JP3182269B2 - 圧延ロールのプロフィル学習計算方法 - Google Patents

圧延ロールのプロフィル学習計算方法

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JP3182269B2 JP29795093A JP29795093A JP3182269B2 JP 3182269 B2 JP3182269 B2 JP 3182269B2 JP 29795093 A JP29795093 A JP 29795093A JP 29795093 A JP29795093 A JP 29795093A JP 3182269 B2 JP3182269 B2 JP 3182269B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間圧延においてロー
ル熱膨張量計算モデルおよびロール摩耗モデルを用いて
推定計算したロール半径の変化量のロール軸方向分布を
圧延操業中の任意の時点において学習計算する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延において圧延操業中にワークロ
ールプロフィルを精度よく推定することは、板厚および
板クラウン・形状の精度向上を行う上で重要である。上
記ワークロールプロフィルの推定方法して、ロール熱膨
張量計算モデル,またはロール熱膨張モデルとロール摩
耗量計算モデルを用いて、圧延操業条件より、圧延操業
中の任意の時点におけるワークロールプロフィルを推定
する従来技術がある。
【0003】上記熱膨張量計算モデルに関しては、熱間
圧延において圧延中に精度よくワークロールのロール内
温度分布を計算し、熱膨張量を推定する従来技術とし
て、たとえば、昭和58年塑性加工春季講演大会、p301
に発表されているように、ロール半径方向の温度分布を
多項式近似し、軸方向のみを要素分割した軸対称有限要
素法により、ロール内温度を計算し、ロール半径方向の
平均温度を用いて一般化平面歪問題として式(1)で計算
されている方法が知られている。
【0004】 u=(θm−θ0)・β・R ・・・(1) ここで、 u:ロール半径あたりの熱膨張量、 θm:ロール半径方向平均温度、 θ0:ロール初期温度、 β:熱膨張係数、 R:ロール半径 である。
【0005】一方、上記ロール摩耗量計算モデルに関し
ては、従来一般的に圧延距離と単位板幅あたりの荷重か
らロール摩耗を推定する方法が知られている。この計算
モデルは、圧延終了後のロールを十分に冷却した後、ロ
ール熱膨張が存在しない状態でロールプロフィルの測定
をし、初期ロールプロフィルとの比較を行い、圧延操業
条件をもとに分析することでモデル化することができ
る。また、この従来技術は、熱間圧延に使用するロール
種別や圧延鋼種等によって分析し、モデル化を行えば工
業的に十分な精度が得られることが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来法の熱膨張量
計算モデルによる場合、ロール半径方向の温度分布は、
1個の近似多項式で表現されている。しかしながら、現
在熱間圧延に使用されているワークロールは、その大半
が図8に示すように芯材と外層材の2層で構成され、そ
れぞれロール物性値が異なる構造になっている。このよ
うな場合、図11に示すように芯材と外層材との境界に
おいて、双方の熱伝導率の違いにより、熱流束の連続性
から必然的に生じる不連続なロール半径方向温度勾配が
存在することになる。このため、ロール半径方向温度分
布が従来のように1個の近似多項式で表現することが困
難となる。つまり、従来技術によるロール内温度分布の
計算方法では、ロール半径方向の温度分布を正確に表現
することができず、ワークロールの熱膨張量計算に対し
て工業的に有意な誤差を生じるという問題があった。ま
た、上記ロール物性値の影響を考慮し、圧延操業条件か
らロール内温度分布を正確に表現することができた場合
でも、ワークロールへの入熱・抜熱に関わる誤差、たと
えばロール表面での熱伝達係数の見積り誤差等に起因し
て、ロール熱膨張量計算モデルによる推定値と実際のワ
ークロールの熱膨張量との間には多少の誤差が存在し、
圧延本数の増加に伴い、それが大きくなるという問題が
あった。
【0007】本発明は、上記熱膨張量計算モデルにおけ
るロール物性値のモデル化に関する問題を解決し、かつ
圧延操業中に実用的な時間でワークロールの熱膨張量の
計算手段を提供するとともに、上記入熱・抜熱等に関わ
