JP3203513U - 同軸脱進機の一体型アンクル - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに対する位置合わせの問題を低減できる同軸脱進機の一体型アンクルを提供する。【解決手段】一体型アンクル55は、第1の一連のツメ石56、58を受承するよう配設された、フォーク57を備えるアンクルの主要本体を形成する第1の階層50を含む。アンクルは、第1の一連のツメ石の上方の第2の一連のツメ石54を受承するよう配設された、フォークの上方に剣先53を形成する第2の階層52を含み、第1の階層及び第2の階層は一体である。【選択図】図9
Description
本考案は、同軸脱進機の一体型アンクル、特に2つの階層上に形成されたこのようなアンクルに関する。
2重の同軸ガンギ車及び振り座と協働するために3つの階層上に作製された、同軸脱進機のアンクルを形成することが公知である。しかしながら、このようなアンクルの異なる部品をこれらの間で正確に最適化することは困難である。
本考案の目的は、2つの階層のみの上に形成された、同軸脱進機の一体型アンクルを提案することにより、上述の欠点の全て又は一部を克服することである。
この目的のために、第1の実施形態によると、本考案は同軸脱進機の一体型アンクルに関し、この一体型アンクルは、第1の一連のツメ石を受承するよう配設された、フォークを備えるアンクルの主要本体を形成する第1の階層を含む。この同軸脱進機の一体型アンクルは、上記第1の一連のツメ石の上方の第2の一連のツメ石を受承するよう配設された、上記フォークの上方に剣先を形成する第2の階層を含み、第1の階層及び第2の階層は一体であり、これにより互いに対する位置合わせの問題を低減できることを特徴とする。
第1の実施形態の代替例によると、2つの階層の一連のツメ石は、それぞれが関連する階層と共に形成される。
第2の実施形態によると、本考案は、フォーク及び第1の一連のツメ石を備えるアンクルの主要本体を形成する第1の階層を含む、同軸脱進機の一体型アンクルに関する。この同軸脱進機の一体型アンクルは、上記フォークの上方に剣先、及び上記第1の一連のツメ石の上方に第2の一連のツメ石を形成する、第2の階層を含み、第1の階層及び第2の階層は一体であり、これにより互いに対する位置合わせの問題を低減できることを特徴とする。
本考案による2つの実施形態によると有利には、これらの階層が理想的に最適化されるだけでなく、現行のアンクルと比較して全体の厚さを有利に低減できる。
本考案の他の有利な特徴によると:
‐第1の階層及び/又は第2の階層は、少なくとも1つの他の機能性要素を一体として設置するために、少なくとも1つの追加の階層を含み;
‐上記少なくとも1つの他の機能性要素は、上記アンクルを回転可能に設置するための軸であり;
‐アンクルは、少なくとも1つの金属、少なくとも1つの金属合金又はシリコン基材から形成される。
‐第1の階層及び/又は第2の階層は、少なくとも1つの他の機能性要素を一体として設置するために、少なくとも1つの追加の階層を含み;
‐上記少なくとも1つの他の機能性要素は、上記アンクルを回転可能に設置するための軸であり;
‐アンクルは、少なくとも1つの金属、少なくとも1つの金属合金又はシリコン基材から形成される。
更に、本考案は、時計用同軸脱進機システムに関する。この同軸脱進機システムは、この同軸脱進機システムが、上述の変形例のうちの1つによる同軸脱進機の一体型アンクルを含み、このアンクルが同軸脱進機の可動部品と協働し、アンクルの第1の一連のツメ石が可動部品のガンギ車と協働し、アンクルの第2の一連のツメ石が可動部品のガンギカナと協働することを特徴とする。
その他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら、例示のみを目的とした非限定的なものとして与えられる説明から、明らかになるであろう。
本考案は、改良された時計用同軸脱進機システムに関する。本考案による脱進機システム51、61は、第1のガンギ車1及び第2のガンギ車11で形成された可動部品15を備える。衝突ピニオンとも呼ばれる第2のガンギ車11は、同一の軸3上に設置される。第2のガンギ車11の歯13の角度位置は、第1のガンギ車1の歯8の角度位置に対してインデックスされている。
第1のガンギ車1は、従来のスイスレバー式のガンギ車の形態である。第2のガンギ車11はまた、時計の歯車17の中間ホイールと噛合し、これには、機構の高さを低減するという利点がある。しかしながら、ピニオンを2つ以上のガンギ車に設置して、歯車17と噛合させることができる。ただしこの代替例では、同軸脱進機の可動部品に3つの階層が必要となる。
テンプ(図示せず)の振り座19は、振り石21及び衝突ツメ石23を支持する。振り石21は往復運動するよう構成され、アンクル55、65及び衝突ツメ石23は、第1のガンギ車1の歯8と協働するよう構成される。
