JP3109790B2 - 摩擦材 - Google Patents

摩擦材

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Aisin Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両、産業用機械等のブ
レーキパッド、ライニング、或いはクラッチフェーシン
グ等として使用される摩擦材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のディスクブレーキパッド、ドラ
ムブレーキシュー等に使用される摩擦材は、その相手部
材であるディスクロータ、ブレーキドラムと摩擦係合
し、運動エネルギーを熱エネルギーに変える重要な役割
を担っている。このため、摩擦材は常に熱を発生し高温
となる。したがって、このような摩擦材には耐熱性、耐
摩耗性等と共に、温度変化によっても摩擦係数の変化の
少ない安定した摩擦特性が要求される。
【0003】そこで従来から、これらの各種の特性を満
足するために、摩擦材は複合材として構成されている。
すなわち摩擦材は、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊
維等の骨格を形成する繊維基材、この繊維基材を結合保
持するフェノール樹脂等の樹脂結合剤、及びこれらの繊
維と結合剤とのマトリックス中に分散して充填される各
種の充填剤から一般に構成されている。そして、この充
填剤としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の体質
充填剤、グラファイト、二硫化モリブデン等の固体潤滑
剤、カシューダスト、金属粉末、シリカ等のアブレッシ
ブ剤、或いはその他の摩擦調整のための添加剤等が使用
されている。
【0004】ここで、カシューダストは、カシューナッ
ツシェルリキッド(カシューナッツ殻液)またはその重
合体をフルフラール等のアルデヒド類と縮合させて硬化
し、これを冷却し、粉砕したものであり、摩擦材の耐摩
耗性を向上すると共に摩擦係数を安定化する摩擦調整剤
として広く使用されている。そして、摩擦材は、このカ
シューダストを含めて上述の摩擦材原料を均一に混合し
た後、その粉状混合物を加圧して予備成形し、次いで、
加圧下で熱成形することによって一般に製造される。
【0005】ところが、このカシューダストは中心粒子
径が一般に50〜500μmであり、他の配合剤と比べ
て粒度が大きく、そのため、特に100μmまたはそれ
以上の粒度のものを用いた場合、摩擦材原料の混合時ま
たは予備成形金型への充填時に沈降して、偏析が生じ易
い。そして、このようにカシューダストが摩擦材中で偏
析すると、摩擦材の摩耗特性や摩擦特性が不均一にな
る。しかも、カシューダストは樹脂結合剤として一般に
使用されるフェノール樹脂との結合力がない上、それ自
体の熱膨脹も大きく、そのため、摩擦材が種々の熱履歴
を受けた際には、特にカシューダストが偏析した部分が
割れの起点にもなる。
【0006】そこで、このようなカシューダストの偏析
を防止するために、従来から種々の手段が知られてい
る。最も一般的に知られた手段は、有機溶剤を使用する
方法であり、摩擦材原料を有機溶剤と共に湿式で混合す
る方法である。また、液状エポキシ樹脂や液状フェノー
ル樹脂を混合助剤として用いる方法、更には含酸素オリ
ゴマーで変性した液状フェノール樹脂を混合助剤として
用いる方法(特開平2−133431号公報、特開平2
−133432号公報)も知られている。
【0007】また、これらの方法とは異なり、特開平5
−156235号公報には、使用するカシューダストを
高粘性材料によりコーティング処理することが提案され
ている。そして、その高粘性材料としては、カシューナ
ットシェル、エチレングリコール、プロピレングリコー
ルが挙げられており、また、その粘度は2〜20PS/
25℃が好ましいことが記載されている。
【0008】なお、カシューダストの偏析を防止する手
段としては、これら以外にも本出願人等の提案にかかる
特開平6−25651号公報に開示のものがあり、ここ
では、カシューダストの表面にミルド状のガラス繊維、
フェノール繊維、アラミド繊維等を保持させたものを使
用している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、カシュー
ダストの偏析を防止するための種々の手段が知られてお
り、そして、これらの手段によればカシューダストの偏
析はいずれも有効に防止することができる。
【0010】しかながら、有機溶剤を使用する方法は、
その有機溶剤を後で除去するための乾燥工程が必要であ
り、工数が増加し、またコストがかかるものであった。
また、液状エポキシ樹脂や液状フェノール樹脂等の混合
助剤を使用する方法は、カシューダストの偏析を効果的
に防止するためにはその混合助剤を比較的多量に使用す
る必要があり、そのため、摩擦材の耐フェード性を低下
したり、或いは場合によれば、摩擦特性を低下させるも
のであった。
【0011】これらに対して、前述の特開平5−156
235号公報で提案されている手段によれば、カシュー
ダストの表面に高粘性材料をコーティングするだけであ
るので、簡便であると共に、コーティングされた高粘性
材料の量は摩擦材全体に対して僅かであるので、摩擦材
の耐フェード性や摩擦特性を低下することがない。しか
し、この高粘性材料として使用されているカシューナッ
トシェル(リキッド)、エチレングリコール、プロピレ
ングリコールは、単に粘性が比較的高いだけの液体であ
り、摩擦材の熱成形時にも硬化し難く、または硬化しな
い。そのため、これらの粘性材料は摩擦材中でカシュー
ダストを十分保持することができないばかりでなく、む
しろその保持性を低下させる恐れもあった。
【0012】そこで、本発明は、カシューダストの偏析
を防止すると共に、カシューダストの摩擦材中での保持
性を向上した摩擦材の提供を課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる摩擦材
は、繊維基材、樹脂結合剤、カシューダスト及びその他
の充填剤を含む粉状混合物を熱成形してなる摩擦材にお
いて、そのカシューダストの表面に、平均重合度が2.
