JPH05276Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、溶湯（溶融金属）から直接薄板を製
造する双ロール式連鋳機の注湯装置に関するもの
である。

［従来の技術］ 鋼などの溶融金属（溶湯）をタンデイツシユか
ら水冷鋳型に注いで鋳片にし、複数のロールによ
り加圧しながら引き抜いてスラブ、ビレツトなど
を製造する連続鋳造機（連鋳機）は一般に良く知
られており、製造されたスラブ、ビレツトは一定
長さに切断された後に加熱炉を径曲して圧延工程
に送られる。そして、このスラブ、ビレツタを製
造する連続鋳造機を更に設備的に合理化するもの
として、溶湯から直接薄板を製造するいわゆる双
ロール式連鋳機が開発されている。

双ロール式連鋳機は、第３図及び第４図に示す
ように、２本の冷却ロール１が間隔をおいてほぼ
水平且つ平行に設けられ、その幅方向両端部にサ
イド堰２を配置する。そして、前記ロール１の上
方に、溶湯３を注入するためのタンデイツシユ４
が位置し、このタンデイツシユ４の下部に、下方
に突出した中子５を設け、前記タンデイツシユ４
と中子５とは、溶湯３を注入するための注入口６
を有する。前記２本の冷却ロール１と、その幅方
向両端部のサイド堰２とにより湯だまり７の収容
部分を形成する。前記中子５の下端部は前記湯だ
まり７の中に潜没し、また、前記注入口６は、２
本の冷却ロール１の中心間距離のほぼ中間部に向
けて開口するように位置する。タンデイツシユ４
から注入口６を通つて溶湯３を注入すると、２本
の冷却ロール１と、その両端部のサイド堰２との
間に湯だまり７が形成され、湯だまり７の溶湯３
は冷却ロール１により冷却されて凝固殻８が形成
され、冷却ロール１の第３図矢印方向の回転によ
り薄板状の鋳片９が連続的に鋳造される。

［考案が解決しようとする問題点］ 双ロール式連鋳機において、第３図の従来技術
のように、タンデイツシユ４から溶湯３を中子５
を介して湯だまり７の形成部に注入する際に、溶
湯の圧力または流速が大きくこれがそのまま、冷
却ロール１によつて形成されている凝固殻８に作
用すると、この凝固殻８を再び溶解させる。そし
て、凝固殻８が溶解すると製造される鋳片９の厚
さが不均一になつたり、鋳片９に割れ、バルジン
グ（ふくれ）などが発生する。従つて、この凝固
殻の溶解防止のためには、中子５の注入口６から
出る溶湯の圧力または流速を小さくし、且つ直接
的に凝固殻に作用させないようにする対策が必要
となる。

本考案は、中子内部の溶湯流路中にマニホール
ドを設け、中子から出る溶湯の圧力または流速を
小さくすると共に直接凝固殻に作用しないように
した双ロール式連鋳機の注湯装置を提供すること
を目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、上記実情に鑑みなされたものであ
り、水平且つ平行に設けた２本の冷却ロールと該
冷却ロールの両端部に配置したサイド堰とにより
湯だまりを形成し、前記湯だまりの上方に、下端
部が前記湯だまりに潜没し溶湯の注入路を有する
中子を設け、前記中子内部に、前記注入路と連通
するマニホールドを設け、前記中子下端部に、前
記マニホールドと連通し前記ロールと溶湯とが接
する点に向けて湯だまり内に開口する溶湯出口流
路を設けたことを特徴とするものである。

［作用］ 中子の注入路に溶湯を注入すると、溶湯は前記
注入路、マニホールド、出口流路を通り、２本の
冷却ロールと両端部サイド堰との間に湯だまりを
形成する。そして、湯だまりは冷却ロールにより
漸次冷却されて下部に凝固殻を形成する。このと
き、注入路を通つた溶湯は、いつたんマニホール
ド内に保持されて流速が減殺された後に、出口流
路から、前記ロールと溶湯とが接する点に向けて
流れ出る。従つて、下方に形成された凝固殻に大
きな流速をもつた溶湯が直接作用することがな
く、凝固殻の溶解が防止される。