図9に示した本考案の第1の実施形態では、アンクル55は一体型であり、それぞれ異なったパターンを有する2つの階層50、52を含む。本考案によると有利には、第1の階層50は、アンクル55の主要本体を形成する。第1の階層50は、振り座19の石21と協働するよう構成された2つの角状部を有するフォーク57を備える。第1の階層50はまた、ガンギ車1の歯8と協働するよう構成された第1の一連のツメ石56、58を受承するのに適した窪みを含む。
本考案の第1の実施形態によると、アンクル55の第2の階層52は、フォーク57の上方に片持ち式で設置され、かつフォーク57の角状部の間でセンタリングされた、剣先53を含む。第2の階層52はまた、第1の階層50の上に来るよう形成された基部59を含み、特にガンギカナ11の歯13と協働するよう構成された第2の一連のツメ石54を受承するのに適した窪みを含む。従って、図9に示した本考案の第1の実施形態によると、第2の一連のツメ石54は、第1の一連のツメ石56、58の上方に設置されることが理解される。
以下に説明するように、本考案によると有利には、第1の階層50及び第2の階層52は一体であり、これにより互いに対する位置合わせの問題を低減できる。脱進機システム51内のアンクル55を設置ためには、好ましくはルビー製であるツメ石54、56、58を適切な窪み内に設置するだけでよい。アンクル55は好ましくは、少なくとも1つの金属、少なくとも1つの合金から形成してよく、又はシリコン基材から形成することさえできる。
図10に示した本考案の第2の実施形態では、アンクル65は一体型であり、それぞれ異なったパターンを有する2つの階層60、62を含む。本考案によると有利には、第1の階層60は、アンクル65の主要本体を形成する。第1の階層60は、振り座19の石21と協働するための2つの角状部を有するフォーク67を備える。第1の階層60はまた、ガンギ車1の歯8と協働するよう成形及び構成された第1の一連のツメ石66、68を受承するのに適した窪みを含む。
本考案の第2の実施形態によると、アンクル65の第2の階層62は、フォーク67の上方に片持ち式で設置され、かつフォーク67の角状部の間でセンタリングされた、剣先63を含む。第2の階層62はまた、第1の階層60の上に来るよう形成された基部69を含み、特にガンギカナ11の歯13と協働するよう構成された第2の一連のツメ石64を受承するのに適した窪みを含む。従って、図10に示した本考案の第2の実施形態によると、第2の一連のツメ石64は、第1の一連のツメ石66、68の上方に設置されることが理解される。
以下に説明するように、本考案によると有利には、第1の階層60及び第2の階層62は一体であり、これにより互いに対する位置合わせの問題を低減できる。更にアンクル65は好ましくは、少なくとも1つの金属、少なくとも1つの合金から形成してよく、又はシリコン基材から形成することさえできる。
当然のことながら、図9、10の2つの実施形態を、他の材料を用いて形成できる。しかしながら、電鋳可能な材料又は微細機械加工可能な材料が好ましい。実際、今日に至るまで、反応性イオンエッチング及びLIGAタイプの電鋳が、アンクル55、65が良好に機能するのに必要な数ミクロンオーダーの精度で部品を製造できる唯一の方法である。しかしながら、同等の製造許容差を満たすことができるいずれの他のプロセスを適用可能である。
電鋳可能な材料は、金及び/又は銅及び/又は銀及び/又はインジウム及び/又は白金及び/又はパラジウム及び/又はニッケルと共に形成してよいが、これらの化合物は網羅的なものではない。実際には、リン等の他の化合物をより少ない量で添加してよい。
微細機械加工可能な材料は、シリコンカーバイド、結晶シリコン、結晶アルミナ又は結晶シリカによって形成してよいが、これらの化合物は網羅的なものではない。
当然のことながら、アンクル55、65はまた、アンクル55、65を軸70、72に回転可能に設置するための、弾性固定手段を含むことができる。このような弾性手段は例えば、欧州特許1655642号の図10A〜10Eにおいて開示されているもの、又は国際公開第2007/099068号の図2〜5において開示されているものの形態を取ることができ、上記文献は、本明細書に援用される。
代替として、アンクル55、65はまた、アンクル55、65を仮想軸に関して回転可能に設置するための、可撓性手段を含むことができる。このような可撓性手段は例えば、国際公開第2012/010408号において開示されているものの形態を取ることができ、上記文献は、本明細書に援用される。
軸70、71が、アンクル55、65と共に形成される、又は第1の階層50、60及び/若しくは第2の階層52、62において、アンクル55、65上に設置される構成、即ち一方の階層の開口部が、固定手段を含む若しくは含まない他方の階層の開口部よりも大きい構成も理解される。同様に、階層各階層の各開口が固有の固定手段を含むことも当然可能である。
