JP3102282B2 - 脂環式ジオール化合物及びその製造方法 - Google Patents

脂環式ジオール化合物及びその製造方法

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JP3102282B2
JP3102282B2 JP06234172A JP23417294A JP3102282B2 JP 3102282 B2 JP3102282 B2 JP 3102282B2 JP 06234172 A JP06234172 A JP 06234172A JP 23417294 A JP23417294 A JP 23417294A JP 3102282 B2 JP3102282 B2 JP 3102282B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な脂環式ジオール
化合物及びその製造方法に関する。詳しくは、光学材料
や構造材料などのポリエステル、ポリカーボネートや添
加剤として有用な脂環式ジオール化合物及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来より、脂環式ジカルボ
ン酸や脂環式ジオールなどの脂環構造を有するモノマー
を原料として得られるポリエステルは、透明性、耐熱
性、耐薬品性、寸法安定性などの物理的、化学的特性に
優れていることが知られている。かかるポリエステル
は、その脂環骨格が本来もっている特性を生かして、光
ディスク、光カードの基板や液晶表示素子用基板等のよ
うな各種光学材料や構造材料として極めて有用なポリマ
ー素材となる。
【0003】こうした脂環骨格を有するポリエステルの
アルコール成分としては、たとえば、特開平3−200
830公報、特開平5−5026公報、特開平5−17
560公報等に記載されているビシクロ[2.2.1]
ヘプタン−2, 3−ジメタノール、テトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−3, 4−ジメタノール、ヘ
キサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7
9,14]ヘプタデカン−4, 5−ジメタノール等の脂環
式ジオール化合物が知られている。しかし、これらの公
報に記載の脂環式ジオール化合物は、いずれも官能基で
あるヒドロキシメチル基がビシナル炭素上に結合してい
るため、お互いの立体障害が生じ、モノマーの反応性に
乏しく、高分子量化が困難である。その結果、得られて
くる脂環式ポリエステルは、分子量分布も広く、低分子
量縮合体が残存してくるという欠点を持っている。その
ため、従来より知られている脂環式ポリエステルはポリ
マー素材として透明性や機械的強度は優れているもの
の、耐熱性、耐湿性、耐薬品性等の特性を十分に発揮し
ないという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上述べたよ
うな従来のビシナル結合型の脂環式ジオール化合物の課
題を解決すべくなされたものであり、これに代わる新規
な脂環式ジオール化合物及びその製造方法を提供するも
のである。
【0005】すなわち、本発明は、一般式(1):
【0006】
【化9】
【0007】(式中、nは0又は1を示す。)で表され
る脂環式ジオール化合物、一般式(2):
【0008】
【化10】
【0009】(式中、nは0又は1を示す。)で表され
る脂環式シス−ジオール化合物、および一般式(3):
【0010】
【化11】
【0011】(式中、nは0又は1を示す。)で表され
る脂環式トランス−ジオール化合物、並びに一般式
(4):
【0012】
【化12】
【0013】(式中、nは0又は1を示す。)で表され
る脂環式モノオレフィンを出発原料として、この二重結
合部分を酸化剤を用いて酸化開裂して、一般式(5):
【0014】
【化13】
【0015】(式中、nは0又は1を示す。)で表され
る脂環式シス−ジカルボン酸とし、次いでこれを炭素数
1〜4の1価アルコールでエステル化して、一般式
(6):
【0016】
【化14】
【0017】(式中、nは0又は1を示し、Rは炭素数
1〜4のアルキル基を示す。)で表される脂環式シス−
ジカルボン酸ジエステルとした後、さらにこれを水素化
触媒存在下に、接触水素還元することを特徴とする前記
一般式(2)で表される脂環式シス−ジオール化合物の
製造方法、及び前記一般式(6)脂環式シス−ジカルボ
ン酸ジエステルに、触媒として金属アルコキシド類を作
用させ、エステル基が互いにトランスの立体配置になる
ように異性化して、一般式(7):
【0018】
【化15】
【0019】(式中、nは0又は1を示し、Rは炭素数
1〜4のアルキル基を示す。)で表される脂環式トラン
ス−ジカルボン酸ジエステルとした後、さらにこれを水
素化触媒存在下に、接触水素還元することを特徴とする
前記一般式(3)で表される脂環式トランス−ジオール
化合物の製造方法に関する。
