JP3187759U - 部屋干し臭を発生することのない機能糸及びこれを使用した機能性織編物 - Google Patents
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Abstract
【課題】綿やレーヨンなどの保水性の大きなセルロース系繊維を含有する衣類等を部屋干ししても、部屋干し臭の発生を防止することのできる機能糸、及び、これを使用した機能性織編物を提供する。
【解決手段】セルロース系繊維含有糸からなり、少なくともセルロース系繊維の表面に部屋干し時の悪臭防止機能を有する機能剤を固着してなる機能糸であって、当該機能剤は、2分子膜多層構造の小胞体10であって、この小胞体10の油層12a,12b,12cには前記悪臭防止機能を有する成分としてウンデシレン酸モノグリセライドが内包されている。
【選択図】図1
【解決手段】セルロース系繊維含有糸からなり、少なくともセルロース系繊維の表面に部屋干し時の悪臭防止機能を有する機能剤を固着してなる機能糸であって、当該機能剤は、2分子膜多層構造の小胞体10であって、この小胞体10の油層12a,12b,12cには前記悪臭防止機能を有する成分としてウンデシレン酸モノグリセライドが内包されている。
【選択図】図1
Description
本考案は、衣類等に使用することができ、これらの衣類等を洗濯後に部屋干ししたときにも悪臭を発生することのない機能糸及びこれを使用した機能性織編物に関するものである。
近年、ライフスタイルや住宅環境の変化により、洗濯後の衣類やシーツ、タオル等を室内に干す、いわゆる「部屋干し」が多くなってきている。これは、夜に洗濯する人の割合が増加したことや、防犯上の理由、花粉症や黄砂への対策など様々な理由によるものである。更に、近年においては、中国から飛来するPM2.5の対策などから更に部屋干しが多くなることも考えられる。
しかしながら、洗濯後の衣類等を部屋干しした場合には、乾燥までに時間がかかり、衣類等が湿った状態に置かれる時間が長くなる。このような状態において、室内で乾燥した衣類等から「部屋干し臭」と言われる悪臭が発生することがある。このような悪臭は、着用時や使用時に不快感を覚えることとなり、その対策が望まれていた。
そこで、部屋干し臭の防止には衣類の乾燥時間を短くすることが考えられる。そこで、速乾素材を衣類等に使用すれば、部屋干し臭を防止することができる。例えば、下記特許文献1においては、多層構造編地を用い、表面層を構成する繊維の単糸繊度が裏面層を構成する繊維の単糸繊度より小さくなるように配置して、乾燥の時間を短縮できることが提案されている。このことにより、部屋干し臭の発生を少なくすることが考えられる。
また、下記特許文献2においては、異型断面の疎水性フィラメント糸を活用し、異繊度フィラメント糸を組合せて毛細管現象を促進して高吸水・速乾性を有するポリエステルX型断面繊維が提案されている。この繊維も速乾性を特徴とするので乾燥の時間を短縮でき、部屋干し臭の発生を少なくすることが考えられる。
ところで、上記特許文献1及び上記特許文献2においては、洗濯後の乾燥時間を短縮して部屋干し臭の発生を防止しようとするものである。しかし、これらは、いずれもポリエステルなど疎水性の合成繊維を使用し、且つ、複雑な多層構造或いは異形断面繊維を用いるものであり、一般の衣類に馴染まない。更に、綿やレーヨンなどの保水性の大きなセルロース系繊維においては、洗濯後の乾燥時間を短縮することは難しいという問題があった。
そこで、本考案は、以上のようなことに対処して、綿やレーヨンなどの保水性の大きなセルロース系繊維を含有する衣類等を部屋干ししても、部屋干し臭の発生を防止することのできる機能糸、及び、これを使用した機能性織編物を提供することを目的とする。
上記課題の解決にあたり、本考案者らは、鋭意研究の結果、特にセルロース系繊維含有糸に糸の状態で、部屋干しによる悪臭を防止する機能(以下、悪臭防止機能という)を有する機能剤を内包した2分子膜多層構造の小胞体を付与することにより、上記課題を解決できることを見出し本考案の完成に至った。
即ち、本考案に係る機能糸は、請求項1の記載によると、
セルロース系繊維含有糸からなり、少なくともセルロース系繊維の表面に部屋干し時の悪臭防止機能を有する機能剤を固着してなる機能糸であって、
前記機能剤は、2分子膜多層構造の小胞体であって、この小胞体の油層には前記悪臭防止機能を有する機能剤としてウンデシレン酸モノグリセライドが内包されていることを特徴とする。
