JP3172596B2 - 熱収縮性フィルム - Google Patents

熱収縮性フィルム

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JP3172596B2 JP25316192A JP25316192A JP3172596B2 JP 3172596 B2 JP3172596 B2 JP 3172596B2 JP 25316192 A JP25316192 A JP 25316192A JP 25316192 A JP25316192 A JP 25316192A JP 3172596 B2 JP3172596 B2 JP 3172596B2
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は共重合ポリエステルか
なる熱収縮性フィルムに関する。本発明の熱収縮性フィ
ルムは、収縮率の最大値が大きく、低温収縮性に優れ、
かつ収縮後の仕上がりが良好であるため、被覆材、結束
材、外装材などとして有用である。
【0002】
【従来の技術】熱収縮性フィルムは、熱風、輻射熱、熱
水等の加熱条件下で収縮する性質を利用して、包装、ラ
ベル、キャップシール、電気絶縁材などとして用いられ
ている。熱収縮性フィルムの樹脂素材としては、主とし
てポリ塩化ビニル、ポリスチレンおよびポリオレフィン
が使用されているが、ポリ塩化ビニル系フィルムは焼却
時に毒性のあるガスを発生する点、ポリスチレン系フィ
ルムは使用前の保存期間中に自然収縮が生じ易い点、ポ
リオレフィン系フィルムは低温収縮性が悪い点など、各
樹脂はそれぞれ欠点を有している。一方、ポリエチレン
テレフタレート系フィルムは、透明性、耐溶剤性、耐候
性等に優れ、かつ抗張力が高く、しかも廃棄処理におい
ても燃焼時に有毒なガスの発生が少ないという長所を有
することから種々の用途に使用されている。しかしなが
らポリエチレンテレフタレートからなる熱収縮性フィル
ムは、収縮率の最大値が小さいこと、収縮開始温度が高
いこと(すなわち低温収縮性が悪いこと)、および収縮
開始温度を越えるとその付近の狭い温度域で収縮率が急
激に増加し最大値に到達してしまうこと(すなわち収縮
速度が高いこと)という問題があるために、実用面にお
いて大きな制約を受けている。例えば、収縮速度が高い
熱収縮性フィルムは、収縮トンネル装置内で加熱された
場合に、加熱処理初期に瞬時に収縮してしまい、それ以
降の加熱ではもはやそれ以上ほとんど収縮しない。その
ため、収縮トンネル装置内に初めに入るフィルム部分と
後に入るフィルム部分との間で収縮差が生じてしまい、
収縮斑、皺、波打ち等が発生することになる。熱収縮性
フィルムとした場合におけるこれらの収縮特性上の欠点
を改善するために、ポリエチレンテレフタレートにネオ
ペンチルグリコールまたはイソフタル酸を共重合させ
て、非晶化およびガラス転移温度の低下を図った共重合
ポリエステルを素材とすることが提案されている(特開
昭63−156833号公報、特開昭63−20242
9号公報および特公昭63−7573号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のごときポリエチ
レンテレフタレートにネオペンチルグリコールまたはイ
ソフタル酸を共重合させた共重合ポリエステルからなる
熱収縮性フィルムは、ポリエチレンテレフタレートから
なる熱収縮性フィルムに比べると、収縮率の最大値の向
上等において収縮特性がある程度改善されてはいるが、
まだ十分な水準であるとは言い難い。すなわち、ネオペ
ンチルグリコールを共重合させたポリエステルでは、ガ
ラス転移温度が75℃前後と高く、熱収縮性フィルムと
したときに収縮開始温度がまだ高く、さらに収縮速度も
まだ高い。またイソフタル酸を共重合させたポリエステ
ルでは、高すぎる収縮速度の改善が不十分であり、また
収縮率の最大値もなお不足気味である。しかして本発明
の目的は、収縮率の最大値が大きいのみならず、低温収
縮性に優れ、かつ収縮速度が緩和され、収縮斑、皺、波
