JP3130152B2 - 双ベルト式連続鋳造機及びその注湯方法 - Google Patents

双ベルト式連続鋳造機及びその注湯方法

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JP3130152B2 JP04345740A JP34574092A JP3130152B2 JP 3130152 B2 JP3130152 B2 JP 3130152B2 JP 04345740 A JP04345740 A JP 04345740A JP 34574092 A JP34574092 A JP 34574092A JP 3130152 B2 JP3130152 B2 JP 3130152B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は双ベルト式連続鋳造機及
びその注湯方法に係わり、特に、互いに反対方向に回転
する2つのエンドレスベルトを対向配置することにより
形成した鋳型に注湯ノズルより溶湯を連続的に注湯し、
この鋳型で冷却造形して連続的に板状鋳片を製造する双
ベルト式連続鋳造機及びその注湯方法に関する。
【0002】
【従来の技術】双ベルト式連続鋳造機(以下、略して連
鋳機と言う)で製造する鋳片の代表鋳片寸法は、鋳片厚
みが30〜50mm、板幅は900〜1800mm程度
である。このような連鋳機を次工程の熱間圧延機と直結
して運転することが望まれるが、この場合の鋳造速度と
しては10〜25m/minのような、大きな鋳造速度
が必要である。しかしながら、鋳片断面寸法は上記のよ
うに極めて狭いので、注湯ノズルの径を大きくできず、
上記の高速鋳造を達成するため大量注湯を行うと流速が
大となり、しばしば湯面が大きく変動して正常な表面品
質の鋳片を製造することができない。
【0003】このため、特開昭61−249651号公
報に示すように、鋳型開口の上部を扇形状に拡大した鋳
込孔を形成する方式の双ベルト連鋳機が提案されてい
る。このように鋳込孔を拡大すれば径の大きいノズルを
浸漬状態で使用でき、大量の注湯を行っても湯面を静粛
にすることができる。
【0004】一方、このような鋳込孔の拡大を図らない
ストレート形状のベルト方式では、径の大きなノズルを
使用する場合は実開昭60−56144号公報に見られ
るように、ノズルをベルト鋳型との干渉を生じない湯面
の高い位置にセットし、滝のように溶湯を湯面に落下さ
せざるを得ず、この場合、湯面の変動が激しく鋳片の表
面品質を悪化させがちである。
【0005】また、実開昭60−56145号公報に見
られるように、ストレート形状のベルト鋳型内にノズル
をセットする場合は、ノズル径を小さくせざるを得ず、
鋳造速度を上げることができない状態にあった。
【0006】一方、双ベルトでなく双ドラム式の連続鋳
造機において、ノズル径を小さくした場合のノズル詰ま
りを防止することを目的として、ノズル先端を通電加熱
する構造が特開平1−228649号公報に記載されて
いる。この注湯ノズルは、タンデッシュに接続される丸
型の上部ノズルと、これより注湯された溶湯を受ける扁
平状の中ノズルより構成されている。そして、中ノズル
先端を溶湯に浸漬させ、中ノズルにプールされた溶湯
が、これに設けられた鋳片幅方向に広がるスリット状開
口より注湯される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
双ベルト式連鋳機では鋳造速度を増大するのに、ベルト
鋳型の開口上部を扇形状に拡大することが検討されてい
るが、このように開口上部を扇形状にすると鋳型短辺も
扇形状となり、この場合、この鋳型短辺は双ベルトのよ
うに移動できず、固定的に配置することになる。鋳型短
辺を固定的に配置する場合は、10m/min以下の低
い鋳造速度では、長辺のベルト鋳型に生成するシェルと
