JP2014201859A - 耐久性に優れた消臭抗菌性繊維布帛 - Google Patents

耐久性に優れた消臭抗菌性繊維布帛 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを混用した消臭抗菌性繊維布帛であって、加齢臭に対する消臭性能に優れ、抗菌性能、吸水拡散性能に優れ、着用感に優れる消臭抗菌性繊維布帛を提供すること。【解決手段】セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを混用した消臭性繊維布帛であって、ポリアリルアミンを含有し、平均粒子径が5〜100nmの金属粒子を0.005〜0.1重量%含有し、親水剤を0.3〜0.8重量%含有し、洗濯50回後の消臭加工繊維製品認定基準におけるアンモニア減少率、イソ吉草酸減少率およびノネナール減少率がそれぞれ70%以上、85%以上および75%以上であり、かつ洗濯50回後の繊維製品衛生加工評議会認定基準における黄色ブドウ球菌の静菌活性値が2.2以上であることを特徴とする消臭抗菌性繊維布帛。【選択図】なし

Description

本発明は、消臭性能と抗菌性能の耐久性に優れるセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛に関する。さらに詳しくは、本発明は、消臭性能と抗菌性能に対する優れた耐久性を有するとともに、吸水拡散性能の洗濯耐久性に優れ、発色性および染色堅牢度にも優れるセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛に関する。
綿等のセルロース繊維は衣服に多く使用されているが、近年、衣服着用時の快適性、特に夏場における日常生活の中での快適性を満足させるための機能として、消臭性能や抗菌性能が求められている。夏のシーズンにおいて長期に渡る気温25℃以上の夏日や真夏日での環境下において、快適性および着心地を持続させるには消臭性能と抗菌性能の耐久性とともに、汗をかいたときに速やかに吸水し拡散させることが、着心地のよさを実感する上で重要である。
高齢化社会の進行により、消臭性能の中でも特に中高年の人が発する独特の体臭である加齢臭に対する消臭機能が求められている。
一般に、加齢臭とは、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールの各臭気成分に起因すると考えられており、加齢臭の消臭には、これら4つの成分を全て除去する機能が必要とされている。また、抗菌性においては、代表として黄色ブドウ球菌による性能が必要とされている。
加齢臭の中の一つであるノネナールは、加齢による生体防御機構の衰えで分解されなかった過酸化脂質と、加齢と共に分泌量が多くなるパルミトレイン酸との反応によるものであり、過酸化脂質による酸化伝播でバルミトレイン酸がバルミトオレイン酸ヒドロペルオキシドとなり、これが開裂分解してノネナールとなることから、抑制する方法として、過酸化脂質による酸化伝播を遮断するために、キュレン抽出物やオウゴン抽出物等の抗酸化剤を繊維表面に付与する方法があるが、これら抗酸化剤そのものは洗濯耐久性がないという問題がある。
下記特許文献1には、ノネナールとシッフ反応する基を有する特定量のポリカチオン、消臭剤および光触媒を繊維に付着させることにより、洗濯耐久性に優れ、ノネナールの消臭に有効な繊維構造物が得られることが開示されている。しかしながら、繊維構造物への付与にアクリル樹脂等のバインダーを使用して付着させていることで、吸水拡散性が悪く、抗菌性能も悪いという問題がある。
また、下記特許文献2には、2層以上の多層構造からなる織編物に、特定の金属組成物からなる抗菌剤を付与することで、汗消臭性および抗菌性能に優れ、乾燥速度の速い織編物が得られることが開示されている。しかしながら、2層以上の多層構造から構成されていることから布帛構造に制約があり、かつ布帛の厚みが大きく、インナー布帛として着用した場合、重量感および肉厚感があり、暑苦しく感じ、しなやかさがないことから着心地の悪いものであり、しかもノネナール臭に対しては効果がないという問題がある。
また、下記特許文献3には、抗菌性金属成分と抗菌性無機酸化物コロイド溶液を付与することで、平均粒子径が500nm以下の抗菌性を有する微粒子が繊維に強固に付着し、抗菌性能に優れることが開示されている。しかしながら、大腸菌や葡萄状球菌に対する抗菌性能は良好なものの加齢臭に対する消臭効果はなく、吸水拡散性も悪いという問題がある。
さらに、下記特許文献4には、プラチナナノコロイドの水溶液或いはこの水溶液と抗菌防臭剤又は抗菌消臭剤との混合液を付与することで抗菌、消臭および吸水・速乾性能に優れることが開示されている。しかしながら、綿繊維に加工した布帛の洗濯10回後の加齢臭に対する消臭効果、黄色ブドウ球菌に対する抗菌性能は良好なものの、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛において、特に長繊維複合布帛に加工した場合、洗濯50回後の加齢臭に対する消臭効果がなく、吸水拡散性も悪いという問題がある。
このように、現状では、セルロース繊維を含み、バインダーを使用しないで仕上げた染色布帛において、加齢臭に対する消臭性能と抗菌性能に優れ、かつこれらの性能の洗濯耐久性に優れ、吸水拡散性能に優れ、肌面へのベタツキがなく、発色性および染色堅牢度性能に優れた染色製品は得られていない。
特許4092554号公報 特開2010−163710号公報 特許3197126号公報 特許WO2012/086204号公報
本発明が解決しようとする課題は、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛において、消臭性能、抗菌性能および吸水拡散性能の洗濯耐久性に優れ、肌面へのベタツキがなく発色性に優れ、染色堅牢度に優れた消臭抗菌性布帛及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討し、実験を重ねたところ、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛において、ポリアリルアミン、特定の金属粒子および親水剤を付与することで消臭性能、抗菌性能および吸水拡散性能が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりのものである。
