JP3158470B2 - 転がり又は滑りを伴う部品 - Google Patents

転がり又は滑りを伴う部品

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JP3158470B2
JP3158470B2 JP07141691A JP7141691A JP3158470B2 JP 3158470 B2 JP3158470 B2 JP 3158470B2 JP 07141691 A JP07141691 A JP 07141691A JP 7141691 A JP7141691 A JP 7141691A JP 3158470 B2 JP3158470 B2 JP 3158470B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、転がり又は滑りを伴う
部品に係り、特に、転がり軸受,滑り軸受,転がり案
内,滑り案内等に使用される転がり又は滑りを伴う部品
の精度及び耐摩耗性向上に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、転がり軸受,滑り軸受,転がり案
内,滑り案内等に使用される転がり又は滑りを伴う部
品、例えば、ピボット軸受の球面受け,転がり軸受の保
持器,転がり案内及び滑り案内の案内面等のように、曲
面を有する転がり又は滑りを伴う部品は、素材ブランク
を切り出して当該ブランクに塑性加工を施し、所望の曲
面形状にプレス加工を行った後、このブランクに熱処理
を行い当該ブランクの全体又は表面を硬化して耐摩耗性
を付与し、さらに、前記熱処理により生じる前記ブラン
ク表面の変形,表面粗さ不良,表面の黒色変色等の問題
を解決するために曲面部分や取り付け基準面部等に切削
加工やラップ加工を行って製造している。
【0003】また、前記熱処理として、レーザビーム等
の高エネルギービームを用いて前記ブランクの所望部分
を硬化する場合も同様に、当該ブランクの変形,表面粗
さ不良,表面の黒色変色等の問題を解決するために曲面
部分や取り付け基準面部等に研削加工やラップ加工を行
って製造している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記方
法のように、曲面部分や取り付け基準面部等に研削加工
やラップ加工を行うには、特殊な治具を使い長時間かけ
て1個づつ行わなければならないため、手間がかかり、
生産性を向上することができないため、コストアップの
原因となるという問題があった。
【0005】そこで、特開昭58−39728号及び特
開昭61−92734号に開示されているように、被加
工物にレーザビーム等の高エネルギービームを照射して
硬化処理を行った後に、成型加工(塑性加工)を施す従
来例が存在する。
【0006】しかしながら、特開昭58−39728号
及び特開昭61−92734号に開示されている従来例
は、被加工物に高エネルギービームによる部分焼入れを
行った後、当該被加工物の非硬化部分に塑性変形を行う
ものであり、硬化部分の塑性変形に関する教示がされて
いないため、適度な表面硬さ(例えば、HRC58以
上)が必要な軸受,案内等の部品の部材として応用でき
るものではなかった。
【0007】そこで、本発明は、このような問題を解決
することを課題とするものであり、被加工物に高エネル
ギービームを照射して焼入れ硬化し、当該被加工物に最
適な表面硬さを付与した後、当該焼入れ硬化処理面を圧
縮応力領域にして成型加工することで、クラックの発生
を防ぎ精度及び耐摩耗性を向上した転がり又は滑りを伴
う部品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に請求項1の発明は、被加工物の所望部分にエネルギー
ビームを照射して焼入れ硬化した後、前記被加工物を所
望の形状に成型加工した部材からなる転がり又は滑りを
伴う部品において、前記被加工物の軌道面又は摺動面と
なる部位にエネルギービームを照射して前記部位が焼入
硬化された板状,環状体の少なくとも1つから選ばれる
部品予備体が、前記焼入硬化された部位を凹面側にして
成型されてなる軌道面又は摺動面を有する部品を提供す
るものである。また、請求項2の発明は、前記部品の軌
道面又は摺動面は、焼入硬化された部位に隣接して非硬
化部位を有する請求項1に記載の軌道面又は摺動面を有
する部品としている。 さらに、請求項3の発明は、前記
被加工物が、ピボット軸受の球面受け,転がり軸受の保
持器,リニアスライドのインナウエイ又はアウタウエ
