JP3197918B2 - 被覆用組成物及び合成樹脂成形品の表面改質方法 - Google Patents

被覆用組成物及び合成樹脂成形品の表面改質方法

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JP3197918B2 JP25549291A JP25549291A JP3197918B2 JP 3197918 B2 JP3197918 B2 JP 3197918B2 JP 25549291 A JP25549291 A JP 25549291A JP 25549291 A JP25549291 A JP 25549291A JP 3197918 B2 JP3197918 B2 JP 3197918B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性、耐擦傷性硬
化被膜を形成し得る被覆用組成物及びそれを用いた耐摩
耗性合成樹脂成形品の表面改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂等の合成樹脂成形
品は、ガラスと比べて軽量で耐衝撃性に優れているばか
りでなく、安価で成形加工が容易であるなどの種々の利
点を有しており、これらの利点を生かして多くの分野で
広く利用されている。例えば、自動車、バス、航空機な
どのグレージング材料あるいはヘッドランプレンズ、コ
ーナーレンズ等のレンズ類、眼鏡及び光学装置用のレン
ズ類に利用されている。
【0003】しかしながら、これらの合成樹脂成形品は
表面硬度が不十分なため、成形品の輸送中、部品の取付
時あるいは使用中に他の物体との接触、衝撃、引っかき
などの作用によって表面が損傷を受け、製品歩留が低下
したり、美観が損なわれたりする。
【0004】したがって、これらの合成樹脂成形品の表
面硬度を改質することが強く要求されており、従来より
表面硬度改良法が数多く提案されている。例えば、アル
キルトリアルコキシシランを主成分としたシラン混合物
の部分縮合反応物とコロイダルシリカとから成る塗料を
成形品表面に塗布し、次いでこれを加熱処理することに
よって硬化被膜を形成させ耐摩耗性を改良する方法や、
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を
有する多官能性アクリレートを主成分とした塗料を成形
品表面に塗布し、次いで紫外線を照射して硬化被膜を形
成させ耐摩耗性を改善する方法などが提案されている。
【0005】前者は耐摩耗性改善効果が大きいため優れ
た方法であるが、成形品の対して密着性が乏しいためプ
ライマーコート処理が必要となり、コスト高となった
り、処理プロセスが複雑になったりする。また、加熱処
理に長時間を要するため生産性についても難がある。
【0006】後者は、紫外線硬化法のため硬化時間が数
秒から十数秒と極めて短く生産性に優れたプロセスであ
る。また、近年、空気中でも硬化可能な方法も提案され
ており、経済的にも極めて有用な方法といえる。しかし
ながら、この後者の紫外線硬化法は前者の熱硬化法と比
べて耐摩耗性の水準が低い傾向があり、特に摩耗材が砥
粒の場合、明らかに耐摩耗性水準が低いことが知られて
いる。
【0007】そこで、特表昭57−500984号公報
には、これら両方法の利点を生かした紫外線硬化可能な
シリコン被覆材組成物が開示されている。硬化に紫外線
を用いることでシリコン系被覆材の基本的な問題点であ
った硬化時間が大幅に短縮でき、数秒から数分の短時間
での硬化が可能となり、生産性の面での利点が認められ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
被覆材組成物では、硬化被膜の耐摩耗性の向上と成形品
表面の対する被膜の密着性の向上とが両立し得ないとい
う問題点があることが判明してきている。すなわち、こ
の組成物は、紫外線硬化可能なアクリル成分とコロイダ
ルシリカ併用シリコン成分とから成っており、アクリル
成分が増大すると被膜の密着性は改良されるものの、ア
クリル成分増大により硬化被膜の耐摩耗性は低下する。
特にアクリル成分増大により、砥粒による表面摩耗抵抗
の低下が顕著となる傾向が認められる。
【0009】逆に、シリコン成分が増大すると硬化被膜
の耐摩耗性は改善されるものの、成形品に対する被膜の
密着性が低下するようになり、初期密着性もさることな
がら、冷熱サイクル試験や高温・高湿下での試験、更に
は耐候性試験などの環境が苛酷な条件下での試験におい
て密着性に問題が生じることになる。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述のような問題点に鑑
み、本発明者らは硬化被膜の耐摩耗性と成形品に対する
密着性の両立について鋭意検討したところ、特定のシリ
コン成分に特定のアクリル系ポリマーを併用した被覆用
組成物を合成樹脂成形品表面に架橋硬化被膜として形成
させることにより、上述の問題点を解決できることを見
出し本発明を完成するに到った。
【0011】すなわち、本発明は(a)一次粒径が1〜
200nmのシリカ粒子からなるコロイダルシリカ5〜
80重量%、 (b)下記一般式(I)
【0012】
【化3】 (式中、XはCH2=CH−COO−、CH2=C(CH
3)−COO−又はCH2=CH−基、R1は単結合又
価の炭化水素基、R2及びR3は一価の炭化水素基、a
は1〜3の整数、bは0〜2の整数、a+bは1〜3の