セルロース系繊維含有糸からなり、少なくともセルロース系繊維の表面に部屋干し時の悪臭防止機能を有する機能剤を固着してなる機能糸であって、
前記機能剤は、2分子膜多層構造の小胞体であって、この小胞体の油層には前記悪臭防止機能を有する機能剤としてウンデシレン酸モノグリセライドが内包されていることを特徴とする。
また、本考案は、請求項2の記載によると、請求項1に記載の機能糸であって、
前記セルロース系繊維含有糸をチーズ状パッケージに巻き取った状態で、前記2分子膜多層構造の小胞体を含有する処理液で当該チーズ状パッケージを処理することにより、当該小胞体が少なくともセルロース系繊維の表面に均一に固着されてなることを特徴とする。
前記セルロース系繊維含有糸をチーズ状パッケージに巻き取った状態で、前記2分子膜多層構造の小胞体を含有する処理液で当該チーズ状パッケージを処理することにより、当該小胞体が少なくともセルロース系繊維の表面に均一に固着されてなることを特徴とする。
また、本考案は、請求項3の記載によると、請求項1又は2に記載の機能糸であって、
チーズ状パッケージに巻き取った状態の前記セルロース系繊維含有糸は、アニオン基を有する染料で染色されており、
前記2分子膜多層構造の小胞体は、その最外層の表面にカチオン基を有するカチオン性小胞体であって、
この染色されたセルロース系繊維含有糸を前記カチオン性小胞体で処理することにより、当該小胞体のカチオン基とセルロース系繊維に染着した染料のアニオン基とがイオン結合により固着されてなることを特徴とする。
チーズ状パッケージに巻き取った状態の前記セルロース系繊維含有糸は、アニオン基を有する染料で染色されており、
前記2分子膜多層構造の小胞体は、その最外層の表面にカチオン基を有するカチオン性小胞体であって、
この染色されたセルロース系繊維含有糸を前記カチオン性小胞体で処理することにより、当該小胞体のカチオン基とセルロース系繊維に染着した染料のアニオン基とがイオン結合により固着されてなることを特徴とする。
また、本考案に係る機能性織編物は、請求項4の記載によると、請求項1〜3のいずれか1つに記載の機能糸を使用して織編されてなる。
また、本考案に係る機能性織編物は、請求項5の記載によると、請求項1〜3のいずれか1つに記載の機能糸を緯糸又は経糸のいずれか一方に使用して製織されてなる。
上記請求項1に記載の構成によれば、悪臭防止機能を有する機能剤が油層に内包された2分子膜多層構造の小胞体がセルロース系繊維含有糸に固着している。この小胞体は、セルロース系繊維との親和性が高く洗濯により脱落することがない。
また、悪臭防止機能を有する機能剤としてウンデシレン酸モノグリセライドが小胞体の油層に内包されており、これも洗濯により容易に脱落することがなく、洗濯後の部屋干し時にその効果を発揮する。
また、上記請求項2に記載の構成によれば、機能糸は、通常の糸をチーズ状パッケージに巻き取った状態で処理されるので、セルロース系繊維に対する小胞体の固着が均一なものとなる。
また、上記請求項3に記載の構成によれば、小胞体がセルロース系繊維に染着した染料とイオン結合を形成するので、セルロース系繊維に対する小胞体の固着がより強固なものとなり洗濯耐久性が更に向上する。
また、上記請求項4及び上記請求項5は、上記各請求項に記載した機能糸を使用した機能性織編物であり、上記機能糸と同様の作用効果をより一層具体的に達成することができる。
以上のことから、本考案によれば、綿やレーヨンなどの保水性の大きなセルロース系繊維を含有する衣類等を部屋干ししても、部屋干し臭の発生を防止することのできる機能糸、及び、これを使用した機能性織編物を提供することができる。
本考案に係る機能糸は、セルロース系繊維含有糸からなる。ここで、セルロース系繊維含有糸とは、綿糸などのようにセルロース系繊維のみで構成された糸であってもよく、或いは、ポリエステル/綿混紡糸、アクリル/レーヨンフィラメント混繊糸のようにセルロース系繊維と他の繊維とで構成された糸であってもよい。ここで、セルロース系繊維には、綿、麻などの天然繊維、レーヨン(ビスコースレーヨン)、キュプラ、ポリノジック、テンセルなどの再生繊維が挙げられる。
本考案に係る機能糸においては、少なくともセルロース系繊維の表面に悪臭防止機能を有する機能剤(後述する)が固着されている。具体的には、綿糸などセルロース系繊維のみで構成された糸においては、糸全体に機能剤が固着されている。一方、ポリエステル/綿混紡糸などセルロース系繊維と他の繊維とで構成された糸においては、セルロース系繊維のみに機能剤が固着されていてもよく、或いは、セルロース系繊維と他の繊維の両方に機能剤が固着されていてもよい。これは、本考案に使用する機能剤が、繊維の種類により親和性が異なり、特にセルロース系繊維に対して強い親和性を有していることによる。
