JP3098227B2 - 電子放出素子及びその製造方法 - Google Patents

電子放出素子及びその製造方法

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JP3098227B2 JP3200499A JP3200499A JP3098227B2 JP 3098227 B2 JP3098227 B2 JP 3098227B2 JP 3200499 A JP3200499 A JP 3200499A JP 3200499 A JP3200499 A JP 3200499A JP 3098227 B2 JP3098227 B2 JP 3098227B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、適切な材料(例え
ば粒子状のダイヤモンド)を電子放出源(エミッタ)と
して使用して電子を放出する電子放出素子及びその製造
方法に関する
【0002】
【従来の技術】近年、薄型ディスプレイ用の電子放出源
や、高速動作が可能な微小真空デバイスのエミッタ部分
として、微小電子放出素子の開発が盛んである。従来、
電子放出素子としては、高温に加熱されたタングステン
等の材料に高電圧を印加する「熱放出型」のものが用い
られていたが、近年、高温に加熱する必要が無く、低電
圧でも電子を放出することが可能である「冷陰極型」の
電子放出素子が盛んに研究開発がなされている。
【0003】ここで、冷陰極型の電子放出素子(以下で
は、「冷陰極素子」とも称する)として要求される特性
は、低電圧・低消費電力駆動が可能で、高電流が安定に
得られることである。このような冷陰極素子として、近
年では、ダイヤモンドを電子放出領域(エミッタ)に使
用した構造が提案されてきている。これは、ダイヤモン
ドが広い禁制帯幅(5.5eV)を有する半導体材料で
あること、高硬度、耐磨耗性、高熱伝導率、化学的に不
活性であるなど電子放出素子材料として非常に適した特
性を有していること、更に、表面状態を制御することに
よって伝導帯端のエネルギー準位を真空のエネルギー準
位よりも低くして負の電子親和力を有する状態にするこ
とが可能であること、に着目したものである。特に、負
の電子親和力を有するという特性は、ダイヤモンドの伝
導帯に電子を注入すれば、容易に電子を放出させること
が可能になることを意味している。
【0004】ダイヤモンドを使用した電子放出素子は、
例えば特開平7−282715号公報に開示されてお
り、その構成の簡略図を図29に示す。
【0005】具体的には、図29の構成では、基板11
11の上に電極として機能する導電層1112が形成さ
れ、更にその導電層1112の上には、ダイヤモンド粒
子1113からなる電子放出領域1114が形成されて
いる。各ダイヤモンド粒子1113は、所定の処理によ
って負の電子親和力を有している。このようなダイヤモ
ンド粒子1113から構成される電子放出領域1114
に対向するように対向電極(不図示)が設けられ、この
電極に電位を与えることによって、各粒子1113から
電子を取り出す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような図29に
示す従来の構成において、ダイヤモンド粒子1113の
表面の電子親和力が負になっているので、導電層111
2からダイヤモンド粒子1113に入った電子は、容易
にダイヤモンド粒子1113から放出される。このた
め、理論的には、対向電極(不図示)に高電圧を印加し
なくても、ダイヤモンド粒子1113からの電子の引き
出しが可能になるはずである。
【0007】しかし、実際には、図29の構成で電子を
取り出すためには、対向電極に従来と同様の高電圧を印
加する必要がある。
【0008】本発明は、従来技術における上記の課題に
鑑みてなされたものであり、その目的は、低電圧駆動で
高電流を安定に得ることが可能な電子放出素子及びその
製造方法を提供することである
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の電子放出素子
は、電子輸送部材と、電子放出部材と、該電子輸送部材
と該電子放出部材との間に形成された電界集中領域と、
前記電子放出部材に対向した電極とを有する電子放出素
子であって、前記電子放出部材が粒子から構成されてお
り、前記電界集中領域が絶縁層によって構成されてお
り、前記電極と前記電子輸送部材との間の電位差により
発生する電界によって、前記電子放出部材と前記電極と
の間に発生する電界集中の大きさよりも大きな電界集中
が、前記電界集中領域に発生し、前記電界集中領域に発
生する電界集中によって、前記電子輸送部材から前記電
子放出部材への電子の注入が行われることを特徴とす
る。
【0010】前記電子放出部材への電子注入により、前
記電子放出部材と前記電子輸送部材とが同電位になる
と、電界集中領域における電界の集中が消滅し、電子放
出部材に注入された電子が、電子放出部材と電極との間
に発生している電界集中によって、電極に向かって引き
出されると、再び、前記電子放出部材と前記電極との間
に発生する電界集中の大きさよりも大きな電界集中が、
前記電界集中領域に発生する
【0011】前記電界集中領域は、絶縁層から構成され
ていてもよい。
【0012】前記電子輸送部材が導電層である
【0013】
【0014】
【0015】ある実施形態では、前記電子輸送部材の表
面が凹凸形状を有するように粗面化されており、前記電
子放出部材は、該電子輸送部材の該粗面化された表面の
上に、少なくとも該凹凸形状の凸部を介して配設されて
いる。
【0016】ある実施形態では、前記電子輸送部材に電
流を流す回路を更に備える。
【0017】ある実施形態では、前記電界集中領域は、
前記電子放出部材を構成する粒子の表面に形成された絶
縁層から構成されていて、該粒子が該絶縁層を介して前
記電子輸送部材の上に配設されている。
【0018】他の実施形態では、前記電子輸送部材が導
電層であり、前記電界集中領域が該導電層の上に形成さ
れた絶縁層から構成されており、前記電子放出部材が、
該絶縁層に一部を埋没させるように配設された粒子から
構成されている。
【0019】好ましくは、前記電界集中領域の厚さが1
000Å以下である。
【0020】ある実施形態では、前記電子放出部材が、
お互いに接触せずに独立して配設された複数の粒子から
構成されている。
【0021】好ましくは、前記電子放出部材が、負の電
子親和力を有する材料の粒子から構成されている。
【0022】前記粒子は、ダイヤモンド粒子であり得
る。例えば、前記ダイヤモンド粒子は人工ダイヤモンド
粒子である。或いは、前記ダイヤモンド粒子は気相合成
法により合成されたダイヤモンド粒子である。
【0023】或いは、前記粒子は、ダイヤモンド構造を
部分的に備えたカーボン粒子であり得る。
【0024】前記ダイヤモンド粒子或いは前記カーボン
粒子の最表面原子は、水素原子と結合した終端構造を有
し得る。
【0025】例えば、前記ダイヤモンド粒子或いは前記
カーボン粒子は、600℃以上の水素雰囲気に曝されて
形成されたものである。
【0026】前記ダイヤモンド粒子或いは前記カーボン
粒子が、不純物を含んでいても良い。前記不純物が、イ
オン注入により形成されていてもよい。好ましくは、前
記不純物の密度が1×1013個/cm3以上である。
【0027】前記電子輸送部材は、低仕事関数材料から
構成される導電層であり得る。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】本発明の電子放出素子の製造方法は、基板
の上に電子輸送部材を形成する工程と、該電子輸送部材
に対して、電界集中領域を介して接触する電子放出部材
を配設する工程と、を包含しており、そのことによっ
て、前述の目的が達成される。
【0044】ある実施形態では、前記電子輸送部材は前
記基板の上に形成された導電層であり、前記電子放出部
材は、前記電界集中領域として機能する絶縁層を介して
該導電層に接触するように配設された粒子から構成され
る。
【0045】ある実施形態では、前記電子放出部材に対
する所定の位置に、該電子放出部材から電子を引き出す
ための電位が印加される引き出し電極を配置する工程を
更に含む。
【0046】ある実施形態では、前記電子輸送部材の表
面を粗面化する工程を更に含む。
【0047】ある実施形態では、前記電子輸送部材に電
流を流すための回路を構成する工程を更に含む。
【0048】ある実施形態では、前記電子放出部材を配
設する工程が、前記電子輸送部材として機能する導電層
の上に、前記電界集中領域として機能する絶縁層を形成
する工程と、該絶縁層の上に、該電子放出部材として機
能する粒子を配設する工程と、を含む。
【0049】ある実施形態では、前記電子放出部材を配
設する工程が、前記電子放出部材として機能する粒子の
表面に、前記電界集中領域として機能する絶縁層を形成
する工程と、該粒子を、前記電子輸送部材として機能す
る導電層の上に配設する工程と、を含む。
【0050】ある実施形態では、前記電子放出部材を配
設する工程が、液状硬化性絶縁物質と所定の粒子との混
合物を、前記電子輸送部材として機能する導電層の上に
付着させる工程と、該液状硬化性絶縁物質を硬化させる
工程と、該硬化させた絶縁物質の表層部のみを選択的に
除去して、該混合物に含まれる該粒子の一部を露出させ
て、該粒子の露出した部分を該電子放出部材として機能
させる工程と、を含む。
【0051】前記選択的除去工程は、化学的エッチング
処理によって実行され得る。例えば、前記化学的エッチ
ング処理は、水素プラズマ照射プロセスである。
【0052】ある実施形態では、前記電子放出部材を配
設する工程が、前記電子輸送部材として機能する導電層
の上に、前記電界集中領域として機能する絶縁層を形成
する工程と、粒子を分散させた溶液の中に、該絶縁層が
形成された前記基板を設置する工程と、該溶液に超音波
振動を印加して、該溶液の中の該粒子を該絶縁層に付着
させる工程と、を含み、該付着された粒子が該電子放出
部材として機能する。
【0053】ある実施形態では、前記電子放出部材を配
設する工程が、前記電子輸送部材として機能する導電層
の上に、前記電界集中領域として機能する絶縁層を形成
する工程と、粒子を分散させた溶液を該絶縁層の上に塗
布して、該粒子を該絶縁層に付着させる工程と、を含
み、該付着された粒子が該電子放出部材として機能す
る。
【0054】ある実施形態では、前記電子放出部材を配
設する工程が、前記電子輸送部材として機能する導電層
の上に、前記電界集中領域として機能する絶縁層を形成
する工程と、粒子を分散させた溶液を用いた電気泳動処
理プロセスによって、該粒子を該絶縁層に付着させる工
程と、を含み、該付着された粒子が該電子放出部材とし
て機能する。
【0055】ある実施形態では、前記電子放出部材を配
設する工程が、前記電子放出部材として機能する粒子の
表面に、前記電界集中領域として機能する絶縁層を形成
する工程と、該粒子を分散させた溶液の中に、前記電子
輸送部材として機能する導電層が形成された前記基板を
設置する工程と、該溶液に超音波振動を印加して、該溶