短辺に生成されるシェルの結合強度が十分に大きくなる
ので、これらの2つのシェルの分離が生ぜず、安定な鋳
造が可能である。
【0008】しかし、これ以上の鋳造速度では、上記2
つのシェルの分離が生じる確率が増大し、安定な鋳造を
実施することが困難になってくる。
【0009】以上の面より、短辺鋳型も長辺鋳型と同期
して移動する鋳型構造が望ましく、このためには、ベル
ト鋳型をストレート方式にする必要がある。しかし、こ
の場合は、前述したように、実開昭60−56144号
公報の技術では、ノズルから滝のように溶湯を落下させ
ざるを得ず、湯面の変動が激しく鋳片の表面品質を悪化
させがちであるという問題がある。また、実開昭60−
56145号公報に記載の技術では、ノズル径を小さく
せざるを得ず、結果として鋳造速度を上げることができ
ない。また、この場合は、ノズル径が小さいので、特に
注湯開始時にノズル詰まりを発生する問題がある。
【0010】一方、前述したように、双ドラム式の連続
鋳造機においては、特開平1−228649号公報に、
ノズル径を小さくした場合のノズル詰まりを防止するこ
とを目的としてノズル先端を通電加熱することが提案さ
れている。これを双ベルト式連鋳機に適用すると、ノズ
ル先端の電熱加熱によりこの閉塞を防止することができ
る。
【0011】しかし、この従来技術にあっては、中ノズ
ルに溶湯を一旦プールし、そのプールした溶湯をスリッ
ト状開口より注湯する方式を採用しており、このような
2段階注湯方式では溶湯にガス体が巻き込まれ、狭い開
口より注湯される際に溶湯よりガス体が分離され、湯面
を乱す。また、この従来技術ではノズル先端部を溶湯に
浸漬して注湯するが、上記実開昭60−56145号公
報に記載のようなストレートベルト形状の双ベルト連鋳
機の狭い開口に注湯する場合には、ノズル外壁とベルト
間にブリッジ状の溶湯の固りが生じ、鋳造が不安定にな
るという問題もある。
【0012】本発明の目的は、ストレート形状のベルト
鋳型とした方式において、注湯開始時にノズル詰まりを
起こすことなく、狭い鋳込孔に大量の溶湯を静粛に注湯
することのできる双ベルト式連続鋳造機及びその注湯方
法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、互いに反対方向に回転する2つの
エンドレスベルトを対向配置することにより形成した鋳
型に注湯ノズルより溶湯を連続的に注湯し、この鋳型で
冷却造形して連続的に板状鋳片を製造する双ベルト式連
続鋳造機における注湯方法において、(a)前記注湯ノ
ズルの先端部分の形状を前記鋳型の板幅方向に拡がる偏
平状に形成すると共に、その先端部分に、このノズル先
端の端面で開口する鋳型の板厚方向に狭い形状の注湯孔
を形成すること;(b)前記ノズル先端を湯面より離間
してオープン状に前記注湯ノズルより注湯すること;
(c)少なくとも前記注湯ノズルより注湯を開始する前
に、前記注湯孔の構成材料に電流を流して通電加熱によ
り予熱すること;(d)前記ノズル先端の鋳片板厚方向
の開口径を、鋳片板厚30〜50mmの鋳造に対し、5
〜15mmに設定すると共に、前記オープン状に注湯す
るときの前記注湯ノズルのノズル先端と湯面間の距離を
150mm以下に設定すること;を特徴とする注湯方法
が提供される。
【0014】
【0015】また、好ましくは、前記双ベルトの鋳型面
を垂直に配置し、鋳型内で鋳片内部を完全に凝固する前
に鋳片を鋳型外に送り出し、この送り出された直後の鋳
片を分割された小径のガイドローラで支持して鋳造を行
う。
【0016】また、上記目的を達成するため、本発明に
よれば、互いに反対方向に回転する2つのエンドレスベ
ルトを対向配置することにより形成した鋳型に溶湯を連
続的に注湯し、この鋳型で冷却造形して連続的に板状鋳
片を製造する双ベルト式連続鋳造機において、(a)ノ
ズル先端を湯面より離間してオープン注湯が可能な状態