【0020】本発明の出発原料として用いる前記一般式
(4)で表される脂環式モノオレフィンは、公知の方法
により製造することができる。すなわち、ジエン化合物
であるシクロペンタジエン又はジシクロペンタジエン
と、脂環式ジエノファイル化合物であるエチレン又はノ
ルボルネンとのディールス・アルダー反応により得るこ
とができる。例えば、シクロペンタジエンとノルボルネ
ンとの反応の場合には、両原料の1:1付加体であるテ
トラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデ
セン(一般式(4)においてnが0)、2:1付加体で
あるヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .0
2,7 .09,14]−4−ヘプタデセン(一般式(4)にお
いてnが1)が得られる。これら一般式(4)で表され
る脂環式モノオレフィンは、ジエン化合物とジエノファ
イル化合物の仕込みのモル量論比や反応条件を適当に選
択することにより、目的物への反応選択率を向上するこ
とが一般的に知られており、減圧蒸留によって容易に単
離することができる。
【0021】本発明の一般式(2)で表される脂環式シ
ス−ジオール化合物は、前記一般式(4)で表される脂
環式モノオレフィンを出発原料として、この二重結合部
分を酸化剤を用いて酸化開裂し一般式(5)で表される
脂環式シス−ジカルボン酸とし、次いでこれを炭素数1
〜4の1価アルコールでエステル化して前記一般式
(6)で表される脂環式シス−ジカルボン酸ジエステル
とした後、さらにこれを水素化触媒存在下に、接触水素
還元することにより得ることができる。
【0022】炭素−炭素の二重結合を酸化剤を用いて一
段階で酸化開裂してジカルボン酸を得る方法としては、
たとえば、過マンガン酸塩を用いる方法[ジャーナル・
オブ・ケミカル・ソサイアティ・パーキン・トランス・
1(J.Chem.Soc.,Perkin.Tran
s.1)806頁(1973年)]、重クロム酸塩を用
いる方法[オルガニック・シンセシス(Org.Syn
th.)第4巻698頁(1963年)]、ルテニウム
金属触媒存在下で過ヨウ素酸塩を用いる方法[ジャーナ
ル・オブ・オルガニック・ソサイアティ(J.Org.
Chem.)第46巻19頁(1981年)]、硝酸を
用いる方法(特開昭59−190945公報)、オゾン
を用いる方法[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカ
ル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc. )第
81巻4273頁(1959年)]等が知られている。
本発明の一般式(5)で表される脂環式シス−ジカルボ
ン酸の製造には、これら公知の酸化開裂反応をそのまま
採用することができる。
【0023】また、本発明者らは上記酸化開裂反応を種
々検討したところ、酸化剤として過マンガン酸塩、重ク
ロム酸塩または硝酸を用いる方法では、一般式(5)で
表される脂環式シス−ジカルボン酸の収率は低かった。
一方、酸化剤として過ヨウ素酸塩を用いる方法及びオゾ
ンを用いる方法では、いずれも一般式(5)で表される
脂環式シス−ジカルボン酸を高収率で得られることが判
明したが、反応処理が繁雑であったり、あるいは反応試
薬が高価であったりして工業的製造の見地から不利であ
ることもわかった。
【0024】そこで、本発明者らは、酸化開裂反応につ
いて、鋭意検討を重ねた結果、酸化剤として過マンガン
酸塩を用い、酸性条件下で酸化反応を行えば、極めて高
収率で一般式(5)で表される脂環式シス−ジカルボン
酸が得られることを新たに見出した。かかる新たな本発
明の酸化開裂反応を利用した一般式(5)で表される脂
環式シス−ジカルボン酸の製造方法は、通常酸化開裂反
応が行われるアルカリ〜中性条件下を、過マンガン酸塩
の酸化力が増大する酸性条件下とすることによりなされ
たものである。以下、一般式(5)で表される脂環式シ
ス−ジカルボン酸の製造について、かかる新たな本発明
の酸化開裂反応について説明する。
【0025】酸化剤として用いる前記過マンガン酸塩と
しては、過マンガン酸カリウムが一般的である。過マン
ガン酸塩の使用量は、酸化開裂反応が化学量論的反応で
あるため、一般式(4)で表される脂環式モノオレフィ
ン1モルに対して、通常1モル当量以上、好ましくは、
2〜4モル当量使用するのがよい。
【0026】反応系を酸性条件下にするためには通常、
硫酸、塩酸、酢酸、硝酸などの各種の無機酸や有機酸が
用いられる。これら酸のなかでも、酸による分解物の生
成が少なく、安価な点から硫酸、塩酸などの無機酸が好
ましい。これらの酸は、水で希釈して水溶液として使用
してもよく、希釈せずにそのまま使用してもよい。かか
る酸の使用量は、一般式(4)で表される脂環式モノオ
レフィン1モルに対して、通常、0.2〜3モル当量、
好ましくは0.4〜2モル当量の範囲で用いられる。
0.2モル当量に満たない場合には低収率となり、3モ
