JP3148659B2 - ポリ酢酸ビニル系エマルジョンの製造方法及び安定化方法 - Google Patents

ポリ酢酸ビニル系エマルジョンの製造方法及び安定化方法

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    • C08F18/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an acyloxy radical of a saturated carboxylic acid, of carbonic acid or of a haloformic acid
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    • C08F18/04Vinyl esters
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アセトアセチル化
ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたエマルジョ
ン重合によりポリ酢酸ビニル系エマルジョンを製造する
方法、及び、任意の方法で製造されアセトアセチル化ポ
リビニルアルコールを含むポリ酢酸ビニル系エマルジョ
ンの安定化方法に関する。詳しくは、重合時における粘
度上昇及び保存時における粘度安定性を向上させたポリ
酢酸ビニル系エマルジョンの製造方法、及び、保存時に
おける粘度安定性を向上させたポリ酢酸ビニル系エマル
ジョンの安定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アセトアセチル化ポリビニルアルコール
を含むポリ酢酸ビニル系エマルジョンに、亜硫酸塩、重
亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ亜硫酸塩から選ばれた
一種又は二種以上(以下、「亜硫酸塩類」という。)を
保存安定剤として添加することにより、保存時の粘度安
定性が向上することは知られている。例えば、特公昭6
0−36218号公報には、アセトアセチル化ポリビニ
ルアルコールを含むポリ酢酸ビニル系エマルジョンに亜
硫酸塩類を添加することによるポリ酢酸ビニル系エマル
ジョンの安定化方法が開示されている。また、特開平5
−140405号公報には、アセトアセチル化ポリビニ
ルアルコールを含むエマルジョンに、オキシカルボン酸
及び亜硫酸塩類を含有させることによる水性エマルジョ
ンの安定化方法が開示されている。ここで、特公昭60
−36218号公報及び特開平5−140405号公報
に記載の発明は、いずれも予め重合されたエマルジョン
に亜硫酸塩類等の保存安定剤を後添加するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特公昭60−
36218号公報又は特開平5−140405号公報に
記載の安定化方法によると、このエマルジョンの粘度安
定性が未だ不十分となる場合があった。特に、アセトア
セチル化ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたエ
マルジョン重合によりポリ酢酸ビニル系エマルジョンを
製造する場合、重合中にエマルジョンの粘度が著しく上
昇することがある。このように重合中に著しい粘度上昇
を起こしたポリ酢酸ビニル系エマルジョンは、製品とし
ての使用時に不都合を生じるばかりか、重合後に亜硫酸
塩類を添加しても十分な保存安定性が得られないもので
あった。
【0004】本発明の目的は、重合時における粘度上昇
が抑制されたポリ酢酸ビニル系エマルジョンの製造方法
を提供することにある。また、本発明の他の目的は、重
合時における粘度上昇が少なく、更に保存時における粘
度安定性の良いポリ酢酸ビニル系エマルジョンの製造方
法を提供することにある。そして、本発明の更に他の目
的は、保存時における粘度安定性が向上されたポリ酢酸
ビニル系エマルジョンの安定化方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来は保
