JP3175581B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents

弾性表面波装置

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JP3175581B2
JP3175581B2 JP05803696A JP5803696A JP3175581B2 JP 3175581 B2 JP3175581 B2 JP 3175581B2 JP 05803696 A JP05803696 A JP 05803696A JP 5803696 A JP5803696 A JP 5803696A JP 3175581 B2 JP3175581 B2 JP 3175581B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のSAWフィ
ルタを組み合わせてなる弾性表面波装置に関し、例え
ば、2以上の周波数帯域を有する移動体通信機等に用い
られる弾性表面波装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、移動体通信機の高機能化が進んで
おり、例えば、2つ以上の通信システムを持つマルチバ
ンド対応の携帯電話が検討されている。このような携帯
電話を実現するには、2つ以上の帯域をカバーし得る広
帯域のバンドパスフィルタが必要となる。しかしなが
ら、2つ以上の帯域をカバーし得る、低損失かつ広帯域
のフィルタを単一の素子で実現することは困難であっ
た。
【0003】そこで、複数のバンドパスフィルタを組み
合わせて1つの部品とすることにより広帯域のバンドパ
スフィルタを構成することが試みられている。例えば、
特開平4−16014号公報には、上記のように複数の
バンドパスフィルタを組み合わせてなる広帯域の弾性表
面波装置が開示されている。この先行技術に開示されて
いる弾性表面波装置の構成を図1を参照して説明する。
【0004】図1に示す弾性表面波装置1は、複数のS
AWフィルタ2,3を出力側で並列接続した構成を有す
る。すなわち、入力端IN1 及びIN2 にそれぞれSA
Wフィルタ2,3が接続されており、SAWフィルタ
2,3の出力は接続点4において並列接続されている。
SAWフィルタ2の通過帯域は、SAWフィルタ3のそ
れに比べて高くされている。
【0005】また、SAWフィルタ2と接続点4との間
には、リアクタンス素子としてコンデンサ5が接続され
ている。また、接続点4とアース電位との間に第2のリ
アクタンス素子としてインダクタンス素子6が接続され
ている。
【0006】携帯電話では、送信と受信とが異なる周波
数で行われている。弾性表面波装置1では、上記携帯電
話における送信側バンドパスフィルタ及び受信側バンド
パスフィルタを、SAWフィルタ2,3を組み合わせる
ことにより単一の部品で構成することが可能とされてい
る。
【0007】なお、弾性表面波装置1では、一方のSA
Wフィルタ2と接続点4との間にコンデンサ5のような
リアクタンス素子を挿入することにより挿入損失の低減
が図られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】弾性表面波装置1にお
いては、上記のように異なる通過帯域周波数特性を有す
るSAWフィルタ2,3が用いられているが、この場
合、SAWフィルタ2,3として、必ずしも最適なイン
ピーダンス特性を有するものを用意することができない
ことがある。
【0009】他方、リアクタンス素子としてのコンデン
サ5を接続した側のSAWフィルタ2のSAWフィルタ
3の通過帯域におけるインピーダンスが低い場合には、
上記挿入損失の低減を図るには、コンデンサ5のインピ
ーダンスを高める必要があった。ところが、リアクタン
ス素子のインピーダンスを高めた場合には、リアクタン
ス素子を挿入した側のSAWフィルタ2の通過帯域のイ
ンピーダンスも高くなり、その結果、通過帯域内におけ
るVSWRの劣化に伴い、SAWフィルタ2側における
挿入損失が劣化するという問題があった。
【0010】そこで、上記先行技術においては、通過帯
域内のVSWRの劣化を補うために、第2のリアクタン
ス素子として、インダクタンス素子6が接続点4とアー
ス電位との間に接続されている。しかしながら、この場
合には、逆に、インダクタンス素子6の影響により、S
AWフィルタ3の通過帯域内VSWRが劣化することに
なる。そのため、インダクタンス素子6を接続した構成
においては、SAWフィルタ3においても、SAWフィ
ルタ2側と同様に、インピーダンス整合用リアクタンス
素子をさらに接続する必要がある。その結果、インピー
ダンス整合用素子数が増大し、回路構成が複雑になると
いう欠点があった。
【0011】本発明は、上述した先行技術の欠点に鑑み
成されたものであり、使用するSAWフィルタのインピ
ーダンス特性の制約が少なく、比較的少ない部品点数及
び比較的簡単な回路構成で実現することができ、挿入損
失の劣化を抑制することができ、かつ通過帯域内VSW
Rの低減を図り得る、複数の通過帯域特性を有する弾性
表面波装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の広い局面によれ
ば、複数のSAWフィルタを接続してなる弾性表面波装
置であって、上記課題を達成するものとして、通過帯域
が相対的に高い周波数領域にある第1のSAWフィルタ
と、通過帯域が相対的に低い周波数領域にあり、かつ上
記第1のSAWフィルタに入力端または出力端側の接続
点において並列接続されている第2のSAWフィルタ
と、第1のSAWフィルタと上記接続点との間に接続さ
れており、かつ弾性表面波装置の終端インピーダンスの
1/4以上のインピーダンスを有するコンデンサ素子
と、前記コンデンサ素子と第1のSAWフィルタとの間
に接続されており、かつその***振周波数が第1のSA
Wフィルタの通過帯域よりも高周波数側となるように構
成されている一端子対SAW共振子とを備える弾性表面
波装置が提供される。
【0013】また、本発明の特定的な局面によれば、上
記第1のSAWフィルタは、圧電基板と、圧電基板上に
形成された奇数個のインターデジタルトランスデューサ
(以下、IDTと略す。)と、前記奇数個のIDTが形
成されている領域の両側に形成された一対の反射器とを
有する多電極型縦結合SAW共振子フィルタで構成され
ており、かつ上記一対の反射器に隣接している一対のI
DTを含む複数のIDTに上記一端子対SAW共振子が
直列接続されている弾性表面波装置が提供される。
【0014】また、本発明のさらに別の特定的な局面に
よれば、上記第1,第2のSAWフィルタは、それぞ
れ、圧電基板を用いて構成されており、上記コンデンサ
