JP3192790B2 - 溶鋼処理用密閉容器の内張り耐火物の加熱・乾燥方法 - Google Patents

溶鋼処理用密閉容器の内張り耐火物の加熱・乾燥方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、RH脱ガス装置、DH
脱ガス装置、蓋脱ガス用取鍋等の耐火物により内張りさ
れた密閉鉄皮構造を有する溶鋼処理用密閉容器の内張り
耐火物の加熱・乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】耐火物により内張りされた鉄皮構造の溶
鋼処理用容器には、加熱・乾燥を促進するため、一般に
その鉄皮に蒸気孔が設けられている。しかしながら、高
級鋼を溶製するために必要不可決な設備である溶鋼中の
脱水素処理を行うRH脱ガス装置、DH脱ガス装置、蓋
脱ガス用取鍋等の容器の鉄皮には、真空処理を行うため
蒸気孔がなく、密閉鉄皮構造の容器となっている。
【0003】また、内張り用耐火物としては、省力化及
び省人化のため従来のれんが積み施工よりも流し込み材
を使用した一体施工の方が有利であり、このため不定形
ライニングが主流となっており、高炉樋、取鍋、タンデ
ィッシュなどの内張りとして広く使用されている。
【0004】しかしながら、いずれの容器も蒸気孔を有
する開放容器であり、密閉容器に施工した流し込み材の
加熱・乾燥は困難とされていた。これが困難であるとし
ても、密閉容器においては、溶鋼中の脱水素処理などを
行わせるため加熱・乾燥終了後の内張り耐火物中の残留
水分を極力減少させる必要がある。
【0005】この種溶鋼処理用容器の内張り耐火物の乾
燥方法として、(A) 耐火ライニング保有容器の耐火物を
加熱・乾燥するに際して、鉄皮に設けた蒸気孔部分を予
め減圧して予備的に脱水し、続いて減圧しながら加熱・
乾燥するか或いは加熱・乾燥中にこの蒸気孔部分を減圧
し、発生蒸気を該蒸気孔部分から除去する乾燥方法及び
装置(特開平3−217791号公報参照)、及び、(B) 不定
形耐火物にてライニングされた容器内部を予め真空保持
するか又は加熱乾燥中に真空保持する乾燥方法及び装置
(特開平4−116379号公報参照)、が従来より提案され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
上記(A)の乾燥方法及び装置は、蒸気孔を有する開放容
器に関するものであり、真空処理を行うための密閉容器
を対象とするものではない。一方、上記(B)は、容器自
体に蒸気抜き孔を有しない密閉容器をも対象とするもの
であるが、この乾燥方法及び装置は、容器の上部から真
空吸引装置により該容器内部を真空保持するようにした
ものである。
【0007】ところで、密閉容器における内張り流し込
み材或いはれんがモルタルに含まれる水分を加熱・乾燥
する場合、加熱面側及び背面側から大多数の水分が水蒸
気として除去される。従来の前記(B)の乾燥方法では、
密閉容器の上部から真空吸引装置により該容器内部を真
空保持するようにしたものであるため、背面側の水蒸気
は、パ−マれんがを伝わり上部の開放部より外部に放出
されるものの、この放出時間が非常に長いという欠点を
有しており、必ずしも満足できる乾燥方法ではない。
【0008】一方、高級鋼を溶製するために真空脱ガス
処理による溶鋼中の水素除去を行う場合、密閉容器の内
張り耐火物中に残留する水分量を加熱・乾燥過程におい
て極力低減する必要がある。そこで、密閉容器に内張り
された耐火物の乾燥効率を向上させ、特に背面側の水蒸