更に、特に微細機械加工可能な材料を基材とする板を使用する場合、可撓性固定手段をプラスチック固定手段で置換してよい。例えば上記可撓性固定手段を金属材料性のワッシャで形成してもよく、これは、アンクル55、56を形成するために使用される材料に応力を印加することなく、塑性変形によってアンクル55、56を軸70、71に対して嵌め込むことを可能とする。当然のことながら、他のプラスチック固定手段も考えられる。
2つのタイプの製造をそれぞれ図1〜4、図5〜8に示す。図1〜4は、より良好な理解のために、微細機械加工の連続する主要なステップを示す。この方法は好ましくは、中間層34によって結合された微細機械加工可能な材料製の上部層33及び下部層35を含む、基材31を準備する第1のステップを含む。このタイプの基材31は、英語の用語「Silicon On Insulator(シリコンオンインシュレータ)」に由来する略語S.O.Iとしても公知である。
第2のステップでは、上部層33の少なくとも1つのパターン36に、中間層34が露出するまでエッチングを実施して、アンクル55、65の第1の階層50、60、52、62を形成する。従ってこの第2のステップにより、上部層33においてアンクル55、65の1つ又は複数の第1のパターンを形成できる。
図2に示すように、例えばフォトリソグラフィによって、上部層33の残しておきたい部分を保護するためのマスク37を形成する。続いて、破線で示すように、英語の用語「Deep Reactive Ion Etching(深反応性イオンエッチング)」に由来する略語D.R.I.E.としても公知である、反応性イオンエッチングタイプの異方性エッチングを、基材31の上部に施す。図3に示すように、アンクル55、65の第1の階層50、60、52、62を有する第1のパターン36が得られる。
第3のステップでは、下部層35の少なくとも1つの第2のパターン38に、中間層34が露わになるまでエッチングを実施して、アンクル55、65の少なくとも1つの第2の階層52、62、50、60を、第1の階層50、60、52、62と一体として形成する。従ってこの第3のステップにより、下部層35においてアンクル55、65の1つ又は複数の第2のパターンを形成できる。
図2に示すように、例えばフォトリソグラフィによって、下部層35の残しておきたい部分を保護するためのマスク39を形成する。続いて、破線で示すように、深反応性イオンエッチング(D.R.I.E.)タイプの異方性エッチングを、基材31の下部に施す。図4に示すように、第1の階層50、60、52、62と一体の少なくとも1つの第2の階層52、62、50、60を有する第2のパターン38が得られる。
その後、このようにして形成された2つの階層上の各アンクル55、65を、基材31から、及び場合によっては中間層34の露出部分から取り外すだけで、脱進機システム51、61内にアンクル55、56を設置できるようになる。好ましくは、アンクル55、65がシリコン基材で形成される場合、追加の酸化ステップを実施して、少なくとも1つの二酸化シリコン部分をその外側表面上に形成し、これにより機械的強度を上昇させる。
図5〜8は、より良好な理解のために、電鋳の連続する主要なステップを示す。この方法は好ましくは、導電性の上部層を含む基材41を準備する第1のステップを含む。この層は、絶縁材料上に導電性材料を堆積させることによって、又は基材を導電性材料で形成することによって得ることができる。
電鋳の主要なステップは、鋳型を形成し、続いて例えば電気めっき法を用いて、鋳型を充填することからなる。このタイプの電鋳は、ドイツ語の用語「LIthographie, Galvanoformung & Abformung(リソグラフィ、電解めっき、形成)」から生じた略語L.I.G.A.として公知である。複数の階層を有する鋳型が各電気めっきの間に形成されるか、又は充填された後に完全に形成されるかに応じて、複数のタイプのL.I.G.A.プロセスが存在する。以下の説明のために、本技術は、各階層を形成すること、即ち鋳型の階層を形成して、次の階層に移る前にこれを充填することからなる。当然のことながら、L.I.G.A.タイプの、又はそうでない場合は、少なくとも2つの異なる階層を有する一体型のアンクルを形成できるいずれのタイプの電鋳が考えられる。
図5、6に示すように、まず初めに、図5に示すように例えばフォトリソグラフィを用いて、鋳型の第1の階層47を形成する。アンクル55、65の第1の階層50、60、52、62に対応する形状の少なくとも1つのキャビティが形成される。その後、上記少なくとも1つのキャビティを、金属材料46の電着によって充填する。