素子が第1及び第2のSAWフィルタの圧電基板のうち
一方の圧電基板上に構成される。
【0015】なお、本発明において、圧電基板として
は、圧電単結晶、圧電セラミックスあるいは絶縁性もし
くは圧電性基板上に圧電薄膜を形成したもの等が適宜用
いられる。
【0016】また、本発明のより限定的な局面によれ
ば、上記第1,第2のSAWフィルタは同一の圧電基板
を用いて構成される。さらに、本発明の別の特定的な局
面によれば、上記圧電基板としては、36°Y−X L
iTaO3 基板が用いられ、上記第1のSAWフィルタ
の通過帯域の中心周波数をf01、第2のSAWフィルタ
の中心周波数をf02とした場合に、
【0017】
【数2】
【0018】の関係を満たすように構成されている弾性
表面波装置が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の弾性表面波装置の構造を
説明するに先立ち、本願出願人が先に出願しており、か
つ本発明に関連するが未だ公知ではない弾性表面波装置
を図2を参照して説明する。
【0020】図2に示す弾性表面波装置11は、通過帯
域周波数が相対的に高い第1のバンドパスフィルタ12
と、通過帯域周波数が相対的に低い第2のバンドパスフ
ィルタ13とを出力側で並列接続した構成を有する。す
なわち、入力端IN1 及びIN2 に、それぞれ、第1,
第2のバンドパスフィルタ12,13が接続されてお
り、バンドパスフィルタ12,13の出力が接続点14
において並列接続されている。
【0021】さらに、通過帯域周波数が相対的に低い第
2のバンドパスフィルタ13の出力端と接続点14との
間に、***振周波数が第1のバンドパスフィルタ12の
通過帯域内に、または第1,第2のバンドパスフィルタ
12,13の通過帯域間に位置している少なくとも1個
の一端子対SAW共振子15が直列に接続されている。
また、第1のバンドパスフィルタ12と接続点14との
間には、伝送線路16からなるインピーダンス整合用素
子が接続されている。
【0022】なお、第1,第2のバンドパスフィルタ1
2,13は、少なくとも第2のバンドパスフィルタ13
がSAWフィルタにより構成されている。弾性表面波装
置11では、通過帯域周波数が相対的に低い上記第2の
バンドパスフィルタ13に一端子対SAW共振子15を
接続することにより、バンドパスフィルタ13の高周波
数域における減衰量の拡大と共に、該バンドパスフィル
タ13側におけるインピーダンス整合用外部回路の簡略
化が果たされる。
【0023】しかしながら、相対的に通過帯域周波数が
高い第1のバンドパスフィルタ12に伝送線路16を接
続しているため、所望の線路長の伝送線路を形成する
と、バンドパスフィルタ12、ひいては弾性表面波装置
11の全体の寸法が大きくなってしまうという問題があ
った。
【0024】また、小型化及び高機能化を図るために、
弾性表面波装置11を弾性表面波装置用パッケージに内
蔵する場合には、所望の特性インピーダンスを得るため
には伝送線路16の幅を極端に細くする必要がある。そ
の結果、伝送線路16の抵抗損により、挿入損失が劣化
するおそれがある。さらに、上記のようにパッケージに
内蔵した場合には、パッケージの面積や高さが大きくな
り、加えてコストの上昇をもたらすおそれもあった。
【0025】また、バンドパスフィルタ12,13の通
過帯域周波数の差が比較的小さい場合には、相対的に周
波数の高い第1のバンドパスフィルタ12における相手
側すなわち第2のバンドパスフィルタ13の通過帯域内
におけるインピーダンスが低くなり、伝送線路16の代
わりに一端子対SAW共振子を用いたとしても該インピ
ーダンスは十分に高くならず、相手側すなわちSAWフ
ィルタ13の挿入損失の劣化を抑制することができない
という問題もあった。
【0026】すなわち、本願発明者らは、一端子対SA
W共振子15を用いた弾性表面波装置11において、上
述のような問題があることに鑑み、さらに検討した結
果、上述した本発明に係る弾性表面波装置を創案するに
至った。
【0027】次に、本発明の弾性表面波装置の構成を図
面を参照しつつ説明する。図3は、本発明の弾性表面波
装置の一実施形態を説明するための回路図である。
【0028】弾性表面波装置21は、通過帯域が異なる
第1のSAWフィルタ22と第2のSAWフィルタ23
とを出力側で並列接続した構成を有する。すなわち、入
力端IN1 に相対的に通過帯域が高周波数領域にある第
1のSAWフィルタ22が接続されており、入力端IN
2 に相対的に通過帯域が低周波数領域にある第2のSA
Wフィルタ23が接続されている。
【0029】第1のSAWフィルタ22の通過帯域は、
860〜885MHz、第2のSAWフィルタ23の通
過帯域は810〜826MHzである。第1,第2のS
AWフィルタ22,23の出力は、接続点24において
接続されている。
【0030】さらに、第1のSAWフィルタ22と接続
点24との間には、コンデンサ25と、一端子対SAW
共振子26とが接続されている。コンデンサ25は、弾
性表面波装置21の終端インピーダンスの1/4以上の
インピーダンスを有するように構成されている。また、
上記一端子対SAW共振子26は、コンデンサ25と第
1のSAWフィルタ22との間に接続されており、かつ
その***振周波数が第1のSAWフィルタ22の通過帯
域よりも高周波数側となるように構成されている。
【0031】なお、本実施形態では、リアクタンス素子
としてインダクタンス素子27が、接続点24とアース
電位との間に接続されている。このインダクタンス素子
はパッケージ外で接続されている。すなわち、参照番号
28で示す破線で囲まれた部分が1つのパッケージに内
蔵されている。
【0032】弾性表面波フィルタ装置21では、上記の
ように構成されているため、第1のSAWフィルタ22
側において、第2のSAWフィルタ23の通過帯域にお
けるインピーダンスを高める必要がある場合、コンデン
サ25だけでなく該コンデンサ25と第1のSAWフィ
ルタ22との間に上記一端子対SAW共振子26が接続
されているため、第1のSAWフィルタ22側の挿入損
失の増大及び通過帯域内におけるVSWRの劣化を抑制
することができる。しかも、第2のSAWフィルタ23
の挿入損失の劣化を抑制することもできる。
【0033】加えて、第1のSAWフィルタ22の挿入
損失の増大を抑制し、該第1のSAWフィルタ22の通
過帯域よりも高周波数側における減衰量を大きくするこ
とができる。
【0034】弾性表面波フィルタ装置21の作用効果
を、具体的な実験例に基づき説明する。第1,第2のS
AWフィルタ22,23として、図4〜図7に示す特性
のものを用いた。
【0035】図4は、通過帯域の中心周波数が872.
