JP6585744B2 - 塗料用組成物、塗膜および塗料用組成物の製造方法 - Google Patents
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本発明は、
(1)塗膜を形成するための塗料に用いられる塗料用造膜剤であり、線状(メタ)アクリル系ポリマーの樹脂粒子を含み、前記線状(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸を含む(メタ)アクリル系モノマーを70質量%以上含むモノマー成分が重合したポリマーであり、
前記樹脂粒子は、粒子径が10μm〜5mmである、塗料用造膜剤。
CH2=C(CH3)COOR1 (I)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を示す)
で表されるメタクリル酸エステルである、(2)記載の塗料用造膜剤。
R2Si(OH)3 (II)
(式中、R2は、炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−(メタ)アクリルオキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基またはγ−クロロプロピル基を示す)
で表されるオルガノヒドロキシシランまたはその部分縮合物を含む、(7)記載の塗料用組成物。
CH2=C(CH3)COOR1 (I)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を示す)
で表されるメタクリル酸エステルである、(11)記載の塗料用造膜剤の製造方法。
本発明の一実施形態の塗料用造膜剤は、塗膜を形成させるために塗料用組成物に用いられる造膜剤である。塗料用造膜剤は、線状(メタ)アクリル系ポリマーの樹脂粒子を含む。線状(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸を含む(メタ)アクリル系モノマーを70質量%以上含むモノマー成分が重合したポリマーである。樹脂粒子は、粒子径が10μm〜5mmである。以下、それぞれについて説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。「線状(メタ)アクリル系ポリマー」における「線状」とは、ポリマーが実質的に架橋構造を有しないこと、より具体的には、モノマー成分における架橋性モノマーの含有量が5質量%以下であることを意味する。
CH2=C(CH3)COOR1 (I)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を示す)
で表されるメタクリル酸エステルを含むことが好ましい。
式(I)において、R1は、炭素数1〜10のアルキル基である。R1は、炭素数1〜8のアルキル基でることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。R1の具体例は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル、2−エチルヘキシルなどである。
本発明の一本実施形態の塗料用組成物は、上記塗料用造膜剤とコロイダルシリカとオルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物とを含む。
R2Si(OH)3 (II)
(式中、R2は、炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−(メタ)アクリルオキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基またはγ−クロロプロピル基を示す)
で表されるオルガノヒドロキシシラン、上記オルガノヒドロキシシランの部分縮合物などが挙げられる。本実施形態の塗料用組成物を用いて形成される塗膜の耐溶剤性、耐水性、耐薬品性、光沢保持率などを高める観点から、オルガノヒドロキシシランは、メチルトリヒドロキシシランが80質量%以上含むことが好ましい。
R2Si(OR3)3 (III)
(式中、R2は、上記と同じであり、R3は、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を示す)
で表されるオルガノアルコキシシランを酸性のコロイダルシリカ中で加水分解させることによって得ることができる。
冷却管、攪拌機、温度計および滴下ロートを備えた200mL容の4つ口丸底フラスコ内に、0.04%ポリビニルアルコール〔日本合成化学工業(株)製、商品名:ゴーセノール(登録商標)GH20〕水溶液80gを添加して75℃に加熱した。
