JP3107336B2 - 船外機 - Google Patents

船外機

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JP3107336B2 JP05022071A JP2207193A JP3107336B2 JP 3107336 B2 JP3107336 B2 JP 3107336B2 JP 05022071 A JP05022071 A JP 05022071A JP 2207193 A JP2207193 A JP 2207193A JP 3107336 B2 JP3107336 B2 JP 3107336B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の利用分野】この発明は船外機に係わり、特に、
Ｖベルトに張力を付与するテンショナーの張力調整機構
の改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来この種の船外機として例えば、特開
平３−１５７２９５号に記載のものが存在する。この従
来例は、カウリングに覆われたエンジン本体上部に、エ
アコンプレッサ、スタータモータ、交流発電機、その他
のエンジン補機類を有し、エンジン本体のクランク軸プ
ーリーとこれらの補機類との間にベルトを卷回して、エ
ンジンの回転動力をベルトを介してエンジン補機類に伝
達するように構成している。すなわちエンジン補機類か
被駆動機器を構成し、このベルトはカウリングに近接配
置された交流発電機の移動によってその張力が調節され
ていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、船外機におけるカウリングとエンジン本体との間の
スペースは極めて限られたものとなっており、前記従来
例ではベルトの張力を調整する際、交流発電機を移動さ
せるとカウリングと干渉するおそれがあり、ベルトの張
力調整が十分に行えず、また、ベルトを脱着することに
も困難を伴っていた。そこで、この発明はカウリングと
の干渉がなく、ベルトの張力調整が十分可能な張力調整
機構を備えた船外機を提供することを目的とするもので
ある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために、カウンリング内の被駆動機器に駆動力を
出力するためのクランク軸及びこのクランジ軸に連結さ
れかつこのクランク軸と直交する方向にピストン運動す
るシリンダを具備し、クランク軸の軸線が天地方向とな
る縦置きのエンジン本体を備え、前記エンジン本体のク
ランク軸に取付けられたクランク軸プーリーと前記被駆
動機器との間に無端ループ状のベルトを巻回してなる船
外機において、前記ベルトに対してループ外から周面が
接触するテンションプーリー及びこのテンションプーリ
ーを軸直角方向へ移動可能に支持するプーリーブラケッ
トを備え、当該ベルトに張力を与えるテンショナーと、
前記シリンダの軸方向に沿って配設され、前記カウリン
グ側の端部を係止するとともに他端を前記プーリーブラ
ケットに螺合し、前記テンションプーリーを前記ベルト
に対して進退させて当該ベルトの張力を調整する調整ボ
ルトと、前記縦置きのエンジン本体の上端部に配設さ
れ、少なくとも前記ベルト及びテンションプーリーを覆
う防水カバーと、を有することを特徴とするものであ
る。
【０００５】本発明によれば、ベルトの張力を調整する
上で調整ボルトを動作させても、調整ボルトのうちカウ
リング側の端部がエンジン本体に係止されてカウリング
に対して進退することがなく、その他端側でテンショナ
ーをベルトに対して進退させるため、当該調整ボルト或
いはテンショナーがカウンリングと干渉するおそれはな
い。また、テンションプーリーをベルトのループ外から
当接させるようにし、調整ボルトをシリンダの軸線に沿
わせて配置したため、エンジン本体の上端部に設けられ
た防水カバーを配置し、少なくトモベルト及びテンショ
ンプーリーを覆ったにも拘わらず、この防水カバーと調
整ボルトとは干渉することがなく、調整が容易となる。
また、この防水カバーが調整ボルトと干渉を回避するよ
うな構造をとる必要がないため、形状を小さくすること
ができる。さらに、調整ボルトをシリンダに沿うように
したため、その調整端部を比較的短い軸長でエンジン本
体から隠れない位置、すなわち作業者の調整可能位置に
位置付けることができる。
【０００６】
【実施例】次に、この発明の実施例について説明する。
図１、図２は本発明が適用された船外機を示すものであ
り、この船外機は２サイクルＶ型６気筒エンジン本体１
０を備える。このエンジン本体には、クランク軸１２が
縦置配置され、このクランク軸の上部にエンジンから突
出してフライホイールマグネト１４が取付けられてい
る。
【０００７】このクランク軸１２からは図示しないコン
ロッドを介して横置き配置された図示しないピストンが
連結され、各ピストンは２つのバンクにＶ字状に分かれ
て３つずつ配置された気筒１６内に収納される。特に、
図１に示すように、各気筒１６の頭部にインジェクタ１
８がそれぞれ設けられ、このインジェクタ１８に対し、
燃料が水分分離器２０、燃料ポンプ２２を介して供給さ
れ、かつ加圧空気がエアコンプレッサ２４からインジェ
クタ１８に供給され燃料を気筒内に噴射する。なお、符
