JP3193134B2 - 空気調和機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は室内機と室外機とを有す
るスプリット型の空気調和機に係り、特に、室外ユニッ
トの側面に外気吸込口を開口させて背面を閉じた空気調
和機に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、この種の空気調和機は室内機に
室外機を冷媒配管を介して接続して冷媒を循環させる閉
じた冷凍サイクルを構成しており、室外機の室外ユニッ
トを、角筒状に形成している。このために、従来から、
室外ユニットを室外に設置する場合は、この室外ユニッ
トの背面を建屋外壁等の取付面に密着させることによ
り、納まりを良好にして外観上の美観を高めると共に、
設置スペースを節約する要請がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の空気調和機では室外ユニットの背面に外気吸
込口を開口させているので、この室外ユニットの背面を
建屋外壁に密着させた場合には、この外壁により外気吸
込口が閉じられるので、室外ユニット内への外気吸込量
が著しく減少して熱交換能力が低下する上に、室外ファ
ンの負担が増大するので、その消費電力が増大する。

【０００４】そこで本発明はこのような事情を考慮して
なされたもので、その目的は、外気吸込量を減少させず
に建屋外壁等の壁面に室外機の背面を密着させて設置す
ることができる空気調和機を提供することにある。

【０００５】また、他の目的は、室外機の熱交換能力な
いし効率を高めることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために次のように構成される。

【０００７】本願発明は、室内機に室外機を冷媒配管を
介して接続して冷媒を循環させる閉じた冷凍サイクルを
構成する空気調和機において、前記室外機は、前面部に
空気吐出口を開口すると共に、左右一対の側面部に外気
吸込口をそれぞれ開口させ、これら開口を連通させる通
風路を内部に形成する室外ユニットと、この室外ユニッ
ト内の中央部後方側にその周囲を半円状の中央仕切体で
仕切られて配設されるコンプレッサと、前記左右一対の
外気吸込口に連通する前記室外ユニット内通風路にそれ
ぞれ収容されそのそれぞれ一端側が前中央仕切体の左右
端部に連接し全体形状が外方に凸の円弧状をなす左右一
対の室外側熱交換器と、前記空気吐出口の内方にて前記
室外ユニット内に収容されて前記外気吸込口より外気を
吸い込むと共に、この吸込空気を前記室外側熱交換器に
通風させてから前記空気吐出口より外部へ吐出させる軸
流ファンよりなる室外ファンと、を有し、上記各室外側
熱交換器は、冷媒を通す複数のパイプを一列に配列し、
このパイプ列の外周に、複数のフィンを直交するように
装着し、これらのパイプを、その中心軸を含む平面方向
に所要形状に折曲すると共に、これらの各パイプの中心
軸を、前記フィンの中心軸よりもその折曲方向内方へ偏
心させたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】本発明によれば、室外側熱交換器のフィンの向
きが室外ファンに向くように室外熱交換器が全体にわた
り湾曲し、かつ中央仕切体が通風路のガイドとなるた
め、スムーズな風の流れを導き、熱交換効率を向上させ
ると共に、静かな運転を確保できる。

【０００９】また、パイプの中心軸をフィンの中心軸よ
りも折曲方向内方へ偏心させているので、この折曲部内
方で隣り合うフィン同士が接触して通風を阻止するのを
防止することができ、熱交換能力を高めることができ
る。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。

【００１１】図１は本願第１の発明の一実施例の平断面
図、図２は図１の一部切欠半裁正面図であり、図におい
て、空気調和機は室外機１に図示しない冷媒配管を介し
て室内機に接続して冷媒を循環させる閉じた冷凍サイク
ルを構成している。

【００１２】室外機１は有底角筒状の室外ユニット２内
に、例えば縦置ロータリ型等のコンプレッサ３、左右一
対の円弧状の室外側熱交換器３ａ，３ｂ、室外ファン
４、アキュムレータ５、インバータ６、その他必要機器
を内蔵している。