[1]セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを混用した消臭抗菌性繊維布帛であって、ポリアリルアミンを含有し、平均粒子径が5〜100nmの金属粒子を0.005〜0.1重量%含有し、親水剤を0.3〜0.8重量%含有し、洗濯50回後の消臭加工繊維製品認定基準におけるアンモニア減少率、イソ吉草酸減少率およびノネナール減少率がそれぞれ70%以上、85%以上および75%以上であり、かつ洗濯50回後の繊維製品衛生加工評議会認定基準における黄色ブドウ状球菌の静菌活性値が2.2以上であることを特徴とする消臭抗菌性繊維布帛。
[2]ポリアリルアミンの平均分子量が1000〜70000であり、含有量が0.2〜3.0重量%であることを特徴とする上記[1]に記載の消臭抗菌性繊維布帛。
[3]金属粒子が、金、銀、白金、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれた少なくとも1種の金属からなることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の消臭抗菌性繊維布帛。
[4]親水剤がカチオン性の芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の消臭抗菌性繊維布帛。
[5]洗濯50回後の水滴消失時間が2秒以下で、吸水拡散面積が10cm以上であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の消臭抗菌性繊維布帛。
[6]セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛をカチオン染料染色する際にポリアリルアミンと親水剤を併用してポリアリルアミンと親水剤を付与し、その後金属コロイドを付与した後熱処理することを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の消臭抗菌性繊維布帛の製造方法。
[7]金属コロイドの付与をバインダー樹脂不含の水分散溶液で行なうことを特徴とする上記[6]に記載の消臭抗菌性繊維布帛の製造方法。
[8]カチオン染料染色する前に、セルロース分解酵素により65℃以下の温度で当該混用布帛の1.5〜10%減量処理を行うことを特徴とする上記[6]または[7]に記載の消臭抗菌性繊維布帛の製造方法。
本発明の消臭抗菌性繊維布帛は、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とから構成される消臭抗菌性繊維布帛であって、優れた消臭抗菌性能を有し、その消臭抗菌性能の洗濯耐久性に優れるとともに、吸水拡散性、発色性および染色堅牢度に優れた繊維布帛である。また、セルロース繊維をセルロース分解酵素で処理することにより、セルロース繊維の表面に特定の大きさの筋状溝を形成させた本発明の消臭抗菌性繊維布帛は消臭抗菌性能等がさらに高められる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の消臭抗菌性繊維布帛は、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維から構成される混用布帛であり、加齢臭、特にイソ吉草酸およびノネナールに対する消臭性能に優れ、黄色ブドウ球菌に対する抗菌性能に優れ、さらに吸水拡散性能に優れ、かつ、それら性能の洗濯耐久性が改良されたものである。
本発明で用いられるセルロース繊維とは、綿および麻等の天然セルロース繊維やビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨンおよびポリノジック等の再生セルロース繊維をいい、再生セルロース繊維が好ましく使用でき、中でも銅アンモニア法によって得られるキュプラ(旭化成せんい製ベンベルグ)を用いた場合、本発明の効果が最も顕著に現れるため好ましい。
従来、消臭性能付与のために、セルロース系繊維にメタクリル酸をグラフト共重合反応させて得られる改質セルロース繊維が考案されているが、本発明におけるセルロース繊維としてこのような改質セルロース繊維を用いなくても、本発明は十分に消臭性能を発揮する。コスト等を考慮すると、セルロース繊維はこのような改質が行われていない繊維、具体的には、後処理によるカルボキシル基が実質的に付与されていないセルロース繊維であることが好ましい。
本発明に係る布帛においては、セルロース繊維をセルロース分解酵素で処理し、繊維軸方向に特定の大きさの筋状溝を形成されたものであることが好ましい。これにより、アンモニア等の塩基性ガスおよび酢酸やイソ吉草酸等の酸性ガスに対する消臭効果が高まる。特に、再生セルロース繊維(長繊維)は、セルロース分解酵素で処理する際に、繊維軸方向に特定筋状溝の幅および長さをコントロールし易いという観点からも好ましい。
本発明で用いるセルロース繊維は、特に限定はしないが、総繊度が20〜200デシテックスで、単糸繊度が0.6〜1.8デシテックスであることが好ましい。また、断面形状は、L型断面の場合、しなやかな風合が得やすいとともに比表面積が大きくなっていることから、セルラーゼによる減量処理の効率が高まり、凹部周辺に筋状溝が形成されやすく、本発明の効果が十分に達成されるため、好ましい。
また、セルロース繊維は単独種で用いられても良く、複数種のセルロース繊維が複合されたり、または他の繊維と複合されていても良い。しかし、再生セルロース繊維が50%以上含まれることが好ましく、再生セルロース繊維100%がより好ましい。繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。そして、繊維が加工される糸条の形態の例としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸およびエアジェット精紡糸等の紡績糸、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸、空気噴射加工糸、押し込み加工糸並びにニットデニット加工糸等が挙げられる。