整数を表わす。)で示される単量体の一種以上の加水分
解、縮合反応生成物5〜80重量%、
【0013】(c)アクリル酸及び/又はメタクリル酸
の炭素数1〜8のアルキルエステルに由来する構造単位
を10〜90重量%含み、水酸基価が10〜300mgK
OH/gのアクリル系共重合体1〜30重量%、および (d)紫外線感応性光開始剤0.1〜5重量%からなる
被覆用組成物である。
【0014】また、もう一つの本発明は、上記被覆用組
物を合成樹脂成形品の表面に塗布し、紫外線を照射す
ることによって合成樹脂成形品の表面に架橋硬化被膜を
形成することを特徴とする合成樹脂成形品の表面改質方
法である。
【0015】
【作用】本発明で用いられる一次粒径が1〜200nm
のシリカ粒子からなるコロイダルシリカ(a)成分は、
無水ケイ酸の超微粒子をコロイド状溶液としたものであ
る。また分散媒を含有しない粉末状のコロイダルシリカ
も用いることができる。コロイダルシリカの分散媒とし
ては、水;メタノール、エタノール、イソ−プロパノー
ル、n−ブタノール、n−プロパノールなどのアルコー
ル類;エチレングリコールなどの多価アルコール類;エ
チルセロソルブ、ブチルセロソルブなどの多価アルコー
ル誘導体;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;2−ヒドロ
キシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアク
リレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなどの
単量体類及び一般有機溶剤類があるが、本発明において
は特に炭素数が1〜4のアルコール類を用いるのが好ま
しい。
【0016】これらのコロイダルシリカは周知の方法で
製造され市販されているものを用いることができる。粒
子径は1〜200nmのものを使用することが必要であ
り、特に5〜80nmのものが好ましい。粒子径が1
に満たないものは分散状態の安定性が悪く品質の一定
したものを得ることが困難であり、また200nmを超
えるものについては被膜の透明性が悪くなり、濁りの大
きいものしか得られない。
【0017】コロイダルシリカは、酸性又は塩基性形態
で入手可能であるが、本発明においては酸性の形態のも
のを使用することがより好ましい。
【0018】コロイダルシリカは硬化被膜の耐摩耗性、
表面硬度を著しく改善し、特に砥粒を研磨材に用いた摩
耗性試験において優れた効果を発揮する。しかしなが
ら、コロイダルシリカを単独で用いて被膜を形成した場
合、成形品表面に対する密着性に極めて劣るため、被膜
にクラックが発生したり、被膜が剥離したりするため単
独では用いることはできない。コロイダルシリカの配合
割合は、被覆用組成物中5〜80重量%、好ましくは1
0〜70重量%、より好ましくは20〜65重量%であ
る。配合割合が5重量%未満の場合、硬化被膜の耐摩耗
性が不十分であり、逆に80重量%を超えて用いた場
合、硬化被膜にクラックの発生や密着性の低下が認めら
れるようになる。まお、コロイダルシリカの使用割合と
は、シリカ粒子の固形分として換算した値を示すもので
ある。
【0019】本発明においては、前記一般式(I)で表
わされる単量体の一種以上の加水分解、縮合反応生成物
(b)(以下、シリカ系縮重合体と略称する)を使用す
る。
【0020】一般式(I)で表わされる単量体として
は、例えばβ−アクリロイルオキシエチルトリメトキシ
シラン、β−アクリロイルオキシエチルトリエトキシシ
ラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシ
ラン、β−アクリロイルオキシエチルメチルジメトキシ
シラン、β−アクリロイルオキシエチルメチルジエトキ
シシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチル
ジエトキシシラン、β−アクリロイルオキシエチルエチ
ルジメトキシシラン、β−アクリロイルオキシエチルエ
チルジエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピ
ルエチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプ
ロピルエチルジエトキシシラン、β−メタクリロイルオ
キシエチルトリメトキシシラン、β−メタクリロイルオ
キシエチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイル
オキシプロピルトリエトキシシラン、β−メタクリロイ
ルオキシエチルメチルジメトキシシラン、β−メタクリ
ロイルオキシエチルメチルジエトキシシラン、γ−メタ
クリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−メタクリロイルオキシエチルエチルジエトキシ
シラン、β−メタクリロイルオキシエチルエチルジメト
キシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエチル
ジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピル
ジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピル
ジメトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシ官