【００１３】室外ユニット２はその前面板２ａに空気吐
出口７を開口する一方、左右一対の側面板２ｂ，２ｃに
外気吸込口８ａ，８ｂをそれぞれ開口させており、これ
ら外気吸込口８ａ，８ｂを空気吐出口７に連通させる通
風路９を内部に形成している。

【００１４】また、室外ユニット２はその背面板２ｄと
図２で示す天板２ｅのほぼ全面を閉じており、背面板２
ｄの上端部には壁面吊下げ用の左右一対の据付ボルト１
０ａ，１０ｂを左右に所要の間隔を置いて内側から締め
付けるように取り付けている。

【００１５】そして、室外ユニット２はその底板２ｆの
ほぼ中央部上にコンプレッサ３を立設し、その周囲を半
円状の中央仕切板１１により仕切り、コンプレッサ３の
上端部を上下仕切板１２に固定している。上下仕切板１
２上にはインバータ６を固定している。インバータ６は
コンプレッサ３と室外ファン４のファンモータ４ａに電
気的に接続している。

【００１６】中央仕切板１１より前方の底板２ｆの前面
部上には室外ファン４を配設しており、この室外ファン
４はファンモータ４ａの回転軸に、多翼で薄型のプロペ
ラファン４ｂを取り付けて軸流ファンに構成されてい
る。

【００１７】そして、一対の空気吸込口８ａ，８ｂより
内方の底板２ｆの側面部上には全体形状が外方に凸の円
弧状の左右一対の室外側熱交換器３ａ，３ｂを立設して
通風路９上に配設しており、アキュムレータ５を前面板
２ａのベルマウスの内側に形成している。

【００１８】一対の室外側熱交換器３ａ，３ｂはフィン
チューブ型熱交換器よりなり、例えば円弧状の銅製の複
数のパイプ３ａ，３ｂを上下方向に所要の間隔を置いて
複数段並設して縦１列に配列し、これらパイプ列の外周
に、アルミニウム製等の縦長薄板状の複数のフィン４ａ
…，４ｂ…を軸方向に所要のピッチで直交するように装
着している。

【００１９】室外機１はこのように構成されているの
で、この室外機１が運転されると、室外ユニット２の左
右一対の外気吸込口８ａ，８ｂから、その内部の通風路
９へ外気がそれぞれ吸い込まれ、さらに、この通風路９
上の左右一対の室外側熱交換器３ａ，３ｂをそれぞれ通
風して、その際に熱交換される。ここで熱交換された空
気はさらに前面の空気吐出口７から外気へ吐出される。

【００２０】したがって本実施例によれば、室外ユニッ
ト２の左右両側面に外気吸込口８ａ，８ｂを開口して、
その背面板２ｄを閉じているので、この背面板２ｄの外
面を建屋外壁等の外面に密着させて室外機１を設置する
ことができる。このために室外機１の設置スペースを節
約することができる上に、納まりを良くして外観上の美
観を高めることができる。

【００２１】また、外気吸込口８ａ，８ｂを閉じずに室
外機１を設置できるので、通風路９上の通風量の低下を
防止できる。このために、一対の室外側熱交換器３ａ，
３ｂでの熱交換能力の低下を防止することができると共
に、室外ファン４の負担を軽減して、その消費電力を節
約することができる。

【００２２】さらに、左右一対の室外側熱交換器３ａ，
３ｂを通風路９上に配設するので、室外側熱交換器３
ａ，３ｂの外表面の面積を拡大して熱交換能力を高める
ことができる。

【００２３】また、左右２台の室外側熱交換器３ａ，３
ｂを外気吸込口８ａ，８ｂの近傍の左右２箇所に配設し
ているので、通風量を低減させずに熱交換面積を増大さ
せて熱交換能力を高めることができる。

【００２４】さらにまた、比較的重量のあるコンプレッ
サ３を室外ユニット２のほぼ中央部上に配置しているの
で、室外ユニット２の持運びや壁面吊下時等には極めて
安定性がよい。

