JP3178009B2 - 反射防止体及びその利用装置 - Google Patents

反射防止体及びその利用装置

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JP3178009B2 JP16534591A JP16534591A JP3178009B2 JP 3178009 B2 JP3178009 B2 JP 3178009B2 JP 16534591 A JP16534591 A JP 16534591A JP 16534591 A JP16534591 A JP 16534591A JP 3178009 B2 JP3178009 B2 JP 3178009B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透明板とその製造方法、
並びにこれを応用した画面表示面板及びブラウン管(陰
極管)等とこれらの製造方法に係り、特に画像表示板の
帯電,反射防止膜として有効に機能し得る超微粒子を利
用した透明板とその製造方法、並びにこれを応用した画
面表示面板及びブラウン管(陰極管)等とこれらの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】透明性板表面の反射率を低減する膜(反
射防止膜)は古くから研究されておりカメラ,メガネな
どのレンズに利用されてきた。現在は、VDT(ビジュ
アル・ディスプレイ・ターミナル)の反射光を低減する
ための反射防止フィルタなどに用いられている。反射防
止膜には様々なものが考えられているが、現在利用され
ているものは主に多層膜と不均一膜である。
【0003】多層膜は透明性板表面に低屈折率物質と高
屈折率物質とを交互に少なくとも三層積層した構造であ
り、その反射防止効果は各層感での光学的干渉作用の総
合効果である。多層膜に関してはフィジックス・オブ・
シン・フィルムの2号(1964年)243頁〜284頁
(Phiysics of Thin Films 2,(1964)p.243
〜284)に論じられている。
【0004】また、膜厚方向に屈折率分布を持つ不均質
膜は、膜の平均屈折率が基板ガラスよりも低い場合に反
射防止膜となる。不均質膜は透明性板表面を多孔質化し
たものが一般的である。
【0005】ガラス表面に島上の金属蒸着膜を形成後、
スパッタエッチングにより微細な凹凸を形成して不均質
膜を作り、反射率を低減する方法がアプライド・フィジ
ックス・レター36号(1980)の727頁から73
0頁(Apl.Phys.Lett,36(1980)p.727〜
p.730)において論じられている。
【0006】またソーダムガラスをSiO2 過飽和のH
2SiF6溶液に浸漬し、表面を多孔質化して反射率を低
減する方法がソーラ・エネルギー,6号(1980年)
の28頁から34頁(Solar Energy 6(1980)p.
28〜p.34)において論じられている。
【0007】一方、陰極管においてはガラス面の帯電防
止のために導電性膜を形成するとともに反射防止の工夫
も要求されている。
【0008】ところで、ブラウン管などの陰極管の全面
パネル表面(画像表示版)が帯電することが知られてい
るが、その理由は図4に示すごとく、通常ブラウン管4
1の内面42の塗布されている蛍光体43の上に薄く均
一なアルミニウムを蒸着しているがそのアルミニウム膜
44に高電圧が印加されると、その印加時及び遮断時に
ブラウン管前面パネル45に静電誘導により帯電現象を
起こすことによる。
【0009】このような表示管表面での帯電防止にさら
に反射防止をかねて帯電,反射防止膜を形成させる方法
が特開昭61−51101 号公報に開示されている。この場合
にはまずガラス基板に真空蒸着法,スパッタリング法な
どの物理的気相法あるいは化学的気相法などにより、導
電性膜を形成し、その上に反射防止膜を形成するように
なっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は形成方
法がスパッタリング,真空蒸着法に限られ、かつ膜厚の
高精度制御が必要であるため、コストが高く大面積の基
板への適用が困難であるという問題があった。
【0011】特に従来技術は、導電性膜と反射防止膜を
それぞれ形成する2層構造であり、生産性,価格の点で
問題があった。また膜焼成温度が低温に限定されるブラ
ウン管などの表示管表面に膜形成する場合には膜強度,
反射特性に問題があった。
【0012】また超微粒子を利用した反射膜の場合は、
超微粒子が高密度に規則正しく基板上に配列されたとき
に最も小さな反射率が得られる。
【0013】図5は超微粒子が整然と規則正しく透明性
板基板上に塗布された場合の断面模式図を示す。46は
超微粒子、47は樹脂層、48は基板である。この場
合、n0 は空気の屈折率、n1 は空気側の超微粒子da
層の屈折率、n2 はda層の超微粒子側の屈折率、ns
は超微粒子とバインダーとで形成される層の屈折率、n
G は透明性板の屈折率とするとda層の反射率Raは式
(数1)で、db層の屈折率Rbは式(数2)でそれぞ
れ示すことができる。
【0014】
【数1】
【0015】
【数2】
【0016】また超微粒子の存在しない部分の反射率を
Rcとしたとき、合計の反射率Rは超微粒子の存在しな
い部分の面積比をαとして式(数3)で示すことができ
る。
【0017】R=(1−α)(Ra+Rb)+αRc
…(数3) 通常、ガラス体と同様のバインダー
を用いた場合にはRcは4.2% である。
【0018】Raはn0=1.0,n1=1.10,n2
1.38,ns=1.47と仮定すると、λ=550nm
で約0.19% となる。またRbは透明性板をガラスと
すると、nG =1.53 、他の屈折率はRaの場合と同
一と仮定すると、λ=550nmで約0.04% とな
る。
【0019】従って(Ra+Rb)《Rcであり、αが小
さいほど反射率は小さくなることがわかる。言い替える
と超微粒子を規則正しく緻密に塗布した場合に最も反射
率が小さくなることになる。
【0020】本発明者等は、先に超微粒子を反射防止膜
に適用することを提案したが、更に鋭意検討した結果、
塗布液を基板表面上を一定速度で上昇あるいは下降する
ことにより塗布液に混合されている超微粒子が基板上に
規則正しく配列,塗布され、理論値に近い低反射率が得
られることを見出した。
【0021】この場合、表面に凹凸を有する超微粒子を
用いることにより、超微粒子表面層での拡散反射が減少
し、白濁のない膜が得られることを見出した。またこの
場合、反射防止用超微粒子の粒径に対して1/10以下
の粒径を持つ帯電防止用超微粒子を塗布溶液に同時に混
合することにより、反射防止用超微粒子間の間隙に帯電
防止用超微粒子が網目状に配列されて導電性膜になるこ
とを見出した。
【0022】本発明の目的は低コストでかつ大面積に適
用できる帯電,反射防止膜とこれを適用した画像表示板
を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】 上記目的は、反射防止
機能超微粒子の表面を多孔質化することにより達成され
【0024】本発明の反射防止体には少なくとも次の態
様がある。
【0025】(1)反射防止機能を有する超微粒子を分
散した皮膜を基体に付与し、その超微粒子の粒径が0.
1〜0.15μmでその表面部分が0.05μm以下の
開孔径の多孔質としたものである。
【0026】(2)上記(1)において反射防止機能超微粒
子と併せて帯電防止機能を有する超微粒子を皮膜中に分
散させる。
【0027】(3)上記(1)や(2)の基体が透明板であ
る。
【0028】(4)上記反射機能超微粒子はSiO2 ,M
gF2 の群から選ばれる。
【0029】(5)上記(2)のように帯電防止機能超微粒
子を用いるときは、SnO2,SnO2+Sb23,In
23,In23+Sb23の群から選ぶ。
【0030】(6)上記(1)〜(5)において、基体がガラ
スならバインダーとしてSi(OR)4を用いる。
【0031】(7)上記(1)〜(5)において、基体がプラ
スチックならバインダーとしてSi(OR)3 を使用し、
このプラスチック材に対する官能基を有するカップリン
グ剤を併用する。このプラスチック材がアクリル樹脂な
ら、カップリング剤としてγ−メタクリルオキシプロピ
ルトリメトキシシランとし、エポキシ樹脂なら、γ−グ
リシドオキシプロピルトリメトキシシランとする。
【0032】(8)上記(1)〜(7)において、基体の両面
に超微粒子膜を形成し、或いは片面のみに超微粒子膜を
形成する。
【0033】(9)超微粒子の粒径については、帯電防止
用超微粒子の粒径D1 に反射防止用超微粒子の粒径D2
との比D1/D2が少なくとも1/10以下であり、或い
は反射防止用超微粒子の粒径が100〜150μmのS
iO2 超微粒子であり、或いは帯電防止用超微粒子が1
0nm以下の酸化スズ化合物であり、或いは反射防止用
超微粒子の粒径(D2 )に対して2〜3倍の粒径を持つ
超微粒子を少なくとも全超微粒子量の20wt%以下混
合させる。
【0034】(10)凹凸形成手法として、超微粒子の凹部
は一つ当たり0.05μm 以下の平均径が好ましく、凹
凸は超微粒子表面にまんべんなくあることが好ましく、
開孔率としては50%程度が望ましい。この場合超微粒
子径はいわゆるサグミクロン以下(特に0.1μm 以
下)が望ましい。これらの条件に多孔質形成についても
同様である。但し、いくつかの超微粒子を集合させて微
粒子化する場合には、2通りの微粒子形成手法があり、
いずれにしても微粒子全体としては0.2μm以下の平均
径となることが好ましい。一つの手法は比較的大きな超
微粒子(例えば平均径0.15μm 以下)の周囲にそれ
より小さな超微粒子を付与するものであり、他の手法は
ほぼ同径の超微粒子を集合させるものである。
【0035】(11)上記(1)〜(10)において、基体の超微
粒子膜形成面が曲率を有する。或いはガラス,セラミク
ス,金属,プラスチックから選ばれ、板状或いはフィル
ム状である。
【0036】本発明の透明板には少なくとも次の態様が
ある。
【0037】(12)超微粒子群と各超微粒子間隙を充填す
るバインダーとによる超微粒子膜を透明基板上に形成
し、基板材に対する官能基を有するカップリング剤を超
微粒子間に混在させ及び/または超微粒子膜と透明基板
との界面に存在させるものである。そしてこの超微粒子
の内反射防止機能を有するものにつき前記(1)の工夫を
なす。
【0038】(13)上記(12)に加え、更に超微粒子塗膜上
にケイ酸工程を主成分とする塗布液を塗布する。
【0039】(14)超微粒子群と各超微粒子間隙を充填す
るバインダーとによる超微粒子膜を透明基板上に形成
し、この超微粒子の塗膜の上にケイ酸エチルを主成分と
する層を形成し、この超微粒子の内反射防止機能を有す
るものについて前記(1)の工夫をなす。
【0040】(15)上記(12)〜(14)において、帯電防止機
能超微粒子を併用する。この場合、超微粒子としてはS
nO2,SnO2+Sb23,In23,In23+Sb
23の群から選ばれるものを用いることが望ましい。
