JP3192580B2 - 導波路型光検出装置およびその製造方法 - Google Patents

導波路型光検出装置およびその製造方法

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JP3192580B2 JP24491895A JP24491895A JP3192580B2 JP 3192580 B2 JP3192580 B2 JP 3192580B2 JP 24491895 A JP24491895 A JP 24491895A JP 24491895 A JP24491895 A JP 24491895A JP 3192580 B2 JP3192580 B2 JP 3192580B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば光磁気情報
記録再生装置などに用いられ、集積型光導波路デバイス
における導波路型光検出装置およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、書き換え可能な高密度記録装
置として開発研究が活発な光磁気ディスクは、光磁気記
録媒体から反射される光のカー効果による偏光方向の回
転を検出して情報を再生するが、このカー効果による偏
光の回転は微小なので、良好なS/N比を得るためには
高精度な検光子や差動検出光学系などを必要としてい
る。これらの光学系には検光子、プリズム、ミラ一およ
びレンズなどからなるバルク型光学系が用いられていた
が、このバルク型光学系は相互の位置合わせが難しく、
また小型化、軽量化が困難であるという問題があった。
そこでこれらのバルク型光学系の欠点を克服する素子と
して検出光学系を薄膜導波路上に集積化した導波路型光
検出器が提案されている。
【0003】図9は、従来の導波路集積型光磁気情報記
録再生装置の概略構成を示す断面図である。
【0004】この光磁気情報記録再生装置は、図9に示
すように、半導体レーザなどからなる光源91と、この
光源91からの光を光磁気情報記録媒体92上に集光さ
せるべく配置された集光光学系としてのコリメートレン
ズ93および対物レンズ94と、この光磁気情報記録媒
体92からの反射光を検出する検出系集積素子95と、
この検出系集積素子95上に設けられるとともに、これ
らコリメートレンズ93と対物レンズ94の間に設けら
れ、コリメートレンズ93からの入射光を底面で反射さ
せて対物レンズ94に向けて出射させるとともに、光磁
気情報記録媒体92からの反射光を検出系集積素子95
側に導波モードとして導くプリズムカプラ96とを備え
ている。
【0005】図10は、図9の検出系集積素子95の平
面図である。
【0006】図10において、白地で示した領域部分A
は第1光導波路領域であり、この領域部分Aの上面に
は、光磁気情報記録媒体92からの反射光を導くプリズ
ムカプラ96が設けられている。また、網点で示した領
域部分Bは第2光導波路領域であり、領域部分Aと光結
合可能に設けられている。
【0007】この領域部分Bには、光検出器101,1
02と、これら光検出器101,102に光磁気情報記
録媒体92からの反射光を導く導波路集光素子103,
104とが設けられて、焦点誤差信号(Fo信号)検出
部105が構成されている。また、領域部分Bには、光
磁気情報記録媒体92からの反射光のTEモードを反射
させTMモードを屈折させるモード分離素子である第3
光導波路領域108と、それぞれのモードを検出する光
検出器106,107とが設けられて、光磁気信号(M
o信号)検出部109が構成されている。
【0008】なお、この第1光導波路領域におけるTE
0モードとTM0モードの第1等価屈折率をそれぞれNe
1,Nm1とし、第2光導波路領域におけるTE0モード
とTM0モードの等価屈折率をそれぞれNe2,Nm2
すると、第1等価屈折率Ne1,Nm1はほぼ等しく、第
2等価屈折率Ne2,Nm2は異なっている。
【0009】上記構成により、光源91からの出射光は
コリメートレンズ93によって集束されて平行光線とな
り、プリズムカプラ96に入射する。この入射光は、プ
リズムカプラ96の底面で反射した後、対物レンズ94
を通って光磁気情報記録媒体92上に集光する。さら
に、光磁気情報記録媒体92からの反射戻り光が再び対
物レンズ94を通ってプリズムカプラ96に入射する。
この入射した光磁気情報記録媒体92からの反射光は、
プリズムカプラ96を介して第1光導波路にカップリン
グして導波光となる。
【0010】この第1光導波路を導波した光は、第2光
導波路に光結合した後、導波路集光素子103,104
を介して光検出器101,102に導かれるとともに、
第3光導波路108を介して光検出器106,107に
導かれる。つまり、第1光導波路さらに第2光導波路を
導波した光は、焦点誤差信号(Fo信号)検出部105
と光磁気信号(Mo信号)検出部109に分離し、この
焦点誤差信号検出部105においては焦点誤差信号(F
o信号)を検出し、光磁気信号検出部109においては
光磁気信号(Mo信号)を検出する。
【0011】ここで、上記光検出器101,102,1
06,107の構成およびその一般的な作製プロセスに
ついて説明する。
【0012】図11aおよび図11bは図10の光検出
器101,102,106,107の構造を示す断面図
である。
【0013】図11aにおいて、N+タイプのSi基板
111上に、受光素子の受光部を構成する、ボロンなど
を拡散したP+領域112aを有するN-エピタキシャル
層112、このP+領域112a上で薄くなった熱酸化
SiO2膜113さらに、第1光導波路層または第2光
導波路層よりなる光導波路層114、または第1光導波
路層と第2光導波路層の集積構造よりなる光導波路層1
14’が設けられている。これら熱酸化SiO2膜11
3および光導波路層114(または光導波路層11
4’)の開口部を介してP+領域112aと接続される
電極配線115が設けられ、これら光導波路層114お
よび電極配線115を覆うようにギャップ層116が設
けられている。また、N+タイプのSi基板111の裏
面側には裏面電極117が設けられている。
【0014】以上により光検出器101,102,10
6,107が構成され、以下のようにして作製すること
