JP3197808U - リアシート構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚みが小さくとも優れた衝撃吸収性能を確保することができ、しかも触り心地や乗り心地を向上させることができるリアシート構造を提供する。【解決手段】自動車のリアシート1のシートバック3に内装され、車幅方向の中央部分10Aが両側部分10Bより薄いシートパッド10を備え、シートパッドのうち少なくとも中央部分10Aは、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂からなる発泡体で構成されている。【選択図】図1
Description
本考案は、自動車のリアシートのシートバックに内装されるシート芯材を改良したリアシート構造に関する。
従来、自動車のリアシートは、自動車の後部座席に乗車する乗員が座るためのものであり、主としてシートクッションとそのシートクッションの後部一端側から上方に向けて立設されるシートバック、いわゆる背もたれとで構成されている。
上記シートクッション及びシートバックには、乗員の乗り心地や座り心地を良好に保つとともに、走行時の振動に伴う沈み込みによる乗員の保護を図るために衝撃吸収性能に優れた材質からなるシート芯材が内装されている。
特許文献1には、シートパッドの例が示されている。この特許文献1には、長時間の走行においても、乗員の臀部が過度に沈み込むことなく、頻繁なクラッチ操作によっても股の下部が痛くならないようにした自動車用シートパッドが示されている。この自動車用シートパッドは、シートフレームに取り付けられ、シートクッション及びシートバックを構成するメインパッドと、そのメインパッドの表面側の一部に配設されるとともに、そのメインパッドよりも硬度が低いインサートパッドとを備えて構成されている。
従来のシートパッドは、通常、多孔性の弾性材料からなる発泡体のウレタンフォームで構成されている。このウレタンフォームは、例えば、イソシアナート化合物とポリオール化合物との反応により得られるポリウレタン樹脂を構成成分とするウレタン原液を原料としている。そして、この原料を成形型内へ注入し、イソシアナート化合物と架橋剤として用いられる水との反応により生成される二酸化炭素(CO2)又は揮発性溶剤を発泡剤として加え、これにより原料を発泡硬化させることにより得られている。
しかしながら、リアシートの裏側(シートクッションの位置と反対側)で、かつ自動車の車幅方向における中央部分では、自動車の構造上、自動車のフレームが車内側に突出している場合がある。そのため、前記リアシートの中央部分において、上記従来のウレタンフォームからなるシート芯材の厚みが車幅方向の両側部分に比べて薄くなるために、衝撃吸収性能が低下するおそれがあった。
本考案は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、厚みが小さくとも衝撃吸収性能に優れ、触り心地や乗り心地にも優れたリアシート構造を提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、本考案に係るリアシート構造は、自動車のリアシートのシートバックに内装され、車幅方向の中央部分が両側部分より薄厚なシート芯材を備えたリアシート構造であって、前記シート芯材のうち少なくとも前記中央部分は、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂からなる発泡体で構成されていることを特徴としている。
本考案では、リアシートのシートバックの薄厚な中央部分のシート芯材にポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂からなる発泡体が用いられているので、その中央部分においてエネルギー吸収量が大きくなり、衝撃吸収性能を高めることができる。そのため、中央部分よりも肉厚な両側部分と同等の衝撃吸収性能を確保することができる。
しかも、この複合樹脂からなる発泡体は、例えばウレタン等に比べて軽量な素材であることからシートバックの軽量化を図ることができる。
しかも、この複合樹脂からなる発泡体は、例えばウレタン等に比べて軽量な素材であることからシートバックの軽量化を図ることができる。
また、本考案に係るリアシート構造は、前記中央部分は前記複合樹脂で構成され、前記両側部分はチップウレタンで構成された複合構造をしていることが好ましい。
この場合には、例えばシートバックの中央部分の後側に自動車のフレームが配置される構造の場合において、その中央部分のみを衝撃吸収性能の高い前記複合樹脂からなる発泡体により構成し、前記フレームの無い両側部分を例えばチップウレタン等の従来の部材で構成することができる。
また、本考案に係るリアシート構造は、前記シート芯材は、前記シートバックの後側に配置され、かつ車内側に突出する自動車のフレームを嵌合される嵌合凹部が形成され、該嵌合凹部が形成される部分が他の部分よりも薄肉に形成されていることが好ましい。
この場合には、例えばシートバックの中央部分の後側において、自動車のフレームが車内側に突出し、シートバックが肉薄となる場合であっても、その中央部分において例えばチップウレタンが使用される両側部分と同等な衝撃吸収を得ることができる。
本考案のリアシート構造によれば、厚みが小さくとも優れた衝撃吸収性能を確保することができ、しかも触り心地や乗り心地を向上させることができる。
以下、本考案の実施の形態によるリアシート構造について、図面に基づいて説明する。
図1乃至図3に示すように、実施の形態による自動車のリアシート1は、自動車の後部側に乗車する乗員が座るためのもので、周知のリアシートと同様に、シートクッション2と、シートバック3と、ヘッドレスト4とで構成されている。
