JP3203404B2 - 減圧気化冷却装置 - Google Patents

減圧気化冷却装置

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【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、冷却室内を減圧状態に
して冷却水の蒸発潜熱により被冷却物を気化冷却する装
置に関する。上記の減圧気化冷却装置の具体例として
は、各種反応釜の冷却、食品や医療品や紙・パルプや各
種繊維類の冷却装置等がある。これらのものは少しの温
度上昇によって熱損傷を来たす場合が多く、従って、部
分的に冷却が不十分な箇所、即ち、冷却ムラを防止する
ことが品質上重要となる。
【０００２】
【従来の技術】従来の減圧気化冷却装置として、例えば
特開平５−２６５５２号公報に示されたものがある。こ
れは、気化冷却室に冷却水を供給する冷却水注入ノズル
のノズル穴を、ノズルの略上方に且つ扇状に冷却水が被
冷却物に対して注入されるように形成したもので、被冷
却物の広範な表面に冷却水を付着させることができ、冷
却ムラを防止して冷却効果を高めることができるもので
ある。
【０００３】
【本発明が解決しようとする課題】上記従来の減圧気化
冷却装置では、被冷却物の表面積が大きくなるに連れて
数多くの冷却水注入ノズルを取り付けなければならなく
なる問題があった。これは、ノズル穴の形状がどのよう
なものであっても１個のノズル穴で注入することの冷却
水の注入面積は限られたものであり、従って、被冷却物
の表面積の増大に連れて多数の冷却水注入ノズルを取り
付けなければならないのである。
【０００４】従って本発明の技術的課題は、１個の冷却
水注入ノズルでの注入面積を大きくすることにより、数
少ない注入ノズルでもって大きな表面積の被冷却物へ均
一に冷却水を注入することができるようにすることであ
る。
【０００５】
【課題を解決する為の手段】本発明の減圧気化冷却装置
の構成は次の通りである。被冷却物に接して気化冷却室
を形成し、冷却水を気化冷却室に流入させると共に気化
冷却室を真空ポンプで減圧することにより、被冷却物を
気化冷却するものにおいて、冷却水を気化冷却室へ注入
する略円筒状の冷却水注入ノズルを配置し、該冷却水注
入ノズルの先端部を所望角度傾けると共に、略円筒状の
冷却水注入ノズルを回転自在に取り付けたものである。
【０００６】
【作用】略円筒状冷却水注入ノズルの先端部を所望角度
傾け且つ回転自在に取り付けたことにより、先端部の傾
斜角度に応じた円錐面上をノズル先端部は回転する。従
って、ノズル穴のみによる注水角度に上記先端部の傾斜
角度を加えた広い角度で冷却水を注入することができ、
数少ない注入ノズルでもって広範囲の被冷却物に冷却水
を付着させることができる。
【０００７】
【実施例】図示の実施例を詳細に説明する。本実施例に
おいては、真空ポンプとして循環水の水温を調整するこ
とにより減圧度を調整することのできる、エゼクタを組
合せた真空ポンプ２２を用いた例を示す。図１におい
て、被冷却物としての反応釜１１と、真空ポンプ２２
と、気化冷却室としてのジャケット部１５と、冷却水注
入ノズル部１６，１７とで減圧気化冷却装置を構成す
る。
【０００８】反応釜１１は被冷却物としての原料入口１
２、製品出口１３、撹拌器１４を有し、その外周にジャ
ケット部１５を設ける。ジャケット部１５の上部に複数
の冷却水注入ノズル部１６，１７を取り付け、この注入
ノズル部１６，１７に冷却水供給管４０を接続する。冷
却水供給管４０には管路を開閉したり通過流量を調整す
るための弁装置６，２６，２８を配置する。
【０００９】冷却水注入ノズル部１６，１７は、図２に
部分拡大断面図を示すように、中央部に冷却水供給管４
０と接続した略円筒状の冷却水注入ノズル２と、この冷
却水注入ノズル２を回転するためのモ―タ３６とで構成
する。冷却水供給ノズル２の左端先端部２７は所定の角
度で傾けて形成する。本実施例においては約４５度の角
度で配置する。冷却水注入ノズル２は右端部に一体的に
回転フランジ部２３を形成しガスケット２９を介してジ
ャケット部１５に取り付ける。フランジ部２３の更に右
側に回転ギア２５を取り付けてモ―タ３６の減速ギア２
４と連結する。冷却水供給管４０はシ―ルリング２０を