に配置された注湯ノズルを有し;(b)前記注湯ノズル
の先端部分の形状を前記鋳型の板幅方向に拡がる偏平状
に形成すると共に、その先端部分に、このノズル先端の
端面で開口する鋳型の板厚方向に狭い形状の注湯孔を形
し;(c)更に、前記注湯孔の構成材料を電流を流し
て通電加熱することが可能な材料で構成し;(d)前記
ノズル先端の鋳片板厚方向の開口径を、鋳片板厚30〜
50mmの鋳造に対し、5〜15mmに設定すると共
に、前記オープン状に注湯するときの前記注湯ノズルの
ノズル先端と湯面間の距離を150mm以下に設定した
ことを特徴とする双ベルト式連続鋳造機が提供される。
【0017】上記双ベルト式連続鋳造機において、好ま
しくは、前記注湯ノズルを、タンディッシュに接続され
る丸形部分から偏平状の末広がり部分へと形状を変化さ
せる上部ノズルと、これに気密的に結合され、前記注湯
孔の形成された先端ノズルとで構成し、この先端ノズル
を前記通電加熱可能な材料で構成する。この場合、前記
上部ノズルと前記先端ノズルとは、好ましくはそれらの
間に電気絶縁体を介在させて結合される。
【0018】また、好ましくは、前記注湯孔は多数の狭
いスリット状の開口により形成される。
【0019】更に、上記双ベルト連続鋳造機において、
好ましくは、前記双ベルトをその鋳型面が垂直になるよ
うに配置し、かつ鋳型内で鋳片内部を完全に凝固する前
に鋳片を鋳型外に送り出すように構成し、前記鋳型の出
口に前記送り出された直後の鋳片を支持する分割された
小径のガイドローラを設置する。
【0020】
【作用】本発明において、注湯ノズルの先端部分の形状
は、狭い鋳型の開口に対応して鋳型の板幅方向に拡がる
偏平状に形成され、そのノズル先端の端面に注湯孔を開
口させる。この注湯孔は、狭い断続した開口あるいは連
続した開口のいずれであってもよいが、いづれにしても
その開口のノズル先端の鋳片板幅方向の合計長は鋳片の
板幅に見合って大きくされ、これにより大量の溶湯を流
せる開口面積の確保が可能となる。
【0021】一方、ノズル先端の鋳片板厚方向の開口径
は鋳片板厚30〜50mmの鋳造に対し、5〜15mm
程度に小さく抑えられ、これにより溶湯の流出に対して
抵抗を付与してノズルから注湯される溶湯の噴出速度を
抑え、鋳片板幅方向に広がる層状の溶湯の流れを形成す
ると共に、ノズル内に溶湯を十分に充満して流すことが
可能となり、大量の溶湯を静粛に注湯することが可能と
なる。
【0022】即ち、ノズル先端の鋳片板厚方向の開口径
を大きくすると、溶湯が減速されず、大きい速度で湯面
に溶湯が進入し、湯面を波立たせる問題を生ずる。ま
た、溶湯がノズル内に充満されないと、ガス体を含んだ
溶湯の流れとなり、これが湯面に当る瞬間にガス体が溶
湯より分離され、湯面を乱す問題を生じさせる。本発明
ではこのような問題を生じない。
【0023】また、このようにノズル先端の注湯孔の開
口径を狭くすると、特に注湯開始時にはノズル先端部の
温度が下がっているので、溶湯がここで凝固して、閉塞
を起す。本発明では、少なくとも注湯開始前に、注湯孔
の構成材料に電流を流して通電加熱により予熱すること
により、この閉塞を防止する。もし、注湯開始後も通電
加熱を行えば、この部分を通過する溶湯の加熱も行うこ
とが可能となり、注湯の安定化及び静粛化に寄与でき
る。
【0024】また、ベルト鋳型の開口を狭くすると、実
開昭60−56145に記載のようにノズル先端部を溶
湯に浸漬させると、ノズル外壁とベルト間にブリッジ状
の溶湯の固りが生じ鋳造が不安定になる。本発明では、
ノズル先端を湯面より離間してオープン状に注湯するこ
とことにより、ノズル外壁とベルト間にブリッジ状の溶
湯の固りが生じることのない安定した鋳造が可能とな
る。また、上記のように注湯開始後も通電加熱を行う場
合は、ノズル先端と湯面が離れているので、ノズルから
鋳型内の溶湯へ流れる電流が少なくなり、ノズルを効率