液の中の該粒子を該導電層に付着させる工程と、を含
む。
【0056】ある実施形態では、前記電子放出部材を配
設する工程が、前記電子放出部材として機能する粒子の
表面に、前記電界集中領域として機能する絶縁層を形成
する工程と、前記電子輸送部材として機能する導電層の
上に、該粒子を分散させた溶液を該絶縁層の上に塗布し
て、該粒子を該絶縁層に付着させる工程と、を含む。
【0057】ある実施形態では、前記電子放出部材を配
設する工程が、前記電子放出部材として機能する粒子の
表面に、前記電界集中領域として機能する絶縁層を形成
する工程と、前記電子輸送部材として機能する導電層の
上に、該粒子を分散させた溶液を用いた電気泳動処理プ
ロセスによって該粒子を付着させる工程と、を含む。
【0058】ある実施形態では、前記電子輸送部材の表
面を粗面化する工程が、前記電子輸送部材として機能す
る導電層を溶射法により形成する工程を含む。
【0059】ある実施形態では、前記電子輸送部材の表
面を粗面化する工程が、前記電子輸送部材として機能す
る平坦な導電層を形成する工程と、該平坦な導電層の表
面を粗面化する工程と、を含む。例えば、前記平坦な導
電層の表面を粗面化する工程がブラスト処理による。或
いは、前記平坦な導電層の表面を粗面化する工程が化学
的エッチング処理による。
【0060】ある実施形態では、前記基板の表面を粗面
化する工程を更に含み、該粗面化された基板の表面に前
記電子輸送部材を形成することによって、該電子輸送部
材の表面を粗面化する。
【0061】ある実施形態では、前記電子輸送層及び前
記電子放出層の少なくとも一方が気相成長プロセスによ
って成長されたダイヤモンド薄膜であり、該気相成長プ
ロセスの前処理工程として、1×1010個/cm2以上の
分布密度を有するダイヤモンド成長核を分布させる工程
を含む。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【発明の実施の形態】本願発明者らによる検討によれ
ば、図29に示す従来技術の電子放出素子の構成におい
て、先述のように実際に電子を取り出すためには対向電
極に高電圧を印加する必要があるのは、導電層1112
とダイヤモンド粒子1113との界面に存在する電子障
壁に起因する。
【0069】導電層1112とダイヤモンド粒子111
3とがオーミック接合を形成すれば、このような問題は
発生しない。しかし、ダイヤモンドとオーミック接合を
形成することは、材料特性の点から一般に困難であり、
実際には、ショットキー接合が形成される。これより、
導電層1112からダイヤモンド粒子1113に電子を
注入するためには、両者の界面に存在する電子障壁を越
えさせねばならず、この結果として対向電極に高電圧を
印加して電子に十分なエネルギーを与える必要が生じ
る。
【0070】以上のような原因により、図29に示す従
来の構成では、導電層1112からダイヤモンド粒子1
113に電子を効率的に注入することが困難であり、そ
のために電子を十分に得ることができない。
【0071】以下では、以上のような本願発明者らによ
る検討結果に基づいて行われた本発明の幾つかの具体的
な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【0072】(第1の実施形態)図1Aは、本発明の第
1の実施形態における電子放出素子の断面図を示すもの
である。図1Aの構成は、一般にダイオード構成と呼ば
れている。
【0073】図1Aにおいて、基板11の上に電子輸送
部材1が形成されており、電子輸送部材1の上には、電
界集中領域2を介して、電子放出領域4を構成する電子
放出部材3が設けられている。電子放出部材1としては
導電層1、電子放出部材3としては粒子状物体、電界集
中領域2としては絶縁層2を用いることができるが、特
にこれらに限られるわけではない。
【0074】電子放出部材3に対向した電極(図示せ
ず)に電圧を印加すると、電子輸送部材1と不図示の電
極との間に、その間の電位差及び間隔によって決定され
る電界が発生する。ここで、例えば粒子状の電子放出部
材3が存在すると、等電位線aは電子放出部材3を避け
て発生する。このとき、図1Cに示すように、電界集中
領域2が存在せずに電子輸送部材1の上に直接に電子放
出部材3が設けられていると、電界(等電位線)は、電
子放出部材3とそれに対向した不図示の電極との間(電
子放出部材3の先端近傍)の1箇所のみに集中する。一
方、図1Bに示すように電界集中領域2が設けられてい
ると、電界(等電位線)は、電子放出部材3とそれに対
向した不図示の電極との間に加えて、電子放出部材3と
電子輸送部材1との間に位置する電界集中領域2にも、
集中する。そして、この電界集中領域2における電界集
中の存在によって、電子輸送部材1から電子放出部材3
への電子の注入が、容易に行われるようになる。
【0075】この構成での電子放出過程を、以下に説明
する。
【0076】電界集中領域2の厚さは、電子放出部材3
と不図示の対向電極との間の間隔よりも十分に狭いの
で、発生する電界集中の大きさは、電子放出部材3の先
端近傍よりも電界集中領域2の中の方が大きい。従っ
て、電子はまず最初に、電子輸送部材1から電界集中領
域2をトンネリングして電子放出部材3に注入される。
【0077】電子の注入が十分になった状態では、電子
放出部材3は電子輸送部材1と同電位となり、電位的に
は、電子放出部材3はあたかも電子輸送部材1の上に存
在する突起のようになる。この時点で、電界集中領域2
における電界の集中も消滅する。
【0078】この状態から、次に電子は、電子放出部材
3と不図示の対向電極との間に発生している電界集中に
よって、電子放出部材3から対向電極に向かって引き出
される。この時点で、初期の状態に戻ったことになる。
【0079】そして、再び、電界集中領域2及び電子放
出部材3と対向電極との間(電子放出部材3の先端近
傍)の2箇所に、電界集中が発生する。
【0080】以上の動作の繰り返しによって、電子輸送
部材1からの電子の引き出しが行われる。
【0081】以上の説明では、電子放出部材3の形状が
粒子状であるとしているが、これは、電子放出部材3か
ら対向電極への電子の引き出しの際に両者間での電界集
中をより高める効果を得ることを意図している。しか
し、電子輸送部材1から電子放出部材3への電子注入過
程の効率の改善という本発明の目的の達成のためには、
上記の場合に限られるわけではない。例えば、図1Dに
示すように、電子輸送部材1の上に電界集中領域2を介
して層状の電子放出部材(電子放出層)3が設けられて
いる構成においても、上記と同様の効果を得ることがで
きる。
【0082】一方、電界集中領域2は、上記のように絶
縁層から構成される場合に限られるわけではない。例え
ば、図1Eに示すように、電子輸送部材1と電子放出部
材3との間に非常に狭い隙間を設ければ、その隙間の真
空空間部分2が電界集中領域2として作用して、上記と
同様の効果を得ることができる。
【0083】何れの構成においても、電界集中領域2に
おける電子の移動は、トンネリングによる。従って、電
界集中領域(例えば絶縁層)2の厚さは、電子のトンネ
リングが可能な厚さ、例えば約1000Å以下とするこ
とが好ましい。
【0084】図1Aでは、電子輸送部材1としての導電
層1に対して、電界集中領域2としての絶縁層2を介し
て、電子放出領域4を構成する電子放出部材3としての
粒子3が付着・配設されている構成が示されている。し
かし、本発明を実現する構成は、これに限られるわけで
はない。例えば、図2に示すような、表面に絶縁層2が
形成された粒子3が導電層1の上に付着・配設されてい
る構造、或いは、図3に示すような、導電層1の上に形
成された絶縁層2の中に粒子3がその一部を埋没させて
設けられている構成であっても、構わない。
【0085】また、電子放出領域4からの放出電流は、
個々の粒子3からの電子放出量の集積となることから、
電子放出領域4を構成する粒子3は、互いに接触するこ
となく独立して付着させることが、電流量の増大や時間
的及び空間的な電流量の均一性・安定性の観点で好まし
い。
【0086】ここで、粒子3として特にダイヤモンドを
用いれば、物質特性面での安定性が得られ、電子放出の
経時的な安定性が更に増す。工業的に利用できるダイヤ
モンドとしては、例えば気相合成法により合成された人
工ダイヤモンド等が挙げられる。また、一般にダイヤモ
ンドの表面を水素終端すると、電子親和力が負になると
言われており、そのような観点から、粒子3がダイヤモ
ンドで且つ更にその表面が水素終端されたものであれ
ば、本発明の効果を更に大きくすることが可能となる。
ダイヤモンド粒子を水素終端する方法としては、例え
ば、ダイヤモンド粒子を600℃以上の水素雰囲気に曝
す方法や水素プラズマに曝す方法が挙げられる。
【0087】また、粒子3として、ダイヤモンド構造を
部分的に備えたカーボン粒子を用いても、上記と同様の
効果を得ることができる。この場合にも、水素終端する
ことにより、同様に本発明の効果を大きくすることがで
きる。水素終端の方法は、ダイヤモンド粒子の場合と同
様である。
【0088】また、ダイヤモンド粒子3或いはダイヤモ
ンド構造を部分的に備えたカーボン粒子3が、その内部
に不純物を含んでいれば、それらの粒子自身の電気抵抗
が低下するので、電流量を増加させる効果が得られる。
これより、本発明の効果を更に高めることが可能とな
る。この不純物は、例えばイオン注入等の方法により、
人工的に粒子3の内部に制御して存在させることが可能
である。不純物密度は、例えば1×1013個/cm3
上とすることが好ましい。
【0089】また、導電層1は、電子放出領域4を構成
する粒子3に電子を供給する電極として作用するもので
あり、通常の金属をはじめとする任意の導電性材料の薄
膜或いは厚膜とすることができる。また、1層構造或い
は多層構造の何れであっても、本発明の効果が得られる
ことは自明である。更に、構造上で許容される場合に
は、基板11が導電層1の役割を兼ねる構成も可能であ
る。
【0090】ここで、本発明の第1の実施形態における
具体的な構成例とその製造工程を、以下に説明する。
【0091】まず、図19(a)に示すように、Si基
板11の表面に導電層1を形成する。次に、図19
(b)に示すように、導電層1の上に、厚さ500Åの
SiO2膜2を形成する。更にその上に、図19(c)
に示すように平均粒子径が10μmのダイヤモンド粒子
3を付着して、電子放出領域4を形成する。
【0092】付着方法としては、例えば、ビークルにダ
イヤモンド粒子3を混入してスピンコートを行って付着
させる方法、粒子3を分散させた溶液中に図19(b)
の基板11を浸して設置し、溶液に超音波振動を印加す
ることによって、溶液中の粒子3を付着させる方法、或
いは、電気泳動法により粒子3を付着させる方法など
を、適用することができる。何れの方法においても、適
切な付着条件を設定すれば、粒子3を互いに接触させず
に付着させることが可能となる。
【0093】この状態で、Si基板11から1mm離し
て対向電極を設けて電圧を印加したところ、3kV程度
の電圧で1μA/cm2以上のエミッション電流が得ら
れた。
【0094】また、上記に換えて、図2に示すように、