打ち等がない良好な収縮仕上がりとなる熱収縮性フィル
ムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、特定のコモノマーユニットを特定量でポリ
エチレンテレフタレート分子中に導入することにより、
収縮率の最大値が大きいのみならず、低温収縮性に優
れ、かつ収縮速度が緩和され、収縮斑、皺、波打ち等が
ない良好な収縮仕上がりとなる熱収縮性フィルムが提供
されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明、主として一般式
(I)
【0006】
【化5】
【0007】で示される構成単位(1)、一般式(II)
【0008】
【化6】
【0009】で示される構成単位(2)、一般式(II
I)
【0010】
【化7】
【0011】で示される構成単位(3)および一般式
(IV)
【0012】
【化8】
【0013】で示される構成単位(4)からなり、構成
単位(1)と構成単位(2)とのモル比が(1)/
(2)で95/5〜80/20の範囲内であり、構成単
位(3)と構成単位(4)とのモル比が(3)/(4)
で95/5〜65/35の範囲内であり、構成単位
(1)および構成単位(3)のモル数の和Xと構成単位
(1)、構成単位(2)、構成単位(3)および構成単
位(4)のモル数の和Yとの比がX/Yで155/20
0〜185/200の範囲内であり、ガラス転移温度が
40〜80℃の範囲内であり、かつフェノールとテトラ
クロロエタンの等重量混合溶媒中での30℃における極
限粘度が0.4dl/g以上である共重合ポリエステ
らなる熱収縮性フィルムである。
【0014】本発明においては、構成単位(1)と構成
単位(2)とのモル比が(1)/(2)で95/5〜8
0/20の範囲内であることが必要である。構成単位
(2)が構成単位(1)の95モルに対して5モルより
少ない場合には、熱収縮性フィルムとしたときに収縮率
の最大値が小さくなるか、または収縮速度が高くなる。
一方、構成単位(2)が構成単位(1)の80モルに対
して20モルより多い場合には、熱収縮性フィルムとし
たときに収縮速度が高くなり、収縮斑、皺、波打ち等が
発生し易くなる。収縮率の最大値の高さおよび適度に緩
和された収縮速度の両者のバランスから、構成単位
(1)と構成単位(2)とのモル比は(1)/(2)で
92/8〜85/15の範囲内であることが好ましい。
本発明においては、構成単位(3)と構成単位(4)と
のモル比が(3)/(4)で95/5〜65/35
囲内であることが必要である。構成単位(4)が構成単
位(3)の95モルに対して5モルより少ない場合に
は、熱収縮性フィルムとしたときに収縮率の最大値が低
くなり、またガラス転移温度が高く低温収縮性も不十分
となる。一方、構成単位(4)が構成単位(3)の65
モルに対して35モルより多い場合には、ガラス転移温
度が低くなりすぎて、熱収縮性フィルムとしたときに常
温付近で自然収縮が生じてしまうために実用に供し得な
くなる。さらに後者の場合、熱収縮性フィルムとしたと
きに収縮速度が高くなり、収縮斑、皺、波打ち等が発生
し易くなる。適度な収縮開始温度、収縮率の最大値の高
さおよび適度に緩和された収縮速度の点から、構成単位
(3)と構成単位(4)とのモル比は(3)/(4)で
90/10〜65/35の範囲内であることが好まし
い。
【0015】本発明においては、さらに、構成単位
(1)および構成単位(3)のモル数の和Xと構成単位
(1)、構成単位(2)、構成単位(3)および構成単
位(4)のモル数の和Yとの比がX/Yで155/20
0〜185/200の範囲内であることが必要である。
XがYの200に対して155未満の場合、熱収縮性フ
ィルムとしたときに収縮速度が高くなり、収縮斑、皺、
波打ち等が発生し易くなる。またXがYの200に対し
て185を越える場合、熱収縮性フィルムとしたときに
収縮率の最大値が低くなる。なお本発明において、通
常、構成単位(1)および構成単位(2)のモル数の和
