JP3128602U - 土留め構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】傾斜地に対して吹き付け施工した基材の流失を効果的に防止でき、しかも効率的に雨水を貯水して傾斜地に対して潅水可能な土留め構造を提供する。
【解決手段】傾斜地11に対して基材14を吹き付けて傾斜地緑化構造を施工するに際して、基材14の流失を防止するために基材14の吹き付け前の傾斜地11に対して設置される土留め構造であって、この土留め構造は、傾斜地11に対して上下左右に相互に間隔をあけて設置してなる単位土留め手段13を有し、単位土留め手段13は、内部空間15に連通する潅水用小孔16を形成した有底な中空部材からなり、上端の開口17を山側にして倒立V字状に傾斜地11に固定される1対の土留め材10と、1対の土留め材10を傾斜地11に固定するアンカー材12とを有する。
【選択図】 図1

Description

本考案は、傾斜地に対して基材を吹き付けて傾斜地緑化構造を施工するに際して、基材の流失を防止するために基材の吹き付け前の傾斜地に対して設置される土留め構造に関する。
コンクリ−トやモルタル等を打設して強化した擁壁面は、固化したコンクリ−トが露出して景観を害するとともに、自然環境を損なうことから、新設の擁壁面は勿論のこと、既設の擁壁面においても、緑化工事が推進されている。
緑化工事の方法としては、擁壁面に打ち込まれるアンカーピンと、アンカーピンに固定した平板状の土留め材とを備えたアンカー材を用い、このアンカー材を傾斜地の上下左右に相互に間隔をあけて複数固定した後、土留め材が略埋まるまで傾斜地に対して砂質土(現地発生土を含む)を吹き付け施工し、次に砂質土の上側に保護網を敷設施工し、その後植生基材を保護網上に吹き付け施工する傾斜地緑化工法が提案され、実施されている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、急勾配の傾斜地では、表土が流失し易く、しかも雨水等が基材の表面を流れ、植物の生育に必要な水分を十分に確保できないという問題があり、どうしても植物の生育が遅れるという問題があった。
そこで、土留め材をV字状に連結し、これを倒立V字状(山形)にアンカーピンにより傾斜地に対して固定した単位土留め手段を、傾斜地に対して上下左右に相互に間隔をあけて千鳥掛け状に設け、その上に基材を吹き付け施工してなる傾斜地緑化構造も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この傾斜地緑化構造では、隣接する単位土留め手段の土留め材間においては、基材が自重により下側へ移動しようとするが、その移動が倒立ハ字状に隣接配置された土留め材で阻止されて、下側へ行くにしたがって基材が締め固められるので、急勾配の傾斜地であっても、雨水による基材の流失を効果的に抑制でき、ダム湖などの湛水法面に対しても好適に利用できるという利点がある。
一方、土留め材として設定寸法に切断した竹材を用い、傾斜地側において土留め材の外周部に、内部空間に連通する小孔を形成し、傾斜地とは反対側において土留め材の外周部に、雨水等を内部空間へ取り入れるための取水孔を形成し、土留め材の内部空間に肥料を充填した状態で、取水孔を上側にして傾斜方向とは左右方向に相互に間隔をあけて複数の土留め材を固定して、取水孔から取り入れた雨水とともに肥料を、小孔から傾斜地へ徐々に供給するように構成した傾斜地緑化構造も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平10−37220号公報 実用新案登録第3103559号公報 特開2005−163440号公報
特許文献3記載の傾斜地緑化構造では、竹材からなる土留め材の内部空間に肥料を充填することで、長期にわたって傾斜地に肥料を供給できる。しかし、土留め材に対して施肥のための小孔だけでなく、雨水を取り込むための複数の取水孔を形成する必要があるので、土留め材の加工作業が煩雑になるという問題がある。また、この傾斜地緑化構造は、傾斜地に対して肥料を供給することを目的としたものであり、土留め材の内部空間に対する雨水の取り込み量は少なくてもよいので、これを傾斜地への潅水用の傾斜地緑化構造として利用することは困難であった。
