JP3192371B2 - 金属石鹸ブロック成形用の圧入成形装置及び金属石鹸ブロック成形方法 - Google Patents

金属石鹸ブロック成形用の圧入成形装置及び金属石鹸ブロック成形方法

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JP3192371B2 JP16981096A JP16981096A JP3192371B2 JP 3192371 B2 JP3192371 B2 JP 3192371B2 JP 16981096 A JP16981096 A JP 16981096A JP 16981096 A JP16981096 A JP 16981096A JP 3192371 B2 JP3192371 B2 JP 3192371B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば静電複写機
等の事務機や製紙スーパーカレンダー、その他の精密機
器等に滑剤、クリーニング助剤、潤滑剤等として用いら
れる金属石鹸をブロック状に成形する圧入成形装置及び
金属石鹸ブロック成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、長鎖脂肪酸やナフテン酸、ロジ
ン酸等の有機酸の金属塩を総称して“石鹸”と言われて
いるが、金属石鹸とは、このような金属塩のうちアルカ
リ金属以外の金属塩を言う。この金属石鹸(脂肪酸石
鹸)は、一般に結合した金属の名前をとってカルシウム
石鹸、マンガン石鹸、亜鉛石鹸等と呼ばれている。
【0003】従来より、この金属石鹸の優れた性質(撥
水性、潤滑性、離型性、触媒作用、生物阻害作用、酸補
足作用)に注目され、金属石鹸の用途は、各種機器の滑
剤、クリーニング助剤、潤滑剤、分散剤、撥水剤、離型
剤、乾燥剤、触媒、安定剤、殺菌剤等、多方面にわたっ
ており、今後、益々用途が拡大するものと思われる。一
般に使用されている金属石鹸は、粉末状、顆粒状、フレ
ーク状のものが多いが、これらの形状では、取扱や保管
が不便であると共に、微量定量フィードが難しく、機器
内に組み込む金属石鹸供給機構が複雑・大型化して、近
年の重要な技術的課題であるコンパクト化・低コスト化
の要求を満たすことができない。
【0004】近年、この問題を解決するため、金属石鹸
をブロック状に成形して、これをブラシ等で削り取り、
粉体状で必要箇所に供給するコンパクトなシステムが提
案されている。ここで必要となる金属石鹸ブロックの成
形方法としては、粉末プレス法や溶融固化法が考えられ
るが、粉末プレス方法は、粉末を結合するバインダーの
添加が必要となり、このバインダーの添加が金属石鹸本
来の特性を低下させる原因となり、好ましくない。
【0005】この点、溶融固化法は、金属石鹸を加熱溶
融させてブロック状に固化させるため、バインダーを必
要としないが、従来の一般的な溶融固化法では、固化過
程で生じるヒケ、収縮、歪(熱衝撃)によって金属石鹸
成形体にクラックが発生してブロック状に成形すること
が極めて困難である。この原因は、金属石鹸の特異な溶
解性や再結晶性にあると考えられる。
【0006】最近、この問題を解決するために、特開平
7−26278号公報に示すように溶融状態の金属石鹸
を金型に流し込んだ後、金型内の金属石鹸を下部から順
次、中間部、上部へと段階的に冷却してクラックの発生
を防ぐ段階的溶融固化法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報の段階的溶融固化法では、金型内の金属石鹸を下部か
ら順次、中間部、上部へと段階的に冷却するために、金
型に多数のヒータ装置や冷却装置等の温度調節装置を組
み付ける必要があり、成形装置の構成が複雑になるばか
りか、温度制御方式も非常に複雑となり、総じて、設備
コストが相当に高くつく欠点がある。しかも、金型に温
度勾配をつけながら予め決められた温度パターンで徐冷
するという微妙な温度制御が要求されるため、温度制御
が非常に難しく、実際には、僅かな温度制御のずれによ
って金属石鹸成形体にクラックや巣が出来ることがあ
る。従って、この溶融固化法では、期待するほどの製品
歩留りが得られず、上述した高価な設備コストと相俟っ
て、製品コストがかなり高くついてしまう欠点がある。
【0008】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、従ってその目的は、複雑な温度調節装置
を必要としない極めて簡単な構造の成形型によって、ク
ラックや巣のない高品質の金属石鹸ブロックを能率良く
成形することができ、低コスト化の要求を十分に満たす
ことができる金属石鹸ブロック成形用の圧入成形装置及
び金属石鹸ブロック成形方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1の金属石鹸ブロック成形用の圧入
成形装置は、予熱された樹脂型内に加熱溶融した金属石
鹸を圧入充填し、それを自然放冷して金属石鹸ブロック
を成形するものであって、前記樹脂型の熱伝導率を0.