は、構成単位(3)および構成単位(4)のモル数の和
に実質的に等しい。
【0016】上記のように、大きな収縮率最大値、優れ
た低温収縮性と常温付近での自然収縮防止性能とを両立
させる適当な収縮開始温度、および適当なレベルにまで
緩和された収縮速度というすべての点において望ましい
収縮特性を兼ね備えた熱収縮性フィルムを得るために
は、ポリエチレンテレフタレートに共重合するコモノマ
ーユニットとして、上記構成単位(2)または構成単位
(4)の一方のみを選択するだけでは不十分であり、こ
れらの両方を、しかもそれぞれ特定された範囲内の適切
な量において、選択することが重要である。本発明にお
いて共重合ポリエステルのガラス転移温度は、40〜8
0℃の範囲内である。ガラス転移温度が40℃未満
は、熱収縮性フィルムとしたときに常温付近で自然収縮
が生じてしまうので好ましくない。またガラス転移温度
が80℃を越えると、熱収縮性フィルムとしたときに低
温収縮性が悪くなる。熱収縮性フィルムとしたときに適
度な収縮開始温度を発現し得る点から、ガラス転移温度
は50〜70℃の範囲内であることが好ましい。
【0017】重合ポリエステルのフェノールとテトラ
クロロエタンの等重量混合溶媒中での30℃における極
限粘度は0.4dl/g以上である。極限粘度が0.4
dl/gより小さいと熱収縮性フィルムとしたときの強
度、耐衝撃性等の機械的性能が不十分となる。熱収縮性
フィルムへの形成性および熱収縮性フィルムとしたとき
の機械的性能の両方に優れる点で、極限粘度は0.5〜
1.5dl/gの範囲内であることが好ましい。
【0018】重合ポリエステルの製造方法としては、
公知のポリエステルの製造方法を適用することができ
る。すなわち共重合ポリエステルは、ジカルボン酸とジ
オールとを重縮合反応させる直接法、あるいはジカルボ
ン酸低級アルキルエステルとジオールとをエステル交換
反応によって重縮合させるエステル交換法のいずれによ
っても製造されうる。重縮合様式としては、溶融重縮合
法を採用することができるが、高重合度化を望むのであ
れば、溶融重縮合法と固相重縮合法とを組合わせ、溶融
重縮合で得られたポリエステルを減圧下または不活性ガ
ス流通下において融点または軟化点以下の温度で熱処理
することにより固相重縮合を行ってもよい。
【0019】重合ポリエステルを、ジメチルテレフタ
レート、ジメチルイソフタレート、エチレングリコール
および3−メチル−1,5−ペンタンジオールを原料モ
ノマーとして用いて製造する方法の例について次に示
す。ジメチルテレフタレートおよびジメチルイソフタレ
ートからなるジカルボン酸エステル混合物とエチレング
リコールおよび3−メチル−1,5−ペンタンジオール
からなるジオール混合物を、該ジオール混合物の合計量
が該ジカルボン酸エステル混合物の合計量に対し過剰モ
ル量、例えば1.1〜2.0倍モル量となるような割合
で、エステル交換触媒の存在下に、窒素気流中、常圧
下、約150〜240℃の温度で、生成するメタノール
を留出させながらエステル交換反応させ、次いで必要に
応じて重縮合触媒、着色防止剤などの添加物を添加した
のち、5mmHg以下の減圧下に約200〜280℃
で、生成ポリエステルが所望の極限粘度を有するに至る
まで重縮合させる。上記エステル交換触媒および重縮合
触媒としてはそれぞれ公知の広範囲のものを用いうる
が、エステル交換触媒の代表例としては、酢酸亜鉛、炭
酸亜鉛などの亜鉛化合物;酢酸マンガン、炭酸マンガン
などのマンガン化合物;酢酸カルシウム、炭酸カルシウ
ムなどのカルシウム化合物;酢酸コバルト、炭酸コバル
トなどのコバルト化合物;酢酸バリウム、炭酸バリウム
などのバリウム化合物などを挙げることができ、また重
縮合触媒の代表例としては、酸化アンチモンなどのアン
チモン化合物;酸化ゲルマニウムなどのゲルマニウム化
合物;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、
テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチ
タン、テトラブトキシチタンなどのチタン化合物;ジn
−ブチル錫ジラウレート、ジn−ブチル錫オキサイド、
ジブチル錫ジアセテートなどの錫化合物などが挙げら
れ、これら触媒の併用も可能である。ただし、ジオール
混合物中の3−メチル−1,5−ペンタンジオールの割
合が高い場合には、重縮合性が著しく低下することがあ
るため、チタン化合物等の高活性の重縮合触媒を使用す
るのが好ましい。なお前記のエステル交換触媒および重
縮合触媒は、それぞれ生成する共重合ポリエステルに対
して0.002〜0.8重量%の範囲内となるような量
で用いることが好ましい。また前記着色防止剤として
は、亜リン酸、リン酸、トリメチルホファイト、トリフ
ェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリメ
チルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリフェ
ニルホスフェート等のリン化合物が例示され、生成する
共重合ポリエステルに対して0.001〜0.5重量%
の範囲内となるような量で用いるのが一般的である。な
お、得られる共重合ポリエステルのガラス転移温度は該
共重合ポリエステル分子中の上記構成単位(1)〜
(4)の各構成単位の割合に依存し、また得られる共重
合ポリエステルを構成する各構成単位の割合は使用した
上記各モノマーの割合に依存するので、使用するモノマ
ー相互間での組成割合を適宜選択することにより、所望
の構成単位組成およびガラス転移温度を有する共重合ポ
リエステルを得ることができる。
【0020】重合ポリエステルは、前記のように、テ
レフタル酸またはそのジメチルエステル、ジエチルエス
テル等の低級アルキルエステル、イソフタル酸またはそ
のジメチルエステル、ジエチルエステル等の低級アルキ
ルエステル、エチレングリコールおよび3−メチル−
1,5−ペンタンジオールを出発原料として使用して製
造することができるが、その他のモノマーを目的に応じ
て少量併用してもよい。併用可能なモノマーとしては、
アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの脂肪族ジ
カルボン酸;ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカ
ルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニ
ルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン
酸、ナトリウムスルホイソフタル酸、ジブロモテレフタ
ル酸などの芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;トリメリッ
ト酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン
酸、またはこれらのジカルボン酸のエステル形成性誘導
体であるジメチルエステル、ジエチルエステル等の低級
アルキルエステル;1,3−プロパンジオール、1,4
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、2−メ
チル−1,8−オクタンジオールなどの脂肪族ジオー
ル;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール;2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオ
キシド付加物、4,4’−スルホニルビスフェノールの
エチレンオキシド付加物等の2価の芳香族アルコール;
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの
3価以上の多価アルコール等が例示される。
【0021】上記共重合ポリエステルからなる熱収縮性
フィルムは、例えば、該共重合ポリエステルを通常の熱
可塑性ポリエステルに採用されると同様な方法で、フィ