【0041】(16)上記(12)〜(15)において、反射防止機
能超微粒子は、SiO2,MgF2の群から選ばれ、その
表面が凹凸乃至多孔質を呈し、或いは超微粒子を集合さ
せて微粒子化し微粒子表面に超微粒子間隙の凹部を形成
する。
【0042】(17)上記(12)〜(16)において、基板がガラ
スのとき、バインダーとしてSi(OR)4を使用する。或い
は基板がプラスチックのとき、バインダーとしてSi(O
R)3を使用し、プラスチック材に対する官能基を有する
カップリング剤を併用する。プラスチック材がアクリル
樹脂からカップリング剤としてγ−メタクリルオキシプ
ロピルトリメトキシシランを、エポキシ樹脂ならγ−グ
リシドオキシプロピルトリメトキシシランを適用する。
【0043】(18)上記(12)〜(17)において、基板の両面
或いは片面のみに超微粒子膜を形成する。
【0044】(19)上記(12)〜(17)において、粒径につい
ては上記(9),(10)の工夫をする。
【0045】(20)上記(12)〜(19)において、基板につき
上記(11)の基体の工夫を施す。
【0046】本発明の応用に係る利用装置は、基体特
に透明基板の表面に上記各超微粒子膜を形成し、或いは
上記各透明板、反射防止体を基体例えば透明基板の表面
に適用したものによる画像表示板、と同様の構成に
よる画像表示板保護板、やの板状体を備えてなる
ブラウン管,他の陰極線管や液晶表示装置,窓ガラス,
各種パネル等保護体,レンズ類等である。
【0047】本発明の反射防止体,透明板の製造方法
は、例えば超微粒子群と、各超微粒子間隙を充填するバ
インダーとによる超微粒子膜を透明基板上に形成するに
際して、超微粒子膜を形成すべき基板を容器に立てか
け、超微粒子とバインダーとを含む混合塗布溶液をこの
容器内に導入し一定速度で基板表面上に上昇あるいは下
降させて基板表面に超微粒子膜を形成することが好まし
い。
【0048】ブラウン管の製造方法は、例えば容器側面
の開口部から該容器内にブラウン管の透明基板面を露出
させ、超微粒子とバインダーとを含む混合塗布溶液を前
記容器内に導入し一定速度で該基板表面上に上昇あるい
は下降させて該基板表面に超微粒子膜を形成することに
よる。
【0049】
【作用】上記(1)の如く、凹凸,多孔質化,超微粒子集
合の各工夫にて、拡散反射を少なくすることが可能であ
る。拡散反射とは反射の中であらゆる方向に拡散する反
射をいう。本発明によれば光路先端が超微粒子の凹部に
至るとその光の進行がその凹部内にとどまる。拡散反射
は見た目に塗布した膜が白濁し、同時に透過率も悪くな
り、しかも解像度も低下する。
【0050】解像度を向上させつつ拡散反射率は極力0
にしたいが実際には難かしい。超微粒子を極超微粒子
(平均粒径0.01μm 以下)にすると、拡散反射率は
0になるが、一方で正反射率が無処理に近づいてしま
う。従って超微粒子としての大きさを保持しつつ、かつ
拡散反射率を0に近づける工夫として、凹凸形成(含,
多孔質,超微粒子集合)を提案した。
【0051】一般に超微粒子を混合していない塗布溶液
を用いて、ディッピング法により膜形成を行った場合、
膜厚tと引上げ速度vとの間には次の式(数4)が成り
立つことが知られている。
【0052】 t=K(ηv/pg)05 …(数4) ここにηは溶液の粘度、pは溶液の密度、gは重力加
速度、Kは定数である。
【0053】一方、本発明者等は、超微粒子混合塗布液
を一定速度で基板表面上を上昇あるいは下降させた場
合、図6に示すようにある引上げ速度までは超微粒子が
一層配列された膜となり、それ以上では二層乃至三層構
造の膜となることを見出した。
【0054】したがって反射防止機能用超微粒子として
粒径D2 の超微粒子を混合した場合一層配列の速度範囲
内では見かけの膜厚はD2 となる。この時の臨界速度は
10mm/s程度である。
【0055】またブラウン管の様に複雑な形状をした基
板表面に通常のディッピング法により膜を塗布すること
は非常に困難であるが、本発明法ではブラウン管表面に
塗布液が入る浴槽を設け、この浴槽内で塗布液を一定速
度で上昇あるいは下降させることにより塗膜を簡便に形
成することができる。
【0056】混合超微粒子により膜を形成すると、それ
ぞれの超微粒子はそれぞれの機能を発揮する。例えば多
量成分の超微粒子を反射防止機能成分とすれば主に表面
の粗さが功を奏して低反射機能を発揮する。またもう一
方の少量超微粒子が、反射防止機能超微粒子の粒径に対
して1/10以下の粒径を持つ導電性機能成分とすれば
網目状に凝集する効果により導電性を発揮する。このよ
うにして本発明の方法によって反射と帯電とを防止する
二つの特性を有する膜が一回の塗布により得られる。
【0057】さらにこの混合塗布液に多量成分超微粒子
の粒径に対して2〜3倍の粒径を持つ超微粒子を加える
と、この超微粒子が島状に配列される。この状態はこの
比較的大きな超微粒子があたかも反射防止機能超微粒子
の海の中に転々と存在する如くである。
【0058】この間隔は約1〜2μm程度であるので、
この膜が機械的な摩擦力を受けた時にはこの大きな超微
粒子に点接触し、反射防止機能超微粒子には接触しない
ため光学的特性は全く変化しない。換言すれば摩擦力に
対する膜の光学的強度が著しく向上する。また同様の理
由により、油等の汚れに対する落ち易さも向上する。
【0059】通常、サブミクロンオーダーの凹凸表面に
人間が手で触れた場合、指紋が膜に転写され、アルコー
ルなどで洗浄してもなかなか落ちないが、この比較的大
きな超微粒子を混合して島状に配列することにより、指
紋が膜に転写されにくくなると同時に、仮に転写された
場合でも簡単に拭い去ることができる。
【0060】本発明の反射防止膜形成技術は、透明板,
画像表示板,ブラウン管などに限定されることなく、本
発明の主旨を逸脱しない範囲で、不透明体,金属体,光
吸収体などにも適用できるものであることは云うまでも
ない。
【0061】
【実施例】以下、本発明の実施例につき図面に従って説
明する。先ず本発明の構成要件につき分説する。
【0062】(超微粒子)超微粒子の機能は透明性、透
光性に支障のない限り特に限定されない。また、代表的
な機能は、帯電防止、反射防止及び/又は赤外線反射で
ある。
【0063】帯電防止超微粒子はSnO2(酸化ス
ズ),SnO2+Sb23(酸化アンチモン),In2
3(酸化インジウム),In23+Sb23の群から選
ばれることが望ましい。反射防止超微粒子はSiO
2(二酸化ケイ素),MgF2(フッ化マグネシウム)の
群から選ばれることが望ましい。また赤外線反射超微粒
子はSnO2,SnO2+Sb23,In23,In23
+Sb23,TiO2(酸化チタン),ZrO2(酸化ジ
ルコニウム)の群から選ばれることが好ましい。
【0064】上記反射防止用超微粒子の平均粒径は10
0〜150nmが望ましい。SiO2等は100nmよ
り小さな粒径では形成された膜の最外表面が平坦になり
すぎて十分な反射防止効果が得られない恐れが有り、一
方150nmより大きな粒径では反射防止効果は十分得
られるが、拡散反射が大きくなり、その結果白濁すると
同時に解像度が低下する恐れが有るからである。従って
反射防止用超微粒子の平均粒径は100〜150nmが
好ましい。この場合、表面を多孔質として凹凸有する
のや、大きな超微粒子の表面に小さな超微粒子を設けて
あたかも表面が凹凸を備えた一つの粒子としたものを用
いると、子表面での散乱光が減少し、その結果膜全体
の拡散反射も非常に少なくなって白濁を解消することが
できる。超微粒子表面に凹凸を設ける方法としては、図
8(a)に示すように超微粒子の表面を多孔質にする方
がある。また、疑似的な凹凸を設ける方法には比較的
大きな超微粒子の周りに小さな超微粒子を設ける方法
(図8(b))又は比較的小さな超微粒子が少なくとも
3個以上集まった集合体にする方法など、いずれの方法
でも良い。尚、SiO2やMgF2等の反射防止用超微粒
子材料はいずれもその屈折率が1.50以下である。
【0065】帯電防止用超微粒子の平均粒径は10nm
以下が望ましい。また、帯電防止用超微粒子は2種以上
併用してもよい。反射防止用超微粒子と併用する場合の
帯電防止用超微粒子の粒径は、反射防止用超微粒子の粒
径に対して1/10以下が望ましい。すなわち粒径の異
なる2種類の微粒子を混合した溶液を塗布した場合、粒
径比が1/10以内では比較的良く分散されるが、1/
10以上では分散されずに粒径の小さな微粒子は網目状
に凝集するからである。
【0066】このことから帯電防止用超微粒子の粒径が
反射防止用超微粒子粒径の1/10以内では、導電性が
なくなる程度まで良く分散されてしまい、その結果帯電
防止機能を発揮しない。一方、その粒径比が1/10以
上では網目状に凝集するので導電性膜となり、帯電防止
機能を良く発揮する。本発明の場合、反射防止用超微粒
子の適正粒径は100〜150nmであるので、このこ
とから帯電防止用超微粒子の適正粒径は10nm以下が
望ましい。
【0067】また反射防止用超微粒子と帯電防止用超微
粒子との構成割合は、帯電防止用超微粒子が全超微粒子
量の10%以上であることが好ましい。尚、この量が5
0%以上になると反射防止機能の低下をきたす恐れがあ
り、50%以下に調整する必要がある。
【0068】また同様の理由により、反射防止用超微粒
子の粒径に対して2〜3倍の粒径を持つ超微粒子を少な
くとも全超微粒子量の20重量%以下混合させることが
望ましい。
【0069】赤外線反射機能或いは電磁遮断機能或いは
透明電導性機能を有する超微粒子としては、TiO2
ZrO2,SnO2,In23 などの金属酸化物或いは
これらの混合物などが挙げられる。この中でSnO2
10重量%Sb23 、或いはIn23+5重量%Sn
2 は導電特性と赤外線反射特性が優れているので好ま
しい。膜厚は0.2〜0.5μm、粒径は0.01〜0.0
5μmが望ましい。
【0070】尚、本発明の超微粒子は、2種以上の無機
酸化物より構成されるコンポジットな粒状物であって、
2種以上の無機酸化物が相互に入り混りあっているか、
又は一方の無機酸化物が他方の無機酸化物に包含されて
粒状構造を形成していて、かつその平均粒径が0.1μ
m 以下のものでもよい。好ましくはその粒度分布が平
均粒径付近の粒径を有する粒子のところに最大ピークを
示し、かつその粒径を有する粒子が全粒子のほぼ50%
以上を占め、かつ最大粒子径が平均粒径のほぼ2倍、最
小粒子径がその約1/2倍のものが挙げられる。各超微
粒子(溶媒相当)に混入している微少成分(溶質相当)
の平均粒径は0.01〜0.05μmが好ましい。
【0071】上記超微粒子は、球状に限らず、不良全球
体であってもよい。但し超微粒子の粒径が小さすぎる
と、形成される膜の最外表面が平滑になりすぎて十分な
反射防止効果が得られないおそれがあるので平均粒径は
0.05μm以上が好ましい。逆に大きすぎても拡散効
果が大きすぎてしまい解像度が低下すると共に膜強度も
低下するので、その平均粒子が0.1μm 以下であるこ
とが望まれる。上記の2種以上の無機酸化物の代表的な
組合せ例は、導電性成分と反射防止機能成分とから成