セルロース繊維とその他の繊維を混用する場合の糸条の形態の例としては、混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、交絡混繊、交撚、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚)、伸度差仮撚、位相差、仮撚加工後に後混繊、および2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等による混用形態が挙げられる。
本発明において塩基性染料可染型繊維とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート又はポリピロピレンテレフタレート単位を主たる構成成分とし、塩基性染料染着座席成分を共重合したポリエステルからなる繊維である。
塩基性染料染着座席成分としては、スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩並びにスルホイソフタル酸のホスホニウム塩及びこれから誘導されるエステル形成性誘導体を挙げることができる。具体的には、5−ナトリウムスルホイソフタル酸および5−リチウムスルホイソフタル酸等のスルホイソフタル酸のアルカリ金属塩並びに5−(テトラアルキル)ホスホニウムスルホイソフタル酸及びこれから誘導されるエステル形成性誘導体等が挙げられる。中でも消臭性能の点から、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−(テトラブチル)ホスホニウムスルホイソフタル酸及び5−(テトラエチル)ホスホニウムスルホイソフタル酸が好ましい。
また、塩基性染料染着座席成分の共重合量は、消臭性能の観点から、全酸成分に対して0.1〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.5〜3.5モル%である。共重合量が0.1モル%未満では、本発明の消臭性能が得られず、一方、5モル%を超える場合、原糸強度および耐光性の低下が顕在下するため好ましくない。
本発明の塩基性染料可染型繊維は、酸化チタン、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤およびアルカリ金属等を含有していてもよく、従来公知の方法にて製造することができる。
本発明の塩基性染料可染型繊維は、特に限定はしないが、総繊度が20〜200デシテックスであることが好ましい。さらに断面形状は、丸型以外に扁平、くびれ付扁平、三角形、四角形、3以上の多葉形、C型、H型、W型、X型または中空断面のいずれであってもよいが、しなやかな風合および消臭性能面より異形断面で単糸繊度が0.6〜1.8デシテックスの繊維が好ましい。
また、本発明で用いる塩基性染料可染型繊維中に、他の繊維、例えば絹、ウール、ポリエステル、ポリアミドおよびポリアクリル繊維が30%まで含まれていてもよい。
また繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。繊維が加工される糸条の形態の例としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸およびエアジェット精紡糸等の紡績糸、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸、空気噴射加工糸、押し込み加工糸並びにニットデニット加工糸等が挙げられる。
本発明の消臭抗菌性繊維布帛は、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維が含有され、それぞれの繊維の割合は、用途により適宜決めることができるが、布帛性能や消臭性能の面から、セルロース繊維は20〜60%、塩基性染料可染型繊維が40〜80%であることが好ましい。また、両繊維以外に、ポリエステル、ナイロン、アクリル、シルクおよびウール等を混用しても構わない。
本発明において、セルロース繊維と塩基性可染型繊維とを混用する形態は、糸状の段階で複合して混用糸状とする形態と、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを用いて製編織し、布帛にする時に混用布帛とする形態に大別される。
セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを混用する場合の糸条の形態の例としては、混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、交絡混繊、交撚、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚)、伸度差仮撚、位相差、仮撚加工後に後混繊、および2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等による混用形態が挙げられる。
布帛にする時に混用する布帛形態としては、編物、織物、不織布、及びこれらの複合布帛(例えば、積層布等)が挙げられる。具体例としては、いわゆる機上混用品があり、製編織時にセルロース繊維と塩基性可染型繊維を引き揃えて又は合糸して混用した編織物が挙げられる。
本発明におけるセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との消臭抗菌性繊維布帛においては、上記のような混用布帛を染色する前に、後述するセルロース分解酵素処理により、布帛重量の1.5%〜10%減量し、セルロース繊維表面に筋状溝を形成させることが消臭効果の観点から好ましい。