【００２５】また、コンプレッサ３の下端を底板２ｆに
固定する一方、上端を上下仕切板１２に固定するので、
コンプレッサ３の回転振動を低減して騒音を低減でき
る。

【００２６】室外ファン４はそのプロペラ４ｂを多翼薄
型に構成すると共に、そのファンモータ４ａを室外ユニ
ット４のほぼ中央部に配置するので、室外ユニット２の
奥行き寸法を縮小して薄型化を図ることができる。

【００２７】さらに、前面板２ａを取り外すことによ
り、室外ユニット２の内側から、壁面吊下げ用の据付ボ
ルト１０ａ，１０ｂを締め付ける作業が可能であり、室
外ユニット２の吊り下げを簡単にすることができる。

【００２８】図３、図４は前記室外側熱交換器３ａ，３
ｂの他の実施例を示しており、この実施例の室外側熱交
換器１３は冷媒を通す複数のパイプ１３ａをほぼＬ字状
に折曲すると共に、これらパイプ１３ａの外周に装着す
る複数のフィン１３ｂの幅方向長さを従来例よりも拡幅
した点等に特徴がある。

【００２９】つまり、室外側熱交換器１３は冷媒を通す
Ｌ字状の複数のパイプ１３ａを図５に示すように垂直方
向に所要のピッチＰＰで縦１列に並設し、これらパイプ
１３の軸方向両端部を、Ｕ字状のベンド管により隣り合
うもの同士を接続して１本の蛇管に構成している。

【００３０】また、これらパイプ１３の外周にはこれと
直交する例えばアルミニウム製等の縦長薄板状の複数の
フィン１３ｂ，１３ｂ…を、軸方向に所要のピッチで取
り付けている。

【００３１】各フィン１３ｂの幅方向寸法ＷＦ は、例
えばパイプ１３ａの並設方向のピッチＰＰの１．１倍に
形成されており、パイプ１３ａを１列に設けた従来例の
幅方向長さよりも若干拡幅している。

【００３２】ちなみに、パイプ列が１列の従来の室外側
熱交換器ではフィンの幅ＷＦＯが例えばパイプピッチＰ
Ｐの３^１／２ ／２倍であり、パイプ列が２列の従来の
室外側熱交換器の幅方向の寸法は前記従来例の幅方向寸
法ＷＦＯの２倍に形成されている。

【００３３】そして、図４に示すように本実施例の室外
側熱交換器１３はパイプ１３ａの中心軸Ｏｐ を、各フ
ィン１３ｐ の中心軸Ｏｆ よりも、Ｌ字状折曲方向へ
若干偏心させており、図５中の各部の寸法を例えば次の
（１）式が成立するように設定している。

【００３４】

【数１】

【００３５】このために、図４に示すように室外側熱交
換器１３のＬ字状折曲部Ｂの内側では、隣り合うフィン
１３ｂ，１３ｂ同士が接触するのを防止することができ
るので、この折曲部Ｂ内側においても空気を通風させて
熱交換することができる。

【００３６】したがって、このように構成された室外側
熱交換器１３を暖房運転すると、パイプ１３ａ内を低温
の液冷媒が流れて蒸発し、その蒸発の際に外気から熱を
吸熱する。

【００３７】このとき、外気中の水分がフィン１３ｂの
外表面で結露し、さらに、凍結して着霜すると、熱交換
能力が低下する。

【００３８】しかし、本実施例の室外側熱交換器１３
は、そのフィン１３ｂの幅寸法ＷＦを、１列パイプ型の
従来の室外側熱交換器のフィン幅ＷＦＯ寸法よりも拡幅
して外表面面積を増大させているので、その分、フィン
１３ｂの外気との伝熱能力が向上し、フィン温度は高く
なる。このために、フィン１３ｂの結露や凍結が低減
し、除霜の必要性も低下する。