重量平均分子量の測定装置として、オンラインデカッサ〔東ソー(株)製、品番:SD8022〕、デュアルポンプ〔東ソー(株)製、品番:DP-8020〕、カラムオーブン〔東ソー(株)製、品番:CO-8020〕および示差屈折計〔東ソー(株)製、品番:RI-8020〕からなる高速GPC装置に、GPCカラム〔東ソー(株)製、品番:G1000HXL〕1本、GPCカラム〔東ソー(株)製、品番:G2000HXL〕1本、GPCカラム〔東ソー(株)製、品番:G3000HXL〕1本およびGPCカラム〔東ソー(株)製、品番:G5000HXL〕1本を用い、流量1.0mL/min、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを用い、カラム温度を40℃に調整して単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、樹脂粒子を構成している樹脂の重量平均分子量を測定した。
デジタルマイクロスコープ〔(株)ナカデン製、型番:MX−1200〕にて樹脂粒子を観察し、最大粒子と最小粒子の粒子径を測定した。
製造例1において、モノマーの組成を表1に示すように変更し、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルの量を0.6gに変更したこと以外は、製造例1と同様にしてビーズ状の樹脂粒子を調製し、得られた樹脂粒子を塗料用造膜剤として用いた。得られた樹脂粒子を構成している樹脂の重量平均分子量を製造例1と同様にして測定した。結果を表1に併記する。
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
St:スチレン
ADVN:2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(重合開始剤)
製造例1において、重合開始剤としてジラウロイルパーオキサイド〔(株)日油製、商品名:パーロイルL〕0.2gを用いたこと以外は、製造例1と同様にしてビーズ状の樹脂粒子19gを得た。得られた樹脂粒子を構成している樹脂の重量平均分子量は590000であり、樹脂粒子の粒子径は0.1〜1.0mmの範囲内にあった。この樹脂粒子を塗料用造膜剤Fとして用いた。
冷却管、攪拌機および温度計を備えた500mL容の3つ口丸底フラスコ内に、イソプロパノールで分散させたオルガノシリカゾル溶液(オルガノシリカの濃度:30質量%)45gおよびイオン交換水22gを添加し、充分に撹拌し、アンモニア水でpHを4に調節した後、得られた混合溶液にメチルトリメトキシシラン100gを添加し、室温で1時間程度撹拌し、次いで攪拌しながら約1時間で80℃の温度に加熱することにより、シラン縮合物Aを得た。
冷却管、攪拌機および温度計を備えた500mL容の3つ口丸底フラスコ内に、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル100g、1規定塩酸5gおよびイオン交換水60gを添加して充分に撹拌した。
冷却管、攪拌機および温度計を備えた100mL容の3つ口丸底フラスコ内に、塗料用造膜剤A11g、シラン縮合物A67gおよびシクロヘキサノン13gを添加した後、フラスコ内の内容物を80〜90℃の温度に加熱し、1時間攪拌し、各成分を充分に溶解させることにより、塗料用組成物Aを得た。
実施例1において、フラスコ内に添加した成分を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗料用組成物を得た。
CN:シクロヘキサノン
EGMBE:エチレングリコールモノn−ブチルエーテル
冷却管、攪拌機、温度計および窒素ガス吹き込み管を備えた200mL容の4つ口丸底フラスコ内に、メチルメタクリレート16g、ブチルメタクリレート16g、メタクリル酸2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6gおよびエチレングリコールモノn−ブチルエーテル60gを添加し、混合しながら重合開始剤としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル0.1gをこのフラスコ内に添加し、窒素ガス雰囲気下にて90℃で重合させ、アクリル樹脂溶液a100gを得た。得られたアクリル樹脂溶液aは、室温で液状を呈するものであり、粒子状を有するものではなかった。
比較製造例1において、モノマーの組成を表3に示すように変更したこと以外は、比較製造例1と同様にしてアクリル樹脂溶液bを得た。得られたアクリル樹脂溶液bは、室温で液状を呈するものであり、粒子状を有するものではなかった。
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
冷却管、攪拌機、温度計および窒素ガス吹き込み管を備えた200mL容の4つ口丸底フラスコ内に、メチルメタクリレート20g、ブチルメタクリレート20g、メタクリル酸2.5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7.5gおよびトルエン50gを添加し、混合しながら重合開始剤としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル0.12gをこのフラスコ内に添加し、窒素ガス雰囲気下にて90℃で重合させ、アクリル樹脂溶液(以下、樹脂溶液cという)100gを得た。得られた樹脂溶液cは、室温で流動性がほとんどなく、粒子状を有するものではなかった。