る熱膨張量計算の推定誤差を安価な手段を用いて、圧延
操業中の任意の時点で修正する方法の提供を目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の要旨とするところは、熱間圧延において、異
なる物性値を有する芯材と外層材とで構成されるワーク
ロールのロール内温度分布を、ロール半径方向温度分布
の数式表現として、芯材と外層材との境界において、双
方の熱伝導率の違いにより、熱流束の連続性から必然的
に生じるロール半径方向温度勾配の不連続を表現し得る
多項式を用いて、圧延操業中にワークロールのロール軸
方向の熱膨張量分布ut(z)、zはロール軸方向座標、
を計算するモデル、およびロール軸方向のロール摩耗量
w(z)を計算するモデルからワークロールプロフィル
を推定し、さらに、圧延操業の中断期間に、圧下装置を
操作して上下ワークロールを接触させ、さらに締め込む
ことによって得られる圧下設定値と圧延反力測定装置に
よる反力測定値との関係を、ワークロール組替直後の同
関係と比較・分析することによって初期ワークロールプ
ロフィルからのロール半径の変化のロール軸方向平均値
ΔRmを算出した後、上記ロール熱膨張量計算モデルか
ら計算できるロール軸方向の熱膨張量分布ut(z)のロ
ール方向平均値utmおよびロール摩耗量計モデルから計
算できるロール軸方向摩耗量分布uw(z)のロール軸方
向平均値uwmを求め、 ΔRm=A・utm+uwm の関係を満足する上記熱膨張量計算モデルの学習係数A
の算出を行い、ついで、これ以降のワークロール半径の
変化量のロール軸方向分布ΔR(z)を、上記ロール熱膨
張量計算モデルから計算するロール軸方向の熱膨張量分
布の推定値ut(z)に上記学習係数Aを乗じて、 ΔR(z)=A・ut(z)+uw(z) として修正することを特徴とする圧延ロールのロールプ
ロフィル学習計算方法である。
【0009】
【作用】発明者らは、現状の熱間圧延で使用されている
ワークロールの大半が、その半径方向に異なる物性値を
有する2領域、すなわち図8に示すように芯材と外層材
から構成されていることに着目した。発明者らは、上述
したように双方のロール物性値、特に熱伝導率の違いに
より、図11に示すように芯材と外層材との境界におい
て、熱流束の連続性から必然的に生じる不連続なロール
半径方向温度勾配を表現する数式表現として、図5およ
び式(2)に示すように芯材と外層材の2領域において、
それぞれ異なった多項式で半径方向温度分布を近似する
ことを考案し、先の出願において以下に説明するロール
熱膨張計算モデルを提案した。
【0010】 θ=θ1(r) 芯材領域, θ=θ2(r) 外層材領域 ・・・(2) ここで、 θ:ロール半径方向温度分布, r:半径方向座標, 下添字1,2:それぞれ芯材および外層材を示す; 式(3)にはロール半径方向に物性値を考慮した軸対称熱
伝導方程式を示す。
【0011】
【数3】
【0012】ここで、ρ:密度,c:比熱,λ:熱伝導
率,z:ロール軸方向座標である。ここで、図5に示す
ようにロール半径方向を2領域、すなわち芯材と外層材
にそれぞれ異なった多項式でロール半径方向の温度分布
を近似することから、式(3)は、上記式(2)に示した多項
式の適用範囲で分割して式(4)で表すことができる。
【0013】
【数4】
【0014】ここで、 α:熱伝達係数である;つぎ
に、例えば式(5)の境界条件のもとで式(4)を解けば、ロ
ール内温度分布を得ることができる。
【0015】なお、式(5)−3で示したロール表面の境界
条件は、例えば、日本鉄鋼協会発行「材料とプロセ
ス」、Vol.5(1992)-592で公表されているが、図12に
示すようにロール円周方向に変化する境界条件を積分平
均によって、均一化した境界条件モデル化の一例を示し
ている。
【0016】つぎに、発明者らは、半径方向にも要素分
割した軸対称有限要素法による高精度解と上記のロール
熱膨張計算モデルによる計算結果との比較を行った。そ
の結果、上記のロール熱膨張計算モデルにおいて、たと
えば図6および式(6)に示すようにロール中心を原点と
する半径方向座標を用いて、芯材および外層材の半径方
向温度分布を多項式近似した場合では、芯材の半径方向
温度分布を表現する多項式は4次式以上、外層材の半径
方向温度分布を表現する多項式は20次式以上で近似す
れば、上述の高精度解との誤差はほとんどないことを見
いだした。