5MHzである第1のSAWフィルタ22の減衰量周波
数特性を示す図である。図4においてBで示す特性は、
縦軸の減衰量を縦軸の右側に示した拡大スケールに従っ
て実線Aで示した特性を拡大したものである。
【0036】また、図5(a)及び(b)は、それぞ
れ、第1のSAWフィルタ22の入力端子及び出力端子
のインピーダンススミスチャートを示す。また、図6
は、通過帯域の中心周波数が818MHzである第2の
SAWフィルタ23の減衰量周波数特性を示し、実線D
で示す特性は、縦軸の減衰量を縦軸の右側に示した拡大
スケールに従って実線Cで示す特性を拡大したものであ
る。また、図7(a)及び(c)は、第2のSAWフィ
ルタ23の入力側及び出力側端子のインピーダンススミ
スチャートを示す図である。
【0037】図8(a)は、3.5pFのコンデンサ2
5を第1のSAWフィルタ22に直列接続した場合の出
力側からみたインピーダンススミスチャートである。図
5(b)と、図8(a)とを比較すれば明らかなよう
に、図8(a)においては、コンデンサが接続されたこ
とにより、818MHzにおけるインピーダンスが高め
られている。同時に、通過帯域付近におけるインピーダ
ンスが50Ω純抵抗から容量性へと大きくずれている。
【0038】図9は、第1のSAWフィルタ22の出力
側に上記一端子対SAW共振子26を直列接続した場合
の通過帯域内外の減衰量周波数特性を示し、図10
(a),(b)は、その場合の入力側及び出力側のイン
ピーダンススミスチャートである。なお、図9におい
て、実線Fで示す曲線は、実線Eで示す特性を、縦軸の
右側に示す拡大スケールに従って拡大したものである。
この場合、一端子対SAW共振子としては、電極指の対
数=130対、電極指交差幅=60μm及び電極指間ピ
ッチ=2.2μmのIDTを36°Y−X LiTaO
3 からなる圧電基板上に形成したものを用いた。
【0039】図5(b)と、図10(b)とを比較する
と、図10(b)では、一端子対SAW共振子26によ
り、818MHzにおけるインピーダンスが高められて
いることがわかる。また、図10(a)を図5(a)と
比較すると、図10(a)では、第1のSAWフィルタ
22の通過帯域における挿入損失の劣化が抑制されてお
り、通過帯域よりも高周波数側における減衰量が高めら
れていることがわかる。
【0040】図8(b)は、本実施形態の弾性表面波装
置21の並列接続端子側、すなわち接続点24から第
1,第2のSAWフィルタ22,23をみた場合のイン
ピーダンススミスチャートを示す。図8(b)を、図8
(a)と比較すると、図8(b)に示す特性では、81
8MHzにおいて8pFの容量をもつコンデンサで同等
のインピーダンスが得られていることがわかる。この場
合、通過帯域付近においては、50Ω純抵抗から容量性
へのインピーダンスのずれは小さく抑えられている。
【0041】比較のために、図1に示した弾性表面波装
置1を、上記と同様の第1,第2のSAWフィルタを用
いて構成した。すなわち、弾性表面波装置1において、
SAWフィルタ2,3として、上記第1,第2のSAW
フィルタ22,23と同等のものを用い、コンデンサ5
として、818MHzにおけるインピーダンスが3.5
pFであるコンデンサを用い、インピーダンス整合用イ
ンダクタンス素子6として7.5nHのものを用いた。
上記のようにして構成した弾性表面波装置1の第1のS
AWフィルタ2側の減衰量周波数特性を図11に示す。
なお、図11において、実線Hは、実線Gで示した特性
を、減衰量を縦軸の右側に示したスケールに拡大して示
した特性である。また、破線Iは、VSWR−周波数特
性を示す。
【0042】また、上記弾性表面波装置1における第1
のSAWフィルタ2の入力側及び出力側のインピーダン
ススミスチャートを図12(a)及び(b)に示す。ま
た、第2のSAWフィルタ3の入力側は50Ωで終端さ
れている。
【0043】これに対して、図13は、図3に示したよ
うに、本実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置21を
構成した場合の第1のSAWフィルタ22側における減
衰量周波数特性を示す図である。図13において、実線
Kは、実線Jで示した特性を縦軸の右側に示すスケール
で拡大して示した特性であり、破線LはVSWR−周波
数特性を示す図である。また、図14(a)及び(b)
は、第1のSAWフィルタ22側における入力側及び並
列接続点24側のインピーダンススミスチャートを示す
図である。
【0044】本実施形態では、並列接続点24とアース
点との間に、7.5nHのインピーダンス整合用インダ
クタンス素子27を挿入した。また、第2のSAWフィ
ルタ23の入力側は50Ωで終端されている。
【0045】図11を図13と比較すれば、図13で
は、コンデンサの挿入による損失の増大が抑制されてい
ることがわかる。例えば、減衰量が3.1dBの通過帯
域幅、いわゆる3.1dB帯域幅は、図11では32.
5MHzであったのに対し、図13では33.3MHz
と拡げられていた。また、同時に、VSRWについて
も、図11では860〜885MHzでの最大値が1.