2〜3.8kcal/m・hr・℃に設定したものであ
る。
【0010】この圧入成形装置の特徴は、 従来の金型に代えて樹脂型を採用したこと、 樹脂型の熱伝導率を0.2〜3.8kcal/m・h
r・℃に設定したこと、 樹脂型内に圧入充填した溶融状態の金属石鹸を自然放
冷すること、 であり、以下、これらの特徴について説明する。
【0011】金型は熱伝導率が大きすぎて金型内の金
属石鹸の放熱が速すぎるため、放熱を調節するための温
度調節装置が必要となる。それ故に、本発明では、金型
と比較して熱伝導率が著しく小さい樹脂型を用いること
で、放熱を抑え、温度調節装置を不要にすると共に、自
然放冷により金属石鹸成形体各部位を均等に徐冷できる
ようにする。
【0012】しかし、樹脂型を例えば耐熱エポキシ樹
脂で形成すると、樹脂型の熱伝導率が0.11〜0.1
3kcal/m・hr・℃と小さすぎるため、放熱速度
が遅くなり過ぎて、樹脂型内の金属石鹸が固化するまで
の自然放冷時間が長くなり過ぎ、生産性が低下する。こ
の点を考慮して、本発明では、樹脂型の熱伝導率を0.
2〜3.8kcal/m・hr・℃に設定することで、
クラックの発生を抑えつつ、自然放冷時間を生産性を損
なわない時間に設定できるようにしている。
【0013】但し、樹脂型内への金属石鹸の注入を大
気圧下で行うと、金属石鹸の成形体内部に巣が出来るお
それがある。これを考慮して、本発明では、樹脂型内に
金属石鹸を圧入充填することで、金属石鹸の成形体内部
に巣が出来ることを防ぐ。また、樹脂型全体を自然放冷
することで、樹脂型内の金属石鹸成形体各部位を均等に
徐冷して、クラックの発生原因となる金属石鹸成形体各
部位の熱応力を十分に緩和しつつ徐冷し、金属石鹸の成
形体にクラックが入ることを防ぐ。
【0014】この場合、圧入時の圧力は、請求項2のよ
うに、2〜7kgf/cm2 に設定することが好まし
い。この範囲の圧力にすると、金属石鹸の成形体内部に
巣が出来ることを確実に防止できる。
【0015】また、樹脂型の熱伝導率を0.2〜3.8
kcal/m・hr・℃に設定する方法としては、請求
項3のように、熱良導体粉末を配合した樹脂で樹脂型を
形成すれば良い。このようにすれば、熱良導体粉末(例
えば金属粉末、カーボン粉末等)の配合量を調整するこ
とで、樹脂型の熱伝導率の調整を極めて容易に行うこと
ができる。
【0016】更に、請求項4のように、前記樹脂型に
は、金属石鹸ブロックを成形するキャビティに連続して
エア溜り部を形成することが好ましい。このようにすれ
ば、樹脂型内に溶融状態の金属石鹸を圧入する過程で、
溶融状態の金属石鹸に含まれた空気等のガスがキャビテ
ィからエア溜り部に押し出され、巣の発生原因となるガ
スがキャビティから確実に排除される。
【0017】以上のことから、金属石鹸ブロックを成形
する場合には、請求項5のように、本発明の樹脂型を金
属石鹸の融点付近の温度に予熱した後、前記樹脂型内に
加熱溶融した金属石鹸を圧入充填し、それを自然放冷し
て金属石鹸ブロックを成形すれば、複雑な温度調節装置
を必要としない極めて簡単な構造の樹脂型によって、自
然放冷によりクラックや巣のない高品質の金属石鹸ブロ
ックを能率良く成形することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。まず、金属石鹸ブロック成形用の
圧入成形装置全体の構成を図1(縦断正面図)及び図2
(横断面図)に基づいて説明する。圧入成形型として樹
脂型11を用いる。この樹脂型11はパーティングライ
ンPL1〜PL4で分割された簡単な構成の分割型とな
っている。この樹脂型11の内部には、金属石鹸ブロッ
クを成形するための複数のキャビティ12が形成され、
各キャビティ12の下端にはエア溜り部13が連続して
形成されている。各キャビティ12は、成形材料注入路
14を介して互いに連通されている。樹脂型11の下部
には、成形終了後に各キャビティ12から固化した金属
石鹸ブロックを取り出すための押上げピン21が設けら
れている。
【0019】一方、樹脂型11の上部には、成形材料
(金属石鹸)を収容して加熱溶融する圧入チャンバ15
が設けられ、この圧入チャンバ15内には、上下方向に
