JP3109598B2 - 高圧燃料レールにおける分岐枝管の接続構造 - Google Patents

高圧燃料レールにおける分岐枝管の接続構造

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高圧燃料多岐管又は燃料ブロックのような高
圧燃料レールにおける分岐枝管の接続構造に係り、特に
ディーゼル内燃機関への燃料供給路となる1000kgf/cm2
以上の高圧燃料レールにおける分岐枝管の接続構造に関
する。
〔従来の技術〕
第10図は従来の高圧燃料レールとしての多岐管におけ
る分岐枝管の接続構造を示す断面部分を含む正面図であ
り、本管11に高圧燃料を流通する流通路10が形成され、
この流通路10に対して軸心方向に貫孔13が複数個形成さ
れている（第10図では１つの貫孔13のみが示されてい
る）。
それぞれの貫孔13には分岐枝管14が嵌挿され、分岐枝
管14と本管11とは接続部分ｗで鑞付け又は溶接の手段で
固定され、本管11の流通路10と分岐枝管14の流路12とが
連通されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
前述した従来の高圧燃料多岐管における分岐枝管の接
続構造では、1000kgf/cm2以上に及ぶ超高圧流が繰り返
し供給され、さらにディーゼル内燃機関から振動が加え
られるために、接続部分ｗの接続或いは接続部分ｗ附近
の熱影響部に解離され、燃料が飛散して漏れが生じたり
分岐枝管14が離脱したりすることがあった。
本発明は、前述したようなこの種の分岐枝管の接続構
造の現状に鑑みてなされたものであり、その目的は溶接
や鑞付によらず簡単に分岐枝管を高圧燃料レールに対し
て接続することが可能で、且つ超高圧流の繰り返し供給
やディーゼル内燃機関からの振動により接続が不完全と
なることのない高圧燃料レールにおける分岐枝管の接続
構造を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
前記目的を達成するために、本発明は燃料レール内に
軸方向に形成された高圧燃料が流通する流通路の周壁に
軸方向の複数位置において貫孔が形成され、該貫孔にそ
れぞれ前記流通孔に通じる流路を有する分岐枝管が連設
されるよう前記燃料レールの周面方向に拡大開口した受
圧座面が形成され、該受圧座面に前記分岐枝管の端部に
形成された押圧頭部を当接係合させて、前記分岐枝管側
に組込んだナットを締着することにより、前記分岐枝管
を前記燃料レールに固定する高圧燃料レールにおける分
岐枝管の接続構造において、前記押圧頭部の先端には球
面状の押圧座面が、また前記押圧頭部には、前記押圧座
面に連続して軸心に平行に直線部が形成され、この直線
部の端部には前記ナットと当接する環状突出部が設けら
れ、前記分岐枝管の直径をＤとすると、押圧底面の曲率
半径γを、0.4D〜10Dに設定している。
〔作 用〕
本発明では、分岐枝管の端部に形成されている押圧頭
部の先端には球面状の押圧座面が形成されているので、
分岐枝管が燃料レールに対して僅かに傾き、例えその傾
きが修正されずに保持されたまま組付けられたとして
も、押圧座面は回転面からなる受圧座面と円形の線接触
状態が保持されて均一な面圧が得られ接触部の密封は確
実に保たれる。
一方、分岐枝管が僅かに偏心したり、傾いた状態とな
ったとしても、締付けナットの締付けトルクによりシー
ル面での面圧が上昇する前に押圧座面の球面が受圧座面
の回転面を滑動して分岐枝管の偏心や傾きが自動的に修
正され均一な面圧が得られる。
押圧頭部には、押圧座面に連続して軸心に平行に直線
部が形成されているので、継手金具にこの直線部のガイ
ドを形成しておくと、押圧頭部が燃料レールと干渉する
ことなしに精度のよい組み付けを精度よく行うことがで
出来る。
組み付けは受圧座面に分岐枝管の押圧頭部を当接係合
してナットによる螺合によって、分岐枝管を燃料レール
に固定するだけで簡単に行われるが、螺子を継手金具の
外周に設けて袋ナットにより螺合するように構成しても
よい。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を第１図乃至第９図を参照して
説明する。
ここで、第１図は各実施例の側面図、第２図は第１の
実施例の断面部分を含む側面図、第３図及び第４図は第
１の実施例の要部の説明図、第５図乃至第７図はそれぞ
れ第２乃至第４の実施例の要部の説明図、第８図及び第
９図はそれぞれ更に他の実施例を示す第２図相当図であ
る。
第１図に示すように、燃料レールとして設けられた本
管１の軸新方向に直角に分岐枝管５が、継手金具４部分
において、ナット７によって締着されている。第２図に
示すように、例えば外径20mm、肉厚6mmの比較的肉厚の