本考案において、悪臭防止機能とは、衣類やシーツ、タオル等を洗濯後に部屋干しする際に、乾燥までに時間がかかり衣類等が湿った状態に置かれる時間が長くなった場合でも、乾燥した衣類等から部屋干し臭といわれる悪臭が発生することを防止する機能をいう。
ここで、部屋干し臭とは、多くの悪臭の複合臭であるが、その主たる悪臭物質は、モラクセラ菌(Moraxella Osloensis)が発生させる4−メチル−3−ヘキセン酸によるものと言われている。このモラクセラ菌は、グラム陰性菌に属する常在菌である。
本考案においては、悪臭防止機能を有する機能剤として、ウンデシレン酸モノグリセライドを用いる。このウンデシレン酸モノグリセライドは、人間の汗の成分であって皮膚の清浄作用の主役を務める物質である。また、ウンデシレン酸モノグリセライドは、皮膚への刺激が少なく、安全でしかも皮膚との親和性が大きい。更に、この物質は親油性であることから皮膚の平滑性を与えると同時に皮膚を清潔に保つ作用がある。
このウンデシレン酸モノグリセライドがモラクセラ菌に対する抗菌作用を発揮することにより、部屋干し時に衣類等が湿った状態に置かれた場合のモラクセラ菌の増殖を抑えることができる。その結果、衣類等の表面のモラクセラ菌の菌数が少なくなり、4−メチル−3−ヘキセン酸の発生量が抑えられ、部屋干し臭を発生することがない。
なお、このウンデシレン酸モノグリセライドは、親油性でありセルロース系繊維への親和性が小さく、単に繊維に付与しただけでは洗濯により繊維から容易に脱落する。従って、このウンデシレン酸モノグリセライドを繊維上に安定に固着することが必要となる。本考案においては、特にセルロース系繊維に強い親和性を有する2分子膜多層構造の小胞体の内部にウンデシレン酸モノグリセライドを内包することにより、耐洗濯性のある悪臭防止機能を発揮することを特徴とする。
以下、図面を用いて本考案を説明する。図2は、機能糸を構成するセルロース系繊維21の表面に機能剤(後述する小胞体10)が均一に固着した状態を示している。この小胞体10の大きさは、ミクロンサイズからサブミクロンサイズでありセルロース系繊維の非晶部までは入りにくく、その多くが繊維表面上に固着しているものと思われる。
本考案において、悪臭防止機能を有する機能剤は、2分子膜多層構造の小胞体からなり、図1に示すように、この小胞体10は、水層11a、11bと疎水性の油層12a、12b、12cが多層に重なった2分子膜多層構造(ベシクル構造ともいう)を有している。
この2分子膜多層構造は、リン脂質或いはアルキル第4級アンモニウム塩などの界面活性剤Sが2分子膜を形成し、界面活性剤Sの親水部Saが隙間なく並んで水層11a、11bを形成し、また、界面活性剤Sの疎水部Sbが隙間なく並んで油層12a、12b、12cを交互に形成している。
本考案においては、この油層12a、12b、12cの中に悪臭防止機能を有する機能剤であるウンデシレン酸モノグリセライドを内包している。なお、悪臭防止機能を有する機能剤は、ウンデシレン酸モノグリセライドそのものであってもよく、或いは、ウンデシレン酸モノグリセライドを含有する物質であってもよい。
ここで、小胞体10に内包するウンデシレン酸モノグリセライドの量は、ウンデシレン酸モノグリセライドの悪臭防止機能を発現し得る範囲であればよく、例えば、小胞体10の重量に対して10〜40重量%であってもよい。
また、本考案においては、小胞体10の内部に、更に他の機能成分、例えば、スキンケア成分等を内包するようにしてもよい。スキンケア成分を内包した場合には、本考案に係る機能糸及びこれを使用した機能性織編物が肌に触れる衣類やシーツ、タオル等に使用された場合に、肌を保護する成分として作用する。その意味から、これらのスキンケア成分は、化粧品に使用される成分であることが好ましい。
このスキンケア成分としては、カモミールエキス、各種アミノ酸、シルクプロテインなど親水性のものがあり、これらの中でもカモミールエキスが好ましい。これら親水性のスキンケア成分は、水層11a、11bの中に内包される。
ここで、カモミールエキスとは、キク科の植物カミツレの花から抽出されるエキスであって、カマズレン、アズレン、ビサボロール、アミノ酸、タンニン、フラボノイドなどを含み、保湿作用、発汗作用、浄化作用、鎮静作用、沈痛作用があり、また、美白作用、活性酸素抑制作用などがあるとされている。