5〜4.0であるカシューナッツシェルリキッド単量体
の重合体とその硬化剤である処理ダスト組成が0.5
〜0.8(%)であるヘキサメチレンテトラミンとの粘
性液状混合物をコーティングしたものである。
【0014】ここで、カシューナッツシェルリキッド
は、カシューダストの製造原料としても用いられるもの
で、カルダノールを主成分とするカシューナット殻から
抽出したリキッド(オイル)ある。そして、本発明に
おいて、このカルダノールを主成分とするカシューナッ
ツシェルリキッドは、その単量体を、例えば酸触媒下で
加熱して二量体、またはそれ以上に重合した重合体とし
て用いられる。その重合度は、平均重合度で2.0〜
4.0である。平均重合度が低いと、カシューナッツシ
ェルリキッドの単量体の割合が増え、皮膚に触れるとか
ぶれが生じ易くなり、また、ヘキサメチレンテトラミン
を添加しても摩擦材の熱成形時に硬化し難くなる。逆に
平均重合度が高いと、粘度が高くなり過ぎ、コーティン
グ処理が困難となり、またコーティングされたカシュー
ダストが互いに凝集して塊が生じ易くなる。このため、
カシューナッツシェルリキッドの重合体は、その平均重
合度が2.0〜4.0の範囲のものが使用され、好まし
くは、2.5〜4.0の範囲のものが使用される。な
お、この重合体は、その粘度においては20〜300P
S程度であることが好ましい。
【0015】また、粘稠なこのカシューナッツシェルリ
キッドの重合体は、それの硬化剤であるヘキサメチレン
テトラミンとの混合物として用いられる。このヘキサメ
チレンテトラミンの添加量は、硬化剤として作用する範
囲であれば特に限定されるものではないが、一般には、
カシューナッツシェルリキッドの重合体に対しその6〜
12重量%程度が好ましい。
【0016】そして、このカシューナッツシェルリキッ
ド単量体の重合体とヘキサメチレンテトラミンとの粘性
液状混合物のコーティングは、例えば、カシューダスト
とその粘性液状混合物とを混合して撹拌する等の手段に
よって、容易に行うことができる。この場合、粘性液状
混合物のコーティング量は、少な過ぎると、カシューダ
ストの偏析防止と摩擦材中での保持性に十分な効果を得
ることができず、また、多過ぎると、カシューダストが
互いに凝集し易くなる。したがって、カシューナッツシ
ェルリキッドの重合体のコーティング量は、カシューダ
ストの粒径等にもよるが、コーティング処理されたカシ
ューダストに対して、実用上一般に4〜15重量%程度
であることが好ましく、より好ましくは6〜12重量%
である。
【0017】なお、本発明の摩擦材において、カシュー
ダスト以外の成分は従来と同様である。
【0018】繊維基材としては、ガラス繊維、ロックウ
ール、シリケート繊維、アルミナ繊維、カーボン繊維、
チタン酸カリウム繊維、スラグウール等の無機繊維、ス
チール繊維、ステンレススチール繊維、銅繊維等の金属
繊維、アラミド繊維、ノボロイド繊維、ナイロン繊維、
レーヨン繊維等の有機繊維等を挙げることができる。そ
して、これらの繊維は単独でまたは適宜組み合わせて、
摩擦材の具体的種類または用途に応じて使用することが
できる。
【0019】樹脂結合剤としては、フェノール樹脂、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂、或いはポリイミド系樹脂、
ポリエステル系樹脂、また、SBR等のゴム等が使用で
きる。しかし、これらの中でも、フェノール樹脂または
その変性物が最も一般に使用されているものでもあり、
好適である。
【0020】また、充填剤としては、硫酸バリウム、炭
酸カルシウム等の体質充填剤、グラファイト、二硫化モ
リブデン、三流化アンチモン等の固体潤滑剤、等を使用
でき、また、必要に応じて、ゴム粉末、銅粉、亜鉛粉、
真鍮粉等の金属粉、シリカ等のアブレッシブ剤、或いは
その他の摩擦調整のための添加剤等を使用することがで
きる。
【0021】そして、本発明の摩擦材は、以上のカシュ
ーダストと繊維基材、樹脂結合剤、及びその他の充填剤
を十分に均一に混合し、この粉状混合物を予備成形した
後、加熱加圧成形する通常の熱成形方法によって製造す
ることができる。
【0022】
【作用】本発明においては、カシューダストの表面に平
均重合度が2.0〜4.0であるカシューナッツシェル
リキッド単量体の重合体とヘキサメチレンテトラミンと
の粘性液状混合物をコーティングしたので、この粘性液
状混合物がコーティングされたカシューダストは、繊維