75であったのに対し、図13では1.3と小さくなっ
ていることがわかる。さらに、通過帯域よりも高周波数
側の周波数領域における減衰量が大きくなっていること
もわかる。
【0046】図15は、上記実施形態における第2のS
AWフィルタ23における減衰量周波数特性を示す図で
ある。図15において、実線Nは、実線Mで示す特性を
縦軸の減衰量を縦軸の右側で示すスケールで拡大したも
のであり、破線OはVSWR−周波数特性を示す。ま
た、図16(a)及び(b)は、第2のSAWフィルタ
23の入力側及び並列接続点24側のインピーダンスス
ミスチャートを示す図である。また、並列接続点24と
アース電位との間には7.5nHのインピーダンス整合
用インダクタンス素子27が用いられている。また、第
1のSAWフィルタ22の入力側は50Ωで終端されて
いる。図15を、図6と比較すれば明らかなように、第
2のSAWフィルタ23側における挿入損失の劣化を抑
制し得ることがわかる。
【0047】なお、図17は、本発明とは異なり、上記
第1のSAWフィルタ22と第2のSAWフィルタ23
とを直接に並列接続した構成の第2のSAWフィルタ2
3の減衰量周波数特性を示す。図17において、実線Q
は実線Pで示した特性を縦軸の減衰量を縦軸の右側に示
すスケールで拡大して示したものであり、破線RはVS
WR−周波数特性を示す。また、図18(a)及び
(b)は、この場合の入力側及び出力側のインピーダン
ススミスチャートを示す図である。図17から明らかな
ように、この場合、挿入損失が増大していることがわか
る。
【0048】図19は、本発明の第2の実施形態に係る
弾性表面波フィルタ装置の模式的平面図である。図19
において、36°Y−X LiTaO3 からなる圧電基
板31上に、第1のSAWフィルタとして多電極型縦結
合SAW共振子フィルタ32が構成されている。すなわ
ち、SAW共振子フィルタ32は、3個のIDT33〜
35を有する。IDT33〜35は、表面波伝搬方向に
沿って交互に入力側IDTまたは出力側IDTとされて
いる。各IDT33,34,35は互いに間挿し合う電
極指を有する一対のくし歯電極により構成されている。
IDT33〜35が設けられている領域の表面波伝搬方
向外側には、反射器36,37が配置されている。
【0049】IDT33〜35のうち、外側のIDT3
3,35の一方のくし歯電極が接地されており、他方の
くし歯電極が出力側端子とされている。また、中央のI
DT34の一方のくし歯電極が接地されており、他方の
くし歯電極が入力端IN1 に接続されている。
【0050】上記SAW共振子フィルタ32の減衰量周
波数特性の一例を図20に示す。図20において、実線
Tは、実線Sで示した特性の要部を縦軸の減衰量を縦軸
の右側に示したスケールで拡大して示した特性である。
また、このSAW共振子フィルタ32のインピーダンス
スミスチャートを図21(a)及び(b)に示す。図2
1(a)は中央のIDT34の入力端IN1 に接続され
る端子における特性を、図21(b)は外側のIDT3
3,35の出力側端子における特性である。
【0051】SAW共振子フィルタ32の出力側には、
一端子対SAW共振子38が設けられている。一端子対
SAW共振子38は、その***振周波数が、SAW共振
子フィルタ32の通過帯域よりも高周波数側となるよう
にIDT33,35の出力端子を構成しているくし歯電
極に直列に接続されている。
【0052】上記一端子対SAW共振子38をSAW共
振子フィルタ32に直列接続してなる構成の減衰量周波
数特性は、図9に示した特性と一致するように構成され
ており、かつインピーダンススミスチャートは、図10
(a)及び(b)に示した特性と一致するように構成さ
れている。
【0053】上記一端子対SAW共振子38と接続点3
9との間にコンデンサ40が直列に挿入されている。S
AWフィルタ32に一端子対SAW共振子38及びコン
デンサ40を直列接続した構成の総合のインピーダンス
スミスチャートは、図8(b)に示した特性と一致する
ように構成されている。ここでは、コンデンサ40の静
電容量は8pFとした。従って、図8(b)から明らか
なように、図5(b)の場合に比べて、818MHzに
おけるインピーダンスが高められている。
【0054】本実施形態においても、接続点39とアー
ス電位との間にインダクタンス素子41が接続されてい
る。このインダクタンス41は、第1の実施形態の場合
のインダクタンス27と同様に構成されている。また、
第2のSAWフィルタ42が、入力端IN2 に接続され
ており、該第2のSAWフィルタ42は出力側において
SAWフィルタ32と並列接続されている。すなわち、
SAWフィルタ42の出力側は上記接続点39に接続さ
れている。
【0055】SAWフィルタ42は、3個のIDT43
〜45を有し、IDT43〜45が設けられている領域
の外側に反射器46,47が配置されている。本実施形
態の弾性表面波フィルタ装置31は、上記のように構成
されているため、第1の実施形態に係る弾性表面波フィ
ルタ装置と同様の作用効果を発揮する。加えて、SAW
フィルタ32が多電極型縦結合SAW共振子フィルタで
構成さており、かつ一端子対SAW共振子38に直列に
接続されている。この構成による効果を、以下において
説明する。
【0056】図20は、上記構成とは逆に、一端子対S
AW共振子38を中央のIDT34の一方のくし歯電極
に直列接続し、しかる後15pFの容量のコンデンサを
接続した場合のSAWフィルタ32側の減衰量周波数特
性である。図21(a)及び(b)は、この場合の入力
側及び出力側のインピーダンススミスチャートである。
図21(b)から明らかなように、818MHzにおけ
るインピーダンスは、図8(b)に示した818MHz
におけるインピーダンスとほぼ一致している。
【0057】さらに、図20に示した特性を得た構成に
第2のSAWフィルタ42を並列接続した場合のSAW
フィルタ32側の減衰量周波数特性を図22に示す。図
22において、実線Vは実線Uで示す特性を減衰量を縦
軸の右側に示すスケールで拡大して示した特性であり、
破線Wは通過帯域内VSWRを示す。
【0058】また、この場合のインピーダンススミスチ
ャートは、図23(a),(b)に示す通りとなる。こ