存安定剤として重合後に添加されていた亜硫酸塩類をエ
マルジョン重合時に共存させることを試みたところ、こ
の亜硫酸塩類が粘度低下剤として作用することにより重
合時の粘度上昇が抑えられるという結果を得た。また、
この粘度低下剤として亜硫酸塩類とともにエチレンジア
ミン四酢酸又はその塩(以下、「エチレンジアミン四酢
酸(塩)」という。)を重合時に共存させることによ
り、重合時の粘度上昇を抑制する効果が一層向上するこ
とを見出した。更に、このエチレンジアミン四酢酸
(塩)は、重合後のエマルジョンに添加される保存安定
剤として亜硫酸塩類と併用することにより、亜硫酸塩類
を単独で使用した場合に比べて粘度安定性が増すことを
見出して、本発明を完成したのである。
【0006】即ち、請求項1記載のポリ酢酸ビニル系エ
マルジョンの製造方法は、アセトアセチル化ポリビニル
アルコールを保護コロイドとしたエマルジョン重合によ
りポリ酢酸ビニル系エマルジョンを製造する方法であっ
て、該エマルジョン重合は亜硫酸塩類からなる粘度低下
剤の存在下において行われることを特徴とする。
【0007】本発明に用いる保護コロイドとしての「ア
セトアセチル化ポリビニルアルコール」の製造方法は特
に限定されるものではなく、任意の方法で製造される
が、好ましくはポリビニルアルコールとジケテンとの反
応により得られる。アセトアセチル化ポリビニルアルコ
ールを得る際に用いられるポリビニルアルコールは特に
限定されないが、残存酢酸基0.1〜15モル%、平均
重合度300〜2600、平均ケン化度85〜99モル
%の範囲が好ましい。アセトアセチル化ポリビニルアル
コールのアセトアセチル化度は0.05〜20モル%、
より好ましくは0.05〜15モル%の範囲が適当であ
る。アセトアセチル化度が0.05モル%未満のアセト
アセチル化ポリビニルアルコールでは、エマルジョンの
耐水性等への寄与が少ないため好ましくない。一方、ア
セトアセチル化度が20モル%を超えたアセトアセチル
化ポリビニルアルコールでは、分散系が破壊されて均質
な乳濁状態が得られないか又は得られたエマルジョンが
種々の安定性に劣るものとなるため好ましくない。
【0008】本発明の製造方法における「アセトアセチ
ル化ポリビニルアルコールを保護コロイドとしたエマル
ジョン重合」は、エマルジョン重合の開始前、重合中、
重合終了後のいずれかの時点において反応器中にアセト
アセチル化ポリビニルアルコールを添加する点以外は、
一般的なエマルジョン重合方法により行うことができ
る。アセトアセチル化ポリビニルアルコールの添加は、
エマルジョン重合開始前又は重合中に行うことが好まし
い。アセトアセチル化ポリビニルアルコールの添加量
は、重合後に得られるエマルジョンの固形分に対して
0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜20重量%が
適当である。この添加量が0.1重量%未満ではエマル
ジョンの耐水性向上等への寄与が少なく、30重量%を
超えると重合中に著しい増粘を起こしやすくなるととも
に保存時におけるエマルジョンの安定性が低下するため
である。また、通常のエマルジョン重合に用いられる界
面活性剤を、このアセトアセチル化ポリビニルアルコー
ルと併用してもよい。
【0009】このエマルジョン重合により得られる「ポ
リ酢酸ビニル系エマルジョン」としては、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル等の酢酸ビニル系モノマーの単独重
合体又は共重合体、或いは、酢酸ビニル系モノマーと他
のビニル系モノマーとの共重合体が挙げられる。このビ
ニル系モノマーとしては、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、エチレ
ン、プロピレン、グリシジルアクリレート、グリシジル
メタクリレート、グリシジルジビニルエーテル、グリシ
ジルビニルエーテル等のグリシジル基含有化合物、N−
メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリル
アミド等のメチロール基含有化合物及びそれらのアルコ