基材、樹脂結合剤、及びその他の充填剤と混合される
際、これらの材料に付着し、沈降することなく均一に分
散される。このため、カシューダストの偏析が防止され
る。また、カシューナッツシェルリキッド単量体の重合
体はヘキサメチレンテトラミンによって摩擦材の熱成形
時に硬化されるので、カシューダストは、表面のその硬
化物を介して樹脂結合剤及び他の摩擦材成分に結合され
る。このため、カシューダストが摩擦材中に強固に保持
される。
【0023】
【実施例】以下、本発明をディスクブレーキパッドに適
用した実施例により具体的に説明する。
【0024】〈カシューダストの表面処理〉平均粒径約
200μmカシューダストの表面に、カシューナッツシ
ェルリキッド単量体の重合体(以下、単に「カシュー重
合体」という)とヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミ
ン)との粘性液状混合物をコーティングして、本発明の
実施例に使用する種々の表面処理カシューダスト(処理
ダスト)を調製した。
【0025】図1はここで使用したカシュー重合体の平
均重合度とその粘度(PS/25℃)、また、調製した
処理ダストの配合組成、即ちカシューダストに対するカ
シュー重合体とヘキサミンの付着量、を示すものであ
る。
【0026】図1のように、カシュー重合体としてはそ
の平均重合度を種々に変えて使用し、実施例1では平均
重合度2.0(粘度3PS)、実施例2では平均重合度
2.5(粘度15PS)、実施例3では平均重合度3.
0(粘度25PS)、実施例4では平均重合度3.5
(粘度100PS)、そして実施例5乃至実施例9では
平均重合度4.0(粘度290PS)のものをそれぞれ
用いた。そして、カシュー重合体とヘキサミンとはこれ
らをほぼ12重量部対1重量部の割合で混合し、この粘
性液状混合物を、実施例1乃至実施例5では処理ダスト
の全体量に対して9.0重量%の割合(カシューダスト
91.0重量%、カシュー重合体8.3重量%、ヘキサ
ミン0.7重量%)で、同様に実施例6では5.0重量
%、実施例7では7.0重量%、実施例8では11.0
重量%、実施例9では13.0重量%の割合でそれぞれ
カシューダストにコーティングした。
【0027】また、比較のために、無処理のカシューダ
ストを比較例1として用意した。また、比較例2では、
カシューナッツシェルリキッドを重合しないで単量体の
まま使用し(重合度1.0,粘度0.5PS)、その他
は実施例1と同一条件でカシューダストを表面処理し
た。比較例3では、実施例5と同一条件であるが、ヘキ
サミンを使用しないで、カシュー重合体のみをカシュー
ダストにコーティングした。更に、比較例4では、平均
重合度が4.5のカシュー重合体(粘度は300PS以
上であり、ここでは測定しなかった)を用い、その他は
実施例1と同一条件でカシューダストにコーティングし
た。
【0028】〈パッドの製造〉以上のように表面処理し
たカシューダストを用いて、実施例1乃至実施例9と比
較例1乃至比較例4のディスクブレーキパッド(PD5
1型キャリパ用)を製造した。
【0029】ここで、摩擦材は、次の表1の配合からな
るものとした。
【0030】
【表1】
【0031】なお、この配合において、比較例1の場合
は無処理のカシューダストが使用されている。そして、
表面処理カシューダストを含むこの配合の摩擦材原料を
V型ブレンダで十分均一に乾式混合し、次いで、この粉
状混合物を予備成形金型に投入し、常温下、200kg
/cm2 の圧力で1分間加圧して、予備成形した。
【0032】この摩擦材の予備成形物を、予め表面にフ
ェノール樹脂接着剤を塗布した裏金と共に熱成形金型内
にセットし、400kg/cm2 の加圧圧力、160℃
の温度で10分間熱成形した。そして、これを250℃
で120分間熱処理した。これによって、ディスクブレ
ーキパッドを得た。
【0033】〈評価試験〉このように製造された実施例
1乃至実施例9及び比較例1乃至比較例4のディスクブ
レーキパッドについて、カシューダストの偏析の状態、
摩擦材中のカシューダストの塊の有無、摩擦材中でのカ
シューダストの保持性、摩擦材の側面の表面状態、及び
摩擦材の強度をそれぞれ試験し、評価した。
【0034】カシューダストの偏析の状態(ダストの偏
析状態)については、摩擦材原料の上記の粉状混合物を
透明な袋に入れ、これを振ってカシューダストが袋の下
部に落ちる具合を観察することによって行った。その評