る。導電性成分と反射防止機能成分との構成割合は製造
条件により多少変動するが導電性成分が超微粒子の全重
量の10%以上(体積比0.1 以上)であることが好ま
しい。尚、この量が50%以上を超えると反射防止機能
の低下をきたす恐れがあり、50%以下に調整する必要
がある。尚、便宜的に導電性成分を少量成分,反射防止
機能成分を多量成分と称する場合もある。
【0072】本発明に係る超微粒子の構成する各成分が
いかなる形で粒状体を形成するかは各成分の種類,性能
等により必ずしも一定の形態を取るか否かは判然として
いないが、少量成分が多量成分中に粒状物の形態で包含
されている場合もあり、その場合、少量成分により形成
される粒状体の平均粒径は0.01〜0.05μmである
ことが好ましい。
【0073】各成分の組合せは上記成分間の組合せに限
定されるものではなく、要は2種機能を各超微粒子が充
足できればよい。上記の如く多量成分に少量成分が混入
している場合は多量成分で構成される超微粒子を海に例
えれば混入している少量成分の微小粒子はあたかも島の
如く存在することになる。また本発明の超微粒子に平均
粒径が0.01〜0.05μmの導電性成分又は導電性成
分と反射防止機能成分よりなる微粒子を重量比で10%
以下添加しても本発明の超微粒子のみを用いた場合と同
様の効果が得られる。
【0074】望ましい粒度分布は、最大ピークが平均粒
径付近にあり、かつその粒径のものが全粒子の約50%
以上を占め、最大粒子径が平均粒径の約2倍、最小粒子
径が平均粒径の約1/2である。
【0075】上記超微粒子(特にSiO2 超微粒子)の
粒径(平均粒径)は画像の解像度と外光の反射防止効果
との関係から制約されるものであり、下限値は反射防止
効果から定めたもので、100Åより小さなものなると
目的とする反射防止効果が得られ難く、一方、上限値は
解像度の点から定めたもので、10,000Åより大きくなる
と解像度が著しく低下する。したがって実用的な範囲と
して上記の範囲を定めたものであるが、好ましくは50
0〜1,200Å 、より好ましくは500〜600Å、
更に好ましくは約550Åである。
【0076】また、SiO2 超微粒子を用いるとき、そ
の固定量は少量でもそれなりの効果は認められるが実用
的には基板の単位面積当り0.01〜1mg/cm2 であ
り、好ましくは0.1〜0.3mg/cm2 である。そして
この上限,下限の理由は上記粒径の場合と同様に下限は
反射防止効果の点から、上限は解像度の点から定められ
るものである。
【0077】超微粒子として導電性成分(少量成分)と
反射防止機能成分(多量成分)とを併用する場合の構成
割合は製造条件により多少変動するが導電性成分が超微
粒子の全重量の10%以上(体積比0.1 以上)である
ことが好ましい。尚、この量が50%以上を超えると反
射防止機能の低下をきたす恐れがあり、50%以下に調
整する必要がある。この超微粒子からなる反射防止膜を
画像表示面板に用いる場合には、導電成分は透明である
ことが望ましい。光路の邪魔にならないからである。
【0078】本発明に係る超微粒子の構成する各成分が
いかなる形で粒状体を形成するかは各成分の種類,性能
等により必ずしも一定の形態を取るか否かは判然として
いないが、少量成分が多量成分中に粒状物の形態で包含
されている場合もあり、その場合少量成分により形成さ
れる粒状体の平均粒径は0.01〜0.05μmであるこ
とが望ましい。
【0079】反射防止機能成分の代表例はSiO2(二酸
化ケイ素),MgO(酸化マグネシウム)である。一方
導電性成分の代表例はSnO2(酸化スズ),In2
3(酸化インジウム),Sb23(酸化アンチモン)な
どが挙げられる。尚、導電性成分は2種以上併用しても
よい。両成分の組合せは上記成分間の組合せに限定され
るものではなく、要は2種機能は各超微粒子が充足でき
ればよい。上記の如く多量成分に少量成分が混入してい
る場合は多量成分で構成される超微粒子を海に例えれば
混入している少量成分の微小粒子はあたかも島の如く存
在することになる。また本発明の超微粒子に平均粒径が
0.01〜0.05μmの導電性成分又は導電性成分と反
射防止機能成分よりなる微粒子を重量比で10%以下添
加しても本発明の超微粒子のみを用いた場合と同様の効
果が得られる。
【0080】本発明に用いる超微粒子は通常金属成分を
用いて製造することができる。係る製造装置としてはア
ーク,プラズマ(誘導プラズマ,アークプラズマ),レ
ーザ,電子ビーム,ガスなどを熱源として用いて反射防
止機能成分と導電性成分とを共に蒸発させ、ついで急冷
してこれら原料成分が相互に混じり合った形で超微粒子
として産出させうる装置が挙げられる。
【0081】本発明に用いる超微粒子のアークによる製
造方法は系内ガス雰囲気を酸素ガスもしくは酸素ガスと
不活性ガス(ヘリウムガス,アルゴンガス等)との混合
ガス雰囲気として、超微粒子原材料と、この原材料に斜
向又は直行させた放電用電極との間にアークを発生させ
て原材料の酸化物混合超微粒子を生成するようにしたも
のである。
【0082】より具体的には米国特許第4,619,691 号記
載のレーザを用いた超微粒子製造装置や米国特許第4,61
0,718 号及び同第4,732,369 号記載のアークを利用した
超微粒子発生装置である。
【0083】この他化学的手法で製造することも当然可
能である。
【0084】これらの装置は常法に操作すればよく、本
発明に係る超微粒子はこれらの装置を利用することによ
りなんら困難を伴うことなく、製造することができる。
【0085】少なくとも2種以上の材料を混合した超微
粒子原材料を用いれば原材料の酸化物混合超微粒子を生
成することができるが、この場合、蒸発速度のほぼ等し
い材料を混合することにより、混合原材料の組成比に近
い酸化物濃度超微粒子を生成することができる。
【0086】また原材料は金属でも金属酸化物でも同様
の酸化物超微粒子が生成される。この時、混合した金属
材料同士が化合しやすい場合には化合物超微粒子が、化
合しにくい場合にはそれぞれの酸化物超微粒子が生成さ
れる傾向にある。導電性を有する酸化物と反射防止機能
を有する酸化物は通常は化合しないのでそれぞれの酸化
物が混在した超微粒子が生成される。
【0087】(基板,基板)基板,基体の材質はガラ
ス,プラスチック,金属,セラミクスを問わず、板状,
フィルム状或いはその他の立体でもよく、施工箇所は平
面,曲面を問わない。
【0088】透光性基板としてはガラス板でもプラスチ
ック板でも差し支えない。プラスチック板としては主成
分が例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ウレタ
ン,アクリル,フェノール,エポキシ,メラミン,ナイ
ロン,ポリイミド,ポリカーボネート,ブチル,エポキ
シフェノール,塩化ビニル,ポリエステル等のものが挙
げられる。尚、基板の超微粒子形成面は平板状はもちろ
んのこと、ブラウン管のように曲率を有していてもよ
い。また超微粒子形成面は片面でも両面でも差し支えな
い。
【0089】(超微粒子膜)本発明による膜は上記超微
粒子を主体とするものである。尚、上記超微粒子の原料
成分を極少超微粒子(平均粒径0.01〜0.05μm)
とすれば上記本発明超微粒子と該極少超微粒子との混合
物も本発明の範囲である。
【0090】層数は一層で十分であるが、所望により二
層としても差し支えない。この薄膜の厚さとしては0.
1〜0.2μmが好ましい。一層,二層以上いずれにせ
よ総合の膜厚は平均0.3μm 以下が好ましい。
【0091】薄膜中での導電性成分と反射防止機能成分
との最適比率は上記超微粒子の項で述べた最適比率と同
じである。導電性成分と反射防止機能成分との混合超微
粒子の薄膜化は、適当量の超微粒子を基板上にコートす
ることにより行えばよく、作業性,経済性などから一層
コートが理想的である。超微粒子間に形成される谷の深
さは0.05〜0.2μmであることが好ましい。また接
する超微粒子同士の導電性成分間の距界は0.05μm
以下であることが好ましい。
【0092】薄膜形成方法は、Si(OR)4 (ただし、
Rはアルキル基)を溶解したアルコール溶液に、本発明
超微粒子、あるいは更に原料超微粒子を分散し、この溶
液を透光性画像表示画板上に塗布した後、この塗布面を
加熱(焼成)して前記Si(OR)4 を加水分解した超微
粒子薄膜をSiO2 で覆った膜を形成することになる。
Si(OR)4 の分解物たるSiO2 は超微粒子と基板と
の間隙にも入り込むから接着剤の役目もある。
【0093】上記Si(OR)4 のRとしては、一般に炭
素数1〜8特に5のアルキル基が好ましい。またSi
(OR)4 を溶解させるためのアルコールは、上記Rの炭
素数を増加と共にSi(OR)4 アルコール溶液の粘性が
高くなるので、作業性を考慮して粘性が高くなりすぎな
いように適宜アルコールを選択すればよい。一般に使用
可能なアルコールとしては炭素数が1ないし5のアルコ
ールが挙げられる。
【0094】更に上記薄膜には、帯電防止効果を付与す
るために周期律表第II族,第III 族金属の塩を添加して
使用してもよい。代表的な例としてはアルミニウムの塩
酸塩,硝酸塩,硫酸塩及びカルボン酸塩が挙げられる。
【0095】更にSi(OR)4 が加水分解の促進のため
水及び解媒として鉱酸、例えば硝酸などを加えて、薄膜
コート用溶液を調整してもよい。
【0096】上記アルコール溶液を基板上に塗布する方
法として、スピニング法,ディッピング法及びスプレィ
法もしくはこれらの組合せからなる塗布方法を用いると
共に塗布面の加熱処理を50〜200℃とすることが実
用的である。
【0097】反射防止膜は更に透明導電膜を積層するこ
とが実用的である。この場合、透明導電膜は、反射防止
膜の下地となるものであるがその膜厚は、膜を構成する
材料にもよるが実用的には2,000Å 以下が好まし
く、より好ましくは50〜500Åである。また、上記透
明導電膜の代表的なものとしては、SnO2,In23
及びSb23の少なくとも一種から成る導電性金属酸化
物膜で構成されるものであるが、その他、これら透明導
電性の金属酸化物及び吸湿性を有する金属塩の少なくと
も1種をSiO2 薄膜中に含有せしめることにより導電
性を付与した薄膜であってもよい。
【0098】上記SiO2 薄膜中に含有する吸湿性を有
する金属塩は、塩酸塩,硝酸塩,硫酸塩のごとき無機酸
塩もしくはカラボン酸塩のごとき有機酸塩でもよい。そ
して、これら金属塩の好ましいものとして、マグネシウ
ムに代表される周期律表第II族の金属元素の塩,アルミ
ニウムに代表される第III 族の金属元素の塩などを挙げ
ることができる。これら金属塩類は、大気中の水分を吸
収してパネル表面の電気抵抗を低下させるものである。
【0099】一方、導電性金属酸化物の場合は、それ自
体導電性を有しているためパネル表面の電気抵抗を下げ
るためには金属塩類の場合よりも好ましい。そして、S
iO2薄膜に含有されるこれらの導電性を付与する上記金
属酸化物及び金属塩の量は、少量でもそれなりの効果は
認められるがSiO2 薄膜の単位面積当り0.01〜1.
0mg/cm2が好ましく、より好ましくは0.15〜0.
