JP3176423B2 - クロマトグラフィー用担体およびその製造方法 - Google Patents

クロマトグラフィー用担体およびその製造方法

Info

Publication number
JP3176423B2
JP3176423B2 JP09778092A JP9778092A JP3176423B2 JP 3176423 B2 JP3176423 B2 JP 3176423B2 JP 09778092 A JP09778092 A JP 09778092A JP 9778092 A JP9778092 A JP 9778092A JP 3176423 B2 JP3176423 B2 JP 3176423B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
hydroxyapatite
crosslinked polymer
carrier
phosphate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09778092A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05293372A (ja
Inventor
和之 大石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP09778092A priority Critical patent/JP3176423B2/ja
Publication of JPH05293372A publication Critical patent/JPH05293372A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3176423B2 publication Critical patent/JP3176423B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クロマトグラフィー用
担体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、クロマトグラフィー用担体として
シリカゲルや架橋重合体が一般に使用されている。しか
し、近年、ヒドロキシアパタイトがその生体親和性を利
用して、タンパク質、核酸、糖、配糖体などの生体高分
子を分離するクロマトグラフィー用担体として用いられ
るようになってきた(特公平3−37706号公報)。
クロマトグラフィー用担体として用いるには、その形状
を球状とすることが好ましい。しかし、一般にヒドロキ
シアパタイトは、球状に成形するのが困難であるため、
その改良が試みられている。最近では、ヒドロキシアパ
タイト微細結晶粒子の懸濁液を噴霧・乾燥することによ
り粒子状ヒドロキシアパタイトを得る方法が開発され、
クロマトグラフィー用担体としても用いられるようにな
った(特開昭62−91410号公報、特開平1−23
0413号公報、特開平2−47551号公報および特
開昭64−42311号公報)。
【0003】ヒドロキシアパタイト粒子担体は、汎用さ
れているクロマトグラフィー用担体、例えば、シリカ系
担体またはポリマー系担体と比較して、一般に、機械的
強度が低く、粒径が不揃いであることに起因する欠点が
指摘されている。担体の粒子径は、一般に、分析用では
1〜10μm、分取用では50〜1000μmであり、
粒径の均一性が分離に大きく影響する。さらに分離時間
短縮のため、高流速に耐え得る耐圧性を備えていなけれ
ばならない。つまり、粒径がより小さく、揃っていて、
かつ、機械的強度の大きい粒子であることが必要である
が、ヒドロキシアパタイト粒子担体は、これらの要件に
ついてはいまだ不充分である。さらに通常、製造工程中
に焼成工程を含むため、粒子の性状、例えば、細孔体積
および比表面積の制御が困難になり、再現性良くヒドロ
キシアパタイト粒子を得ることができなかった。
【0004】上記欠点を補うため、耐圧性の大きいコア
粒子にヒドロキシアパタイトを被覆して成るクロマトグ
ラフィー用担体が開発された(特開昭63−15797
3号公報、特開昭63−182563号公報、特開昭6
3−221844号公報および特開平2−147857
号公報)。上記担体の製造方法は、いずれも、コア粒子
にヒドロキシアパタイト粒子の懸濁液を噴霧することに
より付着させ、乾燥することにより該コア粒子をヒドロ
キシアパタイト粒子で被覆する方法である。さらに、上
記工程に引き続いて高温で焼成して、ヒドロキシアパタ
イト粒子を強固に固定化する方法もある。上記担体のコ
ア粒子としては、主に無機物質、例えば、球形のガラス
ビーズ(特開昭63−157973号公報および特開昭
63−182563号公報)、シリカ系固形物(特開平
2−147857号公報)が用いられている。一方、特
開昭63−157973号公報、特開昭63−1825
63号公報および特開昭63−221844号公報で
は、コア粒子としてポリマー粒子を用いることも可能で
あるとの記載があるが、その実施例の記載はない。実際
にポリマーコア粒子に、ヒドロキシアパタイト粒子の懸
濁液を噴霧して該コア粒子を被覆する方法を採用したと
きに、ヒドロキシアパタイト粒子を強固に固定化するた
めに高温処理を行うことはできない。従って、その固定
化強度は不充分である。
【0005】一方、ヒドロキシアパタイト粒子の製法と
しては、ティゼリウス法(A.Tiseliusら,Arch.Biochem.