能性シラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニル
メチルジエトキシシランが挙げられる。
【0021】
【0022】シリカ系縮重合体(b)は、これら単量体
の一種以上を水とともに有効量の加水分解触媒、例えば
塩酸の存在下、常温から還流温度までの温度で約1〜1
0時間撹拌するなどの常法によって得ることができる。
【0023】シリカ系縮重合体(b)成分の使用割合
は、被覆用組成物中5〜80重量%、好ましくは10〜
70重量%、より好ましくは15〜65重量%である。
使用割合が5重量%未満の場合は、硬化被膜の耐摩耗性
が不十分となったり、被膜にクラックの発生や濁りが生
じ外観上良好な処理品が得られない。逆に80重量%を
超える場合には、硬化性が不十分となったり、耐摩耗性
の面でも不利となる。
【0024】ここでいうシリカ系縮重合体(b)成分の
使用割合とは、加水分解、縮合反応生成物の重量を示す
ものであり、反応の過程で副生するアルコール、水、そ
の他の揮発成分を含まないものである。
【0025】本発明で用いる(メタ)アクリル酸の炭素
数1〜8のアルキルエステルに由来する構造単位を10
〜90重量%含み、水酸基価が10〜300mgKOH/
gのアクリル系共重合体(c)は、(メタ)アクリル酸
の炭素数1〜8のアルキルエステル及び水酸基を有する
α,β−エチレン性不飽和単量体を必須成分として共重
合させて得られる共重合体である。
【0026】(メタ)アクリル酸の炭素数1〜8のアル
キルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、
アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アク
リル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸
n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t
−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の単量体
を挙げることができる。
【0027】水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和
単量体としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ア
クリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2
−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチ
ル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル等の単量体が代
表的なものとして挙げることができる。
【0028】また、アクリル系共重合体は前記2種の単
量体の他に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、
フマル酸、無水マレイン酸等の不飽和酸類、アクリル酸
シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタク
リル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル類、
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジン等の芳
香族ビニル化合物等の1種もしくは2種以上の単量体を
共重合したものであってもよい。
【0029】上記アクリル系共重合体は、所定割合の単
量体混合物を溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合
などの常法により共重合させて製造することができる
が、本発明においては、単量体混合物にキシレン、トル
エン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メチルエチルケト
ン、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等の有
機溶媒共存下に重合開始剤、連鎖移動剤を作用させる溶
液重合法によって得られるアクリル系共重合体が好まし
い。このアクリル系共重合体の分子量としては、重量平
均分子量で約1万〜約10万のものが好適である。アル
キル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸のアルキ
ルエステルを単量体混合物中10〜90重量%の範囲で
用いることが、被覆用組成物の相溶安定性及び硬化被膜
の透明性、耐摩耗性の面から必須である。この条件を満
たさない場合には、被膜に濁りが生じ、透明性に劣るた
め実用的な被膜の形成は困難である。
【0030】(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと
共重合させる成分として、水酸基を有するα,β−エチ
レン性不飽和単量体、例えばメタクリル酸2−ヒドロキ
シエチルが必須な成分である。この単量体は、得られる
共重合体の水酸基価が10〜300mgKOH/g、好ま
しくは20〜250mgKOH/gになるような量使用さ
れる。水酸基価が10mgKOH/g未満の場合には、硬
化被膜の成形品表面に対する密着性が不十分となった