介して冷却水供給ノズル２内に摺動可能に取り付け、通
路７を介してノズル先端部２７と接続する。モ―タ３６
の回転によりギア２４，２５を介して冷却水注入ノズル
２はその円筒軸を中心に回転し、先端部２７はその傾斜
角度に応じた円錐面上を回転するが、冷却水供給管４０
は回転はしないものである。
【００１０】真空ポンプ２２は、循環ポンプ３０がタン
ク３１に吸込側を接続され、吐出側をエゼクタ３２のノ
ズル３３に接続され、エゼクタ３２のディフュ―ザ３４
がタンク３１の上部空間に接続された構成のものであ
る。ノズル３３部とジャケット部１５の流体排出口１８
が連通路２１を介して接続されている。この真空ポンプ
２２は、循環ポンプ３０の作動によりタンク３１内の水
をエゼクタ３２に供給して吸引作用させ、タンク３１に
戻すようになっている。真空ポンプ２２を循環する流体
の一部は弁７２と供給管１９を通り弁装置２６，２８を
介して冷却水注入ノズル１６，１７へ至ることもでき
る。
【００１１】冷却水供給管４０を弁７０を介してタンク
３１と連通する。タンク３１内に冷却水を供給すること
によって真空ポンプ２２の循環水温度を制御するように
なっている。弁７０はタンク３１内の水温を検出する温
度センサ―４１からの信号により開閉する。
【００１２】真空ポンプ２２の循環路の一部に弁７１を
取付け、タンク３１内の水位センサ―４２，４３からの
信号により、タンク３１内の水位を所定範囲に保つよう
にする。
【００１３】被冷却物としての反応釜１１を冷却する場
合は、弁６，２６，２８を開弁して冷却水を注入ノズル
部１６，１７からジャケット部１５内へ供給する。冷却
水注入ノズル２はモ―タ３６により回転しているため
に、その注水角度は、図２において破線で示すノズルの
みによる注水角度と、同じく一点鎖線で示すノズル先端
部２７の回転による注水角度を加えたものとなり、より
広い面積に冷却水を注入することができる。
【００１４】反応釜１１を冷却した冷却水と気化した蒸
気は流体排出口１８から真空ポンプ２２のエゼクタ３２
に吸引されタンク３１に至る。
【００１５】ジャケット部１５内の冷却流体が流体排出
口１８からエゼクタ３２に吸引されタンク３１に至り、
タンク３１内の水位が上昇すると上限水位センサ―４２
が検知し、弁７１が開弁して余剰水を排出し、水位を所
定範囲に保つ。また、ジャケット部１５の減圧度合は、
タンク３１の水温を制御することにより調整することが
できる。
【００１６】また、本実施例においては、ジャケット部
１５に弁７２を介して真空ポンプ２２の循環流体の一部
を供給するようにしたことにより、この循環流体でもっ
て反応釜１１を冷却することもできる。
【００１７】
【発明の効果】略円筒状冷却水注入ノズルの先端部を所
望角度傾け且つ回転自在に取り付けたことにより、ノズ
ル穴のみによる注水角度とこの先端部の傾斜角度を加え
た広い注入角度で冷却水を注入することができ、従っ
て、数少ないノズルでもってより広い面積の被冷却物に
冷却水を注水することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の減圧気化冷却装置の実施例の構成を示
す構成図である。
【図２】図１における冷却水注入ノズル部の部分拡大断
面図である。
【符号の説明】
２ 冷却水注入ノズル １１ 反応釜 １５ ジャケット部 １６，１７ 冷却水注入ノズル部 ２２ 真空ポンプ ２３ 回転フランジ部 ２７ ノズル先端部 ３１ タンク ３２ エゼクタ ３３ ノズル ３６ モ―タ ４０ 冷却水供給管

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 被冷却物に接して気化冷却室を形成し、
    冷却水を気化冷却室に流入させると共に気化冷却室を真
    空ポンプで減圧することにより、被冷却物を気化冷却す
    るものにおいて、冷却水を気化冷却室へ注入する略円筒
    状の冷却水注入ノズルを配置し、該冷却水注入ノズルの
    先端部を所望角度傾けると共に、略円筒状の冷却水注入
    ノズルを回転自在に取り付けたことを特徴とする減圧気
    化冷却装置。
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