Biophys.,65,132-155(1956))をはじめとする、いわゆ
る湿式混合法が挙げられる。この方法は、水溶性カルシ
ウム塩とリン酸塩とを水溶液中で反応させることによっ
て、ヒドロキシアパタイト粒子の沈澱を生成させる方法
である。最近、上記湿式混合法において、ヒドロキシア
パタイトの生成時に、リン酸基を含む高分子を添加する
ことにより、ヒドロキシアパタイトの形成を促進あるい
は、所定の条件によっては、阻害することが報告されて
いる(S.ShimabayashiおよびY.Tanizawa,Chem.Pharm.Bu
ll.,38,1810-1814(1990))。上記ヒドロキシアパタイト
の生成においては、反応液中に存在するカルシウムイオ
ンが高分子のリン酸基に結合し、この部分が核になって
非晶性リン酸カルシウムが生成し、これがヒドロキシア
パタイトへ成長すると考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
欠点を解決するものであり、その目的とするところは、
耐圧性・耐膨潤性に優れた、分離精度の良い、ヒドロキ
シアパタイトで被覆されたクロマトグラフィー用担体お
よびその製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
なクロマトグラフィー分析におけるヒドロキシアパタイ
ト担体に対する要望に鑑み、リン酸基を含む高分子につ
き鋭意検討した結果、ヒドロキシアパタイト形成時にお
けるリン酸化高分子の影響を利用することにより、上記
課題を達成し得るヒドロキシアパタイトで被覆されたク
ロマトグラフィー用担体を提供し得ることを見いだし、
本発明を完成させるに至った。
【0008】本発明の第のクロマトグラフィー用担体
は、リン酸基を有する架橋重合体でなる均質なコア粒
子、および被覆層を有し、該被覆層は、該コア粒子表面
に化学的に結合したヒドロキシアパタイト粒子で形成さ
れる。
【0009】本発明の第のクロマトグラフィー用担体
の製造方法は、リン酸基を有する架橋重合体粒子でなる
均質なコア粒子に、カルシウム塩およびリン酸塩を含有
する溶液を接触させる工程を包含する。
【0010】本発明の第のクロマトグラフィー用担体
は、表面のみにリン酸基を有する架橋重合体でなるコア
粒子、および被覆層を有し、該被覆層は、該コア粒子表
面に化学的に結合したヒドロキシアパタイト粒子で形成
される。
【0011】本発明の第のクロマトグラフィー用担体
の製造方法は、表面のみにリン酸基を有する架橋重合体
粒子でなるコア粒子に、カルシウム塩およびリン酸塩を
含有する溶液を接触させる工程を包含する。
【0012】本発明の第1および第2のクロマトグラフ
ィー用担体の調製に用いられる架橋重合体粒子(コア粒
子)の素材としては、疎水性架橋性単量体を(共)重合
させて得られる(共)重合体または疎水性架橋性単量体
と疎水性非架橋性単量体との共重合体が用いられる。上
記疎水性架橋性単量体および疎水性非架橋性単量体は、
それぞれ単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用い
られ得る。上記疎水性架橋性単量体としては、例えばエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレートのようなジ(メタ)アクリ
ル酸エステル;テトラメチロールメタントリ(メタ)ア
クリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)ア
クリレートなどの多価アルコールのポリ(メタ)アクリ
ル酸エステル;ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、
ジビニルナフタレンなどの2個以上のビニル基を有する
芳香族系炭化水素類などが用いられる。上記疎水性非架
橋性単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、酪酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル
類;スチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンのよ
うなビニル基を有する芳香族炭化水素類;(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)
アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、(メタ)アクリロニト
