JP3164989B2 - 試料観察方法および多波長光光学顕微鏡 - Google Patents

試料観察方法および多波長光光学顕微鏡

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JP3164989B2 JP32916594A JP32916594A JP3164989B2 JP 3164989 B2 JP3164989 B2 JP 3164989B2 JP 32916594 A JP32916594 A JP 32916594A JP 32916594 A JP32916594 A JP 32916594A JP 3164989 B2 JP3164989 B2 JP 3164989B2
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慶記 池滝
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、像のコントラストが
良く、試料に関する情報量を多く得ることができる高精
な試料観察方法および多波長光光学顕微鏡に関するも
のである。さらに詳しくは、この発明は、試料の拡大像
だけではなく、同時にその化学組成などの情報量を得る
際に好適に用いることのできる、新しい試料観察方法お
よび多波長光光学顕微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、光学顕微鏡は、様
々の構造のものが開発され、利用されている。また、近
年、レーザー技術、電子画像技術などの周辺技術の進歩
により、さらに高精度の光学顕微鏡システムが開発され
ている。
【0003】たとえば、明視野顕微鏡(透過型顕微
鏡)、暗視野顕微鏡、走査型レーザー顕微鏡などがあ
る。
【0004】このうちの透過型顕微鏡は、光源の白色光
を試料に照射しその透過像を観察するもので、透過型の
生物顕微鏡として利用されている。
【0005】そして、この透過型顕微鏡を観察試料の形
態特徴にあわせて応用した、位相差顕微鏡、偏光顕微
鏡、微分干渉顕微鏡(ノマルスキー型顕微鏡)が知られ
ている。
【0006】位相差顕微鏡は、透明で厚さや屈折率が周
囲(媒質)と異なった物体、つまり位相差情報のみを有
する物体の観察に用いられ、位相差情報を光の干渉を利
用することにより振幅強度に変換することにより観察を
可能としたものである。
【0007】偏光顕微鏡は、鉱物、繊維、結晶などの観
察に利用され、物質の持つ異方性を観察するものであ
る。
【0008】微分干渉顕微鏡は、位相差顕微鏡と同様に
無線色試料の観察に利用され、光波が試料で受ける位相
変化を干渉像に変換することにより観察するものであ
る。偏光干渉を利用したノルマルスキー型顕微鏡が有名
である。
【0009】次に、前記の暗視野顕微鏡は、試料からの
散乱光または回折光により像を得て観察するものであ
る。照明光の開口数が対物レンズの開口数より大きい構
造となっていて、直接光は入射せず、真っ暗なバックグ
ラウンドの中に、散乱、蛍光または回折を引き起こす部
分が輝いて像となって見える。近年では、この暗視野顕
微鏡の応用として光源にパルスレーザーを用いたパルス
レーザー顕微鏡が開発されている。
【0010】また、走査型レーザー顕微鏡はレーザービ
ームにより試料表面を走査し、透過像や蛍光像を観察す
るものである。
【0011】このように、従来より様々な方式と構造の
光学顕微鏡が利用されてきた。しかしながら、これらの
従来の光学顕微鏡は、試料への照明構造に問題があるた
めに、像のコントラスト等の画質が不十分であり満足の
行く像を得ることができなかった。また従来の単一波長
による照明では、ある程度特定の分子の吸収像あるいは
蛍光像を観察することが可能ではあったが、一般にいく
つかの分子の吸収帯の波長領域は重複するために試料の
化学組成の正確な同定までは不可能であった。よって、
試料に関する得られる情報量が少なく不十分であるとい
った問題があった。
【0012】画像のコントラストは試料の厚みのみに依
存するため、透過型顕微鏡においては画試料が決ればコ
ントラストも一義的に決まってしまう。従って、コント
ラストを調整することができない。特に白色光を光源と
して用い、さらに試料が生物試料のような無色透明であ
る場合には、光の吸収が少ないためにコントラストの良
い像を得ることができなかった。このため、従来は薬品