3mg/cm2である。すなわち、この数値の下限は、導
電性の減少効果から、そして、上限はパネル表面への密
着強度から制限するものである。
【0100】下地導電性膜は、その上に形成される反射
防止膜の性能にほとんど影響を与えない程度の膜厚,特
性を保有しているものでなければならず、上記の本発明
の膜はこれらの条件を満足するものである。
【0101】そして上記透明導電膜を形成する工程につ
いて詳述する。陰極線管のパネル(画像表示面板)上に
形成する関係で、パネルを構成するガラス板に歪を与え
ない温度(約500℃以下)で形成することが望まし
く、これを満足する形成方法であればいずれのものでも
よい。以下に代表的な透明導電膜の形成方法を例示す
る。
【0102】i)SnO2,In23 及びSb23の少
なくとも1種から成る導電性金属酸化物をガラスパネル
に直接形成する方法としては、(1)それぞれの金属酸化
物をターゲットとしてスパッタリング装置内にパネル面
と対向して装置し、スパッタリングにより金属酸化物膜
をパネル面上に形成する方法及び(1)有機金属化合物を
原料として周知のCVD法によりパネル面上に形成する
方法などがある。上記(2)の場合の有機金属化合物とし
ては、例えばスズ,インジウムもしくはアンチモンを
M、その原子価をm、アルキル基をRで表示したとき
(ただし、R=CnH2n+1で、実用的にはn=1〜
5)、アルキル金属化合物M(R)m もしくはアルコキシ
金属化合物M(OR)mなどを挙げることができる。具体
的に一例を挙げればSn(CH3)4,Sn(OC25)4
どである。
【0103】ii)次にSiO2 薄膜に導電性物質を含有
させて透明導電膜を形成する方法について具体的に説明
する。
【0104】SiO2 の薄膜はアルコキシシランSi
(OR)4 (ただし、Rはアルキル基で、実用的にはn=
1〜5)を加水分解することにより容易に得ることがで
きる。本発明では、このSi(OR)4 のアルコール溶液
に、導電性を付与するために上記第1の目的を達成する
ための陰極線管の発明の中で詳述した透明導電性金属酸
化物及び吸湿性を有する金属液の少なくとも1種の添加
剤を添加し、この溶液をパネル表面に塗布し、この塗布
面を加熱して、Si(OR)4 を分解してSiO2薄膜を
形成するものである。上記添加剤の分量は、実用的には
アルコール溶液に対し0.05〜7wt% が好ましく、
より好ましくは1.0〜2.0wt%である。
【0105】上記添加剤のうち透明導電性金属酸化物
は、上記アルコール溶液中では溶解せず単に分散するの
みであるが、金属塩の場合は一部もしくは全部が溶解す
る。良好な導電性を有するSiO2 薄膜を形成するため
には、この添加剤を上記アルコール溶液により分散もし
くは溶解することが望ましく、この点から上記溶液に更
に分散媒として、例えばアセチルアセトンのごときケト
ン類もしくはエチルセロソルブを添加すると共にSi
(OR)4 の加水分解を容易にするために水及び触媒とし
て、例えば硝酸のごとき無機酸を添加するとさらに好ま
しい。
【0106】上記Si(OR)4 を溶解するアルコール溶
媒は、アルキル基Rを構成するアルコールが望ましく、
最も実用的な例としては、Rがn=2のエチル基で構成
されるテトラエトキシシランSi(OC25)4 で、溶媒
がエチルアルコールの場合である。
【0107】上記アルコール溶液をパネルに塗布する方
法としては、スピニング法,デッピング法,スプレー法
もしくはこれらの組合せから成る塗布法が用いられる。
【0108】上記塗布面を加熱してSi(OR)4を分解
してSiO2薄膜を形成する際の加熱処理条件として
は、50〜200℃が好ましく、更に好ましくは160
〜180℃である。この導電性のSiO2 薄膜の形成方
法は、このように比較的低温度で処理するため、上記
i)の形成方法より有利であり例えばブラウン管のごと
き陰極線管に適用する場合には、完成球にて処理するこ
とが出来るので、量産プロセスに好適である。また、当
然のことながら、球として完成する以前のブラウン管を
製造する途中の工程で処理し得ることは云うまでもな
い。
【0109】ガラス表面に凹凸を設けることによって反
射防止膜を得る方法において、凹凸の大きさは0.1μ
m 程度で深さ方向に連続的に体積が変化することが望
ましい。これにより屈折率が連続的に変化し、反射防止
効果が得られる。この場合、粒径分布のない粒径が均一
なSiO2 超微粒子を用いた場合には整然と付着するの
で深さ方向に連続的に体積が変化するような膜は得られ
ず、したがって反射防止効果は非常に少ない。
【0110】ところが粒径分布を有する超微粒子を用い
た場合には適度の空孔を持たせることができので、結果
的には深さ方向に連続的に体積が増加して反射防止効果
が得らる。また溶液としてSi(OR)4 アルコール溶液
を用いることにより、150℃前後でSi(OR)4 アル
コール溶液中のSi以外の物値が昇華しSiが析出して
膜を形成しガラスとSiO2 超微粒子を強固に接着させ
る効果がある。一方Si(OR)4 アルコール溶液に混合
させるアセチルアセトン,アセトン,エチルアルコール
はSi(OR)4 アルコール溶液を希釈し、析出するSi
の膜厚を制御する効果がある。
【0111】本発明は通常の化学的に超微粒子製法も当
然に適用しうるが、この場合は粒子は均一になってしま
うので、粒度分布を積極的に付与するためにはアーク法
等の物理的手法にて超微粒子を得るように工夫すること
が有効である。尚、超微粒子として導電性粒子(InO
2,SnO2等)と反射防止能粒子(SiO2 等)との混
合系が有効であるがこのように異種特性の粒子の混合系
でなく、各粒子ごとに両特性を兼ねるような粒子が得ら
れれば(例えばSi−In−O系粒子)導電性の低下も
なく、かつ反射防止も有効に達成されることになる。
【0112】次に、上記透明導電膜を下地として、その
上に反射防止膜を形成する工程について詳述する。
【0113】先ず、アルコキシシランSi(OR)4 をア
ルコールに溶解調製する方法について述べると、原料と
なるSi(OR)4及び溶媒のアルコールのすべてが、前
述の透明導電膜の下地を形成するii)の項で述べたSi
2 薄膜の形成方法と同一であるので詳細な説明は省略
する。
【0114】前記ii)と同様にしてSi(OR)4 を溶解
したアルコール溶液に、粒径100〜10,000ÅのSiO
2 微粒子を分散するのであるが、この分散量は反射防止
効果と画像の解像度の点から実用的には、0.1〜10
wt% が好ましく、より好ましくは1〜3wt%であ
る。そしてSiO2 微粒子の分散性とSi(OR)4 の加
水分解性を良好にするため、上記溶液に更に分散媒とし
て、例えばアセチルアセトンのごときケトン類もしくは
エチルセロソルブを添加すると共に加水分解を容易なら
しめるための水及び触媒として、例えば硝酸のごと無機
酸を添加するとさらに好ましい。
【0115】上記Si(OR)4 は加水分解を受けてSi
2 の薄膜を形成し、SiO2 微粒子をパネル表面に固
定する役割を果すものであるが、上記アルキル基Rを一
般式CnH2n+1と表示したとき、実用的なnは1〜5で
あり、好ましくはn=2のエチル基である。また、上記
Si(OR)4 を溶解する溶媒のアルコールは、アルキル
基Rのアルコールが望ましく、最も実用的な例としては
アルコキシシランSi(OR)4 のRがn=2のエチル基
で、溶媒がエチルアルコールの場合である。
【0116】また、上記SiO2 微粒子を分散したSi
(OR)4 のアルコール溶液を下地透明導電膜の形成され
たパネル上に塗布する方法としては、上記ii)項で述べ
た導電性のSiO2 薄膜形成時と同様に、スピニング
法,ディッピング法,スプレー法もしくはこれらの組合
せから成る塗布方法が用いられる。
【0117】さらにまた、上記塗布面を加熱してSi
(OR)4 を分解してSiO2 薄膜を形成し、分散したS
iO2 微粒子をこのSiO2 薄膜で被覆固定する際の上
記加熱処理条件としては、50〜200℃が好ましく、
より好ましくは160〜180℃である。
【0118】以上の各方法にて、反射防止膜素材として
の薄膜は形成されるが、この熱処理温度は前述の下地膜
のii)の形成方法と同様に比較的低温で形成できるの
で、特に完成した陰極線管のパネル面に形成するのに好
都合である。
【0119】上記のように反射防止膜が微細な(サブミ
クロンオーダーの)表面なら良いが、化学的製法による
超微粒子等均等な大きさの粒子の場合にはそのような凹
凸表面の形成は難しい。そこで確実に表面に微細凹凸を
つけるべく本発明者は薄膜形成後にエッチング処理を施
すこととした。
【0120】この場合、超微粒子よりもエッチング速度
の速いバインダーを使用すれば、エッチング液中で超微
粒子よりも積極的にバインダーが表面から次第にエッチ
ング除去されることになるので結果的に確実にサブミク
ロンオーダーの凹凸のある超微粒子膜が得られることと
なる。エッチング液はエッチング諸条件にもよるが、水
酸化ナトリウム水溶液、またはフッ化水素水溶液であ
る。但し、フッ化水素はSiO2 等の超微粒子までをも
短時間で簡単に除去してしまいまた工程管理も難しくな
るので、水酸化ナトリウム(例えば5%水溶液)の方が
好ましい。水酸化ナトリウム水溶液を用いるバインダー
焼成分解物にSiO2 を含んでいても、SiO2 超微粒
子よりも積極的にバインダーが溶解除去されることにな
る。
【0121】光の反射は屈折率が急変する界面で生じる
ため、逆に界面において屈折率が徐々に変化すれば反射
は生じなくなる。通常、ソーダガラス(屈折率約1.5
3)の反射防止には、最も低反射率の物質フッ化マグネ
シウム(MgF2)(屈折率約1.38)をスパッタ等によ
って蒸着させているが、ガラス基板とMgF2 膜の界
面、MgF2 膜と空気(屈折率約1.0)との界面で屈折
率で急変するため反射防止効果は十分ではない。従っ
て、ガラス基板に近い屈折率から徐々に空気に近い屈折
率へ変化する膜が形成できれば、有効な反射防止効果が
得られる。
【0122】そこで、ガラス基板とMgF2 との中間の
屈折率を持つ物質、例えばSiO2(屈折率1.46)の
超微粒子とMgF2 超微粒子を混合してガラス基板に塗
布し、その混合比を膜厚方向で変える、すなわちガラス
基板面から塗布膜表面に向って徐々にSiO2 超微粒子
の混合比を減らし、MgF2 超微粒子の混合比を増すこ
とで、塗布面とガラス基板との界面における屈折率変化
がよりゆるやかとなり、有効な反射防止効果が図れる。
また、本方法によって、大面積の反射防止膜を低コスト
で形成することができる。
【0123】ガラス基板に近い屈折率を持つ物質(例え
ばSiO2)と空気に近い屈折率を持つ物質(例えばMg
2)とを混合する際に超微粒子を用いることで、両物
質が光の波長より小さなレベルで均一に混合することが
できる。そのため、その屈折率はSiO2 とMgF2
の体積分率に対応した平均的屈折率となる。すなわち、
SiO2 超微粒子とMgF2 超微粒子とを混合した超微
粒子膜において、膜厚方向Xの位置における平均的屈折
率n(x)は、同位置におけるSiO2 超微粒子の体積分
率をV(s)とすると、n(x)=1.46×V(s)+1.3
8×{1−V(s)}と示せる。従って膜厚方向に混合比を
変えれば屈折率も対応して変化し、ガラス基板と塗布膜
との界面の屈折率変化がゆるやかとなる。
【0124】また、混合比の異なる塗布膜を積み重ねる
ことで、膜全体として平均的屈折率が徐々に変化する膜
を形成することができる。
【0125】溶液としてはSi(OR)4 (Rはアルキル
基好ましくは炭素数8以下、例えばC25−)のアルコ
ール溶液とアセチルアセトン,アセトンエチルアルコー
ルの少なくとも2つ以上の混合液であることが好まし
い。
【0126】尚、平均粒径が0.3μm を超えると、光
干渉が視覚上の障害になるので注意を要する。
【0127】ガラス表面に反射防止膜を形成する方法に
おいては、平均粒径が0.1μm 以下の粒度分布を有す
る超微粒子を添加した溶剤をガラス表面にコーティング
し、焼成した後、Si(OR)4 (Rはアルキル基)のア
ルコール溶液とアセチルアセトン,アセトンエチルアル
コールの少なくとも2つ以上の混合液をオーバーコート
することが好ましい。尚、このような反射防止膜は特に
画像表示管に好適である。
【0128】(添加剤)添加剤は、例えば帯電防止のた
めに添加されるものであり、金属塩粒子としては吸湿性
のあるものから選択されるが、好ましくは周期律表第II
族及び第III 族の少なくとも1種から選ばれる金属元素
の塩であり、実用的には塩酸塩,硝酸塩,硫酸塩,カル
ボン酸塩であり、これらの少なくとも1種の塩が選ばれ
る。特に望ましくはマグネシウム及びアルミニウムの少
なくとも1種の上記塩類である。
【0129】上記金属塩類は、大気中の水分を吸収して
基板表面の電気抵抗を低下させるものである。一方、導
電性金属酸化物粒子は、それ自体導電性を有しているた
め、基板表面の抵抗を下げるためには、上記の金属塩類
よりも好ましい。この種の金属酸化物粒子として実用的
なものは、スズ,インジウム及びアルチモンの少なくと
も1種の酸化物であり、これらはいずれも透明導電膜を
構成する酸化物であるからである。しかし、その他周知
の導電性金属酸化物、例えばペロブスカイト構造を有す
るものなどでもよいことは云うまでもない。そして、こ
のような添加剤の実用的な固定量は少量でもそれなりの
効果は認められるが、基板の単位面積当り0.01〜1.