リルのような(メタ)アクリル酸誘導体;トリアリルイ
ソシアナートなどのアリル化合物;ビニルピリジンなど
が用いられる。上記単量体を用いて後述の方法により調
製される架橋重合体粒子は、特に制限はないが球状であ
ることが望ましく、懸濁重合にて合成され得る。その粒
径は、通常0.001〜10mm、好ましくは0.00
2〜1mmである。
【0013】本発明の第の担体を調製するには、ま
ず、リン酸基を有する架橋重合体でなる均質なコア粒子
が調製される。該コア粒子は、上記の架橋性単量体およ
び必要に応じて非架橋性単量体とともに、リン酸基を有
する単量体(以下、単にリン酸単量体と記す)を混合し
て懸濁重合することにより得られる。リン酸単量体とし
ては、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッド
フォスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチ
ル)アシッドフォスフェート、モノ(アクロイルオキシ
ポリプロピレングリコール)アシッドフォスフェート、
モノ(メタクロイルオキシポリプロピレングリコール)
アシッドフォスフェートなどが用いられる。上記リン酸
単量体は二種以上が混合されて用いられてもよい。リン
酸単量体の使用量は特に限定されないが、リン酸単量体
以外の単量体100重量部に対して10〜200重量部
であることが好ましい。化学反応により容易にリン酸基
に変換し得る官能基、たとえばリン酸エステル基を有す
る化合物もまたリン酸単量体として用いられ得る。この
ようなリン酸単量体を用いて重合した場合は、重合終了
後、化学反応によって該官能基をリン酸基に変換する。
ただし該化学反応は架橋重合体自身に悪影響を及ぼさな
い条件で行う必要がある。
【0014】このようなリン酸単量体を含む単量体混合
物(リン酸単量体、架橋性単量体および必要に応じて非
架橋性単量体、および重合開始剤)および必要に応じて
希釈剤を用い、懸濁重合を行う。重合開始剤としては、
ラジカルを発生する触媒のいずれもが使用可能である。
例えば、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキ
サイドなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリ
ル、アゾビスイソブチロアミドなどのアゾ化合物などが
用いられる。また、上記希釈剤としては、上記単量体を
溶解させ、かつその重合体を溶解させない有機溶媒のい
ずれもが使用可能である。例えば、トルエン、キシレ
ン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼンのような芳香
族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン
ような飽和炭化水素類;イソアミルアルコール、ヘキシ
ルアルコール、オクチルアルコールのようなアルコール
類が挙げられる。かかる希釈剤を必要に応じて添加する
ことによって、多孔性の架橋重合体粒子が得られ、その
粒子の表面積を大きくすることができる。希釈剤の使用
量は限定されないが、上記単量体混合物(単量体および
重合開始剤)100重量部に対して300重量部以下の
割合であることが好ましい。
【0015】上記懸濁重合は、例えば、上記単量体混合
物(単量体および重合開始剤)および必要に応じて希釈
剤を、ポリビニルアルコール、リン酸カルシウムなどの
懸濁安定剤を溶解した水相に添加し、窒素置換後、攪拌
しながら40〜100℃に加熱することにより行うこと
ができる。重合終了後、得られた架橋重合体粒子を熱水
および有機溶媒で十分洗浄し、粒子に含有されている
か、あるいは付着している懸濁安定剤、希釈剤および残
存単量体などを除去することにより、球状粒子が得られ
る。希釈剤を添加する場合には多孔性粒子が得られる。
希釈剤として上記疎水性単量体混合物と相溶性の異なる
種々の有機溶媒を使用することにより、多孔性重合体粒
子の細孔の大きさを任意に変化させることが可能であ
る。さらに必要に応じて粒子を分級することにより、本
発明に用いられる、リン酸基を有する架橋重合体粒子が
得られ、コア粒子として用いられる。
【0016】該コア粒子表面にヒドロキシアパタイト粒
子でなる被覆層を形成するには、化学的な結合方法が用
いられ得る。すなわち、該架橋重合体粒子をヒドロキシ
アパタイトを生成し得る溶液、つまりカルシウム塩およ