気を迅速に除去し得る加熱・乾燥方法が今日強く望まれ
ている。
【0009】本発明は、上記要望に沿う溶鋼処理用密閉
容器の内張り耐火物の加熱・乾燥方法を提供することを
目的とし、詳細には、密閉容器の内張り耐火物の乾燥効
率を向上させ、残留水分量を低減し得る加熱・乾燥方法
を提供すること、特に背面側の水分、水蒸気を迅速に除
去し得る溶鋼処理用密閉容器の内張り耐火物の加熱・乾
燥方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】そして、本発明は、(1)
第1に、密閉容器の鉄皮に予め吸引孔を穿孔し、この吸
引孔を介して強制吸引しつつ加熱・乾燥することを特徴
とし、また、(2) 第2に、密閉容器の内張り耐火物とし
て耐食性及び耐スラグ浸潤性を有するアルミナ・スピネ
ル質流し込み材、特にアルミナリッチなスピネルクリン
カ−からなる流し込み材を用い、この流し込み材を密閉
容器の鉄皮に設けた吸引孔を介して強制吸引しつつ加熱
・乾燥することを特徴とし、これにより上記目的とする
加熱・乾燥方法を提供するものである。
【0011】即ち、本発明は、第1に、「蒸気孔を有し
ない鉄皮構造の密閉容器にライニングした耐火物を加熱
・乾燥するに際して、該密閉容器の底部鉄皮に設けた吸
引孔を介して強制吸引しつつ加熱・乾燥することを特徴
とする溶鋼処理用密閉容器の内張り耐火物の加熱・乾燥
方法。」を要旨とし、また、第2に、「上部側壁にMg
O−Cれんがを、下部側壁にアルミナリッチなスピネル
質流し込み材を、敷部にハイアルミナ質れんがをそれぞ
れ施工し、ハイアルミナれんがと断熱れんがの2層構造
のパ−マからなる蒸気孔を有しない鉄皮構造の密閉容器
のライニング材を加熱・乾燥するに際して、該密閉容器
の底部鉄皮に設けた吸引孔を介して強制吸引しつつ加熱
・乾燥することを特徴とする溶鋼処理用密閉容器の内張
り耐火物の加熱・乾燥方法。」を要旨とする。
【0012】以下、本発明を図1に基づいて詳細に説明
する。図1は、本発明で対象とする好適な耐火物をライ
ニングした密閉鉄皮構造の溶鋼処理用密閉容器の縦断面
図であって、ライニングとしては、上部側壁にMgO−
Cれんが2を、下部側壁にアルミナ・スピネル質流し込
み材3を、敷部にハイアルミナ質れんが4をそれぞれ施
工し、そして、鉄皮1押さえを溶接したケ−シング構造
から構成されている。一方、パ−マは、ハイアルミナれ
んが4と断熱れんが5の2層構造からなり、この断熱れ
んが5により溶鋼温度の低下防止及び鉄皮1の温度上昇
を抑制するように構成されている。
【0013】図1に示す溶鋼処理用密閉容器において、
内張り流し込み材(アルミナ・スピネル質流し込み材
3)或いはれんがモルタルに含まれている水分を加熱・
乾燥する場合、上部より燃焼バ−ナ−(図示せず)を用
いて加熱・乾燥する。この際、加熱面側及び背面側から
大多数の水分が水蒸気として除去されるが、本発明で
は、予め底部鉄皮1に吸引孔(図示せず)を穿孔し、加
熱・乾燥時にこの吸引孔を介して真空ポンプ(図示せ
ず)にて上記水蒸気、特に背面側の水蒸気を強制吸引す
ることを特徴とする。
【0014】本発明において、前記密閉容器の底部鉄皮
に設けられる吸引孔の具体的な位置及び数については特
に限定するものでないが、鉄皮1の下部敷コ−ナ−部の
適当位置に複数個設けるのが好ましい。また、加熱・乾
燥条件としては、30℃/時間以上例えば50℃/時間程度
の昇温速度が好ましく、これにより乾燥時間の短縮及び
乾燥効率の向上を図ることができ、さらに加熱・乾燥時
に生ずるライニング材の内部発生蒸気圧(内部応力)に
