JP3205943B2 - Ti−希土類元素−N系超硬質化合物膜およびその形成方法 - Google Patents

Ti−希土類元素−N系超硬質化合物膜およびその形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Ti−希土類元素−N
系超硬質化合物膜およびその形成方法に関し、更に詳し
くは、金属産業や、機械・装置産業で使用する工具や、
各種装置に用いられる構成部品や、摺動材料表面上にコ
ーティング膜を形成し、材料表面の硬度、耐摩耗性、お
よび摺動特性の性能を改善したTi−希土類元素−N系
超硬質化合物膜および該膜をイオンミキシング法を用い
て形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の金属等の基板上に形成さ
れた硬質・耐摩耗性および摺動性コーティング膜として
は、PVD法、或いはCVD法により基板上に形成され
たTi−N、Ti−C等の化合物の薄膜が知られてい
る。
【0003】これらTi−N、Ti−C等の化合物の薄
膜はほとん同様の方法で形成されるが、前記方法のう
ち、PVD法コーティングの代表例として、従来より広
く行われているホローカソード放電(HCD)−イオン
プレーティング法による基板上へのTi−N膜の形成の
場合について説明すれば次のようになる。
【0004】先ず、PVD法に用いる装置について説明
する。図8はHCDイオンプレーティング装置を示すも
のであり、図中、aは真空成膜室を示し、該真空成膜室
a内は真空ポンプbに接続されている。また、cはコー
ティングに供される主として金属材料製の基板、dは金
属蒸発源ハース、eは蒸発させる金属材(ここではT
i)、fはホローカソード電子銃、gはホローカソード
電子銃fと金属蒸発源ハースdに電圧を印加する放電用
電源、hは電子ビーム、iはN2ガスを流すノズル、j
は一部イオン化されたN2ガス、kは基板cに電圧を印
加するバイアス電源を示す。
【0005】次に、前記図8に示す装置を用いて、基板
c上にTi−N系化合物の被膜mを被覆形成する方法に
ついて説明する。
【0006】先ず、真空成膜室a内を真空ポンプbで真
空排気した後、ホローカソード電子銃fに放電用Arガ
スを流しながら、ホローカソード電子銃fとハースdと
の間に数10〜数100Vの直流電圧を放電用電源gよ
り印加して両者間f,dに放電を行う。
【0007】そのとき、ホローカソード電子銃f内での
ホローカソード放電により生成する多量の電子ビームh
は金属蒸発源ハースd内の金属材e(Ti)に照射さ
れ、その電子衝撃による加熱により、金属材eのTiは
溶融され、Ti中性ビーム(Ti蒸気)を発生する。こ
のTi中性ビーム(Ti蒸気)は電子ビームhおよびホ
ローカソード放電により形成されるArイオンとの衝撃
により、その一部がイオン化されるようになる。その
際、基板cには数10Vの負の直流バイアス電圧がバイ
アス電源kによって印加されているので、イオン化され
たTiイオンビームは加速され、Ti中性ビーム(Ti
蒸気)と共に、基板cに入射して、基板cの表面にTi
膜を形成する。
【0008】基板c上にTi−N膜mを形成する場合
は、ノズルiよりN2ガスをTiイオンビームおよびT
i中性ビームの照射と同時に流すが、このN2ガスはT
i蒸気と同じようにその一部がイオン化され、基板cの
表面にN2中性ビームと共に入射し、そこで同時に入射
するTiイオンビームおよびTi中性ビームと反応し
て、Ti−N膜mを形成するようになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】PVD法、またはCV
D法により形成された基板c上の膜mの硬度としては、
ヴィッカース硬度(Hv)においてTi−N膜で約22
00、Ti−C膜で約3700となっている。また、形
成されたTi−N膜と基板の間、Ti−C膜と基板の間
の密着性を考えると、形成されたTi−N膜やTi−C
膜は基板の表面上に単に堆積するか、或いはバイアスに