本考案の目的は、傾斜地に対して吹き付け施工した基材の流失を効果的に防止でき、しかも効率的に雨水を貯水して傾斜地に対して潅水可能な土留め構造を提供することである。
本考案に係る土留め構造は、傾斜地に対して基材を吹き付けて傾斜地緑化構造を施工するに際して、基材の流失を防止するために基材の吹き付け前の傾斜地に対して設置される土留め構造であって、前記土留め構造は、傾斜地に対して上下左右に相互に間隔をあけて設置してなる単位土留め手段を有し、前記単位土留め手段は、内部空間に連通する潅水用小孔を形成した有底な中空部材からなり、上端の開口を山側にして倒立V字状に傾斜地に固定される1対の土留め材と、1対の土留め材を傾斜地に固定するアンカー材とを有するものである。
この土留め構造では、倒立V字状に配置された土留め材の一端の開口から、雨水等が土留め材の内部空間に流入して土留め材内に貯留され、潅水用小孔を通って徐々に傾斜地に対して潅水がなされることになる。このため、保水力の小さい急傾斜地等であっても、土留め材により傾斜地に対して十分な潅水を行って、植物の生育を促進することができる。また、土留め材の上端の大きな開口を利用して、土留め材の内部空間に十分な量の雨水を充填することができるので、雨水を内部空間に取り込むための貫通孔等を別途形成する必要がなく、土留め材に対する加工作業を少なくできる。また、土留め材を倒立V字状に配置するので、隣接する単位土留め手段の土留め材間においては、基材の自重により、下側へ行くにしたがって基材が締め固められるので、急勾配の傾斜地であっても、雨水による基材の流失を効果的に抑制でき、ダム湖などの湛水法面に対して用いた場合でも、基材の流失を効果的に防止できる。
ここで、前記土留め材として、下端部以外の節を除去した竹材を用いることが好ましい実施の形態である。土留板としては、有底な中空部材であれば任意の構成のもの、例えば断面が円形や楕円形や多角形状に形成された、合成樹脂材料や金属材料からなるものを採用することもできるが、竹材を用いると、その製作コストを低減できるし、自然環境にも優しい傾斜地緑化が可能となる。また、このような竹材からなる土留め材は、土中において4〜5年間、朽ちることなくその強度を保持でき、その間に植物が十分に根付くので、竹材が朽ちた後においても、基材が流失することはない。また、現地で調達した竹材を利用して土留め材を構成できるので、地場産業の発展にも貢献できる。
また、竹材を土留め材として用いる場合には、前記土留め材の上端部と残存する節よりも下側の土留め材の下端部とに貫通孔を形成し、該貫通孔にアンカー材を挿通させて、傾斜地に対して土留め材を固定することが好ましい実施の形態である。本考案では、土留め材の内部空間を雨水の貯留空間として活用するので、貯留空間を貫通するようにアンカー材を挿通させて、土留め材を傾斜地に固定すると、アンカー材の挿通部分を水密状にシールする必要があり、その作業が煩雑になる。この考案では、土留め材の上端部の固定は、貯留される水量にほとんど影響をおよぼさない貯留空間の上部を貫通するようにアンカー材を挿通させて固定し、土留め材の下端部の固定は、残存する節よりも下側、即ち貯留空間を貫通することなくアンカー材を挿通させて固定することで、傾斜地に対する土留め材の取付強度を十分に確保できるとともに、アンカー材の挿通する部分にシールを施す必要がないので容易に施工でき、しかも十分な分量の雨水を貯水できることになる。
前記土留め材の上端部を斜めに切断して開口を形成し、開口が山側へ向くように土留め材を傾斜地に固定することもできる。このように構成すると、土留め材の上端開口から土留め材の内部空間へ効率良く雨水を取り入れることができる。
前記土留め材の内部空間への基材の侵入を防止するフィルタを、土留め材の上端部に設けることもできる。このように構成することで、土留め材の内部空間に基材が詰まることによる、潅水用小孔からの潅水不良や貯水量の低下を防止して、土留め材の潅水機能を長期にわたって維持できる。