ル当量を越える場合には酸による分解物が副生するた
め、いずれの場合も好ましくない。
【0027】また、本発明の酸化開裂反応における溶媒
としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定され
ず、たとえば、水、アセトン;テトラヒドロフラン、ジ
オキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪
族炭化水素類;メチルクロリド、ジクロロメタン、クロ
ロホルム等のハロゲン化炭化水素類等を使用できる。こ
れらの溶媒のなかでも、一般式(4)で表される脂環式
モノオレフィンと過マンガン酸塩の溶解性を考慮すれ
ば、水と有機溶媒の混合溶媒を一般式(4)で表される
脂環式モノオレフィン1重量部に対して1重量部以上用
いるのがよい。より好ましくは、水:アセトンの1:9
〜9:1(重量比)の混合溶媒を一般式(4)で表され
る脂環式モノオレフィン1重量部に対して3重量部以上
用いるのがよい。
【0028】本発明の前記酸化開裂反応において、一般
式(4)で表される脂環式モノオレフィン、過マンガン
酸塩及び酸は一括して最初から溶媒とともに仕込んで反
応させてもよく、それぞれを連続的若しくは断続的に系
内に加えながら反応させてもよい。また、過マンガン酸
塩のみを先に溶媒に溶解若しくは懸濁させておき続いて
一般式(4)で表される脂環式モノオレフィン及び酸を
連続的若しくは断続的に系内に加えて反応させてもよ
く、一般式(4)で表される脂環式モノオレフィンのみ
を先に溶媒に溶解若しくは懸濁させておき続いて過マン
ガン酸塩及び酸を連続的若しくは断続的に系内に加えて
反応させてもよい。さらには、一般式(4)で表される
脂環式モノオレフィン及び酸を先に仕込んでおき続いて
過マンガン酸塩を連続的若しくは断続的に系内に加えて
反応させてもよく、過マンガン酸塩及び酸を先に仕込ん
でおき続いて一般式(4)で表される脂環式モノオレフ
ィンを連続的若しくは断続的に系内に加えて反応させて
もよく、一般式(4)で表される脂環式モノオレフィン
及び過マンガン酸塩を先に仕込んでおき続いて酸を連続
的若しくは断続的に系内に加えて反応させてもよい。
【0029】反応温度は、通常−20〜100℃、好ま
しくは0〜40℃とするのがよい。反応時間は、一般式
(4)で表される脂環式モノオレフィンと過マンガン酸
塩の量論比及び反応温度に依存するが、通常2〜24時
間とするのがよい。
【0030】本発明の一般式(6)で表される脂環式シ
ス−ジカルボン酸ジエステルは、得られた一般式(5)
で表される脂環式シス−ジカルボン酸をp−トルエンス
ルホン酸や硫酸等の酸触媒存在下、炭素数1〜4の1価
アルコールでエステル化するといったごく一般的な方法
により容易に得ることができる。1価アルコールの具体
例としてはメタノール、エタノール、n−またはiso
−プロパノール、n−、sec−またはtert−ブタ
ノール等があげられる。なお、エステル化は、通常、1
価アルコール中で行い、1価アルコールは、一般式
(5)で表される脂環式シス−ジカルボン酸の3重量倍
以上が必要とされる。
【0031】本発明の一般式(2)で表される脂環式シ
ス−ジオール化合物は、前記で得られた一般式(6)で
表される脂環式シス−ジカルボン酸ジエステルを水素化
触媒の存在下に接触水素還元することにより得ることが
できる。水素化触媒としては、銅・クロマイト触媒、白
金・スズ触媒、ロジウム・スズ触媒、ルテニウム・スズ
触媒、パラジウム・亜鉛触媒等があげられるが、これら
のなかでも銅クロマイト触媒が好ましい。ジエステル化
合物から対応するジオール化合物への接触水素還元に、
触媒として銅・クロマイトを用いることは古くから知ら
れており[例えば、オルガニック・リアクション(Or
g.React.)第8巻1〜27頁(1954
年)]、工業的にもいろいろなグレードの銅クロマイト
触媒が使用されている。銅・クロマイト触媒は、市販さ
れているものをそのまま単独で用いてもよいし、これに
他のスズ、ロジウム、モリブデン、パラジウム、鉄等の
金属系の還元触媒を助触媒として混合・調製して用いて
もよい。
【0032】本発明の接触水素還元にもこれらの公知の
手段をそのまま採用できる。水素化触媒の使用量は、通
常、一般式(6)で表される脂環式シス−ジカルボン酸
ジエステルに対して、0.01重量%〜15重量%の範
囲で用いられる。この範囲より少ないと還元に長時間を
要し、また多いと副反応を並発する恐れがあり工業的製
造の見地から好ましくない。
【0033】接触水素還元反応は通常溶媒中で行う。使
用する溶媒は、反応に不活性な溶媒であれば特に制限は
なく、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメ
ン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン
等の脂肪族炭化水素、その他アルコール系溶媒、エーテ
ル系溶媒等を使用できる。溶媒の使用量は、一般式