よるイオン衝撃や熱拡散によって基板表面層と僅かなミ
キシングが行われているかである。そのため、Ti−N
膜やTi−C膜と基板との密着性は余りよくない。
【0010】図8に示す従来装置により基板c上にTi
−N膜mをコーティングを行った試料は図9(A)に示
す模式図のように基板c上にTi−N膜mが明確な界面
を境にして堆積している。そして、図9(A)示の試料
に対し、摩擦・摺動相手材を押し付けた際、基板c上の
Ti−N膜mが硬く、かつTi−N膜mの密着性が小さ
い場合は図9(B)に示すようにTi−N膜mの一部が
基板cの表面から剥離し、耐摩耗性、摺動性膜として機
能しない。図9(B)中、nは摩擦・摺動相手材を示
し、実際の使用時には相手材、膜の引っ掻き、或いは摩
擦・摩耗試験時の相手材(圧子)に相当するものであ
る。
【0011】このように、工具材または精密機器の摺動
部品等への耐摩耗性膜、および摺動性膜のコーティング
を考えた場合、コーティング膜層の硬質化、並びに膜の
剥離を抑える意味で、コーティング膜の基板への密着性
の改善により工具、部品の寿命、性能を向上させること
が必要となる。
【0012】本発明の目的は、従来用いられているコー
ティング材料のTi−N膜、Ti−C膜以上の硬度、摺
動特性を有するTi−希土類元素−N系超硬質化合物お
よび、基板上への密着性に優れたTi−希土類元素−N
系超硬質化合物膜の形成方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、化学結合論(改訂版)
[ポーリング著、小泉正夫訳、共立出版(株) 196
2年5月20日改定1刷発行]に記載されている原子半
径(一重結合半径)に着目した。
【0014】更に詳細に述べると、希土類元素はその原
子半径がTi等の遷移金属に比べて大きい、その値はT
i:1.32Åに対し例えばDy:1.60Å、Y:
1.62Åである。
【0015】Ti−N結晶マトリックス中のTiサイト
に希土類元素を置換させた場合は、半径の大きな原子の
存在による格子歪みによりTi−X−N(Xは固溶元
素、ここでは希土類元素)の硬度の増加が期待できる。
【0016】一方、添加元素が置換型の固溶をするかど
うかは一般に、経験的に与えられるヒューム・ロザリー
則[Hume-Rothery's Rule ]に従うとされている。
【0017】そして、縦軸に電気陰性度、横軸に原子半
径をとったTi−M系(Mは希土類元素、遷移金属元素
を表す)のダーケン・ガリープロット[Darken-Gurry's
polt ]を示す図(図中、Lnはランタノイド元素を示
す)、詳しくは、図1によると、Ti(Tiの原子半径
は1.32Å、電気陰性度は1.4である)を中心とす
る円がこのヒューム・ロザリー則による固溶範囲(Ti
との差が原子半径で±15%以内、電気陰性度で±0.
4%以内)であり、本発明でTi−Nに含ませる元素と
して挙げている希土類元素は電気陰性度においてほぼ範
囲内に入るものの、原子半径では+方向に範囲を超える
もの(約+20%)となっている。従ってこのような希
土類元素を含有するTi−X−N非平衡化合物(Xは希
土類元素を表す)となって、硬度の高いコーティング膜
を形成することが出来ることを知見した。
【0018】本発明のTi−希土類元素−N系超硬質化
合物膜およびその形成方法は、前記知見に基づいてなさ
れたものであり、Ti−希土類元素−N系超硬質化合物
膜は、基板上に形成されたTi−N系超硬質化合物から
成る薄膜において、前記硬質化合物の薄膜はTiおよび
Nから成る組成物中に希土類元素を0.5〜20原子%
含有した化合物の薄膜であることを特徴とする。
【0019】そして、TiおよびNから成る組成物中に
含有せる希土類元素量を0.5〜20原子%としたの
は、含有量が0.5原子%に満たない場合は固溶による
硬化が不十分なためであり、また含有量が20原子%を
超えた場合は得られる化合物膜の硬度が飽和してくるた
めである。
【0020】Ti−希土類元素−N系超硬質化合物膜の
形成方法は、金属蒸発源からの蒸気金属およびイオンビ