シートクッション2は、リアシート1に座る乗員の下半身が載置される部分である。なお、このシートクッション2にも、不図示のクッションフレームでシートクッションが形付けられているとともに、その表面側の表皮部材の内側にはクッションの役目を果たすチップウレタン等からなるシートパッド10(シート芯材)が内装されている。
シートバック3は、シートクッション2の後部一端側から上方に向けて立設されている。このシートバック3は、シートバックフレーム(図示せず)でシートクッション2が形づけられている。このシートバック3のうち乗員の背が当接される前面全体が表皮部材3aで覆われている。表皮部材3aの材料は、皮革等の乗員の触り心地や乗り心地等を考慮して決められている。
図2に示す2点鎖線は、自動車のフレームFであり、このフレームFにリアシート1が取り付けられている。
図2に示す2点鎖線は、自動車のフレームFであり、このフレームFにリアシート1が取り付けられている。
ヘッドレスト4は、シートバック3の上端部に一体的に設けられていて、リアシート1に着席した乗員の頭部の後側を心地よく支えられるようにクッション性を保つ材料で構成されている。
シートパッド10は、車幅方向に略3分割されており、その中央部分10Aが両側部分10Bよりも薄厚に形成されている。
シートパッド10の中央部分10Aは、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂のピオセラン(登録商標、積水化成品工業株式会社製)からなる発泡体で構成されていて、図3及び図4に示されるように、全体形状は縦長の直方体状を呈している。その一面の前面部10aは、ほぼ扁平に形成されていて、乗員の上半身が凭れかかることができるように形成されている。すなわち、シートパッド10の前面部10a形状は、乗員の背をその乗員に違和感を与えることなく受け止めることが可能となるように形成されている。
シートパッド10の中央部分10Aは、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂のピオセラン(登録商標、積水化成品工業株式会社製)からなる発泡体で構成されていて、図3及び図4に示されるように、全体形状は縦長の直方体状を呈している。その一面の前面部10aは、ほぼ扁平に形成されていて、乗員の上半身が凭れかかることができるように形成されている。すなわち、シートパッド10の前面部10a形状は、乗員の背をその乗員に違和感を与えることなく受け止めることが可能となるように形成されている。
また、シートパッド10の中央部分10Aを挟んだ両側部分10B、10Bは、それぞれチップウレタンからなる発泡体で構成され、図3及び図4に示す中央部分10Aの形状とほぼ同様で縦長の直方体状を呈している。
図4に示すように、シートパッド10の後面部10bは、自動車のフレームF(図2参照)の形状に対応させた形状に形成され、このフレームFの前方に突出する突起部を嵌合可能な嵌合凹部12が形成されている。シートパッド10は、嵌合凹部12が形成される部分において他の部分よりもさらに薄肉に形成されている。
また、図4に示すように、シートパッド10の後面部10bの中心部分には、例えば直径12mm程度の有底穴11が設けられている。有底穴11の深さ寸法は、成形性を考慮した深さに設定されている。このような有底穴11を設けることにより、反対面(意匠面)から荷重が加わった際に、製品が変形することを防止することができる。この原理としては、荷重が加わった際に、製品が変形しようとする応力を有底穴の箇所で緩和(逃がす)する作用がある。
シートパッド10の中央部分10Aのピオセランは、例えば発泡倍率が30倍であり、チップウレタンの11倍に比べて発泡倍率が高く、優れた衝撃吸収性能を有している。
また、ピオセランからなる中央部分10Aの重量は、チップウレタンからなる両側部分10Bに比べて1/3程度と軽量化されている。
また、ピオセランからなる中央部分10Aの重量は、チップウレタンからなる両側部分10Bに比べて1/3程度と軽量化されている。
ピオセランにより構成されるシートパッド10の中央部分10Aは、例えば予備発泡装置にて予備発泡させた後、発泡成形装置の金型内に充填し、蒸気加熱成形することにより製造することができる。
一方、チップウレタンにより構成されるシートパッド10の両側部分10Bは、チップ状の発泡ウレタンに接着剤等を噴霧した後、ウレタンチップフォーム製造機でを使用して製造することができる。
一方、チップウレタンにより構成されるシートパッド10の両側部分10Bは、チップ状の発泡ウレタンに接着剤等を噴霧した後、ウレタンチップフォーム製造機でを使用して製造することができる。
ここで、ピオセランの具体的な性能について、図5の静圧縮特性を示すグラフを用いて説明する。
図5に示すように、衝撃吸収性能について、発泡倍率が30倍のピオセランからなる発泡体の場合には、例えば歪20%のときのエネルギー吸収率(吸収応力)が略0.18MPaとなり、従来のチップウレタンの場合が略0.3MPaであるのに比べて略6倍と格段に大きいことが実験により確認されている。なお、図5において、グラフ面積がエネルギー吸収量に相当している。
図5に示すように、衝撃吸収性能について、発泡倍率が30倍のピオセランからなる発泡体の場合には、例えば歪20%のときのエネルギー吸収率(吸収応力)が略0.18MPaとなり、従来のチップウレタンの場合が略0.3MPaであるのに比べて略6倍と格段に大きいことが実験により確認されている。なお、図5において、グラフ面積がエネルギー吸収量に相当している。
次に、上述した構成のリアシート構造の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図4に示すように、本実施の形態では、リアシート1のシートバック3の薄厚な中央部分10Aのシートパッド10にピオセラン(ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂)からなる発泡体が用いられているので、その中央部分10Aにおいてエネルギー吸収量が大きくなり、衝撃吸収性能を高めることができる。そのため、中央部分10Aよりも肉厚な両側部分10Bと同等の衝撃吸収性能を確保することができる。