価の基準は、以下のとおりである。 ×:5回振ってカシューダストが多く落ちた △:10〜20回振ってカシューダストが多く落ちた ○:20回振ってもカシューダストが余り落ちなかった 摩擦材中のカシューダストの塊の有無(ダストの塊の有
無)については、10個の摩擦材(パッド)の摩擦面を
観察し、カシューダストが凝集した塊の有無を調べたも
のである。そして、そのカシューダストの塊があった摩
擦材の個数に準じて、以下のように評価した。 ×:6個以上 △:6個以下 ○:3個以下 摩擦材中でのカシューダストの保持性(ダストの保持
性)については、摩擦面のカシューダストを針でつつい
て、その取れ易さを調べたものである。そして、その評
価の基準は以下のとおりである。 ×:軽くつつくと容易に取れる △:強くつつくと取れる ○:強くつついても取れにくい 摩擦材側面の状態については、摩擦材は少ない樹脂結合
剤で繊維基材や充填剤を固めたものであるため、その表
面に細かなしわ(皺)が形成される傾向があり、この状
態を摩擦材側面を観察して調べたものである。その評価
の基準は以下のものである。 ×:しわが多い △:しわが少ない ○:しわがほとんど見受けられない そして、摩擦材の強度については、JASO C437
−84の摩擦材の接着強度試験方法に準じて、パッド
(PD51型キャリパ用)の剪断強度(kgf)を測定
した。
【0035】〈評価結果〉以上の評価試験の結果を図1
に合わせて示す。
【0036】図1の評価結果のように、カシューダスト
の表面に平均重合度が2.0〜4.0のカシュー重合体
(カシューナッツシェルリキッド単量体の重合体)とヘ
キサミン(ヘキサメチレンテトラミン)との混合物をコ
ーティングした実施例1乃至実施例9では、カシューダ
ストの偏析状態と塊の有無に関して良好な結果が得られ
た。これは、無処理のカシューダストを使用した比較例
1との対比から分かるように、平均重合度が2.0〜
4.0のカシュー重合体は高い粘性を有し、これが表面
にコーティングされたカシューダストは摩擦材原料の粉
状混合物中において他の材料に付着し保持されて、良好
に分散するためである。しかし、平均重合度が4.5の
カシュー重合体を使用した比較例4では、その粘性が高
すぎるために、カシューダストの偏析は防止されるが、
カシューダストが互いに凝集して塊を生じる傾向が見ら
れた。また、重合されていないカシュー単量体を使用し
た比較例2の場合でも実施例と同様の良好な結果が得ら
れたが、このカシュー単量体は皮膚に触れるとかぶれを
生じ易いため、作業上好ましくないものである。したが
って、この結果から分かるように、用いるカシュー重合
体の平均重合度は2.0〜4.0であることが好まし
い。
【0037】また、実施例1乃至実施例9の効果は、特
にカシューダストの摩擦材中での保持性に現れている。
即ち、ヘキサミンをカシュー重合体に添加していない比
較例3との対比から分かるように、硬化剤であるヘキサ
ミンをカシュー重合体に添加することによって、カシュ
ー重合体は摩擦材の熱成形時に硬化され、カシューダス
トがこの硬化したカシュー重合体を介して樹脂結合剤
(フェノール樹脂)及び他の摩擦材成分と強固に結合さ
れることである。そして、このようにカシューダストが
摩擦材中に保持されることによって、亀裂の核の発生が
より減じられる。また、ヘキサミンを添加することによ
って、カシューダストの保持性が強化されると共に、カ
シューダストの表面にコーティングされ硬化したカシュ
ー重合体は摩擦材の熱成形時の樹脂結合剤の流動を助
け、促進するので、摩擦材の側面状態の評価結果に示さ
れるように、摩擦材の表面に生じるしわが減少する。そ
して同時に、摩擦材の強度の測定結果に示されるよう
に、摩擦材の強度、接着強度も大巾に増強される。
【0038】ただ、実施例1ではカシュー重合体の平均
重合度が2.0と低く、ヘキサミンによる硬化が不十分
となるため、カシューダストの保持性が若干弱い傾向が
見られる。そのため、カシューダストの保持性に関して
も最良の結果を得るためには、カシュー重合体の平均重
合度は2.5〜4.0であることがより好ましいことが
分かる。また、カシューダストの表面にコーティングす
るカシュー重合体とヘキサミンの混合物の量が少ない
と、実施例6のように、カシューダストの偏析防止効果
とカシューダストの保持性が低下する傾向があり、逆に
多すぎると、実施例9のように、カシューダストの塊が
生じ易くなる傾向がある。そのため、この評価結果か
ら、カシュー重合体とヘキサミンの混合物のコーティン