ーム源からの高速イオンビームを基板に照射して、該基
板上に超硬質化合物膜を形成させるイオンミキシング法
であって、超硬質化合物を構成するTi、Nおよび希土
類元素のうち1種または複数の元素をイオンビームと
し、残りの元素を金属蒸気、或いはこれら元素を含むガ
スのビームを該基板に複合照射して超硬質化合物膜を形
成することを特徴とする。
【0021】
【作用】希土類元素はTiに比して原子半径が大きいか
ら、TiおよびNから成る組成物中に希土類元素を新た
に含有させることにより合成される化合物の結晶格子に
歪みが生じて硬度が増加する。
【0022】イオンビームからの高速イオンビームを基
板に照射することにより、基板表面上の合金元素は高エ
ネルギーに励起された非平衡状態からクエンチングさ
れ、非平衡化合物が合成される。
【0023】また、Ti、N、希土類元素のうち1つ、
或いは複数の元素をイオンビームの形で基板上へ照射す
ることにより、Ti−希土類元素−N化合物膜と基板の
間の界面部分でTi、N、希土類元素および基板構成元
素がイオン照射衝撃により結合の切断、原子のノックオ
ン注入、熱的効果等のミキシング作用を受け、分解・再
結合を行い、基板と化合物膜の元素が互いに連続的に混
ざり合い、基板と化合物膜とを強固につなぐ界面ミキシ
ング層を形成する。この界面ミキシング層の存在により
基板と化合物膜の密着性は向上する。
【0024】
【実施例】以下添付図面に従って本発明の実施例につい
て説明する。
【0025】図2は本発明のTi−希土類元素−N系超
硬質化合物膜の形成を実施するための膜形成装置の1例
を示すもので、図中、1は真空成膜室であり、真空成膜
室1は真空ポンプ2に圧力調整バルブ3を介して接続さ
れている。また、4はコーティングを施す金属製、セラ
ミックス製の基板、5は基板4を保持する基板ホルダ
ー、6は金属蒸発源ハース、7はTi金属蒸気(中性ビ
ーム)、8はイオン源およびイオン加速器、9はイオン
ビーム、10はガス流量調整器、11はガス導入ノズ
ル、12はガスビーム、13は蒸発させるTi金属、1
4は基板加熱用ヒーターを示す。
【0026】次に、前記装置を用いて基板上にTi−希
土類元素−N系超硬質化合物膜の形成の具体的実施例を
比較例と共に説明する。
【0027】実施例1 本実施例では基板4を直径40mm×厚さ5mmの鋼材(J
IS−SUS−440C,H RC >60)とし、Tiお
よびNに含有する希土類元素をジスプロシウム(Dy)
とした。
【0028】先ず、真空成膜室1内の空気を真空ポンプ
2により排出して圧力を10- 5Paの高真空度に設定
した。そして真空成膜室1内にガス流量調整器10で流
量を2.0SCCMに調整したNH3ガスをガス導入ノズル
11よりガスビーム12として導入し、圧力調整バルブ
3の開度を調整して真空成膜室1内の圧力を4×10-
4Paに維持した。
【0029】基板加熱用ヒーター14で基板ホルダー5
に保持された鋼製の基板4を加熱して300℃に維持し
た。この状態で電子ビーム加熱により金属蒸発源ハース
6内のTi金属13を溶融、蒸発させ、Ti金属蒸気
(中性ビーム)7として基板4上に照射した。
【0030】それと同時にイオン源およびイオン加速器
8から引き出されたジスプロシウム(Dy)のイオンビ
ーム9を基板4上に照射した。尚、Ti金属13の基板
4表面への蒸着速度は2.0Å/秒とした。また、ジス
プロシウム(Dy)のイオンビームのエネルギーは30
keV、電流密度は5.6μA/cm2とした。
【0031】前記条件の操作を基板4上に形成されるT
i−Dy−N系超硬質化合物の薄膜15が1μmとなる
まで継続して行った(図7(A)参照)。
【0032】形成されたTi−Dy−N系超硬質化合物
膜の結晶構造をX線回析で調べたところTi−Nに近い
格子定数を有するTi−Nと同一の結晶系(NaCl
型)の多結晶であった。
【0033】また、Ti−Dy−N系超硬質化合物膜の
NaCl型結晶(200)面のX線回析角より求めた結
晶の格子定数の結果を図3にプロット記号Aとして示し