よく通電加熱できる。
【0025】以上の作用により、本発明は、30〜50
mmの狭い開口を持つストレート方式の双ベルト連鋳機
に対し、大量の溶湯を安定に注湯し、高速鋳造を実現す
ることができる。
【0026】また、本発明では上記のように、鋳片板幅
方向に広がる狭いノズル開口より層状の溶湯の流れを鋳
型湯面に供給するものであるが、この場合にノズル先端
より湯面までの距離を大きくすると、ノズルからの噴出
流が重力により加速され、湯面に激しく衝突するので、
湯面を乱す問題を生じる。これを避けるためには、ノズ
ル先端と湯面間の距離を適度に設定する必要がある。本
願発明者等の検討によれば、その距離が150mm以上
では、噴出流が重力の加速により流速が大となり、湯面
が激しく乱れることが判明した(図6参照)。したがっ
て、本発明ではその距離を150mm以下に設定するも
のであり、これによりオープン状に注湯した場合の湯面
の乱れを最小限に抑えられる。
【0027】また、本発明の注湯ノズルを、タンディッ
シュに接続される丸形部分から偏平状の末広がり部分へ
と形状を変化させる上部ノズルと、注湯孔の形成された
先端ノズルの2つのノズル部分で構成した場合は、これ
らを気密的に結合することによりこの結合部よりガス体
がノズル内部に進入することが防止され、ノズル内部に
溶湯のみが充満した流れが形成されることを可能とす
る。また、このように2つのノズル部分で構成すること
により、ノズルの全体形状が複雑であるにも係わらず、
加工工作が容易に行える。更に、先端ノズルを通電加熱
するので、加熱用の特別の装置を必要とせず、先端ノズ
ルを単純な構造に形成できる。
【0028】更に、上部ノズルと先端ノズルとの間に電
気絶縁体を介在させることにより、通電加熱部は先端ノ
ズルのみに限られ、効率の良い加熱が可能である。
【0029】また、双ベルトを垂直に配置した連続鋳造
機の高速鋳造では、双ベルトで形成される鋳型の長さを
短くすると、鋳型内で鋳片内部が完全に凝固する前に鋳
片が鋳型外に送り出されるので、鋳片のバルジングの問
題が生じる。本発明では、双ベルトで構成される鋳型の
出口に、送り出された直後の鋳片を支持する分割された
小径のガイドローラを設置することにより、このような
問題を解決し、コンパクトな構造で高速鋳造が可能とな
る。
【0030】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜7により説
明する。
【0031】図1において、双ベルト連鋳機は循環する
1対のエンドレスベルト1,2を有し、これらベルト
1,2を対向配置することにより鋳型が形成される。こ
のベルト1,2は鋳型面が垂直となるように3個のガイ
ドローラ3,4,5及び6,7,8により案内され、こ
のうちガイドローラ4,7は架台9上に設けられるフレ
ーム10,11に取り付けられる。ベルト1,2の張力
は、シリンダ12,13のピストン14,15により適
切になるように調整される。
【0032】双ベルト1,2による鋳型の形成は、この
2つのベルト間に1対の循環する短辺鋳型16,17
(図2参照)を配置することにより行われる。この鋳型
への注湯はタンディッシュ18、サーボバルブ19で制
御されるスライデングゲート20及び注湯ノズル21で
行なわれる。注湯ノズル21は、スライデングゲージ2
0に接続される丸形部分から偏平状の末広がり部分へと
形状を変化させる上部ノズル22と、多数の狭い開口に
より注湯孔を形成した偏平状の先端ノズル23とで構成
される。そして、鋳型注湯部は、図2に示すように2つ
のシール部材、即ち上面シール部材24と側方シール部
材25によりシールされ、この内部はアルゴンガス等に
より満たされる。
【0033】図2に示すように、循環する短辺鋳型16
は多数のブロック26を繋げたブロックチェンで構成さ
れ、フレーム27に設けられた4組のスプロケット28