その表面に酸化膜による絶縁層2を形成したCu粒子3
を導電層1の上に付着した構造としてもよい。
【0095】或いは、図3に示すように、導電層1とし
てのインジウム層1の表面に酸化膜2を形成した後に、
ダイヤモンド粒子3を酸化膜2を壊さないように埋め込
んだ構造としてもよい。また、粒子と液状の硬化性絶縁
物質とを混合し、その混合物を導電層の上に付着して硬
化させた後に、絶縁物質の表層部近傍のみを選択的に除
去して粒子の一部を露出させる方法によっても、上記と
同様の効果が得られる。
【0096】上記の何れの製造プロセス(及びそれによ
って得られる構成)においても、複数の粒子3が、互い
に接触させずに導電層1の上に付着される。この結果、
個々の粒子3が電子放出源(エミッタ)として機能する
ことになるので、電子放出領域4からの放出電流(電
子)量は、個々の粒子3からの電子放出量の集積とな
る。この結果、大きな電流の取り出しが可能な電子放出
素子が得られることになる。
【0097】上記で用いたダイヤモンドは、例えば気相
合成法により合成された人工ダイヤモンドである。ま
た、このダイヤモンドを600℃の水素雰囲気に曝して
その表面を水素終端したところ、電子放出の開始電圧の
低下が見られた。或いは、ダイヤモンド粒子を水素プラ
ズマに曝すことによっても、同様の効果が得られた。
【0098】また、一般に質が悪いとされる黒色のダイ
ヤモンド粒子は、実際にはダイヤモンド構造を部分的に
備えたカーボン粒子であるが、粒子3としてこれを用い
た場合においても、同様の効果を得ることができた。こ
の場合にも、先程と同様のプロセスによりその表面を水
素終端することにより、ダイヤモンド粒子の場合と同様
の効果を得た。
【0099】また、ダイヤモンド粒子或いはダイヤモン
ド構造を部分的に備えたカーボン粒子は、その内部に不
純物を含んでいるので、それ自身の電気抵抗が低下して
おり、その結果として電流量の増加が見られた。或い
は、不純物をイオン注入により人工的に粒子3の内部に
制御して存在させることにより、電子放出特性を制御す
ることが可能である。例えば、不純物としてのボロンを
1×1013個/cm3以上の密度で注入することによ
り、エミッション特性の更なる改善効果が見られた。
【0100】なお、上記の構成における電子輸送部材1
は、できる限り小さい仕事関数を有する材料から構成さ
れていることが好ましい。これは、電界集中領域2に発
生する電界集中によって電子輸送部材1から電子を引き
出して電子放出部材3に注入することから、電子輸送部
材1の構成材料の仕事関数が小さい方が、電子の引き出
し(電子放出部材3への注入)が効率的に行われるため
である。この特徴は、同様の構成を有する本発明の他の
実施形態においても、同様に適用される。
【0101】(第2の実施形態)図4は、本発明の第2
の実施形態における電子放出素子の断面図を示すもので
ある。
【0102】図4の構成では、基板11の上に導電層
(電子輸送部材)1が形成されている。更に、その導電
層1の上に絶縁層(電界集中領域)2が形成されてお
り、絶縁層2の上には、粒子(電子放出部材)3が付着
して電子放出領域4を形成している。また、電子放出領
域4に対応した箇所に開口部5aが設けられている引き
出し電極5が、電子放出領域4と所定の間隔を隔てて設
けられている。
【0103】図4の構成は、一般的にトライオード構成
と呼ばれるものであり、引き出し電極5に電圧を印加す
ることによって、電子放出領域4の表面に電界を集中さ
せて電子eを引き出し、開口部5aを通過させて取り出
すものである。第1の実施形態におけるダイオード方式
に比べて、電子放出素子としての構成は若干複雑にはな
るが、電子eを取り出すために引き出し電極5に印加す
る電圧と、蛍光体(不図示)を発光させるために不図示
の対向電極に印加する必要がある電圧とは、お互いに独
立して設定することが可能である。従って、引き出し電
極5を電子放出領域4に近接して設置可能となり、結果
として、更に低電圧での電子eの取り出しが可能とな
る。
【0104】引き出し電極5に設けられる開口部5aの
形状は、特定の形状に限られるものではなく、円形の
孔、方形の孔、或いはその他の多角形形状を有する孔な
ど、様々な形状が可能である。或いは、スリット状の開
口部を形成することも可能である。なお、図4に示す断
面図では、開口部5aが円形や多角形の孔である場合に
見える孔の端面は、簡略化のために図示を省略してい
る。これは、本願に含まれる同様の図でも同様である。
【0105】ここで、本発明の第2の実施形態における
具体的な構成例及びその製造工程を、以下に説明する。
【0106】まず、図20(a)に示すように、Si基
板11の表面に、導電層1を形成する。次に、図20
(b)に示すように、導電層1の上に厚さ500ÅのS
iO2膜2を形成する。更にその上に、図20(c)に
示すように、平均粒子径が10μmのダイヤモンド粒子
3をSiO2膜2の上に付着して、電子放出領域4を形
成する。
【0107】付着方法としては、例えば、ビークルにダ
イヤモンド粒子3を混入してスピンコートを行って付着
させる方法、粒子3を分散させた溶液中に図20(b)
の基板11を浸して設置し、溶液に超音波振動を印加す
ることによって、溶液中の粒子3を付着させる方法、或
いは、電気泳動法により粒子3を付着させる方法など
を、適用することができる。何れの方法においても、適
切な付着条件を設定すれば、粒子3を互いに接触させず
に付着させることが可能となる。
【0108】上記の何れの製造プロセス(及びそれによ
って得られる構成)においても、複数の粒子3が、互い
に接触させずに導電層1の上に付着される。この結果、
個々の粒子3が電子放出源(エミッタ)として機能する
ことになるので、電子放出領域4からの放出電流(電
子)量は、個々の粒子3からの電子放出量の集積とな
る。この結果、大きな電流の取り出しが可能な電子放出
素子が得られることになる。
【0109】この状態で、開口部5aを有する引き出し
電極5を適切な材料の金属薄板で形成して、図20
(d)に示すように、電子放出領域4に対応した箇所に
開口部5aが位置するように、電子放出領域4から1m
m離して引き出し電極5を配置する。この引き出し電極
5に電圧を印加したところ、3kV程度の電圧で1μA
/cm2以上のエミッション電流が得られた。
【0110】なお、開口部5aを有する引き出し電極5
を所定の位置に設置した後に、電子放出領域4を構成す
る粒子3の付着処理を行うことも可能である。但し、そ
の場合には、引き出し電極5への粒子3の付着を防ぐ必
要がある。
【0111】本実施形態の構成では、アノード電極(不
図示)に、電子eの引き出しのための印加電圧とは独立
して電圧を印加することが可能である。例えば、アノー
ド電極に10kVの電圧を印加することで、輝度の高い
画像表示が可能になった。
【0112】本実施形態の構成で、電子放出領域4を構
成する粒子(電子放出部材)3が導電層(電子輸送部
材)1の上に絶縁膜(電界集中領域)2を介して付着し
ていることによって得られる効果は、第1の実施形態の
構成の場合と同様である。また、絶縁層2、粒子3、及
び他の構成要素の具体的な構成材料や改変内容、それら
によって得られる効果、更には電子放出メカニズム等
は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0113】本実施形態の構成は、図4に示すように、
導電層1の上に形成された絶縁層2の上に更に電子放出
部材3としての粒子3或いは粒子の凝集体3を配設する
構成に限るものでない。例えば、表面に絶縁層2が形成
された粒子3が導電層1の上に配設されている構造、或
いは、導電層1の上に形成された絶縁層2の中に粒子3
がその一部を埋没させるように設けられている構造でも
構わない点は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0114】(第3の実施形態)図5Aは、本発明の第
3の実施形態における電子放出素子の断面図を示すもの
である。
【0115】図5Aの構成では、基板11の上に導電層
(電子輸送部材)1が形成されている。導電層1の表面
は粗面化されて凹凸形状が形成されており、この凹凸形
状に沿って絶縁層(電界集中領域)2が形成されてい
る。絶縁層2の上には、個々が少なくとも1つの凸部に
接触するように粒子(電子放出部材)3が付着して、電
子放出領域4を形成している。
【0116】図5Aの構成も一般的にダイオード構成と
呼ばれるものであるが、特に図5Aの構成では、電子放
出領域4を構成する粒子3が、表面が粗面化された導電
層1の上に絶縁層2を介して付着しているので、第1の
実施形態のように粒子3と導電層1とが絶縁層2を介し
て平面的に接触している場合に比べて、導電層1と粒子
3との間の電界集中が更に高められる。その結果とし
て、電界集中領域2を設けることによる電界集中効果に
加えて、凹凸形状を設けることによる電界集中効果も生
じて、粒子3への電子の注入が更に容易になるので、よ
り低い印加電圧での電子eの取り出しが可能となる。
【0117】ここで、本発明の第3の実施形態における
具体的な構成例及びその製造方法を、以下に説明する。
【0118】まず、図21(a)に示すように、Si基
板1の上に、その表面が粗面化された導電層1を形成す
る。
【0119】導電層1の表面を粗面化する方法として、
例えば、導電層1を溶射プロセスで形成することが挙げ
られる。この場合に得られる凹凸形状の大きさ(表面粗
さ)は、溶射条件の調節で制御可能であって、最大で約
10μmの表面粗さが得られる。また、溶射プロセスは
真空プロセスではなく、大気圧下で成膜できるという特
徴を有するので、導電層1の形成コストが低減される。
【0120】或いは、平坦な導電層1を形成後に、その
表面をサンドブラストプロセスで粗面化することも可能
である。サンドブラストプロセスでは、鋭利な突起形状
を導電層1の表面に形成することができる。
【0121】また、平坦な導電層1を形成後に、その表
面を化学的にエッチングして粗面化することも可能であ
る。例えば、湿式エッチングプロセスを利用する場合、
所定のエッチング液を導電層1の表面にスプレー状(噴
霧状)に散布することで、約2μmの表面粗さを有する
凹凸形状を形成することができる。
【0122】更に、基板11の表面を粗面化した上で、
その粗面化された表面の上に導電層1を形成することに
より、導電層1の形成面に凹凸形状を与えることもでき
る。基板1の粗面化は、上述したサンドブラスト法やエ
ッチング法を使用することができる。
【0123】次に、図21(b)に示すように、形成さ
れた導電層1の凹凸形状の上に、厚さ500ÅのSiO
2膜2を形成する。更にその上に、図21(c)に示す
ように、平均粒子径が10μmのダイヤモンド粒子3を
付着して、電子放出領域4を形成する。
【0124】付着方法としては、例えば、ビークルにダ
イヤモンド粒子3を混入してスピンコートを行って付着
させる方法、粒子3を分散させた溶液中に図21(b)
の基板11を浸して設置し、溶液に超音波振動を印加す
ることによって、溶液中の粒子3を付着させる方法、或
いは、電気泳動法により粒子3を付着させる方法など