スライドするプランジャ16が嵌合され、このプランジ
ャ16がシリンダ等の加圧装置(図示せず)によって上
下動されるようになっている。このプランジャ16が下
降すると、圧入チャンバ15内の成形材料が圧入チャン
バ15下端の圧入口17から樹脂型11の成形材料注入
路14へ押し出され、各キャビティ12内に圧入され
る。尚、圧入チャンバ15とプランジャ16には、それ
ぞれ成形材料を加熱溶融し保温するためのヒータ18,
19が組み込まれ、更に、圧入チャンバ15の外周部に
はバンドヒータ20が装着されている。
【0020】次に、圧入成形型として樹脂型11を用い
る理由を説明する。成形材料となる金属石鹸(例えばジ
ンクステアレート、マグネシウムステアレート、ラウリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、バルミチン酸ナトリウム、
ステアリン酸ナトリウム、ミリスチン酸バリウム、ステ
アリン酸カルシウム等)は、特異な溶解性や再結晶性を
持つため、金型を用いて溶融状態の金属石鹸を自然放冷
により固化させると、成形体に多数のクラックが入って
しまう。本発明らの実験結果によれば、金型を用いる場
合でも、長時間かけて金型全体を均等にゆっくり徐冷す
ると、クラックが少なくなることが判明した。更に、実
験を重ね、溶融状態の金属石鹸を充填した金型を恒温乾
燥器内で10℃/hr程度の降下温度勾配で11時間か
けて徐冷したところ、クラックは発生しなかった。この
ことは、成形体各部位に均等に緩やかな降下温度勾配を
つけて徐冷すれば、クラックの発生を防止できることを
示している。
【0021】しかし、成形体の徐冷に11時間もかかっ
たのでは、生産性が非常に悪く、製品コストが非常に高
くなってしまう。しかも、金型は熱伝導率が大きすぎて
放熱速度が速すぎるため、放熱を調整するための温度調
節装置が必要となり、これもコストアップの要因とな
る。
【0022】本発明者は、この問題を解決するために、
金型と比較して熱伝導率が著しく小さい樹脂型を用い
て、金属石鹸の成形性を実験してみた。金属石鹸の融点
付近(140℃付近)の温度に耐え得る耐熱性樹脂(例
えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹
脂、シリコン樹脂等)で樹脂型を製作することが考えら
れる。しかし、耐熱エポキシ樹脂は、熱伝導率が0.1
1〜0.13kcal/m・hr・℃と小さすぎるた
め、放熱速度が遅くなり過ぎて、樹脂型内の金属石鹸の
徐冷時間が長くなり過ぎ、生産性が悪い。
【0023】従って、樹脂型の場合でも、徐冷時間を短
くする必要があり、そのためには、樹脂型自体の熱伝導
率をある程度大きくする必要がある。ここで、樹脂型の
熱伝導率を大きくするには、熱良導体粉末(例えば金属
粉末、カーボン粉末等)を配合した樹脂で樹脂型を形成
すれば良く、熱良導体粉末の配合量を調整することで、
樹脂型の熱伝導率の調整を容易に行うことができる。
【0024】本発明者らは、次の表1に示す実施例1〜
3の配合の樹脂で樹脂型を作製し、金属石鹸の成形性を
試験した。
【0025】
【表1】
【0026】各実施例1〜3では、樹脂の主剤として、
多官能基を持つノボラックタイプの耐熱・耐薬品エポキ
シ:100重量部[油化シェルエポキシ株式会社製のエ
ピコート154(商品名)]を用い、硬化剤としてジア
ミノジフェニルスルホン:34重量部、ジメチルジフェ
ニルメタン:8重量部を用いている。この主剤と硬化剤
との組み合わせにより、耐熱温度(熱変形温度):25
0℃を確保している。
【0027】しかし、エポキシ樹脂単体では熱伝導率が
0.11〜0.13kcal/m・hr・℃と小さすぎ
ることから、樹脂の熱伝導率を大きくするために、各実
施例1〜4のエポキシ樹脂には、銅粉末(例えば粒径4
〜8μm)、アルミ粉末(例えば粒径1.5〜5μm)
等の熱良導体粉末を配合している。表1に示すように実
施例1では、銅粉末:80重量部とアルミ粉末:50重
量部とを配合し、実施例2では、アルミ粉末:50重量
部のみを配合し、実施例3では、アルミ粉末の配合量を
30重量部としている。