よる爆裂現象を抑制することができる。更に、吸引条件
としては、これも特に限定するものでないが、吸引孔を
介して真空ポンプにて密閉容器内部を0.5Torr程度に減
圧するのが好ましく、これにより特に背面側の水分、水
蒸気の低減に効果的である。
【0015】次に、溶鋼処理用密閉容器の内張り耐火物
(流し込み材)の材質について説明する。本発明者等
は、流し込み材の材質選定のため、供試材料として(1)
汎用のアルミナ・マグネシア・カ−ボン質れんが、(2)
上記(1)のれんがに匹敵する耐用性を示す各種アルミナ
・スピネル質流し込み材、(3) マグネシア・カ−ボン
質れんが、を使用し、後記する耐食性試験及び耐スラグ
浸潤性試験を行った。この供試材料の品質を表1に示
す。
【0016】
【表1】
【0017】表1中の流し込み材Aは、Al23=70%
の焼結スピネルと焼結アルミナとよりなるアルミナ・ス
ピネル質流し込み材であり、スピネルを25%使用してい
る。流し込み材Bは、流し込み材Aの焼結アルミナを電
融アルミナに置換したアルミナ・スピネル質流し込み材
である。流し込み材Cは、Al23=90%の焼結スピネ
ルを主体に使用したアルミナ・スピネル質流し込み材で
あり、流し込み材Dは、Al23=70%の焼結スピネル
とAl23=90%の焼結スピネルとを組み合せたスピネ
ル主体のアルミナ・スピネル質流し込み材である。
【0018】また、表1中のアルミナ・マグネシア・カ
−ボン質れんがEは、電融アルミナを使用した側壁部に
汎用されているれんがである。一方、表1中のマグネシ
ア・カ−ボン質れんがFは、電融マグネシアを使用した
スラグライン部に汎用されているれんがである。
【0019】各供試材料について、高周波誘導炉を用い
た耐食性試験及び耐スラグ浸潤性試験を行った。その結
果、アルミナ・スピネル質流し込み材A〜Dの耐食性
は、汎用のアルミナ・マグネシア・カ−ボン質れんがE
と同等以上であることを確認した。また、スピネルクリ
ンカ−として理論組成のスピネル原料を使用した流し込
み材よりも、アルミナリッチな組成のスピネル原料を使
用した流し込み材Cの耐食性及び耐スラグ浸潤性が優れ
ていることを確認した。
【0020】以上の試験結果より、本発明者等は、溶鋼
処理用密閉容器の内張り用耐火物(流し込み材)とし
て、アルミナリッチな組成のスピネル原料を使用したア
ルミナ・スピネル質流し込み材Cが好適であることを知
見した。
【0021】
【実施例】本発明における溶鋼処理用密閉容器として溶
鋼処理取鍋を挙げ、以下この取鍋の内張り耐火物の加熱
・乾燥方法について詳細に説明する。なお、溶鋼処理取
鍋は、蓋脱ガス処理を行う蒸気孔のない密閉取鍋容器で
あり、鋼に与える残留水分の影響及び乾燥方法がライニ
ングの不定形化の可否を左右するものである。そこで、
本発明の実施例としてモデル鍋を用いて実験し、以下に
詳記する“乾燥シュミレ−ションテストによるアルミナ
・スピネル質流し込み材の乾燥特性の評価及び残留水分
の定量試験”を行った。
【0022】(モデル鍋と実鍋との乾燥昇温速度関係)
施工を完了した流し込み材を乾燥する過程において、施
工体内部の自由水は加熱面からの熱によって水蒸気とな
り、基本的には加熱面の方向に拡散移動して施工体外へ
放出される。この時、内部発生蒸気圧による内部応力と
材料強度との相対関係により、爆裂現象が起こる場合が
ある。この内部発生蒸気圧は内部拡散するため、飽和蒸
気圧として取り扱うことはできない。
【0023】そこで、乾燥時における発生応力を計算し
やすくするため、単純な厚肉円筒形状のモデル鍋を用い