ができる。
【0015】まず、N+タイプのSi基板111上にN-
エピタキシャル層112を成長させ、さらにその上に熱
酸化SiO2膜113を形成する。光検出器を形成する
部分の熱酸化SiO2膜113をエッチングなどで除去
しボロンなどを含む高温雰囲気中に放置すると、この除
去部分からボロンがN-エピタキシャル層112内に拡
散してP+領域112aが形成される。さらに、熱酸化
SiO2膜113上に第1光導波路層(または第2光導
波路層)114が形成され、これら熱酸化SiO2膜1
13および光導波路層114のP+領域112a上に開
口部を形成する。この光導波路層114上に電極配線材
料を成膜し、電極配線材料をパターンニングして電極配
線115を形成する。さらに、これら光導波路層114
および電極配線115を覆うようにギャップ層116を
形成する。また、N+タイプのSi基板111の裏面側
には裏面電極117を形成する。
【0016】この光検出器による光検出効率を向上させ
るために、バッファ層の層厚は導波光入射側の前方より
緩やかに減少させることによりテーパを形成した構造に
なっている。これにより導波光を導波層傾斜部Mを利用
して光検出器により受光し、この受光された信号を配線
電極115を介して外部制御回路(図示せず)に送るこ
とで光検出を行うことができる。
【0017】このSi基板111上に形成されたフォト
ダイオードのような受光素子を用いる場合、受光量に応
じた電流出力などの電気信号を外部へ取り出すために必
要な電極配線は、一般的には、Si基板111上の絶縁
膜の上に金属材料などを形成して作製される。
【0018】上記検出系集積素子内の光検出器の出力の
ための電極配線115について、図11aおよび図11
bを用いて説明する。
【0019】図11aに示すように、電極配線115
は、熱酸化SiO2膜113上の光導波路層114(ま
たは光導波路層114’)とギャップ層116との間に
形成され、それら光導波路層114および熱酸化SiO
2膜113に設けた開口部を介して、受光素子の受光部
としてのP+領域112aに接続されている。この場
合、ギャップ層116は光導波路層114の上部クラッ
ドであるとともに電極配線115の保護層としても作用
しており、短絡、機械的損傷、物理的汚染および腐食な
どから電極配線115を保護している。また、この電極
配線115は、熱酸化SiO2膜113に加えて光導波
路層114によってもSi基板111から隔てられてい
るので、熱酸化SiO2膜113だけの場合に比べて、
この間の静電容量を小さく保つことができる。
【0020】また、図11bに示す例では、配線電極1
15と光導波路層114との間に、もう1層だけギャッ
プ層118が形成された構成である。この電極配線11
5は、ギャップ層118,116間に形成されており、
ギャップ層118、光導波路層114および熱酸化Si
2膜113に設けた開口部を介して、受光素子の受光
部としてのP+領域112aに接続されている。この構
成では、ギャップ層116によって電極配線115を保
護しながら、さらにギャップ層118によってSi基板
111との間の静電容量を低下させることができる。
【0021】一方、このような集積素子とは別の用途
(バルク光学系)において、近年、光検出器はその用途
から高速応答性や高集積化が要求されるようになり、外
部制御回路のICと並行して作製されるために、その構
造が複雑になってきた。図12aにその一例を示してい
る。
【0022】図12aに示すように、受光部121周辺
には、不純物拡散時のマスクである熱酸化SiO2膜1
22や、エッチングのストッパーであると同時にIC部
では配線の働きをする金属層123、さらに反射防止用
窒化膜124や配線絶縁用窒化膜125、およびIC部
と金属配線のための保護膜126などがあるため、全体
として数μmの段差ができている。なお、ここでは、電
極配線の引き出し部分の構造は省略してある。
【0023】これら保護層126および金属層123は
除去することができるが、反射防止用窒化膜124はそ
の働きから必要であり、また、熱酸化SiO2膜122
はPN接合を保護するためにも必要である。このため、
図12bに示すような最も簡単な構造を考えても、熱酸
化SiO2膜122による段差の約1μmは避けられな
い。なお、一般的な使用にあたっては、信号検出用の光
は自由空間から入射するので、この程度の段差は全く問
題にならない。
【0024】上記光検出器の作製工程において、このよ
うな段差が生じる理由を、図13a〜図13eを用いて
説明する。
【0025】まず、図13aに示すように、シリコン基
板131上に熱酸化SiO2膜132を形成する。その
方法としては、酸素気流中で加熱するドライ酸化と、水
蒸気を含んだ酸素気流中で加熱する水蒸気酸化が知られ
ている。こうして得られた熱酸化SiO2膜132にフ
ォトレジストなどでパターニングを行いエッチング加工
をすることで、図13bのような熱酸化SiO2による
マスク132aを形成することができる。その後、この
エッチング部分からシリコン基板131に拡散処理を行
い、図13cのような不純物拡散領域131aを作製す
る。この高温処理をするときにも新たに図13cのよう
な熱酸化膜133が形成される。IC部と同時に作製し
ていくため、図13dに示すように、CVD法などでS
iO2層134をさらに積層する。その後、エッチング
加工してSiO2膜134および熱酸化膜133に、図
13eのような開口部135を形成する。一回目と二回
目のエッチングパターンは、マスクの位置合わせ精度や
エッチングの精度などの問題で2〜3μmのずれができ
て、段差部136ができてしまう。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、近年
の高速応答性・高集積化に適した光検出器の受光部周辺
には段差部136があることを考慮すると、このような
段差部136を有する構造の光検出器の上に光導波路を
積層し、これを伝播する導波光を光検出器の受光部に導
く、いわゆる導波路型光検出器を作製しようとした場
合、段差部136近辺でのバッファ層の形状設計が複雑
であり、またその微細加工が困難であるという問題があ
った。
【0027】図11aおよび図11bで示した導波路傾