0mg/cm2 が好ましく、より好ましくは0.15〜0.
3mg/cm2 である。すなわち、この下限値は基板面の
導電性の減少効果から、そして上限値は基板面への密着
強度から制約を受ける。つまり、固定量が増加すればす
るだけ抵抗値は減少するが、密着強度は逆に小さくな
る。
【0130】(前処理)基板との濡れ性を考慮するなら
ば、アルカリ処理やフッ素処理等の前処理が好ましい。
【0131】(塗布方法)塗布液の上昇あるいは下降速
度は10mm/s以下が望ましい。基板は容器内に立てか
けるか、或いはこれに代えて容器の側面部にあけた穴か
ら基板面を露出させてもよい。後者の方法はブラウン管
など製品形状がほぼ出来上がったものに超微粒子膜を形
成するのに特に適している。
【0132】塗布面の加熱処理としては炉中で50〜2
00℃焼成するのが実用的であるが高圧水銀灯等を用い
て紫外線により短時間に焼成しても良い。
【0133】以上はディッピング方法の一例で説明した
が、プラスチック基板への塗布方法や膜表面の均質さを
問わないなら、このディッピング法に限らず他のディッ
ピング法やスピニング法,スプレー法、或いはこれらの
組合せやこれらとディッピング法との組合せも有効であ
る。
【0134】更に超微粒子の膜厚の上にケイ酸エチルを
主成分とする塗布液を塗布することも有効である。
【0135】層の数は1層でも必要により2層以上でも
良い。
【0136】(塗布溶液)本発明の超微粒子膜の形成に
は、所定の超微粒子にバインダーや必要に応じてカップ
リング剤、その他添加物を加えた塗布溶液を用いる。
【0137】透光性板がガラス体のときはバインダーと
してSi(OR)4 (但しRはアルキル基)を使用するこ
とが好ましく、透光性板がプラスチックのときはバイン
ダーとしてSi(OR)X (X=2〜4、特に好ましくは
3)を使用することが好ましい。更に透光性板がプラス
チックのときはこのプラスチック材に対する官能基を有
するカップリング剤を併用することが望ましい。
【0138】透光性板がガラス体の場合にはSi(OR)
4 (但しRはアルキル基)を溶解したアルコール溶液
に、透光性板がプラスチックの場合にはこの高分子体と
容易に反応する官能基とSi(OR)X (X=2〜4、特
に好ましくは3)を保有するシランカップリング剤、或
いは上記Si(OR)4 とシランカップリング剤との混合
溶液を溶解したアルコール溶液に超微粒子を分散させ
る。
【0139】この溶液を透光性板上に前記方法により塗
布した後、この塗布面を加熱(或いは焼成)して膜形成
を行う。この加熱処理により前記Si(OR)4 或いはシ
ランカップリング剤は分解してSiO2 等夫々超微粒子
と基板との接着剤としての役目を果たす。
【0140】Si(OR)4 のRとしては一般に炭素数1
〜5のアルキル基が好ましい。一方シランカップリング
剤は透光性板の高分子材料によって適宜選択する必要が
ある。
【0141】例えば主成分がポリエチレン,ポリプロピ
レン,ウレタン,アクリル等の場合にはビニルトリエト
キシシラン,γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキ
シシランなどのシランカップリング剤が有効である。ま
たフェノール,エポキシ,メラミン,ナイロン,ポリイ
ミド,ポリカーボネートの場合にはγ−アミノプロピル
トリエトキシシラン,γ−グリシドオキシプロピルトリ
メトキシシランなどのシランカップリング剤が有効であ
る。更にブチル,エポキシフェノール,塩化ビニル,ポ
リエステルの場合にはβ,3,4−エポキシシクロヘキ
シルエチルトリメトキシシラン,γ−グリシドオキシプ
ロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤
が有効である。
【0142】またSi(OR)4 或いはシランカップリン
グ剤を溶解させるためのアルコールは、上記Rの炭素数
の増加と共に混合アルコール溶液の粘性が高くなるので
作業性を考慮して粘性が高くなりすぎないように適宜ア
ルコールを選択すれば良い。一般に使用可能なアルコー
ルとしては炭素数が1乃至5のアルコールが挙げられ
る。
【0143】さらに上記の膜には、帯電防止効果を付与
するために周期律表第II族,III 族金属の塩を添加して
使用しても良い。代表的な例としてはアルミニウムの塩
酸塩や硝酸塩,硫酸塩及びカルボン酸塩が挙げられる。
【0144】更にSi(OR)4 が分解するために水及び
触媒として鉱酸、例えば硝酸などを加えて塗膜用溶液を
調整しても良い。
【0145】以下、本発明をブラウン管の前面パネル表
面に(ガラス面板)に適用した例を示す。
【0146】図1は本発明の装置例を示す。図1におい
て11はブラウン管、12は塗布浴槽、13は塗布溶
液、14は加圧調整用バルブ、15はオーバーフロー用
のバルブ、16は溶液タンク、17は溶液供給加圧バル
ブ、18はリーク用バルブである。
【0147】かかる構成において、ブラウン管11に塗
布浴槽12を取り付けた。この場合塗布浴槽12の取付
け面には、塗布過程で塗布液及び加圧ガスが漏れないよ
うにパッキンあるいはOリングが施されており、かつ作
業性を考慮してブラウン管を挿入するだけでシールでき
るようになっている。
【0148】次に超微粒子が混合された塗布溶液を塗布
浴槽12とブラウン管表面との間に形成された空間に導
入した。この塗布液の導入は、まずオーバーフロー用バ
ルブ15及び溶液供給加圧バルブ17を開にした。
【0149】この操作により溶液タンク16に充填され
ている塗布溶液13を加圧してブラウン管表面上に満た
し、一部をオーバーフローバルブ15から予備タンクに
入れた。このことによりブラウン管表面上あるいは経路
上に付着しているゴミ等をオーバーフローさせた溶液と
共に予備タンクに排出することができた。
【0150】次にオーバーブロー用バルブ15及び溶液
供給加圧バルブ17を閉にした後、加圧調製用バルブ1
4とリーク用バルブ18を開にするとブラウン管表面に
満たされている塗布溶液13は溶液タンク16に戻され
た。この場合、加圧調製用バルブ14に加えるガス圧力
とリーク用バルブ18の開閉度とによって、塗布溶液1
3がブラウン管表面上を一定速度で下降する速度を調製
することができた。
【0151】次にこの塗布溶液の混合方法について述べ
る。
【0152】まずエチルシリケート〔Si(OC
25)4〕 をエタノールに溶解し、さらに加水分解のた
めのH2O と、触媒としてのHNO3 とを添加した溶液
を作り、この溶液に粒径120nmのほぼ球形のSiO
2 超微粒子を重量%で10%と、粒径6nmのSnO2
超微粒子を重量%で2%添加する。このとき充分分散す
るように溶液のpHを調製する。
【0153】次にこの溶液を上記方法によりブラウン管
表面に満たし、1.0mm/s の速度で塗布液を降下して
塗布を行った。その後、150℃で30分間空気中で焼
成し、エチルシリケート〔Si(OC254〕を分解
した。溶液に添加したSiO2超微粒子は、分解して出
来たSiO2 がバインダーの役目を果たすので、お互い
に強固に接着されると同時に、ブラウン管表面とも強固
に接着,固定される。この方法により、ブラウン管表面
には超微粒子による均一な連続した凹凸を形成すること
ができた。
【0154】この膜を形成したブラウン管表面に入射角
5°で光を入射させ、反射率を測定した結果、図2に示
すように波長550nmにおいて0.08% の低反射率
が得られた。この場合、入射光に対して傾いた方向から
眺めたときの白濁すなわちティンダル現象は認められな
かった。
【0155】一方、この膜の表面抵抗値を測定した結果
約106Ω/□ であり、この帯電特性は図3に示す如く
であって、参考として示した従来の特性と比較してほと
んど帯電しないことが判った。
【0156】次に、本発明実施例の帯電防止低反射膜を
消しゴム(ライオン社製、50−30タイプ)を用いて
1kgの荷重で20回擦った結果、反射率は0.1% 程度
変化しただけで、膜品質上は全く問題がなかった。
【0157】また上記溶液に、粒径300nmの超微粒
子を全超微粒子含有量の10wt%を混合させ、同様の
方法により塗布した結果、反射防止及び帯電防止効果は
全く変わらなかったが、消しゴムテスト前後の反射率の
変化は0.02% となり、機械的摩耗に対して強い膜が
得られた。これは膜中に島状に分散した大きな超微粒子
がバリアの役目を果たすことによる。
【0158】このような帯電,反射防止膜を形成するプ
ロセスでは、完成したブラウン管に直接膜を形成するこ
とができ、また既存のSi(OR)4アルコール溶液にS
iO2超微粒子とSnO2 超微粒子とを混合して塗布,
焼成するだけでよく、フッ酸などの有害な薬品の使用は
一切なく、品質一定でしかも低コストで製造することが
できる。
【0159】また上記実施例では、Si(OR)4 として
Rがエチル基の例を示したが、前述のとおりR=Cnm
(m−2n+1)としたとき、n=1〜5の範囲で実施
可能でありnが大きくなる場合、溶液の粘性が少し高く
なるので溶媒としては作業性を考慮してそれに応じたア
ルコールを選択すればよい。
【0160】以上のように、本実施例によれば、反射防
止効果に優れ、かつ帯電防止機能を有する膜を形成した
画像表示板が一回の塗布工程で形成することができる。
しかも、本発明のこの面板は、フッ酸などの有害な処理
薬品を使用せず、簡単で安全なプロセスで製造でき、量
産性に好適で、耐汚染性にも優れている。
【0161】他の実施例につき図7を用いて説明する。
【0162】図7は本発明の装置例を示す。図7におい
て51は透明基板で複数枚を治具52に立てかけ塗布浴
槽12内に納めている。第1実施例のブラウン管の透明
基板がガラス板であったのに対し、透明基板51はプラ
スチック板である。
【0163】この場合塗布浴槽12の取付け面には、塗
布過程で塗布液及び加圧ガスが漏れないようにパッキン
あるいはOリングが施されている。
【0164】次に超微粒子が混合された塗布溶液を塗布
浴槽12の空間に導入した。この塗布液の導入は、まず
オーバーフロー用バルブ15及び溶液供給加圧バルブ1
7を開にした。この操作により溶液タンク16に充填さ
れている塗布溶液13を加圧して塗布浴槽12内に満た
し、一部をオーバーフローバルブ15から予備タンクに
入れた。
【0165】次にオーバーフロー用バルブ15及び溶液
供給加圧バルブ17を閉にした後、加圧調製用バルブ1
4とリーク用バルブ18を開にすると塗布浴槽12に満
たされている塗布溶液13は溶液タンク16に戻され
た。この場合、加圧調製用バルブ14に加えるガス圧力
とリーク用バルブ18の開閉度とによって、塗布溶液1
3が複数枚の透明基板51の各両面上を一定速度で下降
する速度を調製することができた。
【0166】次にこの塗布溶液の混合方法について述べ
る。
【0167】まずγ−メタクリルオキシプロピルトリメ
トキシシランを含むエチルシリケート〔Si(OC
253〕をエタノールに溶解し、さらに加水分解のた
めのH2Oと、触媒としてのHNO3 とを添加した溶液
を作り、この溶液に粒径120nmのほぼ球形のSiO
2 超微粒子を重量%で10%と、粒径6nmのSnO2
超微粒子を重量%で2%添加し、充分分散するように溶
液のPHを調製した。
【0168】次にこの溶液を上記方法により塗布浴槽1
2内に満たし、1.0mm/s の速度で塗布液を降下して
塗布を行った。その後、150℃で30分間空気中で焼
成し、エチルシリケートを分解した。溶液に添加したS
iO2 超微粒子は、分解して出来たSiO2 がバインダ
ーの役目を果たすので、お互いに強固に接着されると同
時に、ブラウン管表面とも強固に接着,固定される。こ
の方法により、ブラウン管表面には超微粒子による均一
な連続した凹凸を形成することができた。
【0169】(超微粒子膜利用装置)本発明に係る薄膜
が最も効果を発揮する装置は上記薄膜ガラス基板等透光
性基板上に形成した画像表示面あるいは反射防止膜であ
り、更にはこの画像表示面板を組み込んだ陰極線管であ
る。
【0170】基板への本発明に係る超微粒子の固定量は
(特に反射防止機能成分にSiO2を用いる場合は)0.