ルム状に成形し、それと同時にまたはその後に少なくと
も一軸方向に延伸し、さらに必要に応じて熱処理に付す
ることにより製造される。共重合ポリエステルをフィル
ム状に成形する方法としては、キャスト法、インフレー
ション法等の押出し成形法などが採用でき、共重合ポリ
エステルを乾燥後、Tダイ、リングダイ等の所定形状の
ダイから溶融押出しし、冷却することによりフィルム化
することができる。このフィルム化と同時にまたはその
後で行われる延伸方法としては、共重合ポリエステルの
ガラス転移温度付近の温度で、少なくとも一軸方向に2
〜5倍、より好ましくは3〜4倍に延伸するのがよい。
高い収縮率を有するフィルムを再現性よく製造するため
には、ガラス転移温度より10℃高い温度からガラス転
移温度より30℃高い温度までの範囲内の延伸温度を採
用するのが好ましい。得られる熱収縮性フィルムに一軸
収縮性を付与したいのであれば主として一軸方向のみの
延伸が好ましいが、その主延伸方向に引裂かれ易くなる
など、主延伸方向と垂直な方向の強度不足が生じること
があるので、それを改善するために主延伸方向と垂直な
方向に2倍未満の延伸を行ってもよい。上記のようにし
て延伸されたフィルムは、そのまま熱収縮性フィルムと
して使用することが可能であるが、さらに熱処理しても
よい。該熱処理は通常50℃〜150℃の範囲内の温
度、数秒間から数十秒間の範囲内の時間において、収縮
性を喪失してしまわないような条件下で行う。このよう
な熱処理を行うことにより、熱収縮性フィルムの収縮率
の調整、熱収縮性フィルム保管時の自然収縮の抑制、収
縮後での収縮斑の減少など、寸法安定性を向上させるこ
とができる。
【0022】なお、熱収縮性フィルム製造に用いる上記
共重合ポリエステルには、必要に応じ、本発明の効果を
阻害しない範囲内で、他の熱可塑性樹脂を補助的に少量
併用したり、一般的に熱可塑性樹脂に添加される物質、
すなわち、紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃
剤、難燃補助剤、染料、顔料等の着色剤、潤滑剤、可塑
剤、無機充填剤などを配合することも可能である。さら
に上記熱収縮性フィルムは、特定の性能を付与するため
に従来公知の加工が施されていてもよい。この種の加工
の例としては、紫外線、α線、β線、γ線、電子線など
の照射;コロナ処理、プラズマ照射処理、火炎処理など
の処理;塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリオレフィ
ン、ポリビニルアルコールなどの樹脂の塗布またはラミ
ネート;金属蒸着などが挙げられる。
【0023】上記熱収縮性フィルムの厚さは特に限定さ
れるものでなく、用途に応じて適宜選択しうるが、通常
1〜600μmの範囲内である。包装用途、特に食品、
飲料、医薬品等の包装用途においては、厚さが5〜38
0μmの範囲のものが好適である。また、ポリエステル
ボトル、ガラス瓶等のボトルのラベルとして用いる場合
には、厚さが20〜70μmの範囲内のものが好適であ
る。
【0024】本発明の熱収縮性フィルムは、収縮率の最
大値が大きく、低温収縮性に優れ、かつ収縮速度が緩和
され、収縮斑、皺、波打ち等がない良好な収縮仕上がり
となる。このため該熱収縮性フィルムは、被覆材、結束
材、外装材、電気絶縁材などとして、とりわけ包装、ラ
ベル、キャップシールなどとして有用である。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、
主な特性値の測定条件は次のとおりである。
【0026】(1)ポリエステル分子中に導入されたモ
ノマーの含有率 テレフタル酸ジメチル、エチレングリコールおよびそれ
ら以外のコモノマーからそれぞれ誘導されたポリエステ
ル分子中の各構成単位について、全ジカルボン酸単位基
準または全ジオール単位基準でのモル%を、重水素化ト
リフルオロ酢酸を溶媒とした該ポリエステルの1H−N
MR測定結果に基づき求めた。