この2分子膜多層構造の小胞体10を製造する方法は、通常のベシクル製造法を利用すればよく、リン脂質或いは第4級アンモニウム塩などの界面活性剤Sを分散した分散液に、油層を形成すための動植物油を分散混合し、超音波乳化機、ナノマイザー或いはホモジナイザーなどの乳化分散機器で調整すればよい。本考案においては、油層を形成すための動植物油の中に予め親油性のウンデシレン酸モノグリセライドを混合してから乳化分散するようにしてもよい。
ここで、本考案に係る機能糸の製造方法について具体的に説明する。まず、セルロース系繊維含有糸を準備する。このセルロース系繊維含有糸は、上述のように、綿糸などのようにセルロース系繊維のみで構成された糸であってもよく、或いは、ポリエステル/綿混紡糸、アクリル/レーヨンフィラメント混繊糸のようにセルロース系繊維と他の繊維とで構成された糸であってもよい。
まず、未精練のセルロース系繊維含有糸をチーズ状パッケージに巻き取り、これをチーズ染色機にセットして、通常の方法で精練・漂白を行う。更に、必要により染色を行い、その後、このチーズ染色機の中で2分子膜多層構造の小胞体の固着処理(以下、小胞体処理という)を行う。このように、精練・漂白、必要により染色、及び、小胞体処理を同一のチーズ染色機の中で行うことができるので、織布後に小胞体処理をパディング法などで行うのに比べ、機能糸及び機能性織編物の生産性が向上する。
小胞体処理は、染色処理に準じて行えばよいが、例えば、処理糸重量に対して1〜8重量%、好ましくは、2〜4重量%の小胞体を分散した処理液で、pH4〜5として、40〜80℃で10〜60分間処理すればよい。処理液中には、小胞体の固着をより強固にするためのバインダーを併用するようにしてもよい。また、柔軟剤など通常の繊維処理剤を併用するようにしてもよい。この小胞体処理により、処理液中の小胞体がセルロース系繊維に選択的に吸尽され固着する。
ここで、小胞体は、処理液中でカチオン性を有することが好ましい。小胞体がカチオン性を有することにより、よりセルロース系繊維に選択的に吸尽され、バインダーを併用することなくセルロース系繊維に強固に固着する。
また、セルロース系繊維含有糸が前もって染色されている場合には、更に強固にセルロース系繊維に固着するものと思われる。セルロース系繊維の染色には、通常、反応染料或いは直接染料が使用される。これらの染料は、その分子中にアニオン性の親水基を有しており、染着後もアニオン性の親水基は残存している。
図3は、セルロース系繊維含有糸を構成するセルロース系繊維21の表面を拡大した概略図であるが、このセルロース系繊維21を構成するセルロース分子22には、染料Dが染着している。この染料Dは、小胞体処理液中でアニオン性(−)を示しており、これにカチオン性(+)を有する小胞体10が引き寄せられてイオン結合を形成する。
このことにより、未染色のセルロース系繊維に小胞体処理する場合に比べ、染色されたセルロース系繊維に小胞体処理する方が小胞体の吸尽率及び固着率が更に向上するものと思われる。
次に、本考案に係る機能性織編物の製造方法について説明する。本考案に係る機能性織編物は、通常のセルロース系繊維含有糸による織工程或いは編工程で製造すればよい。このときの糸使いは、機能糸のみを使用してもよく、或いは、機能糸と未加工の通常糸とを使用してもよい。また、織組織或いは編組織についても何ら制限を設けるものではない。
更に、機能性織編物とした後に、織編物で通常行われる処理、例えば、柔軟加工、樹脂加工、又は、形態安定加工などの処理を行うようにしてもよい。これら通常の織編物処理において、機能糸の小胞体が脱落することはない。
以下、本考案に係る悪臭防止機能を有する機能性織物を実施例により説明する。
実施例1として、40番手の綿糸からなる機能糸を使用した平織物からなる機能性織物を製織した。図4に実施例1に係る機能性織物100の概略図を示す。この機能性織物100は、40番手の綿の機能糸を緯糸20及び経糸30に使用している。
緯糸20及び経糸30に使用した機能糸は、未精練の綿糸をチーズ染色機により精練・漂白・染色した後、そのまま同じチーズ染色機中で上述の小胞体処理を行って得た。小胞体処理は、糸重量に対して3重量%の小胞体を使用し、pH4〜5として、60℃で20分間処理した。また、この小胞体処理にはバインダーを併用していない。