【0028】各実施例1〜3では、これら主剤、硬化
剤、熱良導体粉末の配合物を加熱混合して、熱良導体粉
末を均一に分散させた樹脂溶融液を作り、これを脱泡、
注型して硬化させ、図1及び図2に示す構造の樹脂型を
形成した。各実施例1〜4の樹脂型の物性データの測定
値を次の表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】これら各実施例1〜3の樹脂型は、樹脂型
単体で圧入成形型に要求される十分な強度を確保できる
ため、金属バックアップ等の補強は必要ない。また、急
激な加熱冷却の繰り返しにも、樹脂型の割れやソリ等の
熱歪みによる変形や損傷もない。また、配合する金属粉
末の粒径を10μ以下に選定すれば、型面の仕上りは良
好であり、機械加工、研磨の仕上りも良い。更に、耐薬
品性も良好なので、離型剤や洗浄剤を使用する場合も全
く問題はない。また、通常の保管状態下で、経年劣化が
極めて少なく、耐久性も良いことが確認されている。
【0031】この樹脂型を用いて金属石鹸ブロックを圧
入成形する手順は次の通りである。まず、樹脂型を金属
石鹸の融点付近の温度(140℃)に予熱すると共に、
金属石鹸を融点+10℃の温度(140℃)で加熱溶融
して、樹脂型内に圧入充填する。この圧入時の圧力は、
2〜7kgf/cm2 に設定する。そして、圧入充填後
に、樹脂型11全体を均一に自然放冷させて140℃か
ら30℃まで徐冷する。自然放冷開始から金属石鹸ブロ
ック取出しまでの時間(自然放冷時間)は、実施例1は
90分、実施例2は150分、実施例3は210分であ
る。
【0032】このようにして成形された各実施例1〜3
の金属石鹸ブロックの成形試験の結果を次の表3に示
す。
【0033】
【表3】
【0034】この表3に示すように、全ての実施例1〜
3で、成形後の金属石鹸ブロックの表面が平滑となり、
良好な表面が得られた。但し、実施例1では、銅粉末:
80重量部とアルミ粉末:50重量部が配合され、金属
粉末の配合量が多いため、樹脂型の熱伝導率が大きくな
り(3.8kcal/m・hr・℃)、放熱が若干速く
すすみ過ぎる傾向がある。このため、樹脂型内の金属石
鹸が140℃から30℃まで徐冷する自然放冷時間が短
くなり(90分)、樹脂型内の金属石鹸各部位の熱衝撃
(熱応力)の緩和が若干不十分となり、10回の試験
中、2回の試験で成形体の一部の角部に亀裂が入ってし
まい、不良品が発生した。但し、この実施例1でも、8
0%の歩留りを確保でき、採算が取れるが、この実施例
1の結果から、熱伝導率は大きくても3.8kcal/
m・hr・℃が限界であると考えられる。
【0035】この点、実施例2(熱伝導率1.21kc
al/m・hr・℃)では、140℃から30℃まで徐
冷する自然放冷時間が150分であり、実施例3(熱伝
導率0.7kcal/m・hr・℃)では、自然放冷時
間が250分である。これら実施例2,3では、自然放
冷時間が150分以上確保され、樹脂型内の金属石鹸の
徐冷速度が適度になって、140℃から30℃まで徐冷
する過程で、成形体各部位の熱衝撃(熱応力)が十分に
緩和されつつ徐冷される。このため、成形体にクラック
が入らず、不良品が全く発生しなかった。これらの試験
結果から、成形体にクラックがほとんど発生しないため
の樹脂型の熱伝導率の好ましい範囲は、3.5kcal
/m・hr・℃以下(自然放冷時間110分以上)であ
ると考えられる。
【0036】但し、樹脂型の熱伝導率が小さくなるほ
ど、140℃から30℃まで徐冷する自然放冷時間が長
くなり、それに伴って、生産性が低下する。従って、1
日の労働時間(8時間)を考慮して、自然放冷時間を4
〜5時間以内にすることが好ましく、そのためには、樹
脂型の熱伝導率を0.2kcal/m・hr・℃以上と
すれば良い。更に、生産性向上の観点から、実施例3の
ように、自然放冷時間を210分(3.5時間)以内と
することが好ましく、そのためには、樹脂型の熱伝導率
を0.7kcal/m・hr・℃以上とすれば良い。
【0037】以上のことから、使用可能な樹脂型の熱伝
導率の範囲は、0.2〜3.8kcal/m・hr・℃
(自然放冷時間:5時間〜90分)であり、より好まし