を、適用することができる。何れの方法においても、適
切な付着条件を設定すれば、粒子3を互いに接触させず
に付着させることが可能となる。
【0125】上記の何れの製造プロセス(及びそれによ
って得られる構成)においても、複数の粒子3が、互い
に接触させずに導電層1の上に付着される。この結果、
個々の粒子3が電子放出源(エミッタ)として機能する
ことになるので、電子放出領域4からの放出電流(電
子)量は、個々の粒子3からの電子放出量の集積とな
る。この結果、大きな電流の取り出しが可能な電子放出
素子が得られることになる。
【0126】この状態で、基板11から1mm離して対
向電極5を配置して電圧を印加したところ、2kV程度
の電圧で1μA/cm2以上のエミッション電流が得ら
れた。
【0127】本実施形態の構成で、導電層(電子輸送部
材)1、絶縁層(電界集中領域)2、粒子(電子放出部
材)3、及び他の構成要素の具体的な構成材料や改変内
容、それらによって得られる効果、更には電子放出メカ
ニズム等は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0128】本実施形態の構成は、図6Aに示すよう
に、凹凸状の導電層1の上に形成された絶縁層2の上に
更に電子放出部材3としての粒子3を配設する構成に限
るものでない。例えば、表面に絶縁層2が形成された粒
子3が凹凸状の導電層1の上に配設されている構造、或
いは、凹凸状の導電層1の上に形成された絶縁層2の中
に粒子3がその一部を埋没させるように設けられている
構造でも構わない点は、先の実施形態の場合と同様であ
る。
【0129】また、粒子状の電子放出部材3に代えて、
層状の(すなわち層構造を有する)電子放出部材3を導
電層1の凹凸形状の上に絶縁層2を介して設けても、同
様の効果を得ることができる。
【0130】更に、図5Bに示すように、導電層1の凹
凸形状のうちの凸部の先端部分に相当する箇所にのみ、
絶縁層2を介して電子放出層3が設けられている構成と
することも、可能である。この構成でも、図5Aの構成
と同様の効果を得ることができる。
【0131】(第4の実施形態)図6Aは、本発明の第
4の実施形態における電子放出素子の断面図を示すもの
である。
【0132】図6Aの構成では、基板11の上に導電層
(電子輸送部材)1が形成されている。導電層1の表面
は粗面化されて凹凸形状が形成されており、この凹凸形
状に沿って絶縁層(電界集中領域)2が形成されてい
る。絶縁層2の上には、個々が複数の凸部に接触するよ
うに粒子(電子放出部材)3が付着して、電子放出領域
4を形成している。また、電子放出領域4に対応した箇
所に開口部5aが設けられている引き出し電極5が、電
子放出領域4と所定の間隔を隔てて設けられている。
【0133】図6Aの構成も、一般的にトライオード構
成と呼ばれるものであり、引き出し電極5に電圧を印加
することによって、電子放出領域4の表面に電界を集中
させて電子eを引き出し、開口部5aを通過させて取り
出すものである。第3の実施形態におけるダイオード方
式に比べて、電子放出素子としての構成は若干複雑には
なるが、電子eを取り出すために引き出し電極5に印加
する電圧と、蛍光体(不図示)を発光させるために不図
示の対向電極に印加する必要がある電圧とは、お互いに
独立して設定することが可能である。従って、引き出し
電極5を電子放出領域4に近接して設置可能となり、結
果として、更に低電圧での電子eの取り出しが可能とな
る。
【0134】ここで、本発明の第4の実施形態における
具体的な構成例及びその製造工程を、以下に説明する。
【0135】まず、図22(a)に示すように、Si基
板1の上に、その表面が粗面化された導電層1を形成す
る。
【0136】導電層1の表面を粗面化する方法として、
例えば、導電層1を溶射プロセスで形成することが挙げ
られる。この場合に得られる凹凸形状の大きさ(表面粗
さ)は、溶射条件の調節で制御可能であって、最大で約
10μmの表面粗さが得られる。また、溶射プロセスは
真空プロセスではなく、大気圧下で成膜できるという特
徴を有するので、導電層1の形成コストが低減される。
【0137】或いは、平坦な導電層1を形成後に、その
表面をサンドブラストプロセスで粗面化することも可能
である。サンドブラストプロセスでは、鋭利な突起形状
を導電層1の表面に形成することができる。
【0138】また、平坦な導電層1を形成後に、その表
面を化学的にエッチングして粗面化することも可能であ
る。例えば、湿式エッチングプロセスを利用する場合、
所定のエッチング液を導電層1の表面にスプレー状(噴
霧状)に散布することで、約2μmの表面粗さを有する
凹凸形状を形成することができる。
【0139】更に、基板11の表面を粗面化した上で、
その粗面化された表面の上に導電層1を形成することに
より、導電層1の形成面に凹凸形状を与えることもでき
る。基板1の粗面化は、上述したサンドブラスト法やエ
ッチング法を使用することができる。
【0140】次に、図22(b)に示すように、形成さ
れた導電層1の凹凸形状の上に、厚さ500ÅのSiO
2膜2を形成する。更にその上に、図22(c)に示す
ように、平均粒子径が10μmのダイヤモンド粒子3を
付着して、電子放出領域4を形成する。
【0141】付着方法としては、例えば、ビークルにダ
イヤモンド粒子3を混入してスピンコートを行って付着
させる方法、粒子3を分散させた溶液中に図22(b)
の基板11を浸して設置し、溶液に超音波振動を印加す
ることによって、溶液中の粒子3を付着させる方法、或
いは、電気泳動法により粒子3を付着させる方法など
を、適用することができる。何れの方法においても、適
切な付着条件を設定すれば、粒子3を互いに接触させず
に付着させることが可能となる。
【0142】上記の何れの製造プロセス(及びそれによ
って得られる構成)においても、複数の粒子3が、互い
に接触させずに導電層1の上に付着される。この結果、
個々の粒子3が電子放出源(エミッタ)として機能する
ことになるので、電子放出領域4からの放出電流(電
子)量は、個々の粒子3からの電子放出量の集積とな
る。この結果、大きな電流の取り出しが可能な電子放出
素子が得られることになる。
【0143】この状態で、開口部5aを有する引き出し
電極5を適切な材料の金属薄板で形成して、図22
(d)に示すように、電子放出領域4に対応した箇所に
開口部5aが位置するように、電子放出領域4から1m
m離して引き出し電極5を配置する。この引き出し電極
5に電圧を印加したところ、2kV程度の電圧で1μA
/cm2以上のエミッション電流が得られた。
【0144】なお、開口部5aを有する引き出し電極5
を所定の位置に設置した後に、電子放出領域4を構成す
る粒子3の付着処理を行うことも可能である。但し、そ
の場合には、引き出し電極5への粒子3の付着を防ぐ必
要がある。
【0145】本実施形態の構成では、アノード電極(不
図示)に、電子eの引き出しのための印加電圧とは独立
して電圧を印加することが可能である。例えば、アノー
ド電極に10kVの電圧を印加することで、輝度の高い
画像表示が可能になった。
【0146】本実施形態の構成で、電子放出領域4を構
成する粒子(電子放出部材)3が、表面が粗面化された
導電層(電子輸送部材)1の上に絶縁膜(電界集中領
域)2を介して付着していることによって得られる効果
は、第3の実施形態の構成の場合と同様である。また、
絶縁層2、粒子3、及び他の構成要素の具体的な構成材
料や改変内容、それらによって得られる効果、更には電
子放出メカニズム等は、第1の実施形態の場合と同様で
ある。
【0147】本実施形態の構成は、図6Aに示すよう
に、凹凸状の導電層1の上に形成された絶縁層2の上に
更に電子放出部材3としての粒子3を配設する構成に限
るものでない。例えば、表面に絶縁層2が形成された粒
子3が凹凸状の導電層1の上に配設されている構造、或
いは、凹凸状の導電層1の上に形成された絶縁層2の中
に粒子3がその一部を埋没させるように設けられている
構造でも構わない点は、先の実施形態の場合と同様であ
る。
【0148】但し、本実施形態において、導電層1と粒
子3との間での電界集中を高める効果を確実に得るため
には、導電層1の粗面化された表面の表面粗さが、粒子
3の直径よりも十分に小さいことが好ましい。
【0149】また、粒子状の電子放出部材3に代えて、
層状の(すなわち層構造を有する)電子放出部材3を導
電層1の凹凸形状の上に絶縁層2を介して設けても、同
様の効果を得ることができる。
【0150】更に、図6Bに示すように、導電層1の凹
凸形状のうちの凸部の先端部分に相当する箇所にのみ、
絶縁層2を介して電子放出層3が設けられている構成と
することも、可能である。この構成でも、図6Aの構成
と同様の効果を得ることができる。
【0151】(第5の実施形態)図7は、本発明の第5
の実施形態における電子放出素子の断面図を示すもので
ある。
【0152】図7に示す構成では、図1Aに示した構成
において、更に導電層1に所定量の電流を流す回路6が
形成されている。この回路6によって導電層1に流す電
流(電子)の一部を電子放出領域4から放出させること
によって、図1Aの構成に比べて、更に多くの放出電流
量を得ることができる。なお、その他の構成は図1Aの
構成と実質的に同じであり、対応する構成要素には同じ
参照番号を付しているので、ここではそれらの説明は省
略する。
【0153】ここで、本発明の第5の実施形態における
具体的な構成例及びその製造工程を、以下に説明する。
【0154】まず、図23(a)に示すように、Si基
板11の表面に、導電層1を形成する。次に、図23
(b)に示すように、導電層1の上に厚さ500ÅのS
iO2膜2を形成するとともに、導電層1に所定の電流
を流す回路6を形成する。具体的には、適切な値の抵抗
(不図示)等の回路素子を使用して、1.5Vの電圧値
で約1mAの電流を導電層1に流す回路6を接続する。
更に、図23(c)に示すように、SiO2膜2の上
に、平均粒子径が10μmのダイヤモンド粒子3を付着
して、電子放出領域4を形成する。付着方法としては、
ビークルにダイヤモンド粒子3を混入してスピンコート
を行って付着させる方法など、第1の実施形態に関連し
て説明した何れかの方法を使用することができる。適切
な付着条件を設定すれば、粒子3を互いに接触させずに
付着させることが可能となる。
【0155】この状態で、Si基板11から1mm離し
て対向電極(不図示)を配置して電圧を印加したとこ
ろ、3kV程度の電圧で2μA/cm2以上のエミッシ
ョン電流が得られた。
【0156】本実施形態の構成で、電子放出領域4を構
成する粒子(電子放出部材)3が導電層(電子輸送部
材)1の上に絶縁膜(電界集中領域)2を介して付着し
ていることによって得られる効果は、第1の実施形態の
構成の場合と同様である。また、絶縁層2、粒子3、及
び他の構成要素の具体的な構成材料や改変内容、それら
によって得られる効果、更には電子放出メカニズム等
は、先の実施形態の場合と同様である。
【0157】本実施形態の構成は、図7に示すように、
導電層1の上に形成された絶縁層2の上に更に電子放出