したがって、本実施の形態のようにシートパッド10の中央部分10Aの後側において、自動車のフレームFが車内側に突出し、中央部分10Aが肉薄となる場合であっても、その中央部分10Aにおいてチップウレタンが使用される両側部分10Bと同等の衝撃吸収力を得ることができる。
図1乃至図4に示すように、本実施の形態では、リアシート1のシートバック3の薄厚な中央部分10Aのシートパッド10にピオセラン(ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂)からなる発泡体が用いられているので、その中央部分10Aにおいてエネルギー吸収量が大きくなり、衝撃吸収性能を高めることができる。そのため、中央部分10Aよりも肉厚な両側部分10Bと同等の衝撃吸収性能を確保することができる。
したがって、本実施の形態のようにシートパッド10の中央部分10Aの後側において、自動車のフレームFが車内側に突出し、中央部分10Aが肉薄となる場合であっても、その中央部分10Aにおいてチップウレタンが使用される両側部分10Bと同等の衝撃吸収力を得ることができる。
しかも、ピオセランからなる発泡体は、例えばウレタン等に比べて軽量な素材であることからシートバック3の軽量化を図ることができる。
また、本実施の形態では、シートパッド10の中央部分10Aの後側において、フレームFが車内側に突出し、そのフレームFを嵌合する嵌合凹部12が形成されていて中央部分10Aが肉薄となるが、上述したように中央部分10Aにおいてチップウレタンが使用される両側部分10Bと同等な衝撃吸収を得ることができる。
上述のように本実施の形態によるリアシート構造では、リアシートのシートパッド10の厚みが小さくとも優れた衝撃吸収性能を確保することができ、しかも触り心地や乗り心地を向上させることができる。
以上、本考案によるリアシート構造の実施の形態について説明したが、本考案は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では、シートパッド10の車幅方向の略1/3を中央部分10Aとしているが、このような車幅方向の長さ寸法に限定されることはない。また、シートパッド10の中央部分10Aおよび両側部分10Bの厚さ寸法についてもとくに制限されるものではなく、中央部分10Aが両側部分10Bよりも薄厚に形成されている構成であれば、前記厚さ寸法を適宜設定することができる。
例えば、本実施の形態では、シートパッド10の車幅方向の略1/3を中央部分10Aとしているが、このような車幅方向の長さ寸法に限定されることはない。また、シートパッド10の中央部分10Aおよび両側部分10Bの厚さ寸法についてもとくに制限されるものではなく、中央部分10Aが両側部分10Bよりも薄厚に形成されている構成であれば、前記厚さ寸法を適宜設定することができる。
また、本実施の形態では、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂からなる発泡体として、ピオセランを採用し、さらにその発泡倍率を30倍としているが、ピオセランに限定されることはなく、他のポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂を用いることも可能である。また、ピオセランの発泡倍率が30倍でなくてもかまわない。
さらに、本実施の形態では、シートバック3の両側部分10Bはチップウレタンが採用されているが、この両側部分10Bにおいてもピオセランで構成することも可能である。要は、シートバック3のシートパッド10のうち少なくとも中央部分10Aがポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂からなる発泡体で構成されていれば良いのである。
さらにまた、リアシート1のシートクッション2、シートバック3、ヘッドレスト4の各部の形状、寸法に関しては本実施の形態に限定されることはない。
その他、本考案の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1 リアシート
2 シートクッション
3 シートバック
3a 表皮部材
4 ヘッドレスト
10 シートパッド(シート芯材)
10A 中央部分
10B 両側部分
10a 前面部
10b 後面部
11 有底穴
12 嵌合凹部
F フレーム
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Claims (3)
- 自動車のリアシートのシートバックに内装され、車幅方向の中央部分が両側部分より薄厚なシート芯材を備えたリアシート構造であって、
前記シート芯材のうち少なくとも前記中央部分は、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂からなる発泡体で構成されていることを特徴とするリアシート構造。 - 前記中央部分は前記複合樹脂で構成され、前記両側部分はチップウレタンで構成された複合構造をしていることを特徴とする請求項1に記載のリアシート構造。
- 前記シート芯材は、前記シートバックの後側に配置され、かつ車内側に突出する自動車のフレームを嵌合される嵌合凹部が形成され、該嵌合凹部が形成される部分が他の部分よりも薄肉に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリアシート構造。
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