びリン酸塩を含有する溶液に添加するか、もしくは該重
合体粒子を浮遊させた媒体に、ヒドロキシアパタイトを
生成し得る物質、たとえば、塩化カルシウムおよびリン
酸カリウムを含有する溶液、もしくは塩化カルシウムお
よびリン酸カリウムを添加する方法が用いられる。該重
合体粒子表面のリン酸基とカルシウムイオンとが結合す
ることにより、該重合体のリン酸基がヒドロキシアパタ
イト形成の核となり、結果的に架橋重合体粒子がヒドロ
キシアパタイト粒子により被覆され、本発明の第の担
体が得られる。
【0017】ヒドロキシアパタイト担体を用いる分析系
においては、試料と相互作用をするのはヒドロキシアパ
タイトであり、そのとき用いられるコア粒子は機械的強
度を有する不活性なものが好ましい。従って、本発明に
おけるヒドロキシアパタイト形成の核となるリン酸基
は、コア粒子の表面部分のみに存在することが好まし
い。コア粒子内にリン酸基が一様に分布していると、ヒ
ドロキシアパタイトの生成反応後の残存リン酸基によ
り、分析時にイオン的な相互作用を及ぼすことが考えら
れる。粒子内のリン酸基、すなわち親水性基の存在は、
機械的強度の低下およびクロマトグラフィー分析におけ
る溶離液の切り替え時の平衡化の遅れなどの原因ともな
り得る。このような点を考慮し、本発明者はさらに次に
示す第の担体の調製を試みた。
【0018】本発明の第の担体に用いられるコア粒子
は、架橋重合体粒子を骨格とし、リン酸単量体を重合し
て得られる親水性重合体で該架橋重合体粒子の表面部分
のみが被覆された、2層構造の重合体である。このコア
粒子を調製するには、まず、表面のみにリン酸基を有す
る架橋重合体粒子が調製される。それにはまず、上記の
架橋性単量体または必要に応じて非架橋性単量体との混
合物(但し、リン酸単量体は使用しない)に重合開始剤
を加え、上述と同様の方法により重合させることによ
り、イオン交換基を有しない架橋重合体粒子調製し、
次に、得られた架橋重合体粒子に重合開始剤を含浸させ
る。重合開始剤を含浸させるには、該開始剤を低沸点で
かつ架橋重合体粒子と親和性のよい溶媒に溶解させ、こ
れに上記の架橋重合体粒子を浸漬する。このことにより
重合開始剤が粒子中に浸透する。これを必要に応じて重
合開始剤の分解点以下の温度で加熱して溶媒を除去する
ことにより、その内部、主として表面近くの部分に重合
開始剤を含有する架橋重合体粒子を得る。この重合開始
剤含有粒子を、上記のリン酸単量体を溶解させた水性分
散媒中に分散させ、あるいはこの粒子を分散させた水性
分散媒中に上記リン酸単量体を添加し、溶解させて、窒
素置換後、攪拌しながら加熱して重合を行う。この重合
により、リン酸単量体が架橋重合体粒子の表面で重合し
て、粒子表面を被覆する。さらに架橋重合体粒子が多孔
性の場合は細孔内表面もリン酸基を有する重合体の層が
形成される。上記の水性分散媒には架橋重合体粒子の分
散性を安定させるため、カルボキシメチルセルロース、
ポリビニルアルコールなどの分散安定剤を添加すること
もできる。重合の温度および時間は、反応させる親水性
単量体の種類と重合開始剤の種類によっても異なるが、
40〜100℃で0.5〜40時間程度である。以上の
方法により表面にのみリン酸基を有する架橋重合体粒子
が得られ、コア粒子として用いられる。ここで、「表面
にのみ」とは、表面、もしくは表面から粒径の1%以下
にわたる領域の部分をさしていう。
【0019】上記の重合開始剤を含浸させた架橋重合体
粒子をリン酸単量体との重合反応に供する方法のほか、
多孔性架橋重合体粒子の調製に引き続いてリン酸単量体
を反応させる連続法によっても表面にのみリン酸基を有
する架橋重合体粒子が調製され得る。この方法において
は、まず上記の多孔性架橋重合体粒子を調製するための
重合反応を開始させる。重合がある程度進行し、かつ未
反応の重合開始剤が残存している時に上記リン酸単量体
を反応系に添加し、分散媒に溶解する。このような状態
においては、系内の有機相および生成した疎水性重合体
粒子表面に重合開始剤が残存するため、引き続いてリン
酸単量体の重合が起こり、架橋重合体の表面のみを被覆
する形でリン酸重合体の層が形成される。該リン酸単量
体を添加する場合、添加の形態は特に制限がなく、一括
して添加する方法、数回に分割して添加する方法または
滴下して添加する方法のいずれの方法でもよい。また添
加時に温度を下げる必要はないが、一度冷却し、リン酸
単量体を添加して水相によく溶解してから再び温度をあ
げたほうが重合再現性がよい。さらにリン酸単量体を添
加した前後で温度を変化させても構わない。リン酸単量