前記土留め材の潅水用小孔の形成位置に排水孔を形成し、前記排水孔を塞ぐように土留め材の外周部に潅水用小孔を形成した封止体を水密状に固定して、土留め材に潅水用小孔を形成することも好ましい実施の形態である。土留め材に貯留した雨水をできるだけ効率良く傾斜地に潅水できるようにするため、潅水用小孔はできるだけ高精度に形成することが好ましいが、土留め材は例えば長さ1mの比較的大きな寸法のものなので、潅水用小孔の寸法精度を高めると製作コストが高くなるという問題がある。そこで、この考案のように、封止体に対して潅水用小孔を形成して、これを土留め材に水密状に固定することで、潅水用小孔の寸法精度を高めつつ、土留め材の製作コストを安くできるので好ましい。特に、土留め材として竹材を用いた場合には、現場で竹材に潅水用小孔を形成する必要があり、潅水用小孔の加工精度が低くなりやすいので、予め潅水用小孔を形成した封止体を工場等で製作し、これを現場において竹材に固定することが好ましい。
前記単位土留め手段を傾斜地に対して千鳥掛け状に設けることも好ましい実施の形態である。このように構成すると、基材の流失を一層効果的に防止できるとともに、上側に配置された土留め材の下端部の下側に、下側に配置された土留め材の上端部が配置され、隣接する単位土留め手段の倒立ハ字状に配置された上側1対の土留め材により雨水を集め、集めた雨水を下側の土留め材の内部空間に効率的に供給できる。
本考案に係る土留め構造によれば、保水力の小さい急傾斜地等であっても、土留め材により傾斜地に対して十分な潅水を行って、植物の生育を促進することができる。また、土留め材の上端の大きな開口を利用して、土留め材の内部空間に十分な量の雨水を充填することができるので、雨水を内部空間に取り込むための貫通孔等を別途形成する必要がなく、土留め材に対する加工作業を少なくできる。また、土留め材を倒立V字状に配置するので、隣接する単位土留め手段の土留め材間においては、基材の自重により、下側へ行くにしたがって基材が締め固められるので、急勾配の傾斜地であっても、雨水による基材の流失を効果的に抑制でき、ダム湖などの湛水法面に対して用いた場合でも、基材の流失を効果的に防止できる。
以下、本考案の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図4に示すように、傾斜地緑化構造は、傾斜地11に施工された土留め構造に対して基材14を吹き付け施工してなるものであり、土留め構造は、傾斜地11に対して基材14を吹き付けて傾斜地緑化構造を施工するに際して、基材14の流失を防止するために基材14の吹き付け前の傾斜地11に対して設置されるものである。土留め構造は、傾斜地11に対して上下左右に相互に間隔をあけて設置してなる単位土留め手段13を有し、単位土留め手段13は、内部空間15に連通する潅水用小孔16を形成した有底な中空部材からなり、上端の開口17を山側にして倒立V字状に傾斜地11に固定される1対の土留め材10と、1対の土留め材10を傾斜地11に固定するアンカー材12とを有するものである。本実施の形態では、基材14として、砂質土18と植生基材19保護網20とを有し、砂質土18を吹き付け施工した後、砂質土18の上側に保護網20を施工し、その後植生基材19を保護網20上に吹き付け施工したてなる基材14を採用したが、それ以外の構成の基材を採用することも可能である。また、本実施の形態では、地盤21の上面にコンクリート又はモルタルなどからなる硬質傾斜地22を予め施工した法面からなる傾斜地11を緑化する場合について説明するが、コンクリート又はモルタルなどからなる硬質傾斜地22以外に、硬質岩盤面などのように植物が自生していない無毛地を緑化する場合についても本考案を同様に適用できる。