斜部Mを有する導波路型光検出器の実際の作製について
図14を用いて説明する。
【0028】光導波路層の構成によっては、図14に示
すように、まず、熱酸化SiO2膜141を作製し、さ
らにこの上にバッファ層142を積層するが、続いて、
バッファ層142の表層の平坦化が必要であり、これに
は導波損失に影響しない程度の表面粗度が要求される。
そのうえで段差部Hでの損失が無視できるような形状
(厚さ、伝搬長および傾斜など)にバッファ層142
加工しなければならないのであるが、その平坦化が不十
分であると、導波路傾斜部Mにも段差部H’が生じてし
まう。この段差部H’付近でバッファ層142が設計値
よりも薄くなると、左側から右側へ進行する伝搬光は光
導波路層143内から半導体基板144側の方向または
自由空間へ放射して、光結合効率が低下することにな
る。
【0029】また、上記従来の光導波路および光検出器
を半導体基板上に集積した構造においては、不純物拡散
により形成された光検出器の受光部表面はSiO2など
の材料の薄膜で覆われているだけであり、外部より侵入
した金属イオン、特に、アルカリイオンが薄膜を透過し
て拡散層に達し、PN接合の電荷分布に悪影響を与える
などして光検出機能が損なわれるという可能性があっ
た。
【0030】また、この光検出器と光導波路層の間には
薄いSiO2層が存在するだけであるので、光導波路層
材料に金属イオンを含むガラス系のもの、例えばコーニ
ング社製の#7059ガラスなどを使用すると、これに
含まれる金属イオンがSiO2層を透過して、上記と同
様な悪影響を及ぼすという懸念があった。ガラス材料は
その組成を操作することで、光学的特性、熱的特性、機
械的特性、電気的特性および加工方法などを自由に変え
ることができるが、含まれる金属イオンの影響のため、
集積型光導波路素子への応用はかなりの制約を受けるこ
とになる。
【0031】このようなガラス材料において、成膜方法
によっては、組成変動を起こしたり多孔質になるなど、
膜質に与える加工法の影響が問題になることがある。特
に、酸素欠損による導波光の吸収や膜表面の荒れ(表面
粗度)による導波光の散乱は、光導波路の伝搬損失に大
きく関係している。これらの損失改善の手段の1つとし
て、アニール処理があるが、一般的にはガラスの軟化点
の600℃前後に加熱する必要がある。ところが、同じ
素子基板内にアルミニウムなどの配線材料があると、つ
まり、電極配線より上層にも導波路層の積層工程がある
と、配線が断線したり酸化されて機能しなくなるという
問題があった。
【0032】さらに、この配線電極の形成については、
図示したように光導波路層やバッファ層、さらにはギャ
ップ層に開口部を設ける際の加工精度が問題となる。近
年の高速応答性・高集積化に対応した素子においては、
その電極配線の引き出し部分は数μmしかなく、これに
位置合わせしながら光導波路層やバッファ層、さらには
ギャップ層にアスペクト比1:1の開口穴を加工するこ
とは困難であった。
【0033】これに加えて、このように光導波路層やバ
ッファ層、さらにはギャップ層などが積層された集積回
路には、その膜応力による素子の特性変化およびクラッ
ク発生などの致命的な問題があった。
【0034】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、受光部周辺の段差による、バッファ層および光検出
器における出力結合器の設計上および加工上の問題のな
い導波路型光検出装置を提供することを目的とする。
【0035】また、本発明は、上記従来の問題を解決す
るもので、半導体素子の特性変動を抑制でき、かつ、膜
材料の選択も含めた素子設計の自由度の広い光導波路構
造を得ることができる導波路型光検出装置を提供するこ
とを目的とする。
【0036】さらに、本発明は、上記従来の問題を解決
するもので、光導波路層と半導体基板の間のバッファ層
材料による、集積回路などへの膜応力の影響の少ない導
波路型光検出装置を提供することを目的とする。
【0037】さらに、本発明は、上記従来の問題を解決
するもので、アニール処理による伝搬損失の低減化が可
能な導波路型光検出装置の製造方法を提供することを目
的とする。
【0038】さらには、本発明は、上記従来の問題を解
決するもので、電極配線の引き出しのための開口部の位
置合わせと加工が容易で、かつ膜応力による素子への影
響の抑制された導波路型光検出装置の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0039】
【課題を解決するための手段】本発明の導波路型光検出
装置は、半導体基板上に、不純物拡散領域を有する光電
変換素子が設けられ、該光電変換素子上方に、誘電体層
を介して光導波路層を含む光伝搬用の光導波路素子が設
けられるとともに、該光導波路層の一部と不純物拡散領
域との間で光結合可能な受光領域が設けられた導波路型
光検出装置であって、該不純物拡散領域を作製した際に
形成された上層段差部に囲まれた領域内に、該光導波路
素子の光伝搬機能領域および該受光領域が設けられてい
ものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0040】また、好ましくは、本発明の導波路型光検
出装置における不純物拡散領域を有する光電変換素子と
誘電体層との間、および受光領域における該光電変換素
子と光導波路層との間のうち少なくともいずれかに汚染
物質侵入防止用の保護膜を設ける。また、好ましくは、
この保護膜は窒化ケイ素からなる。
【0041】さらに、好ましくは、本発明の導波路型光
検出装置における誘電体層はPSG膜またはBPSG膜
の単層、または該PSG膜またはBPSG膜を含む積層
体からなる。また、好ましくは、この誘電体層はNSG
(ドープなしCVD−SiO2)膜を含む積層体からな
る。さらに、好ましくは、この誘電体層はSOG膜を含
む積層体からなる。
【0042】さらに、好ましくは、請求項1または2記
載の導波路型光検出装置を製造する方法において、保護
膜を低圧CVD法により形成する。
【0043】また、好ましくは、請求項1または2記載
の導波路型光検出装置を製造する方法において、誘電体
層を介して形成された光導波路層を含む光伝搬用の光導
波路素子および、受光領域の光導波路層を、光電変換素