キシ基含有誘導体、アクリルアミド、メタクリルアミド
等のカルボン酸アミド、アクリル酸、メタクリル酸等の
カルボン酸、ジビニルアジペート、ジビニルサクシネー
ト、トリアリルシアヌレート、ジアリルフマレート、ト
リアリルシトレート、ジアリルマレート、ビニルバーサ
テート等が挙げられる。
【0010】そして、このエマルジョン重合は「亜硫酸
塩類」の存在下において行われる。この亜硫酸塩類が粘
度低下剤として作用することにより、重合中における粘
度上昇を抑制して低粘度のエマルジョンを得ることがで
きる。「亜硫酸塩類」としては、亜硫酸、重亜硫酸、メ
タ重亜硫酸、チオ亜硫酸のナトリウム塩、カリウム塩、
アンモニウム塩又はアミン塩から選ばれた一種又は二種
以上である。このうち、重亜硫酸塩を用いることが特に
好ましい。この亜硫酸塩類は、エマルジョン重合開始前
に添加してもよく重合中に添加してもよい。また、亜硫
酸塩類は一度に添加してもよいし連続的に添加してもよ
く、更に複数回に分けて添加してもよい。製造操作が容
易であることから、反応器内に亜硫酸塩類を一度に投入
したのち直ちに重合を開始することが好ましい。亜硫酸
塩類の使用量は、重合後に得られるエマルジョンの固形
分100重量部に対して0.0005〜2.0重量部、
より好ましくは0.001〜1.0重量部、更に好まし
くは0.003〜0.8重量部が適当である。この添加
量が0.0005重量部未満では、亜硫酸塩類の効果が
不十分となってエマルジョンが著しく増粘する恐れがあ
る。一方、2.0重量部を超えて使用してもその効果は
飽和する傾向にあり、また得られたポリ酢酸ビニルエマ
ルジョンを接着剤として利用する場合には接着力や耐熱
性に悪影響を及ぼす恐れがあるため好ましくない。
【0011】重合触媒としては、アゾ系開始剤及び過酸
化物系開始剤等の、通常のエマルジョン重合に用いられ
る触媒を使用すればよい。このうち、過酸化物系開始剤
を用いる場合には粘度低下剤としての亜硫酸塩類の分解
が促進されるため、この亜硫酸塩類の添加量を多めに、
例えば重合後に得られるエマルジョンの固形分100重
量部に対して0.01〜2.0重量部(より好ましくは
0.05〜1.5重量部)とすることが好ましい。
【0012】また、請求項2記載のポリ酢酸ビニル系エ
マルジョンの製造方法は、アセトアセチル化ポリビニル
アルコールを保護コロイドとしたエマルジョン重合によ
りポリ酢酸ビニル系エマルジョンを製造する方法であっ
て、粘度低下剤として亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜
硫酸塩、チオ亜硫酸塩から選ばれた一種又は二種以上
と、エチレンジアミン四酢酸又はエチレンジアミン四酢
酸塩と、上記エマルジョン重合時に共存させることを
特徴とする。粘度低下剤としてエチレンジアミン四酢酸
(塩)と亜硫酸塩類とを併用することにより、重合時の
増粘を抑制する効果が高められる。
【0013】「エチレンジアミン四酢酸(塩)」として
は、エチレンジアミン四酢酸又はそのナトリウム塩、カ
リウム塩、アンモニウム塩が挙げられ、具体的には、エ
チレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン
四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリ
ウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジ
アミン四酢酸二アンモニウム等が挙げられ、これらのう
ち一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよ
い。このうち、エチレンジアミン四酢酸塩を用いること
が好ましく、ナトリウム塩を用いることが更に好まし
い。その好適な使用量は、重合後に得られるエマルジョ
ンの固形分100重量部に対して0.001〜1.0重
量部、より好ましくは0.003〜0.5重量部、更に
好ましくは0.005〜0.3重量部である。また、粘
度低下剤としての亜硫酸塩類1に対するエチレンジアミ
ン四酢酸(塩)の重量比は0.01〜10.0とするこ