このように、本実施例1に係る機能性織物100には、緯糸20及び経糸30を構成する綿糸の両方に悪臭防止機能を有する小胞体10が均一に固着されている。また、この機能性織物100は、製織後に通常の柔軟剤による柔軟加工を行ったのみであり、樹脂加工などは行わなかった。
得られた実施例1に係る機能性織物についてその悪臭防止機能を評価した。また、標準綿布を比較例1として同様に評価した。悪臭防止機能は、モラクセラ菌の増殖率を測定する抗菌性試験で評価した。
抗菌性試験は、JIS L 1902:2008 定量試験(菌液吸収法)に準拠して行った。なお、生菌数の測定方法は、混釈平板培養法によった。また、試験菌株は、モラクセラ菌(Moraxella Osloensis ATCC 19976)を使用した。実施例1に係る機能性織物と比較例1に係る標準綿布の抗菌効果を表1に示す。
表1の各値を比較すると、標準綿布(比較例1)においては、接種直後の生菌数の常用対数値が4.3であり18時間後の値が7.5と増加しており、増殖値3.2とモラクセラ菌が大幅に増殖している。これに対して、本考案に係る機能性織物(実施例1)においては、接種直後の生菌数の常用対数値は標準綿布(比較例1)と同じ4.3であったが、18時間後の値が1.3以下と減少しており、増殖値−3.0以下、即ち、殺菌活性値3.0以上とモラクセラ菌が大幅に減少している。このことにより、標準綿布(比較例1)と比較した静菌活性値が6.2以上と良好な値を示している。
このように、表1から明らかなように、本実施例1の機能性織物は、モラクセラ菌に対する抗菌効果に優れ、その結果として、衣類等を部屋干しする際に、乾燥までに時間がかかり衣類等が湿った状態に置かれる時間が長くなった場合でも、乾燥した衣類等から部屋干し臭が発生することがなく悪臭防止機能を有していた。
以上のことから、本考案においては、綿やレーヨンなどの保水性の大きなセルロース系繊維を含有する衣類等を部屋干ししても、部屋干し臭の発生を防止することのできる機能糸、及び、これを使用した機能性織編物を提供することができる。
本考案に係る機能糸及びこれを使用した機能性織編物は、洗濯後に部屋干しした際に、部屋干し臭といわれる悪臭を発生することがない。従って、ドレシシャツ、カジュアルシャツ、パンツなどの衣類はもちろん、シーツ、タオル、肌着、インナー、パジャマ、ソックス、タイツなどとして、広く繊維産業、ファッション産業に使用することができる。
10…小胞体、11a、11b…水層、12a、12b、12c…油層、
20…緯糸、21…セルロース系繊維、22…セルロース分子、30…経糸、
100…機能性織物、D…染料、S…界面活性剤、Sa…親水部、Sb…疎水部。
20…緯糸、21…セルロース系繊維、22…セルロース分子、30…経糸、
100…機能性織物、D…染料、S…界面活性剤、Sa…親水部、Sb…疎水部。
Claims (5)
- セルロース系繊維含有糸からなり、少なくともセルロース系繊維の表面に部屋干し時の悪臭防止機能を有する機能剤を固着してなる機能糸であって、
前記機能剤は、2分子膜多層構造の小胞体であって、この小胞体の油層には前記悪臭防止機能を有する機能剤としてウンデシレン酸モノグリセライドが内包されていることを特徴とする機能糸。 - 前記セルロース系繊維含有糸をチーズ状パッケージに巻き取った状態で、前記2分子膜多層構造の小胞体を含有する処理液で当該チーズ状パッケージを処理することにより、当該小胞体が少なくともセルロース系繊維の表面に均一に固着されてなることを特徴とする請求項1に記載の機能糸。
- チーズ状パッケージに巻き取った状態の前記セルロース系繊維含有糸は、アニオン基を有する染料で染色されており、
前記2分子膜多層構造の小胞体は、その最外層の表面にカチオン基を有するカチオン性小胞体であって、
この染色されたセルロース系繊維含有糸を前記カチオン性小胞体で処理することにより、当該小胞体のカチオン基とセルロース系繊維に染着した染料のアニオン基とがイオン結合により固着されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の機能糸。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の機能糸を使用して織編されてなる機能性織編物。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載の機能糸を緯糸又は経糸のいずれか一方に使用して製織されてなる機能性織編物。
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