て検討を行った。取鍋の形状を単純化し円筒形容器と仮
定した場合、実鍋とモデル鍋との乾燥昇温速度の関係は
(1)式となる。 y=αx……(1)式 [ここで、y:実鍋乾燥昇温速度(℃/h) x:モデル鍋乾燥昇温速度(℃/h)]
【0024】(1)式のαは、実鍋とモデル鍋との寸法比
に依存する係数であり、次の(2)式により表される。 [ここで、R1’:実鍋の内半径(1350mm) R2’:実鍋の外半径(1500mm) R1 :モデル鍋の内半径(245mm) R2 :モデル鍋の外半径(395mm)] (2)式より計算すると、α=0.31となる。
【0025】図3に実鍋の乾燥昇温速度を示す。この図
に示すように実鍋の乾燥昇温速度は約30℃/hである。
しかしながら、本発明の実施例(実験例)では、乾燥時
間の短縮及び爆裂に対する安全性を考慮して、モデル鍋
において実鍋の乾燥昇温速度が50℃/hに相当する約16
0℃/h(α=0.31であることによる)の乾燥昇温速度
条件でテストを行った。
【0026】(モデル鍋のライニング)前掲の図1を参
照してモデル鍋のライニング構成を説明する。図1の溶
鋼処理用密閉容器では、前記したとおり、上部側壁にM
gO−Cれんが2を、下部側壁にアルミナ・スピネル質
流し込み材3を、敷部にハイアルミナ質れんが4をそれ
ぞれ施工したものであり、鉄皮1押さえを溶接したケ−
シング構造から構成されている。また、パ−マは、ハイ
アルミナれんが4と断熱れんが5の2層構造から構成さ
れている。
【0027】モデル鍋では、図1に示す下部側壁のアル
ミナ・スピネル質流し込み材3として、前記表1に示し
たアルミナ・スピネル質流し込み材Cを使用し、施工厚
みは150mmとした。また、上部側壁のMgO−Cれん
が2として、同じく前記表1に示したマグネシア・カ−
ボン質れんがFを施工した。更に、パ−マは、図1に示
すようにハイアルミナれんが4(施工厚み:65mm)と
断熱れんが5(施工厚み:40mm)との2層構成とし
た。
【0028】(モデル鍋の鉄皮構造)モデル鍋の鉄皮構
造として下記の2種の鍋を選定した。 (1) 実鍋を想定した蒸気孔のない密閉鉄皮構造の鍋(以
下“モデル鍋”という)。 (2) 残留水分の減少及び乾燥の効率化を図るべく、真空
ポンプにて強制吸引する孔を底部鉄皮の敷コ−ナ−部に
4個設けた鉄皮構造の鍋(以下“モデル鍋”とい
う)。
【0029】図2は、モデル鍋の横断面図であって、
上記(2)の底部鉄皮の敷コ−ナ−部に設置した吸引孔位
置を示す図である。図2中、1は鉄皮、3はアルミナ・
スピネル質流し込み材、4はハイアルミナれんが、5は
断熱れんがであり、6は吸引孔である。
【0030】(試験条件)モデル鍋(蒸気孔のない密
閉鉄皮構造の鍋)及びモデル鍋(吸引孔を4個設けた
鉄皮構造の鍋)に対する加熱・乾燥の試験条件は、次の
とおりである。 (1) 乾燥熱源:プロパン+空気 (2) 乾燥最高温度:700℃ (3) 乾燥昇温速度:160℃/h (4) 総乾燥時間:7.5h (5) 流し込み材使用量:600kg (6) 流し込み材施工水分量:5.0%
【0031】(測定項目)また、測定項目は、次の(1)
〜(3)とした。 (1) 熱電対による温度測定 (2) モデル鍋の重量変化 (3) 乾燥終了後の耐火物のIg.Loss値
【0032】図4及び図5に熱電対の設置位置を“○、
●、△、▲、□、■”で示す。なお、図4はモデル鍋
(蒸気孔のない密閉鉄皮構造の鍋)、図5はモデル鍋
(吸引孔を4個設けた鉄皮構造の鍋)を示したものであ
り、図中の符号1〜6は、前記図1及び図2のそれと同