イ,ニードル軸受の外輪,薄型玉軸受の外輪の少なくと
も1つから選ばれる請求項1又は2に記載の軌道面又は
摺動面を有する部品である。
【0009】
【作用】素材の所望部分を簡単に焼入れ硬化するには、
当該所望部分にエネルギービーム、特に、高エネルギー
ビームを照射することが効果的である。そして、転がり
又は滑りを伴う部品に過酷な使用にも十分に耐え得る耐
摩耗性を付与するには、焼入れ硬化処理等により当該部
品の軌道面又は摺動面(転がり又は滑りを伴って他の部
品と接触する接触面)に最適な表面硬度を持たせること
が重要である。
【0010】そこで、前記転がり又は滑りを伴う部品の
素材の段階で、所望部分にエネルギービームを照射して
焼入れ硬化し、当該部品に必要な表面硬さを付与した
後、所望の形状に成型加工することを試みた。
【0011】一般的に、成型加工時に前記素材を曲げる
と、曲がった外側(凸側)には引っ張り応力が、反対の
凹側には圧縮応力が生じる。この両応力に着目し、前記
成型加工時に、前記素材(被加工物)の焼入れ硬化処理
面を圧縮応力領域(硬化領域を凹側に、非硬化領域を凸
側)として所望の形状に成型加工する。即ち、硬化領域
と非硬化領域とを素材の肉厚方向に共存させた状態と
し、表面硬度の低い非硬化領域に塑性変形を受持たせし
め、以て、引っ張り応力を緩和し、また、後に軌道面又
は摺動面となる凹側には、残留圧縮応力が付与されるの
で、高精度で、耐摩耗性が向上した転がり又は滑りを伴
う部品を提供することができる。
【0012】
【実施例】次に、本発明に係る実施例について、図面を
参照して説明する。 (第1実施例)先ず、第1実施例として、本発明に係る
転がり又は滑りを伴う部品として、ピボット軸受の球面
受けを作製する。
【0013】図1は、ピボット軸受の球面受けの製造工
程を示す部分断面図であり、図2は、図1に示す球面受
けを使用したピボット軸受の断面図である。図1(1)
に示す工程では、被加工物1として板厚2mmのS55
Cを切り出した。
【0014】次いで、図1(2)に示す工程では、図1
(1)に示す工程で切り出した板状素材1の中央部分、
即ち、ピボット軸受の球面受け11に成型された際に、
軌道面となる部分(軸12と転がり接触する部分)に高
エネルギービーム2としてYAGレーザを照射して焼入
れ硬化する。この時の焼入れ方法は、図3に示す装置を
用い、被加工物1を回転テーブル21上にセットした
後、高エネルギービーム2の焦点を被加工物1の上にず
らして高エネルギービーム2の径を広げた状態とし、回
転テーブル21及びX−Yテーブル22を動かして、被
加工物1上を高エネルギービーム2が螺旋状に照射され
るようにし、硬化部分3を得る。この時、焼入れ性を向
上するために、冷却用のあて金20を使用し、熱の拡散
速度を向上した。尚、高エネルギービーム2の条件を表
1に示す。また、硬化部分3の表面からの深さと硬度と
の関係を図4に示す。尚、図3は、高エネルギービーム
2による焼入れ硬化処理を示す概要図である。
【0015】前記高エネルギービーム2の照射は平面状
態の被加工物1に行うため、照射位置や照射条件の設定
が簡単である。尚、高エネルギービーム2のオーバーラ
ップ部には、心配された軟化部分は認められなかった。
【0016】
【表1】 次に、図1(3)に示す工程では、図1(2)に示す工
程で得た硬化部分3を有する被加工物1の硬化面側を研
削加工する。この研削加工は、図4に示す硬度分布を参
考にして、硬化部分3の表面硬度及び硬化深さが最適値
となるように適宜設定して行う。その後、表面状態をさ
らに良くしたい時は、ラップ加工を行う。このように、
平面状態の被加工物1に研削加工及びラップ加工を行う
ため、連続的に短時間で、しかも簡単に所望の板厚寸法
や表面状態(表面粗さ等)を得ることができる。
【0017】このように、前記板厚が所定の寸法に仕上
がるため、前記焼入れ硬化処理により被加工物1に反り
等の変形が生じていても後のプレス加工工程に悪影響を
及ぼすことはない。
【0018】次いで、図1(4)に示す工程では、図1
(3)に示す工程で得た被加工物1の硬化面側が凹側
(軌道面側)となるようにプレス加工し、図1(5)に
示すピボット軸受の球面受け11を得た。この球面受け
11は、表面硬度の低い非硬化部分が塑性変形を受持つ
ため、引っ張り応力を緩和し、且つ、後のプレス加工に
より軌道面となる部分には、最適な表面硬さ及び残留圧
縮応力が付与されるため、寸法精度,耐摩耗性を向上す
ることができる。
【0019】尚、前記プレス加工を行う際、被加工物1