により試料を染色することで像のコントラストの調整を
行っていた。しかし、この薬品による染色は試料の組成
変化を引き起こすことがあるため、本来の試料の様子を
観察できていないという可能性があった。特に生体試料
の場合には薬品のためにその生命活動を停止させてしま
うという危険性もあった。この薬品による染色は明視野
顕微鏡においてもしばしば利用されているが、光源を分
光し試料の吸収帯の波長で照明する場合でも、吸収が強
すぎてしまうと全体が暗い画像となってしまうため、や
はり、コントラストの悪い像になってしまうこともあっ
た。このように、従来ではコントラストなどの画質や情
報量が不十分なことと、観察の不安定性といった問題が
あった。
【0013】この発明は、上記のような従来技術の欠点
を解決するために創案されたものであって、従来の光学
顕微鏡の欠点を解消し、像のコントラストが良く、試料
に関する情報量を多く得ることができる、高精度な、新
しい試料観察方法および多波長光光学顕微鏡を提供する
ことを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するもの
として、この発明は、複数の光源より光を試料に照射
て、試料を観察する方法であって、波長を調整可能な第
1の光源の波長を、上記試料を基底状態から第1励起状
遷移させることのできる波長λ 1 に調整する段階
波長を調整可能な第2の光源の波長を、上記試料を
記第1励起状態からより高次の第2励起状態遷移さ
せることのできる波長λ 2 に調整する段階と、上記波長
λ 1 の光と上記波長λ 2 の光の光路を一致させる段階と、
上記光路を一致させた光を上記試料に照射する段階と、
上記試料に照射された後の光より、上記波長λ 1 の光を
カットする段階と、上記光を照射された上記試料を、上
記波長λ 1 の光による第1励起状態への遷移後の上記波
長λ 2 の光による第1励起状態 から第2励起状態への遷
移にともなう吸収像により観察する段階と、を有する
とを特徴とする試料観察方法(請求項1)、および、複
数の光源より光を試料に照射して、試料を観察する方法
であって、波長を調整可能な第1の光源の波長を、上記
試料を基底状態から第1励起状態へ遷移させることので
きる波長λ 1 に調整する段階と、波長を調整可能な第2
の光源の波長を、上記試料を上記第1励起状態からより
高次の第2励起状態へ遷移させることのできる波長λ 2
に調整する段階と、上記波長λ 1 の光と上記波長λ 2 の光
の光路を一致させる段階と、上記光路を一致させた光を
上記試料に照射する段階と、上記光を照射された上記試
料を、上記波長λ 1 の光による第1励起状態への遷移後
さらに上記波長λ 2 の光によって遷移された第2励起状
態からの脱励起による発光像により観察する段階と、を
有することを特徴とする試料観察方法(請求項2)を提
供する。
【0015】また、この発明は、上記の試料観察方法に
おいて、上記試料を観察する段階は、 上記波長λ 1
光の強度を制御して、上記吸収像または上記発光像を調
整する段階を含むことを特徴とする試料観察方法(請求
項3)や、上記試料を観察する段階は、上記波長λ 1
光および上記波長λ 2 の光の偏光面を制御して、試料の
配向方向を観察する段階を含むことを特徴とする試料観
察方法(請求項4)をも提供する。
【0016】さらにまた、この発明は、射出光の波長
を、試料を基底状態から第1励起状態へ遷移させること
のできる波長λ 1 へ調整可能な第1の光源と、射出光の
波長を、試料を上記第1励起状態からより高次の第2励
起状態へ遷移させることのできる波長λ 2 へ調整可能な
第2の光源と、上記第1の光源からの上記波長λ 1 の光
と上記第2の光源からの上記波長λ 2 の光の光路を一致
させる手段と、上記光路を一致させた光を試料に照射す
る手段と、上記試料に照射された後の光より、上記第1
の光源からの上記波長λ 1 の光を遮って上記第2の光源
からの上記波長λ 2 の光を透過させるフィルタと、上記
フィルタ透過後の波長λ 2 の光によって、上記波長λ 1
光による第1励起状態への遷移後の第1励起状態から第
2励起状態への遷移にともなう吸収像を観察するための
手段とを有し、上記第1の光源の強度 を調整することに
より、上記吸収像のコントラストを調整可能であること
を特徴とする多波長光光学顕微鏡(請求項5)、およ
び、射出光の波長を、試料を基底状態から第1励起状態