とが好ましく、0.05〜5.0とすることがより好ま
しく、0.1〜2.0とすることが更に好ましい。
【0014】請求項1又は2の製造方法によると、重合
時の増粘が抑制されて低粘度のポリ酢酸ビニル系エマル
ジョンが得られる。このように低粘度のポリ酢酸ビニル
系エマルジョンは、使用時の取扱性が良いため種々の用
途に好適に利用することができるとともに、重合中に著
しい増粘を起こしたエマルジョンに比べて保存時の粘度
安定性が良好である。粘度低下剤としての亜硫酸塩類に
より重合時の増粘が抑制される機構は必ずしも明らかで
はないが、酢酸ビニル系モノマー中に含まれるアルデヒ
ド類等とアセトアセチル基との反応を防止すること等に
よる可能性が考えられる。また、エチレンジアミン四酢
酸(塩)を併用することにより増粘抑制効果が大きくな
るのは、水中に含まれる多価金属イオン等とアセトアセ
チル基との反応を防止すること等による可能性が考えら
れる。即ち、亜硫酸塩類又はこれとエチレンジアミン四
酢酸(塩)により、重合中にアセトアセチル基が架橋を
起こすことが防止されるので、粘度上昇が抑制されて低
粘度のエマルジョンが得られるものと推察される。
【0015】前述のように、請求項1又は2の製造方法
により得られたポリ酢酸ビニル系エマルジョンは、重合
中に著しい増粘を起こしたエマルジョンに比べて保存時
の粘度安定性が良好であるが、請求項3記載のように、
このエマルジョンの重合後に亜硫酸塩類を後添加するこ
とにより、保存時の粘度安定性を更に向上させることが
できる。即ち、請求項3記載のポリ酢酸ビニル系エマル
ジョンの製造方法は、請求項1又は2記載の製造方法に
おいて、該エマルジョン重合により得られたポリ酢酸ビ
ニル系エマルジョンに、亜硫酸塩類からなる保存安定剤
を後添加することを特徴とする。
【0016】重合後のエマルジョンに後添加する保存安
定剤としての「亜硫酸塩類」としては、粘度低下剤とし
ての亜硫酸塩と同様に、亜硫酸、重亜硫酸、メタ重亜硫
酸、チオ亜硫酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニ
ウム塩又はアミン塩から選ばれた一種又は二種以上を用
いることができる。このうち、重亜硫酸塩を用いること
が特に好ましい。亜硫酸塩類の使用量は、エマルジョン
の固形分100重量部に対して0.01〜5.0重量
部、より好ましくは0.02〜2.0重量部が適当であ
る。この添加量が0.01重量部未満では、亜硫酸塩類
による粘度安定性向上効果が不十分となる場合がある。
一方、5.0重量部を超えて使用してもその効果は飽和
する傾向にあり、また得られたポリ酢酸ビニルエマルジ
ョンを接着剤として利用する場合には接着力や耐熱性に
悪影響を及ぼす恐れがあるため好ましくない。
【0017】また、本発明者らは、重合後のエマルジョ
ンに後添加する保存安定剤として、亜硫酸塩類とエチレ
ンジアミン四酢酸(塩)とを併用することにより、亜硫
酸塩類を単独で後添加した場合に比べてエマルジョンの
粘度安定性が大きく向上することを見出した。即ち、請
求項4記載のポリ酢酸ビニル系エマルジョンの製造方法
は、請求項1又は2記載の製造方法において、該エマル
ジョン重合により得られたポリ酢酸ビニル系エマルジョ
ンに、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ亜
硫酸塩から選ばれた一種又は二種以上と、エチレンジア
ミン四酢酸(塩)と、からなる保存安定剤を後添加する
ことを特徴とする。
【0018】保存安定剤としての「エチレンジアミン四
酢酸(塩)」としては、粘度低下剤としてのエチレンジ
アミン四酢酸(塩)と同様に、エチレンジアミン四酢酸
又はそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩を
用いることができる。このうち、エチレンジアミン四酢
酸塩を用いることが好ましく、ナトリウム塩を用いるこ
とが更に好ましい。その好適な使用量は、エマルジョン
の固形分100重量部に対して0.0005〜0.5重
量部、より好ましくは0.001〜0.2重量部、更に
好ましくは0.002〜0.1重量部である。また、粘