(6)で表される脂環式シス−ジカルボン酸ジエステル
1重量部に対して0.1〜50重量部の範囲で用いるの
が好ましい。
【0034】接触水素還元反応に使用する水素の圧力
は、常圧以上であればよい。通常は、10kg/cm2
以上とするのがよい。銅・クロマイト触媒を使用する場
合には100kg/cm2 以上とするのが好ましい。よ
り好ましくは200kg/cm2 以上である。これらよ
り圧力が低いと接触水素還元反応の進行が極めて遅く工
業的製造の見地から不利になってくる。また、反応温度
は、副反応を並発しなければ高温である程反応の進行が
速く工業的製造の見地から有利であるが、通常100〜
300℃の範囲で行うのがよい。好ましくは、170〜
300℃の範囲で行うのがよい。反応器は、一般の接触
水素還元に用いる耐圧反応器であれば特に制限はない。
【0035】次ぎに、一般式(3)で表される脂環式ト
ランス−ジオール化合物の製造方法について説明する。
一般式(3)で表される脂環式トランス−ジオール化合
物は、前記一般式(6)で表される脂環式シス−ジカル
ボン酸ジエステルに、触媒として金属アルコキシド類を
作用させ、エステル基が互いにトランスの立体配置の関
係になるように異性化して、前記一般式(7)で表され
る脂環式トランス−ジカルボン酸ジエステルとした後、
さらにこれを水素化触媒存在下に、接触水素還元するこ
とにより得ることができる。
【0036】異性化は、触媒として金属アルコキシド類
を作用させることにより、容易に、しかも高収率で起こ
る。一般に、カルボニル基のα位に水素をもつ化合物
は、塩基性触媒の存在下で“ケト−エノレ−ト”型の速
い平衡をもつことは知られており、本発明の異性化反応
はこのことを応用した手法であるが、本発明のような多
環式脂肪族化合物に置換したジエステル基のシス−トラ
ンスの異性化に利用した例はなく、かかる本発明の異性
化は本発明者らが初めて見出したものである。なお、本
発明者らは前記異性化反応の触媒として、水酸化ナトリ
ウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物やリチ
ウムジイソプロピルアミド(LDA)等のアルカリ金属
アミド類を試みたが、上記のアルコキシド系触媒と比較
すると異性化率が低くかったり、副反応を併発したりし
て好結果をもたらすことができなかった。
【0037】上記の異性化反応で、触媒として使用する
金属アルコキシド類としては、例えばリチウム、ナトリ
ウムまたはカリウム等のアルカリ金属のメトキシド、エ
トキシド、n−プロポキシド、iso−プロポキシド、
n−ブトキシド、sec−ブトキシド、tert−ブト
キシド、ペントキシド等があげられる。これらのアルカ
リ金属アルコキシドは、別途に合成されたものを用いて
もよく、本異性化反応の同じ系内で合成して用いてもよ
い(例えば、異性化反応に用いる溶媒中、または該反応
に不活性で適当な溶媒中でアルコールとアルカリ金属も
しくはアルカリ金属水素化物とを反応させて合成し、そ
のままその溶液を反応に用いる。)。また、これらの金
属アルコキシド類は、それぞれ単独で使用してもよく、
複数の該アルコキシドを混合して使用してもよい。触媒
の使用量は、特に制限はないが、一般式(6)で表され
る脂環式シス−ジカルボン酸ジエステル1モルに対して
0.05〜0.5モル当量の範囲で使用するのが好まし
い。触媒量が0.05モル当量より少ない場合は、異性
化が起こらないか若しくは進行が極めて遅く実用的では
ない。また、0.5モル当量より多いと、触媒が強アル
カリ性のためいろいろな副反応を併発する危険性がでて
くる。
【0038】前記異性化反応は、溶媒が存在しなくても
可能であるが、通常は適当な溶媒を用いる方がよい。使
用する溶媒としては、一般式(6)で表される脂環式ト
ランス−ジカルボン酸ジエステルを完全にまたは部分的
に溶解する事ができ、反応に不活性であれば特に制限は
ない。かかる溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、
ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノー
ル等のアルコール類等の有機溶媒があげられる。好まし
くはテトラヒドロフランやジオキサン等のエーテル類等
の非プロトン性の有機溶媒がよい。また、これらの溶媒
は、市販されているものをそのまま使用しても充分に好
結果は得られるが、単蒸留若しくは脱水蒸留したものを
用いると一層よい。
【0039】異性化の反応温度は、通常−50〜100
℃、好ましくは−10〜50℃とするのがよい。反応時
間は、上述してきたような条件下では速やかに異性化が
進行するので、従って、ほとんどの場合5時間以内で充
分である。
【0040】本発明の一般式(3)で表される脂環式ト
ランス−ジオール化合物は、前記一般式(7)で表され
る脂環式トランス−ジカルボン酸ジエステルを、水素化
触媒存在下に、接触水素還元することにより得ることが
できる。接触水素還元の各種反応条件は、先に記載した