減量率が上記の範囲にあると、セルロース繊維表面に繊維軸長さ50μm当たり、幅0.05〜1.50μm、長さ3〜25μmの筋状溝が10個以上存在している。尚、筋状溝は、繊維軸方向に対し、ほぼ平行である必用はなく、45度まで傾いていてもよい。
このような筋状溝を有することで、繊維比表面積が増大し、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸およびノネナールの各臭気成分の補足量が増大し、塩基性染料可染型繊維との混用布帛での消臭効果が高まり、本発明でいう加齢臭の消臭効果の高いものが得られとともに、色の鮮明性も増す。
上述の筋状溝の幅および長さの制御は、セルロース繊維の中でも再生セルロース繊維においてより容易である。
また、この筋状溝を有することで、汗をかいたときなど、水分をすばやく吸い取る力と水分を拡散させる力が発揮され、体に貼り付くことがなく、べたつき感を感じなく、すばやく乾燥させる効果が発揮され、さらに風合にしなやか性が強くなる。また、肌ざわり性も良好となり、着心地感の良さが向上するとともに洗濯時の脱水率が低く抑えられ、脱水後の速乾性が速くなるという効果も得られ、その効果は繰り返し洗濯を行っても持続する。
減量率が1.5%以上であれば、筋状溝の幅が0.05μm以上、長さが3μm以上、個数が10個以上となり、消臭効果を高めることができ、また、しなやかな風合が得られ、色も鮮明となるため、好ましい。一方、減量率が10%を超えると、セルロース繊維の強力低下が大きくなるという問題がある。2.0〜8.5%の減量処理が、混用布帛の消臭効果の洗濯耐久性および色の鮮明性を付与することが可能となるため、さらに好ましい。減量処理は、精練およびリラックスなどの工程の前後又は同時に実施しても構わない。
本発明でいうセルロース分解酵素とは、エキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、セルビアーゼ、β−グルコシダーゼおよびセロビアーゼ等のセルラーゼ類をいい、それぞれ、単独で又は複数組み合わせて使用することができる。
セルロース繊維表面の筋状溝を制御する手段としては、セルロース分解酵素処理時の酵素(セルラーゼ)濃度、pH、浴比、処理温度および時間が挙げられ、処理条件としては、浴比を1:0.5〜1:50程度とし、用いるセルラーゼの活性に最適なpHとなるように、酸性活性セルラーゼの場合には酢酸やクエン酸、中性活性セルラーゼの場合にはリン酸ナトリウム、アルカリ活性セルラーゼの場合にはアンモニアや炭酸ナトリウム、等の緩衝剤を単独で又は併用して使用し調整することが挙げられる。セルラーゼの使用濃度は、セルラーゼの有する活性や目指す減量率により異なるが、一般には0.3〜15重量%であり、処理温度は40〜65℃であり、そして処理時間は30〜300分である。
処理後は酵素の失活処理を行うが、使用する酵素が失活する温度で処理すればよく、70〜100℃で、15分〜30分間が好ましい。また、処理浴にアルカリ剤を併用することは、酵素の脱着を促進するため、好ましい。
セルロース分解酵素による処理においては、ロータリドラム染色機、パドル染色機、ウインスリール染色機、ジッガー染色機、液流染色機および気流染色機等の回転式染色装置を使用することができるが、パッド−ロールおよびパッド−ジッグ染色機のように拡布状で処理できる装置を使用した方が、本発明の筋状溝形成をコントロールし易いため、好ましい。
本発明において金属粒子を繊維布帛に固定する際に、バインダー樹脂を使用せずに洗濯耐久性を得て、尚、かつ良好な消臭抗菌性能を得るには、混用布帛にポリアリルアミンをあらかじめ含有させておくことが重要である。
本発明に用いるポリアリルアミンとしては、一級アミンを主成分としたカチオンポリマーであり、特にセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との親和性に優れ、優れた吸着性を示し、高分子であるため洗濯耐久性にも優れるもので、例えば一級アミン単独からなるアリルアミン塩酸塩重合体(CAS.NO.71550−12−4)、アリルアミンアミド硫酸塩重合体(CAS.NO.861901−41−9、CAS.NO.30551−89−4)、一級アミンと二級アミンからなるアリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩共重合体(CAS.NO.97939−72−5)、一級アミンと三級アミンからなるアリルアミン塩酸塩・ジメチルアリルアミン塩酸塩共重合体(CAS.NO.223474−45−1)およびアリルアミン・ジメチルアリルアミン共重合体(CAS.NO.177606−24−5)等が挙げられる。
上記ポリアリルアミンの平均分子量は1000〜70000であることがカチオン染料染色時に、混用布帛に均一に吸着し、染色性への影響がなく、風合が硬くならないので好ましく、濃度10〜50重量%の水溶液として用いることができる。さらに好ましくは5000〜40000である。
本発明におけるポリアリルアミンの含有量は、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛に対して0.2重量%以上が好ましい。さらに好ましくは0.2〜3.0重量%であり、特に好ましくは0.4〜2.0重量%である。含有量が0.2重量%未満では、後で処理する金属粒子の含有量も少なくなり良好な消臭抗菌性能は得られない。また、ポリアリルアミンを全く付与しない場合は、金属粒子の洗濯耐久性能が悪くなり本発明の耐久性のある消臭抗菌性能は得られない。特に繊維形態が長繊維のセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛において顕著である。また、含有量が多すぎ、例えば3.0重量%を超えた場合には、風合が硬くなる傾向にある。
また、ポリアリルアミンを混用布帛に含有させる方法は、吸尽加工、パディング加工、スプレー加工および浸漬加工等いかなる方法でもよいが、混用布帛全体に均一に効率よく含有させるには、塩基性染料可染型繊維をカチオン染料にて染色する際に併用して処理するのが好ましい。そのときの処理温度、処理時間および処理浴のpHはカチオン染料で染色する条件であればいずれでもかまわない。