り、被膜に濁りが生じ、透明性が低下したりする。逆に
300mgKOH/gを超えた場合には、硬化被膜の耐摩
耗性が低下するため好ましくない。
【0031】アクリル系共重合体(c)は、コロイダル
シリカ(a)及びシリカ系縮重合体(b)と併用して用
いることで、硬化被膜の耐摩耗性を低下させることな
く、成形品表面に対する被膜の密着性を大幅に改善する
ことが可能となった。(a)成分及び(b)成分のみか
ら形成される硬化被膜は初期密着性もさることながら、
熱水テストや冷熱サイクルテスト後の密着性に関して不
十分であり、実用的な被膜の形成は困難である。これに
対して(c)成分を併用することで耐久的な密着性も改
善されるので(c)成分の併用は必須である。
【0032】アクリル系共重合体(c)の配合割合は、
被覆用組成物中1〜30重量%であり、好ましくは3〜
25重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。使
用割合が1重量%未満では密着性が不十分となり、逆に
30重量%を超えると耐摩耗性が低下するため好ましく
ない。
【0033】本発明の被覆用組成物を合成樹脂成形品表
面に塗布し、次いで形成された被膜を硬化させる手段と
しては、被覆用組成物中に次のような硬化触媒、例えば
過塩素酸アンモニウム、過塩素酸、塩酸、パラトルエン
スルホン酸、酢酸ナトリウム、テトラブトシキチタン、
n−ブチルアミンなど周知な化合物を用い、成形品の変
形温度(約130℃)以下の温度で20分〜5時間焼付
けることも可能であるが、本発明の場合、紫外線感応性
光開始剤を用いて紫外線を照射して硬化させる手段が生
産性、経済性の面から特に好ましい方法である。また、
紫外線と同様な効果を有するα線、β線及びγ線などの
活性エネルギー線を照射して被膜を硬化させてもよい。
【0034】被膜の硬化手段として紫外線を用いる場
合、被覆用組成物中に紫外線感応性光開始剤(d)成分
を配合するのが、被膜の硬化性及び均一性の面から適当
である。(d)成分としては特に限定されるものではな
く、本発明の被覆用組成物中に均一に溶解し、開始剤効
率が高く、硬化被膜に着色を起こさないものであれば使
用することができる。紫外線感応性光開始剤(d)とし
ては、例えばベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテ
ル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピ
ルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジ
ル、ジエトキシアセトフェノン、メチルフェニルグリオ
キシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニ
ルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル
フェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2,4,
6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサ
イドなどのラジカル型開始剤や、次の一般式 (R7 −C64e+MQf - …… (III ) (式中、XはI,P及びSから選ばれる原子であり、M
は金属又は半金属、QはCl,F,Br及びIから選択
されるハロゲンであり、R7 は水素又は炭素数1〜12
の一価炭化水素基であり、eは2又は3の整数であり、
fは4〜6の整数である。)で示されるカチオン型開始
剤を挙げることができる。一般式(III )で示されるM
f -は任意の種類のイオン種であり、好ましくはSbF
6 -,AsF 6 -,BF4 -及びPF6 -から選択される。カチ
オン型開始剤の具体例としては、テトラフルオロホウ
酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロヒ酸及びヘ
キサフルオロアンチモン酸のジフェニルヨードニウム
塩;テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘ
キサフルオロヒ酸及びヘキサフルオロアンチモン酸のト
リフェニルスルホニウム塩などを挙げることができる。
【0035】ラジカル型開始剤とカチオン型開始剤はそ
れぞれ単独で用いてもよいしあるいは両者を併用して用
いてもよい。また、ラジカル型開始剤とカチオン型開始
剤は、同一の型のものを2種以上併用して用いてもかま
わない。
【0036】紫外線感応性光開始剤(d)成分の使用割
合は、被覆用組成物100重量%中0.1〜5重量%で
ある。使用割合が0.1重量%未満においては硬化性が
不十分であり、均一な硬化被膜の形成ができなくなった
り、逆に5重量%を超えて用いた場合、硬化被膜に着色
を生じたりすることがある。
【0037】本発明の被覆用組成物には、必要に応じて
有機溶剤、(b)成分以外の単量体、例えば1分子中に
1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体、
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を
有する多官能性単量体などの重合性単量体;紫外線吸収
剤、酸化防止剤、熱重合防止剤などの安定剤;レベリン
グ剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料分散剤、耐電