土留め材10は、貯水可能な有底な中空部材であれば任意の構成のものを採用することができ、鉄系金属やアルミニウム合金等の金属材料、強化プラスチック材料または、エンジニアリングプラスチックス材料などの合成樹脂材料等を有底筒状に成形したものや、竹材や木材などを加工したものを採用できる。木材や竹材などの木質系材料で土留め材10を構成すると、自然環境を保護できるので好ましく、特に、図3、図4に示すように、土留め材10として竹材を用いると、下端の節25以外の節を除去することで、容易に有底筒状に加工でき、しかも木材と比較して朽ち難く、土中において4〜5年間、朽ちることなくその強度を保持できるので好適に採用できる。土留め材10を竹材で構成する場合には、竹材を設定長さに切断した後、この竹材の下端の節25を残して、他の節を除去することによって、上端に開口17を有する有底筒状の土留め材10を製作することができる。また、間伐材などの木材を用いる場合には、木材を設定寸法に切断して、木材の中央部に長さ方向に沿って延びる有底孔を形成することで、土留め材10を製作することができる。
土留め材10の断面形状は、竹材を用いる場合には円形になるが、その他の素材を用いる場合には、円形や楕円形や多角形状など、任意の断面形状に形成することができる。土留め材10の長さは、傾斜地緑化構造の施工の面積の大きさにもよるが、0.5m〜1.5mに設定でき、また土留め材10の高さは、90mm〜150mmに設定できる。
土留め材10の上端部は、図3に示すように、土留め材10の長さ方向に対して角度θ1を付けて斜めに切断されている。長さ方向に直角に切断することも可能であるが、斜めに切断する方が上端開口17の開口面積が大きくなって、雨水を取り込み易くなるので好ましい。また、このように斜めに切断した開口17を山側へ向けて、傾斜地11に対して土留め材10を固定することで、土留め材10内への雨水の取り込みが効率的になされることになる。長さ方向に対する開口17の傾斜角度θ1は、傾斜地11の傾斜方向に対する土留め材10の傾斜角度θ2と略同じに設定され、傾斜地11に固定した状態で開口17が略水平に配置されるように構成することが好ましい。
土留め材10の上端開口17を閉塞するように土留め材10の上端部にはフィルタ23が設けられ、基材14が土留め材10の内部空間15に入ることを阻止し、雨水のみがフィルタ23を通って内部空間15内へ取り込まれるように構成されている。フィルタ23としては、木綿や椰子ガラ繊維などの天然繊維や、再生繊維や半合成繊維や合成繊維や無機繊維などの化学繊維をマット状に圧縮成形したものや、これらの繊維材からなる織布又は不織布からなるものや、金属メッシュを用いることができる。このフィルタ23は、土留め材10の上端部内に設けることも可能である。
傾斜地11に対する土留め材10の固定構造について説明すると、図3、図4に示すように、土留め材10の上端近傍部と、節25よりも下側の土留め材10の下端部には貫通孔24が形成され、土留め材10は、両貫通孔24にアンカー材12をそれぞれ挿通させて、アンカー材12を傾斜地11に打ち込み固定することで、傾斜地11に対して固定されている。このように構成することで、傾斜地11に対する土留め材10の取付強度を十分に確保できるとともに、アンカー材12の挿通する部分にシールを施すことなく、十分な分量の雨水を長期にわたって貯留でき、貯水性能を低下させることなく土留め材10の施工作業性を向上できる。尚、土留め材10として竹材以外の素材からなるものを用いる場合には、中空パイプ状の土留め材の下端近傍部に仕切り壁を形成して、仕切り壁よりも下側において土留め材10に貫通孔24を形成することになる。
アンカー材12としては、下端を先鋭に構成したステンレス製のアンカーピンを好適に採用できるが、パイプ状や細長い板状のものを採用することもできる。またアンカー材12の素材は、ステンレスに限らず、炭素工具鋼、コーテッド超硬合金、ハイス等の金属、また、軽合金、セラミックス、プラスチック、硬質ゴム等を採用することもできる。