体を添加した後の重合条件は、使用する単量体によって
異なるが、40〜100℃で0.5〜10時間である。
リン酸単量体のホモポリマーにより凝集が起こらない段
階で重合を停止する。重合終了後、重合体粒子を洗浄
し、さらに必要に応じて粒子を分級することにより、本
発明に用いられる、表面のみにリン酸基を有する架橋重
合体粒子が得られ、コア粒子として用いられる。該コア
粒子表面にヒドロキシアパタイト粒子でなる被覆層を形
成するには、本発明の第の担体を製造する方法と同様
の化学的な結合方法により行われる。
【0020】以上の各々の方法により、コア粒子表面の
被覆層がヒドロキシアパタイトで形成されるクロマトグ
ラフィー用担体が調製される。
【0021】本発明のクロマトグラフィー用担体は、架
橋重合体の表面部分にヒドロキシアパタイトが被覆され
ているので、耐圧性が大きく、膨潤・収縮が少ない。従
って、高流速での分析が行え、分析時間を短縮できる。
さらに、担体自体が球形でかつ粒子径が揃っているの
で、分離精度が良い。本発明のクロマトグラフィー用担
体は、上記性能を利用して、生体高分子の分離用のクロ
マトグラフィーの担体として利用され得る。
【0022】
【実施例】以下に本発明を実施例につき説明する。
【0023】クロマトグラフィー用担体のカラムへの充
填および評価は、以下の方法で行った。
【0024】「担体の充填方法」 担体2.3gを秤量し、精製水30mlに分散し、5分
間攪拌した。梅谷精機(株)製パッカーをステンレス製
空カラム(6mmφ×75mm)に接続し、上記分散液
をパッカーに注ぎ、(株)島津製作所製送液ポンプLC
−6ADに接続して、100kg/cm2にて定圧充填
した。
【0025】「担体の耐圧性評価」 上記の方法で充填したカラムに精製水を流通し、流速と
圧力損失の関係を調べた。送液は(株)島津製作所製送
液ポンプLC−6ADにより行い、該ポンプの圧力計の
圧力を記録計にモニターした。
【0026】「担体の耐膨潤性評価」 乾燥状態および精製水に浸漬した状態の粒径をコールタ
ーマルチサイザー(コールター社製)で測定し、乾燥状
態および精製水に浸漬した状態の粒径の変化を調べるこ
とにより行った。
【0027】「担体の評価方法」 上記の方法で充填したカラムを用い、積水化学工業
(株)製液体クロマトラフシステムSSLC−20を
用いて液体クロマトグラフィーを行った。分析条件は以
下のように設定した。
【0028】 溶離液:リン酸緩衝液(pH6.8)による濃度勾配法
による溶出 流 速:1ml/min 検 出:280nmにおける吸光度 試 料:以下のタンパク質の標準液(それぞれ1mM水
溶液) ウシ血清アルブミン リゾチーム チトクロームc 注入量:50μl
【0029】(実施例) 本実施例において、粒子内に一様にリン酸基を有する架
橋重合体粒子をコア粒子とし、その被覆層がヒドロキシ
アパタイトで形成される担体を調製した。
【0030】テトラエチレングリコールジメチクリレー
ト(架橋性単量体)100g、テトラメチロールメタン
トリアクリレート(架橋性単量体)100g、モノ(2
−メタクロイルオキシエチル)アシッドホスフェート
(リン酸単量体)50gの混合液にベンゾイルパーオキ
サイド(重合開始剤)1gを溶解し、4%ポリビニルア
ルコール水溶液2.5リットルに添加して、攪拌しなが
ら調粒した後、窒素置換下で80℃に加熱し懸濁重合を
行った。80℃で5時間重合した後、生成物を熱水及び
アセトンで順次洗浄し乾燥し、得られた架橋重合体粒子
を日鉄鉱業(株)製空気分級機ELBOW−JET L
ABO EJ−L−3型により分級した。
【0031】得られたリン酸基を含む微小の架橋重合体
粒子に、以下の化学的方法によりヒドロキシアパタイト
を被覆した。まず、得られた粒子100gを2.5mM
のKH2PO4溶液1リットルに浸漬し、これに1.25
mMのCaCl2溶液1リットルを添加して攪拌した。
100分間室温で反応させた後、担体を濾別し、乾燥し
た。
【0032】得られた粒子を走査型電子顕微鏡((株)
日立製作所製)で観察したところ、粒子表面はヒドロキ
シアパタイトで被覆されていた。上記の方法により耐圧
性および耐膨潤性の評価を行った。耐圧性の評価におい
ては、圧力損失は少なくとも350kg/cm2まで比
例した。耐膨潤性の評価においては、粒径の変化が認め
られず良好であった。さらに上記の方法でクロマトグラ
フィーを行った。その結果得られたクロマトグラムを図
に示す。図1および後述の図2、図3において、1は
ウシ血清アルブミンに起因するピーク、2はリゾチーム