［実施例］ 以下図面に基づき本考案の実施例を説明する。

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示し、
第３図及び第４図中で示したものと同一のものに
は同符号を付してある。

２本の冷却ロール１が互いに径方向に間隔をお
いてほぼ水平且つ平行に設けられ、その幅方向両
端部にサイド堰２を配置し、前記２本の冷却ロー
ル１と、その幅方向両端部のサイド堰２とによ
り、湯だまり７を形成する。前記冷却ロール１の
上方に、溶湯３を注入するためのタンデイツシユ
４を配置し、このタンデイツシユ４の下部に、下
端部が前記湯だまり７の中に潜没し、前記ロール
１の幅方向両端部が前記サイド堰２に接する中子
１０を設ける。前記中子１０は、前記ロール１の
幅方向に、前記タンデイツシユ４の溶湯供給口１
１とそれぞれ連通する中間注入路１２、側方注入
路１３を有する。各注入路１２，１３は、前記２
本の冷却ロール１の中心間距離中間部に向けてほ
ぼ垂直に下降する。前記中子１０の内部にマニホ
ールド１４を設け、前記中間注入路１２の下端部
を前記マニホールド１４に連通させ、更に該マニ
ホールド１４に中子１０の出口流路１５を連通さ
せる。前記出口流路１５は、前記ロール１の幅方
向にスリツト状をなし、前記湯だまり７に潜没し
た状態で、前記ロール１と溶湯とが接する点１６
（凝固殻８の形成が始まる位置より上方）に向け
て出口１７が開口する。なお、側方注入路１３
は、冷却ロール１、サイド堰２、溶湯３に三重点
において凝固殻８が成長してロール１の回転によ
り鋳片９の幅端部に不良部が生ずるのを防止する
対策として、凝固殻８を溶解するために溶湯を積
極的に流す必要があるので、前記マニホールド１
４を設けない。

上述の構成において、タンデイツシユ４内の溶
湯３の供給口１１から供給すると、溶湯３は、中
子１０の中間注入路１２、マニホールド１４、出
口流路１５、及び側方注入路１３を通り、２本の
冷却ロール１と、その両側部のサイド堰２との間
に湯だまり７を形成する。前記中間流入路１２を
通る溶湯３は、該流入路１２の下端部に連通する
マニホールド１４の中にいつたん保持されて流速
が減殺された後に、スリツト状出口流路１５か
ら、ロール１と溶湯とが接する点１６に向けて流
れ出る。従つて、冷却ロール１により中子１０の
下方に形成された凝固殻８に大きな圧力または流
速の溶湯が直接作用することがなく、また、流れ
の方向もロール１と溶湯とが接する点１６に向い
ているために、凝固殻８の溶解が防止される。こ
れにより、湯だまり７に溶湯３を供給しても湯だ
まり７が安定し、厚さが均一で、割れやバルジン
グ（ふくれ）などのない良質の鋳片９が連続的に
製造される。

［考案の効果］ 本考案によれば、良質の鋳片を安定して鋳造す
ることができるので、歩留りが向上し、またドラ
ブルの発生を防止して双ロール式連鋳機の操業度
を高めるなどの優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の説明図、第２図は
第１図のＡ−Ａ矢視図、第３図は従来技術の説明
図、第４図は第３図のＢ−Ｂ矢視図である。 図中１は冷却ロール、２はサイド堰、３は溶
湯、７は湯だまり、１０は中子、１２は注入路、
１４はマニホールド、１５は出口流路、１６はロ
ールと溶湯とが接する点を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水平且つ平行に設けた２本の冷却ロールと該冷
   却ロールの両端部に配置したサイド堰とにより湯
   だまりを形成し、前記湯だまりの上方に、下端部
   が前記湯だまりに潜没し溶湯の注入路を有する中
   子を設け、前記中子内部に、前記注入路と連通す
   るマニホールドを設け、前記中子下端部に、前記
   マニホールドと連通し前記ロールと溶湯とが接す
   る点に向けて湯だまり内に開口する溶湯出口流路
   を設けたことを特徴とする双ロール式連鋳機の注
   湯装置。