【００３９】また、フィン１３ｂの外表面に着霜が発生
した場合でも、そのフィン１３ｂの外表面の面積が従来
例のものよりも広いので、その着霜の厚さが薄い。この
ために、この室外側熱交換器１３を通風する通風量の減
少を低く抑制することができるので、熱交換能力の低下
も少なく、長時間暖房運転が可能となる。つまり、除霜
運転の頻度を少なくして暖房能力ないし効率を高めるこ
とができる。

【００４０】このような効果はフィンの幅を拡幅した従
来の２列パイプ型熱交換器についても得られるが、この
従来例では除霜運転時に２列分のパイプを加熱して着霜
を溶かす必要があるので、却って除霜に必要な熱量が増
加してしまい、除霜運転時間が長くなる。この除霜運転
中は暖房運転が中断されるので、暖房能力ないし効率が
低下する。

【００４１】これに対し、本実施例の室外側熱交換器１
３は、パイプ列が１列であるので、このような２列パイ
プ型の従来例の欠点もない。

【００４２】つまり、この室外側熱交換器１３は暖房能
力ないし効率を高めることができる。

【００４３】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、室外側熱
交換器のフィンの向きが室外ファンに向くように室外熱
交換器が全体にわたり湾曲し、かつ中央仕切体が通風路
のガイドとなるため、スムーズな風の流れを導き、熱交
換効率を向上させると共に、静かな運転を確保できる。

【００４４】しかも、各パイプの中心軸をフィンの中心
軸よりも折曲方向内方へ偏心させているので、この折曲
部内方で隣り合うフィン同士が接触して通風が阻止され
るのを防止して熱交換能力が低下するのを防止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願第１の発明に係る室外機の部分平断面図。

【図２】図１の一部切欠半裁正面図。

【図３】本願第２の発明に係る室外側熱交換器の一部省
略斜視図。

【図４】図１で示す室外ファンと図３で示す室外側熱交
換器の平面図。

【図５】図３と図４で示す室外側熱交換器の要部正面
図。

【符号の説明】

１ 室外機 ２ 室外ユニット ２ａ 前面板 ２ｂ，２ｃ 左右の側面板 ２ｄ 背面板 ３ コンプレッサ ３ａ，３ｂ 左右一対の室外側熱交換器 ４ 室外ファン ５ アキュムレータ ６ インバータ ７ 空気吐出口 ８ａ，８ｂ 外気吸込口 ９ 通風路 １１ 中央仕切板 １３ 室外側熱交換器 １３ａ パイプ １３ｂ フィン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F24F 5/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 室内機に室外機を冷媒配管を介して接続
   して冷媒を循環させる閉じた冷凍サイクルを構成する空
   気調和機において、前記室外機は、前面部に空気吐出口
   を開口すると共に、左右一対の側面部に外気吸込口をそ
   れぞれ開口させ、これら開口を連通させる通風路を内部
   に形成する室外ユニットと、この室外ユニット内の中央
   部後方側にその周囲を半円状の中央仕切体で仕切られて
   配設されるコンプレッサと、前記左右一対の外気吸込口
   に連通する前記室外ユニット内通風路にそれぞれ収容さ
   れそのそれぞれ一端側が前中央仕切体の左右端部に連接
   し全体形状が外方に凸の円弧状をなす左右一対の室外側
   熱交換器と、前記空気吐出口の内方にて前記室外ユニッ
   ト内に収容されて前記外気吸込口より外気を吸い込むと
   共に、この吸込空気を前記室外側熱交換器に通風させて
   から前記空気吐出口より外部へ吐出させる軸流ファンよ
   りなる室外ファンと、を有し、上記各室外側熱交換器
   は、冷媒を通す複数のパイプを一列に配列し、このパイ
   プ列の外周に、複数のフィンを直交するように装着し、
   これらのパイプを、その中心軸を含む平面方向に所要形
   状に折曲すると共に、これらの各パイプの中心軸を、前
   記フィンの中心軸よりもその折曲方向内方へ偏心させた
   ことを特徴とする空気調和機。