部材3としての粒子3を配設する構成に限るものでな
い。例えば、表面に絶縁層2が形成された粒子3が導電
層1の上に配設されている構造、或いは、導電層1の上
に形成された絶縁層2の中に粒子3がその一部を埋没さ
せるように設けられている構造でも構わない点は、先の
実施形態の場合と同様である。
【0158】(第6の実施形態)図8は、本発明の第6
の実施形態における電子放出素子の断面図を示すもので
ある。
【0159】図8に示す構成では、図4に示した構成に
おいて、更に導電層1に所定量の電流を流す回路6が形
成されている。この回路6によって導電層1に流す電流
(電子)の一部を電子放出領域4から放出させることに
よって、図4の構成に比べて、更に多くの放出電流量を
得ることができる。なお、その他の構成は図4の構成と
実質的に同じであり、対応する構成要素には同じ参照番
号を付しているので、ここではそれらの説明は省略す
る。
【0160】ここで、本発明の第6の実施形態における
具体的な構成例及びその製造工程を、以下に説明する。
【0161】まず、図24(a)に示すように、Si基
板11の表面に導電層1を形成する。次に、図24
(b)に示すように、導電層1の上に厚さ500ÅのS
iO2膜2を形成するとともに、導電層1に所定の電流
を流す回路6を形成する。具体的には、適切な値の抵抗
(不図示)等の回路素子を使用して、1.5Vの電圧値
で約1mAの電流を導電層1に流す回路6を接続する。
更に、図24(c)に示すように、SiO2膜2の上
に、平均粒子径が10μmのダイヤモンド粒子3を付着
して、電子放出領域4を形成する。付着方法としては、
ビークルにダイヤモンド粒子3を混入してスピンコート
を行って付着させる方法など、先の実施形態に関連して
説明した何れかの方法を使用することができる。適切な
付着条件を設定すれば、粒子3を互いに接触させずに付
着させることが可能となる。
【0162】この状態で、開口部5aを有する引き出し
電極5を適切な材料の金属薄板で形成して、図24
(d)に示すように、電子放出領域4に対応した箇所に
開口部5aが位置するように、電子放出領域4から1m
m離して引き出し電極5を配置する。この引き出し電極
5に電圧を印加したところ、2kV程度の電圧で1μA
/cm2以上のエミッション電流が得られた。
【0163】なお、開口部5aを有する引き出し電極5
を所定の位置に設置した後に、電子放出領域4を構成す
る粒子3の付着処理を行うことも可能である。但し、そ
の場合には、引き出し電極5への粒子3の付着を防ぐ必
要がある。
【0164】本実施形態の構成では、アノード電極(不
図示)に、電子eの引き出しのための印加電圧とは独立
して電圧を印加することが可能である。例えば、アノー
ド電極に10kVの電圧を印加することで、輝度の高い
画像表示が可能になった。
【0165】本実施形態の構成で、電子放出領域4を構
成する粒子(電子放出部材)3が導電層(電子輸送部
材)1の上に絶縁膜(電界集中領域)2を介して付着し
ていることによって得られる効果は、第2の実施形態の
構成の場合と同様である。また、絶縁層2、粒子3、及
び他の構成要素の具体的な構成材料や改変内容、それら
によって得られる効果、更には電子放出メカニズム等
は、先の実施形態の場合と同様である。
【0166】本実施形態の構成は、図8に示すように、
導電層1の上に形成された絶縁層2の上に更に電子放出
部材3としての粒子3を配設する構成に限るものでな
い。例えば、表面に絶縁層2が形成された粒子3が導電
層1の上に配設されている構造、或いは、導電層1の上
に形成された絶縁層2の中に粒子3がその一部を埋没さ
せるように設けられている構造でも構わない点は、先の
実施形態の場合と同様である。
【0167】(第7の実施形態)図9は、本発明の第7
の実施形態における電子放出素子の断面図を示すもので
ある。
【0168】図9に示す構成では、図5Aに示した構成
において、更に導電層1に所定量の電流を流す回路6が
形成されている。この回路6によって導電層1に流す電
流(電子)の一部を電子放出領域4から放出させること
によって、図5Aの構成に比べて、更に多くの放出電流
量を得ることができる。なお、その他の構成は図5Aの
構成と実質的に同じであり、対応する構成要素には同じ
参照番号を付しているので、ここではそれらの説明は省
略する。
【0169】ここで、本発明の第7の実施形態における
具体的な構成例及びその製造方法を、以下に説明する。
【0170】まず、図25(a)に示すように、Si基
板11の表面に、先の実施形態に関連して説明した何れ
かの方法を使用して、表面が粗面化された導電層1を形
成する。次に、図25(b)に示すように、表面が粗面
化された導電層1の上に厚さ500ÅのSiO2膜2を
形成するとともに、導電層1に所定の電流を流す回路6
を形成する。具体的には、適切な値の抵抗(不図示)等
の回路素子を使用して、1.5Vの電圧値で約1mAの
電流を導電層1に流す回路6を接続する。更に、図25
(c)に示すように、SiO2膜2の上に、平均粒子径
が10μmのダイヤモンド粒子3を付着して、電子放出
領域4を形成する。付着方法としては、ビークルにダイ
ヤモンド粒子3を混入してスピンコートを行って付着さ
せる方法など、先の実施形態に関連して説明した何れか
の方法を使用することができる。適切な付着条件を設定
すれば、粒子3を互いに接触させずに付着させることが
可能となる。
【0171】この状態で、Si基板11から1mm離し
て対向電極(不図示)を配置して電圧を印加したとこ
ろ、2kV程度の電圧で2μA/cm2以上のエミッシ
ョン電流が得られた。
【0172】本実施形態の構成で、電子放出領域4を構
成する粒子(電子放出部材)3が、表面が粗面化されて
凹凸形状を有する導電層(電子輸送部材)1の上に絶縁
膜(電界集中領域)2を介して付着していることによっ
て得られる効果は、第3の実施形態の構成の場合と同様
である。また、絶縁層2、粒子3、及び他の構成要素の
具体的な構成材料や改変内容、それらによって得られる
効果、更には電子放出メカニズム等は、先の実施形態の
場合と同様である。
【0173】本実施形態の構成は、図9に示すように、
凹凸状の導電層1の上に形成された絶縁層2の上に更に
電子放出部材3としての粒子3を配設する構成に限るも
のでない。例えば、表面に絶縁層2が形成された粒子3
が凹凸状の導電層1の上に配設されている構造、或い
は、凹凸状の導電層1の上に形成された絶縁層2の中に
粒子3がその一部を埋没させるように設けられている構
造でも構わない点は、第3の実施形態の場合と同様であ
る。
【0174】更に、第3の実施形態に関連して説明した
ものと同様の構成上の改変を加えることも、もちろん可
能である。例えば、図5Bに示した構成に対して、上記
で説明した回路6を接続する構成としてもよい。
【0175】(第8の実施形態)図10は、本発明の第
8の実施形態における電子放出素子の断面図を示すもの
である。
【0176】図10に示す構成では、図6Aに示した構
成において、更に導電層1に所定量の電流を流す回路6
が形成されている。この回路6によって導電層1に流す
電流(電子)の一部を電子放出領域4から放出させるこ
とによって、図6Aの構成に比べて、更に多くの放出電
流量を得ることができる。なお、その他の構成は図6A
の構成と実質的に同じであり、対応する構成要素には同
じ参照番号を付しているので、ここではそれらの説明は
省略する。
【0177】ここで、本発明の第8の実施形態における
具体的な構成例及びその製造方法を、以下に説明する。
【0178】まず、図26(a)に示すように、Si基
板11の表面に、先の実施形態に関連して説明した何れ
かの方法を使用して、表面が粗面化された導電層1を形
成する。次に、図26(b)に示すように、表面が粗面
化された導電層1の上に厚さ500ÅのSiO2膜2を
形成するとともに、導電層1に所定の電流を流す回路6
を形成する。具体的には、適切な値の抵抗(不図示)等
の回路素子を使用して、1.5Vの電圧値で約1mAの
電流を導電層1に流す回路6を接続する。更に、図26
(c)に示すように、SiO2膜2の上に、平均粒子径
が10μmのダイヤモンド粒子3を付着して、電子放出
領域4を形成する。付着方法としては、ビークルにダイ
ヤモンド粒子3を混入してスピンコートを行って付着さ
せる方法など、先の実施形態に関連して説明した何れか
の方法を使用することができる。適切な付着条件を設定
すれば、粒子3を互いに接触させずに付着させることが
可能となる。
【0179】この状態で、開口部5aを有する引き出し
電極5を適切な材料の金属薄板で形成して、図26
(d)に示すように、電子放出領域4に対応した箇所に
開口部5aが位置するように、電子放出領域4から1m
m離して引き出し電極5を配置する。この引き出し電極
5に電圧を印加したところ、2kV程度の電圧で1μA
/cm2以上のエミッション電流が得られた。
【0180】本実施形態の構成では、アノード電極(不
図示)に、電子eの引き出しのための印加電圧とは独立
して電圧を印加することが可能である。例えば、アノー
ド電極に10kVの電圧を印加することで、輝度の高い
画像表示が可能になった。
【0181】本実施形態の構成で、電子放出領域4を構
成する粒子(電子放出部材)3が、表面が粗面化されて
凹凸形状を有する導電層(電子輸送部材)1の上に絶縁
膜(電界集中領域)2を介して付着していることによっ
て得られる効果は、第4の実施形態の構成の場合と同様
である。また、絶縁層2、粒子3、及び他の構成要素の
具体的な構成材料や改変内容、それらによって得られる
効果、更には電子放出メカニズム等は、先の実施形態の
場合と同様である。
【0182】本実施形態の構成は、図10に示すよう
に、凹凸状の導電層1の上に形成された絶縁層2の上に
更に電子放出部材3としての粒子3を配設する構成に限
るものでない。例えば、表面に絶縁層2が形成された粒
子3が凹凸状の導電層1の上に配設されている構造、或
いは、凹凸状の導電層1の上に形成された絶縁層2の中
に粒子3がその一部を埋没させるように設けられている
構造でも構わない点は、第4の実施形態の場合と同様で
ある。
【0183】更に、第4の実施形態に関連して説明した
ものと同様の構成上の改変を加えることも、もちろん可
能である。例えば、図6Bに示した構成に対して、上記
で説明した回路6を接続する構成としてもよい。
【0184】(第9の実施形態)次に、本発明の第9の
実施形態に係る電子放出素子を説明する。
【0185】図11の構成において、電子注入電極10
1の上に、電子輸送部材102及び導電性を有する電子
放出部材103が形成されている。更に、電子放出部材
103から、例えば真空のギャップを介して、電子放出
を生じさせる電界を形成するための電圧が印加される対
向電極104が配置されている。電子放出部材103の
表面から電子を引き出す電界を形成するためには、例え
ば、電子注入電極101を接地して対向電極104に正
の電圧を電源105を用いて印加する。更に、一方を接
地した交流電源(時間的に電圧が変化する電源)106
を、コンデンサ107を介して電子放出部材103に接
続する。これによって、電子放出部材103に交流電圧
が、コンデンサ107、並びに電子注入電極101と導