次に最初と同様に、図7に示すように例えば同じくフォトリソグラフィを用いて、樹脂の第2の階層49を形成する。アンクル55、65の第2の階層52、62、50、60に対応する形状の、樹脂の第1の階層47の上記少なくとも1つのキャビティと連通する、少なくとも1つの凹部が形成される。その後、樹脂の第2の階層49を、金属材料48の電着によって充填する。
その後図8に示すように、このようにして形成された2つの階層上の各アンクル55、65を、基材41及び樹脂47、49から取り外すだけで、脱進機システム51、61内にアンクル55、65を設置できるようになる。電鋳によって得られたアンクル55、65の例では、金属材料を軸70、71上で直接除去できるため、弾性又はプラスチック固定手段を形成する必要がもはやないことが理解される。
当然のことながら、本考案は例示した実施例に限定されるものではなく、当業者には明らかな様々な変形例及び修正例が可能である。特に、少なくとも2つの階層は一体として作製されることが理解されるべきである。従って、少なくとも1つの追加の層を第1及び/又は第2のレベル50、60、52、62に対して形成することによって、例えば軸70、71等の他の機能性要素を一体として追加できることが、完全に理解される。
更に、図9、図10の2つの実施形態は組み合わせることができる。従って特に、アンクル55の少なくとも1つの階層及びアンクル65の少なくとも1つの他の階層を備える同軸脱進機を形成するために、第1の実施形態の第1の階層を第2の実施形態の第2の階層と組み合わせることができることが理解される。
最後に、機能性要素の間を有利に離間させるために、他の階層を追加してもよい。非限定的な例では、剣先53、63は第1の階層に基部を、そして上方の階層に片持ち式の要素を有してよく、これにより、例えばより高い石21を利用可能とするために、片持ち式の要素をフォーク57、67から有利に離間させることができる。
Claims (8)
- 同軸脱進機の一体型アンクル(55、65)であって、
前記同軸脱進機の一体型アンクル(55、65)は、第1の一連のツメ石(56、58)を受承するよう配設された、フォーク(57)を備える前記アンクル(55、65)の主要本体を形成する第1の階層(50)を含む、同軸脱進機の一体型アンクル(55、65)において、
前記同軸脱進機の一体型アンクル(55、65)は、前記第1の一連のツメ石(56、58)の上方の第2の一連のツメ石(54)を受承するよう配設された、前記フォークの上方に剣先(53)を形成する第2の階層(52)を含み、
前記第1の階層(50)及び前記第2の階層(52)は一体であり、これにより互いに対する位置合わせの問題を低減できる
ことを特徴とする、同軸脱進機の一体型アンクル(55、65)。 - 前記2つの階層(50、52)のうちの1つの前記一連のツメ石(54、56、58)は、それぞれが関連する前記階層と共に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のアンクル(55、65)。
- 前記第1の一連のツメ石(56、58)及び前記第2の一連のツメ石(54)は、それぞれが関連する前記階層(50、52)と共に形成されることを特徴とする、請求項2に記載のアンクル(55、65)。
- 前記第1の階層(50、60)及び/又は前記第2の階層(52、62)は、少なくとも1つの他の機能性要素(70、71)を一体として設置するために、少なくとも1つの追加の階層を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンクル(55、65)。
- 前記少なくとも1つの他の機能性要素(70、71)は、前記アンクルを回転可能に設置するための軸であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンクル(55、65)。
- 少なくとも1つの金属又は少なくとも1つの金属合金から形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンクル(55、65)。
- シリコン基材から形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンクル(55、65)。
- 時計用同軸脱進機システム(51、61)であって、
前記同軸脱進機システム(51、61)は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の同軸脱進機の一体型アンクル(55、65)を含み、
前記アンクルは前記同軸脱進機の可動部品(15)と協働し、
前記アンクル(55、65)の第1の一連のツメ石(56、58、66、68)は前記可動部品(15)のガンギ車(1)と協働し、
前記アンクル(55、65)の第2の一連のツメ石(54、64)は前記可動部品(15)のガンギカナ(11)と協働する
ことを特徴とする、時計用同軸脱進機システム(51、61)。
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