実施例1において、樹脂粒子Aを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして塗料用組成物を調製した。
実施例1において、フラスコ内に添加した成分を表4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗料用組成物を得た。
CN:シクロヘキサノン
EGMBE:エチレングリコールモノn−ブチルエーテル
製造例1において、モノマーの組成を表5に示すように変更したこと以外は、製造例1と同様の操作を行なった。その結果、比較製造例4〜7ではビーズ状の樹脂粒子が得られたが、比較製造例7では、樹脂粒子の内部で架橋反応が進行したため、溶媒に溶解しないことから、分子量の測定ができなかった。
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
GMA:グリシジルメタクリレート
St:スチレン
調製例1で得られたシラン縮合物A100gに増粘剤としてセルロース系増粘剤〔日本曹達(株)製、商品名:NISSO HPC−M〕2gを溶解させて塗料用組成物を得た。
比較例5において、セルロース系増粘剤〔日本曹達(株)製、商品名:NISSO HPC−M〕の量を1gに変更したこと以外は、比較例5と同様にして、塗料用組成物を得た。
実施例1において、フラスコ内に添加した成分を表6に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして調製したところ、沈殿物が生じるかまたは樹脂粒子が溶解しなかったため、表6に示すように粘度Aおよび粘度Bを測定することができなかった。
CN:シクロヘキサノン
EGMBE:エチレングリコールモノn−ブチルエーテル
各実施例および参考例3で得られた塗料用組成物を脱脂処理が施されたアルミニウム板(A5052P、縦:30mm、横:100mm、厚さ:1mm)にバーコーターで塗膜の厚さが15〜25μm程度となるよう塗布し、このアルミニウム板を機内温度が180℃の乾燥機中で20分間加熱することによって塗膜を硬化させ、硬化膜が形成された試験片を得た。
形成された塗膜を目視により観察した。
エタノールまたはメチルエチルケトン(以下、MEKという)を含ませたフエルトを試験片の塗膜に50回擦った後、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
○:塗膜に異状が見られなかった。
△:塗膜に傷があった。
×:塗膜が溶解した。
(A)耐酸性
液温が25℃の1N塩酸中に試験片を浸漬し、24時間経過した後、その塗膜を目視にて確認した。
(B)耐アルカリ性
飽和炭酸カルシウム水溶液中に試験片を浸漬し、24時間経過後、その塗膜を目視にて観察した。
上記(A)または(B)を行なった後、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
○:塗膜に異状が見られなかった。
△:塗膜が白化した。
×:塗膜に著しい異状が見られた。
JIS K5600に規定の塗料一般試験方法に準じて塗膜の鉛筆硬度を調べた。
アルミニウム板(A5052P、縦:30mm、横:100mm、厚さ:1mm)をディップコート法によって実施例1で得られた塗料用組成物中に浸漬することにより、アルミニウム板に塗料用組成物を塗布し、100℃の雰囲気中で乾燥させることにより、試験片Aを得た。得られた試験片Aの表面には、膜厚が70μmの透明な塗膜が形成されていた。
実施例1〜4および比較例5〜6で得られた塗料用組成物を脱脂処理が施されたアルミニウム板(A5052P、縦:30mm、横:100mm、厚さ:1mm)にバーコーターで塗膜の厚さが表8に示す厚さとなるように塗布し、このアルミニウム板を機内温度が180℃の乾燥機中に入れ、20分間加熱することによって塗膜を硬化させ、硬化膜を形成させた。
〔光沢保持率(%)〕=(〔浸漬後の光沢度〕÷〔浸漬前の光沢度〕)×100
に基づいて光沢保持率を求めた。また、アルミニウム板を沸騰水中に24時間浸漬した後の塗膜を目視にて観察した。結果を表8に示す。
Claims (14)
- 塗料用造膜剤と、コロイダルシリカと、オルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物とを含み、
前記塗料用造膜剤は、
塗膜を形成するための塗料に用いられる塗料用造膜剤であり、
線状(メタ)アクリル系ポリマーの樹脂粒子を含み、
前記線状(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸を含む(メタ)アクリル系モノマーを70質量%以上含むモノマー成分が重合したポリマーであり、
前記モノマー成分は、前記(メタ)アクリル酸5〜50質量%を含み、
前記樹脂粒子は、粒子径が10μm〜5mmである、塗料用組成物。 - 前記(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸およびメタクリル酸エステルを含む、請求項1記載の塗料用組成物。