によりガイドされ、ベルト1,2と同期して回転移動さ
れる。この循環する短辺鋳型16は2つのピン機構29
aにより鋳片30の幅位置に対する設定が行われる。即
ち、図示は省いたが、シリンダー等のアクチェターによ
りロッド31が鋳片の幅方向に出入りし、この動作がピ
ン機構29aのピン29を介して、フレーム27に取り
付けられたアーム32に伝達され、結局はフレーム27
のガイドシュ33で案内される短辺ブロック26が鋳片
幅の位置を定める。循環する短辺鋳型17も同様に構成
される。この1対の短辺鋳型16,17は鋳片30の幅
変更のため上部から下部に向かってテーパ状にあるいは
逆テーパ状にセットされる。
【0034】以上の1対のベルト1,2及び1対の短辺
鋳型16,17で構成される鋳型で溶湯が冷却され、鋳
片30が製造される。なお、鋳型部の1対のベルト1,
2は同じく1対の水冷用パット34,35で支持され、
かつこのパット34,35は架台9に支持される。
【0035】注湯ノズル21の詳細を図3及び図4に示
す。この注湯ノズル21は前述したように、タンディッ
シュ18側に取り付けられ、丸形部分から偏平状の末広
がり部分へと形状を変化させる上部ノズル22と、狭い
開口を有する偏平状の先端ノズル23とにより構成され
る。上部ノズル22と先端ノズル23との間には電気絶
縁体40が介在され、かつ上部ノズル22と先端ノズル
23はボルト41で気密的に締結される。また、先端ノ
ズル23は通電加熱可能な材料で構成され、かつ先端ノ
ズル23には電極42,43がボルト44で取り付けら
れ、注湯開始前に先端ノズル23を通電加熱により高温
に予熱する。
【0036】図4の先端ノズルのV−V矢視図を図5に
示す。注湯孔は多数の狭いスリット状の開口46と閉鎖
部47で形成される。開口46の鋳片板厚方向の径は鋳
片板厚30〜50mmの鋳造に対し、5〜15mm程度
に小さく抑えられる。この開口形状は勿論、閉鎖部のな
い長い1〜2個のスリットあるいは多数の小さな穴など
の形状でもよく、ようすれば溶湯の流下に対して減速抵
抗を与えるものであればよい。
【0037】図4に示す先端ノズル23の幅は、鋳片幅
900〜1300mmの鋳片を製造するものでは約80
0mmである。これに使用される通電加熱可能な材料と
してはアルミナグラファイト、マグネシヤグラファイト
等各種の耐火物が使用できる。例えば、マグネシヤグラ
ファイト(MgO2 −10%)を用いれば、電圧80ボ
ルトで150アンペアの電流を流すことにより、3時間
で1200℃までの加熱が可能である。このように、通
常は1000℃以上に加熱した後注湯を行えば、狭い開
口46を有する先端ノズル23でも閉塞状の詰りを発生
することがなく、安定な鋳造が可能である。
【0038】また、注湯ノズル21は、ノズル先端を湯
面45より離間してオープン注湯が可能な状態に配置さ
れる。この場合、上記のように狭い開口46から層状の
溶湯の流れを鋳型湯面に供給する構成では、ノズル先端
より湯面45までの距離を大きくすると、ノズルからの
噴出流が重力により加速され、湯面に激しく衝突するの
で、湯面を乱す問題を生じる。これを避けるためには、
ノズル先端と湯面間の距離を適度に設定する必要があ
る。本願発明者等が、ノズル先端から湯面までの距離と
湯面の波立ちとの関係について検討したところ、図6に
示す結果を得た。すなわち、概ね150mmを境とし
て、それ以上では噴出流が重力の加速により流速が大と
なり、湯面が激しく乱れる。このことから、本実施例で
はノズル先端と湯面間の距離を150mm以下に設定
し、これによりオープン状に注湯した場合の湯面の乱れ
を最少限に抑える。
【0039】図1の双ベルト連鋳機では、鋼材を鋳込む
場合の仕様は板厚30〜50mm、板幅は700〜18
00mm、鋳造速度は10〜25m/minである。こ
のような高速鋳造では、2つのベルト1,2で構成され