電性の電子放出部材103とそれらの間に挟まれた絶縁
性の電子輸送部材102とによって構成されるもう一つ
のコンデンサを負荷として、印加される。この印加電圧
によって、十分に遅い変化をする電圧に対して、それぞ
れのコンデンサに電荷が蓄積される。
【0186】コンデンサ107の交流電源106側の電
極に正電荷が蓄積されるような極性の電圧が印加される
瞬間を考えると、コンデンサ107のもう一方の電極に
は負電荷、電子放出部材103に正電荷、電子注入電極
101の電子輸送部材102との界面に負電荷が、それ
ぞれ蓄積される。電子輸送部材102にかかる電界が十
分に大きくなると、電子注入電極101の界面に蓄積さ
れていた電子が電子輸送部材102にトンネル注入さ
れ、更に電界によって輸送されて、導電性の電子放出部
材103に達する。ここで、絶縁性の電子輸送部材10
2とコンデンサ107とによって直流的に絶縁されてい
る電子放出部材103は、負にチャージされる。対向電
極104によって印加される電圧に、このチャージによ
って印加される電圧が重畳されて、これらによって電子
放出領域3に印加された電界によって、電子が電子放出
領域3から真空中に放出される。
【0187】図12は、図11の構成の改変例であり、
対応する構成要素には同じ参照番号を付している。
【0188】図12に示したように、導電性を有する電
子放出部材103に、例えばコンデンサ107を介し
て、電子注入電極101に対して直流的に絶縁された状
態で、交流電源106、及び電子注入電極101側が負
で電子放出部材103側が正の直流電源108を直列に
接続して、これらの電圧を重畳させて印加すると、電子
放出部材103に正電荷、電子注入電極101の電子輸
送部材102との界面に負電荷が蓄積される状態が多く
形成される。この場合には、上記のメカニズムによって
電子がより効率的に電子放出部材103に注入されて、
好ましい。
【0189】上記で説明した本実施形態における電子放
出の原理においては、電子放出部材103が電子注入電
極101から直流的に絶縁されて電気的にフローティン
グ状態にあることが重要である。この絶縁性は、電子輸
送部材102に十分に小さい直流電界を与えた場合に、
電子輸送部材102が電気的に絶縁された部分或いは高
抵抗な部分を含むようにすることにより、達成され得
る。このような絶縁性を有する構成により、本実施形態
の原理に従った効率的な電子放出が起こる。
【0190】この絶縁性に関して、上記の図11或いは
図12に示す構成において、電子注入電極101と電子
放出部材103との間の電子輸送部材102に、その中
で最も電界が集中する部分における電界強度が1mV/
μm以下となる様な十分に小さい電界を与えた場合に、
電子輸送部材102の電気抵抗率が1kΩcm以上であ
れば、上記で説明した直流的にフローティングな状態が
達成されて、好ましい。
【0191】図11及び図12の構成において、コンデ
ンサ107、交流電源106、及び直流電源108が電
子放出部材103に接続されていない状態でも電子放出
部材103が電気的にフローティング状態であれば、対
向電極104に印加される直流電圧により、絶縁性の電
子輸送部材102を挟んだ電子放出部材103と電子注
入電極101との間に電圧が誘起されて、電子注入電極
101から電子が注入される。この場合には、電子放出
部材103の電位が時間的に変位していることが、重要
なもう一つの特徴となる。
【0192】具体的には、電子放出部材103の正電位
が大きくなった時点で、電子が、電子注入電極101か
ら電子輸送部材102に注入される。電子放出部材10
3に電子が到達すると、その正電位が急激に負電位に変
化する。この電位の変化が、電子放出部材103から真
空への電子放出を促進する。このように、本実施形態の
電子放出素子においては、上記のような電子放出部材1
03の電位の時間的変化が誘起されており、この時間的
な電位の変化が、電子放出を促進する。
【0193】この電子放出部材103の電位の時間変化
は、所定の電圧を印加して生じさせても良く、或いは自
動的に誘起されるものであっても良い。例えば、電子放
出部材103に電位の所期の時間変化が生じる限りは、
図13の様に、コンデンサ、交流電源、及び直流電源が
電子放出部材103に接続されていない構成であって
も、同様の効果を得ることができる。
【0194】或いは、対向電極104が設けられておら
ず、対向電極104への印加直流電圧による電界が存在
しない場合でも、絶縁性の電子輸送部材102を挟んだ
電子放出部材103と電子注入電極101との間に電圧
が印加されれば、これによって電子注入電極101から
電子が注入される。この場合には、電子放出部材103
が負の電子親和力を有する物質であれば、電子放出部材
103から真空に容易に電子が放出されて、電子放出素
子として所定の機能を発揮する。このように、電子放出
のために対向電極104は必ずしも必要ではなく、対向
電極104が設けられていなくても、真空への電子放出
が生じ得る。放出された電子は、非常に小さな電界でも
真空中を走る。
【0195】ここで、再び図11を参照して、本発明の
第9の実施形態における電子放出素子の具体的な構成例
を以下に説明する。
【0196】図11の構成の形成にあたっては、まず、
電子注入電極101を兼ねたモリブデン(Mo)基板
を、平均粒径0.02μmのダイヤモンド粒子を分散さ
せた溶液中に浸けて、この状態で超音波振動を与えて、
ダイヤモンド成長のための高密度成長核を基板表面に形
成する。ダイヤモンド粒子分散液は、1リットルの純水
に2gのダイヤモンド粒子を入れ、更に2リットルのエ
タノールを加えた後に数滴のフッ化水素酸を滴下して得
られる、pH値が約3の液である。上記の超音波振動処
理は10分間に渡って印加し、これによって基板表面に
形成されたダイヤモンド成長核の密度は、約5×1010
個/cm-2である。
【0197】上記のようにダイヤモンド成長核が形成さ
れた基板を、次にマイクロ波CVD装置の中に設置し、
水素で希釈されたCOガス(1〜10%)を供給して、
数百Wのパワーで25〜40Torrの真空度でダイヤ
モンド薄膜形成を行う。この場合の基板温度は、800
〜900℃である。数分間程度のCVD成長により、厚
さ0.2μmの膜厚のダイヤモンド薄膜を形成する。
【0198】上記のCVD成長プロセスにおいて、ダイ
ヤモンドに対するドーピングを意図的に行わないことに
より、ほぼ絶縁性のダイヤモンド薄膜が形成される。こ
の絶縁性のダイヤモンド薄膜が、電子輸送部材102と
して機能する。堆積時(as deposition)の状態では、
ダイヤモンド薄膜表面は水素化されており、表面に導電
層が存在する。このダイヤモンド薄膜の表面導電層が、
導電性の電子放出部材103として機能する。
【0199】上記のようにして形成されたダイヤモンド
薄膜表面の導電層の上の一部に、Ti電極を、所定のパ
ターンのメタルマスクを用いて電子ビーム蒸着により形
成する。このTi電極の上に更にAuを蒸着し、このA
u電極から、Au線のワイヤボンドによりリード線を取
り出す。また、Mo基板の電子注入電極101からも、
同様にリード線を取り出す。
【0200】以上のようにして形成されたダイヤモンド
薄膜による電子放出素子を、真空度が10-7Torr以
下に保たれた真空装置内部に設置し、更に、そこから1
mm離して、対向電極104を設置する。
【0201】Mo基板の電子注入電極101から取り出
されたリード線は接地し、ダイヤモンド薄膜の表面導電
層の電子放出部材103から取り出されたリード線は、
コンデンサ107に結線する。コンデンサ107のもう
一方の電極に接続されたリード線は交流電源106に接
続し、交流電源106のもう一方の端子は、接地する。
【0202】上記のようにして得られた図11の構成に
おいて、10V/60Hzの交流電界をコンデンサ10
7を介して電子放出部材103に印加し、更に、接地レ
ベルと対向電極104との間に3kVの直流電圧を印加
したところ、1μA/cm2以上の電流密度での電子放
出が生じることが確認された。
【0203】一方、図12のように直流電源108を含
む構成においては、上記の図11の構成に対する場合と
同様の条件で、直流電源108によって印加される直流
電圧を10Vとして、接地レベルと対向電極104との
間に2.5kVの直流電圧を印加したところ、1μA/
cm2以上の電流密度での電子放出が生じることが確認
された。
【0204】更に、図13のようにコンデンサ、交流電
源、及び直流電源を含まない構成においては、接地レベ
ルと対向電極104との間に7kVの直流電圧を印加し
たところ、1μA/cm2以上の電流密度での電子放出
が生じることが確認された。
【0205】(第10の実施形態)図14に、本発明の
第10の実施形態による電子放出素子の構成を示す。
【0206】図14の構成のように、導電性を有する電
子放出部材103が粒子状の形状を有する物質109
(単に「粒子109」と称する)である場合(例えば炭
素粒子)には、粒子109の先端部分110に電界が集
中しやすく、ここから電子が放出されやすくなる。ま
た、上記の構成において、導電性を有する電子放出部材
103が黒鉛粒子を含むと、黒鉛のc面のsp2プレイ
ンのエッジから電子が放出しやすく、好ましい。
【0207】上記の構成において、導電性を有する電子
放出部材103を構成している粒子109が、少なくと
も3.5eV以上のバンドギャップを有するワイドバン
ドギャップ半導体粒子であると、通常は数eVである電
子親和力が、小さい正の値或いは負の値となる。これに
よって、伝導帯に注入された電子が、小さい活性化エネ
ルギーで真空中に放出される。更に、上記の構成におい
て、導電性を有する電子放出部材103が負の電子親和
力を有する材料(例えばダイヤモンド)を含む粒子であ
ると、電子が真空に容易に放出されるので好ましい。ま
た、導電性を有する電子放出部材103が、Ga、A
l、In、及びBの内の少なくとも一つ以上の元素と窒
素との化合物を含むと、負或いは小さい正の値の電子親
和力を示すことになり、容易に電子放出が起こって好ま
しい。
【0208】更に、上記の構成において、電子放出部材
103を構成している個々の粒子109が、1nmを一
辺とする立方体よりも大きく、且つ1mmを一辺とする
立方体の中に含まれるような大きさを有することが、好
ましい。粒子109が1nmを一辺とする立方体よりも
小さい場合は、サイズが小さすぎるために粒子109が
結晶構造を保つことができず、構造が不安定となって、
安定した電子放出を保つことが難しい。一方、1mmを
一辺とする立方体よりも大きい粒子109では、電子を
放出する場所が限定されて、その存在密度が低くなるの
で、電子放出素子としての応用の面で好ましくない。
【0209】ここで、図14の構成のより具体的な例を
以下に説明する。
【0210】まず、粒径1μmのダイヤモンド粒子を水
素雰囲気中で600℃にて1時間処理して、その表面を
水素化し、導電性の負の電子親和力を有する表面層を形
成する。このダイヤモンド粒子を空気中で900℃にて
5分間処理して、その表面に酸化膜を形成し、その後に
Ni電極上に押し付けて分散させる。このNi電極が電