子から引き出された電極配線部分よりも先に形成する。
【0044】さらに、好ましくは、請求項1または2記
載の導波路型光検出装置を製造する方法において、誘電
体層および光導波路層のうち少なくともいずれかを、光
電変換素子から引き出される電極配線の引き出し部を形
成する領域で除去した後、該領域で該電極配線を形成す
る。
【0045】上記構成により、以下、その作用を説明す
る。
【0046】本発明においては、半導体基板上に形成さ
れた光電変換素子の受光部周辺の上層段差部に囲まれる
領域が受光部よりも大きく、この領域上に誘電体層を介
して積層された光導波路素子のうち光学素子が形成され
ており、この光伝搬の実質機能部分がこの領域内に作製
されているので、導波光は上層段差部の上部を通過せ
ず、この上層段差部によるバッファ層および光検出器の
設計上および加工上の問題がなくなり、例えば従来の導
波路傾斜部を有する導波路型光検出装置の構成を、高速
応答性、高集積型の光検出器にも応用することができる
ので、素子特性が向上して高性能化が図られる。
【0047】また、光電変換素子と誘電体層および/ま
たは光導波路層との間に汚染物質侵入防止用の保護膜を
設けることにより、光導波路材料自身または光導波路層
を通して外部から光電変換素子内に侵入する汚染物質の
影響が抑えられ、素子特性の安定化と素子作製の歩留ま
り向上が図られ、かつ信頼性が向上する。この保護膜材
料として、緻密な膜が得られやすい窒化ケイ素を用いる
ことによって、光導波路材料自身または光導波路層を通
して外部から侵入する汚染物質の影響を、より効果的に
抑えることが可能となり、素子特性の安定化と素子作製
の歩留まり向上が図られ、かつその信頼性が向上する。
【0048】さらに、誘電体層をPSG膜またはBPS
G膜の単層、またはこれを含む積層体により構成するこ
とによって、膜応力が緩和され、これが積層された部分
でのクラック発生、および半導体素子の特性変化などの
致命的な問題が防止され、素子作製効率と不留まりの向
上が図られ、かつその信頼性が向上する。
【0049】また、誘電体層をNSG(ドープなしCV
D−SiO2)膜を含む積層体により構成することによ
って、膜応力が緩和され、これが積層された部分でのク
ラック発生、および半導体素子の特性変化などの致命的
な問題が防止され、かつドープ材料による導波光の吸収
が抑えられることで、素子特性が向上し高性能化が図ら
れる。
【0050】さらに、誘電体層をSOG膜を含む積層体
により構成することによって、成膜後のPSG膜または
BPSG膜表面が平坦化され、積層される光導波路層の
伝搬損矢を改善できるので、素子の高性能化が図られ
る。
【0051】さらに、保護膜の形成法として低圧CVD
法を採用することによって、素子基板のダメージを抑え
ることが可能となり、かつ、緻密な保護膜が得られるの
で、光導波路材料自体からの汚染物質または、光導波路
層を通して外部から侵入する汚染物質の影響を、より効
果的に抑えることが可能となり、素子特性の安定化と素
子作製の歩留まり向上が図られ、かつその信頼性が向上
する。
【0052】さらに、上部クラッドを含めた導波に関与
するすべての膜構成を、光検出器と集積回路を連絡する
電極配線部分よりも先に形成し、電極配線の上に光導波
路層が積層されない構成とすることにより、アニール処
理による光導波路層の伝搬損失の低減化が可能となり、
素子特性が向上し高性能化が図られる。
【0053】さらに、誘電体層を導波光入射領域以外の
部分で除去し、この部分で電極の引き出しと配線を行う
ことにより、各層に開口部を設ける際の加工が容易にな
り、素子作製効率と歩留まりの向上が図られ、その信頼
性向上につながる。
【0054】
【本発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て説明する。
【0055】(実施形態1)図1は本発明の実施形態1
における導波路型光検出器の構成を示す断面図である。
【0056】図1において、半導体基板1上に、不純物
拡散領域2を有する光電変換素子3が設けられている。
この不純物拡散領域2上には、不純物を拡散する際にエ
ッチングした熱酸化SiO2膜4の段差部4aが残って
いる。これら不純物拡散領域2および熱酸化SiO2
4上には、汚染物質侵入防止用の保護層5が設けられて
いる。この保護層5上に、誘電体層(バッファ層)6が
設けられ、その一端部が厚さ方向にテーパ状に形成され
て、不純物拡散領域2の右側部上に延出している。これ
ら誘電体層(バッファ層)6および保護層5上には光導
波路層7が設けられており、この光導波路層7の右側端
部と不純物拡散領域2とが誘電体層(バッファ層)6を
介さずに設けられて、光結合可能な受光領域8が形成さ
れている。つまり、誘電体層(バッファ層)6および光
導波路層7のテーパ状傾斜部9の端部に隣接するように
受光領域8が設けられている。また、テーパ状傾斜部9
の左側にある平坦部上の光導波路層7の上には、光磁気
情報記録媒体(図示せず)からの反射光を光導波路層7
にカップリングするプリズムカプラ10が設けられてい
る。
【0057】このように、半導体基板1上に形成された
光検出器の受光領域8周辺の段差部4aに囲まれる領域
が、その受光領域8よりも面積が大きく、受光領域8周
辺の段差部4aに囲まれる領域上に誘電体層(バッファ
層)6を介して積層された光導波路層7を含む光導波路
素子および受光領域8が形成されており、光を伝搬させ
る実質機能部分がこの領域内に作製されている。
【0058】さらに、この受光領域8の右側に隣接する
ように、熱酸化SiO2膜4および保護層5には開口部
が設けられ、この開口部を含む保護層5上には、光電変
換素子3からの電極配線11の引き出し部が設けられ、
光電変換素子3で光電変換された電気信号を信号処理す
る集積回路(図示せず)と光電変換素子3とを電極配線
11によって接続している。これら電極配線11および
保護層5上の受光領域8の右側に隣接する位置には、ポ
リイミドなどからなる配線保護膜12が設けられてお
り、この電極配線11が配線保護膜12により覆われて
保護されている。
【0059】上記構成により、以下、その作用を説明す
る。
【0060】まず、光磁気情報記録媒体(図示せず)か
らの反射光がプリズムカプラ10を介して光導波路層7