一であるので省略する。
【0033】(試験結果) (1) 乾燥昇温曲線について 図6に密閉鉄皮構造下における乾燥昇温時の温度測定結
果(モデル鍋の場合)を示し、また、図7に真空ポン
プを用いた強制吸引下における乾燥昇温時の温度測定結
果(モデル鍋の場合)を示す。図6、図7の各曲線
は、図4、図5の熱電対の設置位置○、●、△、▲、
□、■にそれぞれ対応するものである。モデル鍋、モ
デル鍋のいずれの構造のものにおいても、図6、図7
に示す乾燥昇温時に流し込み材の爆裂及び亀裂の発生は
認められなかった。
【0034】また、図8、図9に乾燥方法を異にした場
合の流し込み材背部(図4、図5の●及び■位置)の温
度上昇パタ−ンの比較(モデル鍋とモデル鍋との比
較)を示し、さらに図10、図11にパ−マ部(図4、
図5の△及び▲位置)の温度上昇パタ−ンの比較(モデ
ル鍋とモデル鍋との比較)を示す。図8、図9より
明らかなように、流し込み材背部の温度上昇は、真空ポ
ンプを用いた乾燥方法(実線)と密閉鉄皮構造で真空ポ
ンプを用いない乾燥方法(点線)とでは、殆どその差異
は認められなく、ほぼ直線的な温度上昇を示す。
【0035】しかしながら、断熱れんが背部(図4、図
5の▲位置)の温度上昇は、図11から明らかなよう
に、真空ポンプを用いた乾燥方法(実線)では、温度上
昇が直線的であるのに比較して、密閉鉄皮構造で真空ポ
ンプを用いない乾燥方法(点線)では、100℃で平衡状
態を示す温度上昇パタ−ンとなる。即ち、真空ポンプを
用いた乾燥方法では、流し込み材からの水蒸気がパ−マ
部に移動後、真空ポンプによる強制吸引のため速やかに
外部に放出されるのに比較して、密閉鉄皮構造ではパ−
マ部で水蒸気の飽和状態が起こり、水蒸気の鍋上部から
の外部放出に時間を要することが理解できる。
【0036】(2) 重量変化について 図12に密閉鉄皮構造下(モデル鍋)及び真空ポンプ
を用いた強制吸引下((モデル鍋)における乾燥昇温
時のモデル鍋の重量変化を示す。重量減少は真空ポンプ
を用いた乾燥方法の方が大きく、また減少速度も速いこ
とが認められた。このことは、本発明のように真空ポン
プを用いた乾燥方法の方が脱水効率が高く、よりスム−
ズに乾燥昇温が行えることを示している。
【0037】(3) 乾燥終了後の耐火物のIg.Loss値につ
いて 図13に密閉鉄皮構造下(モデル鍋)及び真空ポンプ
を用いた強制吸引下(モデル鍋)における乾燥昇温終
了後の耐火物の部位別Ig.Loss値を示す。流し込み材のI
g.Loss値は0.6%以下と少ない。また、真空ポンプを用
いた乾燥方法の方が流し込み材及びパーマれんがともI
g.Loss値が低い。このことは、脱水効率は、乾燥方法に
より異なり、本発明のように真空ポンプを用いた強制吸
引法が乾燥の効率化及び残留水分低減面で有効であるこ
とを示唆している。
【0038】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、密閉容
器の底部鉄皮に予め吸引孔を穿孔し、この吸引孔を介し
て強制吸引しつつ加熱・乾燥することを特徴とし、これ
により密閉容器の内張り耐火物の乾燥効率が向上し、残
留水分量を低減し得る効果、特に背面側の水分、水蒸気
を迅速に除去し得る効果が生ずる。また、本発明の方法
で対象とする溶鋼処理用密閉容器において、その内張り
耐火物(流し込み材)として、アルミナリッチなスピネ
ルクリンカ−を使用した流し込み材を用いる方がスラグ
の浸潤が少なく良好であり、更に、本発明の方法におい
て、50℃/h程度の昇温速度で加熱・乾燥することが可