- 前記メタクリル酸エステルは、式(I):
CH2=C(CH3)COOR1 (I)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を示す)
で表されるメタクリル酸エステルである、請求項2記載の塗料用組成物。 - 前記モノマー成分は、式(I)で表されるメタクリル酸エステル50〜95質量%を含む、請求項3記載の塗料用組成物。
- 前記樹脂粒子は、前記モノマー成分が懸濁重合された粒子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料用組成物。
- 線状(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、10000〜1500000である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料用組成物。
- 塗料用造膜剤と、コロイダルシリカと、オルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物とを含み、
前記塗料用造膜剤は、
塗膜を形成するための塗料に用いられる塗料用造膜剤であり、
線状(メタ)アクリル系ポリマーの樹脂粒子を含み、
前記線状(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸を含む(メタ)アクリル系モノマーを70質量%以上含むモノマー成分が重合したポリマーであり、
前記樹脂粒子は、粒子径が10μm〜5mmであり、
前記オルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物は、式(II):
R2Si(OH)3 (II)
(式中、R2は、炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−(メタ)アクリルオキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基またはγ−クロロプロピル基を示す)
で表されるオルガノヒドロキシシランまたはその部分縮合物を含む、
塗料用組成物。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗料用組成物が硬化された、塗膜。
- (メタ)アクリル酸を含む(メタ)アクリル系モノマーを70質量%以上含有するモノマー成分を懸濁重合して、粒子径が10μm〜5mmである線状(メタ)アクリル系ポリマーの樹脂粒子を作製する工程を含む塗料用造膜剤の製造方法によって塗料用造膜剤を作製する工程と、
得られた塗料用造膜剤と、コロイダルシリカと、オルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物とを含む塗料用組成物を得る工程を含み、
前記モノマー成分は、前記(メタ)アクリル酸を5〜50質量%含む、塗料用組成物の製造方法。 - 前記(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸およびメタクリル酸エステルを含む、請求項9記載の塗料用組成物の製造方法。
- 前記メタクリル酸エステルは、式(I):
CH2=C(CH3)COOR1 (I)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を示す)
で表されるメタクリル酸エステルである、請求項10記載の塗料用組成物の製造方法。 - 前記モノマー成分は、式(I)で表されるメタクリル酸エステル50〜95質量%を含む、請求項11記載の塗料用組成物の製造方法。
- 線状(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、10000〜1500000である、請求項9〜12のいずれか1項に記載の塗料用組成物の製造方法。
- (メタ)アクリル酸を含む(メタ)アクリル系モノマーを70質量%以上含有するモノマー成分を懸濁重合して、粒子径が10μm〜5mmである線状(メタ)アクリル系ポリマーの樹脂粒子を作製する工程を含む塗料用造膜剤の製造方法によって塗料用造膜剤を作製する工程と、
得られた前記塗料用造膜剤と、コロイダルシリカと、オルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物とを含む塗料用組成物を得る工程とを含み、
前記オルガノアルコキシシラン部分加水分解縮合物は、式(II):
R 2 Si(OH) 3 (II)
(式中、R 2 は、炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−(メタ)アクリルオキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基またはγ−クロロプロピル基を示す)
で表されるオルガノヒドロキシシランまたはその部分縮合物を含む、塗料用組成物の製造方法。
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