内に入射されて導波光となる。この導波光は、誘電体層
(バッファ層)6によって半導体基板1および保護層5
から隔てられた光導波路層7を左側から右側に向かって
伝搬し、導波路傾斜部であるテーパ状傾斜部9を経由し
て光損失なく光検出器の受光領域8に導かれる。次に、
この受光領域8を介して光電変換素子3で光から変換さ
れた電気信号は電極配線11によって集積回路(図示せ
ず)へ伝えられて信号処理される。
【0061】このとき、プリズムカプラ10下の光導波
路層7の光入射部から受光領域8までの光伝搬経路にお
いて、導波光は段差部4aの上部を通過しないので、こ
の段差部4aによる誘電体層(バッファ層)6および光
検出器の設計上および加工上の問題がなくなり、従来の
テーパ状傾斜部9を有する導波路型光検出器の構成を、
高速応答性、高集積型の光検出器にも応用することがで
きて、素子特性が向上し高性能化が図られる。
【0062】例えば、このような構成においては、プリ
ズムカプラ10から光導波路層7を介して受光部8まで
の光の伝搬経路を、光検出器の周辺の段差部4aで囲ま
れる領域内に作製することで、この段差部4aを埋める
平坦化工程(導波損失に影響しない程度の表面粗度が要
求されている。)を省略することができる。
【0063】また、光電変換素子3を含む光検出器およ
び集積回路(図示せず)と誘電体層(バッファ層)6と
の間、および受光領域8における光電変換素子3と光導
波路層7との間に保護膜5を積層することにより、光導
波路材料自体からの汚染物質または、光導波路層7を通
して外部から侵入する汚染物質の影響を抑えることがで
きる。つまり、この保護層5は、低圧CVDで作製され
た窒化ケイ素でできており、半導体基板1上の光電変換
素子3に侵入する汚染物質を遮断する働きがある。
【0064】さらに、誘電体層(バッファ層)6および
光導波路層7を、電極配線11よりも先に形成すれば、
光導波路層7の低損失化のためのアニール処理を施して
も電極配線11が侵されることはない。また、これら誘
電体層6および光導波路層7が電極配線11の引き出し
部分で除去されていることから、その分の層厚がないの
で、開口部の作製が容易となっている。
【0065】さらには、誘電体層(バッファ層)6はN
SG(Non-doped Silicate Glass),SOG(Spin On
Glass),PSG(Phospho-Silicate Glass),BPS
G(Boron-doped Phosho-Silicate Glass)などからな
る積層体でできていれば、膜応力を緩和してクラックの
発生を抑えたり、素子特性の安定化を図ることができ
る。
【0066】(実施形態2,3)上記実施形態1の特徴
的な部分について、図2aおよび図2bの他の実施形態
2,3を参照して、以下にさらに詳細に説明する。
【0067】図2aおよび図2bに示すように、半導体
基板21上に形成され、上部に光電変換素子22を有す
る光検出器の受光部23周辺の段差部24はすべて光電
変換素子22の外側になるように、大きな不純物拡散領
域25を作製し、所定の位置にアイソレーション26を
行い光検出器のセグメントを形成する。この場合、導波
光伝搬の実質機能部分がある領域において、誘電体材料
よりなる誘電体層(バッファ層)27a,27bは、不
純物拡散領域25上の平坦な領域に積層されているため
に、従来のような平坦化の加工が不要になるという利点
がある。
【0068】また、光電変換素子22の受光部23への
導波光の光結合には、例えば図2aに示すようなテーパ
方式や、図2bに示すようなグレーティング方式などを
応用することができる。
【0069】例えば図2aにおいては、自由空間からの
入射光はグレーティングカプラ28で光導波路層29a
内に導かれ、導波路レンズ30によって光検出器の光電
変換素子22上に集光される。また、例えば図2bにお
いては、自由空間からの入射光はプリズムカプラ31で
光導波路29b内に導かれ、FGC(フォーカシンググ
レーティングカプラ)32によって光検出器の光電変換
素子22上に集光される。
【0070】なお、図2aおよび図2b中に波線で示さ
れている素子右側の省略部分には、光検出器の光電変換
素子22からの電気信号を引き出す電極や、その電気信
号を伝える配線、および信号処理を行う集積回路などが
作製されている。
【0071】(実施形態4)図1の汚染物質侵入防止用
の保護層5の特徴的な部分について、図3の他の実施形
態4を参照して、以下にさらに詳細に説明する。
【0072】図3は本発明の他の実施形態4を示す導波
路型光検出器の受光部付近の構造を示す断面図である。
【0073】図3に示すように、バッファ層41を介し
て積層された光導波路層42を、進行方向が左側から右
側に伝搬してきた導波光は、導波路傾斜部43を通過し
て光検出器の光電変換素子44の受光部45に到達す
る。この部分の構造を最適なものにすると、伝搬光は損
失なく略100%、光検出器の光電変換素子44に光結
合する。その構造の一例を以下に示している。
【0074】 光導波路層42 ガラス導波層 屈折率1.56 厚さ約600nm 上部クラッド 屈折率1.46 厚さ約100nm 導波路傾斜部43 斜度10゜以下 長さ約20μm 光結合効率 実測値95%以上 この場合、半導体基板48上には、P+不純物拡散領域
作製時のマスクにあたるSiO2層46があり、この上
に汚染物質侵入防止用の保護膜47が積層されている。
この保護膜47は、さらにこの上に積層されるバッファ
層41や光導波路層42自体から侵入する金属イオンな
どの汚染物質、およびこれらの層を通して外部から侵入
してくる汚染物質を遮断し、半導体素子の特性安定化を
図ることができる。図3中には示していない集積回路
や、光検出器の光電変換素子44など、汚染物質の影響
を受けやすい領域にはすべてこの保護膜47が積層され
ている。また、この保護膜47は、光検出器の光電変換
素子44における受光部45においては、その屈折率と
膜厚を最適化することで反射防止膜としての機能も持た
せることが可能である。
【0075】また、集積回路(図示せず)の作製プロセ
スと並行して光検出器の光電変換素子44を作製してコ
ストダウンを図るために、この保護膜47の材料に窒化
ケイ素を使用している。その一例としては、屈折率2.