る鋳型の長さを経済的に1.5〜3m程度に短いものに
選ぶと、下部ベルトガイドローラ5,8を鋳片30が通
過した後も内部の溶湯は未凝固状態にある。このため、
鋳片のバルジングの問題が生じる。
【0040】本実施例では、2つのベルト1,2で構成
される鋳型の長さを経済的に1.5〜3m程度に短いも
のに選び、かつ鋳片のバルジング発生を防止するため、
図1及び図7に示すように、鋳型の出口に近接して送り
出された直後の鋳片30を支持するための分割された小
径のガイドローラ50,51を設置する。即ち、双ベル
トローラに用いられるベルトの板厚は1.2〜1.6m
m程度であるが、このベルトの曲げ変形により幅方向反
りを生じさせないためには、出側ベルトガイドローラ
5,8の径をφ400mm以上に選定しなければならな
い。しかし、内部未凝固の鋳片30をバルジングさせな
いためには、鋳片の無支持区間を160mm以下にする
必要がある。このため、小径のガイドローラ50,51
が設けられる。この小径のガイドローラ50,51は、
図7に示すように、多数の小径ローラをブラケット52
により支承するように構成される。これより下流のガイ
ドローラ53は、大径の1本のローラを軸受54でフレ
ーム55に支持される。
【0041】以上のように構成した本実施例において
は、注湯ノズル21の先端部分、すなわち先端ノズル2
3に設けた注湯孔は、その開口46の鋳片板幅方向の合
計長が鋳片の板幅に見合って大きくされているので、大
量の溶湯を流すことができる。また、鋳片板厚方向の開
口径は鋳片板厚30〜50mmの鋳造に対し、5〜15
mm程度に小さく抑えられるので、溶湯の流出に対して
抵抗を付与して溶湯の噴出速度を抑え、鋳片板幅方向に
広がる層状の溶湯の流れを形成すると共に、ノズル内に
溶湯を十分に充満して流すことが可能となり、大量の溶
湯を静粛に注湯することができる。
【0042】また、先端ノズル23を通電加熱可能な材
料で構成し、少なくとも注湯開始前に、先端ノズル23
に電流を流して通電加熱により予熱するので、ノズル先
端部の冷却を防止でき、注湯孔の開口径が狭くても溶融
がここで凝固して、閉塞を起こすことを防止できる。ま
た、注湯開始後も通電加熱を行えば、この部分を通過す
る溶湯の加熱も行うことができ、注湯開始後も安定して
静粛に注湯することができる。ここで、上部ノズル22
と先端ノズル23との間に電気絶縁体40を介在させた
ので、通電加熱は先端ノズル23のみに限られ、効率の
良い加熱が可能である。
【0043】また、注湯ノズル21は、ノズル先端を湯
面45より離間してオープン注湯が可能な状態で配置さ
れるので、ストレート形状のベルト1,2で形成される
上部開口が狭くても、ノズル外壁とベルト1,2間にブ
リッジ状の溶湯の固りが生じることのない安定した鋳造
が可能となる。また、上記のように注湯開始後も通電加
熱を行っても、ノズル先端と湯面は離れているので、ノ
ズルから鋳型内の溶湯へ流れる電流が少なくなり、先端
ノズル23を効率よく通電加熱できる。ここで、ノズル
先端と湯面間の距離は150mm以下に設定するので、
図6により説明したように、オープン状に注湯した場合
の湯面の乱れを最小限に抑えられる。
【0044】更に、注湯ノズル21の上部ノズル22と
先端ノズル23の2つのノズル部分は気密的に結合され
るので、この結合部よりガス体がノズル内部に進入する
ことが防止され、ガス体を含んだ流れが湯面を乱すこと
が防止される。
【0045】以上により、ストレート形状のベルト鋳型
とした方式を採用して、従来あった問題を起こすことな
く高速鋳造が可能となる。
【0046】また、注湯ノズル21を上記のように2つ
のノズル部分22,23で構成することにより、ノズル
の全体形状が複雑であるにも係わらず、加工工作が容易
に行える。更に、先端ノズル23を通電加熱するので、
加熱用の特別の装置を必要とせず、先端ノズル23を単