一般式(6)で表される脂環式シス−ジカルボン酸ジエ
ステルを接触水素還元して、一般式(2)で表される脂
環式シス−ジオール化合物を製造した条件をそのまま適
用できる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、新規な脂環式ジオール
化合物及びその製造方法が提供される。かかる本発明の
脂環式ジオール化合物は光学材料、構造材料などのポリ
エステル、ポリカーボネートの原料や、添加剤として有
用である。特に、官能基であるヒドロキシルメチル基
が、ビシナル炭素上に結合していないため、脂環式ポリ
エステル等の原料として使用する場合に立体障害が生じ
にくい。また、本発明によれば一般式(2)で表される
シス体、または一般式(3)で表されるトランス体のみ
を選択的に製造できるため、シス体またはトランス体の
脂環式骨格のみをポリエステル等のポリマー中に導入で
きる。なお、本発明の新規な脂環式ジカルボン酸及びそ
のジエステルは、一般式(1)で表されるようにシス体
またはトランス体にとらわれずにラセミ体として使用で
きることはもとよりである。
【0042】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明をさらに具体
的に説明するが本発明はこれらの実施例のみに何ら限定
されるものではない。また、各脂環式ジオール化合物の
物性値、スペクトル等の測定には次の装置を使用した。
【0043】融点:微量融点測定装置MP−S3
((株)ヤナコ機器開発研究所製)。 NMR:BRUKER ARX300(ブルカー社
製)。 IR:FT−IR FTS−7(バイオ・ラッド社
製)。 元素分析:エレメンタルアナライザー 2400CHN
(パーキンエルマー社製)。
【0044】実施例1 (i)トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−シ
ス−3,5−ジカルボン酸ジメチル(一般式(6)で表
される脂環式シス−ジカルボン酸ジエステルで、nが
0、Rがメチル基)の合成 撹拌機、冷却器、温度計、滴下ロートを備えた5Lセパ
ラブルフラスコにアセトン2L、水700mL、硫酸3
5.5mL(0.67モル)、過マンガン酸カリウム3
02g(1.91モル)を仕込み、10〜15℃で撹拌
しながらテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン(一般式(4)で表される脂
環式モノオレフィンで、nが0)103g(0.64モ
ル)を1時間かけて滴下し、更に室温で24時間反応を
行った。その後、反応混合物より生成した二酸化マンガ
ンを除去した後、濾液を減圧濃縮し、脂環式シス−ジカ
ルボン酸(一般式(5)で、nが0)の粗結晶99gを
得た。ジメチルスルホキシド(DMSO)110mL、
水90mLの混合溶媒から再結晶し、融点=250〜2
55℃の白色結晶85gを得た。
【0045】次に、撹拌機、温度計、冷却器を備えた5
Lセパラブルフラスコに、上記で得られた脂環式シス−
ジカルボン酸(一般式(5)で、nが0)85g(0.
38モル)、p−トルエンスルホン酸4.3g(22m
モル)、メタノール850mLを仕込み、12時間メタ
ノール還流温度でエステル化した。反応終了後、メタノ
ールを減圧留去し、95gの淡黄色粉末を得た。これを
メタノールから再結晶を行い、融点=98〜100℃の
白色結晶86gを得た(原料脂環式モノオレフィンから
の収率53モル%、以下単に%という)。この結晶は
H−NMR、13C−NMR、IRにより同定し、目的
トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−シス−
3,5−ジカルボン酸ジメチルであることを確認した。
【0046】(ii)トリシクロ[5.2.1.0
2,6 ]デカン−シス−3,5−ジメタノール(一般式
(2)で表される脂環式シス−ジオール化合物で、nが
0)の合成 電磁撹拌機を備えた300mLオートクレーブに、実施
例1(i)で得られたトリシクロ[5.2.1.0
2,6 ]デカン−シス−3,5−ジカルボン酸ジメチル
30g(0.12モル)、ジオキサン150mL及び銅
クロマイト0.5gを仕込み、続いて水素ガスで系内を
充分に置換した後、200kg/cmの水素ガスを仕
込み、200℃で20時間攪拌した。反応終了後、系を
60℃以下まで冷却し、触媒をろ別し、ジオキサンを減
圧留去した。得られた淡黄色粉末をメタノール・酢酸エ
チル混合溶媒で再結晶し、融点115〜117℃の白色
結晶19.8g(収率85%)を得た。この結晶は
−NMR、13C−NMR、IRにより同定し、目的の
トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−シス−
3,5−ジメタノールであることを確認した。以下に、
スペクトルデータを示す。
【0047】1H−NMR(CDCl3 ):0.96
(q,1H)、1.04(dt, 1H)、1.09(d
d,2H)、1.21(dt, 1H)、1.36−1.