こでは、並列接続点とアース電位との間に7.5nHの
インピーダンス整合用インダクタンス素子41が用いら
れている。また、第2のSAWフィルタ42の入力側は
50Ωで終端されている。
【0059】図22と、図13とを比較すれば、図13
では挿入損失の増大が抑制されており、例えば、3.1
dB帯域幅は図22では30.5MHzであったのに対
し、図13では33.3MHzと拡げられる。同様に、
VSWRの劣化も極力抑制されることがわかる。
【0060】これは、一端子対SAW共振子38の86
0〜880MHzにおけるインピーダンスと、第1のS
AWフィルタ32の外側のIDTの出力側端子の860
MHz〜885MHzのインピーダンスとの合成によ
り、VSWRが低減されるためである。
【0061】なお、本実施形態では、36°Y−X L
iTaO3 からなるものを用いていたが、これに限定さ
れる必要はなく、LiNbO3 などの他の圧電単結晶ま
たはチタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミックスのような
圧電セラミックス、あるいは絶縁性基板や圧電性基板上
に圧電薄膜を形成してなる適宜の圧電基板を用いること
ができる。
【0062】次に、本発明の弾性表面波装置の具体的な
構造の他の例を説明する。図24は、本発明の弾性表面
波装置の具体的な構造の一例を説明するための略図的平
面図であり、第1のSAWフィルタ、一端子対SAW共
振子及びコンデンサが同一基板上に構成されている例を
示す。
【0063】1枚の圧電基板52上に多電極型SAW共
振子フィルタ53が第1のSAWフィルタとして構成さ
れている。すなわち、SAW共振子フィルタ53では、
3個のIDT54〜56が表面波伝搬方向に沿って形成
されている。IDT54〜56は、交互に入力側IDT
または出力側IDTとされている。外側のIDT54,
56の一方のくし歯電極が接地されており、他方のくし
歯電極が接続点57により共通接続されている。また、
IDT55の一方のくし歯電極が接地されており、他方
のくし歯電極が入力用引き出し電極58に電気的に接続
されている。
【0064】図24において、59a,59b,59c
は、それぞれ、接地電位に接続するための引き出し電極
である。IDT54〜56が設けられている領域の表面
波伝搬方向両側には、反射器60,61が設けられてい
る。また、接続点57には、一端子対SAW共振子62
が接続されている。また、一端子対SAW共振子62
に、コンデンサ63が接続されている。
【0065】コンデンサ63は、図24では一対のくし
歯電極により構成されている。コンデンサ63の他方の
くし歯電極は、接続電極64に接続されている。この接
続電極64は、本発明における第1のSAWフィルタと
第2のSAWフィルタとの接続点を構成する。すなわ
ち、第2のSAWフィルタについては、図24では図示
されていないが、上記接続電極64に第2のSAWフィ
ルタの出力側が接続される。図24では、コンデンサ6
3は、第1のSAWフィルタとしてのSAW共振子フィ
ルタ53と同一基板上に形成されていたが、コンデンサ
63は第2のSAWフィルタを構成するための圧電基板
上に構成されていてもよい。
【0066】図25は、図24に示した圧電基板52を
組み込んでなる弾性表面波装置を説明するための断面図
である。図25では、パッケージ内に本発明の弾性表面
波装置が内蔵される。
【0067】すなわち、弾性表面波装置71では、上方
に開口を有するパッケージ本体72の上方開口が封止材
73で封止されている。パッケージ本体72は、アルミ
ナなどの絶縁性セラミックスあるいは合成樹脂等の適宜
の材料により構成することができる。図25では、パッ
ケージ本体72は、ベースプレート72a上に、開口を
有する枠状のパッケージ材72b,72cを積層し、か
つ貼り合わせた構造を有する。パッケージ本体72の開
口内において、ベースプレート72a上に、第1のSA
Wフィルタと一端子対SAW共振子とコンデンサとを同
一面上に備えた圧電基板52と、第2のSAWフィルタ
が構成されている圧電基板75とが接着剤等により固定
されている。
【0068】上記圧電基板52,75上のSAWフィル
タの電極端子は、金属からなるワイヤー76,77など
により引き出され、パッケージ本体72に形成されてい
る引き出し電極に電気的に接続されている。また、封止
材73は、セラミックスや金属などにより構成すること
ができる。この場合、封止材73の下面に、圧電基板5
2,75上に構成されたSAWフィルタが引き出される
引き出し電極を適宜形成してもよい。
【0069】図25に示すように、パッケージ本体72
と封止材73とからなるパッケージ内に、本発明の弾性
表面波装置を内蔵することができ、従って単一の部品と
して前述した作用効果を発揮し得る複数の通過帯域を有
するバンドパスフィルタを構成することができる。
【0070】図24に示した弾性表面波素子51では、
コンデンサ63が圧電基板52の表面に形成されている
ため、コンデンサ63の容量値の変更を容易に行うこと
ができる。すなわち、くし歯電極の電極指の数や交差幅
を変更することにより、静電容量を容易に変更すること
ができる。従って、図25に示したように、コンデンサ
が表面に形成されている圧電基板52をパッケージ内に
挿入する構造に適用した場合、コンデンサの容量値の変
更に伴ってパッケージの寸法を変更する必要がない。す
なわち、パッケージの共通化を図り得るため、パッケー
ジコストの低減を図ることができる。
【0071】加えて、従来、2つの通過帯域を有する第
1,第2のSAWフィルタを1つの弾性表面波装置とし
てパッケージ化した場合、2つのSAWフィルタの入出
力電極の全て、すなわち4つの電極をパッケージ内に形
成する必要があった。これに対して、図24に示したコ
ンデンサ63を第1のSAWフィルタと同一の圧電基板
52上に形成した場合には、一方のSAWフィルタ側に
おいて出力電極の数を3個とすることができ、従ってパ
ッケージの更なる小型化を図り得る。あるいは、逆に、
接地用の電極を増加させることができるため、アースを
強化することにより、SAWフィルタの直達波による減
衰量の劣化を抑制することができる。
【0072】図26は、図24に示した弾性表面波素子