0の窒化膜のときにその膜厚は96nmで作製してい
る。
【0076】さらに、この保護膜47は低圧CVD法で
作製されている。この低圧CVD法で作製した保護膜4
7は緻密であるので、これによれば、汚染物質の遮断と
いう機能を十分に果たすことができる。その他一般に利
用されるスパッタリング法では、成膜が再スパッタと同
時に進行するため、半導体素子の方にダメージを与える
のでふさわしくない。
【0077】(実施形態5)図1の誘電体層(バッファ
層)6がPSG膜またはBPSG膜の単層、またはPS
G膜またはBPSG膜を含む積層体からなる場合、また
は/および、SOG膜を含む積層体からなる場合の特徴
的な部分について、図4の他の実施形態を参照して、以
下にさらに詳細に説明する。
【0078】図4は、本発明の他の実施形態5の導波路
型光検出器における導波路構造部分を示す断面図であ
る。
【0079】図4において、半導体基板51上に光導波
路層52を形成する場合、基板による伝搬光の吸収を避
けるために、誘電体層で両者を隔てる必要がある。これ
が本発明におけるバッファ層であり、伝搬光の波長の光
に対して透明でなければならない。図4では半導体基板
51上に、誘電体層(バッファ層)としてPSG膜また
はBPSG膜53が積層され、その上にSOG膜54が
積層された多層構造になっており、さらにその上に光導
波路層52が形成されている。その誘電体層(バッファ
層)の成膜条件によって、PSG膜またはBPSG膜5
3の表面粗度が大きくなった場合には平坦化、即ち、そ
の上に積層される光導波路層52の伝搬損失改善に効果
があるが、これらの表面荒れが問題にならなければ特に
必要はない。この構造の一例としては次のような構成の
ものがある。
【0080】 導波路層52 ガラス層 屈折率1.56 厚さ600nm バッファ層53,54 SOG 屈折率1.44 厚さ200nm PSG 屈折率1.46 厚さ 2 μm (BPSG) このように、バッファ層としてPSG膜またはBPSG
膜53を用いれば、2μm程度の厚さでも半導体素子の
特性に与える膜応力の影響は少ない。さらに、膜にクラ
ックが発生することもない。
【0081】(実施形態6)図1の誘電体層(バッファ
層)6がNSG(ドープなしCVD−SiO2)膜を含
む積層体からなる場合、または/および、SOG膜を含
む積層体からなる場合の特徴的な部分について、図5の
他の実施形態6を参照して、以下にさらに詳細に説明す
る。
【0082】図5は、本発明の他の実施形態6の導波路
型光検出器における導波路構造部分を示す断面図であ
る。
【0083】誘電体層(バッファ層)のバッファ材料に
はNSGが使用されている。このNSGはドープ材料が
ないため、PSGやBPSGに比べると光学材料として
は適しているが、膜応力が大きいので単層で2μm以上
の厚さに成膜するとクラックが生じたり、半導体素子の
特性が変動したりすることがある。このために、NSG
は他の材料と積層して使用する必要がある。
【0084】図5において、半導体基板61上には主と
して応力緩和のためにPSG膜またはBPSG膜62が
成膜され、その上にSOG膜63が積層されている。そ
の成膜条件によってPSG膜またはBPSG膜62の表
面粗度が大きくなった場合には平坦化、即ち、上層に積
層される光導波路層65の伝搬損失改善に効果がある
が、これらの表面荒れが問題にならなければ特に必要は
ない。さらに、SOG膜63上にNSG膜64が積層さ
れて、全体としてバッファ層を構成し、そのバッファ層
上に光導波路層65が積層されている。この構造の一例
としては次のような構成がある。
【0085】 導波路層65 ガラス層 屈折率1.56 厚さ600nm バッファ層62〜64 NSG 屈折率1.46 厚さ500nm SOG 屈折率1.44 厚さ200nm PSG 屈折率1.46 厚さ1.5μm (BPSC) このように、バッファ層としてNSG膜64を用いるに
あたっては、例えばPSGやBPSGなどの材料と複合
することで、2μm程度の厚さに積層しても半導体素子
の特性に与える膜応力の影響は少ない。また、膜にクラ
ックが発生することもない。
【0086】(実施形態7)アニール処理を施しても電
極配線が侵されることのない実施形態7について、図6
を参照して、以下に電極付近の構成について説明する。
【0087】図3と図6との違いは、図3の電極配線4
9aがバッファ層41および光導波路層42を形成する
前に設けられているのに対して、図6の電極配線49b
がバッファ層41および光導波路層42を形成した後に
設けられていることである。図6のように、バッファ層
41および光導波路層42を電極配線49bよりも先に
形成すれば、光導波路層42の低損失化のためのアニー
ル処理を施しても電極配線49bが侵されることはな
い。
【0088】つまり、電極配線49bは、SiO2層4
6、保護膜47、バッファ層41および光導波路層42
を通して作製された開口部に充填するように形成されて
いる。その加工方法の一例としては、それぞれの層を積
層し、場合によっては光導波路層42の低損失化のため
のアニール処理などの後処理を行った後で、この上にフ
ォトレジストをパターニングし、ウェットエッチングで
開口部を加工する。フッ酸系のエッチャントを用いれ
ば、シリコン面でエッチングを止めることができる。さ
らに、この部分に電極材料(例えばアルミニウムなど)
を積層・パターニングすることで目的の開口部構造が作
製できる。電極配線49bのパターニングはリフトオフ
でもよいし、全面成膜した後で不要な部分をエッチング
除去してもよい。続いて、この電極配線49bと半導体
基板48の接触を十分にするため、必要に応じてアニー
ル処理を行う。このアニール処理を行った場合には、ア
ニールによって電極材料から光導波路層42に金属イオ
ンが拡散して伝搬損失が大きくなることもあるが、伝搬
光は電極配線49b付近を通過しない(導波光の伝搬方
向は左側から右側であり、そのほぼ100%の光が光検
出器の光電変換素子44に光結合する。)ので、全く問
題はない。
【0089】また、最終的には必要に応じて、電極配線
49bの酸化を防ぐために配線保護層(図示せず)がさ
らに積層される。その材料としては例えばポリイミドな
どが利用される。
【0090】(実施形態8)電極配線の引き出し部の実
施形態8について、図7を参照して、以下に詳しく説明
する。
【0091】図7は本発明の他の実施形態8を示す導波
路型光検出器の受光部付近の構造を示す断面図であり、
光路中、光検出器までの構成と機能は図3および図6の
ものとほぼ同じである。
【0092】図7において、半導体基板71上に光検出
器の光電変換素子72を設け、その上にSiO2層7
3、必要に応じて保護膜74、さらにバッファ層75を
積層した後、光検出器よりも後ろの部分のバッファ層7
5を除去する。このバッファ層75の除去は、例えばフ
ッ酸系のエッチャントを用いて、フォトレジストでマス
クを形成してウェットエッチングすればよい。または、
バッファ層75の除去は、バッファ層75を積層する前
に予めバッファ層75を除去する部分にのみ別な材料を
成膜しておき、後のエッチングによるパターニング(バ
ッファ層75の一部を選択的に除去)を容易にするため
のストップ層としてもよい。残った部分のバッファ層7
5および保護膜74上に、光導波路層76が積層されて
設けられている。
【0093】また、電極配線77は、これらの層(この
例ではSiO2層73、必要に応じて保護膜74、バッ
ファ層75および光導波路層76)を通して作製された