へ遷移させることのできる波長λ 1 へ調整可能な第1の
光源と、射出光の波長を、試料を上記第1励起状態から
より高次の第2励起状態へ遷移させることのできる波長
λ 2 へ調整可能な第2の光源と、上記第1の光源からの
上記波長λ 1 の光と上記第2の光源からの上記波長λ 2
光の光路を一致させる手段と、上記光路を一致させた光
を試料に照射する手段と、上記光を照射されて、上記第
1の光源からの上記波長λ 1 の光によって第1励起状態
へ遷移された後さらに上記第2の光源からの上記波長λ
2 の光によって第2励起状態へ遷移された上記試料から
の、上記第2励起状態からの脱励起による発光像を観察
するための手段とを有し、上記第1の光源の強度を調整
することにより、上記発光像の発光強度を調整可能であ
ることを特徴とする多波長光光学顕微鏡(請求項6)を
も提供する。
【0017】
【作用】上記の通りのこの発明の試料観察方法および
波長光光学顕微鏡では、各照射光の波長を、試料を構成
する分子を基底状態から第1励起状態へ遷移させる波長
および第1励起状態からより高次の励起状態へ遷移させ
る波長とするので、その吸収過程により吸収像を得るこ
とができ、また、これらの励起状態から脱励起する際に
発光される蛍光または燐光により発光像を得ることがで
きる。また、基底状態から第1励起状態へ遷移させる波
長の照射光の強度制御により、得られる像のコントラス
トを容易に調整することができる。また、各波長は試料
の分子に固有のものとなるので、試料の化学組成の同定
もすることができる。
【0018】原理的に説明するために、試料を構成する
分子の価電子軌道の電子を飽和軌道から空軌道へ励起さ
せることにより基底状態から第1励起状態へ遷移させる
光の共鳴波長をλ1とし、この共鳴波長λ1により生成さ
れた空孔に近接する飽和軌道の電子を励起させることに
より第1励起状態から第2励起状態へ遷移させる光の共
鳴波長をλ2とすると、この共鳴波長λ1光と共鳴波長λ
2光との関係は、以下の通りとなる。
【0019】図2は、試料としてのベンゼン分子の価電
子軌道の電子構造である。この図2に示されるように、
一般に、生体試料などの個体試料は最外殻の価電子軌道
が飽和している高分子である。図3は、図2の分子の第
1励起状態である。共鳴波長λ1光により飽和価電子軌
道2から空軌道の価電子軌道3へ励起することにより基
底状態から第1励起状態へ遷移する。図4は、第2励起
状態である。共鳴波長λ2光により共鳴波長λ1により生
成された価電子軌道2の空孔に飽和価電子軌道1の電子
を励起することにより第1励起状態から第2励起状態へ
遷移する。図5は、図4の第2励起状態から基底状態に
戻る状態である。分子は励起状態から基底状態に戻る際
に蛍光または燐光を発光する。ここで、図6に励起過程
(吸収過程)を示す。図6に示される過程において、基
底状態から第1励起状態に励起する時の吸収断面積をσ
1、その時の第1励起状態の寿命をτ、第1励起状態か
ら第2励起状態に励起するときの吸収断面積をσ2とす
る。また共鳴波長λ1のフォトンフラックスをI0、照射
時間をT、共鳴吸収により観察しようとする分子の密度
をN0とすると、時間tにおける基底状態にある分子の
密度Nは以下の平衡方程式で表わされる。
【0020】
【数1】
【0021】また、初期条件t=0:N=N0で、時間
T後における第1励起状態にある分子の密度nは次式で
表わされる。
【0022】
【数2】
【0023】ところで、試料に十分な厚みがある場合、
共鳴波長λ1の光は試料内を進行する際にその侵入深さ
に応じてそのフォトンフラックスI0が減衰するので、
nは光の侵入距離xの関数n(x)ということになる。
よって、n(x)は〔数2〕I0をI0exp (−μx)で
置き換えたものになる。ここで、μは線吸収係数であ
り、以下の式で表わされる。
【0024】
【数3】
【0025】従って、これらより〔数2〕は以下の式に
書きなおされる。
【0026】
【数4】
【0027】ここで、波長λ1光と波長λ2光を同じ光路
で試料を照明した場合、波長λ1光を照射しないときの
波長λ2光の吸収はないとすると、波長λ1光を照射終了
直後の厚みLの試料に対する波長λ2光の透過率T
(L)は以下の式で表わされる。
【0028】
【数5】
【0029】一般に、τは、1nsec程度であり、また波
長λ1光の照射時間はパルスレーザーを用いる場合10n