度低下剤としての亜硫酸塩類1に対するエチレンジアミ
ン四酢酸(塩)の重量比は0.0005〜1.0とする
ことが好ましく、0.001〜0.5とすることがより
好ましい。保存安定剤としてのエチレンジアミン四酢酸
(塩)は、粘度低下剤として用いたエチレンジアミン四
酢酸(塩)と同じ化合物であっても異なる化合物であっ
てもよいが、同じ化合物を用いることが好ましい。
【0019】このように、請求項4記載の製造方法は重
合後のエマルジョンに対して亜硫酸塩類及びエチレンジ
アミン四酢酸(塩)からなる保存安定剤を後添加するも
のであるが、この保存安定剤は、アセトアセチル化ポリ
ビニルアルコールを含むポリ酢酸ビニル系エマルジョン
であれば、請求項1及び2記載の製造方法以外の方法で
得られたエマルジョンに対しても、保存安定剤として亜
硫酸塩類のみを用いた場合に比べて粘度安定性を大きく
向上させる効果がある。即ち、請求項5記載のポリ酢酸
ビニル系エマルジョンの安定化方法は、アセトアセチル
化ポリビニルアルコールを含むポリ酢酸ビニル系エマル
ジョンに、 (a)亜硫酸塩類と、 (b)エチレンジアミン四
酢酸(塩)と、からなる保存安定剤を後添加することを
特徴とする。
【0020】ここで、「アセトアセチル化ポリビニルア
ルコールを含むポリ酢酸ビニル系エマルジョン」とは、
アセトアセチル化ポリビニルアルコールを保護コロイ
ドとしたエマルジョン重合により得られたポリ酢酸ビニ
ル系エマルジョン、溶液重合により得られた酢酸ビニ
ル系ポリマーにアセトアセチル化ポリビニルアルコール
及び水を添加した後、撹拌乳化して得られたポリ酢酸ビ
ニル系エマルジョン、任意の方法で得られたポリ酢酸
ビニル系エマルジョンにアセトアセチル化ポリビニルア
ルコールを後添加したもの、等を含む意味である。請求
項5記載の安定化方法における「亜硫酸塩類」及び「エ
チレンジアミン四酢酸(塩)」としては、請求項4の保
存安定剤と同様の化合物を用いることができる。ポリ酢
酸ビニル系エマルジョン100重量部に対する各成分の
添加量及びその重量比についても請求項4と同様であ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明する。 (実施例1〜8)保護コロイドとしてのアセトアセチル
化ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社
製、商品名「ゴーセファイマー Z−200」)、粘度
低下剤としての重亜硫酸ナトリウム又はこれと各種エチ
レンジアミン四酢酸(塩)の存在下において、アゾ系開
始剤を用いて酢酸ビニルをエマルジョン重合させた。得
られたエマルジョンの固形分濃度は、いずれも約45%
であった。各材料の量比及び使用した粘度低下剤の種類
を表1に示す。また、得られたエマルジョンの30℃に
おける粘度を表1に併せて示す。尚、表1中において
「AA化PVA」は「アセトアセチル化ポリビニルアル
コール」を、「EDTA(塩)」は「エチレンジアミン
四酢酸(塩)」を表す。これらのエマルジョンに、保存
安定剤としての重亜硫酸ナトリウム又はこれと各種エチ
レンジアミン四酢酸(塩)を後添加し、実施例1〜8の
ポリ酢酸ビニル系エマルジョンを調製した。保存安定剤
の種類及びエマルジョンの固形分100重量部に対する
添加量を表1に示す。
【0022】(実施例9〜10)実施例9は、実施例8
で得られたエマルジョンに対し、保存安定剤として重亜
硫酸ナトリウム及びエチレンジアミン四酢酸(塩)を後
添加したポリ酢酸ビニル系エマルジョンである。実施例
10は、実施例1で得られたエマルジョンに対し、保存
安定剤として重亜硫酸ナトリウムを添加し、エチレンジ
アミン四酢酸(塩)を後添加していないポリ酢酸ビニル
系エマルジョンである。
【0023】(比較例1〜2)比較例1は、粘度低下剤
としての亜硫酸塩類及びエチレンジアミン四酢酸(塩)
を使用しない点以外は実施例1〜8と同様にエマルジョ
ン重合を行い、保存安定剤を後添加していないポリ酢酸
ビニル系エマルジョンである。重合後のエマルジョンの
30℃における粘度を表1に示す。比較例2は、比較例
1で得られたエマルジョンに対し、保存安定剤としての