純な構造に形成できる。
【0047】また、本実施例では、双ベルト1,2で構
成される鋳型の出口に、送り出された直後の鋳片を支持
する分割された小径のガイドローラ50,51を設置し
たので、鋳型内で鋳片内部が未凝固状態のまま鋳片が鋳
型外に送り出されても、鋳片のバルジング発生を防止で
きる。したがって、双ベルトで形成される鋳型の長さを
短くし、コンパクトな構造で高速鋳造が可能となる。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、注湯ノズルの先端部を
幅広く形成するので、大量の溶湯を湯面に対し均一に注
湯でき、かつ注湯孔を狭い開口径としたので、ガス混入
のない減速された静粛な溶湯の注湯が可能であり、美麗
な肌の鋳片を製造することができる。
【0049】また、少なくとも注湯開始前に注湯孔を通
電加熱するので、ノズル詰りを生じることなく安定した
注湯を行うことができる。もし注湯開始後も通電加熱を
行えば、この部分を通過する溶湯の加熱も行うことがで
きる。
【0050】また、ノズル先端を湯面から離間して配置
するので、ノズル外壁とベルト間にブリッジ状の溶湯の
固りが生じることのない安定した鋳造が可能となる。ま
た、注湯開始後も通電加熱を行う場合、先端ノズルを効
率よく通電加熱できる。
【0051】以上により、ストレート形状のベルト鋳型
とした方式を採用して、従来あった問題を起こすことな
く高速鋳造が可能となる。
【0052】また、注湯ノズルの上部ノズルと先端ノズ
ルの2つのノズル部分で構成する場合は、これらを気密
的に結合するので、この結合部よりガス体がノズル内部
に進入することが防止され、ガス体を含んだ流れが湯面
を乱すことが防止される。また、このように2つのノズ
ル部分で構成することにより、ノズルの全体形状が複雑
であるにも係わらず、加工工作が容易に行える。
【0053】更に、先端ノズルを通電加熱するので、加
熱用の特別の装置を必要とせず、先端ノズルを単純な構
造に形成できる。また、上部ノズルと先端ノズルとの間
に電気絶縁体を介在させるので、通電加熱部は先端ノズ
ルのみに限られ、効率の良い加熱が可能である。
【0054】また、双ベルト鋳型の出口に鋳片を支持す
る分割された小径のガイドローラを設置したので、鋳片
のバルジング発生を防止し、コンパクトな構造で高速鋳
造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による双ベルト式連続鋳造機
の正面図である。
【図2】図1に示す連続鋳造機の側面断面図である。
【図3】図1に示す注湯ノズルの正面縦断面図である。
【図4】図1に示す注湯ノズルの側面縦断面図である。
【図5】図4のV−V線矢視図である。
【図6】注湯ノズルと湯面間距離の変化による湯面の乱
れを示す図である。
【図7】鋳型の出口に設置される鋳片支持ロールの正面
図である。
【符号の説明】
1,2 ベルト 18 タンディッシュ 21 注湯ノズル 22 上部ノズル 23 先端ノズル 40 電気絶縁体 42,43 電極 45 湯面 46 開口(注湯孔) 50,51 小径ガイドローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−284952(JP,A) 特開 平1−289544(JP,A) 特開 昭60−152348(JP,A) 特開 昭61−189852(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/06 B22D 11/10 B22D 11/103

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに反対方向に回転する2つのエンドレ
    スベルトを対向配置することにより形成した鋳型に注湯
    ノズルより溶湯を連続的に注湯し、この鋳型で冷却造形