子注入電極101として機能し、Ni電極表面の酸化膜
が絶縁性の電子輸送部材102、ダイヤモンド粒子の水
素化表面が電子放出部材103として作用し、図14に
示す電子放出素子が構成される。
【0211】以上のようにして形成されたダイヤモンド
薄膜による電子放出素子を、真空度が10-7Torr以
下に保たれた真空装置内部に設置し、更に、そこから1
mm離して、対向電極104を設置する。
【0212】Ni基板の電子注入電極101からリード
線を取り出して接地し、接地レベルと対向電極104と
の間に7kVの直流電圧を印加したところ、1μA/c
2以上の電流密度での電子放出が生じることが確認さ
れた。
【0213】また、水素化されて表面が導電性となった
ダイヤモンド粒子の存在密度を増やした上で、個々のダ
イヤモンド粒子の導電性表面を相互に接続すれば、電子
放出部材103に存在するダイヤモンド粒子の集合体
が、全体として導電性を示すようになる。この場合、図
17に示すように、電子放出部材103からリード線を
取り出して、そこにコンデンサ107、交流電源10
6、及び直流電源108を直列に接続することにより、
第9の実施形態で図12を参照して説明したように、よ
り高効率で電子放出が生じる。
【0214】(第11の実施形態)図15に、本発明の
第11の実施形態による電子放出素子の構成を示す。
【0215】図15に示すように、電子輸送部材102
が3.5eV以上のバンドギャップを有するワイドバン
ドギャップ半導体材料の粒子から構成され、その粒子表
面に導電性の電子放出部材103が形成されていると、
電子注入電極101から電子輸送部材102の半導体材
料粒子の伝導帯に効率的に電子が注入され、更に、伝導
帯に注入された電子は電子放出部材103まで輸送され
て、小さい正の値或いは負の値の電子親和力を有する電
子輸送部材102のワイドバンドギャップ半導体材料の
表面から真空中に容易に放出される。この場合、電子輸
送部材102を構成している3.5eV以上のバンドギ
ャップを有するワイドバンドギャップ半導体粒子が、G
a、Al、In、及びBの内の少なくとも一つ以上の元
素と窒素との化合物を含むと、負或いは小さい正の値の
電子親和力を示すことになり、容易に電子放出が起こっ
て好ましい。
【0216】上記において、電子輸送部材102が、
3.5eV以上のバンドギャップを有するワイドバンド
ギャップ半導体材料の薄膜から構成され、その薄膜表面
に導電性の電子放出部材103が形成されている構成と
しても、同様の効果が得られる。また、電子輸送部材1
02に加えて電子放出部材103もワイドバンドギャッ
プ半導体材料で形成しても良い。
【0217】上記の構成において、電子輸送部材102
(及び電子放出部材103)が気相成長法により形成さ
れたダイヤモンド薄膜により構成されていると、ダイヤ
モンドの負の電子親和力を有効に活用できて、好まし
い。また、この場合には、電子輸送部材102(及び電
子放出部材103)を構成するダイヤモンド薄膜の厚さ
は、1nm以上10μm以下であることが好ましい。ダ
イヤモンド薄膜の厚さが1nm以下の場合は、電子輸送
部材102の絶縁性を保つことが困難になる。一方、厚
さが10μm以上の場合は、電子注入電極101と電子
放出部材103との間に印加される電圧によって電子輸
送部材102に誘起される電界が小さくなり、電子注入
電極101からのトンネリングによる電子の注入が困難
になる。
【0218】水素化されたダイヤモンド粒子或いは薄膜
の表面導電層を導電性を有する電子放出部材103とし
て機能させる場合には、電子輸送部材2として機能する
ダイヤモンド粒子或いは薄膜の表面に、負の電子親和力
を有する電子放出領域3が自動的に形成されることにな
るので、本実施形態の電子放出素子が簡便に形成でき
る。
【0219】ここで、図15の構成のより具体的な例を
以下に説明する。
【0220】まず、粒径1μmのダイヤモンドの粒子を
ポリマ接着剤に練り込んで、これをタングステン(W)
電極基板表面に塗る。次に、この基板をマイクロ波CV
D装置の中に設置し、水素で希釈されたCOガス(1〜
10%)を供給して、数百Wのパワーで25〜40To
rrの真空度でダイヤモンド薄膜形成を行う。この場合
の基板温度は、800〜900℃とする。数分間程度の
CVD成長により、0.2μmの膜厚のダイヤモンド薄
膜が形成される。この処理の間に、ポリマ接着剤は水素
プラズマにより表面からエッチングされて除去され、そ
の結果として得られる露出表面に現れたダイヤモンド粒
子表面が水素化されながら、ダイヤモンド粒子が成長す
る。この結果、最終的に接着剤成分が全てエッチングで
除去された時点では、ダイヤモンド粒子とW電極界面の
付近は水素化及びダイヤモンド成長が不十分で絶縁性に
なっており、一方、ダイヤモンド粒子の真空側の先端部
分のみが、十分に水素化及びダイヤモンド成長されて導
電性となる。
【0221】上記において、W電極が電子注入電極10
1として機能する。更に、ダイヤモンド粒子の内で、W
電極近傍に位置して水素化及びダイヤモンド成長が不十
分な絶縁性部分が電子輸送部材102、一方、ダイヤモ
ンド粒子の先端部分の、水素化及びダイヤモンド成長が
十分な導電性表面が、電子放出部材103として作用
し、これによって本実施形態の電子放出素子が構成され
る。
【0222】以上のようにして形成されたダイヤモンド
粒子を利用した電子放出素子を、真空度が10-7Tor
r以下に保たれた真空装置内部に設置し、更に、そこか
ら1mm離して、対向電極104を設置する。
【0223】W基板の電子注入電極101からリード線
を取り出して接地し、接地レベルと対向電極104との
間に7kVの直流電圧を印加したところ、1μA/cm
2以上の電流密度での電子放出が生じることが確認され
た。
【0224】また、水素化されて表面が導電性となった
ダイヤモンド粒子の存在密度を増やした上で、個々のダ
イヤモンド粒子の導電性表面を相互に接続すれば、電子
放出部材103に存在するダイヤモンド粒子の集合体
が、全体として導電性を示すようになる。この場合、図
18に示すように、電子放出部材103からリード線を
取り出して、そこにコンデンサ107、交流電源10
6、及び直流電源108を直列に接続することにより、
第9の実施形態で図12を参照して説明したように、よ
り高効率で電子放出が生じる。
【0225】(第12の実施形態)図16に、本発明の
第12の実施形態による電子放出素子の構成を示す。
【0226】本実施形態における電子放出素子の構成
は、先の実施形態で説明した構成を更に好適に改変した
ものである。具体的には、図16に示すように、電子輸
送部材102がダイヤモンド粒子109によって構成さ
れている。導電性を有する電子放出部材103は、電子
輸送部材102を構成するダイヤモンド粒子109の表
面の少なくとも一部に形成された、ダイヤモンドを含む
炭素系薄膜或いは微粒子111によって構成されてい
る。この場合、電子輸送部材102を構成しているダイ
ヤモンド粒子109の大きさが、電子放出部材103を
構成しているダイヤモンドを含む炭素系薄膜或いは微粒
子111に対して十分に大きいと、細かい表面構造を有
する電子放出部材103に対して電界集中が有効に作用
し、効率的な電子放出が行われるので、更に好ましい。
具体的には、電子輸送部材102を構成しているダイヤ
モンド粒子109が、直径約0.1μm〜約1μmの大
きさであり、一方、電子放出部材103を構成している
薄膜或いは微粒子111が直径(厚さ)約0.01μm
〜約0.1μmの大きさであると、更に好ましい効果が
得られる。
【0227】なお、電子放出部材103を構成している
薄膜或いは微粒子111は、電子輸送部材102を構成
しているダイヤモンド粒子109の表面の一部に形成さ
れていれば良く、必ずしもその全面を覆う必要は無い。
【0228】上記の構成において、電子注入電極101
と電子輸送部材102とがオーミック接合していると、
電子注入電極101からの電子の注入が効率的となり、
好ましい。また、電子輸送部材102に厚さ約500n
m以下の薄い絶縁層を設けると、第1の実施形態などに
て説明したように、電界が絶縁層に集中して印加される
ことになり、電子の注入が効率的に生じて、より好まし
い効果が得られる。
【0229】ここで、図16の構成のより具体的な例を
以下に説明する。
【0230】まず、粒径1μmのダイヤモンドの粒子を
水に練り込んで、これをタングステン(W)電極基板表
面に塗る。次に、この基板をマイクロ波CVD装置の中
に設置し、水素で希釈されたCOガス(1〜10%)を
供給して、数百Wのパワーで25〜40Torrの真空
度でダイヤモンド薄膜形成を行う。この場合の基板温度
は、800〜900℃とする。数分間程度のCVD成長
により、付着した粒径約1μmのダイヤモンド粒子10
9の表面に、粒径約0.1μmのダイヤモンド微粒子1
11が形成される。
【0231】この処理に際して、CVD成長プロセスに
より形成されたダイヤモンド微粒子111は連続膜を形
成していない。特に、付着したダイヤモンド粒子109
とW電極との界面付近では、ダイヤモンド微粒子111
の成長が更に不十分になる。この結果、付着されたダイ
ヤモンド粒子109の表面は水素化及びダイヤモンド成
長が不十分で絶縁性になっており、一方、CVD成長し
たダイヤモンド微粒子111の表面のみが、十分に水素
化及びダイヤモンド成長されて導電性となる。この結
果、電子放出部材103として機能するCVD成長ダイ
ヤモンド微粒子111は、電子注入電極101に対し
て、導電性が小さい付着ダイヤモンド粒子109の表面
を介して電気的に接続された状態になる。
【0232】上記において、W電極が電子注入電極10
1として機能する。更に、付着されたダイヤモンド粒子
109の内で、W電極近傍に位置して水素化及びダイヤ
モンド成長が不十分な絶縁性部分が電子輸送部材102
として機能し、一方、CVD成長されたダイヤモンド粒
子111が導電性の電子放出部材103として作用し、
これによって本実施形態の電子放出素子が構成される。
【0233】以上のようにして形成されたダイヤモンド
薄膜による電子放出素子を、真空度が10-7Torr以
下に保たれた真空装置内部に設置し、更に、そこから1
mm離して、対向電極104を設置する。
【0234】W基板の電子注入電極101からリード線
を取り出して接地し、接地レベルと対向電極104との
間に7kVの直流電圧を印加したところ、1μA/cm
2以上の電流密度での電子放出が生じることが確認され
た。
【0235】以上の幾つかの実施形態において、電子輸
送部材102や電子放出部材103を構成するダイヤモ
ンド薄膜を気相成長法によって成長するにあたって、気
相成長プロセスの前処理として、1×1010個/cm2
以上の分布密度を有するダイヤモンド成長核を分布させ
る工程を含むことが好ましい。このような前処理工程に
より、非常に薄い連続薄膜状のダイヤモンド薄膜が形成
可能になり、厚さが500nm以下の絶縁層としてのダ
イヤモンド薄膜の気相成長が、初めて可能になった。例
えば、水素希釈のメタンを用いたマイクロ波CVD気相
成長によるダイヤモンド薄膜成長を行う場合には、ダイ