【0017】 θ=θ1(rc ) (0 ≦rc <r1 ), θ=θ2(rc ) (r1 ≦rc ≦R ) ・・・(6) ここで、 rc:ロール中心を原点とする半径方向座標 r1:ロール芯材半径 R:ロール半径 である。
【0018】熱膨張量の計算に関しては、まず、式(6)
におけるロール半径方向温度分布を用いて、式(7)で示
すように芯材および外層材の平均温度θm1およびθm2
求める。
【0019】
【数7】
【0020】ついで、熱膨張ひずみのロール横断面に関
する積分平均に半径Rを乗じて、式(8)に示すようにロ
ール半径あたりの熱膨張量utとして表した; ut =〔(θm1 −θ011 2+(θm2 −θ02 (R2−r1 2)〕/R ・・・(8) ここで、β1,β2はそれぞれロール芯材および外層材の
線膨張係数である。
【0021】また、発明者らは、外層材の半径方向温度
分布を表現する多項式として、式(9)に示すようにロー
ル中心以外の半径方向位置を原点とする半径方向座標を
用いても同様に外層材の半径方向温度分布を表現できる
ことを見いだした; θ=θ2(rs ) (rs1 ≦rs ≦Rs ) ・・・(9) ここで、 rs:ロール中心以外の半径方向位置を原点
とする半径方向座標, rs1,Rs:それぞれrs座標における芯材と外層材の境
界位置およびロール半径位置 である。このとき、外層材の平均温度は、上記のロール
熱膨張計算モデルで計算した式(9)を用いて式(10)で求
め、ついで、上記式(8)で外層材の熱膨張量を求めるこ
とになる。
【0022】
【数10】
【0023】さらに、発明者らは、上記ロール中心以外
の半径方向位置を原点とする半径方向座標を用いた多項
式は、その半径方向座標の原点を芯材半径位置に近づけ
るにつれて上記多項式の次数を減らすことができること
を見いだした。たとえば、図7に示すように式(11)のよ
うに芯材半径位置を原点とする半径方向座標を用いた場
合では、外層材の半径方向温度分布を表現する多項式
は、6次式以上で近似すれば、上述の高精度解との誤差
はほとんどないことを見いだした。
【0024】 θ=θ2(rs) (0≦rs ≦Rs =R−r1) ・・・(11) このとき、式(9)におけるrs1は、芯材半径位置を原点
としていることからゼロとなる。
【0025】なお、式(2)で示した近似多項式のパラメ
ータとして、たとえば、芯材および外層材の平均温度、
ロール温度,温度勾配等のロール内の温度変数を採用す
ることもできる。これによれば、芯材および外層材の平
均温度を直接計算することができることから、式(7)お
よび式(10)における芯材および外層材の平均温度の計算
過程を必要としない。
【0026】つぎに、上記ロール熱膨張量計算方法の精
度検証のために、上記ロール熱膨張量計算モデルによる
計算結果と半径方向にも要素分割を行った軸対称有限要
素法による高精度解との比較を行った。上記ロール熱膨
張計算モデルは、式(6)に示したようにロール中心を原
点とする半径方向座標における近似多項式として、たと
えば式(12)に示す近似多項式を用いて計算を行った。
【0027】 θ1(rc)=a1・rc 4+Φ1(rc) (0≦rc <r1), θ2(rc)=a2・rc 20+Φ2(rc) (r1≦rc ≦R) ・・・(12) ここで、 a:係数, Φ1(rc):係数を含む3次以下のrc座標の関数, Φ2(rc):係数を含む19以下のrc座標の関数 である。
【0028】比較計算に用いた圧延条件を表1に、ロー
ル物性値を表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】また、上記ロール熱膨張計算モデルと半径
方向にも要素分割した軸対称有限要素法による高精度解
の境界条件は同一として計算した。図9には圧延20本
目終了時のロール中央位置での半径方向温度分布を、図
10にはロール中央位置での熱膨張量の推移を示す。こ
の結果から、高精度解と本発明の誤差は、ロール半径方
向温度分布として見た場合では、ほとんど無く、熱膨張
量として見た場合では、ロール半径あたり最大1.5μm
程度であった。また、上記のロール熱膨張量計算モデル
は、圧延操業中に実用的な時間で計算を処理することが
できた。
【0032】しかしながら、上記ロール物性値の影響を
考慮し、圧延操業条件からロール内温度分布を正確に表
現することができる本発明によるロール熱膨張量計算モ
デルを用いた場合でも、ワークロールへの入熱,抜熱に
関わる誤差、たとえばロール表面での熱伝達係数の見積
り誤差等に起因して、ロール熱膨張量計算モデルによる
熱膨張量の推定値と実際のワークロールの熱膨張量との