に起因するピーク、3はチトクロームcに起因するピー
クである。
【0033】(比較例1) この比較例では、破砕型ヒドロキシアパタイトを用いた
分離例を示す。
【0034】ヒドロキシアパタイト(第一希元素化学工
業(株)製)を精製水に懸濁し、上記の方法で充填しよ
うとしたところ、充填液が流れなくなった。充填圧を1
00kg/cm2から10kg/cm2に下げて定圧充填
を行った。
【0035】上記の方法により耐圧性および耐膨潤性の
評価を行った。耐圧性の評価においては、20kg/c
2までしか流速と比例しなかった。耐膨潤性の評価に
おいては、乾燥状態で粒径が平均8.5μmであったも
のが、浸漬状態で10.6μmに膨潤した。さらに上記
の方法でクロマトグラフィーを行った。その結果得られ
たクロマトグラムを図に示す。上記実施例と比較し
て分離が悪く、分析時間も長くかかった。
【0036】(実施例) 本実施例において、表面のみにリン酸基を有する架橋重
合体粒子をコア粒子とし、その被覆層がヒドロキシアパ
タイトで形成される担体を調製した。
【0037】ジエチレングリコールジメタクリレート
(架橋性単量体)100g、テトラメチロールメタンテ
トラアクリレート(架橋性単量体)100gおよびベン
ゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1gを混合し、得
られた溶液を4%ポリビニルアルコール水溶液2.5リ
ットルに添加して、攪拌しながら調粒した後、窒素置換
下で80℃に加熱して懸濁重合を行った。80℃で8時
間重合した後、生成物を熱水およびアセトンで順次洗浄
し、乾燥した。得られた架橋重合体粒子を日鉄鉱業
(株)製空気分級機ELBOW−JET LABO E
J−L−3型により分級した。この重合体粒子100g
をベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)0.5gが
溶解しているアセトン1リットルに浸漬して該重合開始
剤を含浸させた。次にアセトンを20℃において減圧下
で留去した。得られた開始剤含有重合体を50%メタノ
ール水溶液1リットルに分散させ、攪拌しながらモノ
(2−メタクロイルオキシ)アシッドフォスフェート3
0gを添加し、溶解した。この溶液を窒素置換後80℃
で5時間重合反応を行った。生成物を熱水およびアセト
ンで洗浄し、乾燥した。得られた架橋重合体粒子を用
い、実施例と同様の操作で、ヒドロキシアパタイトで
被覆した。
【0038】得られた粒子を走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、粒子の表面はヒドロキシアパタイトで被覆さ
れていた。上記の方法により耐圧性および耐膨潤性の評
価を行った。耐圧性の評価においては、少なくとも35
0kg/cm2まで流速と圧力損失とが比例した。耐膨
潤性の評価においては、粒径の変化が認められず良好で
あった。さらに上記の方法によりクロマトグラフィーを
行った。その結果得られたクロマトグラムを図に示
す。上記比較例はもとより各実施例よりもさらに良い分
離が得られ、しかも短時間に分析できた。
【0039】(実施例) 本実施例においては、本文中で述べた、疎水性架橋重合
体粒子の調製に続いてリン酸単量体を反応させる連続法
を採用した。
【0040】トリエチレングリコールジメタクリレート
(架橋性単量体)200gにベンゾイルパーオキサイド
1gを溶解し、4%ポリビニルアルコール水溶液2.5
リットルに添加した。この溶液を攪拌しながら窒素置換
した後、80℃に加熱して重合を行った。
【0041】2時間重合を行った後、30℃に冷却し、
モノ(2−メタクロイルオキシ)アシッドフォスフェー
ト60gを添加し、反応溶媒に溶解した。再び加熱して
80℃で5時間重合を行った。得られた生成物を熱水お
よびアセトンで順次洗浄し乾燥した。得られた重合体を
用い、実施例と同様に操作して、ヒドロキシアパタイ
ト被覆担体を得た。
【0042】得られた粒子を走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、粒子の表面はヒドロキシアパタイトで被覆さ
れていた。上記の方法により耐圧性および耐膨潤性の評
価を行った。耐圧性の評価においては、少なくとも35
0kg/cm2まで流速と圧力損失は比例した。耐膨潤
性の評価においては、粒径の変化が認められず良好であ
った。さらに上記の方法によりクロマトグラフィーを行
った。その結果得られたクロマトグラムは図と同様で