    して連続的に板状鋳片を製造する双ベルト式連続鋳造機
    における注湯方法において、 (a)前記注湯ノズルの先端部分の形状を前記鋳型の板
    幅方向に拡がる偏平状に形成すると共に、その先端部分
    に、このノズル先端の端面で開口する鋳型の板厚方向に
    狭い形状の注湯孔を形成すること; (b)前記ノズル先端を湯面より離間してオープン状に
    前記注湯ノズルより注湯すること; (c)少なくとも前記注湯ノズルより注湯を開始する前
    に、前記注湯孔の構成材料に電流を流して通電加熱によ
    り予熱すること; (d)前記ノズル先端の鋳片板厚方向の開口径を、鋳片
    板厚30〜50mmの鋳造に対し、5〜15mmに設定
    すると共に、前記オープン状に注湯するときの前記注湯
    ノズルのノズル先端と湯面間の距離を150mm以下に
    設定すること;を特徴とする注湯方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の双ベルト連続鋳造機におけ
    る注湯方法において、前記双ベルトの鋳型面を垂直に配
    置し、鋳型内で鋳片内部を完全に凝固する前に鋳片を鋳
    型外に送り出し、この送り出された直後の鋳片を分割さ
    れた小径のガイドローラで支持して鋳造を行うことを特
    徴とする注湯方法。
  3. 【請求項3】互いに反対方向に回転する2つのエンドレ
    スベルトを対向配置することにより形成した鋳型に溶湯
    を連続的に注湯し、この鋳型で冷却造形して連続的に板
    状鋳片を製造する双ベルト式連続鋳造機において、 (a)ノズル先端を湯面より離間してオープン注湯が可
    能な状態に配置された注湯ノズルを有し; (b)前記注湯ノズルの先端部分の形状を前記鋳型の板
    幅方向に拡がる偏平状に形成すると共に、その先端部分
    に、このノズル先端の端面で開口する鋳型の板厚方向に
    狭い形状の注湯孔を形成し; (c)更に、前記注湯孔の構成材料を電流を流して通電
    加熱することが可能な材料で構成し; (d)前記ノズル先端の鋳片板厚方向の開口径を、鋳片
    板厚30〜50mmの鋳造に対し、5〜15mmに設定
    すると共に、前記オープン状に注湯するときの前記注湯
    ノズルのノズル先端と湯面間の距離を150mm以下に
    設定したこと;を特徴とする双ベルト式連続鋳造機。
  4. 【請求項4】請求項3記載の双ベルト式連続鋳造機にお
    いて、前記注湯ノズルを、タンディッシュに接続される
    丸形部分から偏平状の末広がり部分へと形状を変化させ
    る上部ノズルと、これに気密的に結合され、前記注湯孔
    の形成された先端ノズルとで構成し、この先端ノズルを
    前記通電加熱可能な材料で構成したことを特徴とする双
    ベルト式連続式鋳造機。
  5. 【請求項5】請求項4記載の双ベルト式連続鋳造機にお
    いて、前記上部ノズルと前記先端ノズルとをそれらの間
    に電気絶縁体を介在させて結合したことを特徴とする双
    ベルト式連続鋳造機。
  6. 【請求項6】請求項3記載の双ベルト式連続鋳造機にお
    いて、前記注湯孔を多数の狭いスリット状の開口により
    形成したことを特徴とする双ベルト式連続鋳造機。
  7. 【請求項7】請求項3記載の双ベルト連続鋳造機におい
    て、前記双ベルトをその鋳型面が垂直になるように配置
    し、かつ鋳型内で鋳片内部を完全に凝固する前に鋳片を
    鋳型外に送り出すように構成し、前記鋳型の出口に前記
    送り出された直後の鋳片を支持する分割された小径のガ
    イドローラを設置したことを特徴とする双ベルト式連続
    鋳造機。
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