sec程度もありT>>τと近似できる。しかも、Lが十
分大きいと仮定すると、数5は以下の式で表わせられ
る。
【0030】
【数6】
【0031】この式より、T(L)はI0の関数であ
り、I0が増大するとT(L)は単調に減少するのがわ
かる。
【0032】従って、共鳴波長λ1光のフォトンフラッ
クスI0の制御により共鳴波長λ2光による透過像を完全
に制御することができる。また、フォトンフラックスI
0の制御によりn(x)も制御できるので、励起状態よ
り基底状態に戻る際に発光される蛍光または燐光の発光
強度も制御できる。従って、共鳴波長λ1光により共鳴
波長λ2光の像を調整することができるのである。
【0033】このように試料への照射光の波長を調整し
て試料分子に固有な共鳴波長λ1および共鳴波長λ2とす
ることで、各波長光の照射による励起過程の吸収像およ
び脱励起時の発光像を得ることができ、そして、共鳴波
長λ1光のフォトンフラックスI0の制御により、共鳴波
長λ2光による像のコントラストを容易に調整でき、良
いコントラストを得られる。
【0034】また、さらに波長λ1と波長λ2の2波長の
照明により試料の化学分析も可能である。最外殻価電子
軌道は分子に固有なエネルギー凖位を持っているので、
波長λ1も波長λ2も分子に固有なものとなる。従って、
2波長により吸収あるいは発光する分子を限定するので
従来よりも正確な試料の化学組成の同定ができる。これ
により透過像情報以外の試料に関する情報量を得ること
ができる。
【0035】また、この発明では光路に偏光面回転子を
設けることにより、各波長の光の偏光面を制御すること
ができるので、分子の配向方向を同定することが可能と
もなる。
【0036】
【実施例】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発明
について説明する。もちろんこの発明は以下の例によっ
て限定されるものではない。
【0037】図1は、この発明の一実施例としての多波
長光光学顕微鏡であり、光源として2台の色素レーザー
(3)、(7)を用いた2波長光光学顕微鏡である。
【0038】ポンプ光源(1)にはNd:YAGレーザ
ーを用いている。ポンプ光源(1)に隣接して設置され
たハーフミラー(2)によりレーザー光が分光され、分
光された2つのレーザー光はそれぞれ色素レーザー
(3)と色素レーザー(7)をポンプする。これにより
2つの光源となる。色素レーザー(3)の波長の調整
は、試料を構成する分子の価電子軌道の電子を飽和軌道
から空軌道へ励起させることにより基底状態から第1励
起状態へ遷移させることのできる共鳴波長λ1に調整す
る。ここで、短波長の光を必要とする場合には、その必
要に応じて、SHG、セカンドハーモニクスオシレータ
(4)を色素レーザー(3)後側に設置し短波長化す
る。一方、色素レーザー(7)の波長は、共鳴波長λ1
により生成された空孔にその空孔の軌道に近接する飽和
軌道の電子を励起させることにより第1励起状態から第
2励起状態へ遷移させることのできる共鳴波長λ2に調
整する。ここで、レーザー光を短波長化する場合には、
同様にSHG(8)を色素レーザー(7)の後側に設置
し短波長化する。これらにより、光源を共鳴波長λ1
共鳴波長λ2の2波長光とすることができる。次に、波
長λ1光と波長λ2光はそれぞれミラー(5)とミラー
(9)により方向を変えられ、ハーフミラー(11)で
それぞれの光路が一致され、同じ光路で進む。各波長光
はテレスコープ(12)により拡大され、コンデンサー
レンズ(13)で試料(14)に照射される。試料を構
成する分子はこの照射されたレーザー光により励起さ
れ、そのときの電子の吸収過程により吸収像が得られ
る。また、励起状態から基底状態へ戻る際に発光される
蛍光または燐光により発光像が得られる。これらの像は
対物レンズ(15)により拡大されハーフミラー(1
6)を介して接眼レンズ(17)により観察者の網膜上
に結像される。ここで、波長λ1の光をカットし、波長
λ2の光による像のみを観察できるようにするために接
眼レンズ(17)の後側にその必要に応じて随時フィル
ター(18)が挿入できるようになっている。また、対
物レンズ(15)と接眼レンズ(17)の間に設置され
たハーフミラー(16)で反射された光はその光路が変
更され、その変更された光路上に接眼レンズとは別に設
置されたテレビカメラ(20)により透過像を同時に観