01〜1mg/cm2が好ましく、より望ましくは0.1〜
0.3mg/cm2である。
【0171】尚、上記の如き利用装置の場合は導電成分
は透明であることが望ましい。光路の邪魔にならないか
らである。
【0172】(その他)2種のコンポジットな超微粒子
で薄膜化を行うと、少量成分の機能はメイン(多量成
分)の超微粒子の機能として活き続ける。残る極小超微
粒子(混在成分)の機能は隣接する超微粒子間に着目す
ると極小超微粒子間には距離があるのだが超微粒子の大
きさを超えぬ極短い距離の為、トンネル効果にて発揮さ
れる。
【0173】この場合少量成分から形成され、超微粒子
中に極小超微粒子の形で混在する成分の機能は、隣接す
る超微粒子中に存在する各極少超微粒子間には距離があ
るのだが超微粒子の大きさを超えぬ極短い距離のため、
導電性の点でトンネル効果が発揮されることとなる。こ
の場合、多量成分はその粘度から必然的に形成される主
に表面の粗さが項を奏して低反射機能を達成することと
なる。導電成分についてはトンネル効果にて導電性を発
揮することになる。従って各機能成分の積層物よりも剥
離箇所の減少象で膜強度は向上する。また各機能成分ご
とに超微粒子を作って混合したものに比べてトンネル効
果を利用できるから両機能の接続向上が図れることにも
なる。
【0174】メインの超微粒子を反射防止機能成分とす
れば主に表面の粗さが効を奏して低反射機能を達成す
る。導電成分についてはトンネル効果にて導電性を発揮
することになる。従って各機能成分の積層物よりも剥離
箇所(ポテンシャル)の減少で膜強度は向上する。また
各機能成分ごとに超微粒子を作って混合したものに比べ
てトンネル効果を利用できるから両機能の維持が図れる
ことにもなる。
【0175】系内ガス雰囲気を酸素ガスもしくは酸素ガ
スと不活性ガスとの混合ガス雰囲気として超微粒子原材
料と放電用電極との間にアークを発生させ、このアーク
熱により超微粒子原材料から蒸気を発生させ、活性化さ
れた雰囲気ガス中の酸素と反応させた酸化物超微粒子を
生成する。
【0176】この時、少なくとも2種以上の材料を混合
した超微粒子原材料を用いることにより、原材料を酸化
物混合超微粒子を生成することができる。この場合、蒸
発速度のほぼ等しい材料を混合することにより、混合原
材料の組成比に近い酸化物混合超微粒子を生成すること
ができる。
【0177】また原材料は金属でも金属酸化物でも同様
の酸化物超微粒子が生成される。この時、混合した材料
同士が化合しやすい場合には化合物超微粒子が、化合し
にくい場合にはそれぞれの酸化物超微粒子が生成される
傾向にある。この中で導電性を有する酸化物と反射防止
機能を有する酸化物は化合しない場合があり、その時は
それぞれの酸化物が混在した超微粒子が生成される。
【0178】この酸化物混合超微粒子をガラス又は表示
管表面に塗布し膜を形成した場合には、導電性と反射防
止機能を2つの特性を有する膜が得られる。この膜は例
えばエッチング処理をして表面に微細凹凸を形成するこ
とが好ましい。
【0179】こうして表示管表面には導電性反射防止膜
を一層でかつ低温で形成することが可能となる。
【0180】別の方法として反射防止機能膜一層(導電
膜なし、導電粒子混合なしを意味する)の場合、Si
(OR)4 の加水分解により形成されたSiO2 の薄膜
が、均一に分散したSiO2 微粒子を被覆し、これをガ
ラス体(基板)表面に固定する。この膜は前記の通りエ
ッチング処理を施す。この均一に分散したSiO2 微粒
子により、反射防止効果と表示画像の高解像度が維持さ
れる。更にSiO2 薄膜には添加剤すなわち吸湿性を有
する金属塩及び導電性金属酸化物の少なくとも1種が含
まれており、前者はSi(OR)4 の加水分解時の熱処理
(この熱処理は膜強度が向上させるものでもある)を経
ても吸湿性が保持され、その性能を失わずに基板表面の
抵抗値を小さくする作用を有している。
【0181】導電処理による機能は次の通りである。す
なわち導電性金属酸化物は、いわゆる透明導電膜と同じ
原理の表面抵抗値の減少がみられ、これらの表面抵抗値
の小さいことにより帯電防止機能が保たれるのである。
このように本発明の添加剤は帯電防止効果を発揮するも
のであるが、基板の表面抵抗値を下げる点からは金属塩
よりは導電性金属酸化物の方が優れている。とりわけス
ズ,インジウム,アンチモンのごとき酸化物の場合は、
膜の透明度もよく画像の解像度を高く維持することがで
きるという点でも好ましい。金属塩の中には酸化物と異
なり溶解した状態で膜中に固定されるものもあり、この
ような場合は膜の透明度がよく、高い解像度を維持する
作用がある。
【0182】導電膜を下地膜に用いると次の機能を発揮
する。
【0183】下地透明導電膜はパネル表面に密着するこ
とにより、パネル表面の電気抵抗を低減する作用効果を
発揮する。それ自体導電性を有している金属酸化物で構
成した膜もしくはSiO2 薄膜に導電性金属酸化物を分
散した膜は、いわゆる透明導電膜と同じ原理の表面抵抗
値の減少がみられ、これにより帯電防止機能が保たれ
る。
【0184】一方、SiO2 薄膜に吸湿性を有する金属
塩を含有せしめた膜の場合は、この金属塩が水分を吸収
保持することにより導電性が付与されるものであり、S
i(OR)4の加水分解時の熱処理(この熱処理は膜強度を
向上させるものでもある)を経ても吸湿性が保持され、
その性能を失わずにパネル表面の抵抗値を小さくする作
用を有している。
【0185】SiO2 薄膜に含有せしめた添加剤は、パ
ネル表面の抵抗値を下げる点からは金属塩よりも導電性
金属酸化物の方が優れている。とりわけ、スズ,インジ
ウム,アンチモンのごとき酸化物の場合は、膜の透明度
もよく画像の解像度を高く維持することができるという
点でも好ましい。金属塩の中には酸化物と異なり溶解し
た状態で膜中に固定されるものもあり、このような場合
は膜の透明度がよく、高い解像度を維持する作用があ
る。
【0186】なお、ブラウン管など陰極線管の前面パネ
ル表面(画像表示面板)が帯電する理由は、ブラウン管
の内面に塗布されている蛍光体の上に薄く均一なアルミ
ニウムの膜4が蒸着されているが、そのアルミニウム膜
に高電圧が印加されると、その印加時及び遮断時にブラ
ウン管前面パネルに静電誘導により帯電現象を起すこと
による。
【0187】Si(OR)4 (但し、Rはアルキル基)を
溶解したアルコール溶液に、超微粒子(主にSiO2
反射防止機能を有するもの)を分散し、この溶液を基板
上に塗布した後、この塗布面を加熱(焼成)してSi
(OR)4 を分解し、超微粒子膜をSiO2 で覆った膜を
形成する。Si(OR)4 の分解物たるSiO2 は超微粒
子間の間隙及び超微粒子と基板との間隙に入り込み接着
剤の役目をはたす。
【0188】上記方法で形成した薄膜を、ドライ或いは
ウェット法で極く短時間(数秒間乃至数10秒間)エッ
チングすると、膜表面のバインダー分解物たるSiO2
リッチの層がエッチングされ、超微粒子間に微小なエッ
チング溝が形成される。こうして膜全面に超微粒子レベ
ルの微小な凹凸が形成され、反射防止機能を示す。
【0189】上記アルコール溶液を基板上に塗布する方
法として、スピンコート法,ディッピング法,スプレー
法を用いれば、大面積処理も、容易であり、低コストで
形成できる。さらに、焼成後のエッチングも、NaOH
水溶液へ浸漬する方法を用いると、大面積処理も容易で
あり、かつ低コストである。従って超微粒子によって膜
を形成するため、塗布膜表面に微小な凹凸が生じ、一層
の反射防止効果がある。さらに、塗布法によって反射防
止膜を形成するため、高価な真空蒸着装置も必要とせ
ず、大面積化が容易であり、低コスト化が図れる。
【0190】光の反射は屈折率が急変する界面で生じる
ため、逆に界面において屈折率が徐徐に変化すれば反射
は生じなくなる。以上の原理に基づいて膜厚方向に屈折
率分布を持たせた膜が前述の不均質膜である。
【0191】基板上に光の波長よりも小さい凹凸がある
と、個々の凹凸は界面と見なせず、基板と空気の体積分
率に対応する平均的な屈折率を持つ面とみなせる。すな
わち、膜厚方向深さxの位置における平均屈折率nx
は、基板の占める体積分率をv(x) 、基板の屈折率をn
s 、空気の屈折率をna とすると、nx=ns・v(x)+
a(1−v(x))と表わされる。従って、微小な凹凸を形
成して、基板の体積分率v(x) を連続的に変化させる
と、屈折率も連続変化し、不均質膜となり反射を防止す
ることができる。
【0192】超微粒子膜をエッチングすると、超微粒子
と同等あるいはそれ以下の大きさの凹凸が形成され、前
記のごとく不均質膜となり、有効な反射防止膜となる。
超微粒子表面の凹凸処理,多孔質化,集合による微粒子
化も同様である。
【0193】(反射防止機能超微粒子自体の工夫)図8
により反射防止機能超微粒子の態様を例示する。
【0194】(a)は表面を多孔質としたもので、各開
孔径は0.05μm 以下であり、開孔率は50%程度で
球状面をまんべくなく(ほぼ均一に)開口している。全
体径は平均0.1μm 以下が好ましい。多孔質にする手
法の一例として核生長法がある。この場合は例えばアル
コキシド−水−酸−アルコールの出発原料の配合比を変
化させ、加水分解,重合反応を不均一もしくは反応を速
めると水分濃度の高い部分が内部に生じる。これらを焼
処理すると水分が蒸発し、その跡は空孔となって多孔質
となる。
【0195】(b)は比較的大きな超微粒子(この場合
は半径粒径0.15μm 以下のもの)の周囲にそれより
小さな径の極超微粒子を付与したもので、集合した全体
の平均径は0.2μm 以下が好ましい。この場合図のA
とBを適量比で配合したものを機械的摩擦力によってA
表面を活性化させ、Bを吸着させる(メカ,フュージョ
ン)。
【0196】(c)はこの(b)タイプの変形で、例え
ばSiO2 の超微粒子が単分散している溶液を更に反応
を進ませると2次凝集した粒子が多く存在する溶液が得
られる。これらを乾燥し、その後機械的粉砕により、あ
る大きさの2次凝集体が得られる。この場合も集合1微
粒子化した全体平均径は0.2μm 以下が望ましい。
【0197】(d),(e)は(b)や(c)のタイプ
を斜視図的に示したもので、(d)は0.05μm 以下
の極超微粒子の集合体の例、(e)は0.1μm 以下の
超微粒子の集合体の例であり、全体平均径はやはり0.