た。尚、図3における横軸の原子比は膜組成よりEPM
Aで求めたDy/Ti+Dyとした。
【0034】また、Ti−Dy−N化合物が(Ti 1-
x、Dy x)N y「式中、x=Dy/(Ti+Dy)原子
比、 y=0.67〜1.13を表わす」の形をとり、D
yが結晶中のTiサイトに理想的に置換されたと仮定し
た場合の格子定数の値(ベガース則による)を図3中に
特性値線Gとして示した。
【0035】また、形成されたTi−Dy−N系超硬質
化合物膜のヴィッカース硬度(Hv)をヴィッカース硬
度試験機で測定し、その結果を図4にプロット記号Aで
示した。尚、図4における横軸の原子比は膜組成よりE
PMAで求めたDy/Ti+Dyとした。
【0036】また、形成されたTi−Dy−N系超硬質
化合物膜の真空中での摩擦・摩耗試験を行い、その測定
結果を図5に曲線Hとして示した。尚、摩擦・摩耗試験
は試験試料を回転させ、回転中心から一定の距離の円周
部分に相手材ボールを押し付ける一般にピンオンディス
ク法と称される試験法で行い、回転運動時の試料−相手
材間の摩擦係数の変化、および円周摩擦トラック部の摩
耗度合により摩擦・摩耗特性を評価する。試験条件は相
手材はφ7mmのSUS440C鋼(H RC >60)、回
転中心からの距離は7.25mm、運動線速度は9.1m
/分、押し付け荷重514gとした。
【0037】また、Ti−Dy−N系超硬質化合物膜の
真空中での摩擦・摩耗試験の試験開始後64分経過した
ときの摩擦トラックの断面形状を図6(A)に曲線Iと
して示し、また同曲線Iの縦軸変化状態を拡大し、これ
を図6(B)に曲線Jとして示した。
【0038】実施例2〜5 NH3ガスの流量を2.0〜6.0SCCM、Dyイオン電
流密度を13.0〜23.0μA/cm2、Ti蒸着速度
を1.3〜3.0Å/秒の条件範囲でTi、Dy、Nの
入射比を変えた以外は前記実施例1と同様の方法で基板
4上にTi−Dy−N系超硬質化合物膜15を形成し、
これを実施例2,3,4,5とした。
【0039】形成された各実施例のTi−Dy−N系超
硬質化合物膜のNaCl型結晶(200)面のX線回析
角より結晶の格子定数を実施例1と同様の方法で求め、
その結果を図3に実施例2をプロット記号B、実施例3
をプロット記号C、実施例4をプロット記号D、実施例
5をプロット記号Eとして示した。
【0040】また、形成された各実施例のTi−Dy−
N系超硬質化合物膜のヴィッカース硬度(Hv)を実施
例1と同様の方法で測定し、その結果を図4に実施例2
をプロット記号B、実施例4をプロット記号D、実施例
5をプロット記号Eとして示した。
【0041】尚、実施例1〜5におけるNH3ガス流量
(SCCM)、Dyイオン電流密度(μA/cm2)、T
i蒸着速度(Å/秒)の各条件を示すと下記表1の通り
である。
【0042】
【表1】
【0043】比較例1 図8に示す従来HCDイオンプレーティング装置を用い
て基板(直径40mm×厚さ5mmの鋼材[JIS−SUS
−440C,H RC >60])c上に膜厚1μmのTi
−N膜mを形成し、形成されたTi−N膜mのNaCl
型結晶(200)面のX線回析角より結晶の格子定数を
実施例1と同様の方法で求め、その結果を図3にプロッ
ト記号Fとして示した。
【0044】また,形成されたTi−N膜のヴィッカー
ス硬度(Hv)を実施例1と同様の方法で測定し、その
結果を図4にプロット記号Fとして示した。
【0045】また、形成されたTi−N膜の真空中での
摩擦・摩耗試験を実施例1と同様の方法で行い、その測
定結果を図5に曲線Sとして示した。また、摩擦・摩耗
試験終了(試験終了時間は64分)時点における摩擦ト
ラックの断面形状を図6(C)に曲線Tとして示した。
【0046】図3から明らかなように本発明の実施例の
格子定数の実測値と、ベガーズ則による格子定数の予測
値(図3の特性値線G)とほぼ一致していることが分か
った。これに対し従来法による比較例1の格子定数値は
4.24Åであった。
【0047】また、図4から明らかなように本発明実施