の硬化部分3の変形能がその周辺の非硬化部分の変形能
より悪い場合が生じても、硬化層の厚さを薄くすること
で周辺の非硬化部分の変形にならって塑性変形を起こす
ことが可能なため問題はない。また、硬化部分3と非硬
化部分との境界が塑性変形能の急激な変化により、塑性
変形後、当該境界表面にわずかな表面形状の不連続を生
じる場合があっても、製品設計時及び金型設計時にこれ
を考慮して設計すれば問題はない。
【0020】以上の工程で得た球面受け11は、研削加
工やラップ加工等の表面仕上げ加工を行った後、プレス
加工等の塑性加工をしてもその表面粗さを良好なまま維
持できるため、塑性加工後の仕上げ加工を必要とせず直
ちに最終製品形状とすることができる。この結果、高精
度で耐摩耗性に優れた球面受け11を量産的に効率良く
製造できる。 (第2実施例)次に、本発明に係る第2実施例として、
本発明に係る転がり又は滑りを伴う部品としてリニアス
ライドの内外のレール(インナウエイ及びアウタウエ
イ)を作製する。
【0021】図5(1)は、リニアスライド(転がり案
内)の概念図であり、図5(2)は、図5(1)のA−
A断面図である。図5に示すように、このリニアスライ
ドは、可動するインナウエイ31及び固定されたアウタ
ウエイ32の間にプラスチック保持器33により保持さ
れたボール30が位置し、このインナウエイ31及びア
ウタウエイ32の両端には、ばれ止めのプラスチックキ
ャップ34が設けられた構造をしている。
【0022】第1実施例と同様の被加工物1を用い、リ
ニアスライドのインナウエイ31及びアウタウエイ32
の軌道面となる部分(即ち、インナウエイ31及びアウ
タウエイ32に成型された際に、ボール30と転がり接
触する部分)にそれぞれ高エネルギービーム2としてY
AGレーザを照射して焼入れ硬化する。この焼入れ方法
は、図6に示す装置を用い、第1実施例と同様に、被加
工物1をX−Yテーブル22上にセットした後、高エネ
ルギービーム2の焦点を被加工物1の上にずらして高エ
ネルギービーム2の径を広げた状態とし、X−Yテーブ
ル22を動かして、高エネルギービーム2が軌道面とな
る部分に照射されるようにし、硬化部分3を得る。この
時も焼入れ性を向上するために、第1実施例と同様にあ
て金をあてて熱の拡散速度を向上した。この高エネルギ
ービーム2(YAGレーザ)の条件を表2に示す。尚、
図6は、高エネルギービーム2による焼入れ硬化処理を
示す概要図である。
【0023】
【表2】 その後、第1実施例と同様の研削加工及びラップ加工を
行った後、プレス加工して、精度及び耐摩耗性が向上し
たインナウエイ31及びアウタウエイ32を得た。
【0024】以上の工程で得たインナウエイ31及びア
ウタウエイ32は、研削加工やラップ加工等の表面仕上
げ加工を行った後、プレス加工等の塑性加工をしてもそ
の表面粗さを良好なまま維持できるため、塑性加工後の
仕上げ加工を必要とせず直ちに最終製品形状とすること
ができる。この結果、高精度で耐摩耗性に優れたインナ
ウエイ31及びアウタウエイ32を量産的に効率良く製
造できる。 (第3実施例)次に、本発明に係る第3実施例として、
本発明に係る転がり又は滑りを伴う部品として転がり軸
受の保持器を作製する。
【0025】図7(1)は、波型保持器の平面図、図7
(2)は、一部側面図、図7(3)は、波型保持器を使
用した転がり軸受の概念図である。被加工物1として、
焼入れ硬化又は急速加熱急速冷却による溶融硬化が可能
な円盤形状の板厚0.4mmのSUS420J2を使用
し、前記実施例と同様軸受を回転した時に、波型保持器
35がボール30と接触する部分(軌道面)に高エネル
ギービーム2を照射して焼入れ硬化処理を行う。この時
の高エネルギービーム2として使用した電子ビームの条
件を表3に示す。また、硬化部分3の表面からの深さと
硬度との関係を図8に示す。その後、円盤状板材のまま
研削加工,ラップ加工を行い、必要に応じてバレル加工
を行う。次に、被加工物1にプレス加工を行い転がり軸
受の波型保持器35を作製する。
【0026】
【表3】 この波型保持器35は、ボール30との接触部分を硬化
しているため、波型保持器35の摩耗を防ぐ効果を有す
る。このため、例えば、高温,真空中のような厳しい条
件下で使用される半導体製造装置等に用いる軸受の保持
器として使用することも可能である。即ち、半導体製造
装置等に用いる軸受の潤滑は、無潤滑(ドライ)であっ
たり、固体潤滑剤が使用されることが多く、潤滑条件と
しては油潤滑と比較して摩耗が生じ易い。特に、半導体
製造装置用の軸受は、発塵が嫌われるため、保持器の摩
