動歯車,5速用被駆動歯車
DB デフサイドベアリング(軸受)

Claims (8)

  1. 左右の車軸に生ずる速度差を吸収しつつ原動機からの動力を前記左右の車軸に分配して伝達する差動装置のケースが変速機ケースに対して回転可能に支持され、前記差動装置のケースの回転に伴って前記変速機ケースに貯留された潤滑油が掻き上げられることによって変速機各部の潤滑を行うよう構成された潤滑構造であって、
    前記差動装置のケースの外周形状に倣う内周面を有し、該差動装置のケースの外周面を周方向に沿って覆うよう構成されると共に前記変速機ケースに固定されるよう構成されたカバー部材を備え、
    該カバー部材には、該カバー部材の内外を貫通する開口が形成されている
    潤滑構造。
  2. 前記差動装置のケースは、該差動装置のケースと一体回転するリングギヤを有していると共に、前記左右の車軸の軸線方向の両端部が軸受を介して前記変速機ケースに支持されており、
    前記カバー部材は、一方の前記軸受の近傍から前記リングギヤの近傍に亘って前記差動装置のケースを覆うよう延在しており、
    前記カバー部材の延在方向の両端部には、前記差動装置のケースの外周面と当接するよう構成されたシール部材が設けられており、
    前記カバー部材と前記差動装置のケースとの間に構成される空間が、前記両端部において前記シール部材によって密閉されるよう構成されている
    請求項1に記載の潤滑構造。
  3. 前記カバー部材のうち前記軸受に対向する側の端部には、前記空間と前記軸受が配置された側の第2空間とを連通する連通孔が形成されている
    請求項2に記載の潤滑構造。
  4. 前記カバー部材は、前記差動装置のカバーの回転に起因して前記開口を介して前記空間内に導入される潤滑油を前記連通孔に向けて誘導可能な誘導部を有している
    請求項3に記載の潤滑構造。
  5. 前記誘導部は、前記カバー部材の内周面に形成された螺旋溝である
    請求項4に記載の潤滑構造。
  6. 前記開口は、前記差動装置のケースの回転方向のうち第1回転方向に対向する方向を向くよう形成されている
    請求項1ないし5のいずれか1項に記載の潤滑構造。
  7. 前記開口は、前記カバー部材の一部が切り起された切起部に設けられている
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の潤滑構造。
  8. 原動機の出力を所望の回転数およびトルクに変換して左右の車軸に伝達するよう構成された変速機であって、
    前記原動機に機械的に接続される入力軸と、
    該入力軸に平行に配置された出力軸と、
    前記入力軸および前記出力軸を接続可能なギヤ機構と、
    潤滑油を貯留可能に構成された変速機ケースと、
    軸受を介して前記変速機ケースに対して回転可能に支持され、前記左右の車軸に生ずる速度差を吸収しつつ前記出力軸に伝達された動力を前記左右の車軸に分配して伝達する差動装置と、
    請求項1ないし7のいずれか1項に記載された潤滑構造と、
    を備え、
    前記差動装置の回転に伴って前記変速機ケースに貯留された潤滑油が掻き上げられることによって前記変速機の各部が潤滑されるよう構成されている
    変速機。
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