防止剤、防曇剤などの界面活性剤類;酸、アルカリ及び
塩類などから選ばれる硬化触媒等を適宜配合して用いて
もよい。
【0038】有機溶剤は被覆用組成物の均一溶解性、分
散安定性、更には成形品に対する密着性及び被膜の平滑
性、均一性などの面から配合して用いられる。有機溶剤
は特に限定されるものではなく、上記性能を発揮できる
ものであればよい。有機溶剤の具体的な例としては、エ
タノール、i−プロピルアルコール、n−プロピルアル
コール、i−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール
などのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン
などのケトン類、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エ
チル、酢酸n−ブチル、酢酸イソ−アミルなどのエステ
ル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセ
ロソルブなどの多価アルコール誘導体などが挙げられ
る。これらの有機溶剤は1種を単独で用いてもよいし、
また2種以上を併用してもよい。
【0039】なお、耐候性改善の目的で紫外線吸収剤も
しくはヒンダードアミン系光安定剤の使用、または両者
の併用が好ましい。これらを使用することにより、得ら
れた被膜の耐候性、例えば暴露による被膜の耐黄変性、
光沢及び透明性の保持、耐クラッキング性あるいは合成
樹脂成形品基材に対する密着性の保持などが更に改良さ
れる。
【0040】本発明において使用される紫外線吸収剤は
特に限定されるものではなく、被覆用組成物中に均一に
溶解し、かつその耐候性が良好なものであれば使用する
ことが可能であるが、この点からベンゾフェノン系、ベ
ンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、安息香酸
フェニル系、シアノアクリレート系化合物から誘導され
たもので、その最大吸収波長が240〜380nmの範囲
である紫外線吸収剤が好ましい。特に合成樹脂成形品が
ポリカーボネート樹脂の場合、成形品表面の劣化防止、
例えば耐黄変性改良等について紫外線吸収剤の配合は特
に好ましい。
【0041】本発明の被覆用組成物を、例えば合成樹脂
成形品表面などに塗布する方法としては、刷毛塗り、流
し塗り、スプレー塗布、回転塗布あるいは浸漬塗布など
の方法が採用されるが、被覆用組成物の塗布作業性、被
膜の平滑性、均一性、被膜の基材に対する密着性などの
面から浸漬塗布法が好ましく、成形品の形状に対する適
用性の面からはスプレー塗布法が特に好ましい。
【0042】被覆用組成物の塗布量としては、硬化被膜
の膜厚が1〜30μm、好ましくは3〜10μmの範囲
に塗布するのがよい。膜厚が1μm未満の場合は十分な
表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性が得られず、30μmを
超える場合は、基材との密着性が低下したり、被膜にク
ラックが発生しやすくなったりする。
【0043】合成樹脂成形品表面に塗布された被膜を硬
化させる手段としては、α,β及びγ線などの活性エネ
ルギー線を照射する方法も適用できるが、本発明の被覆
用組成物を硬化させる手段としては紫外線を用いること
が好ましい。紫外線発生光源としては実用的、経済性の
面から紫外線ランプが用いられ、具体的には、低圧水銀
ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノン
ランプ、メタルハライドランプなどが挙げられる。紫外
線照射の露光雰囲気としては、窒素、炭酸ガス、アルゴ
ンガスなどの不活性ガスを用いてもよいし、通常の空気
雰囲気中であってもかまわない。また、合成樹脂成形品
表面に塗布された被膜を紫外線で硬化させる前に、被膜
の密着性向上等を目的として赤外線あるいは熱風乾燥炉
を用いて、20℃〜120℃の温度範囲で1分〜60分
間の熱処理を行ってもさしつかえない。
【0044】本発明において、耐摩耗性、耐擦傷性に優
れた合成樹脂成形品の製造に用いられる合成樹脂成形品
としては熱可塑性、熱硬化性樹脂を問わず、各種合成樹
脂成形品、例えばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリアリルジグリコールカーボネー
ト樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレ
ン共重合樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリア
クリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリメタクリルイミ
ド樹脂などから製造されるシート状成形品、フィルム状
成形品、ロッド状成形品ならびに各種射出成形品などが
挙げられる。これらの成形品のなかでもポリメチルメタ
クリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリ
ルイミド樹脂などから製造される成形品は、光学的性
質、耐熱性、耐衝撃性などの特性を活かして使用される
場合が多く、かつ耐摩耗性、耐擦傷性、耐久性、耐候性
改良への要求も強いので、これらの成形品は本発明に使
用される合成樹脂成形品としては特に好ましいものであ