本発明において、金属粒子は金属コロイド由来の金属粒子が好ましい。用いる金属コロイドとしては、金属粒子と水を含む金属コロイドが例示される。コロイド粒子をなす金属としては、金、銀、白金、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムが挙げられ、貴金属が好ましく、特に白金が好ましい例として挙げられる。また金属粒子は反応性のないことが好ましく、コロイド粒子自体が化学変化しないことが好ましい。
金属粒子の平均粒子径は5〜100nmの範囲が好ましい。さらに好ましくは5〜60nmの範囲が例示される。平均粒子径が5nm未満の場合は、水に分散させた場合の分散安定性が悪く凝集しやすい問題があり、一方、100nmを超えた場合には各種性能の耐久性が悪くなるので好ましくない。
本発明で用いられる金属コロイド中に含まれる金属粒子、即ち本発明の混用布帛に含有される金属粒子の粒子径は、円相当経で表され、具体的には、電子顕微鏡上で観察した写真から粒子の投影面積を算出し、それと等しい面積を持つ円の直径として表される。平均粒子径は上記の円相当経の平均数値として表される。
本発明に用いる金属コロイドは、原料となる金属化合物を溶媒に溶解し、金属に還元することにより粒子が得られる。原料となる金属化合物としては、塩化金酸、硝酸銀、塩化白金酸、塩化ロジウム(III )、塩化ルテニウム(III )および塩化イリジウム酸塩などを用いることができる。還元剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、タンニン酸、ヒドラジンおよび水素化硼素ナトリウムなどが挙げられる。反応温度は特に限定されないが、室温から溶媒の沸点までの温度が好ましく、さらに好ましくは25〜100℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。また、反応時間は特に限定されない。金属コロイドの分散溶媒としては水、エタノールおよびメタノール等を挙げることができ、好ましくは水である。
金属コロイドの粘度は、25℃で0.8〜5.0mPa・sの範囲が好ましく、0.8〜2.0mPa・sの範囲がより好ましい。さらに保存安定性を高めるために保護剤として、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびテトラメチルアンモニウム等が数%含まれていても良い。金属コロイドのpHは2.5〜5の範囲であることが好ましい。
本発明の混用布帛への金属粒子の含有量は0.005〜0.1重量%であり、より好ましくは0.01〜0.05重量%である。また、ポリアリルアミン1重量%に対し、金属コロイドを0.01〜0.03重量%含有させることが良好な消臭抗菌性能を得るうえで好ましい。金属コロイドの含有量が0.005重量%未満では消臭抗菌性能が不良であり、0.1重量%を超えるとコスト高となり好ましくない。
本発明おいてはポリアリルアミンを付着させることで、金属粒子は繊維表面の80%以上を被覆させることが可能であり、金属粒子を付与する際に、バインダー樹脂を使用しないので、風合の硬化や吸水性能の低下を抑制することができる。分散溶媒として水を用いた金属コロイドにて混用布帛へ金属粒子を吸着処理させる場合、金属コロイドのゼータ電位は−5〜−70mVの範囲であると金属粒子の吸着性および耐久性が高まり好ましい。
本発明において、混用布帛へ金属コロイド即ち金属粒子を吸着させる方法は、吸尽加工、パディング加工、スプレー加工、浸漬加工およびインクジェット等いかなる方法でもよいが、工業生産において効率よく吸着させやすく、加工溶液を増粘させずに付与することが可能なパディング加工やスプレー加工が好ましい。パディング加工は、前述のポリアリルアミンをカチオン染料染色時に吸着させた後に金属コロイドを吸着させるが、この際の加工温度は常温で実施することができ、加工液のpHは3.5〜5.5の酸性で行うことが金属コロイドの分散性および吸着性を高めるうえで好ましい。パディング法にて金属コロイドを付与した後は、110〜170℃の熱処理を実施することが耐久性を高めるうえで好ましい。スプレー加工は、混用布帛にポリアリルアミンをカチオン染料染色時に吸着させた後に金属コロイドの水分散液を水滴粒径が1〜30μmとなるスプレーノズル装置を用い、塗布量が20〜60g/mとなるように塗布し、その後、110〜170℃で熱処理することが耐久性を高めるうえで好ましい。
また、本発明においては、カチオン染料染色時に後術する親水剤を付与しているので、パディング加工やスプレー加工において、金属コロイドが均一に浸透する。
本発明においては混用布帛に含有させたポリアリルアミンに金属粒子が強固に吸着するので、バインダー樹脂を使用しなくても金属粒子の洗濯耐久性が高まる。特に、繊維表面のζ−電位の高い塩基性染料可染型繊維の方が、金属コロイドの吸着量即ち金属粒子の吸着量が多いことからも洗濯耐久性に優れる。さらに本発明において、セルロース分解酵素にてセルロースを減量処理した後に、上述のポリアリルアミンと金属粒子を吸着させた場合、セルロース繊維表面の繊維軸方向にできた筋状溝の凹部にポリアリルアミンと金属粒子が吸着するので、よりいっそう洗濯耐久性の高いものとなる。
本発明のセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛の染色については、セルロース分解酵素による処理を行う場合は、セルロース分解酵素による処理後に実施する。セルロース繊維の染色は、セルロース繊維が通常実施されている条件であればいずれの条件も適用することができ、染色の手順としては、塩基性染料可染型繊維の染色よりも先に行うことが、仕上がり生地pHを弱酸性側に維持する上で好ましい。
また、塩基性染料可染型繊維の染色は、カチオン染料を用い染色する。カチオン染料とは、水に可溶で塩基性を示す基を有する水溶性染料をいい、ジ及びトリアクリルメタン系、キノンイミン(アジン、オキサジン、チアジン)系、キサンテン系、メチン系(ポリメチン、アザメチン)、複素環アゾ系(チアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ)およびアントラキノン系などの染料が例示される。また、塩基性基を封鎖することにより水分散型にした分散型カチオン染料として、Kayacryl ED(日本化薬(株)製)、KIWA CDP(紀和化学工業(株)製)、NichilonCDPN(日成化成(株)製)およびAizen Cathilon DP(保土谷化学(株)製)等を用いて染色することは、染色時に後述する芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体を付与しやすいことから好ましい。
また、衣服の着用時、汗をかいたときに快適に感じるには、布帛が水分を吸い取る力を有することが必要であるが、汗を吸い取るだけでは一ヶ所に水分が保持されるのでベタツキ感が解消されずに不快感を感じたままである。ベタツキ感を解消するためには、吸い取った水分をすばやく拡散させる必要がある。本発明においては、セルロース繊維表面をセルロース分解酵素にて減量処理することで糸長方向に筋状溝が形成でき、この筋状溝が水分を吸い取る力を助長させ、親水剤を付与することで、吸い取った水分をすばやく拡散させる力を発揮する。快適性を得るには2つの力が必要であり、この2つの力は水滴消失時間と吸水拡散面積で表すことができる。夏場に着用する肌着衣料やスポーツ衣料のように洗濯回数の多い用途においては、少なくとも洗濯50回の耐久性は必要である。本発明では水滴消失時間と吸水拡散面積と快適性との関係について検討した結果、洗濯50回後の水滴消失時間が2秒以下、好ましくは1秒以下で、吸水拡散面積が10cm以上、好ましくは12cm以上であると混用布帛製品の着用快適性に優れることを見出したものである。また、洗濯50回後の吸水拡散面積の変化率が、未洗濯時の吸水拡散面積の50%以下であるとさらに好ましいことが見出された。
また、本発明の混用布帛において上記の吸水拡散面積を得るには親水剤を吸着させる必要がある。親水剤の吸着量は、混用布帛重量に対して固形分で0.3〜0.8重量%が好ましく、さらに好ましくは0.4〜0.6重量%である。吸着量が0.3重量%未満では吸水拡散性能および耐久性を十分に改良できず、一方、0.8重量%を超えた場合には、コスト高となる他に染色堅牢度および耐光性の低下が顕在下するため好ましくない。親水剤としては公知の親水剤が何ら制限なく使用でき、例えばポリアミド樹脂、ポリウレタン、吸水性シリコーン、吸水性ウレタンおよび芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体等が挙げられる。混用布帛へ吸着は、染色と同時または染色後に吸尽法や浸漬法等いかなる方法で行っても良いが、混用布帛全体に均一に効率よく吸着させ、洗濯耐久性を得るにはカチオン染料染色時に併用し、吸着させることが好ましい。
また、上記親水剤のうち、カチオン性の芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体を塩基性染料可染型繊維に付与することで消臭性能が一段と高まる。
本発明に用いるカチオン性の芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体は、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体が好ましい。該共重合体の市販品としては、高松油脂(株)製のカチオン乳化したSR−C1800が挙げられ、吸水拡散性を高めるうえでも好ましく使用できる。
また、染色布帛の仕上加工法は、通常セルロース繊維が実施されている条件であればいずれも適用することができ、混用布帛の特性に応じ適宜設定すればよい。また、仕上布帛の生地pHが弱酸性にあると消臭性能が安定して得られるので、仕上剤浴中に不揮発性の有機酸を添加し、調整することが好ましい。
このようにして得られたセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とからなる混用染色布帛は、社団法人繊維評価技術協議会が定める消臭加工繊維製品認証基準(2010年4月1日版)に規定されている加齢臭に対する消臭性能に優れる。具体的には後述する、JTETC消臭性区分「加齢臭」消臭試験における、JTETCが定める消臭加工繊維製品認証基準によるアンモニアの減少率は70%以上、好ましくは75%以上、酢酸の減少率は80%以上、好ましくは85%以上、イソ吉草酸の減少率は85%以上、好ましくは90%以上、ノネナールの減少率は75%以上、好ましくは85%以上である。また、繊維製品衛生加工評議会(SEK)が定める認証基準に規定されている抗菌性能に優れる。具体的には後述する黄色ブドウ球菌における静菌活性値が2.2以上、好ましくは2.5以上である。
本発明の消臭性繊維布帛は上記消臭抗菌性能に加え、吸水性能にも優れ、具体的には洗濯50回後の水滴消失時間が2秒以下で、吸水拡散面積が10cm以上であり、堅牢度性能も良好であり、具体的には、JIS−L−0848 A法における汗アルカリ堅牢度が3級以上である商品価値の高い染色品である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例等で用いた特性値の測定法を示す。
(1)JTETC消臭性区分「加齢臭」消臭試験
臭気成分としてアンモニア、酢酸、イソ吉草酸およびノネナール(2−ノネナール;CAS番号463−53−8)の4成分を用いて消臭試験を行い、下記の方法により消臭性能を評価した。
<消臭性能評価>
1.機器分析試験:JTETCが定める消臭加工繊維製品認証基準に従い、上記4成分について機器分析を行った。即ち、容器に臭気成分とサンプルを入れ、2時間放置後の臭気成分の残留濃度(2時間後の試料試験濃度)を測定した。臭気成分のみを入れた容器の残留濃度を空試験濃度として、下記式により、臭気成分の減少率を計算した。
減少率(%)=(2時間後の空試験濃度−2時間後の試料試験濃度)/(2時間後
の空試験濃度)×100
なおアンモニアと酢酸は検知管法により、イソ吉草酸とノネナールはガスクロマトグラフィー法により測定した。
判定は、アンモニアの減少率70%以上、イソ吉草酸の減少率85%以上およびノネナールの減少率75%以上の条件を全て満足する場合を合格「○」、それ以外を不合格「×」と判定した。
2.官能試験:フラスコに臭気成分とサンプルを入れ、2時間放置後のサンプル生地とフラスコ内の臭気について、判定臭気と比較し、判定者6名のうち、5名以上が下記基準により臭気を弱と判断した場合を合格とした。
臭気「強」:判定臭ガスより強い場合
臭気「弱」:判定臭ガスと比較して同等又はより弱い場合
なお、判定臭気としては、臭気強度2.0のアンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールガスを用いた。
(2)抗菌性評価
繊維製品衛生加工評議会(SEK)の統一試験法に順じて行った。減菌後クリーンベンチ内で乾燥した検体(1辺が約18mmの正方形の試験片0.4g)に、予め高圧蒸気減菌した後水冷した1/20濃度のニュートリエントプロスで、生菌数を(1±0.3)×105個/mlに調整した試験菌懸濁液0.2mlを検体全体に均一に浸みるように接種し、減菌したキャップを締め付ける。これを37±1℃で18時間培養し、培養後の生菌数を測定した。
検体は、標準布(抗菌防臭加工製品の加工効果評価試験マニュアルに規定された布)と試験布の2種類であり、試験菌としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aurcus ATCC 6538P)を用い、下記の方法で抗菌性の指標である静菌活性値を算出し、静菌活性値が2.2以上のものを抗菌性ありと判断した。
静菌活性値=LogB−LogC
A:標準布の接種直後に回収した菌数平均値
B:標準布の18時間培養後の菌数平均値
C:試験布の18時間培養後の菌数平均値
但し、(LogB−LogA)>1.5を満たすことを試験成立条件とした。
(3)金属粒子の平均粒子径
サンプル布帛を電子顕微鏡上で観察した写真から金属粒子の投影面積を算出し、それと等しい面積を持つ円の直径を求め、金属粒子の粒子径とした。サンプル布帛の任意の5個所を測定し、平均した。
(4)セルロース繊維表面の筋状溝の状態
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、形式S−3500N)を用いて、試料のセルロース繊維表面を1800倍に拡大し、適宜に5ヶ所写真撮影し、スケールゲージと比較して、筋状溝の幅および長さを測定し、平均値を求めた。また、数を測定し、繊維長50μmあたりの数(個)を算出して平均値を求めた。
(5)洗濯条件
JIS L−0217 103法に従って、50回行った。尚、洗剤は、花王製アタック 1g/Lを用いた。
(6)水滴消失時間
JIS L−1097 滴下法に従って水滴消失時間を評価した。サンプル毎に5回ずつ測定を行い、平均水滴消失時間を求めた。尚、このときの水滴1滴の平均量は0.039mlであった。
(7)吸水拡散面積
布帛を直径15cmの刺繍用の丸枠に取り付け、布帛表面に水溶性青染料(C.I.アシッドブルー62を0.005wt%含有)を0.1ml滴下し、3分後に濡れ拡がった吸水拡散面積を次式により求める。
吸水拡散面積(cm)=[縦の直径(cm)×横の直径(cm)]×π÷4
サンプル毎に測定を5回行い、平均吸水拡散面積を求めた。
(8)発色性の評価
染色品につき、布帛の分光反射率Rを測定し、以下に示すKubelka−Munkの式より求めた。この値が大きいほど発色性が高い(表面濃度が高い)こと、即ち、良く発色されていることを示す。当該染料の最大吸収波長である610nmでの値を採用した。
K/S=(1−R)2/2R
(9)風合評価
検査者(30人)の感触によって混用染色品を次の基準で相対評価し、21人以上の感触で得られた基準を示した。
○:ソフトで肌触りがよく着心地がよい
△:ソフト感、肌触り感がやや劣る
×:硬く、肌触り感が悪い
(10)汗アルカリ堅牢度
染色品について、JIS−L−0848−A法に準じて汗アルカリ人工汗液を用いて評価した。試験片の変褪色と添付白布片の汚染の程度を、それぞれ、変褪色用グレースケール、汚染用グレースケールと比較して判定した。
(11)ポリアリルアミン、金属粒子および親水剤の含有量
1)ポリアリルアミン:処理布帛を元素分析装置(ホリバ製、形式EMGA―930)を用い、任意の5箇所を測定し、窒素量の濃度(g/g処理布帛)を求め、ポリアリルアミンの濃度(g/g処理布帛)に換算し、その平均値を100倍し、処理布帛のポリアリルアミン含有量(重量%)とした。
2)金属粒子:処理布帛を蛍光X線分析装置(リガク製、形式RIX−3100)を用い、任意の5箇所を測定し、金属量の定量分析を行い、その平均値を求め含有量とした。
3)親水剤:処理布帛をX線光電子分光分析装置(島津製、形式ESCA−3400)を用い、任意の5箇所を測定し、カルボン酸濃度(g/g処理布帛)を求め、親水剤の濃度(g/g処理布帛)に換算し、その平均値を100倍し、処理布帛の親水剤含有量(重量%)とした。
[実施例1〜3]
三菱レイヨン(株)製の塩基性染料可染型ポリエステル繊維(商品名:A.H.Y.)70dtex/48fのPOYを常法により185℃にて仮撚加工を行い、未解撚部分を残し、加工工程中に56dtex/45fのキュプラ(旭化成せんい製ベンベルグ)を挿入し、インターレース混繊し、106dtex/93fの複合糸を得た。
次に、得られた複合糸を用い、常法により24ゲージにて、フライス丸編地を作製した。この編地中のセルロース繊維の混用率は53%で、塩基性染料可染型繊維の混用率は47%であった。
次いで、拡布状で60℃でプレウエットした後、185℃でプレセットを行い、下記に示す酵素処理条件を用い、液流染色機を用いて減量率が2.4%となるように処理時間を調整し、減量処理を行った。
<酵素処理条件>
酵素溶液:セルラーゼT(天野エンザイム社製、エンド+エキソ型セルラーゼ)8%omf
pH:4.5(酢酸と酢酸ナトリウムにて調整)
助剤:イマコール C2GL:4g/L
浴比:1:30
処理温度:45℃
処理後は、80℃で15分間の失活処理を行った後、水洗を行い、下記の条件にてセルロース繊維の染色を行った。
<染色条件1>
反応染料:スミフィックス HF ブルー BG :0.9%omf
硫酸ナトリウム:20g/L
炭酸ナトリウム:10g/L
助剤:イマコール C−2GL:4g/L
浴比:1:20
染色温度:60℃
染色時間:60分
染色後は、90℃で湯洗及び水洗を繰り返し、脱水後、下記の条件にて塩基性染料可染型繊維の染色を行った。この際、ポリアリルアミンとしてニットーボーメディカル製ポリアリルアミンPAA−D41−HCL(平均分子量20000、純分40%)および親水剤として高松油脂製SR−C1800を染色浴に添加した。添加量は布帛中の含有量が表1に記載の値になるように調整した。
<染色条件2>
分散型カチオン染料:カヤクリル ブルー 2RL−ED:1.5%omf
硫酸ナトリウム:4g/リットル
pH:4.3
浴比:1:20
染色温度:105℃
染色時間:45分
染色後は、80℃で湯洗及び水洗をこの順序で2回繰り返した後、下記の条件にて金属コロイドによる処理をパディング法で行なった。
<金属コロイド処理>
金属コロイド:白金コロイド(白金の平均粒子径7nm、溶媒は水、保護剤としてポリビニルピロリドンを1%含有)を使用。パディング浴への添加量は布帛中の含有量が表1に記載の値となるように調整。尚、白金コロイドのゼータ電位は−19.8mVであった(マルバーン製 ゼータサイザーZSにて測定)。
パディング浴:pH3.8に調整し、可縫製向上剤および柔軟剤を添加した。
金属コロイド処理後、140℃の熱処理にて仕上げた。
得られた染色布帛のpHは5.9、目付は145g/m2、コース密度は54/インチ、ウエル密度は33/インチ、厚みは0.50mmであった。得られた染色布帛を電子顕微鏡にて1800倍の倍率にて観察したとき、セルロース繊維表面には、繊維長50μmあたり、幅0.4μmおよび長さ7.9μmの筋状溝が12本存在していた。
得られた染色布帛の消臭性能、抗菌性能、吸水拡散性能、発色性、汗アルカリ堅牢度の評価結果を以下の表2に示す。表2の結果から、実施例1〜3で得られた布帛は、消臭性能、抗菌性能、吸水拡散性能、発色性、汗アルカリ堅牢度性能に優れ商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
[比較例1]
塩基性染料可染型繊維の染色において親水剤を添加しなかったことを除いて、実施例2と同様に染色布帛を得た。得られた染色布帛の消臭性能、抗菌性能、吸水拡散性能、発色性、汗アルカリ堅牢度の評価結果を表2に示す。
[比較例2]
金属コロイド処理を行わないことを除いて、実施例2と同様に染色布帛を得た。得られた染色布帛の消臭性能、抗菌性能、吸水拡散性能、発色性、汗アルカリ堅牢度の評価結果を表2に示す。
表2の結果から、本発明の実施例1〜3で得られた染色布帛は、比較例1、2で得られた布帛に比べ、消臭性能、抗菌性能、吸水拡散性能の耐久性に優れ、発色性が高く、風合にも優れ商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
Figure 2014201859
Figure 2014201859
本発明の消臭抗菌性繊維布帛は、消臭性能、抗菌性能および吸水拡散性能に優れ、色の発色性および堅牢度性能にも優れ、着用感に優れる消臭抗菌性繊維布帛であるため、インナー分野およびスポーツ衣料分野で好適に利用可能である。

Claims (8)

  1. セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを混用した消臭抗菌性繊維布帛であって、ポリアリルアミンを含有し、平均粒子径が5〜100nmの金属粒子を0.005〜0.1重量%含有し、親水剤を0.3〜0.8重量%含有し、洗濯50回後の消臭加工繊維製品認定基準におけるアンモニア減少率、イソ吉草酸減少率およびノネナール減少率がそれぞれ70%以上、85%以上および75%以上であり、かつ洗濯50回後の繊維製品衛生加工評議会認定基準における黄色ブドウ状球菌の静菌活性値が2.2以上であることを特徴とする消臭抗菌性繊維布帛。
  2. ポリアリルアミンの数平均分子量が1000〜70000であり、含有量が0.2〜3.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の消臭抗菌性繊維布帛。
  3. 金属粒子が、金、銀、白金、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれた少なくとも1種の金属からなることを特徴とする請求項1または2に記載の消臭抗菌性繊維布帛。
  4. 親水剤がカチオン性の芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の消臭抗菌性繊維布帛。
  5. 洗濯50回後の水滴消失時間が2秒以下で、吸水拡散面積が10cm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の消臭抗菌性繊維布帛。
  6. セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛をカチオン染料染色する際にポリアリルアミンと親水剤を併用してポリアリルアミンと親水剤を付与し、その後金属コロイドを付与した後熱処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の消臭抗菌性繊維布帛の製造方法。
  7. 金属コロイドの付与をバインダー樹脂不含の水分散溶液で行なうことを特徴とする請求項6に記載の消臭抗菌性繊維布帛の製造方法。
  8. カチオン染料染色する前に、セルロース分解酵素により65℃以下の温度で当該混用布帛の1.5〜10%減量処理を行うことを特徴とする請求項6または7に記載の消臭抗菌性繊維布帛の製造方法。
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