51を発展させて、第2のSAWフィルタについても同
一の圧電基板上に構成した例を示す略図的平面図であ
る。図26において、図24に示した弾性表面波素子5
1と同一の部分については、同一の参照番号を付する。
【0073】図26を参照して、圧電基板80上におい
て、接続電極64に、第2のSAWフィルタ81が接続
されている。第2のSAWフィルタ81は、圧電基板8
0上に、すなわち第1のSAWフィルタとしてのSAW
共振子フィルタ53と同一基板上に形成されている。
【0074】第2のSAWフィルタ81は、3個のID
T82〜84を有する。IDT82〜84の設けられて
いる領域の表面波伝搬方向両側には、反射器85,86
が形成されている。第2のSAWフィルタ81の中央の
IDT83の一方のくし歯電極が上述した接続電極64
に接続されており、他方のくし歯電極が接地用引き出し
電極87aに接続されている。また、外側のIDT8
2,84の一方のくし歯電極は、入力用引き出し電極8
7bに接続されており、他方のくし歯電極は接地用引き
出し電極87c,87dに接続されている。
【0075】図26に示した例では、圧電基板80上
に、第1,第2のSAWフィルタ、コンデンサ及び一端
子対SAW共振子の全てが構成されている。従って、図
27に断面図で示すように、パッケージ本体72内に弾
性表面波装置を容易に組み込むことができ、従ってパッ
ケージ化に際しての作業効率を高め得る。
【0076】また、2個のSAWフィルタを1つの圧電
基板80上に構成したため、SAWフィルタの通過帯域
の間隔をほぼ一定に保つことが容易となり、2個のSA
Wフィルタを独立して製造した場合に比べて、特性のば
らつきの低減を図り得る。すなわち、互いの周波数差が
小さくなった場合には、相対的に周波数の高い側の第1
のSAWフィルタにおいて、第2のSAWフィルタの通
過帯域におけるインピーダンスが低くなり、第2のSA
Wフィルタ側における挿入損失が増大することがある
が、互いの周波数間隔を一定にすることが容易であれ
ば、このような挿入損失の劣化を抑制することができ
る。
【0077】また、図26に示した弾性表面波装置で
は、好ましくは、第1のSAWフィルタとしての多電極
型SAW共振子フィルタ61の通過帯域の中心周波数f
01と、第2のSAWフィルタ62の中心周波数f02
は、下記の式(1)
【0078】
【数3】
【0079】を満たすように構成される。これを、具体
的な実験例に基づき説明する。図28は、900MHz
帯における3電極型の縦結合型SAW共振子フィルタに
おけるAlよりなる電極の膜厚hと、電極の波長λの比
h/λに対する振幅特性の比帯域幅についての実験結果
を示す。図28から、電極の膜厚hを厚くすると、共振
子フィルタの反射器のストップバンド幅が拡がり、比帯
域幅を拡げ得ることがわかる。
【0080】圧電基板として36°Y−X LiTaO
3 を用いた場合、縦結合型SAW共振子フィルタでは、
携帯電話用として実用上十分な比帯域幅3.3%を得る
には、上記電極膜厚比h/λは、
【0081】
【数4】
【0082】を満たす必要がある。他方、電極膜厚比h
/λを大きくすると、通過帯域が低周波数側や高周波数
側の阻止域に重なることになり、これらの領域における
減衰量の不足が問題となる。従って、比帯域幅が6.9
%以上に拡大することは望ましくなく、電極膜厚比h/
λは、
【0083】
【数5】
【0084】を満たすことが望ましい。
【0085】ところで、本発明の弾性表面波装置におい
て、2個のSAWフィルタを同一の圧電基板上に形成す
るには、電極膜厚を同じとすることが作業性の点からは
望ましい。しかしながら、第1のSAWフィルタと第2
のSAWフィルタとは通過帯域が異なるため、その表面
波の波長もやはり異なる。従って、同じ電極膜厚の場合
には、各フィルタの電極膜厚比h/λは異なることにな
る。
【0086】第1のSAWフィルタの中心周波数を
01、波長λ1 、第2のフィルタの中心周波数をf02
波長λ2 をした場合、λ2 >λ1 の関係がある。すなわ
ち、λ2 は、h/0.06のときに最も大きく、λ
1 は、h/0.10の場合に最も小さくなる。このとき
2つのフィルタの周波数比が最も大きくなり、その波長
の比λ1 /λ2 =3/5となる。
【0087】同一圧電基板上において、波長λと周波数
の逆数1/fとは比例関係にある。従って、第1のフィ
ルタと第2のSAWフィルタの中心周波数との間には、
【0088】
【数6】
【0089】の関係があればよいこととなる。他方、2
個のSAWフィルタの通過帯域の周波数差が広くなるほ
ど、第1のSAWフィルタの第2のSAWフィルタの通
過帯域におけるインピーダンスが高くなる。このインピ
ーダンスは、SAWフィルタの静電容量や配線の浮遊イ
ンダクタンスあるいは浮遊抵抗で定まる。
【0090】図29に、3電極型SAW共振子フィルタ
の外側のIDT側におけるインピーダンススミスチャー
トを示す。図29から、中心周波数の2/3よりも小さ
くなる周波数におけるインピーダンスは、インピーダン
ススミスチャート上の第4象現に存在する。
【0091】相手側すなわち第2のSAWフィルタの通
過帯域におけるインピーダンスが第4象現にあれば、本
発明において直列接続される一端子対SAW共振子を用
いる方法を採用せずに、低インピーダンスのコンデンサ
のみで帯域内の挿入損失の劣化を極力抑制しつつインピ
ーダンスを高めることができる。すなわち、第1のSA
Wフィルタの通過帯域の中心周波数f01と、第2のSA
Wフィルタの中心周波数f02とが、
【0092】
【数7】
【0093】である範囲においては、本発明の構造を適
用することが望ましいことがわかる。よって、第1のS
AWフィルタの通過帯域の中心周波数f01と、第2のS
AWフィルタの中心周波数f02とが、上記式(1)を満
たす場合には、第1のSAWフィルタの第2のSAWフ
ィルタの通過帯域におけるインピーダンスが特に低くな
るが、本発明では、このような場合であっても、一端子
対SAW共振子を直列接続することにより、第1のSA
Wフィルタの挿入損失及びVSWRの劣化を極力抑制す
ることができ、かつ第2のSAWフィルタ側の挿入損失
の劣化も抑制することができる。
【0094】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、通過帯