る。
【0045】
【実施例】本発明について以下の実施例で更に詳細に説
明する。なお、実施例中の評価は次のような方法で行っ
た。また、実施例中の「部」,「%」は重量基準であ
る。 1.耐摩耗性、耐擦傷性 (1)スチールウール擦傷試験 #000スチールウール(日本スチールウール(株)製
品,ボンスターRを25φ円形パッドに装着し、往復式
摩耗試験機台上に保持された試料表面にこのパッドを置
いて荷重1000g下で100回往復擦傷した。この試
料を中性洗剤を用いて洗浄し、ヘーズメーターを用いて
曇価を測定した。耐擦傷性は(擦傷後の曇価−擦傷前の
曇価)で示される。 (2)テーバー摩耗試験 ASTMD・1044に準拠して行った。摩耗輪CS−
10F,荷重500g,摩耗回数300サイクルの条件
で、スチールウール擦傷試験と同様に曇価で示される。 2.密着性 試料表面にカミソリで縦,横それぞれ11本の1.5mm
間隔で成形品基材に達する傷を入れ、100個のます目
をつくり、セロハンテープ(幅25mm、ニチバン社製)
をます目に対して圧着させて上方に急激にはずす。密着
性の評価は以下のようにして行った。
【0046】〇…同一ヵ所について3回テストしたとこ
ろ、全く剥離が認められない。
【0047】△…同一ヵ所について3回テストしたとこ
ろ、50個未満のます目の剥離が認められた。
【0048】×…同一ヵ所について3回テストしたとこ
ろ、50〜100個のます目の剥離が認められた。 3.外観 (1)透明性 ヘーズメーターを用いて曇価を示す。 (2)クラック 目視で観察し、以下の判定基準とした。
【0049】〇…クラックの発生なし、 △…若干クラックの発生あり、 ×…無数のクラックの発生あり、 4.熱水性テスト 80℃の熱水に2時間浸漬し、次いで熱水から取出した
後、室温で1時間放置後、2項に準拠して密着性につい
て評価した。 5.耐候性テスト Q.U.V(Qパネル社のUVテスター)を用い、紫外
線照射4時間(雰囲気温度65℃)−凝結4時間(雰囲
気温度45℃)を1サイクルとして、1000時間加速
暴露試験を行った。暴露終了サンプルについて被膜のク
ランクを目視にて観察し、密着性については2項に準拠
して評価した。
【0050】アクリル系共重合体(1)〜(5)の調製 撹拌機及び冷却器付の反応容器を窒素置換しながらトル
エン150g、酢酸n−ブチル50gを仕込み、80℃
に昇温後、表1に示す単量体混合物300gとアゾビス
イソブチロニトリル6g及びn−ドデシルメルカプタン
1.5gを約2時間かけて滴下し撹拌反応させた。さら
にアゾビスイソブチロニトリル1.5gを加え、90℃
に昇温し5時間撹拌反応させ、反応完了直前にメチルエ
チルケトン100gを加え、反応を終了した。得られた
共重合体は不揮発分50%で、重量平均分子量が1.2
万〜3万であった。
【0051】
【表1】 実施例1 撹拌機、冷却管付1l4ツ口フラスコ反応容器に、γ−
メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商
品名A−174,日本ユニカー製)124gを仕込み、
これを撹拌しながら、0.001N塩酸水溶液27gを
投入し、次にイソプロパノール分散コロイダルシリカ
(SiO2 濃度30重量%、商品名IPA−ST,日産
化学製)515gを徐々に投入し、最後にアクリル系共
重合体(1)を51.5g(不揮発分25.75g)を
投入した。
【0052】この混合物を常温で1時間撹拌した後、反
応系を減圧状態にし、45〜50℃で揮発分を留出させ
た。留出開始から約30分経過後、反応系の粘度が増大
し始めた時点で留出を終了した。反応系から留出した揮
発分の重量は300gであった。次いで反応系の温度を
昇温し、残留揮発分を還流しながら80℃で2時間撹拌
しながら反応させた。得られた反応物は淡かつ色状の粘
稠な透明液体であった。
【0053】この反応物を1昼夜室温で放置し熟成した
後、これを100g計量し、光重合開始剤メチルフェニ
ルグリオキシレート0.5gとベンゾフェノン0.5
g、有機溶剤イソブタノール160g、酢酸n−ブチル
40g、エチルセロソルブ40gを加え、撹拌し透明な
被覆用組成物を調製した。
【0054】この被覆用組成物を用いてメタクリル樹脂
射出成形板3mm厚、100×100mm(商品名アクリペ
ット−VH001色調クリヤー,三菱レイヨン(株)
製)にスプレー塗布し、被膜を形成させた後、室温雰囲
気中で20分間放置し溶剤を蒸発させた。次いでこれを
空気雰囲気中において高圧水銀灯(アイグラフイック
(株)製)を用い1500mg/cm2(波長320〜38
0nmの紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、硬
化膜厚8μmの耐摩耗性メタクリル樹脂板を得た。 実施例2 アクリル系共重合体(5)を用いた以外は実施例1に準
拠して耐摩耗性メタクリル樹脂板を得た。このときの硬
化膜厚は7μmであった。 実施例3 実施例1で用いた反応容器に、ビニルトリメトシキシラ
ン(商品名A−171,日本ユニカー製)124gを仕
込み、これを撹拌しながら、0.001規定塩酸水溶液
45gを投入し、次にイソプロパノール分散コロイダル
シリカ515gを徐々に投入し、最後にアクリル系共重
合体(1)51.5gを仕込んだ。この混合物を常温で
5時間撹拌した後、1昼夜放置して熟成させた。
【0055】次にこの熟成液が入っている反応系を減圧
状態にし、約40℃で揮発分を留出させた。留出開始か