あった。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、耐圧性・耐膨潤性に優
れ高分離能を有する、クロマトグラフィー用のヒドロキ
シアパタイト被覆担体が得られる。これはコア粒子とし
て高度に架橋された架橋重合体粒子を用いていることに
よる。さらに本発明方法によれば、再現性良くこれら担
体が製造され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得られた担体を用いてクロマトグラ
フィーを行った結果得られたクロマトグラムを示す。
【図2】比較例1で用いられた担体を用いてクロマトグ
ラフィーを行った結果得られたクロマトグラムを示す。
【図3】実施例および実施例で得られた担体を用い
てクロマトグラフィーを行った結果得られたクロマトグ
ラムを示す。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸基を有する架橋重合体でなる均質
    なコア粒子、および被覆層を有するクロマトグラフィー
    用担体であって、 該被覆層が、該コア粒子表面に化学的に結合したヒドロ
    キシアパタイト粒子で形成される、 クロマトグラフィー用担体。
  2. 【請求項2】 リン酸基を有する架橋重合体でなる均質
    なコア粒子に、カルシウム塩およびリン酸塩を含有する
    溶液を接触させる工程を包含する、 請求項に記載のクロマトグラフィー用担体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 表面のみにリン酸基を有する架橋重合体
    でなるコア粒子、および被覆層を有するクロマトグラフ
    ィー用担体であって、 該被覆層が、該コア粒子表面に化学的に結合したヒドロ
    キシアパタイト粒子で形成される、 クロマトグラフィー用担体。
  4. 【請求項4】 表面のみにリン酸基を有する架橋重合体
    でなるコア粒子に、カルシウム塩およびリン酸塩を含有
    する溶液を接触させる工程を包含する、 請求項に記載のクロマトグラフィー用担体の製造方
    法。
JP09778092A 1992-04-17 1992-04-17 クロマトグラフィー用担体およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3176423B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09778092A JP3176423B2 (ja) 1992-04-17 1992-04-17 クロマトグラフィー用担体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09778092A JP3176423B2 (ja) 1992-04-17 1992-04-17 クロマトグラフィー用担体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05293372A JPH05293372A (ja) 1993-11-09
JP3176423B2 true JP3176423B2 (ja) 2001-06-18

Family

ID=14201345

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09778092A Expired - Fee Related JP3176423B2 (ja) 1992-04-17 1992-04-17 クロマトグラフィー用担体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3176423B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6284696B1 (en) 1996-06-07 2001-09-04 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Mesopore molecular sieve and process for the production thereof

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH686518A5 (de) * 1993-10-05 1996-04-15 Asahi Optical Co Ltd Granulares Polymerkomposit, Herstellungsverfahren fur dieses und diagnostische Mittel.