域の異なる第1,第2のSAWフィルタの並列接続の接
続点と、第1のSAWフィルタとの間に上記一端子対S
AW共振子及びコンデンサが直列に挿入されているた
め、第1のSAWフィルタ側における挿入損失及びVS
WRの劣化を効果的に抑制することができ、かつ相手側
となる第2のSAWフィルタ側における挿入損失の劣化
も抑制することができる。さらに、第1のSAWフィル
タの挿入損失の劣化を抑制しつつ、通過帯域よりも高周
波数側の周波数領域における減衰量を大きくすることが
できる。従って、携帯電話等のマルチバンドに対応した
弾性表面波装置を提供することが可能となる。
【0095】また、請求項2に記載のように、第1のS
AWフィルタを、多電極型縦結合SAW共振子フィルタ
により構成し、該SAW共振子フィルタの一対の反射器
に隣接している一対のIDTを含む側の複数のIDTに
一端子対SAW共振子を接続した構成によれば、請求項
1に記載の発明の効果に加えて、SAW共振子フィルタ
のVSWRの低減を図ることができ、従って一端子対S
AW共振子を接続したことによる挿入損失の劣化を抑制
することができる。
【0096】また、請求項3に記載のように、第1,第
2のSAWフィルタが、それぞれ、圧電基板を用いて構
成されており、コンデンサ素子が第1及び第2のSAW
フィルタの圧電基板のうちの一方の圧電基板上に構成さ
れている場合には、請求項1または2に記載の発明の効
果に加えて、コンデンサ素子の容量値の変更を容易に行
い得るため、基板にコンデンサを内蔵した場合に比べ
て、容量値の変更を容易にかつ安価に行うことができ
る。さらに、弾性表面波装置をパッケージ化する場合に
は、上記コンデンサ素子が圧電基板上に形成されている
ため、容量値を変更した場合であってもパッケージの変
更を行わないでよい場合が多いため、パッケージの共通
化を果たすことができ、ひいては弾性表面波装置をパッ
ケージ化した構造のコストの低減を図り得る。
【0097】加えて、従来、通過帯域の異なる2個のS
AWフィルタを用いた弾性表面波装置では、SAWフィ
ルタの入出力電極の全て、すなわち4つの電極をパッケ
ージ材に形成しておく必要があったのに対し、上記のよ
うにコンデンサ素子をSAWフィルタと同一の圧電基板
上に構成することにより、パッケージ材に形成すべき電
極の数を3つとすることができ、それによってパッケー
ジの小型化をより一層進めることができる。あるいは、
逆に接地用の電極を増加させることにより、アースを強
化して、SAWフィルタの直達波による減衰量の劣化を
抑制することもできる。
【0098】さらに、請求項4に記載の発明では、上記
第1,第2のSAWフィルタが同一圧電基板を用いて構
成されるため、請求項1〜3に記載の発明の効果に加え
て、弾性表面波装置の組み立て作業を容易に行うことが
でき、かつ2個のSAWフィルタの通過帯域の差をほぼ
一定に保つことが容易となるため、2個のSAWフィル
タを独立に製造した場合に比べて、特性のばらつきによ
る影響を低減することができる。
【0099】請求項5に記載の発明では、第1,第2の
SAWフィルタの中心周波数が、上述した式(1)を満
たすように構成されているため、例えば携帯電話用帯域
フィルタとして用いた場合、実用上十分な比帯域幅を得
ることができるとともに、通過帯域の低周波数側や高周
波数側に存在する阻止域における減衰量を十分に確保す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通過帯域の異なる2個のSAWフィルタを並列
接続してなる従来の弾性表面波装置の一例を示す回路
図。
【図2】通過帯域の異なる2個のSAWフィルタを並列
接続してなる未だ公知ではない先行技術に記載の弾性表
面波装置の回路図。
【図3】本発明の弾性表面波装置の一例を説明するため
の回路図。
【図4】図3に示した弾性表面波装置における第1のS
AWフィルタの減衰量周波数特性を示す図。
【図5】(a)及び(b)は、それぞれ、図3に示した
弾性表面波装置における第1のSAWフィルタの2個の
外側IDTを含む側の端子及び中央のIDT側の端子の
インピーダンススミスチャートを示す図。
【図6】図3に示した弾性表面波装置中の第1のSAW
フィルタの減衰量周波数特性を示す図。
【図7】(a)及び(b)は、図3に示した弾性表面波
装置中の第2のSAWフィルタにおける、それぞれ、2
個の外側IDTを含む側の端子及び中央のIDTの端子
のインピーダンススミスチャートを示す図。
【図8】(a)は、図3に示した弾性表面波装置中の第
1のSAWフィルタの出力側端子に3.5pFのコンデ
ンサ素子を直列接続した場合のインピーダンススミスチ
ャートを示し、(b)は、図3に示した弾性表面波装置
中の第1のSAWフィルタの出力側端子に、一端子対S
AW共振子を接続し、さらに8pFのコンデンサ素子を
直列接続した場合のインピーダンススミスチャートを示
す図。
【図9】図3に示した弾性表面波装置の第1のSAWフ
ィルタの出力側端子に一端子対SAW共振子を直列接続
した場合の減衰量周波数特性を示す図。
【図10】(a)及び(b)は、図3に示した弾性表面
波装置中の第1のSAWフィルタの出力側端子に一端子
対SAW共振子を直列接続した場合のインピーダンスス
ミスチャートを示す図であり、(a)は中央のIDT側
の端子のインピーダンススミスチャートを、(b)は外
側のIDT側の端子のインピーダンススミスチャートを
示す。
【図11】図1に示した従来の弾性表面波装置の第1の
SAWフィルタ側の減衰量周波数特性を示す図。
【図12】(a)及び(b)は、それぞれ、図1の弾性
表面波装置の第1のSAWフィルタの中央のIDT側の
端子及び外側のIDT側の端子におけるインピーダンス
スミスチャートを示す図。
【図13】図2に示した弾性表面波装置の第1のSAW
フィルタ側の減衰量周波数特性及びVSWR−周波数特
性を示す図。
【図14】(a)及び(b)は、それぞれ、図2に示し
た弾性表面波装置の中央のIDT側の端子及び外側のI
DT側の端子におけるインピーダンススミスチャートを
示す図。
【図15】図2に示した従来の弾性表面波装置の第2の
SAWフィルタ側の減衰量周波数特性及びVSWR−周
波数特性を示す図。
【図16】(a)及び(b)は、それぞれ、図2に示し