開口部を充填するように形成される。この開口部の加工
方法の一例としては、既に述べている方法が適してい
る。つまり、それぞれの層を積層し、場合によってはア
ニールなどの後処理を行った後に、この上にフォトレジ
ストをパターニングしウェットエッチングで開口部を加
工する。フッ酸系のエッチャントを用いれば、シリコン
面でエッチングを止めることができる。開口部を加工す
る部分のバッファ層75は除去されているために加工深
さが浅くなり、開口部の加工と位置合わせは容易とな
る。
【0094】さらに、アルミニウムなどの電極材料を積
層・パターニングすることで目的の構造が作製できる。
電極配線77のパターニングは、リフトオフでもよい
し、全面成膜した後に不要な部分をエッチング除去して
もよい。続いて、この電極配線77と半導体基板71の
接触を十分にするため、必要に応じてアニール処理を行
う。このアニール処理を行った場合には、アニールによ
って電極材料から光導波路層76に金属イオンが拡散し
て伝搬損失が大きくなることもあるが、その伝搬光は電
極配線77付近を通過しない(図7中、導波光の伝搬方
向は左側から右側の方向で、そのほぼ100%の光が光
検出器の光電変換素子72に光結合する。)ので、ここ
においても全く問題はない。
【0095】最終的には、必要に応じて、電極配線77
の酸化を防ぐために電極保護層(図示せず)がさらに積
層される。その材料としては例えばポリイミドなどが利
用される。
【0096】(実施形態9)電極配線の引き出し部の他
の実施形態9について、図8を参照して、以下に詳しく
説明する。
【0097】図8は本発明の他の実施形態9を示す導波
路型光検出器の受光部付近の構造を示す断面図であり、
光路中、光検出器までの構成と機能は図3および図6の
ものとほぼ同じである。
【0098】図8において、半導体基板81上に光検出
器の光電変換素子82を設け、その上にSiO2層8
3、必要に応じては保護膜84、バッファ層85さらに
光導波路層86を積層した後、光検出器の光電変換素子
82よりも後ろの部分の光導波路層86を除去する。図
8では上記実施形態8の場合も兼ねており、バッファ層
85も一部除去されている。これら光導波路層86およ
びバッファ層85の除去は、例えばフッ酸系のエッチャ
ントを用いて、フォトレジストでマスクを形成してウエ
ットエッチングすればよい。または、光導波路層86だ
けを除去する場合は、光導波路層86を積層する前に予
め光導波路層86を除去する部分にのみ別な材料を成膜
しておき、後のエッチングによるパターニング(光導波
路層86の一部を選択的に除去)を容易にするためのス
トップ層としてもよい。また、本実施形態9のように、
光導波路層86とバッファ層85のどちらも除去する場
合は、全層を積層した後に、同じマスクを使用して連続
してエッチングすることも可能である。
【0099】また、電極配線87はこれらの層を通して
作製された開口部を含む保護膜84上に形成されてい
る。その加工方法の一例としては、上述の方法がある。
つまり、それぞれの層を積層し、場合によってはアニー
ルなどの後処理を行った後に、この上にフォトレジスト
をパターニングしウェットエッチングで開口部を加工す
る。この開口部の加工は、フッ酸系のエッチャントを用
いれば、シリコン面でエッチングを止めることができ
る。この部分の光導波路層86は除去されているために
加工深さが浅くなり、開口部の加工と位置合わせはさら
に容易なものとなる。
【0100】さらに、例えばアルミニウムなどの電極材
料を積層パターニングすることで目的の構造が作製でき
る。電極配線87のパターニングはリフトオフでもよい
し、全面成膜した後に不要な部分をエッチング除去して
もよい。続いて、この電極配線87と半導体基板81の
光電変換素子82との接触を十分にするため、必要に応
じてアニール処理を行う。既に光導波路層86は除去さ
れているので、アニールによって電極材料から光導波路
層86に金属イオンが拡散して伝搬損失が大きくなると
いう心配はない。
【0101】また、最終的には、必要に応じて、電極配
線87の酸化を防ぐために電極保護層(図示せず)がさ
らに積層される。その材料としては例えばポリイミドな
どが利用される。
【0102】以上の各実施形態においては、光検出器の
受光部周辺の複数の段差部で囲まれる平坦な領域内に、
PSG,BPSG,NSG,SOGなどの誘電体材料か
らなるバッファ層を介して光導波路素子を積層する。受
光部領域内には所望の位置に不純物拡散がなされ、その
部分のみが光検出器のセグメントとして機能する。光検
出器および集積回路とバッファ層との間にはCVD法に
よる窒化ケイ素膜からなる保護層が積層され、また、電
極部分のバッファ層や光導波路層は除去する。これによ
り、光検出器の受光部周辺の段差付近での平坦化加工
と、バッファ層および出力結合器の設計上および加工上
の問題がなくなり、従来の高効率導波路型光検出器の構
成を、高速応答性・高集積型の光検出器にも応用するこ
とが容易になる。また、保護層およびバッファ層の選択
による素子特性の安定化、光導波路層のアニール処理に
よる素子の高性能化、電極形成法の改善によるコストダ
ウンなどが図られる。
【0103】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、半導体基
板に形成された光電変換素子の受光部周辺の段差部に囲
まれる領域が受光領域よりも大きく、これに誘電体層を
介して積層された光導波路素子および受光領域が形成さ
れている光伝搬の実質機能部分をこの領域内に作製して
いるため、導波光は段差部の上部を通過することなく、
この段差部による誘電体層および光電変換素子の設計上
および加工上の問題を解消することができ、例えば従来
の導波路傾斜部を有する導波路型光検出器の構成を、高
速応答性、高集積型の光検出器にも応用することができ
て、素子特性が向上し高性能化を図ることができる。
【0104】また、導波路型光検出器における光電変換
素子上に保護膜を積層することで、光導波路材料自体か
らの汚染物質または、光導波路層を通して外部から光電
変換素子に侵入する汚染物質の影響を抑えることがで
き、素子特性の安定化と素子作製の歩留まりの向上を図
ることができて、その信頼性が向上する。また、半導体
素子の作製プロセスと保護膜作製プロセスを並行させる
とともに、保護膜材料として緻密な膜が得られやすい窒
化ケイ素を用いれば、光導波路材料自体からの汚染物質
または、光導波路層を通して外部から侵入する汚染物質
の影響を、より効果的に抑えることができ、素子特性の
安定化と素子作製の歩留まり向上を図ることができて、
その信頼性が向上する。
【0105】さらに、誘電体層をPSG膜あるいはBP
SG膜の単層、またはこれを含む積層体により構成すれ
ば、膜応力が緩和され、これが積層された部分でのクラ
ック発生、および半導体素子の特性変化などの致命的な
問題を防ぐことができ、素子作製効率と歩留まりの向上
を図ることができて、その信頼性が向上する。
【0106】さらに、誘電体層をNSG(ドープなしC
VD−SiO2)膜を含む積層体により構成すれば、膜
応力が緩和され、これが積層された部分でのクラック発
生、および半導体素子の特性変化などの致命的な問題を
防ぎつつ、ドープ材料による導波光の吸収を抑えること
ができて、素子特性が向上し高性能化を図ることができ
る。
【0107】さらに、誘電体層をSOG膜を含む積層体
により構成すれば、成膜後のPSG膜またはBPSG膜