ら約30分経過後、反応系の粘度が増大し始めた時点で
留出を終了した。反応系から留出した揮発分の重量は3
20gであった。次いで反応系の温度を昇温し、残留揮
発分を還流しながら、80℃で2時間撹拌し反応させ
た。得られた反応物は淡かつ色状粘稠な透明液体であっ
た。この反応物を用いて、実施例1に準じて被覆用組成
物を調製した。実施例1のセッティング条件を80℃で
10分間、紫外線照射量2000mj/cm2に変更した以
外は実施例1に準じて処理し、硬化膜厚7μmの耐摩耗
性メタクリル樹脂板を得た。参考 例4 実施例1で用いた反応容器に、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン(商品名A−187,日本ユニカ
ー製)118gを仕込み、これを撹拌しながら蒸留水2
7gを投入し、次いでイソプロパノール分散コロイダル
シリカ500gを徐々に投入し、最後にアクリル系共重
合体(1)を60gを投入した。この混合物を常温で1
時間撹拌した後、反応系の温度を昇温し、揮発分を還流
させながら5時間反応させた。得られた反応液はややピ
ンク状に着色した粘稠透明液体であった。この反応液を
一夜熟成した後、光開始剤として、ヘキサフルオロヒ酸
ジフェニルヨードニウム2gを添加し被覆用組成物を調
製した。この被覆用組成物を用い、実施例1の基材に浸
漬塗布した後、室温で30分間放置し、次いで空気雰囲
気中で1500mj/cm2の紫外線を照射し、硬化膜厚5
μmの耐摩耗性メタクリル樹脂板を得た。参考 例5 実施例1で用いた反応容器に、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルトリメトキシシラン80gとγ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン60gを仕込み、これを
撹拌しながら0.001N塩酸水溶液31.1gを投入
し、次いでイソプロパノール分散コロイダルシリカ50
0gを徐々に投入し、最後に表1のアクリル共重合体I
を60g投入した。この混合物を参考例4に準じて反応
させ、得られた反応物に光開始剤ベンゾインプロピルエ
ーテル1gとヘキサフルオロヒ酸ジフェニルヨードニウ
ム1gを添加し被覆用組成物を調製した。この被覆用組
成物を用い参考例4に準じて処理し、硬化膜厚5.5μ
mの耐摩耗性メタクリル樹脂板を得た。 実施例6 実施例1の仕込み組成を以下の通りに変更した。
【0056】 γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 124g 0.001N塩酸水溶液 27g イソ−プロパノール分散コロイダルシリカ 434g アクリル系共重合体(1) 100g 上記の仕込み組成で実施例1に準じて反応させ、かつ色
状透明粘稠液体を得た。これを用いて実施例1と同様な
被覆用組成物を調製した。実施例1に準じて処理し硬化
膜厚8μmの耐摩耗性メタクリル樹脂板を得た。 実施例7 実施例1の反応物100gに、メチルフェニルグリオキ
シレート0.5g、ベンゾフェノン0.5g加え、紫外
線吸収剤として2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
3.4gと、イソブタノール160g、酢酸n−ブチル
40g、エチルセロソルブ40gを加え撹拌し被覆用組
成物を調製した。
【0057】次にこの被覆用組成物を用いてポリカーボ
ネート樹脂射出成形板3mm厚、100×100mm(商品
名レキサンLS−2 色調クリヤー,ゼネラルエレクト
リック製)にスプレー塗布し、被膜を形成させた後、乾
燥機中80℃で10分間セッティングした。次いでこれ
を空気雰囲気中で高圧水銀灯を用い、2500mj/cm 2
の紫外線を照射し、硬化膜厚7μmの耐摩耗性ポリカー
ボネート樹脂板を得た。 実施例8 実施例1の仕込み組成で、この混合物を常温下で1時間
撹拌した。次いで反応系の温度を昇温し、揮発分を還流
させながら3時間撹拌した後、1夜熟成して反応生成物
を調製した。この反応生成物にベンゾインイソ−プロピ
ルエーテル1.2g、ベンゾフェノン1.8gを加え被
覆用組成物を調製した。これを用いて実施例4の紫外線
照射料を2000mj/cm2 に変更した以外は実施例4に
準じて処理し、硬化膜厚6μmの耐摩耗性メタクリル樹
脂板を得た。 実施例9 実施例1の仕込み組成で、この混合物を常温下で20時
間撹拌した後、室温で1週間放置し熟成させた。この熟
成液を用いて実施例8に準じて被覆用組成物の調製と処
理を行い硬化膜厚6μmの耐摩耗性メタクリル樹脂板を
得た。 比較例1〜3 アクリル系共重合体を変更した以外は実施例1に準じて
反応液を調製した。用いたアクリル系共重合体と得られ
た反応液の外観は以下の通りである。
【0058】 比較例1…アクリル共重合体(2) 濁りのある低粘度液体 比較例2… 〃 (3) 濁りのある比較的高粘度液体 比較例3… 〃 (4) 透明かっ色状ワックス状態 得られた反応物を用い実施例1に準じて被覆用組成物を
調製し、実施例1と同様な条件で処理し耐摩耗性メタク
リル樹脂板を得た。処理品の膜厚は7〜8μmであっ
た。 比較例4 実施例1の反応容器に、γ−メタクリロイルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン124gと0.001N規定塩
酸水溶液27g及びイソプロパノール分散コロイダルシ
リカ515gを仕込み、常温で1時間撹拌後、更に揮発