間に多少の誤差が存在し、圧延本数の増加に伴い、それ
が大きくなるという問題が残されている。
【0033】発明者らは、この問題を分析するために、
圧延操業中の任意の時点においてロールプロフィルの実
測を行い、初期ワークロールプロフィルからのロール半
径の変化量、すなわちロール軸方向に関する熱膨張量お
よび摩耗量の詳細な観察を行った。ロールプロフィルの
実測に関しては、圧延操業中にワークロールを圧延機か
ら取り出し、ロールプロフィル測定装置を用いて速やか
に測定を行った。
【0034】図4には、上記実測結果によるワークロー
ルのロール半径変化量と本発明によるロール熱膨張量計
算モデルおよび従来の摩耗量計算モデルを用いて計算し
た推定値との比較を示す。その結果、図4に示すよう
に、実測結果と計算モデルは、ロール胴長間においてほ
ぼ相似形であることが判明した。なお、このときロール
摩耗に関しては、上記ワークロールを十分に冷却した
後、熱膨張が存在しない状態でロール摩耗の実測を行
い、それとロール摩耗量計算モデルによる推定値との比
較を行った結果、両者の差がほとんどないことを確認し
た。
【0035】以上のことから、発明者らは、上記圧延操
業中のロールプロフィル推定誤差は、そのほとんどがロ
ール熱膨張量計算モデルによるものであり、また図1の
(a)に示すように、上記ロール摩耗を除く熱膨張量の
実測値と本発明によるロール熱膨張量計算モデルを用い
て推定した熱膨張量がほぼ相似形であることも見いだし
た。すなわち、このことは本発明によるロール熱膨張量
計算モデルを用いて推定計算した熱膨張量は、ある学習
係数を乗じることで、図1の(b)に示すように簡単に
実際のワークロールの熱膨張量に修正することができる
ことを見いだした。
【0036】ところで、上記熱膨張量計算モデルの推定
値に乗じる学習係数を求めるために、圧延操業中にワー
クロールを圧延機から取り出しロールプロフィルを実測
し、かつそのワークロールを用いて圧延操業を続けるこ
とは、生産性,作業性等の問題で事実上不可能である。
そこで、発明者らは、発明者自から出願した特開昭63
−295009号公報に開示した方法を用いて、即ち圧
延操業中に初期ワークロールプロフィルからのロール半
径のロール胴長に対する平均変化量ΔRmを検出する方
法を用いて、上記学習係数を求めることを知得した。こ
こで、上記特開昭63−295009号公報に開示され
ているロールプロフィル検出方法の概略について述べて
おく。
【0037】この方法は、図2に示すように圧延操業の
中断期間に、圧下装置を操作して上下ワークロールを接
触させ、さらに締め込むことによって得られる圧下設置
値gと圧延反力測定装置による反力測定値Pとの関係
を、ワークロール組替直後の同関係と比較・分析するこ
とによって初期ロールプロフィルからのロール半径の平
均変化量ΔRmを検出する方法である。このとき、Δg
は図2に示すようにロール組替直後のデータと圧延操業
の中断期間に得られたデータがほぼ平行になった状態で
の同じ圧延反力P1に対する圧下設定値の差である。す
なわち、このΔgは同じ圧延反力P1であれば各ロール
間の接触荷重が同じで、平均変形量も同じであると考え
られるので、ワークロールの平均半径の変化量ΔRを反
映していることになる。さらに、上下ワークロールプロ
フィル変化が同じであると仮定すると式(13)でワークロ
ールの平均半径の変化量ΔRを得ることができる。
【0038】 ΔRm=(1/4)・Δg ・・・(13) この検出方法を用いれば、圧延操業の中断期間を利用し
てキスロール締め込みを行いワークロールの平均半径の
変化量ΔRmを求めることができるため、生産量の減少
は実質的に問題にはならない。
【0039】以下に本発明によるワークロールプロフィ
ルの上記学習係数の計算方法について詳細に述べる。
【0040】いま、ある圧延本数終了時のワークロール
半径の変化量のロール軸方向分布をΔR(z)とすると、
上記圧延中断期間に得たワークロールの平均半径変化量
ΔRmとの関係は、次式で表現することができる。
【0041】
【数14】
【0042】ここで、 z:ロール胴長中心を原点とす
るロール軸方向座標, l(小文字のエル):ロール胴長長さ である。さらに、ロール半径の変化量のロール軸方向分
布をΔR(z)と、本発明による熱膨張量計算モデル、お
よび従来のロール摩耗量計算モデルに圧延操業条件を代
入して得られるロール半径の変化量の分布の関係は、ロ
ール半径の平均変化量として見た場合、次式で表現する
ことができる。
【0043】