48(m, 4H)、1.82(dt, 1H)、2.11
(dt, 2H)、2.23(bs, 2H)、2.22−
2.36(m, 2H)、3.67(bt,2H)、3.
76(bt, 2H)(ppm)。
【0048】13C−NMR(CDCl3 ):61.7
5、49.48、44.97、36.27、35.2
6、29.32(ppm)。
【0049】IR(KBr):3268、2946、2
868、1479、1458、1082、1037、1
012(cm-1)。
【0050】元素分析(C12202 ) 計算値:C, 73.43、H, 10.27、 実測値:C, 73.18、H, 10.39。
【0051】実施例2 (i)トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−ト
ランス−3,5−ジカルボン酸ジメチル(一般式(7)
で表される脂環式トランス−ジカルボン酸ジエステル
で、nが0、Rがメチル基)の合成 撹拌機、温度計、滴下漏斗、及び窒素導入管を備えた5
00mLの四つ口フラスコに、実施例1(i)で得られ
トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−シス−
3,5−ジカルボン酸ジメチル55.0g(0.218
モル)、テトラヒドロフラン300mL、カリウムte
rt−ブトキシド4.80g(0.043モル)を仕込
み、0℃で2時間撹拌した。水20mLを加えてクエン
チした後、反応混合物を約100mLに減圧濃縮し、さ
らに、水300mL、酢酸エチル300mLで分液抽出
を行った。得られた有機層を水洗したのち減圧濃縮し、
54gの淡黄色固体を得た。この固体をメタノールから
再結晶し、融点=57〜59℃の白色結晶49gを得た
(収率89%)。この結晶はH−NMR、13C−N
MR、IRにより同定し、目的のトリシクロ[5.2.
1.0 2,6 ]デカン−トランス−3,5−ジカルボン
酸ジメチルであることを確認した。
【0052】(ii)トリシクロ[5.2.1.0
2,6 ]デカン−トランス−3,5−ジメタノール(一
般式(3)で表される脂環式トランス−ジオール化合物
で、nが0)の合成 電磁撹拌機を備えた300mLオートクレーブに、実施
例2(i)で得られたトリシクロ[5.2.1.0
2,6 ]デカン−トランス−3,5−ジカルボン酸ジメ
チル30g(0.12モル)、ジオキサン150mL及
び銅クロマイト0.5gを仕込み、続いて水素ガスで系
内を充分に置換した後、200kg/cmの水素ガス
を仕込み、200℃で20時間撹拌した。反応終了後、
系を60℃以下まで冷却し、触媒をろ別し、ジオキサン
を減圧留去した。得られた淡黄色粉末をメタノール・酢
酸エチル混合溶媒で再結晶し、融点125〜130℃の
白色結晶18.5g(収率79%)を得た。この結晶は
H−NMR、13C−NMR、IRにより同定し、目
的のトリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン−トラ
ンス−3,5−ジメタノールであることを確認した。以
下に、スペクトルデータを示す。
【0053】1H−NMR(CDCl3 ):0.75
(q,1H)、0.91(d, 1H)、0.98(d
d,2H)、1.32(d, 1H)、1.40−1.4
9(m,4H)、1.42(s, 2H)、1.65−
1.71(m, 1H)、1.98(s, 2H)、3.2
9−3.43(m, 4H)、4.35(t, 2H)(p
pm)。
【0054】13C−NMR(CDCl3 ):65.0
7、51.29、47.52、39.53、34.5
0、32.82、28.27(ppm)。
【0055】IR(KBr):3316、2929、2
873、1476、1452、1091、1056、1
013(cm-1)。
【0056】元素分析(C12202 ) 計算値:C, 73.43、H, 10.27、 実測値:C, 73.28、H, 10.33。
【0057】実施例3 (i)ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .0
9,13]ペンタデカン−シス−10, 12−ジカルボン酸
ジメチル(一般式(6)で表される脂環式シス−ジカル
ボン酸ジエステルで、nが1、Rがメチル基)の合成 撹拌機、冷却器、温度計、滴下ロートを備えた5Lセパ
ラブルフラスコにアセトン2L、水700mL、硫酸3
5.5mL(0.67モル)、過マンガン酸カリウム3
02g(1.91モル)を仕込み、10〜15℃で撹拌
しながらヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .1
10,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン(一般式
(4)で表される脂環式モノオレフィンで、nが1)1
44g(0.64モル)を1時間かけて滴下し、更に室
温で24時間反応を行った。その後、反応混合物より生
成した二酸化マンガンを除去した後、濾液を減圧濃縮
し、脂環式シス−ジカルボン酸(一般式(5)で、nが
1)の粗結晶151gを得た。ジメチルスルホキシド
(DMSO)140mL、水115mLの混合溶媒から
再結晶し、融点=256〜258℃の白色結晶125g
を得た。
【0058】次に、撹拌機、温度計、冷却器を備えた2
Lセパラブルフラスコに、実施例3(i)で得られた脂
環式シス−ジカルボン酸(一般式(6)で、nが1)1
25g(0.43モル)、p−トルエンスルホン酸4.