金属管からなる本管１には流通路２が形成され、この流
通路２には貫孔３が形成され、この貫孔３の端部には本
管１の外周面方向に拡大開口した、貫孔３の軸芯を中心
とした回転面、即ち円錐面、回転円弧面、回転楕円面、
回転放物線面、回転双曲線面等の形状を有する受圧座面
３′が形成されている。
本管１に対して受圧座面３′を囲繞して継手金具４が
設けられ、この継手金具４には螺子溝16が形成されてい
る。
分岐枝管５の端部には押圧頭部６が形成され、この押
圧頭部６には、第３図に示すように先端に球面状の押圧
座面18が形成され、この押圧座面18に連続して軸心に平
行な直線部19が形成されている。そして、この直線部19
の端部には円環状の環状突出部20aが形成されている。
また継手金具４には、直線部19を案内するガイド4Gが形
成されている。
第１の実施例においては、押圧座面18の曲率半径γは
分岐枝管５の直径Ｄに対して 0.4D≦γ≦10D …（１） の範囲に設定してあり、0.4D未満では締付けナット７の
締付けトルクにより押圧座面18が受圧座面３′を突き抜
け流通路２内に突出してしまい、一方10Dを超えると、
押圧座面18が直線に近くなり下記するような球面による
自己修正作用等を期待できないからである。尚、好まし
い範囲は0.4D≦γ≦4Dである。
分岐枝管５の押圧頭部６の押圧座面18を受圧座面３′
に対接させた状態で、ナット７が螺子孔16に締着され
て、分岐枝管５が本管１に組み付けられ、ナット７の先
端部が必要に応じ設けたワッシャ21を介して環状突出部
20aを押圧するに伴い押圧座面18と受圧座面３′とが互
いに圧接されて、本管１の流通路２が分岐枝管５の流路
20によって気密的に分岐されている。
この場合、押圧頭部６と受圧座面３′との間にインジ
ュウム、銀、銅、真鍮あるいはアルミニウム等のシール
材を介在させてもよい。
第１の実施例において、分岐枝管が軸心ｘ方向に対し
僅かに傾き、且つその傾きが束縛された状態で組付され
た場合、押圧座面18は回転面からなる受圧座面３′と円
形の線接触状態を保持するため、本管１に対して分岐枝
管５は常に安定位置を保持して均一な面圧が得られ、一
方、第４図に示すように何らかの原因で分岐枝管５が軸
心ｘ方向から僅かに傾いたり偏心したりすると、締付け
ナット７の螺合による締付けトルクによって環状突出部
20aが押圧されてシール面での面圧が上昇する前に押圧
頭部６の球面が受圧座面３′の回転面を滑動し、このた
め分岐枝管５の傾きや偏心が所定位置に修正される（自
己修正作用）ので、シール面において均一な面圧が得ら
れ燃料漏れを起すことなく安全な超高圧燃料の供給が行
われる。
また、押圧頭部６の直線部19を案内するガイド4Gを継
手金具４に形成しておくと、組付け時における分岐枝管
５の位置決めが容易に行われ、本管１に対する分岐枝管
５の気密固定もナット７の螺子溝16への締着により簡単
且つ確実に行われる。
押圧頭部６の押圧座面18は球面なので、回転面である
受圧座面３′と円状の線接触をし、分岐枝管５が僅かに
傾いたり偏心しても、回転面と円状の線接触は気密性を
保持し、且つすでに述べたように自己修正作用によって
分岐枝管５の傾きは修正されるので、燃料漏れ状態とな
ることはない。
また、押圧頭部６の押圧座面18の曲率半径γが（１）
式に示す値に設定されているので、押圧頭部６は受圧座
面３′に対して、最適の範囲において対接し、確実で完
全な気密性対接が行われる。
第５図は第２の実施例の要部の説明図であり、この第
２の実施例は、第１の実施例の円環状の環状突出部20a
に代えて、ほぼ環状円錐台形の環状突出部20bが形成さ
れている。第２の実施例はナット７の強い締着を安定に
受けることが出来る。
第６図は第３の実施例の要部の説明図であり、この第
３の実施例は、第２の実施例と逆向きの環状円錐台形の
環状突出部20cが形成されている。第３の実施例はナッ
ト７の締着時に分岐枝管５の軸心の位置合せも行われ
る。
第７図は第４の実施例の要部の説明図であり、この第
４の実施例は、筒状でたわみ可能な環状突出部20dが形
成された場合で、ナット７の締め過ぎ時に環状突出部20
dがたわみ、過大変形が防止される。
これら、第２乃至第４の実施例のその他の部分の構成
及び効果は、すでに説明した第１の実施例と同一であ
る。
尚、上記実施例では受圧座面３′を囲繞するよう継手
金具４を設けたものについて説明したが、本発明は第８
図に示すように燃料レールとして本管１に代えて燃料ブ
ロック１′に適用することも可能である。第８図に示す
実施例では、継手金具４を設けることなく、流通路２を
燃料ブロック１′に偏心して穿設し、その厚肉部に流通
路２と連通する貫孔３、受圧座面３′及び螺子孔16を設