くは0.7〜3.5kcal/m・hr・℃(自然放冷
時間:3.5時間〜110分)である。
【0038】ところで、樹脂型内への金属石鹸の注入を
大気圧下で行うと、金属石鹸の成形体内部に巣が出来る
おそれがある。この点、上記各実施例1〜3では、樹脂
型内に金属石鹸を2〜7kgf/cm2 の圧力で圧入充
填することで、金属石鹸の成形体内部に巣が出来ること
を確実に防ぐことができる。ここで、圧入時の圧力が2
kgf/cm2 よりも小さいと、圧入の効果が少なく、
金属石鹸の成形体内部に巣が出来ることがあり、また、
7kgf/cm2 より大きいと、樹脂型に加わる圧力が
大きくなり過ぎ、圧入時に樹脂型(キャビティの形状)
が変形して液漏れを起こしたり、変形した成形品が出来
上がるおそれがある。それ故に、圧入時の圧力は、2〜
7kgf/cm2 とすることが好ましい。尚、この圧入
の圧力源は、油圧、空気圧、手押しでも良い。
【0039】また、図1に示した樹脂型11では、キャ
ビティ12に連続してエア溜り部13を形成しているの
で、樹脂型11内に溶融状態の金属石鹸を圧入する過程
で、溶融状態の金属石鹸に含まれた空気等のガスをキャ
ビティ12からエア溜り部11に押し出すことができ
て、巣の発生原因となるガスがキャビティ12から確実
に排除することができる。
【0040】以上説明した実施形態では、熱伝導率を
0.2〜3.8kcal/m・hr・℃(より好ましく
は0.7〜3.5kcal/m・hr・℃)に設定した
樹脂型11を用いて、樹脂型11内に加熱溶融した金属
石鹸を圧入充填し、それを自然放冷して金属石鹸ブロッ
クを成形するという簡単な工程で、成形体各部位を均等
に自然放冷してクラックの発生原因となる成形体各部位
の熱応力を十分に緩和しながら徐冷することができ、ク
ラックや巣のない高品質の金属石鹸ブロックを能率良く
成形することができる。しかも、樹脂型11を自然放冷
させれば良いので、樹脂型11に従来のような複雑な温
度調節装置を組み込む必要がなく、極めて簡単な構造の
樹脂型11によって、クラックや巣のない高品質の金属
石鹸ブロックを能率良く成形することができ、製品歩留
り向上、生産性向上、低コスト化を実現できる。
【0041】このようにして製造された金属石鹸ブロッ
クは、静電複写機、ファックス、カラープリンタ等の事
務機、製紙工場のスーパーカレンダー、その他の精密機
器等に滑剤、クリーニング助剤、潤滑剤等として有効に
用いられる。
【0042】例えば、静電複写機で使用する場合には、
図3に示すように、本体フレーム22にスプリング23
を介してホルダー28を取り付け、このホルダー28の
ブロック取付部29に金属石鹸ブロック24を接着剤等
で取り付ける。この金属石鹸ブロック24の先端部は、
回転ブラシ25に接触し、この回転ブラシ25によって
金属石鹸ブロック24の先端部から微量の金属石鹸粉末
を削り取りながら、感光体ドラム26の表面に均一に塗
り付けていく。また、ホルダー24のブレード取付部3
0に取り付けたクリーニングブレード27によって、感
光体ドラム26表面に付着したトナーをかき取る。この
際、感光体ドラム26の表面に回転ブラシ25で塗り付
けられた金属石鹸粉末は、感光体ドラム26表面へのト
ナーの付着を少なくする作用と、クリーニングブレード
27によるトナーのかき取りを容易にする作用を果た
し、複写品質を向上させるのに大いに役立つ。
【0043】尚、本発明は、上述した各実施例の構成に
限定されず、樹脂型11を、エポキシ以外の耐熱性樹
脂、例えばフェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコ
ン樹脂等で形成しても良く、また、樹脂に配合する熱良
導体粉末は、金属粉末に限定されず、カーボン粉末等、
金属以外の熱良導体粉末であっても良い。
【0044】その他、本発明は、樹脂型11の形状や成
形する金属石鹸ブロックの形状を用途に応じて変更して
も良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施
できることは言うまでもない。