分を還流させながら4時間撹拌した。得られた反応物は
淡桃色状低粘度透明液体であった。この反応物を用い実
施例8に準じて被覆用組成物を調製と処理を行い硬化膜
厚5μmの耐摩耗性メタクリル樹脂板を得た。 比較例5 実施例1の反応容器にγ−メタクリロイルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン248gと0.001N規定塩酸
水溶液54gを仕込み、更にアクリル系共重合体(1)
を103gを添加し、常温で20時間撹拌後、1夜室温
下で放置した。次にこの反応液100gにメチルフェニ
ルグリオキシレート0.7gとベンゾフェノン0.7
g、イソプロピルアルコール50gを添加し、被覆用組
成物を調製した。この被覆用組成物を用い実施例8に準
じて処理を行い膜厚6μmの耐摩耗性メタクリル樹脂板
を得た。 比較例6 撹拌機、冷却管付1l4ツ口フラスコ反応容器に、γ−
メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商
品名A−174,日本ユニカー製)124gを仕込み、
これを撹拌しながら、0.001N塩酸水溶液27gを
投入し、次にイソ−プロパノール分散コロイダルシリカ
(SiO2 濃度30重量%、商品名IPA−ST,日産
化学(株)製)515gを徐々に投入し、最後に1,6
−ヘキサンジオールジアクリレートを51.5gを投入
した。
【0059】この混合物を常温で1時間撹拌した後、反
応系を減圧状態にし、45〜50℃で揮発分を留出させ
た。留出開始から約30分経過後、反応系の粘度が増大
し始めた時点で留出を終了した。反応系から留出した揮
発分の重量は300gであった。次いで反応系の温度を
昇温し、残留揮発分を還流しながら80℃で2時間撹拌
しながら反応させた。得られた反応物は淡黄色状粘稠透
明液体であった。
【0060】この反応物を1昼夜室温で放置し熟成した
後、これを100g計量し、光重合開始剤メチルフェニ
ルグリオキシレート0.5gとベンゾフェノン0.5
g、有機溶剤イソブタノール160g、酢酸n−ブチル
40g、エチルセロソルブ40gを加え、撹拌し透明な
被覆用組成物を調製した。
【0061】この被覆用組成物を用いてメタクリル樹脂
射出成形板3mm厚、100×100mm(商品名アクリペ
ット−VH001色調クリヤー,三菱レイヨン(株)
製)にスプレー塗布し、被膜を形成させた後、室温雰囲
気中で20分間放置し溶剤を蒸発させた。次いでこれを
空気雰囲気中において高圧水銀灯(アイグラフイック
(株)製)を用い1500mg/cm2(波長320〜38
0nmの紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、硬
化膜厚8μmの耐摩耗性メタクリル樹脂射出成形板を得
た。
【0062】以上の実施例および比較例で得られた結果
を表2に示した。
【0063】
【表2】
【0064】
【発明の効果】本発明の被覆用組成物を用いて得られた
耐摩耗性合成樹脂成形品は、耐摩耗性、耐擦傷性に優れ
ているばかりでなく、基材に対する密着性についても優
れるものであり、耐久性、耐候性の要求の強い自動車関
連部品、特に前照灯用レンズカバーやテールランプある
いはサイドランプなどの用途に特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河口 貴司 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社 商品開発研 究所内 (72)発明者 竹本 修 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社 商品開発研 究所内 (56)参考文献 特開 昭64−4664(JP,A) 特開 昭64−69673(JP,A) 特開 平3−47854(JP,A) 特表 昭57−500984(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 1/00 - 201/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)一次粒径が1〜200nmのシリ
    カ粒子からなるコロイダルシリカ5〜80重量%、 (b)下記一般式(I) 【化1】 (式中、XはCH2=CH−COO−、CH2=C(CH
    3)−COO−又はCH2=CH−基、R1は単結合又
    価の炭化水素基、R2及びR3は一価の炭化水素基、a
    は1〜3の整数、bは0〜2の整数、a+bは1〜3の
    整数を表わす。)で示される単量体の一種以上の加水分
    解、縮合反応生成物5〜80重量%、 (c)アクリル酸及び/又はメタクリル酸の炭素数1〜
    8のアルキルエステルに由来する構造単位を10〜90
    重量%含み、水酸基価が10〜300mgKOH/gのア
    クリル系共重合体1〜30重量%、および (d)紫外線感応性光開始剤0.1〜5重量%からなる
    被覆用組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の被覆用組成物を合成樹脂
    成形品の表面に塗布し、紫外線を照射することによって
    合成樹脂成形品の表面に架橋硬化被膜を形成することを
    特徴とする合成樹脂成形品の表面改質方法。
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