グ量は、処理後のカシューダストの全体の6〜12重量
%程度が最も好ましいことが分かる。
【0039】このように、カシューダストの表面にカシ
ュー重合体とヘキサミンとの混合物をコーティングする
ことにより、カシューダストの偏析を防止することがで
き、また、カシューダストの摩擦材中での保持性を高め
ることができる。そして、このカシュー重合体は単量体
とは異なり、皮膚に触れてもかぶれ難いために、作業者
に安全である。また、そのカシュー重合体は熱成形時の
樹脂結合材の流動を助けるので、摩擦材表面に発生する
しわを減少し外観を高めることができるだけでなく、摩
擦材の強度、耐久性も増強することができる。更に、カ
シュー重合体の硬化物は、カシューダストと類似のもの
であると共に摩擦材全体での含有量が少ないため、摩擦
特性に影響を及ぼすことはない。しかも、カシューダス
トをコーティング処理するだけであるので、以上の効果
を有する摩擦材を安価に製造することができる。
【0040】なお、以上ではディスクブレーキパッドを
例として説明したが、本発明を実施する場合はこれに限
定されるものではなく、ドラムブレーキのライニング、
或いはクラッチフェーシングなど、種々の摩擦材に適用
することができる。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明の摩擦材は、繊維
基材、樹脂結合剤、カシューダスト及びその他の充填剤
を含む粉状混合物を熱成形してなる摩擦材において、そ
のカシューダストの表面に、平均重合度が2.5〜4.
であるカシューナッツシェルリキッド単量体の重合体
、処理ダスト組成が0.5〜0.8(%)であるヘキ
サメチレンテトラミンとの粘性液状混合物をコーティン
グしたものである。
【0042】したがって、粘度の高いカシューナッツシ
ェルリキッド単量体の重合体を使用するので、これがコ
ーティングされたカシューダストは摩擦材原料の粉状混
合物中で繊維基材または他の充填剤に付着して均一に分
散されるため、その偏析を効果的に防止することができ
る。また、このカシュー重合体にはその硬化剤であるヘ
キサメチレンテトラミンが加えられているので、カシュ
ーダストの表面にコーティングされたカシュー重合体は
摩擦材の熱成形時に硬化されるため、カシューダストは
そのカシュー重合体の硬化物を介して樹脂結合材及び他
の摩擦材成分に結合され、摩擦材中での保持性が高めら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例及び比較例のディスクブ
レーキパッドに使用した表面処理カシューダスト(カシ
ュー重合体とヘキサミンの粘性液状混合物をコーティン
グしたもの)とその評価試験の結果とを示す表図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 透 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 湯浅 俊彦 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイ シン精機株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−156235(JP,A) 特開 昭56−63123(JP,A) 特開 平2−133431(JP,A) 特開 平2−133432(JP,A) 特開 平6−25651(JP,A) 特開 昭63−72927(JP,A) 特開 昭60−92332(JP,A) 特開 昭58−47079(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 69/02 C08J 5/14 C09K 3/14 520

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維基材、樹脂結合剤、カシューダスト
    及びその他の充填剤を含む粉状混合物を熱成形してなる
    摩擦材において、 前記カシューダストの表面に、平均重合度が2.5〜
    4.0であるカシューナッツシェルリキッド単量体の重
    合体と処理ダスト組成が0.5〜0.8(%)である
    キサメチレンテトラミンとの粘性液状混合物をコーティ
    ングしたことを特徴とする摩擦材。
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