【0045】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の請求項1の金属石鹸ブロック成形用の圧入成形装置に
よれば、圧入成形型として樹脂型を用い、この樹脂型の
熱伝導率を0.2〜3.8kcal/m・hr・℃に設
定したので、複雑な温度調節装置を必要としない極めて
簡単な構造の樹脂型によって、クラックや巣のない高品
質の金属石鹸ブロックを能率良く成形することができ、
製品歩留り向上、生産性向上、低コスト化の要求を十分
に満たすことができるしかも、請求項2では、圧入時の
圧力を2〜7kgf/cm2 に設定したので、金属石鹸
の成形体内部に巣が出来ることを確実に防止できると共
に、樹脂型に過大な圧力が加わることを防止できる。
【0046】更に、請求項3では、熱良導体粉末を配合
した樹脂で樹脂型を形成するようにしたので、熱良導体
粉末の配合量を調整することで、樹脂型の熱伝導率の調
整を極めて容易に行うことができ、樹脂型の製造性を向
上できる。
【0047】また、請求項4では、樹脂型のキャビティ
に連続してエア溜り部を形成したので、金属石鹸圧入時
に、巣の発生原因となる金属石鹸中の空気等のガスをキ
ャビティからエア溜り部に確実に押し出すことができ、
製品の品質向上に役立つ。
【0048】また、請求項5では、本発明の樹脂型を金
属石鹸の融点付近の温度に予熱した後、前記樹脂型内に
加熱溶融した金属石鹸を圧入充填し、それを自然放冷し
て金属石鹸ブロックを成形するので、自然放冷によりク
ラックや巣のない高品質の金属石鹸ブロックを能率良く
成形することができ、製品コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す樹脂型の縦断正面図
【図2】樹脂型の横断面図
【図3】静電複写機内への金属石鹸ブロックの取り付け
状態を示す側面図
【符号の説明】
11…樹脂型、12…キャビティ、13…エア溜り部、
14…成形材料注入路、15…圧入チャンバ、16…プ
ランジャ、17…圧入口、18,19…ヒータ、20…
バンドヒータ、21…押上げピン、24…金属石鹸ブロ
ック、25…回転ブラシ、26…感光体ドラム、27…
クリーニングブレード、PL1〜PL4…パーティング
ライン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C11D 13/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予熱された樹脂型内に加熱溶融した金属
    石鹸を圧入充填し、それを自然放冷して金属石鹸ブロッ
    クを成形する圧入成形装置であって、 前記樹脂型の熱伝導率を0.2〜3.8kcal/m・
    hr・℃に設定したことを特徴とする金属石鹸ブロック
    成形用の圧入成形装置。
  2. 【請求項2】 圧入時の圧力を2〜7kgf/cm2
    設定したことを特徴とする請求項1に記載の金属石鹸ブ
    ロック成形用の圧入成形装置。
  3. 【請求項3】 前記樹脂型を、熱良導体粉末を配合した
    樹脂で形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載
    の金属石鹸ブロック成形用の圧入成形装置。
  4. 【請求項4】 前記樹脂型には、前記金属石鹸ブロック
    を成形するキャビティに連続してエア溜り部を形成した
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の金
    属石鹸ブロック成形用の圧入成形装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の金属
    石鹸ブロック成形用の圧入成形装置を用いて金属石鹸ブ
    ロックを成形する方法であって、 前記樹脂型を前記金属石鹸の融点付近の温度に予熱した
    後、前記樹脂型内に加熱溶融した金属石鹸を圧入充填
    し、それを自然放冷して金属石鹸ブロックを成形するこ
    とを特徴とする金属石鹸ブロック成形方法。
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