83g(25.3mモル)、メタノール1.2Lを仕込
み、12時間メタノール還流温度でエステル反応を行っ
た。反応終了後、メタノールを減圧留去し、138gの
淡黄色粉末を得た。これをメタノールから再結晶を行
い、融点=142〜143℃の白色結晶127gを得た
(収率62%)。この結晶は 1H−NMR、13C−NM
R、IRにより同定し、目的のペンタシクロ[6.5.
1.13,6 .02,7 .09,13]ペンタデカン−シス−1
0, 12−ジカルボン酸ジメチルであることを確認し
た。
【0059】(ii)ペンタシクロ[6.5.1.1
3,6 .02,7 .09,13]ペンタデカン−シス−10, 1
2−ジメタノール(一般式(2)で表される脂環式シス
−ジオール化合物で、nが1)の合成 電磁撹拌機を備えた300mLオートクレーブに、実施
例3(i)で得られたペンタシクロ[6.5.1.1
3,6 .02,7 .09,13]ペンタデカン−シス−10, 1
2−ジカルボン酸ジメチル38.2g(0.120モ
ル)、ジオキサン150mL及び銅クロマイト0.5g
を仕込み、続いて水素ガスで系内を充分に置換した後、
200kg/cm2 の水素ガスを仕込み、200℃で2
0時間撹拌した。反応終了後、系を60℃以下まで冷却
し、触媒をろ別し、ジオキサンを減圧留去した。得られ
た淡黄色粉末をヘキサンで再結晶し、融点125〜13
0℃の白色結晶22.3g(収率71%)を得た。この
結晶は 1H−NMR、13C−NMR、IRにより同定
し、目的のペンタシクロ[6.5.1.13,6 .0
2,7 .09,13]ペンタデカン−シス−10, 12−ジメ
タノールであることを確認した。以下に、スペクトルデ
ータを示す。
【0060】1H−NMR(CDCl3 ):0.90−
1.03(m,4H)、1.07(d, 1H)、1.2
3(d,1H)、1.41−1.49(m, 2H)、
1.62(s, 2H)、1.75−1.93(m, 4
H)、2.09(bs, 2H)、2.25−2.38
(m, 2H)、2.25(bs, 2H)、2.45
(d, 2H)、3.61(dd, 2H)、3.71(d
d, 2H)(ppm)。
【0061】13C−NMR(CDCl3 ):61.6
2、50.12、44.55、43.51、41.3
3、39.69、36.68、35.79、31.18
(ppm)。
【0062】IR(KBr):3293、2947、2
875、1484、1457、1017、903(cm
-1)。
【0063】元素分析EA(C17262 ) 計算値:C, 77.82、H, 9.99、 実測値:C, 77.85、H, 10.11。
【0064】実施例4 (i)ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .0
9,13]ペンタデカン−トランス−10, 12−ジカルボ
ン酸ジメチル(一般式(7)で表される脂環式トランス
−ジカルボン酸ジエステルで、nが1、Rがメチル基)
の合成 撹拌機、温度計、滴下漏斗、及び窒素導入管を備えた1
Lセパラブルフラスコに、実施例3(i)で得られたペ
ンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]ペ
ンタデカン−シス−10, 12−ジカルボン酸ジメチル
86.0g(0.270モル)、テトラヒドロフラン5
00mL、カリウムtert- ブトキシド6.06g
(54.0mモル)を仕込み、0℃で2時間撹拌した。
水10mLを加えてクエンチした後、反応混合物を約1
00mLに減圧濃縮し、さらに、水400mL、酢酸エ
チル400mLで分液抽出を行った。得られた有機層を
減圧濃縮し、83gの淡黄色固体を得た。この固体をヘ
キサンから再結晶を行い、融点=52〜53℃の白色結
晶78.2gを得た(収率91%)。この結晶は 1H−
NMR、13C−NMR、IRにより同定し、目的のペン
タシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]ペン
タデカン−トランス−10, 12−ジカルボン酸ジメチ
ルであることを確認した。
【0065】(ii)ペンタシクロ[6.5.1.1
3,6 .02,7 .09,13]ペンタデカン−トランス−1
0, 12−ジメタノール(一般式(3)で表される脂環
式トランス−ジオール化合物で、nが1)の合成 電磁撹拌機を備えた300mLオートクレーブに、実施
例4(i)で得られたペンタシクロ[6.5.1.1
3,6 .02,7 .09,13]ペンタデカン−トランス−1
0, 12−ジカルボン酸ジメチル38.2g(0.12
0モル)、ジオキサン150mL及び銅クロマイト0.