例ではTi−Dy−N系超硬質化合物中のDyの含有量
の増加と共に、ヴィッカース硬度(Hv)が増加し、最
大では硬度が4000を超えるのに対し、比較例1では
硬度が1800と低かった。従って、Ti−Nから成る
組成物中に希土類元素を含有せしめることにより得られ
る膜の硬度を増加させ得ることが分かった。
【0048】また、図5および図6から明らかなように
本発明実施例では摩擦・摩耗試験時間182分に至るま
で摩擦係数は0.04前後と低い値を示し、しかも試料
表面の磨耗は殆ど観察されず、図6(B)のように試料
表面の荒れは500〜1000Å程度あり、Ti−Dy
−N系超硬質化合物膜の膜厚1μm(10000Å)に
比べ小さく、基板は殆ど摩耗していないのに対し、比較
例1では摩擦・摩耗試験初期より摩擦係数は0.6と大
きく、しかも試験開始後47分で摩擦係数に大きな変化
が認められ、試験時間64分で試験を中止せざるを得
ず、しかも図6(C)で明らかなように比較例1は試験
時間64分では摩擦トラックにTi−N化合物膜は存在
せず、基板が深く摩耗を受けている様子が観察された。
従って、本発明実施例ではTi−Nから成る組成物中に
希土類元素を含有せしめることにより得られる膜は耐摩
耗性に優れていることが分かった。
【0049】前述のように本発明実施例で作成されたT
i−Dy−N系超硬質化合物膜は膜自体の高い硬度、お
よび基板に対する高い密着性に起因する耐剥離性によ
り、平滑な摩擦・摺動面が得られて、優れた耐摩擦・摩
耗性を備えていることが分かった。
【0050】このことを図7[図7(A)は実施例1で
作成されたTi−Dy−Nコーティング試料の基板4と
Ti−Dy−N化合物膜15の模式図、図7(B)はT
i−Dy−N化合物膜15に摩擦・摩耗相手材17を押
し付けた状態を表す模式図]と関係づけて述べる。
【0051】図7(A)から明らかなように基板4とT
i−Dy−N系超硬質化合物膜15との界面はイオン照
射によるミキシング効果により、基板4とTi−Dy−
N系超硬質化合物膜15の元素が互いに連続的に混ざり
合い、基板4とTi−Dy−N系超硬質化合物膜15と
を強固につなぐ界面ミキシング層16が形成されている
様子が分かる。
【0052】また、図7(B)から明らかなように図9
(B)の従来のTi−N化合物膜とは異なり基板4上に
形成されたTi−Dy−N系超硬質化合物膜15は硬
く、かつ基板への膜の密着性が大きいから、Ti−Dy
−N系超硬質化合物膜15に摩擦・摩耗相手材17が強
く押し付けられてもTi−Dy−N系超硬質化合物膜1
5は基板4より剥離することがなく、Ti−Dy−N系
超硬質化合物膜の平坦性が保たれて、耐摩耗性、摺動性
に優れていることが分かる。
【0053】前記実施例では含有させる希土類元素とし
てDyを用いたが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジ
ム(Nd)、ガドリニウム(Gd)等の希土類元素を含
有せしめるようにしてもよい。
【0054】また、前記実施例中、基板に照射するイオ
ンビームとしてDy +、中性ビームとしてTiガス、ガ
ス(分子)ビームとしてNH3ビームを用いたが、本発
明はこれに限定されるものではなく、イオンビームとし
てはTi +、N +、N2+ 、希土類元素イオン、また、
中性ビームとしてはDy等の希土類元素、N原子或いは
Nラジカルビーム、また、ガスビームとしてはTiCl
4、TiBr4、TiI4 、N2ガスが挙げられ、また、
基板に照射する際には夫々単独で、或いは複数の混合ビ
ームで、必要に応じて前記イオンビーム、或いは前記中
性ビーム、或いは前記ガスビームの何れかと組合わせた
複合ビームで照射するようにしてもよい。
【0055】
【発明の効果】このように本発明のTi−希土類元素−
N系超硬質化合物膜によるときは、TiおよびNから成
る組成物に含まれる原子半径の大きな希土類元素によっ
て結晶格子に歪みが生じて、Ti−希土類元素−N非平
衡化合物となって、従来のTi−N系化合物膜に比し