JP4683196B2 (ja) * 2005-03-22 2011-05-11 東ソー株式会社 高分子球状鋳型粒子およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6284696B1 (en) 1996-06-07 2001-09-04 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Mesopore molecular sieve and process for the production thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05293372A (ja) 1993-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Plunkett et al. Molecularly imprinted polymers on silica: selective supports for high-performance ligand-exchange chromatography
US5306561A (en) Preparation of surface-functional polymer particles
JP5226918B2 (ja) 重合体吸着剤及び製造方法
JP2001506364A (ja) プレフォームドポリマーのコーティング方法及び製品
JPH10500164A (ja) 粒子の製造方法、及び該方法によって製造され得る粒子
JPH021747A (ja) マクロ多孔性ポリマー膜及びその製造方法
JPH02233147A (ja) 分散剤への樹脂結合を用いるイオン交換組成物及びその製造方法
EP2274091B1 (en) Composite material
JPS648304B2 (ja)
JP2002543224A (ja) スルホン化されたポリマー樹脂及びその調製
JP4335168B2 (ja) ポリマー吸着剤、ならびに調製および使用方法
JPH087197B2 (ja) 液体クロマトグラフィー用充填剤とその製造法
JP3176423B2 (ja) クロマトグラフィー用担体およびその製造方法
JPH0285758A (ja) イオンクロマトグラフィー用のイオン交換性複合組成物
GB2113226A (en) Porous substrate for analyzing hydrophilic substances having low molecular weight
WO2001019885A1 (en) Single stage seed polymerisation for the production of large polymer particles with a narrow size distribution
CA1209979A (en) Substrate capable of adsorbing protein
JPH11189601A (ja) 高分子微粒子の製造方法及び液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法
JP4758529B2 (ja) 液体クロマトグラフィー用充填剤およびそれを用いた測定方法
KR20230049566A (ko) 다공성 입자 및 그 제조방법
JP4268730B2 (ja) 液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法
JP3050951B2 (ja) アフィニティクロマトグラフィー用充填剤
JPH11302304A (ja) 高分子微粒子の製造方法及び液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法
JPH05302917A (ja) 液体クロマトグラフィー用充填剤およびその製造方法
JPH087198B2 (ja) 糖化ヘモグロビンの定量法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080406

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090406

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees