JP3154661B2 - 低水素系被覆アーク溶接棒 - Google Patents
低水素系被覆アーク溶接棒Info
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Description
N/mm2級以上の高張力鋼等の低温割れに敏感な鋼材
の溶接に使用するのに好適の低水素系被覆アーク溶接棒
に関し、特に、破壊靱性が良好である低酸素系であっ
て、得られる溶接金属の水素量が5ml/100g以下
である超低水素系被覆アーク溶接棒に関する。
被覆アーク溶接棒に関する研究は従来から実施されてい
る。例えば、被覆剤の鋼心線への被覆率並びに鋼心線及
び被覆剤中の化学成分及びその含有量を規定することに
よって、破壊靱性の向上を図った被覆アーク溶接棒が特
公平8−29431に開示されており、この被覆アーク
溶接棒は、圧力容器等の重要構造物に使用されている。
して使用される低Ni鋼及び780N/mm2級以上の
高張力鋼は、いずれも溶接部にマルテンサイトを晶出す
るものであり、このマルテンサイトが晶出した溶接部
は、水素に起因する低温割れが発生しやすい。従って、
従来より、このような溶接割れ(低温割れ)を防止する
ために、溶接対象物を少なくとも100℃以上の高温で
予熱することが必要とされている。
向上を目的として、低い予熱温度で溶接することができ
る溶接方法の開発が要望されており、一般的な低水素系
被覆アーク溶接棒の分野においては、低い予熱温度であ
っても溶接割れを防止すべく、種々の技術が提案されて
いる。
低水素系被覆アーク溶接棒の中でも、特に、溶接金属中
の酸素量を200ppm以下にすることにより破壊靱性
を向上させることができる低酸素系の低水素系被覆アー
ク溶接棒については、上述の予熱温度を低くしても低温
割れを防止できる技術は未だ開発されていない。
のであって、予熱温度を低くしても、溶接金属の耐割れ
性を向上させることができると共に、優れた破壊靱性を
得ることができる低酸素超低水素系被覆アーク溶接棒を
提供することを目的とする。
覆アーク溶接棒は、鋼心線に被覆剤が塗布されている低
水素系被覆アーク溶接棒において、溶接棒全重量あたり
の前記被覆剤の被覆率は26乃至45重量%であり、前
記鋼心線は、心線全重量あたり、Cを0.05重量%以
下含有すると共に、Nが0.005重量%以下に規制さ
れており、前記被覆剤は、被覆剤全重量あたり、CaC
O3及びBaCO3からなる群から選択された少なくとも
1種の金属炭酸塩(CO2換算値):15乃至28重量
%、金属フッ化物(F換算値):4乃至9重量%、Si
O2:4乃至9重量%及びNi−Mg合金(Mg換算
値):1.3乃至3.5重量%を含有し、前記被覆剤の
CO2源はCaCO3及び/又はBaCO3であり、Mg
源はNi−Mg合金であると共に、480乃至550℃
で焼成されたものであることを特徴とする。
棒は、鋼心線に被覆剤が塗布されている低水素系被覆ア
ーク溶接棒において、溶接棒全重量あたりの前記被覆剤
の被覆率は26乃至45重量%であり、前記鋼心線は、
心線全重量あたり、Cを0.05重量%以下含有すると
共に、Nが0.005重量%以下に規制されており、前
記被覆剤は、被覆剤全重量あたり、CaCO3及びBa
CO3からなる群から選択された少なくとも1種の金属
炭酸塩(CO2換算値):15乃至28重量%、金属フ
ッ化物(F換算値):4乃至9重量%、SiO2:4乃
至9重量%並びにNi−Mg合金及び金属Mg(Mg換
算値):1.3乃至3.5重量%を含有し、前記被覆剤
のCO2源はCaCO3及び/又はBaCO3であり、M
g源はNi−Mg合金及び金属Mgであり、前記金属M
gは1重量%以下に規制されていると共に、480乃至
550℃で焼成されたものであることを特徴とする。
記SiO2に加えて、TiO2:3重量%以下、Al
2O3:2重量%以下、ZrO2:2重量%以下及び前記
SiO2からなる群から選択された少なくとも1種の酸
性酸化物をSiO2との総量で12重量%以下含有する
ことが好ましい。
靱性を得るためには、以下に示す条件が必須となる。即
ち、第1に、靱性を低下させる元素である溶接金属中の
Nの含有量を0.008重量%以下にすること、第2
に、溶接金属中のC含有量を0.06重量%以下とし
て、低炭素組織とすること、第3に溶接金属中の酸素量
を200ppm以下とすることが必要である。
足する溶接金属を得ることができる被覆アーク溶接棒に
ついて種々実験研究を重ねた結果、以下に示す手段が有
効であることを見い出した。先ず、溶接金属中のN含有
量を0.008重量%以下に保つために、被覆アーク溶
接棒の心線中のN含有量を0.005重量%以下に規制
すると共に、被覆剤中のCO2を8重量%以上、被覆率
を26乃至45重量%に規定する。
量%以下に保つために、心線中のC含有量を0.05重
量%以下とする。更に、溶接金属中の酸素量を200p
pm以下にするために、被覆剤中にその含有量が1.3
重量%以上となるようにMgを含有させると共に、酸性
酸化物の合計を12重量%以下とする。
ば、950N/mm2級の溶接金属において、作業環境
及び溶接能率を考慮した予熱温度、即ち、75℃程度の
予熱温度で溶接割れを防止することができる溶接金属を
得るためには、溶接金属中の水素量をガスクロマトグラ
フ法における測定値で、5ml/100g以下に保つこ
とが必要であることを見い出した。
いて、溶接金属中の水素量を5ml/100g以下にす
るために、以下に示す手段が有効であることを見い出し
た。即ち、被覆剤中のCO2を15重量%以上とするこ
と、被覆剤中に含有させる金属炭酸塩の種類をCaCO
3及びBaCO3に限定すること、高温焼成時に分解しや
すく、分解生成物が強い親水性を有するMgCO3及び
分解温度が低いMnCO3を含有しないことが有効であ
る。また、Mg源をNi−Mg合金のみ、又はNi−M
g合金及び1重量%以下に規制された金属Mgに限定
し、活性が強いと共に、高温焼成時に酸化するか、又は
被覆剤の結合力を低下させる成分であるMgSi2、A
l−Mg合金及び1重量%を超える金属Mgを含有しな
いことも有効である。更に、被覆率を26重量%以上と
し、溶接棒の焼成温度を480乃至550℃とすること
も有効である。
溶接棒について、更に説明する。先ず、被覆アーク溶接
棒の焼成温度の限定理由について説明する。
ているが、本発明においては、溶接棒の焼成温度を45
0℃よりも高温とすることにより、溶接棒の被覆剤中の
水素量を更に一層低減して、溶接金属中の水素量を低減
させる。溶接棒の焼成温度が480℃未満であると、ガ
スクロマトグラフ法により測定される溶接金属の水素量
が5ml/100gを超えるので、耐割れ性が低下し、
高強度鋼、特に、950N/mm2級の高張力鋼の溶接
用としては好ましくない。一方、溶接棒の焼成温度が5
50℃を超えると、CaCO3が分解し始めると共に、
脱酸剤、特に、Mn、Fe−Mn及びFe−Si等が酸
化し、更に、心線と被覆剤との密着性が低下して、被覆
剤の脱落現象が発生する。従って、溶接棒の焼成温度は
480乃至550℃とする。
組成限定理由について説明する。
ると、溶接金属中のCが0.06重量%を超えて、高炭
素マルテンサイトを生成するので靱性が低下する。ま
た、高温割れも発生しやすくなる。従って、心線全重量
あたりの心線中のCは0.05重量%以下に規制する。
0.005重量%を超えると、溶接金属中のNが0.0
08重量%を超えて、内部歪みが増加するので靱性が低
下する。従って、心線全重量あたりの心線中のNは0.
005重量%以下に規制する。
が、必要に応じて、Si、Mn及びTi等の脱酸性元素
並びにNi、Cr、Mo、Cu、Nb及びV等の元素を
添加することができる。
び組成限定理由について説明する。
8重量% 金属炭酸塩は、溶接金属中のN及び水素量を低減させる
ことができる成分である。被覆剤中の金属炭酸塩がCO
2換算値で被覆剤全重量あたり15重量%未満である
と、溶接金属中の水素量を5ml/100g以下、N含
有量を0.008重量%以下にすることができないの
で、良好な耐割れ性及び靱性を得ることができない。一
方、被覆剤中の金属炭酸塩がCO2換算値で28重量%
を超えると、スラグの粘性が過度となるので、立向溶接
が困難になる。従って、被覆剤全重量あたりの被覆剤中
の金属炭酸塩は、CO2換算値で15乃至28重量%と
する。
温度が約400℃であるMgCO3を使用すると、本発
明において規定する焼成温度の範囲内において、その分
解量が増加してしまう。そして、その分解生成物である
MgOは、極めて親水性が強い物質であるため、大気中
の水分と結合して水酸化物を生成し、溶接金属中の水素
量を増加させる。また、MnCO3についても同様に、
分解開始温度が低いので、CO2源とすることはできな
い。従って、CO2源としては、CaCO3及びBaCO
3からなる群から選択された少なくとも1種の金属炭酸
塩に限定する。
% 金属フッ化物は、スラグの粘性を調整して、良好な溶接
作業性を得ることができる成分である。被覆剤中の金属
フッ化物がF換算値で被覆剤全重量あたり4重量%未満
であると、スラグの粘性が高くなりすぎてビード形状が
劣化する。一方、被覆剤中の金属フッ化物がF換算値で
9重量%を超えると、アークが不安定になるので望まし
くない。従って、被覆剤全重量あたりの被覆剤中の金属
フッ化物は、F換算値で4乃至9重量%とする。なお、
金属フッ化物としては、CaF2、BaF2及びAlF3
等がある。
物であるSiO2を添加する必要がある。被覆剤中のS
iO2が被覆剤全重量あたり9重量%を超えると、スラ
グがガラス状になって、スラグの剥離性が劣化してしま
う。一方、被覆剤中のSiO2が被覆剤全重量あたり4
重量%未満であると、粘結剤としての効果を得ることが
できない。従って、被覆剤全重量あたりの被覆剤中のS
iO2は4乃至9重量%とする。
い元素である。被覆剤中のMg(換算値)が被覆剤全重
量あたり1.3重量%未満であると、溶接金属中の酸素
量を200ppm以下にすることが困難になるので、靱
性が低下する。一方、被覆剤中のMg(換算値)が3.
5重量%を超えると、アークの拡がりが劣化して溶接が
困難になる。従って、被覆剤全重量あたりの被覆剤中の
Mg(換算値)は1.3乃至3.5重量%とする。
の他のMg合金、例えば、MgSi2又はAl−Mg合
金等を使用すると、水ガラスとの反応性が強いので生産
性が低下する。また、本発明において規定する焼成温度
の範囲内において、これらの合金の一部が酸化してしま
い、作業性が劣化する等の問題点が発生する。また、M
g源として、金属Mgを1重量%を超えて添加すると、
水ガラスとの反応が顕著になるため、高温焼成によって
被覆剤と心線との密着性が低下して、被覆剤の脱落現象
が発生する。従って、被覆剤中に供給されるMg源とし
ては、Ni−Mg合金のみ、又はNi−Mg合金及び金
属Mgに限定し、金属Mgが含有される場合、その含有
量は1重量%以下とする。
から選択された少なくとも1種の酸性酸化物とSiO2
との総量:12重量%以下 被覆剤中には、スラグ造滓剤としてSiO2の他に、酸
性酸化物であるTiO2、Al2O3及びZrO2等を添加
することができる。被覆剤中のSiO2を含むTiO2、
Al2O3及びZrO2等の酸性酸化物の総量が、被覆剤
全重量あたり12重量%を超えると、スラグの塩基度が
不足して、溶接金属の酸素量を200ppm以下にする
ことが困難となるので、靱性が低下する。従って、被覆
剤中にTiO2、Al2O3及びZrO2等の酸性酸化物を
添加する場合、被覆剤全重量あたりのTiO2、Al2O
3及びZrO2からなる群から選択された1種又は2種以
上の酸性酸化物とSiO2とのの総量は12重量%以下
とする。
性酸化物の含有量についても、規定する必要がある。各
酸性酸化物の含有量の限定理由について以下に示す。
iO2を添加することができる。被覆剤中のTiO2が被
覆剤全重量あたり3重量%を超えると、スラグの粘性が
低下して、作業性が劣化する。従って、被覆剤中にTi
O2を添加する場合は、被覆剤全重量あたりのTiO2は
3重量%以下とする。
l2O3を添加することができる。被覆剤中のAl2O3が
被覆剤全重量あたり2重量%を超えると、スラグがガラ
ス状になって、スラグの剥離性が劣化してしまう。従っ
て、被覆剤中にAl2O3を添加する場合は、被覆剤全重
量あたりのAl2O3は2重量%以下とする。
rO2を添加することができる。被覆剤中のZrO2が被
覆剤全重量あたり2重量%を超えると、スラグがガラス
状になって、スラグの剥離性が劣化してしまう。従っ
て、被覆剤中にZrO2を添加する場合は、被覆剤全重
量あたりのZrO2は2重量%以下とする。
他に、脱酸剤、合金及びスラグ剤等を添加することがで
きる。脱酸剤としては、金属Mn、Fe−Mn、Fe−
Si及びFe−Ti等、通常使用されている脱酸剤を使
用することができる。合金成分としては、溶接金属の強
度を調整するために添加することができ、通常使用され
ているCr、Mo、Ni、Nb及びV等の合金を使用す
ることができ、これらを単体金属として添加することも
できる。
化物の他に、粘性の調整を目的としてMgO及びCaO
等を添加することができる。なお、粘結剤としては、ケ
イ酸カリウム及びケイ酸ナトリウム等が使用される。但
し、結晶水を含有するケイ酸塩、例えば、マイカ、タル
ク、セリサイト等は水素量を増加させるので、実質的に
は含有しないことが好ましい。
由について説明する。
溶接棒全重量)×100)により算出される。この被覆
率が26重量%未満であると、シールド不足となり、溶
接金属中のN含有量及び水素量が増加するので、溶接金
属の靱性及び耐割れ性が低下する。一方、被覆率が45
重量%を超えると、アーク長が長くなり、アーク切れが
発生する。従って、被覆アーク溶接棒の被覆率は26乃
至45重量%とする。
棒の実施例について、その比較例と比較して具体的に説
明する。
心線に種々の化学成分を有する被覆剤を塗布して被覆ア
ーク溶接棒を作製し、これらの溶接棒の生産性を評価し
た。なお、本実施例においては、心線の直径を4mmと
した。被覆剤中のMg源の化学成分を下記表3に示し、
各実施例及び比較例において使用した心線、被覆剤の被
覆率、溶接棒の焼成温度及び被覆剤中の化学成分を下記
表4乃至15に示す。但し、表中のNi換算値とは、N
i−Mg合金中のNiも含まれており、表中のその他の
成分としては、Na2O、K2O、CaO、FeO、Li
2O及びTi等がある。
溶接し、溶接作業性を評価すると共に、得られた溶接金
属中の水素量及び酸素量を測定し、更に、溶接金属の機
械的性能を評価した。本実施例においては、溶接母材と
して、X開先が形成された板厚が25mmである鋼板を
使用し、この鋼板を75℃の温度で予熱した後、開先部
に対して立向溶接姿勢で溶接入熱を30kJ/cmとし
て溶接した。このとき、鋼板として、実施例No.1乃
至3は780N/mm2級高張力鋼を使用し、実施例N
o.4乃至9及び比較例は950N/mm2級高張力
鋼、実施例No.10乃至13は550N/mm2級
3.5%Ni鋼を使用した。
118に準じて測定した。なお、機械的性能は溶接金属
の耐力、引張強さ、靱性等により評価した。溶接金属の
耐力及び引張強さは、得られた溶接金属から引張試験片
を採取して、0.2%伸びに対する荷重を測定すると共
に、最大引張強さを測定することにより評価した。ま
た、2mmのVノッチを有するシャルピー衝撃試験片を
採取して衝撃試験を実施し、破面遷移温度を測定するこ
とにより靱性を評価すると共に、BS(英国規格)57
62に準じて−10℃におけるCTOD(Crack Tip Op
ening Displacement )を測定した。
示す。なお、表中の被覆アーク溶接棒の生産性の評価結
果欄において、○(良好)は粘結剤との反応性がなく、
高温焼成によって分解、酸化及び反応が生じないと共
に、高温焼成後に被覆剤の脱落を生じないもの、×(不
良)は粘結剤と著しく反応し、被覆剤がふくれ現象又は
割れを発生するもの、焼成時に著しく分解又は酸化する
もの、又は焼成後に被覆剤の脱落現象が発生するもので
あることを示し、△(やや不良)は不良であると評価さ
れる少なくとも1つの現象が、その程度が軽微であって
も発生するものであることを示す。また、溶接作業性の
評価結果欄において、○は良好、△はやや不良、×は不
良であることを示す。
に、実施例No.1乃至13は心線及び被覆剤中の化学
成分、被覆率並びに焼成温度が本発明の範囲内であるの
で、生産性及び溶接作業性が優れていると共に、溶接金
属中の水素量及び酸素量が十分に低減されているので、
強度及び靱性が優れたものとなった。
量が本発明範囲の上限を超えており、比較例No.15
は心線中のN含有量が本発明範囲の上限を超えているの
で、いずれも靱性が低下した。比較例No.16は被覆
剤中の金属炭酸塩のCO2換算値が本発明範囲の下限未
満であるので、溶接金属中の水素量が高くなった。従っ
て、溶接割れを防止するために100℃以上の予熱が必
要となるので、好ましくない。比較例No.17は被覆
剤中の金属炭酸塩のCO2換算値が本発明範囲の上限を
超えており、比較例No.18は被覆剤中のF換算値が
本発明範囲の下限未満であるので、ビード形状が凸状と
なり、その後の評価試験を中止した。
本発明範囲の上限を超えているので、アークが不安定と
なった。比較例No.20は被覆剤中のMgが本発明範
囲の下限未満であるので、溶接金属の酸素量が高くな
り、良好な靱性を得ることができなかった。比較例N
o.21は被覆剤中のMgが本発明範囲の上限を超えて
いるので、溶接が困難となり、評価試験を中止した。比
較例No.22は強度及び靱性は良好であるが、被覆剤
中の金属Mgが本発明範囲の上限を超えているので、生
産性が低下すると共に、溶接中に被覆剤の脱落が発生し
て作業性が劣化した。比較例No.23及び24はMg
源としてMgSi2又はAl−Mg合金を使用している
ので、いずれも水ガラスとの反応性が強くなって生産性
が低下すると共に、作業性が著しく劣化した。
中のSiO2、Al2O3又はZrO2が、夫々、本発明範
囲の上限を超えているので、スラグの剥離性が悪くなっ
て、作業性が劣化した。また、比較例No.26は被覆
剤中のTiO2が本発明範囲の上限を超えているので、
ビード形状が凸状となって、溶接作業性が劣化した。比
較例No.29は酸性酸化物の合計量が本発明範囲の上
限を超えているので、溶接金属中の酸素量が高くなり、
靱性が低下した。比較例No.30及び31は被覆剤中
にMgCO3が添加されているので、水素量が高い値と
なった。従って、溶接割れを防止するために100℃以
上の予熱が必要となるので、機械的性能の評価試験は実
施しなかった。
下限未満であるので、水素量が高い値となり、100℃
以上の予熱を必要とするとと共に、溶接作業性が劣化し
た。比較例No.33は被覆率が本発明範囲の上限を超
えているので、アーク切れが発生し、作業性が劣化し
た。比較例No.34は焼成温度が本発明範囲の下限未
満であるので、水素量が高い値となった。従って、溶接
割れを防止するために100℃以上の予熱が必要となる
ので、好ましくない。比較例No.35は焼成温度が本
発明範囲の上限を超えているので、脱酸剤が酸化すると
共に、溶接中に被覆剤の脱落が発生して作業性が著しく
劣化した。
低水素系被覆アーク溶接棒の被覆率及び焼成温度を規定
すると共に、心線及び被覆剤中の化学成分及びその含有
量を規定しているので、低い予熱温度であっても、得ら
れる溶接金属の耐割れ性を向上させることができると共
に、優れた破壊靱性を得ることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 鋼心線に被覆剤が塗布されている低水素
系被覆アーク溶接棒において、溶接棒全重量あたりの前
記被覆剤の被覆率は26乃至45重量%であり、前記鋼
心線は、心線全重量あたり、Cを0.05重量%以下含
有すると共に、Nが0.005重量%以下に規制されて
おり、前記被覆剤は、被覆剤全重量あたり、CaCO3
及びBaCO3からなる群から選択された少なくとも1
種の金属炭酸塩(CO2換算値):15乃至28重量
%、金属フッ化物(F換算値):4乃至9重量%、Si
O2:4乃至9重量%及びNi−Mg合金(Mg換算
値):1.3乃至3.5重量%を含有し、前記被覆剤の
CO2源はCaCO3及び/又はBaCO3であり、Mg
源はNi−Mg合金であると共に、480乃至550℃
で焼成されたものであることを特徴とする低水素系被覆
アーク溶接棒。 - 【請求項2】 前記SiO2に加えて、TiO2:3重量
%以下、Al2O3:2重量%以下及びZrO2:2重量
%以下からなる群から選択された少なくとも1種の酸性
酸化物をSiO2との総量で12重量%以下含有するこ
とを特徴とする請求項1に記載の低水素系被覆アーク溶
接棒。 - 【請求項3】 鋼心線に被覆剤が塗布されている低水素
系被覆アーク溶接棒において、溶接棒全重量あたりの前
記被覆剤の被覆率は26乃至45重量%であり、前記鋼
心線は、心線全重量あたり、Cを0.05重量%以下含
有すると共に、Nが0.005重量%以下に規制されて
おり、前記被覆剤は、被覆剤全重量あたり、CaCO3
及びBaCO3からなる群から選択された少なくとも1
種の金属炭酸塩(CO2換算値):15乃至28重量
%、金属フッ化物(F換算値):4乃至9重量%、Si
O2:4乃至9重量%並びにNi−Mg合金及び金属M
g(Mg換算値):1.3乃至3.5重量%を含有し、
前記被覆剤のCO2源はCaCO3及び/又はBaCO3
であり、Mg源はNi−Mg合金及び金属Mgであり、
前記金属Mgは1重量%以下に規制されていると共に、
480乃至550℃で焼成されたものであることを特徴
とする低水素系被覆アーク溶接棒。 - 【請求項4】 前記SiO2に加えて、TiO2:3重量
%以下、Al2O3:2重量%以下及びZrO2:2重量
%以下からなる群から選択された少なくとも1種の酸性
酸化物をSiO2との総量で12重量%以下含有するこ
とを特徴とする請求項3に記載の低水素系被覆アーク溶
接棒。
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