【0027】(2)ポリエステルの固有粘度 フェノールとテトラクロロエタンの等重量混合溶媒中で
30℃で測定した。
【0028】(3)ポリエステルのガラス転移温度(T
g) JIS K7121に基づき示差熱分析法(DSC)に
より昇温速度10℃/分で測定した。ガラス転移温度が
低いポリエステルほど、熱収縮性フィルムとしたときに
収縮開始温度が低くなる傾向がある。
【0029】(4)フィルムの収縮性の評価 得られたフィルムから円筒形のラベルを形成し、水を充
填した内容積1リットルのPET(ポリエチレンテレフ
タレート)ボトルに被せ、設定温度80℃の収縮トンネ
ル装置内を通して熱風により加熱収縮させた。この加熱
収縮試験を30回行った。得られた30本の試料につい
て、ボトルの肩部および胴部を被覆しているラベルの形
態の良否を肉眼で評価し、また該フィルムがずり動くか
否かでラベルとボトルと密着状態を評価した。これらの
評価に基づき、下記の基準で収縮性を判定した。
【0030】◎:極めて良好な収縮状態(すべての試料
について、収縮斑、皺、波打ち等がなく、密着状態がよ
く、しかもラベル軸方向での寸法斑がない) ○:良好な収縮状態(収縮斑、皺、波打ち等がなく、密
着状態がよいが、試料の中にラベル軸方向で軽度の寸法
斑があるものが見受けられる) △:やや不良な収縮状態(収縮斑、皺、波打ち等が若干
認められ、密着状態もあまりよくない) ×:不良な収縮状態(収縮斑、皺、波打ち等が著しく、
密着状態も不良である)
【0031】(5)フィルムの熱収縮曲線 フィルムから主延伸方向に10cm、それと垂直な方向
に5cmの長方形の試料を7枚切取り、これらの試料を
それぞれ40〜100℃の範囲内の10℃間隔の各温度
のグリセリン浴中に、無荷重の状態で30秒間浸し収縮
させた後、試料の主延伸方向の寸法L(cm)を測定し
た。この寸法に基づき下記式に従い、各温度における熱
収縮率(%)を求め、熱収縮率(縦軸)と温度(横軸)
との関係で熱収縮曲線を作成した。
【0032】
【数1】 熱収縮率(%)=[(10−L)/10]×100
【0033】[ここで、Lは収縮後の試料の主延伸方向
寸法(cm)を表す]
【0034】熱収縮曲線において、曲線の立上がり温度
が収縮開始温度を示し、曲線最上部の温度が収縮終了温
度を示す。収縮開始温度が高すぎる熱収縮性フイルム
は、低温収縮性が悪いと判定できる。また、曲線の立上
がり部の傾きが急でなく、しかも収縮開始温度から収縮
終了温度までの収縮可能な温度範囲が広い熱収縮性フイ
ルムほど、使用時に収縮斑、皺、波打ち等が発生しにく
くなると判定できる。
【0035】実施例1 テレフタル酸ジメチル883.7重量部、イソフタル酸ジメ
チル98.2重量部、エチレングリコール669.4重量部およ
び3−メチルー1,5−ペンタンジオール69.9重量部
を、得られるポリエステルに対して約250ppmとなる
ような量のテトライソプロピルチタネートとともに攪拌
したのち、留出管を備えた反応器に仕込んだ。この反応
器内を十分に窒素置換したのち、常圧下で180℃まで温
度を上げ、攪拌を開始した。副生するメタノールを留去
しながら徐々に温度を上昇させ、温度が240℃に達した
ところで反応器中を徐々に減圧し始め、3.0トールの圧
力にした。温度が260℃になったところでさらに圧力を
0.1トールに減少させ、この温度で1時間攪拌を続け、
固有粘度0.75dl/gの共重合ポリエステルを得た。得
られた共重合ポリエステルについて、重水素化トリフル
オロ酢酸を溶媒として1H−NMR測定を行い、8.4
ppmにおける構成単位(2)のベンゼン環上の2位の
プロトンの吸収、1.2ppmにおける構成単位(4)
のメチル基のプロトンの吸収などから、該共重合ポリエ
ステルが実質的に構成単位(1)、構成単位(2)、構
成単位(3)および構成単位(4)からなることが判明
した。さらに得られた共重合ポリエステルについて、上
記したような特性評価を行った。これらの評価結果を表
1に示す。得られた共重合ポリエステルを270℃で溶融
させ、Tダイより30℃の冷却ロール上に押出し、厚さ0.
1mmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルム
を、使用した共重合ポリエステルのガラス転移温度より
10 ℃高い温度で縦方向に1.1倍、次いで横方向に4.0倍
延伸して、厚さ30μmの熱収縮性フィルムを得た。得ら
れた熱収縮性フィルムの収縮性の評価を行った。結果を
表1に示す。また、該熱収縮性フィルムの熱収縮曲線を
図1に示す。
【0036】実施例2〜5 テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、エチレ
ングリコールおよび3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ールの使用量を表1に示す値に変えた以外は実施例1と
同様にして反応を行い、種々の組成比の共重合ポリエス
テルを得た。また、実施例1と同様にして厚さ30μmの
熱収縮性フィルムを得た。得られた該ポリエステルおよ
び該フィルムについて、特性評価を行った。結果を表1
および図1に示す。
【0037】比較例1 テレフタル酸ジメチル707.4重量部、イソフタル酸ジメ
チル303.2重量部およびエチレングリコール726.7重量部
を、得られるポリエステルに対して223ppmとなるよ
うな量の酢酸マンガンとともに攪拌したのち、留出管を
備えた反応器に仕込んだ。反応器内を十分に窒素置換し
たのち、常圧下で180℃まで温度を上げ、攪拌を開始し
た。副生するメタノールを留去しながら徐々に温度を上
昇させ、温度が240℃に達したところで、亜リン酸およ
び三酸化アンチモンを、得られるポリエステルに対して
それぞれ123ppmおよび350ppmとなるような量で加
え、反応器中を徐々に減圧させて3.0トールの圧力にし
た。温度が280℃になったところで、さらに圧力を0.1ト
ールに減少させ、この条件下で1.5時間攪拌を続けるこ
とにより、固有粘度0.71dl/gの共重合ポリエステル
を得た。得られた共重合ポリエステルを使用する以外は
実施例1と同様にして厚さ30μmの熱収縮性フィルムを
作製した。得られた該ポリエステルおよび該フィルムに
ついて特性評価を行った。ポリエステルの特性評価およ
びフィルムの収縮性評価の結果を表1に示し、フィルム
の熱収縮曲線を図2に示す。
【0038】比較例2〜4 テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピ
ン酸ジメチル、エチレングリコールおよびネオペンチル
グリコールの使用量を表1に示す値に変えた以外は比較
例1と同様にして反応を行い、種々の構成単位組成の共
重合ポリエステルを得た。また、実施例1と同様にして
厚さ30μmの熱収縮性フィルムを得た。得られた該ポリ
エステルおよび該フィルムについて、特性評価を行っ
た。結果を表1および図2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】上記表1では使用したモノマーを略号で表
記しており、DMTはテレフタル酸ジメチルを表し、D
MIはイソフタル酸ジメチルを表し、DMAはアジピン
酸ジメチルを表し、EGはエチレングリコールを表し、
MPDは3−メチル−1,5−ペンタンジオールを表
し、またNPGはネオペンチルグリコールを表す。
【0041】なお、図1は実施例1〜5で得られた本発
明の熱収縮性フィルムの例の熱収縮曲線を示す。また図
2は比較例1〜4で得られた本発明とは異なる熱収縮性
フィルムの例の熱収縮曲線を示す。両図を対比すること
により、本発明の熱収縮性フィルムの熱収縮曲線は、適
当な立上がり温度(熱収縮開始温度)を示し、立上がり
部の傾きが比較的緩やかで、かつ加熱収縮温度範囲が広
いことがわかる。
【0042】
【発明の効果】記の実施例から明らかなように、本発
明の熱収縮性フィルムは、適当な熱収縮開始温度、適当
に緩和された収縮速度および広い収縮温度範囲を示し、
さらにこのような優れた熱収縮特性に由来して、収縮
斑、皺、波打ちがないなど、収縮仕上がりが良好であ
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱収縮性フィルムの例の熱収縮曲線を
示す図である。
【図2】本発明以外の熱収縮性フィルムの例の熱収縮曲
線を示す図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として一般式(I) 【化1】 で示される構成単位(1)、一般式(II) 【化2】 で示される構成単位(2)、一般式(III) 【化3】 で示される構成単位(3)および一般式(IV) 【化4】 で示される構成単位(4)からなり、構成単位(1)と
    構成単位(2)とのモル比が(1)/(2)で95/5
    〜80/20の範囲内であり、構成単位(3)と構成単
    位(4)とのモル比が(3)/(4)で95/5〜65
    /35の範囲内であり、構成単位(1)および構成単位
    (3)のモル数の和Xと構成単位(1)、構成単位
    (2)、構成単位(3)および構成単位(4)のモル数
    の和Yとの比がX/Yで155/200〜185/20
    0の範囲内であり、ガラス転移温度が40〜80℃の範
    囲内であり、かつフェノールとテトラクロロエタンの等
    重量混合溶媒中での30℃における極限粘度が0.4d
    l/g以上である共重合ポリエステルからなる熱収縮性
    フィルム
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