た弾性表面波装置の第2のSAWフィルタにおける外側
のIDTを含む側の端子及び中央のIDT側の端子のイ
ンピーダンススミスチャートを示す図。
【図17】第1,第2のSAWフィルタを単に並列に接
続した場合の第2のSAWフィルタの減衰量周波数特性
及びVSWR−周波数特性を示す図。
【図18】(a),(b)は、それぞれ、第1,第2の
SAWフィルタを単に並列接続した場合の外側のIDT
を含む側の端子及び中央のIDT側端子におけるインピ
ーダンススミスチャートを示す図。
【図19】本発明の弾性表面波装置の具体的な電極接続
状態の一例を説明するための略図的平面図。
【図20】一端子対SAW共振子をSAW共振子フィル
タの中央のIDTの一方の電極に直列接続し、15pF
のコンデンサ素子をさらに接続した場合の減衰量周波数
特性を示す図。
【図21】(a)及び(b)は、それぞれ、図20に示
した特性を得た構成のSAW共振子フィルタの外側ID
Tを含む側の端子及び中央のIDTを含む側の端子のイ
ンピーダンススミスチャートを示す図。
【図22】一端子対SAW共振子をSAW共振子フィル
タの中央のIDTの一方の電極に直列接続し、15pF
のコンデンサ素子をさらに接続し、加えて第2のSAW
フィルタを第1のSAWフィルタに並列接続した場合の
第1のSAWフィルタの減衰量周波数特性及びVSWR
−周波数特性を示す図。
【図23】(a)及び(b)は、それぞれ、図22に示
した特性を得た場合の構成において、第1のSAWフィ
ルタの外側のIDTを含む側の端子及び中央のIDTを
含む側の端子のインピーダンススミスチャートを示す
図。
【図24】本発明の弾性表面波装置の電極接続構造の他
の例を示す略図的平面図であり、圧電基板上に第1のS
AWフィルタ、一端子対SAW共振子及びコンデンサ素
子が接続されている状態を示す図。
【図25】図24に示した圧電基板を用いて構成された
本発明の弾性表面波装置の一例を説明するための断面
図。
【図26】同一圧電基板上に第1,第2のSAWフィル
タを構成してなる本発明の弾性表面波装置の他の構造例
を説明するための略図的平面図。
【図27】図26に示した弾性表面波装置をパッケージ
化してなる構造の断面図。
【図28】900MHz帯における3電極型縦結合SA
W共振子フィルタにおける、Al電極の膜厚hと電極の
波長λの比h/λに対する振幅特性の比帯域幅を示す
図。
【図29】図28に示した結果を得た場合の3電極型S
AW共振子フィルタの外側のIDT端子のインピーダン
ススミスチャートを示す図。
【符号の説明】
21…弾性表面波装置 22…第1のSAWフィルタ 23…第2のSAWフィルタ 24…並列接続点 25…コンデンサ素子 26…一端子対SAW共振子 27…インダクタンス素子 31…弾性表面波装置 32…第1のSAWフィルタ 33〜35…IDT 36,37…反射器 38…一端子対SAW共振子 39…並列接続点 40…コンデンサ素子 42…インダクタンス素子 42…第2のSAWフィルタ 43〜45…IDT 46,47…反射器 51…弾性表面波素子 52…圧電基板 53…3電極型SAW共振子フィルタ(第1のSAWフ
ィルタ) 54〜56…IDT 59a〜59c…接地電極 58…入力引き出し電極 60,61…反射器 62…一端子対SAW共振子 63…コンデンサ 64…接続電極(並列接続点) 71…弾性表面波装置 75…第1のSAWフィルタが形成された圧電基板 81…第2のSAWフィルタ 82〜84…IDT 85,86…反射器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 9/72 H03H 9/145 H03H 9/25

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のSAWフィルタを接続してなる弾
    性表面波装置であって、 通過帯域が相対的に高い周波数領域にある第1のSAW
    フィルタと、 通過帯域が相対的に低い周波数領域にあり、かつ前記第
    1のSAWフィルタに入力端または出力端側の接続点に
    おいて並列接続されている第2のSAWフィルタと、 前記第1のSAWフィルタと、前記接続点との間に接続
    されており、かつ前記弾性表面波装置の終端インピーダ
    ンスの1/4以上のインピーダンスを有するコンデンサ
    素子と、 前記コンデンサ素子と、第1のSAWフィルタとの間に
    接続されており、かつ***振周波数が第1のSAWフィ
    ルタの通過帯域よりも高周波数側となるように構成され
    ている一端子対SAW共振子とを備える、弾性表面波装
    置。
  2. 【請求項2】 前記第1のSAWフィルタが、圧電基板
    と、圧電基板上に形成された奇数個のインターデジタル
    トランスデューサと、前記奇数個のインターデジタルト
    ランスデューサが形成されている領域の両側に形成され
    た一対の反射器とを有する多電極型縦結合SAW共振子
    フィルタであり、かつ前記一対の反射器に隣接している
    一対のインターデジタルトランスデューサを含む複数の
    インターデジタルトランスデューサに前記一端子対SA
    W共振子が直列接続されている、請求項1に記載の弾性
    表面波装置。
  3. 【請求項3】 前記第1,第2のSAWフィルタが、そ
    れぞれ、圧電基板を用いて構成されており、前記コンデ
    ンサ素子が第1及び第2のSAWフィルタの圧電基板の
    うち一方の圧電基板上に構成されている、請求項1また
    は2に記載の弾性表面波装置。
  4. 【請求項4】 前記第1,第2のSAWフィルタが、同
    一の圧電基板を用いて構成されている、請求項1〜3の
    何れかに記載の弾性表面波装置。
  5. 【請求項5】 前記圧電基板が、36°Y−X LiT
    aO3 基板であり、かつ前記第1のSAWフィルタの通
    過帯域の中心周波数をf01、第2のSAWフィルタの中
    心周波数をf02とすると、 【数1】 の関係を満たすように構成されている、請求項4に記載
    の弾性表面波装置。
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