耗を極力少なくすることが要求されている。このため、
本発明に係る部材を使用した保持器は、半導体製造装置
等に用いる軸受の保持器としても有効である。
【0027】半導体製造装置等に用いる軸受の内輪及び
外輪,ボール及び保持器の素材としてステンレスが多く
使用されているが、特に、本発明の場合、マルテンサイ
ト系ステンレス鋼を使用することが好適である。また、
他の種類のステンレス鋼を使用する場合は、その表面の
所望位置に高エネルギービームを照射し、急速加熱によ
り表面を溶融させた後、急冷して表面硬化させることで
対応することができる。 (第4実施例)次に、本発明に係る第4実施例として、
本発明に係る転がり又は滑りを伴う部品としてニードル
軸受の外輪を作製する。
【0028】図9は、ニードル軸受の断面図である。被
加工物1として、板厚1mmのS55C材を用い、これ
を円盤状に打ち抜いた後、バレル加工を行いバリを取り
除く。次に、この円盤状のブランク1Aを用い、外輪3
6の軌道面となる部分(即ち、軸受を回転した時に外輪
36がニードル38(転動体)と接触する部分)に高エ
ネルギービーム2を照射して焼入れ硬化処理を行い、図
10に示す硬化部分3を有する円盤状のブランク1Aを
得た。次いで、硬化面側を研削加工,ラップ加工して表
面仕上げを行った後、図11に示す絞り加工方法で円筒
状に加工しながら片側端面をほぼ直角に曲げ加工する。
次いで、ニードル38と保持器33とを組み込み、その
後、他方の端面をほぼ直角に曲げ加工する。前記焼入れ
硬化処理は、所望部分のみに行うことが可能であり、前
記のようにほぼ直角に曲げ加工(塑性加工)する部分に
は、焼入れ硬化処理を施さないようにできるため、加工
が容易に行える。このようにして、図12に示す円筒状
の外輪36を得た。
【0029】この外輪36を使用したニードル軸受は、
ニードル38が常に外輪36の硬化部分3上を転がり接
触しながら回転するため摩耗が少ない。そして、安価な
ニードル軸受を提供することができる。
【0030】また、端面部ニードル側にも前記同様、硬
化部分3を形成することで、外輪36がニードル端面や
保持器33と接触しても摩耗を防ぐことができる。ま
た、図13に示す保持器付きシェル型軸受のように、外
輪36の厚さ(肉厚)が、例えば、1mm以下と薄い場
合は、高エネルギービーム2の照射条件により、硬化部
分3の裏側表面まで硬化することができる。この場合、
当該裏側表面の表面硬度がHv300〜400となるよ
うに焼戻し処理を行うことが好的である。この後、表面
仕上げ加工を行った後、プレス加工を行う。当該焼戻し
処理によりプレス加工での割れを防ぎ、さらに軸受とし
て完成した時に、外輪36の外径部分にも硬化部分3が
形成されているため、この軸受をハウジングに組み込む
際に、かじりが生じにくく有利である。尚、図13
(1)は、開放形,図13(2)は、一端密閉形を示
す。 (第5実施例)次に、本発明に係る第5実施例として、
本発明に係る転がり又は滑りを伴う部品として薄型玉軸
受の外輪を作成する。
【0031】被加工物1として、板厚0.5mmのS5
5Cを用い、第4実施例と同様に円盤状のブランク1A
を作製した後、外輪36の軌道面となる部分(即ち、軸
受を回転した時に外輪36がボール30と接触する部
分)に高エネルギービーム2を照射して焼入れ硬化処理
を行い、図14に示す硬化部分3を有する円盤状のブラ
ンク1Aを得た。次いで、硬化部分3の表面硬度がHv
400〜500となるように焼戻し処理を行う。次い
で、硬化面側を研削加工,ラップ加工して表面仕上げを
行った後、第4実施例と同様のプレス加工(絞り加工)
を行う。この時、前記焼戻し処理を行ったことで、円盤
状のブランク1Aの変形能が増し、加工が容易となるた
め、円盤状のブランク1Aが図14に示すようにリング
状に硬化されていても割れが発生することなく図15に
示す円筒状の外輪36を得ることができる。
【0032】図16は、この外輪36を使用した薄型玉
軸受の製品断面図であり、この薄型玉軸受は、事務機等
の軽荷重を支えラジアル回転するものであるため、外輪
36の軌道面の表面硬度は、Hv400〜500で十分
である。尚、前記焼戻し処理は、図17に示す焼戻し条
件(温度,時間)とビッカース硬さとの関係により、外
輪36の軌道面が所望の硬さとなるように行った。
【0033】この外輪36を使用した薄型玉軸受は、ボ
ール30が常に外輪36の硬化部分3上を転がり接触し
ながら回転するため摩耗が少ない。そして、安価な薄型
玉軸受を提供することができる。