5gを仕込み、続いて水素ガスで系内を充分に置換した
後、200kg/cm2 の水素ガスを仕込み、200℃
で20時間撹拌した。反応終了後、系を60℃以下まで
冷却し、触媒をろ別し、ジオキサンを減圧留去した。得
られた淡黄色粉末をヘキサンで再結晶し、融点114〜
115℃の白色結晶23.5g(収率75%)を得た。
この結晶は 1H−NMR、13C−NMR、IRにより同
定し、目的のペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,
7 .09,13]ペンタデカン−トランス−10, 12−ジ
メタノールであることを確認した。以下に、スペクトル
デ−タを示す。
【0066】1H−NMR(CDCl3 ):0.83
(q,1H)、0.91(d, 1H)、0.98(d
d,2H)、1.04(d, 1H)、1.38(d, 2
H)、1.44(d, 2H)、1.57(d, 1H)、
1.62−1.72(m, 3H)、1.66(bs, 2
H)、1.84−1.93(m, 3H)、2.10
(d,4H)、3.52−3.68(m, 4H)(pp
m)。
【0067】13C−NMR(CDCl3 ):67.1
8、49.22、47.77、45.81、45.2
9、36.84、36.46、35.07、34.1
7、31.36(ppm)。
【0068】IR(KBr):3316、2947、2
925、2886、2868、1481、1458、1
040、903(cm-1)。
【0069】元素分析(C17262 ) 計算値:C, 77.82、H, 9.99、 実測値:C, 77.75、H, 10.08。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07M 7:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 31/27 C07C 51/31 C07C 61/06 C07C 61/12 C07C 69/753 C07C 69/757 C07B 61/00 300 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1): 【化1】 (式中、nは0又は1を示す。)で表される脂環式ジオ
    ール化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(2): 【化2】 (式中、nは0又は1を示す。)で表される脂環式シス
    −ジオール化合物。
  3. 【請求項3】 一般式(3): 【化3】 (式中、nは0又は1を示す。)で表される脂環式トラ
    ンス−ジオール化合物。
  4. 【請求項4】 一般式(4): 【化4】 (式中、nは0又は1を示す。)で表される脂環式モノ
    オレフィンを出発原料として、この二重結合部分を酸化
    剤を用いて酸化開裂して、一般式(5): 【化5】 (式中、nは0又は1を示す。)で表される脂環式シス
    −ジカルボン酸とし、次いでこれを炭素数1〜4の1価
    アルコールでエステル化して、一般式(6): 【化6】 (式中、nは0又は1を示し、Rは炭素数1〜4のアル
    キル基を示す。)で表される脂環式シス−ジカルボン酸
    ジエステルとした後、さらにこれを水素化触媒存在下
    に、接触水素還元することを特徴とする請求項2記載の
    脂環式シス−ジオール化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 酸化剤として過マンガン酸塩を用いて、
    酸性条件下で酸化開裂することを特徴とする請求項4記
    載の製造方法。
  6. 【請求項6】 一般式(6): 【化7】 (式中、nは0又は1を示し、Rは炭素数1〜4のアル
    キル基を示す。)で表される脂環式シス−ジカルボン酸
    ジエステルに、触媒として金属アルコキシド類を作用さ
    せ、エステル基が互いにトランスの立体配置になるよう
    に異性化して、一般式(7): 【化8】 (式中、nは0又は1を示し、Rは炭素数1〜4のアル
    キル基を示す。)で表される脂環式トランス−ジカルボ
    ン酸ジエステルとした後、さらにこれを水素化触媒存在
    下に、接触水素還元することを特徴とする請求項3記載
    の脂環式トランス−ジオール化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 酸化剤として過マンガン酸塩を用いて、
    酸性条件下で酸化開裂することを特徴とする請求項6記
    載の製造方法。
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