JP3103575U - 両面ネット一体化断熱材 - Google Patents

Abstract

【課題】外断熱工法においてアンカーボルトなどを使用しないで発泡断熱ボード１の両面に強固なモルタル層９、１０を形成することができる上、ボードの一部又は全部が破壊されても表面被覆材１０とタイルなどの外装材１２の落下を防止できる断熱材７を提供するものである。
【解決手段】織布・不職布による任意形状の網目状繊維ネット体２，３を発泡樹脂製断熱ボード１の両面に配設し、この両面ネット体を断熱ボードを所定間隔で貫通する連結糸５によって縫合又は接着一体化され、施工後においては張付け材９と表面被覆材１０と共に一体化する。
【選択図】 図４

Description

この考案は、外断熱工法に使用する断熱材に関する。

コンクリート躯体面に発泡スチレン板などの断熱ボードを接着して貼付け、ボードの表面側にネット材を埋設したモルタル層を設けて化粧材を貼着する工法が公知（例えば特許文献１参照）であるが、発泡断熱ボードは引張り力に弱く容易に破断するため、外装側に埋設されたネット材は下地材となるモルタル層を補強することはできてもボードの破断による外装材の剥落落下を防ぐことはできない。

このため、ネット材を含む張付け下地材の養生後にアンカーボルトを躯体に打ち込んで下地材と断熱ボードを固定している。更に、発泡断熱ボードは、強度が小さいため貼付け用モルタルを厚く形成することがでず耐衝撃性が十分でない他、重量のある仕上げ材で施工できない難点がある。

特開２００３‐１３５８３号公報（図１）

本案は、アンカーボルトなどを使用しないで断熱ボードの両面に強固なモルタル層を形成することができる上、ボードの一部又は全部が破壊されても表面被覆材と外装材の落下を防止できる断熱材を提供するものである。

本案断熱材は、発泡断熱ボードの両面に職布又は不織布による繊維ネットを設けると共にネット体同士を３０〜１００ｍｍ間隔で貫通連結して三者を一体化させたものである。
発泡ボードは、発泡スチロール、発泡スチレンなど従来の発泡合成樹脂板であり、繊維ネットは耐アルカリガラス、ビニロン、ポリエステル、ナイロン、炭素繊維などの織布又は粗目の不織布（平紐の網目体を含む）を使用できる。
ネット体の網目の大きさは２５ｍｍ^２〜９００ｍｍ^２が好適であり、網目形状は３角〜６角など任意である。なお、ネット体は、連結部を除いて断熱ボード面との間に空間ができるように緩やかに配設され連結されるのが好ましい。
断熱ボードを貫通して両ネット体を連結する連結糸は、ネット材と同種又は異種繊維の糸又は紐体であり、貫通連結方法は一本の糸で連続縫合してもよいし、短糸を適宜間隔で貫通させて両端部を夫々接着結合させてもよい。また、織布の場合は、両面の織り糸交差部に絡めて往復させて環状に貫通連結したり、これをたすき掛けのように交互に斜めに連結することもできる。連結糸の間隔は３０〜１００ｍｍ程度でよい。
ネット体を構成する繊維は張付け材や表面被覆材と接合しなければならないが、連結糸はこれらに対する接着性を考慮する必要はない。

本案断熱材は、現場でのネット取付作業が不要になることは勿論、施工後は両ネット体が各モルタル層内に埋設されてモルタル層が補強されると共に両面ネットを介して張付けモルタル層＋発泡ボード＋被覆モルタル層の三者が一体化されるので仮令ボードが破壊されても外装材が落下することがなく安全である。また、ヒートブリッジとなるアンカーボルトを使用しないから断熱材の強度低下がなくなり有利である。この他、従来法のモルタル厚さ５ｍｍ程度に較べ２倍程度の厚さに塗布することが可能となり、耐衝撃性、耐火性が向上するばかりでなく、厚地モルタル層によって比較的重量のある仕上げ材も使用できるようになる。

図において、１は発泡合成樹脂製の平板状断熱ボード、２，３はボードの表面に載せられたネット体である。４は連続した連結糸であって表裏のネット体を３〜１０ｃｍ間隔でボードに縫着して一体化している。、図３は他の例であって、短糸５をボードに貫通させ両端部６を夫々ネット体に接着させたものである。この場合において、短糸の両端にビース又はワッシャー用の小片を挿通させてボードとネット間の空間Ｇを形成してもよい。７は、本案断熱材である。
図４において、８は躯体、９はポリマーセメントモルタルなどの張付け材であって予め躯体８の表面及び又は断熱材の一面にモルタルを塗布して接着形成される。
１０は外面側から塗布した表面被覆材であって、張付け材モルタルと同一組成でなくてもよい。１１は仕上げ材、１２はタイルなどの外装材である。

（試験例）
厚さ３０ｍｍ、６００ｍｍ角の発泡スチレン板（ダウ化工製「スタイロフォーム１Ｂ」）を発泡断熱ボード１とし、この両面に面積同一の耐アルカリガラスネット（日本電気硝子製「ＴＤ１０Ｘ１０」）（網目の大きさ１０ｍｍ×１０ｍｍ）をネット体２（３）として載置してアラミド繊維（帝人製「トワロンフィラメントヤーンＮＭ」）を連結糸５として縦横とも３０ｍｍピッチで図３のように一体化させて断熱材７を作製した。
この断熱材の片面にポリマーセメントモルタル張付材（日本化成製「ＮＳ弾モル」）をネットが埋まるように５ｍｍ厚に塗布してコンクリート板の表面に押し付けて接着した。
接着１日後、断熱材の表面に表面被覆材（日本化成製「ＮＳポリマーミックス＃２０」）を塗布し５ｍｍ厚さで平滑に仕上げた。

比較例として連結糸がないもの（Ｂ）とネット体のないもの（Ｃ）を同一素材を用いて同様に作製した。
夫々の断熱材の被覆材に４０ｍｍ×４０ｍｍの方形で深さ２ｍｍの切込みを入れ、この方形部を鋼鉄製アタッチメントに取付けてインストロンによって引張り強さと伸び歪みを測定した結果は図５のようであった。

本案断熱材の斜視図 両面ネットを縫合連結した断熱材の部分断面図 両面ネットを短糸連結した断熱材の部分断面図 施工状態の模型的断面図 引張り試験結果を示すグラフ

符号の説明

１ 発泡樹脂ボード
２、３ ネット体
４、５ 連結糸
６ 接合端部
７ 断熱材
８ 躯体
９ 張付け材
１０ 表面被覆材

Claims (3)

1. 織布・不職布による任意形状の網目状繊維ネット体が発泡樹脂製断熱ボードの両面に配設されると共に前記両面のネット体が該ネットの網目間隔以上の間隔で前記断熱ボードを貫通する連結糸によって縫合又は接着一体化されてなる断熱材。
2. 両面ネットが連結部を除いて断熱ボード表面との間に空間を保持して配設されてなる請求項１記載の断熱材。
3. ネット網目の大きさが２５ｍｍ^２〜９００ｍｍ^２、連結糸の間隔が３０〜１００ｍｍの範囲で形成されてなる請求項１または２記載の断熱材。

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