【数15】
【0044】ここで、 A:上記算出すべき学習係数, ut(z):本発明によるロール熱膨張計算モデルより計
算したロール軸方向の熱膨張量分布の推定値, uw(z):従来のロール摩耗量計算モデルより計算した
ロール軸方向のロール摩耗量分布の推定値 である。このとき、上述したようにロール摩耗量計算モ
デルに関しては、十分な推定精度を有していることか
ら、学習係数Aはロール熱膨張量計算モデルの熱膨張量
推定値に乗じればよいことが分かる。すなわち、式(1
4),(15)より、学習係数Aは次式のように求めることが
できる。
【0045】
【数16】
【0046】つぎに、式(16)で求めた学習係数Aを、ロ
ール熱膨張計算モデルの熱膨張推定値に乗じることによ
り、式(17)に示すようにキスロール締め込み時のロール
プロフィルを検出することができる; ΔR(z)=A・ut(z)+uw(z) ・・・(17) ところで、例えばハイスロール等の短期間使用では、ロ
ール摩耗がほとんど無視できるようなロールを使用した
場合では、式(17)におけるuw(z)をゼロとして学習係
数Aを求めてもよい。
【0047】つぎに、発明者らは、たとえばワークロー
ル組替後圧延本数20本目終了時と圧延本数100本目
で上記キスロール締め込みを行い、上記学習係数Aの算
出を行った。その結果、圧延本数20,40,60,8
0および100本目終了時の学習係数をそれぞれA20
40,A60,A80およびA100とすると、それぞれの学
習係数は、A20 = 0.976 A40 = 0.970 A60 = 0.965 A80 = 0.961 A100 = 0.955 であった。
【0048】これより、熱膨張量計算モデルの推定値の
修正に使用する学習係数は、圧延本数が増加してもほと
んど変わらないことが分かる。このことから、発明者ら
は、上述したように任意の時点での圧延作業の中断期間
中にキスロール締め込みを行って算出した学習係数は、
それ以降の圧延操業での熱膨張量の推定を行うに際し、
本発明のロール熱膨張量計算モデルに乗じる学習係数と
して継続して使用できることを知得した。
【0049】本発明のロールプロフィル学習計算方法の
具体例を以下に説明する。図3には、本発明の具体例を
説明するためのフローの1例を示す。本発明では、まず
ロール組替直後にキスロール締め込みを行い、図2の1
データを採取する。圧延操業が開始されると同時に圧延
操業条件を基に本発明によるロール熱膨張計算モデルお
よび公知のロール摩耗モデルからワークロール半径の変
化量のロール軸方向分布ΔR(z)の計算が行われる。つ
いで、圧延操業の中断期間に、キスロール締め込みを行
い、図2の2データを採取し、ロール組替直後に採取し
た図2の1データと比較・分析することによって、式(1
3)より初期ロールプロフィルからのロール半径の平均変
化量ΔRmを求める。それを、キスロール締め込みの同
時点の上記各計算モデルから計算されるΔR(z)と比較
を行い、式(16)によりロール熱膨張量の計算モデルに乗
じる学習係数Aを求める。ついで、これ以降のワークロ
ール半径の変化量のロール軸方向分布ΔR(z)は、式(1
7)により求めることになる。
【0050】なお、本発明のキスロールによるロールプ
ロフィル学習方法を、図3に示したワークロール組替え
直後から次のロール組替えまでの間に2度以上分けて行
えば、さらにロール熱膨張量計算モデルの熱膨張量推定
精度を向上させることができることは言うまでもない。
【0051】本発明による場合、上述したように高精度
なロール熱膨張計算モデルを使用し、かつ上述したロー
ル熱膨張量計算モデルの学習方法および従来のロール摩
耗量計算モデルと組合わせることで、ワークロール組替
え直後から次のロール組替えまで、高精度にロールプロ
フィルを推定することができる。
【0052】
【実施例】本発明を連続熱延の仕上圧延機列に適用し
た。ロール熱膨張計算量モデルに関しては、発明者らが
先に提案したロール熱膨張量計算モデルを使用し、圧延
20本目終了後の圧延作業の中断期間に圧下装置を操作
して上下ワークロールを接触させ、ロール熱膨張量計算
モデルに乗じる学習係数Aの算出を行った。ついで、こ
れ以降のロール熱膨張量計算モデルによる熱膨張量の推
定値に乗じる学習係数として上記学習係数Aを続けて使
用し、ロール摩耗計算モデルと組合わせて、ロールプロ
フィルの推定を行った。
【0053】ついで、圧延100本目終了後にワークロ
ールのプロフィルを速やかに実測し、その実測値と上記
学習係数Aを使用したロールプロフィルの推定値との比