察することができる。この時、同様に波長λ1の光をカ
ットし、波長λ2の光による像のみを観察できるように
するためにハーフミラー(16)とテレビカメラ(2
0)の間にフィルター(19)が随時挿入可能となって
いる。
【0039】この2波長光光学顕微鏡において、共鳴波
長λ2光による透過像のコントラストの調整は、色素レ
ーザー(3)の出力を調整することにより共鳴波長λ1
光の強度を制御することで行うことができる。
【0040】また、さらにこの2波長光光学顕微鏡に
は、波長λ1光の光路に偏光面回転子(6)がミラー
(5)とハーフミラー(11)の間に設置され、波長λ
2光の光路に偏光面回転子(10)がミラー(9)とハ
ーフミラー(11)の間に設置されている。これは、価
電子が励起されるときは分子軸に対して特定の電場ベク
トルを持つ光が吸収されるので、波長λ1光の偏光面
(方向)を偏光面回転子(6)により制御し、また波長
λ2光の偏光面(方向)を偏光面回転子(10)により
制御することで、分子の配向方向をも同時に観察し同定
することができるものである。これにより透過像情報以
外の試料に関する情報量をさらに得ることができる。こ
の偏光面回転子としては、波長板またはプリズムを用い
ることができる。
【0041】た、光源としては水銀ランプなどの白色
光源を用いてもよく、この場合は、回折格子などを設置
して多波長に分光した後、それぞれの光の光路を揃えて
試料を照明することにより像を得ることができる。
【0042】なお、この発明の多波長光光学顕微鏡は、
各種の明視野顕微鏡に適用するだけでなく、蛍光顕微鏡
などの暗視野顕微鏡や走査型レーザー顕微鏡にも適用す
ることができることはいうまでもない。
【0043】
【発明の効果】この発明は、以上詳しく説明したように
構成されているので、以下に記載されるような効果を奏
する。
【0044】(イ)各照射光の波長を、試料を構成する
分子を基底状態から第1励起状態へ遷移させる波長およ
び第1励起状態からより高次の励起状態へ遷移させる波
長としているので、その吸収過程により吸収像を得るこ
とができ、また、励起状態から脱励起する際に発光され
る蛍光又は燐光により発光像を得ることができる。
【0045】(ロ)また、基底状態から第1励起状態へ
遷移させる波長の照射光の強度制御により、得られる像
のコントラストを容易に調整することができる。
【0046】(ハ)また、各波長は試料の分子に固有の
ものとなるので、試料の化学組成の同定もすることがで
きる。従って、試料の拡大像だけではなく、同時にその
化学組成などの情報量を得ることができる。
【0047】(ニ)各波長の光の偏光面を制御すること
ができるので、分子の配向方向を同定することができ
る。従って、試料に関する情報量を多く得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例としての多波長光光学顕微
鏡の構成図である。
【図2】試料(ベンゼン)を構成する分子の価電子軌道
の電子構造の模式図である。
【図3】図2の分子の第1励起状態の模式図である。
【図4】図2の分子の第2励起状態の模式図である。
【図5】図4の第2励起状態から基底状態に戻る状態の
模式図である。
【図6】分子の励起過程(吸収過程)を例示した図であ
る。
【符号の説明】
1 ポンプ光源 2 ハーフミラー 3 色素レーザー 4 SHG、セカンドハーモニクスオシレータ 5 ミラー 6 偏光面回転子 7 色素レーザー 8 SHG 9 ミラー 10 偏光面回転子 11 ハーフミラー 12 テレスコープ 13 コンデンサーレンズ 14 試料 15 対物レンズ 16 ハーフミラー 17 接眼レンズ 18 フィルター 19 フィルター 20 ビデオカメラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 正明 神奈川県横浜市青葉区桜台44−97 パス トラール桜台106 (56)参考文献 特開 平6−18415(JP,A) 特開 昭55−67718(JP,A) 特開 昭47−33662(JP,A) 特開 平5−273129(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数の光源より光を試料に照射して、試
    料を観察する方法であって、波長を調整可能な第1の光源の波長を、上記 試料を基底
    状態から第1励起状態遷移させることのできる波長λ