但し、土留め材10の固定構造としては、上記以外の固定構造を採用することもできる。例えば、金属帯板を土留め材10に巻きつけて、金属帯板の両端部に形成した貫通孔にアンカーピンを挿通させ、アンカーピンを傾斜地11に打ち込み固定することで、傾斜地11に対して土留め材10を固定することもできる。また、U字状やJ字状のアンカーピンを用い、アンカーピンの湾曲部に土留め材10が保持されるように、アンカーピンを傾斜地11に固定することで、傾斜地11に対して土留め材10を固定することもできる。更に、金属線などの紐体を土留め材10に巻き掛けて、紐体の両端部をアンカーピンで傾斜地11に固定することで、傾斜地11に対して土留め材10を固定することも可能である。
また、アンカー材12の上端部が土留め材10よりも上側へ突出しているので、アンカーピンの上端部に保護網20を係合させて、保護網20の位置ズレを防止できるとともに、植生基材19の吹き付け高さをアンカー材12の上端部の突出具合で確認しながら植生基材19を吹き付け施工できるので、植生基材19を適正分量だけ精度良く吹き付け施工することができる。
土留め材10の節25の近くには、図4に示すように、土留め材10の内部空間15に貯留した雨水で傾斜地11を潅水するための潅水用小孔16が形成されている。この潅水用小孔16の直径は、大きすぎると貯留した雨水が短時間で排水されてしまい、潅水効果が十分に得られず、小さすぎると潅水量が少なくなりすぎて潅水効果が得られないことから、直径0.1mm〜4mmに設定されている。また、潅水用小孔16の個数が増えると単位時間あたりの潅水量が増えるので、潅水用小孔16の直径は、潅水用小孔16の個数に応じて設定することになる。
この潅水用小孔16は節25に形成することも可能で、このように構成すると、潅水用小孔16の開口部が筒状の土留め材10の下端部で覆われるので、潅水用小孔16に基材14が詰まることによる潅水不良を防止することができる。また、図5に示すように、潅水用小孔16Aの形成位置に対応させて土留め材10に潅水用小孔16Aよりも大径の排水孔27を形成し、排水孔27が封止されるように、潅水用小孔16Aを形成した粘着テープからなる封止体28を土留め材10の外周部に水密状に貼着したり、図6に示すように、排水孔27に潅水用小孔16Bを形成した合成樹脂などからなる栓体からなる封止体29を排水孔27に水密状に挿入固定したりして、土留め材10に潅水用小孔を設けることもできる。
図2、図3に示すように、倒立V字状に配置される1対の土留め材10と、傾斜地11の傾斜方向との角度θ2は40°〜50°に設定され、隣接する単位土留め手段13における土留め材10のなす角度θ3は100°〜80°に設定されている。また、左右に隣接配置される単位土留め手段13の間隔L1は45cm〜70cmに設定され、上下に隣接配置される単位土留め手段13の間隔L2は45cm〜70cmに設定され、上下左右に配置される単位土留め手段13は千鳥掛け状に設けられている。このように単位土留め手段13を配置することで、隣接する単位土留め手段13の土留め材10間に吹き付けた基材14は、下側へ行くにしたがって締め固められるので、急勾配の傾斜地11であっても、雨水による基材14の流失を効果的に抑制でき、ダム湖などの湛水法面に対して用いた場合でも、基材14の流失を効果的に防止できる。また、図3に矢印で示すように、雨水が、上側1対の土留め材10により、下側の土留め材10の上端部側へ案内されるので、土留め材10への貯水を効率的に行うことが可能となる。
尚、土留め材10の内部空間15に、植物の成長に必要な肥料及び/又は添加剤を充填することも好ましい。肥料としては、窒素(N)、燐酸(P)、カリ(K)等の固形肥料、または化成肥料などを充填でき、添加剤としては、石灰(Ca)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)等の微量要素などを充填できる。このように構成することで、土留め材10の内部空間15に貯留される雨水とともに、肥料や添加剤を傾斜地11に供給して、傾斜地11における植物の生育を一層促進することができる。但し、このように肥料や添加剤を充填する場合には、潅水用小孔16が目詰まりしないように、土留め材10の内部空間15に、潅水用小孔16側への肥料や添加剤の移動を阻止するフィルタを設けることが好ましい。