重亜硫酸ナトリウムを後添加したポリ酢酸ビニル系エマ
ルジョンである。
【0024】
【表1】
【0025】表1に示すように、エマルジョン重合時に
粘度低下剤としての亜硫酸塩類を共存させた実施例1〜
8では、いずれも重合中の粘度上昇は緩やかであり、低
粘度のエマルジョンが得られた。また、粘度低下剤とし
て亜硫酸塩類とエチレンジアミン四酢酸(塩)とを併用
した実施例1〜7と、亜硫酸塩類のみを用いた実施例8
の比較から、エチレンジアミン四酢酸(塩)を併用する
ことにより増粘防止効果が一層大きくなることが判る。
また、エチレンジアミン四酢酸に比べて、エチレンジア
ミン四酢酸塩の方が増粘防止効果が高く、特にナトリウ
ム塩又はカリウム塩が増粘防止効果に優れていることが
判る。一方、粘度低下剤としての亜硫酸塩類を用いない
比較例1では、重合中にエマルジョンの粘度が著しく上
昇した。
【0026】次に、調製後のエマルジョンを40℃及び
70℃の環境下に放置して所定期間毎に粘度(Pa・
s)を測定し、その粘度安定性を評価した。評価結果を
表2及び表3に示す。尚、表2の「相対粘度」は40℃
×10日後における比較例2の粘度を100とした場合
の実施例1〜10の粘度を示し、「増加率%」は各エマ
ルジョンの調製直後における粘度を100とした場合の
40℃×30日後における粘度を示す。また、表3の
「相対粘度」は70℃×14日後における比較例2の粘
度を100とした場合の実施例1〜10の粘度を示し、
「増加率%」は各エマルジョンの調製直後における粘度
を100とした場合の70℃×14日後における粘度を
示す。表2及び表3の「評価」は相対粘度と粘度増加率
との総合評価であり、×<△<○’<○<◎の順に粘度
安定性が良好となることを示す。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】表2及び表3に示すように、保存安定剤と
しての亜硫酸塩類を後添加しない比較例1は粘度安定性
に乏しく、24時間以内にゲル化した。保存安定剤とし
ての亜硫酸塩類を後添加した比較例2では、比較例1に
比べて粘度安定性は大きく向上している。しかし、重合
時に著しく増粘しているために調製直後から粘度が高
く、またその粘度安定性も十分ではない。
【0030】一方、粘度低下剤としての亜硫酸塩類の存
在下にてエマルジョン重合を行い、更に保存安定剤とし
ての亜硫酸塩類を後添加した実施例1〜10はいずれも
粘度安定性が良好であった。粘度低下剤として亜硫酸塩
を使用した実施例8では、これを使用しない比較例2に
対して40℃、70℃共に相対粘度が49〜53程度と
低く保たれており、粘度増加率の値も比較例2に対して
20%程度低くなっている。粘度低下剤としてエチレン
ジアミン四酢酸(塩)を併用した実施例1〜7では、相
対粘度は48〜29以下と更に低く保たれており、また
粘度増加率の値も実施例8に比べて更に低く、比較例2
に対して20〜40%程度低くなっている。このよう
に、エチレンジアミン四酢酸(塩)の併用により、亜硫
酸塩のみを粘度安定剤とした場合に比べて粘度安定性が
更に向上していることが判る。重合中における粘度上昇
の少なかった実施例1、2、4、5、7は特に優れた粘
度安定性を示した。そして、実施例1と10及び実施例
8と9の比較から、保存安定剤として亜硫酸塩類とエチ
レンジアミン四酢酸(塩)とを併用することにより、亜
硫酸塩類のみを保存安定剤とした場合に比べて粘度安定
性が一層高くなることが判る。
【0031】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【0032】
【発明の効果】本発明のポリ酢酸ビニル系エマルジョン
の製造方法によると、所定の粘度低下剤の存在下でエマ
ルジョン重合を行うことにより、重合時の増粘が抑制さ
れて低粘度のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られ
る。このように低粘度のポリ酢酸ビニル系エマルジョン
は、保存時の粘度安定性が良好な傾向にあり、しかも製
品としての使用時等における取扱性が良い。重合後のエ
マルジョンに所定の保存安定剤を添加すれば、低粘度で