2μm 以下が好ましい。
【0198】(2層膜形成例)図9は、ガラス基板上に
本発明の超微粒子膜を2層に形成した例の断面図であ
り、図10は前記超微粒子膜の膜厚方向に対する平均屈
折率の変化を示す図である。各超微粒子は図8のいずれ
かの態様による。
【0199】まず、エチルシリート〔Si(OC
254〕をエタノールに溶解し、さらに水,硝酸,イ
ソプロピルアルコール,アセチルアセトンを加えた溶剤
に、SiO2超微粒子を加えて超音波振動により十分に
分散させた。SiO2 超微粒子の量は、上記溶剤1lに
対して、25gとした。SiO2 超微粒子分散後、さら
にシトラコン酸を加え、十分に溶解させた。シトラコン
酸の量は上記溶剤1lに対して10gとした。その後、
さらに超音波振動を加えて、SiO2 超微粒子の十分な
分散、各成分の十分な混合を図った。以上の混合を終え
た溶剤を溶剤Aとする。
【0200】上記溶剤Aに、あらかじめMgF2 超微粒
子,エチルシリケートをエタノールに分散しておいた溶
剤Bを加え、超音波振動によって均一に混合した。溶剤
B中のMgF2 超微粒子量は溶剤1lに対し、約25g
である。溶剤Aと溶剤Bとの混合比を変えて、SiO2
超微粒子とMgF2 超微粒子の混合比を変える。
【0201】まず、SiO2 超微粒子とMgF2 超微粒
子の体積分率が7:3になるように溶剤Aと溶剤Bとを
混合した溶剤をガラス板面上に滴下し、さらにスピンナ
ーで均一に塗布した後、空気中で40℃に約10分間保
って上記塗布膜を乾燥させた。乾燥後、さらにSiO2
超微粒子とMgF2 超微粒子の体積分率が1:1になる
ように混合した溶剤を滴下し、スピンナーで均一に塗布
した。その後、160℃で45分間空気中で焼成し、エ
チルシリケートを熱分解してSiO2 化した。MgF2
超微粒子,SiO2 超微粒子は熱分解で生じたSiO2
によってガラス基板上に強固に固着される。
【0202】このようにして形成した超微粒子膜の断面
を電子顕微鏡で観察したところ、図9に示すようにSi
2 超微粒子52とMgF2 超微粒子51が7:3とな
る層(第1層)が約0.1μm ,1:1となる層(第2
層)が約0.1μm で計約0.2μm 膜厚の、SiO2
超微粒子,MgF2 超微粒子が均一に混合して、密に堆
積した膜が観察された。53はガラス基板である。
【0203】上記の超微粒子膜の、膜厚方向に対する平
均屈降率の変化をSiO2 超微粒子とMgF2 超微粒子
の体積分率から算出した結果を図10に示す。aは空気
の屈折率で約1.0 、bは第1層の屈折率で約1.42
、cは第2層の屈折率で約1.44 、dはソーダガラ
スの屈折率で約1.53 である。膜全体としては、屈折
率が徐々に変化しているため、塗布膜とガラス基板との
界面における反射率を低減する効果がある。また、超微
粒子によって膜を形成しているため、塗布膜表面に微小
な凹凸が生じ、塗布膜表面での反射を低減する結果とな
っている。
【0204】上記の超微粒子膜を形成したガラス基板と
未処理のガラス基板に対して、5°の入射角度で波長4
00〜700nmの光を入射させ、その反射率を測定し
結果を図11に示す。図中Iが上記超微粒子膜を形成し
たガラス板の反射特性であり、IIが未処理のガラス板の
反射特性である。
【0205】全波長域において本発明の反射防止膜は未
処理のガラス板の約1/4まで反射率が低減している。
また透過率は、波長400〜700nm間の積分値で示
すと、未処理ガラス板が92%に対して本発明の反射防
止膜を形成したガラス板は約86%となる。可視光全領
域で低反射であり、かつ透過率が高いため、VDT(ビ
ジュアル・ディスプレイ・ターミナル)に対する反射防
止膜として好適である。
【0206】なお、本実施例では混合比を変えた2層と
したが、より多層として平均屈折率の変化をより小刻み
とすれば反射防止効果は一層増すこととなる。
【0207】本実施例によれば、簡単な塗布法をくり返
すことで屈折率が連続変化した膜を形成できるため、反
射防止膜を低コストで製造できる、さらに大面積の反射
防止膜も容易に形成できる効果がある。
【0208】(成分混合超微粒子の場合の例)図12は
反射防止膜をガラス基板に形成した断面図である。
【0209】本例ではガラス基板48上に一層の超微粒
子薄膜が形成されている。超微粒子薄膜は主として超微
粒子46から成り、各超微粒子は導電性成分46Dと反
射防止機能成分46Cとの混合体になっていて、かつ引
出拡大図のように表面多孔質になっている(他、図8の
パターンなら良い)。導電性成分46Dはいわば極小超
微粒子であって超微粒子46の外側にも存在していても
よい。本例では、この超微粒子はSiO2 薄膜46Eで
覆われているが、本発明はこれに限定されずつまり超微
粒子をSiO2 被覆でコーティングせずむき出しのまま
としてもよい。超微粒子とガラス基板48との間隙には
SiO2 充填部46Fが形成される。
【0210】SiO2 薄膜46EやSiO2 充填部46
FはSi(OR)4 の焼成分解生成物である。
【0211】尚、本例では導電性成分46DとしてSn
2 を用い、反射防止機能成分46CとしてSiO2 を用
いている。成分中のSnO2/SiO2 の体積比率は0.
1(10%)以上0.5(50%)以下である、この場
合、成膜中の導電性機能成分が超微粒子中に占める比率
は、重量%表示で1%以上50%以下であり、その場合
SiO2 薄膜46EやSiO2 充填部46Fを除外して
計算する。
【0212】また、超微粒子間の距離は、相隣接する超
微粒子の中に含まれる導電性成分間の距離がいわゆるト
ンネル効果が表れるような長さに保持される間隔にある
ことが必要である。そのような距離としては0.05μ
m 以下が好ましい。
【0213】まち超微粒子の平均粒径(≒一層の薄膜厚
さ)が0.1μm以下であることから薄膜の厚さとして
は0.1μm〜0.2μmが許容されるが、その場合粒子
と粒子間に形成される薄膜の谷の深さは通常0.05μ
m〜0.2μm(SiO2 薄膜で被覆される場合は、谷
の高さは0.05μm〜0.2μm)となる。
【0214】またSi(OR)4 の分解物たるSiO2
超微粒子と薄膜との間隙にも入り込むから接着剤の役目
もある。
【0215】次に、本例の反射防止膜が高い機械的強度
を保持している理由は、Si(OR)4が次のように加水分
解してできたSiO2 膜が存在し、これが保護膜となっ
ているためと考えられる。
【0216】Si(OC25)4+4H2O→Si(OH)4
+4C25OH→SiO2+5H2Oまた、本発明に係る
超微粒子による細かい凹凸が平板上に規則的にかつ均一
に形成されることになるから、全面にわたり、良好な反
射防止効果が得られると共に、必要以上の凹凸によって
解像度が低下することもなくなる。
【0217】(薄膜形成例)ブラウン管の前面パネル表
面(ガラス面板)に本発明を適用した例を以下に示す。
【0218】テトラエトキシシラン〔Si(OC25
4〕をエタノールに溶解し、さらに加水分野のための水
(H2O)と解媒としての硝酸(HNO3)とを添加した溶
液を作る。上記アルコール溶液に前記実施例と同様にし
て整粒された超微粒子(粒形はほぼ球形)1を1gの割
合で添加する。このとき、粒子が十分に分散するように
アセチルアセトンを分散媒として適量添加する。
【0219】上記アルコール溶液には、超微粒子1を添
加する前に、第1表に示す各種添加剤を所定量添加し
た。
【0220】
【表1】
【0221】上記表1の配合溶液をガラス面板上に滴下
し、さらにスピンナーで均一に塗布する。
【0222】その後、150℃で約30分空気中で焼成
し、テトラエトキシシラン〔Si(OC25)4〕を分解
する。アルコール溶液に添加した超微粒子は、分解して
できたSiO2 の連続した均一の薄膜により強固に固着
され、ガラス面板上に凹凸が形成される。尚、反射防止
膜の構成は図12に示したものと同様であるが、4,
4′はテトラエトキシシランが分解してできたSiO2
部分であり、添加剤である帯電防止成分を含んでいる。
【0223】溶剤の塗布方法としては、上記スピニング
法に限らず、ディッピング法やコーティング法,スプレ
ー法及びそれらの組合せなどでもよい。また、塗布後の
焼成温度は50〜200℃程度が適当である。
【0224】この反射防止膜を形成したガラス面板に5
°の入射角で光を入射させ、その反射率を測定した結
果、表1に示すように波長500nmで0.5% 以下、
波長450〜650nmの範囲で1%以下の反射率であ
った。この値は、VDT(ビジュアル・ディスプレイ・
ターミナル)としての条件を十分に満足する値である。
【0225】次に、この反射防止膜を形成したガラス面
板の表面を消しゴム〔(株)ライオン事務器、商品名ラ
イオン50−50〕で1kgの加圧力下で均一に50回こ
すったところ、反射率は、表1の強度及に示すように、
0.1〜0.2%程度増加しただけで、その品質上は全く
問題がなかった。比較のため、従来のエッチングにより
凹凸を形成したガラス面板について同様の試験を行った
ところ、消しゴム1回のこすりで反射率は2%増加し、
5回のこすりにより、無処理のガラス面板と全く同じ反
射率となった。
【0226】更に、表1に示す如く、低い表面抵抗が得
られる理由は溶液中の各種の帯電防止成分が有効に働
き、かつ反射防止性能,膜強度に大きな影響を与えない
ためと考えられる。
【0227】更に、このような反射防上膜を形成するプ
ロセスとしては、完成球に直接形成することができ既存
のSi(OR)4 アルコール溶液に市販のSiO2 微粒
子を添加して塗布し焼成するだけでよく、フッ酸などの
有害な薬品の使用は一切なく、完全にしかも低コストで
製造することができる。
【0228】超微粒子1は、球形に限らず、不定形であ
ってもよい。但し超微粒子の粒径が小さすぎると、形成
される膜の最外表面が平滑になりすぎて充分な反射防止
効果が得られない恐れがあるので平均粒径100Å以上
が好ましい。逆に大きすぎても拡散効果が大きすぎてし
まい解像度が低下するとともに膜強度も低下するので、
いわゆる超微粒子と定義される0.1μm 以下の平均粒
径が好ましい。
【0229】超微粒子を添加したSi(OR)4 のアル
コール溶液の塗布方法は、上記実施例で示したスピニン
グ法に限らず、ディッピング法やコーティング法,スプ
レー法及びそれらの組合せなどでもよい。また、塗布後
の焼成温度は50〜200℃程度が適当である。
【0230】また、上記実施例では、Si(OR)4
してRがエチル基の例を示したが、前述したとおりR=
n2n+1 としたとき、n=1〜5の範囲で実施可能で
あり、nが大きくなる場合、溶液の粘性が少し高くなる
ので、溶媒としては作業性を考慮してそれに応じたアル
コールを選択すればよい。
【0231】さらにまた、帯電防止効果を付与する添加
剤として、金属塩の例としてはアルミニウムの塩を代表
して例示したが、その他の吸湿性のある周期律表第II
族,第III 族の金属元素の塩であればいずれも同等の効
果が得られる。導電性金属酸化物についても実施例では
SnO2 を代表して例示したが、その他周知の例えばI
23,Sb23、ペロブスカイト型構造を有する複合
金属酸化物例えばLaNiO3 ,La1-xSrx0
3(これらは常温に於ける比抵抗がいずれも10~4Ωc
m)などいずれのものでもよい。
【0232】本例によれば、反射防止効果にすぐれ、か
つ機械的にも強い帯電防止機能を有する反射防止膜の形