【0034】尚、本実施例では、素材の軌道面となる部
分にエネルギービームを照射して焼入れ硬化する場合に
ついて説明したが、素材の摺動面となる部分、例えば,
滑り軸受の内外輪の摺動面,滑り案内のレールの摺動面
となる部分等に焼入れ硬化しても、同様の硬化を有する
部品を得ることができることは勿論である。
【0035】そして、被加工物としては、S55C,S
US420J2等に限らず、他の高炭素クロム軸受鋼,
ステンレス鋼等を用いることができることは勿論であ
る。また、本実施例の高エネルギービームは、電子ビー
ムやYAGレーザに限らず、CO2 レーザ等、他のビー
ムを使用してもよい。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、表面硬度の低い非硬化領域に塑性変形を受持た
せ、以て、引張応力を緩和し、また、後に軌道面又は摺
動面となる凹側には、残留圧縮応力が付与される。この
結果、過酷な使用にも十分耐え得る耐摩耗性を有する高
精度で安価な軌道面又は摺動面を有する部品を提供する
ことができる。さらに、請求項2に記載の発明によれ
ば、非硬化部位が硬化部位に隣接しているので変形能が
高くなり、破断やクラックを防止することができる。
た、請求項の発明によれば、前記転がり又は滑りを伴
う部品を具体化したものであり、請求項1又は2の発明
の効果を具体化し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る転がり又は滑りを伴う部品の
製造工程を示す部分断面図である。
【図2】第1実施例に係るピボット軸受の断面図であ
る。
【図3】第1実施例に係る高エネルギービームによる焼
入れ硬化処理を示す概要図である。
【図4】第1実施例に係る硬化部分の表面からの深さと
硬度との関係を示す図である。
【図5】第2実施例に係るリニアスライドの概要図であ
る。
【図6】第2実施例に係る高エネルギービームによる焼
入れ硬化処理を示す概要図である。
【図7】第3実施例に係る保持器の平面図,側面図,概
要図である。
【図8】第3実施例に係る硬化部分の表面からの深さと
硬度との関係を示す図である。
【図9】第4実施例に係るニードル軸受の断面図であ
る。
【図10】第4実施例に係る硬化部分を有する円盤状の
ブランクを示す平面図である。
【図11】第4実施例に係る絞り加工方法を示す概要図
である。
【図12】第4実施例に係る外輪を示す側面図である。
【図13】第4実施例に係る保持器付きシェル型軸受の
断面図である。
【図14】第5実施例に係る硬化部分を有する円盤状の
ブランクを示す平面図である。
【図15】第5実施例に係る外輪を示す側面図である。
【図16】第5実施例に係る薄型玉軸受の製品断面図で
ある。
【図17】第5実施例に係る焼戻し条件(温度,時間)
とビッカース硬さとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 被加工物 2 高エネルギービーム 3 硬化部分 11 球面受け 31 インナウエイ 32 アウタウエイ 35 波型保持器 36 外輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/00 - 9/44 C21D 9/50 C21D 1/09 F16C 33/64

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物の所望部分にエネルギービーム
    を照射して焼入れ硬化した後、前記被加工物を所望の形
    状に成型加工した部材からなる転がり又は滑りを伴う部
    品において、前記被加工物の軌道面又は摺動面となる部位にエネルギ
    ービームを照射して前記部位が焼入硬化された板状,環
    状体の少なくとも1つから選ばれる部品予備体が、前記
    焼入硬化された部位を凹面側にして成型されてなる軌道
    面又は摺動面を有する部品。
  2. 【請求項2】 前記部品の軌道面又は摺動面は、焼入硬
    化された部位に隣接して非硬化部位を有する請求項1に
    記載の軌道面又は摺動面を有する部品。
  3. 【請求項3】 前記被加工物が、ピボット軸受の球面受
    け,転がり軸受の保持器,リニアスライドのインナウエ
    イ又はアウタウエイ,ニードル軸受の外輪,薄型玉軸受
    の外輪の少なくとも1つから選ばれる請求項1又は2
    記載の軌道面又は摺動面を有する部品。
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