号２６は燃料の脈動を制御するダンパである。
【０００８】２８は吸気通路であり、この吸気通路２８
はエンジン本体１０の長手方向軸と直角な面内におい
て、全体として略Ｕ字状をなして配置される。そして、
この略Ｕ字状の吸気通路２８の上端部に、前記フライホ
イールマグネット１４に隣接する位置において、図２に
示す様に吸気サイレンサ３０が配置される。符号３２は
空気吸い込み口である。また符号３４は前記吸気通路２
８の上流側に設けられるスロットル弁（図示省略）の開
度を検出するスロットルセンサ、符号３６はオイルポン
プとリンク３７を介してリンク結合されるコントロール
レバーである。この略Ｕ字状の吸気通路２８の前面には
さらにカバー３８が装着されており、このカバー３８内
にエンジンを制御する機器が収納されている。
【０００９】そして、このように構成されたエンジン本
体１０全体は、ボトムカウリング４０とこのボトムカウ
リング４０に対して着脱自在に装着されるトップカウリ
ング４２によって覆われている。
【００１０】図１に示すように、前記エアコンプレッサ
２４はエンジン本体１０の上部に配置される。このエア
コンプレッサ２４の他に、エンジン本体１０の上部に
は、前記フライホイールマグネト１４のリングギヤに噛
み合って始動時にこれを駆動するスターターモータ４
４、並びに交流発電機４６が配置される。
【００１１】ここで、この交流発電機４６、前記エアコ
ンプレッサ２４とクランク軸プーリーとしてのフライホ
イールマグネト１４との間にベルト４８を巻き掛けて、
クランク１２の回転動力がベルトを介してこれらの被駆
動機器類に伝動可能に構成されている。
【００１２】符号５０は、このベルトの張力を調整する
ためのテンショナーを示すものである。このテンショナ
ー５０はベルト４８の外側から当接し、かつベルトに対
して進退可能でエンジン本体のシリンダボディに固定さ
れている。このテンショナーの詳細は図３及び図４に示
されている。
【００１３】当該テンショナー５０はベルト４８の内側
でボルト５８及びボルト７６によってシリンダボディ８
４に固定されている略扇状のブラケット５６と、このブ
ラケット５６上に同一ボルト５８によって固定されたプ
ーリーブラケット６２と、このプーリーブラケット６２
上に支軸６３により回転自在に固定されたプーリー６４
とを備える。さらに、前記ブラケット５６の先端付近で
エンジンのシリンダの軸方向に沿ってエンジン本体上に
配設された、長軸状で前記ベルトの張力を調整するため
の調整ボルト６６を備える。
【００１４】この調整ボルト６６はそのカウリング側の
端部６７がカラー６８を貫通し、２つのナット７８によ
りカラー６８に固着されており、このカラー６８はボル
ト７０によってエンジン本体１０に揺動自在に固定され
ている。したがって、調整ボルト６６のカウリング側の
端部がエンジン本体に固定されたことになる。
【００１５】調整ボルト６６の軸方向の途中にはナット
７２が螺着され、このナット７２の一端が前記ブラケッ
ト５６の先端に扇状に形成された同一幅のスロット穴７
５に下方より臨む一方、ボルト７４がプーリーブラケッ
トの先端部、スロット穴７５を貫通してナット７２に螺
着され、プーリーブラケット６２がブラケット５６に固
定される。
【００１６】前記した様にブラケット５６は、第２のボ
ルト７６によって固定されている。したがって、当該ブ
ラケット５６はその二箇所が固定されたことになり、ボ
ルト５８を中心に回転不能に固定される。これに対し
て、プーリーブラケット６２はボルト７４を緩めた場合
その一端のボルト５８を中心にして回動自在となる。
【００１７】次に本実施例の動作について説明する。
今、ベルト４８の張力を調整する必要が生じた際、調整
ボルト６６のカウリング側の端部６７を所定方向（時計
方向あるいは反時計方向）に回動させと、その端部６７
は当初の位置を維持しながら、一方でナット７２が軸方
向に進退する。このナット７２はネジ７４によってプー
リーブラケット６２の先端に固定されていることから、
プーリーブラケット６２はナット７２に従動し、ボルト
５８を中心にして前記スロット穴７５に沿って回動す
る。
【００１８】プーリーブラケット６２の上面には、ベル
ト４８に当接しベルト４８とともに回動するプーリー６
４の支軸６３が固定されているから、この支軸６３がボ
ルト５８を中心にして図面正面より見て反時計方向に回
動すると、プーリー６４はベルト４８に対して押圧傾向
となってベルト４８の張力を増大させる。これに対し
て、時計方向に回動させると逆にベルト４８の張力を減
少させる。これらによりベルト４８の張力の調整が可能
になる。
【００２０】調整ボルト６６はカラー６８によってシリ
ンダボディ８４に係止され、すなわち調整ボルト６６の
カウリング側の端部６７がエンジン本体に係止され、調
整ボルト６６を回動しても端部６７はカウリングに対し
て進退することがない（その位置を変更することがな
い）。そして、エンジン本体の中心側のナット７２がエ
ンジンのシリンダ方向に配置された調整ボルト６６の軸
上を進退するだけで、しかも、調整ボルト６６はエンジ
ンのクランクシャフトと直交する方向（エンジンのシリ
ンダの軸方向）に沿って配向されているため、調整ボル
ト６６にはカウリング４０、４２と干渉する部分は存在