成された画像表示面板が得られる。しかも、本発明のこ
の面板は、フッ酸などの有害な処理薬品を使用せず、簡
単で安全なプロセスで製造でき、量産化に好適で、耐汚
染性にもすぐれている。
【0233】(薄膜の形成例)硝酸1gに反射防止機能
のある前記酸化物超微粒子を0.2g 分散させ、この溶
液にケイ酸エステルアルコール溶液5gとアセチルアセ
トン5gおよびジカルボン酸0.1g を添加し、撹拌,
分散した。この溶液をガラス基板に滴下し、600rpm
で1分間保持するスピンコートを行い、160℃で30
分焼成した。形成した膜の5°正反射率は400〜70
0nmの可視領域で0.06% 、表面抵抗は0.5〜1
×107Ω/□であった。
【0234】SiO2 超微粒子とSnO2+Sb23
微粒子を別々に生成した材料を混合して用い、上記実施
例と同様の方法で膜形成した場合の表面抵抗は数10G
Ω/□であった。
【0235】以上のように、本実施例によればアーク熱
源を用いて少なくとも2種以上の酸化物超微粒子がほぼ
均一に混合した形で生成できる。またこの酸化物混合超
微粒子を用いて、導電性と反射防止の複合機能を持つ膜
を一度の塗布作業で形成できる。
【0236】また酸化物混合超微粒子を生成する熱源と
してはAr−O2の誘導プラズマ又はアークプラズマを
用い、このプラズマに前記混合粉末を添加することでも
同様の酸化物混合超微粒子が得られる。
【0237】(下地透明導電膜+反射防止膜の形成例)
ブラウン管の前面パネル表面(ガラス面板)に、表2に
示す実施例7〜10のように下地透明導電膜を形成す
る。
【0238】実施例7の場合は、導電膜をSnO2 で構
成したもので、膜の形成方法は下記のような条件による
CVD法で実施した。
【0239】使用装置 :常圧CVD装置 原料有機スズ化合物 :Sn(CH34 ドーパント :フレオンガス キャリヤーガス :N2 基板温度(ガラス面板):350℃ 実施例8の場合は、SiO2 薄膜中に透明導電性微粉末
として、SnO2 微粉末を含有させたもので、膜の形成
方法は下記のとおりである。
【0240】 (1)アルコキシシランSi(OR)4 のアルコール溶液の組成: エチルアルコール(C25OH) 88cc テトラエトキシシラン(Si(OC254) 6cc SnO2 の透明導電性微粉末 1.2g 水(H2O) 6cc (2)ガラス面板への溶液塗布:スピンナー500rpm (3)塗布膜焼成:160℃,30分 なお、透明導電性粉末としては上記のSnO2 の代りに
In23,Sb23などを単独もしくは、複合添加した
ものについても、同様に試みたが、ほぼ同等の結果であ
ったので、ここでは上記のとおりSnO2 粉末を代表例
とした。
【0241】実施例9の場合は、In23とSnO
2(5wt%)との複合ターゲットを作成し、高周波ス
パッタリングにてガラス面板にIn23とSnO2 との
混合物を沈着した膜であり、スパッタリング法による。
【0242】実施例10の場合は、SiO2 薄膜中に吸
湿性を有する金属塩として、硝酸アルミニウムAl(N
33・9H2Oを含有させたもので、膜の形成方法は
下記のとおりである。
【0243】 (1)アルコキシシランSi(OR)4 のアルコール溶液の組成: エチルアルコール(C25OH) 88cc エトラエトキシシラン(Si(OC254) 6cc 金属塩Al(NO33・9H2 1.2g 水(H2O) 6cc (2)ガラス面板への溶液塗布:スピンナー500rpm (3)塗布膜焼成:160℃,30分 なお、金属塩としては上記の硝酸アルミニウムの代りに
AlCl3,Ca(NO3)2,Mg(NO3)2,ZnCl2 など
を単独もしくは、複合添加したものについても同様に試
みたが、ほぼ同等の結果であったので、ここでは上記の
とおり硝酸アルミニウムを代表例とした。
【0244】次に、上記のようにして得た下地導電膜の
上に以下のような方法で反射防止膜となる薄膜を形成し
た。
【0245】テトラエトキシシラン〔Si(OC
25)4〕をエタノールに溶解し、さらに加水分解のため
の水(H2O)と解媒としての硝酸(HNO3)とを添加し
た溶液を作る。このアルコール溶液に粒径500〜10
00Åに整粒されたSiO2 の微粒子(粒形はほぼ球
形)を重量(wt)%で1%添加する。このとき、粒子
が十分に分散するようにアセチルアセトンを分散媒とし
て適量添加する。
【0246】
【表2】
【0247】上記表2の配合溶液をガラス面板上の下地
導電膜上に滴下し、さらにスピンナーで均一に塗布す
る。
【0248】その後、150℃で約30分間空気中で焼
成し、テトラエトキシシラン〔Si(OC25)4〕を分
解する。アルコール溶液に添加したSiO2 の微粒子
は、分解してできたSiO2 の連続した均一の薄膜によ
り強固に固着される。
【0249】次に、5wt%NaOH水溶液に約15秒
間浸漬してエッチング処理を行い、水洗,乾燥して各種
テストを行った。
【0250】この反射防止膜を形成したガラス面板に5
°の入射角で波長550nmの光を入射させ、その反射
率(正反対光強度)を測定し、Al蒸着膜における同様
の反射光強度を100として百分率で示した結果、表2
に示すように0.4% 以下、波長450〜650nmの
可視光範囲で1%以下の反射率であった。尚、分光光度
計は(株)日立製作所製U−3400を使用している
(以下同じ)。この値は、VDT(ビジュアル・ディス
プレイ・ターミナル)として要求される条件を充分に満
足する値である。
【0251】次に、この下地導電膜と反射防止膜とを積
層形成したガラス面板の表面を消ゴム〔(株)ライオン
事務器製の商品名ライオン50−50〕で強く(印圧1
kgf、消ゴム断面積は18×10mm)均一に50回こす
ったところ、反射率は0.1%〜0.2% 程度シフトし
ただけで、その品質上は全く問題がなかった。
【0252】尚、消ゴムテストは50回こすった前後の
60度鏡面光沢度(JIS,K5100参照)を測定するこ
とになる。
【0253】(粒度分布をつける例)次に粒度分布をつ
けた場合の例を説明する。この粒度分布をつける例も各
超微粒子には図8のパターンが適用される。
【0254】図13はSiO2 超微粒子の粒径分布で、
平均粒径は450nmであり、かなり広い粒径分布を有
しており、比表面積は70〜80m2/g である。この
超微粒子を1wt%Si(OR)4アルコール溶液+50
%アセチルアセトン溶液に分散させ、スピンコート法に
よりガラス基板上に塗布し、その後160℃で30分焼
成した。
【0255】塗布液の組成は、SiO2 超微粒子1〜2
重量%、残部Si(OC25)4及び50%アセチルアセ
トンであり、スピンナ600rpm×30 秒の条件でコー
トした後、160℃,30分で乾燥兼焼成を行った。
【0256】本例のように粒径分布を持つ超微粒子を用
いることにより、適度の空孔を持った膜が得られた。前
述の如きエッチング処理を施した後に測定したこの膜の
反射特性は可視光領域(400〜700nm)で0.0
6〜0.3%である。またこの膜の上にSi(OR)4
ルコール溶液+50%アセチルアセトン溶液を塗布,焼
成することにより、透過率90%以上の膜が得られる。
本実施例によれば簡便な方法により、良好な反射防止膜
が得られる効果がある。
【0257】尚、反射防止膜形成前にガラス基板表面を
洗浄し、50℃程度に予熱しておくことが好ましい。
【0258】
【発明の効果】本発明によれば、超微粒子による微小凹
凸を簡単な塗布方法で形成できるため帯電,反射防止膜
を低コストで製造できる。尚、本発明は金属体,光吸収
体,不透明体についても当然に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る装置の配置図である。
【図2】本発明の超微粒子膜を反射防止膜に適用した場
合の反射率特性図である。
【図3】本発明の超微粒子膜を帯電防止膜に適用した場
合の帯電特性図である。
【図4】本発明の適用対象例である陰極管の一般的な断
面図である。
【図5】本発明の一実施例に係る超微粒子膜の断面模式
図である。
【図6】本発明の一実施例に係る超微粒子膜の膜厚特性
図である。
【図7】本発明の他の実施例に係る装置の配置図であ
る。
【図8】本発明の一実施例に係る超微粒子の断面模式図
である。
【図9】本発明の一実施例の反射防止膜の断面図であ
る。
【図10】反射防止膜の膜厚方向に対する屈折率の変化
を示した特性図である。
【図11】本発明の一実施例の反射防止膜と未処理ガラ
ス板との波長400〜700mm間の反射率を示す特性図
である。
【図12】本発明の一実施例の反射防止膜の断面図であ
る。
【図13】粒度分布をつけた例の粒度分布図である。
【符号の説明】
11…ブラウン管、12…塗布浴槽、13…塗布溶液、
14…加圧調整用バルブ、15…オーバーフロー用バル
ブ、16…溶液タンク、17…溶液供給加圧バルブ、1
8…リーク用バルブ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河村 孝男 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社 日立製作所 茂原工場内 (72)発明者 河村 啓溢 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社 日立製作所 茂原工場内 (72)発明者 小原 克美 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社 日立製作所 茂原工場内 (56)参考文献 特開 平3−150501(JP,A) 特開 平1−154444(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 29/88 G02B 1/11

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反射防止機能を有する超微粒子を分散した
    皮膜を基体に付与してなる反射防止体において、前記超
    微粒子は粒径が0.1〜0.15μmであり、その表面
    が0.05μm以下の開孔径の多孔質としたものである
    ことを特徴とする反射防止体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の反射防止体において、前記
    反射防止機能の超微粒子に加えて帯電防止機能を有する
    超微粒子を前記皮膜に分散させたことを特徴とする反射
    防止体。
  3. 【請求項3】請求項2記載の反射防止体において、前記
    帯電防止機能を有する超微粒子が、SnO、SnO
    +Sb、In、In+Sb
    群から選ばれることを特徴とする反射防止体。
  4. 【請求項4】超微粒子群と各超微粒子間隙を充填するバ
    インダーとによる超微粒子膜を透明基板上に形成した透
    明板において、前記基板材に対する官能基を有するカッ
    プリング剤を前記超微粒子膜内に混在させ及び/または
    超微粒子膜と透明基板との界面に存在させ、前記超微粒
    子は粒径が0.1〜0.15μmであり、その表面が
    0.05μm以下の開孔径の多孔質としたものであるこ
    とを特徴とする透明板。
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