て、硬度が増加すると共に、基板に対し優れた密着性を
有するので、該超硬質化合物膜が形成された基板は、そ
の摩擦摺動および耐摩耗性に優れる等の効果がある。
【0056】また、本発明のTi−希土類元素−N系超
硬質化合物膜の形成方法によるときは、超硬質化合物を
構成するTi、Nおよび希土類元素の一部をイオンビー
ムの形で基板上に照射し供給するようにしたので、基板
上に形成される化合物元素は高エネルギーに励起された
非平衡状態よりクェンチされ、基板上に非平衡化合物の
Ti−希土類元素−Nを合成出来、また、イオンビーム
によりTi−希土類元素−N化合物膜と基板との界面部
分において、膜構成元素および基板構成元素との間で激
しいミキシングが生じ、このミキシングにより該化合物
膜と基板の界面部分では膜構成元素と基板構成元素が互
いに連続的に混ざり合い、両者を強固につなぐ界面ミキ
シング層が形成されるから、従来法に比して硬度が高
く、基板に対し密着性に優れた超硬質化合物膜を基板上
に極めて容易に形成する方法を提供出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Ti−M(Mは希土類元素および遷移金属元
素を表す)系のダーケン・ガリープロット図、
【図2】 本発明のTi−希土類元素−N系超硬質化合
物膜の形成を実施するための装置の1例の概略説明図、
【図3】 本発明実施例および比較例で形成された膜の
原子比(Dy/Ti+Dy)と格子定数との関係を示す
特性値図、
【図4】 本発明実施例および比較例で形成された膜の
原子比(Dy/Ti+Dy)とヴィッカース硬度の関係
を示す特性値図、
【図5】 本発明実施例および比較例で形成された膜試
料のピンオンディスク摩擦試験の試験時間と摩擦係数と
の関係を示す特性線図、
【図6】 本発明実施例および比較例で形成された膜試
料のピンオンディスク摩擦試験時の同一時間経過後の摩
擦試験試料の摩擦・摩耗トラックの断面図であり、
(A),(B)は本発明実施例、(C)は比較例、
【図7】 本発明実施例で形成された膜と基板の模式図
であり、(A)は膜形成後の模式図、(B)は膜に相手
材を押し付けて摩擦・摺動状態時の模式図
【図8】 従来のTi−N系化合物膜の形成を実施する
ための装置の概略説明図、
【図9】 従来法装置で形成された膜と基板の模式図で
あり、(A)は膜形成後の模式図、(B)は膜に相手材
を押し付けて摩擦・摺動状態時の模式図。
【符号の説明】
1 真空成膜室、 4 基板、6 金
属蒸発源ハース、 7 Ti金属蒸気(中性
ビーム)、8 イオン源およびイオン加速器、 9 イ
オンビーム、10 ガス導入ノズル、 11
ガスビーム、12 ガスビーム、 1
3 Ti金属、15 Ti−希土類元素−N系化合物
膜。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 41/80 - 41/91 C23C 14/00 - 14/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成されたTi−N系超硬質化
    合物から成る薄膜において、前記硬質化合物の薄膜はT
    iおよびNから成る組成物中に希土類元素を0.5〜2
    0原子%含有した化合物の薄膜であることを特徴とする
    Ti−希土類元素−N系超硬質化合物膜。
  2. 【請求項2】 金属蒸発源からの蒸気金属およびイオン
    ビーム源からの高速イオンビームを基板に照射して、該
    基板上に超硬質化合物膜を形成させるイオンミキシング
    法であって、超硬質化合物を構成するTi、Nおよび希
    土類元素のうち1種または複数の元素をイオンビームと
    し、残りの元素を金属蒸気、或いはこれら元素を含むガ
    スのビームを該基板に複合照射して超硬質化合物膜を形
    成することを特徴とするTi−希土類元素−N系超硬質
    化合物膜の形成方法。
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