表面が平坦化され、積層される光導波路層の伝搬損失を
改善することができて、素子の高性能化を図ることがで
きる。
【0108】さらに、保護膜の形成法として低圧CVD
法を採用すれば、保護膜成膜中の素子基板のダメージを
抑えることができ、かつ、緻密な保護膜が得られるた
め、光導波路材料自体からの汚染物質または、光導波路
層を通して外部から侵入する汚染物質の影響を、より効
果的に抑えることができ、素子特性の安定化と素子作製
の歩留まり向上を図ることができ、その信頼性が向上す
る。
【0109】さらに、上部クラッドを含めた導波に関与
するすべての膜構成を、光電変換素子と外部回路を連絡
する電極配線部分よりも先に形成し、電極配線上に光導
波路層が積層されていない構成にすることで、配線金属
の熱による影響を避けることができるため、アニール処
理による光導波路層の伝搬損失の低減化を図ることがで
き、素子特性が向上し高性能化を図ることができる。
【0110】さらに、誘電体層を導波光入射領域以外の
部分で除去し、この除去部分で電極の引き出しと配線を
行うことにより、例えば光導波路層やバッファ層、さら
にはギャップ層などの各層に開口部を設ける際の加工を
容易なものにすることができ、素子作製効率と歩留まり
の向上を図ることができて、信頼性向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1における導波路型光検出器
の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態2,3における導波路型光検
出器の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の他の実施形態4を示す導波路型光検出
器の受光部付近の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態5の導波路型光検出器に
おける導波路構造を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態6の導波路型光検出器に
おける導波路構造を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態7を示す導波路型光検出
器の受光部付近の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態8を示す導波路型光検出
器の受光部付近の構造を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態9を示す導波路型光検出
器の受光部付近の構造を示す断面図である。
【図9】従来の導波路集積型光磁気情報記録再生装置の
概略構成を示す断面図である。
【図10】図9の検出系集積素子95の平面図である。
【図11】aおよびbは図10の光検出器101,10
2,106,107の構造を示す断面図である。
【図12】aおよびbは他の従来例を示す光検出器の断
面図である。
【図13】a〜eは段差が生じる理由を説明するための
従来の光検出器の作製プロセスにおける各断面図であ
る。
【図14】図11で示した導波路傾斜部Mを有する導波
路型光検出器の断面図である。
【符号の説明】
1,21,48,51,61,71,81 半導体基
板 2,25 不純物拡散領域 3,22,44,72,82 光電変換素子 4,46,73,83 熱酸化SiO2膜 4a,24 段差部 5,47,74,84 保護層 6,27a,27b 誘電体層(バッファ層) 7,29a,29b,42,52,65,76,86
光導波路層 8 受光領域 9 テーパ状傾斜部 10,31 プリズムカプラ 11,49a,49b,77,87 電極配線 12 配線保護膜 23,45 受光部 26 アイソレーション 28 グレーティングカプラ 30 導波路レンズ 32 FGC(フォーカシンググレーティングカプ
ラ) 41,75,85 バッファ層 43 導波路傾斜部 53,62 PSG膜またはBPSG膜 54,63 SOG膜 64 NSG膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−340768(JP,A) 特開 平4−251987(JP,A) 特開 平5−101476(JP,A) 特開 平5−291608(JP,A) 特開 平4−363073(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/10 - 31/119 H01L 27/14 - 27/148 G02B 6/42 - 6/43

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に、不純物拡散領域を有す
    る光電変換素子が設けられ、該光電変換素子上方に、誘
    電体層を介して光導波路層を含む光導波路素子が設けら
    れるとともに、該光導波路層の一部と不純物拡散領域と
    の間で光結合可能な受光領域が設けられた導波路型光検
    出装置であって、 該不純物拡散領域を作製した際に形成された上層段差部
    に囲まれた領域内に、該光導波路素子の光伝搬機能領域
    および該受光領域が設けられている導波路型光検出装
    置。
  2. 【請求項2】 前記不純物拡散領域を有する光電変換素
    子と誘電体層との間、および前記受光領域における該光
    電変換素子と前記光導波路層との間のうち少なくともい
    ずれかに汚染物質侵入防止用の保護膜を設けた請求項1
    記載の導波路型光検出装置。
  3. 【請求項3】 前記保護膜が窒化ケイ素からなる請求項
    2記載の導波路型光検出装置。
  4. 【請求項4】 前記誘電体層がPSG膜またはBPSG
    膜の単層、または該PSG膜またはBPSG膜を含む積
    層体からなる請求項1または2記載の導波路型光検出装
    置。
  5. 【請求項5】 前記誘電体層がNSG(ドープなしCV
    D−SiO2)膜を含む積層体からなる請求項1または
    2、4記載の導波路型光検出装置。
  6. 【請求項6】 前記誘電体層がSOG膜を含む積層体か
    らなる請求項1または2、4記載の導波路型光検出装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項1または2記載の導波路型光検出
    装置を製造する方法において、 前記保護膜を低圧CVD法により形成する導波路型光検
    出装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または2記載の導波路型光検出
    装置を製造する方法において、 前記誘電体層を介して形成された前記光導波路層を含
    導波路素子および、前記受光領域の光導波路層を、前
    記光電変換素子から引き出された電極配線部分よりも先
    に形成する導波路型光検出装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1または2記載の導波路型光検出
    装置を製造する方法において、 前記誘電体層および光導波路層のうち少なくともいずれ
    かを、前記光電変換素子から引き出される電極配線の引
    き出し部を形成する領域で除去した後、該領域で該電極
    配線を形成する導波路型光検出装置の製造方法。
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