しない。したがって、ベルトの張力を確実に調整するこ
とができる。
【００２１】なお、本実施例では、エンジンの補機類で
あって、エンジン本体１０の上部に設置されるフライホ
イールマグネト１４、エアコンプレッサ２４、スタータ
ーモータ４４、交流発電機４６、ベルト４８、テンショ
ナー５０が一つの一体の防水カバー５２によって覆われ
ている。この防水カバー５２はその一端部において前記
吸気サイレンサ３０の側面に取付ピン５４を介して固定
され、かつ他の二箇所に略対称の位置でブラケット５６
を介してエンジン本体１０に固定されている。
【００２２】このような構成により、図２に示すよう
に、カウリングの前面に形成された吸気口から海水ミス
トを含む新気５３がカウリング（４０、４２）内に取り
込まれても、前記補機類がその上方を前記カバーによっ
て覆われているため、補機類に水が侵入するおそれがな
く、補機類の腐食、不良を防止することができる。
【００２３】次に第２の実施例について説明する。この
実施例はプーリーに直接螺着された調整ボルト６６を有
するテンショナーを備えるもので、このテンショナーは
図５および図６に示すように構成されている。エンジン
本体１０の上面には、ボルト８０によりブラケット５６
がシリンダ８４の軸方向に沿ってエンジン本体に固定さ
れ、このブラケット５６のシリンダヘッド側からは調整
ボルト６６がブラケット内を貫通配置されている。符号
８６は調整ボルトに対する緩み止めナットであり、これ
により調整ボルト６６のカウリング側の端部がブラケッ
ト５６を介しエンジン本体に固定される。
【００２４】前記ブラケット５６の上方位置には、一端
がベルト４８と当接し、ベルトの張力を調整するための
プーリー６４が調整ボルト６６の軸方向に進退可能に配
置されている。すなわち、プーリー６４の中心にはシャ
フト８８が貫通しこのシャフト８８のエンジン本体１０
側の端部を前記調整ボルト６６が貫通して両者が互いに
螺合している。そして、シャフト８８の周囲にはベアリ
ング９０が周設されている。符号９２はベアリング９０
に対するシール部材であり、当該ベアリングの上部をシ
ールするためのものである。さらに符号９４は前記シャ
フトを固定するためのナットである。
【００２５】ベルト４８の張力を調整する場合は、調整
ボルト６６を所定方向に回動させると、前記シャフト８
８が調整ボルト６６の軸方向に沿って進退する。前記ブ
ラケット５６の中心付近にはシャフト８８のこのような
進退を許容するための長穴８９が形成されている。
【００２６】このシャフト８８はプーリー６６の中心に
固定されていることから、プーリー６４がベルト４８に
対して進退することにより、ベルト４８の張力を調整す
ることができる。この際、調整ボルト６６のカウリング
側の端部６７はカウリングに対して進退することなく、
その他端部分でプーリー６４が移動するだけなので、調
整ボルト６６あるいはプーリー６４がカウリングと干渉
することはない。
【００２７】
【００２８】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、カ
ウリングとの干渉がなく、ベルトの張力調整を十分に行
える張力調整機構を備えた船外機を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係わる船外機の一実施例を示す平面図
である。
【図２】その実施例の一部縦断面である。
【図３】テンショナーを示す平面図である。
【図４】図３のＩＶ−ＩＶ断面図である。
【図５】本発明の第二の実施例に係わるテンショナーの
平面図である。
【図６】図５のＶＩ−ＶＩ断面図である。
【符号の説明】
１０ エンジン本体 １２ クランク軸 ２０ 水分分離器 ２２ 燃料ポンプ ２４ エアコンプレッサ ４０，４２ カウリング ４６ 交流発電機 ４８ ベルト ５０ テンショナー ６６ 調整ボルト ６７ 調整ボルトのカウリング側の端部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 カウンリング内の被駆動機器に駆動力を
    出力するためのクランク軸及びこのクランジ軸に連結さ
    れかつこのクランク軸と直交する方向にピストン運動す
    るシリンダを具備し、クランク軸の軸線が天地方向とな
    る縦置きのエンジン本体を備え、前記エンジン本体のク
    ランク軸に取付けられたクランク軸プーリーと前記被駆
    動機器との間に無端ループ状のベルトを巻回してなる船
    外機において、 前記ベルトに対してループ外から周面が接触するテンシ
    ョンプーリー及びこのテンションプーリーを軸直角方向
    へ移動可能に支持するプーリーブラケットを備え、当該
    ベルトに張力を与えるテンショナーと、前記シリンダの軸方向に沿って配設され、前記 カウリン
    グ側の端部を係止するとともに他端を前記プーリーブラ
    ケットに螺合し、前記テンションプーリーを前記ベルト
    に対して進退させて当該ベルトの張力を調整する調整ボ
    ルトと、前記縦置きのエンジン本体の上端部に配設され、少なく
    とも前記ベルト及びテンションプーリーを覆う防水カバ
    ーと、 を有する船外機。
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