且つ粘度安定性の良いエマルジョンが得られる。また、
本発明のポリ酢酸ビニル系エマルジョンの安定化方法に
よると、任意の方法で得られたアセトアセチル化ポリビ
ニルアルコールを含有するポリ酢酸ビニル系エマルジョ
ンに所定の保存安定剤を添加することにより、このエマ
ルジョンの粘度安定性を改善することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI //(C08K 13/02 3:30 5:17) (72)発明者 佐藤 公治 愛知県名古屋市熱田区六野1丁目3番18 号松栄化学工業株式会社名古屋工場内 (72)発明者 河野 まどか 愛知県名古屋市熱田区六野1丁目3番18 号松栄化学工業株式会社名古屋工場内 (56)参考文献 特開 平5−140405(JP,A) 特開 昭62−283186(JP,A) 特公 昭60−36218(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 118/08 C08F 2/22 - 2/30 C08F 2/44 C08L 29/04,31/04 C08K 3/30 C08K 5/17 - 5/19 CA(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセトアセチル化ポリビニルアルコール
    を保護コロイドとしたエマルジョン重合によりポリ酢酸
    ビニル系エマルジョンを製造する方法であって、該エマ
    ルジョン重合は、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸
    塩、チオ亜硫酸塩から選ばれた一種又は二種以上からな
    る粘度低下剤の存在下において行われることを特徴とす
    るポリ酢酸ビニル系エマルジョンの製造方法。
  2. 【請求項2】 アセトアセチル化ポリビニルアルコール
    を保護コロイドとしたエマルジョン重合によりポリ酢酸
    ビニル系エマルジョンを製造する方法であって、 粘度低下剤として亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸
    塩、チオ亜硫酸塩から選ばれた一種又は二種以上と、
    チレンジアミン四酢酸又はエチレンジアミン四酢酸塩
    と、上記エマルジョン重合時に共存させることを特徴
    とするポリ酢酸ビニル系エマルジョンの製造方法。
  3. 【請求項3】 該エマルジョン重合により得られたポリ
    酢酸ビニル系エマルジョンに、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、
    メタ重亜硫酸塩、チオ亜硫酸塩から選ばれた一種又は二
    種以上からなる保存安定剤を後添加する請求項1又は2
    記載のポリ酢酸ビニル系エマルジョンの製造方法。
  4. 【請求項4】 該エマルジョン重合により得られたポリ
    酢酸ビニル系エマルジョンに、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、
    メタ重亜硫酸塩、チオ亜硫酸塩から選ばれた一種又は二
    種以上と、エチレンジアミン四酢酸又はエチレンジアミ
    ン四酢酸塩と、からなる保存安定剤を後添加する請求項
    又は2記載のポリ酢酸ビニル系エマルジョンの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 アセトアセチル化ポリビニルアルコール
    を含むポリ酢酸ビニル系エマルジョンに、 (a)亜硫酸
    塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ亜硫酸塩から選
    ばれた一種又は二種以上と、 (b)エチレンジアミン四酢
    酸又はエチレンジアミン四酢酸塩と、からなる保存安定
    剤を後添加することを特徴とするポリ酢酸ビニル系エマ
    ルジョンの安定化方法。
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