け、この螺子孔16に直接締付けナット７を螺合し、ワッ
シャ21を介して接続するよう構成したものである。
さらに本発明は第９図のような袋ナット７′も使用す
ることができる。この袋ナット７′には中央に円柱状の
突出部22が形成されており、袋ナット７′の内周螺子23
を継手金具４の外周の螺子16′に螺合するに伴いこの突
出部33によりワッシャ21を介して環状突出部20aを下方
に押圧して押圧座面18を受圧座面３′に当接係合せしめ
るものである。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように、本発明によると、押圧座
面の球面によって分岐枝管が傾いた状態で組付けられた
としても押圧座面は受圧座面と円形の線接触状態を保持
されて均一な面圧が得られ、一方、分岐枝管の偏心や傾
きがあっても、締付けナットの締付けトルクによりシー
ル面での面圧が上昇する前に押圧座面の球面が受圧座面
を滑動して分岐枝管の偏心や傾き等は自動的に修正され
て均一な面圧を得ることが出来、更に、燃料レールに対
して分岐枝管を簡単な操作で気密的に固定することがで
き、超高圧燃料流の繰り返し加圧やディーゼル内燃機関
の振動に対して燃料の飛散による洩れや接続部の離脱を
生じることのない高圧燃料レールにおける分岐枝管の接
続構造を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
第１図は本発明の各実施例の側面図、第２図乃至第４図
は本発明の第１の実施例を説明する図で、第２図は断面
部分を含む側面図、第３図及び第４図は要部の説明図、
第５図乃至第７図は本発明のそれぞれ第２乃至第４の実
施例の要部の説明図、第８図及び第９図はそれぞれ更に
他の実施例を示す第２図相当図、第10図は従来の高圧燃
料レールにおける分岐枝管の接続構造を示す断面部分を
含む正面図である。 １……本管、１′……燃料ブロック、２……流通路、３
……貫孔、３′……受圧座面、4G……ガイド、４……継
手金具、５……分岐枝管、６……押圧頭部、７……ナッ
ト、16……螺子孔、18……押圧座面、19……直線部、20
……流路、20a〜20d……環状突出部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F16L 41/02,19/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】燃料レール内に軸方向に形成された高圧燃
    料が流通する流通路の周壁に軸方向の複数位置において
    貫孔が形成され、該貫孔にそれぞれ前記流通路に通じる
    流路を有する分岐枝管が連設されるよう、前記燃料レー
    ルの周面方向に拡大開口した受圧座面が形成され、該受
    圧座面に前記分岐枝管の端部に形成された押圧頭部を当
    接係合させて、前記分岐枝管側に組込んだナットを締着
    することにより、前記分岐枝管を前記燃料レールに固定
    する高圧燃料レールにおける分岐枝管の接続構造におい
    て、前記押圧頭部の先端には球面状の押圧座面が、また
    前記押圧頭部には、前記押圧座面に連続して軸心に平行
    に直線部が形成され、この直線部の端部には前記ナット
    と当接する環状突出部が設けられ、前記分岐枝管の直径
    をＤとすると、押圧座面の曲率半径γを0.4D〜10Dに設
    定したことを特徴とする高圧燃料レールにおける分岐枝
    管の接続構造。
  2. 【請求項２】環状突出部とナットとが、分岐枝管の軸心
    に直角な面で互いに対接していることを特徴とする請求
    項（１）に記載の高圧燃料レールにおける分岐枝管の接
    続構造。
  3. 【請求項３】環状突出部とナットとが、分岐枝管の軸心
    に斜めな面で互いに対接していることを特徴とする請求
    項（１）に記載の高圧燃料レールにおける分岐枝管の接
    続構造。
  4. 【請求項４】環状突出部が所定圧以上でたわみ可能な形
    状であることを特徴とする請求項（３）に記載の高圧燃
    料レールにおける分岐枝管の接続構造。
  5. 【請求項５】高圧燃料レールは燃料多岐管又は燃料ブロ
    ックからなることを特徴とする請求項（１）に記載の高
    圧燃料レールにおける分岐枝管の接続構造。
  6. 【請求項６】燃料多岐管に対して受圧座面を囲繞する継
    手金具を設け、該継手金具に押圧頭部に形成された直線
    部に対するガイドを設けたことを特徴とする請求項
    （５）に記載の高圧燃料レールにおける分岐枝管の接続
    構造。
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