基材14は、砂質土18と植生基材19とを備えている。基材14を施工するときには、単位土留め手段13を千鳥掛け状に設置した傾斜地11に対して砂質土18を吹き付けてから、砂質土18の上に保護網20を敷設し、最後に保護網20の上側から植生基材19を吹き付け施工することになる。
砂質土18は、川砂又は山砂と、水と、バインダーと、緑化基材と、植物生育材とを混合したものである。砂としては、施工現場とは異なる場所で得られたものを用いることもできるし、施工場所で得られる土や山砂などの現地発生土を用いることもできる。バインダーとしては、各種セメント、水ガラス、石膏、その他有機系高分子物質等を採用できる。緑化基材としては、例えばヤシガラ、稲ワラ等の有機系繊維状物、有機系活性肥料、腐葉土、ピートモス、バーク堆肥、その他の腐植酸物質等を採用できる。植物生育材としては、例えば窒素(N)、燐酸(P)、カリ(K)等の固形肥料、または化成肥料、石灰(Ca)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)等の微量要素、その他各種の植生生育促進剤等を採用できる。砂質土18を構成する各素材の配合比率は傾斜地11の環境等に応じて任意に設定できる。
植生基材19は、有機系活性肥料と、鉱物焼成軽量材と、腐植酸物質と、高分子凝集剤と、植物種子とを混合したものである。植物種子としては、例えば芝生、ケンタッキー、クリーピング、チモシー、ヤマハギ等を採用できる。有機系活性肥料としては、例えばバーク堆肥、ピートモス、腐葉土(緑肥)等の各種植物系再生利用材を採用できる。高分子凝集剤としては、例えばアクリル系樹脂、ポリビニル系(PVC)樹脂、メラミン樹脂等の粘着性高分子材料を採用できる。鉱物焼成軽量材としては、例えば真珠岩焼死発泡体、黒曜石焼成発泡体、ひる石焼成発泡体、珪藻土焼成粒等がある。上記腐植酸物質としては、例えばモミガラ、稲ワラ、落葉等の腐植酸物質、緑肥等の各種植物系再生利用材を採用できる。植生基材19を構成する各素材の配合比率は施工環境等に応じて任意に設定できる。例えば、表1に示すように配合することになる。
Figure 0003128602
保護網20は、金網や合成樹脂網で構成でき、本考案では特に基材14の上面に沿って容易に変形操作可能な比較的軟質な素材からなる金網や合成樹脂網を好適に利用できる。合成樹脂網としては、土木分野で広く用いられているジオテキスタイルのうち、ポリプロピレンやポリアミドなどの合成高分子材料を素材とする引張強度に優れたジオグリッドを採用できる。
砂質土18の厚さは、土留め材10の高さと略同じに設定され、例えば80cm〜150cmに設定されている。植生基材19の厚さは3cm〜7cm程度に設定することになる。
次に、土留め構造を用いた傾斜地緑化工法について説明する。この傾斜地緑化工法は、コンクリート又はモルタルなどからなる硬質傾斜地22が予め施工された傾斜地11に本考案を適用した場合のものであるが、地肌が露出した傾斜地11に対しても本考案を同様に適用できる。
先ず、厚さ10〜30cmの既設の硬質傾斜地22に、図示外の削岩機により、直径が例えば20〜60mmの図示外の貫通孔を、1m2当り、例えば4〜10個の割合で上下左右に間隔をあけて形成する。この貫通孔は、例えば地盤21側の浸透水を集めて、砂質土18側へ吸水し易くするための導水管(例えば毛細管作用を有する植生用筒体)を嵌挿したり、砂質土18を充分に注入充填したりして、砂質土18側へ十分な水分が供給されるようにするためのものである。また、この貫通孔とは別に、土留め材10の取付位置に合わせてアンカー材12を打ち込み固定するための固定孔26を形成する。
次に、図2、図3に示すように、土留め材10の開口17が山側となり、潅水用小孔16が傾斜地11側となるように、土留め材10の貫通孔24にアンカー材12を挿通させて、アンカー材12を固定孔26に打ち込み固定し、1対のアンカー材12で傾斜地11に対して土留め材10を順次固定して、1対の土留め材10をアンカー材12で固定してなる倒立V字状の単位土留め手段13を、傾斜地11に対して上下左右に相互に間隔をあけて千鳥掛け状に固定し、傾斜面11に対して土留め構造を施工する。