    1 に調整する段階と波長を調整可能な第2の光源の波長を、上記 試料を
    第1励起状態からより高次の第2励起状態遷移させる
    ことのできる波長λ 2 に調整する段階と、 上記波長λ 1 の光と上記波長λ 2 の光の光路を一致させる
    段階と、 上記光路を一致させた光を上記試料に照射する段階と、 上記試料に照射された後の光より、上記波長λ 1 の光を
    カットする段階と、 上記光を照射された上記試料を、上記波長λ 1 の光によ
    る第1励起状態への遷移後の上記波長λ 2 の光による第
    1励起状態から第2励起状態への遷移にともなう吸収像
    により観察する段階と、 を有する ことを特徴とする試料観察方法
  2. 【請求項2】 複数の光源より光を試料に照射して、試
    料を観察する方法であって、 波長を調整可能な第1の光源の波長を、上記試料を基底
    状態から第1励起状態へ遷移させることのできる波長λ
    1 に調整する段階と、 波長を調整可能な第2の光源の波長を、上記試料を上記
    第1励起状態からより高次の第2励起状態へ遷移させる
    ことのできる波長λ 2 に調整する段階と、 上記波長λ 1 の光と上記波長λ 2 の光の光路を一致させる
    段階と、 上記光路を一致させた光を上記試料に照射する段階と、 上記光を照射された上記試料を、上記波長λ 1 の光によ
    る第1励起状態への遷移後さらに上記波長λ 2 の光によ
    って遷移された第2励起状態からの脱励起による発光像
    により観察する段階と、 を有することを特徴とする試料観察方法
  3. 【請求項3】 上記試料を観察する段階は、 上記波長λ 1 の光の強度を制御して、上記吸収像または
    上記発光像を調整する段階を含むことを特徴とする 請求
    項1または2記載の試料観察方法
  4. 【請求項4】 上記試料を観察する段階は、 上記波長λ 1 の光および上記波長λ 2 の光の偏光面を制御
    して、試料の配向方向を観察する段階を含むことを特徴
    とする 請求項1または2記載の試料観察方法
  5. 【請求項5】 射出光の波長を、試料を基底状態から第
    1励起状態へ遷移させることのできる波長λ 1 へ調整可
    能な第1の光源と、 射出光の波長を、試料を上記第1励起状態からより高次
    の第2励起状態へ遷移させることのできる波長λ 2 へ調
    整可能な第2の光源と、 上記第1の光源からの上記波長λ 1 の光と上記第2の光
    源からの上記波長λ 2 の光の光路を一致させる手段と、 上記光路を一致させた光を試料に照射する手段と、 上記試料に照射された後の光より、上記第1の光源から
    の上記波長λ 1 の光を遮って上記第2の光源からの上記
    波長λ 2 の光を透過させるフィルタと、 上記フィルタ透過後の波長λ 2 の光によって、上記波長
    λ 1 の光による第1励起状態への遷移後の第1励起状態
    から第2励起状態への遷移にともなう吸収像を観察する
    ための手段とを有し、 上記第1の光源の強度を調整することにより、上記吸収
    像のコントラストを調整可能であることを特徴とする
    波長光光学顕微鏡。
  6. 【請求項6】 射出光の波長を、試料を基底状態から第
    1励起状態へ遷移させることのできる波長λ 1 へ調整可
    能な第1の光源と、 射出光の波長を、試料を上記第1励起状態からより高次
    の第2励起状態へ遷移させることのできる波長λ 2 へ調
    整可能な第2の光源と、 上記第1の光源からの上記波長λ 1 の光と上記第2の光
    源からの上記波長λ 2 の光の光路を一致させる手段と、 上記光路を一致させた光を試料に照射する手段と、 上記光を照射されて、上記第1の光源からの上記波長λ
    1 の光によって第1励起状態へ遷移された後さらに上記
    第2の光源からの上記波長λ 2 の光によって第2励起状
    態へ遷移された上記試料からの、上記第2励起状態から
    の脱励起による 発光像を観察するための手段とを有し、 上記第1の光源の強度を調整することにより、上記発光
    像の発光強度を調整可能であることを特徴とする 多波長
    光光学顕微鏡。
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