較を行った。その結果、ワークロールのロール胴長方向
中心位置における実測値と推定値の誤差は、10.5μmで
あった。また、ロール胴長方向全体で見た場合でも、そ
の誤差の最大は13μmであった。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、圧延操業中に実用的な
時間で、かつ高精度にワークロールの熱膨張量を計算す
ることができ、さらに既存の設備を利用して圧延操業の
中断期間を利用してワークロールプロフィルの学習計算
が可能であることから、圧延板の板厚および板クラウン
・形状の精度向上に多大の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明におけるロールプロフィル学習計算方
法を見いだすに至ったロール熱膨張量に関する実測値と
計算値を示すグラフである。
【図2】 ワ−クロ−ルの締め込み(キスロ−ル)によ
る圧延反力と圧延設定値(ロ−ルギャップ)の関係を示
すグラフである。
【図3】 本発明のロールプロフィル学習計算の一態様
の処理過程を示すフロ−チャ−トである。
【図4】 ロールプロフィルの実測値と推定計算値を示
すグラフである。
【図5】 ワ−クロ−ルにおけるロ−ル半径方向の温度
分布を示すグラフであり、(a)はロ−ル中心から外層
材表面までの温度分布を、(b)はロ−ル中心から芯材
/外層材境界までの温度分布を、(c)は該境界から外
層材表面までの温度分布を示す。
【図6】 本発明のロール熱膨張量計算モデルにおけ
る、ワ−クロ−ルにおけるロ−ル半径方向の温度分布の
区分を示すグラフである。
【図7】 図6に示す外層材領域のみを示すグラフであ
る。
【図8】 ワ−クロ−ルの横断面の半分における芯材と
外層材の分布を示す横断面図である。
【図9】 本発明により算出した温度分布と高精度解に
より得た温度分布を示すグラフである。
【図10】 圧延コイル本数とワ−クロール熱膨張量計
算値との関係を示すグラフである。
【図11】 従来技術のロール熱膨張量計算モデルによ
り算出したロ−ル温度分布を示すグラフである。
【図12】 本発明に用いたロール熱膨張量計算モデル
の境界条件を示し、(a)はワ−クロ−ルの側面図、
(b)は(a)のB−B線断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 25/16 B21B 28/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延において、異なる物性値を有す
    る芯材と外層材とで構成されるワークロールのロール内
    温度分布を、ロール半径方向温度分布の数式表現とし
    て、芯材と外層材との境界において、双方の熱伝導率の
    違いにより、熱流束の連続性から必然的に生じるロール
    半径方向温度勾配の不連続を表現し得る多項式を用い
    て、圧延操業中にワークロールのロール軸方向の熱膨張
    量分布ut(z)、zはロール軸方向座標、を計算するモ
    デル、およびロール軸方向のロール摩耗量uw(z)を計
    算するモデルからワークロールプロフィルを推定し、 さらに、圧延操業の中断期間に、圧下装置を操作して上
    下ワークロールを接触させ、さらに締め込むことによっ
    て得られる圧下設定値と圧延反力測定装置による反力測
    定値との関係を、ワークロール組替直後の同関係と比較
    ・分析することによって初期ワークロールプロフィルか
    らのロール半径の変化のロール軸方向平均値ΔRmを算
    出した後、上記ロール熱膨張量計算モデルから計算でき
    るロール軸方向の熱膨張量分布ut(z)のロール方向平
    均値utmおよびロール摩耗量計算モデルから計算できる
    ロール軸方向摩耗量分布uw(z)のロール軸方向平均値
    wmを求め、 ΔRm=A・utm+uwm の関係を満足する上記熱膨張量計算モデルの学習係数A
    の算出を行い、 ついで、これ以降のワークロール半径の変化量のロール
    軸方向分布ΔR(z)を、上記ロール熱膨張量計算モデル
    から計算するロール軸方向の熱膨張量分布の推定値u
    t(z)に上記学習係数Aを乗じて、 ΔR(z)=A・ut(z)+uw(z) として修正することを特徴とする圧延ロールのプロフィ
    ル学習計算方法。
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