次に、図4に示すように、土留め材10の略全体が覆われる程度に砂質土18を吹き付け施工した後、砂質土18に沿って保護網20を敷設し、砂質土18を保護網20で覆った状態で、保護網20の上側から植生基材19を厚さが3cm〜7cmとなるように略一様な厚さで吹き付け施工して、傾斜地緑化構造の施工を完了することになる。
このようにして施工された傾斜地緑化構造では、倒立V字状に配置された土留め材10の上端部の開口17から、雨水等が土留め材10の内部空間15に流入して土留め材10内に貯留され、潅水用小孔16を通って徐々に傾斜地11に対して潅水がなされることになる。このため、保水力の小さい急傾斜地等であっても、土留め材10により傾斜地11に対して十分な潅水を行って、植物の生育を促進することができる。また、単位土留め手段13を傾斜地11に対して千鳥掛け状に設けているので、隣接する単位土留め手段13の倒立ハ字状に配置された上側1対の土留め材10により雨水が集められて、集めた雨水が下側の土留め材10の開口17部側へ案内され、しかも土留め材10の上端の大きな開口17を利用して、土留め材10の内部空間15に十分な量の雨水を充填することができるので、土留め材10の内部空間15に効率的に雨水を取り入れることが可能となる。更に、土留め材10を倒立V字状に配置するので、隣接する単位土留め手段13の土留め材10間においては、基材14の自重により、下側へ行くにしたがって基材14が締め固められるので、急勾配の傾斜地11であっても、雨水による基材14の流失を効果的に抑制でき、ダム湖などの湛水法面に対して用いた場合でも、基材14の流失を効果的に防止できる。
傾斜地緑化構造の縦断面図 単位土留め手段を施工した状態を示す正面図 単位土留め手段の正面図 基材を施工した状態における図3のIV-IV線縦断面図 他の実施例の潅水小孔付近の縦断面図 他の実施例の潅水小孔付近の縦断面図
符号の説明
10 土留め材 11 傾斜地
12 アンカー材 13 単位土留め手段
14 基材 15 内部空間
16 潅水用小孔 17 開口
18 砂質土 19 植生基材
20 保護網 21 地盤
22 硬質傾斜地 23 フィルタ
24 貫通孔 25 節
26 固定孔
16A 潅水用小孔 27 排水孔
28 封止体 29 封止体

Claims (7)

  1. 傾斜地に対して基材を吹き付けて傾斜地緑化構造を施工するに際して、基材の流失を防止するために基材の吹き付け前の傾斜地に対して設置される土留め構造であって、
    前記土留め構造は、傾斜地に対して上下左右に相互に間隔をあけて設置してなる単位土留め手段を有し、
    前記単位土留め手段は、内部空間に連通する潅水用小孔を形成した有底な中空部材からなり、上端の開口を山側にして倒立V字状に傾斜地に固定される1対の土留め材と、1対の土留め材を傾斜地に固定するアンカー材とを有する、
    ことを特徴とする土留め構造。
  2. 前記土留め材として、下端部以外の節を除去した竹材を用いた請求項1記載の土留め構造。
  3. 前記土留め材の上端部と残存する節よりも下側の土留め材の下端部とに貫通孔を形成し、前記アンカー材をこの貫通孔に挿通させて、傾斜地に対して土留め材を固定した請求項2記載の土留め構造。
  4. 前記土留め材の上端部を斜めに切断して開口を形成し、この開口が斜面上方へ向くように土留め材を傾斜地に固定した請求項1〜3のいずれか1項記載の土留め構造。
  5. 前記土留め材の内部空間への基材の侵入を防止するフィルタを、土留め材の上端部に設けた請求項1〜4のいずれか1項記載の土留め構造。
  6. 前記土留め材の潅水用小孔の形成位置に排水孔を形成し、前記排水孔を塞ぐように土留め材の外周部に潅水用小孔を形成した封止体を水密状に固定して、土留め材に潅水用小孔を形成した請求項1〜5のいずれか1項記載の土留め構造。
  7. 前記単位土留め手段を傾斜地に対して千鳥掛け状に設けた請求項1〜6のいずれか1項記載の土留め構造。
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