能であるなどの効果が生ずる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥法を実施するための密閉容器の一
例を示す縦断面図
【図2】モデル鍋の横断面図であって、底部鉄皮の敷コ
−ナ−部に設置した吸引孔位置を示す図
【図3】実鍋の乾燥昇温速度を示す図
【図4】モデル鍋(蒸気孔のない密閉鉄皮構造の鍋)
における熱電対の設置位置を示す図
【図5】モデル鍋(吸引孔を4個設けた鉄皮構造の
鍋)における熱電対の設置位置を示す図
【図6】密閉鉄皮構造下における乾燥昇温時(モデル鍋
の場合)の温度測定結果を示す図
【図7】真空ポンプを用いた強制吸引下における乾燥昇
温時(モデル鍋の場合)の温度測定結果を示す図
【図8】流し込み材背部(●箇所)の温度上昇パタ−ン
の比較(モデル鍋とモデル鍋との比較)を示す図
【図9】流し込み材背部(■箇所)の温度上昇パタ−ン
の比較(モデル鍋とモデル鍋との比較)を示す図
【図10】パ−マ部(△箇所)の温度上昇パタ−ンの比
較(モデル鍋とモデル鍋との比較)を示す図
【図11】パ−マ部(▲箇所)の温度上昇パタ−ンの比
較(モデル鍋とモデル鍋との比較)を示す図
【図12】密閉鉄皮構造下(モデル鍋)及び真空ポン
プを用いた強制吸引下(モデル鍋)における乾燥昇温
時のモデル鍋の重量変化を示す図
【図13】密閉鉄皮構造下(モデル鍋)及び真空ポン
プを用いた強制吸引下(モデル鍋)における乾燥昇温
終了後の耐火物の部位別Ig.Loss値を示す図
【符号の説明】
1 鉄皮 2 MgO−Cれんが 3 アルミナ・スピネル質流し込み材 4 ハイアルミナ質れんが 5 断熱れんが 6 吸引孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川崎 正蔵 兵庫県神戸市灘区灘浜東町2番地 株式 会社神戸製鋼所神戸製鉄所内 (72)発明者 山村 隆 岡山県岡山市四御神700−121 (72)発明者 金重 利彦 岡山県備前市伊部873 (72)発明者 渡部 正人 兵庫県明石市貴崎5−4−3 (56)参考文献 特開 平3−217791(JP,A) 特開 昭58−92788(JP,A) 特開 平5−42359(JP,A) 特開 平4−340086(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F27D 1/16 B22D 41/015 C21C 7/10 F23M 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸気孔を有しない鉄皮構造の密閉容器に
    ライニングした耐火物を加熱・乾燥するに際して、該密
    閉容器の底部鉄皮に設けた吸引孔を介して強制吸引しつ
    つ加熱・乾燥することを特徴とする溶鋼処理用密閉容器
    の内張り耐火物の加熱・乾燥方法。
  2. 【請求項2】 上部側壁にMgO−Cれんがを、下部側
    壁にアルミナリッチなスピネル質流し込み材を、敷部に
    ハイアルミナ質れんがをそれぞれ施工し、ハイアルミナ
    れんがと断熱れんがの2層構造のパ−マからなる蒸気孔
    を有しない鉄皮構造の密閉容器のライニング材を加熱・
    乾燥するに際して、該密閉容器の底部鉄皮に設けた吸引
    孔を介して強制吸引しつつ加熱・乾燥することを特徴と
    する溶鋼処理用密閉容器の内張り耐火物の加熱・乾燥方
    法。
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