ヤモンド薄膜表面が水素化されて導電性を有するように
なり、結果として、自動的に導電性の電子放出領域が形
成される。
【0236】(第13の実施形態)図27に、本発明の
第13の実施形態として、画像表示装置の概略断面図を
示す。この画像表示装置は、これまでの各実施形態で説
明した本発明の電子放出素子を電子放出源として用い
て、構成されている。
【0237】具体的には、本発明による電子放出素子2
11が複数個、外囲器212の一部を兼ねた基板212
aの上に形成されて、電子放出源220を構成してい
る。213は画像形成部であり、電子放出源220(電
子放出素子211)からの電子に対して例えば加速・偏
向・変調等の駆動・制御を行う電子駆動電極213a
と、外囲器212の一部212bの内面に付着された蛍
光体213bとからなり、駆動された電子により蛍光体
213bを発光させて画像を表示する。
【0238】ここで、電子放出源220を本発明の電子
放出素子211を用いて構成しているため、低電圧で大
きなエミッション電流の取り出しが可能であり、従っ
て、低電圧駆動が可能で且つ高輝度の平板型画像表示装
置が実現できる。
【0239】図28(a)〜(d)には、本実施形態の
画像表示装置の製造方法の概略工程図を示す。
【0240】まず、図28(a)に示すように、外囲器
212の一部を兼ねる基板212aの上に、本発明の何
れかの実施形態にて説明した製造方法によって複数の電
子放出素子211を設けて、電子放出源220を形成す
る。そして、画像形成部の一部である電子駆動電極21
3aを配設し(図28(b))、また、内面に蛍光体2
13bを付着した外囲器の一部212bを設置する(図
28(c))。最後に、外囲器212の内部を真空にし
て、図27に示した本実施形態による画像表示装置を製
造する(図28(d))。
【0241】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、電子輸
送部材としての導電層に対して、例えば粒子状の形状を
有する電子放出部材が、絶縁膜などによって構成される
電界集中領域を介して付着している。このために、電子
輸送部材(導電層)と電子放出部材(粒子)との間に位
置する電界集中領域(絶縁膜)に、電界が効率的に集中
される。その結果として、電子輸送部材(導電層)と電
子放出部材(粒子)との界面に存在する電子障壁が低減
されて、電子放出部材(粒子)への電子の注入が容易に
行われるようになって、低い電圧での電子の取り出しが
可能である電子放出素子が形成される。
【0242】また、本発明によれば、電子注入電極と電
子放出部材との間に電子輸送部材を設けた上で、この電
子輸送部材を、電子注入電極と電子放出部材との間に十
分に小さい直流電界を印加した際に電気的に絶縁性或い
は高抵抗を有する部分を含むように構成する。これによ
って、電子放出素子に要求される、(1)比較的に小さ
い電界で電子を放出できる(電子放出部材の電子親和力
が小さい)、(2)電子放出部材(エミッタ)の表面が
化学的に安定で、安定な電子放出特性を維持することが
できる、及び(3)耐摩耗性や耐熱性に優れている、と
いう観点から見た場合に、総合的に優れた特性を有する
電子放出素子が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1A】本発明の第1の実施形態における電子放出素
子の模式的な断面図である。
【図1B】図1Aに示す構成において、電界集中領域が
存在する場合の、電界(等電位線)を模式的に描く図で
ある。
【図1C】図1Aに示す構成において、電界集中領域が
存在しない場合の、電界(等電位線)を模式的に描く図
である。
【図1D】本発明の第1の実施形態における電子放出素
子の改変された構成の模式的な断面図である。
【図1E】本発明の第1の実施形態における電子放出素
子の他の改変された構成の模式的な断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における電子放出素子
の更に他の改変された構成の模式的な断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における電子放出素子
の更に他の改変された構成の模式的な断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における電子放出素子
の模式的な断面図である。
【図5A】本発明の第3の実施形態における電子放出素
子の模式的な断面図である。
【図5B】本発明の第3の実施形態における電子放出素
子の改変された構成の模式的な断面図である。
【図6A】本発明の第4の実施形態における電子放出素
子の模式的な断面図である。
【図6B】本発明の第4の実施形態における電子放出素
子の改変された構成の模式的な断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態における電子放出素子
の模式的な断面図である。
【図8】本発明の第6の実施形態における電子放出素子
の模式的な断面図である。
【図9】本発明の第7の実施形態における電子放出素子
の模式的な断面図である。
【図10】本発明の第8の実施形態における電子放出素
子の模式的な断面図である。
【図11】本発明の第9の実施形態における電子放出素
子の模式的な断面図である。
【図12】本発明の第9の実施形態における電子放出素
子の改変された構成の模式的な断面図である。
【図13】本発明の第9の実施形態における電子放出素
子の他の改変された構成の模式的な断面図である。
【図14】本発明の第10の実施形態における電子放出
素子の模式的な断面図である。
【図15】本発明の第11の実施形態における電子放出
素子の模式的な断面図である。
【図16】本発明の第12の実施形態における電子放出
素子の模式的な断面図である。
【図17】本発明の第10の実施形態における電子放出
素子の改変された構成の模式的な断面図である。
【図18】本発明の第11の実施形態における電子放出
素子の改変された構成の模式的な断面図である。
【図19】(a)〜(c)は、図1Aの電子放出素子の
製造工程を模式的に説明する断面図である。
【図20】(a)〜(d)は、図4の電子放出素子の製
造工程を模式的に説明する断面図である。
【図21】(a)〜(c)は、図5Aの電子放出素子の
製造工程を模式的に説明する断面図である。
【図22】(a)〜(d)は、図6Aの電子放出素子の
製造工程を模式的に説明する断面図である。
【図23】(a)〜(c)は、図7の電子放出素子の製
造工程を模式的に説明する断面図である。
【図24】(a)〜(d)は、図8の電子放出素子の製
造工程を模式的に説明する断面図である。
【図25】(a)〜(c)は、図9の電子放出素子の製
造工程を模式的に説明する断面図である。
【図26】(a)〜(d)は、図10の電子放出素子の
製造工程を模式的に説明する断面図である。
【図27】本発明の第13の実施の形態における画像表
示装置の構成の模式的な断面図である。
【図28】(a)〜(d)は、図27の画像表示装置の
製造工程を模式的に説明する断面図である。
【図29】従来技術による電子放出素子の構成を模式的
に示す断面図である。
【符号の説明】
1 電子輸送部材(導電層) 2 電界集中領域(絶縁層) 3 電子放出部材 4 電子放出領域 5 引き出し電極 5a 開口部 11 基板 101 電子注入電極 102 電子輸送部材 103 電子放出部材 104 対向電極 105 電源 106 交流電源 107 コンデンサ 108 直流電源 109 粒子 110 粒子の先端部分 111 薄膜或いは微粒子 211 電子放出素子 212 外囲器 212a 基板 213 画像形成部 213a 電子駆動電極 213b 蛍光体 220 電子放出源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北畠 真 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−320450(JP,A) 特開 平8−321256(JP,A) 特開 平7−282715(JP,A) 特開 平9−7499(JP,A) 特開 平9−270227(JP,A) 特開 平8−236010(JP,A) 特開 平9−55162(JP,A) 特開 平11−96893(JP,A) 実開 昭56−167456(JP,U) 特公 平7−114104(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/30 - 1/316 H01J 9/02 H01J 29/04 H01J 31/12 JICSTファイル(JOIS)

Claims (30)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子輸送部材と、電子放出部材と、該電
    子輸送部材と該電子放出部材との間に形成された電界集
    中領域と、前記電子放出部材に対向した電極とを有する
    電子放出素子であって、 前記電子放出部材が粒子から構成されており、 前記電界集中領域が絶縁層によって構成されており、 前記電極と前記電子輸送部材との間の電位差により発生
    する電界によって、前記電子放出部材と前記電極との間
    に発生する電界集中の大きさよりも大きな電界集中が、
    前記電界集中領域に発生し、 前記電界集中領域に発生する電界集中によって、前記電
    子輸送部材から前記電子放出部材への電子の注入が行わ
    れることを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 前記電子放出部材への電子注入により、
    前記電子放出部材と前記電子輸送部材とが同電位になる
    と、電界集中領域における電界の集中が消滅し、 電子放出部材に注入された電子が、電子放出部材と電極
    との間に発生している電界集中によって、電極に向かっ
    て引き出されると、再び、前記電子放出部材と前記電極
    との間に発生する電界集中の大きさよりも大きな電界集
    中が、前記電界集中領域に発生する請求項1に記載の電
    子放出素子。
  3. 【請求項3】 前記電子輸送部材が導電層である、請求
    項1または2に記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 前記電子輸送部材の表面が凹凸形状を有
    するように粗面化されており、前記電子放出部材は、該
    電子輸送部材の該粗面化された表面の上に、少なくとも
    該凹凸形状の凸部を介して配設されている、請求項1ま
    たは2に記載の電子放出素子。
  5. 【請求項5】 前記電子輸送部材に電流を流す回路を更
    に備える、請求項1または2に記載の電子放出素子。
  6. 【請求項6】 前記電界集中領域は、前記電子放出部材
    を構成する粒子の表面に形成された絶縁層から構成され
    ていて、該粒子が該絶縁層を介して前記電子輸送部材の
    上に配設されている、請求項1または2に記載の電子放
    出素子。
  7. 【請求項7】 前記電子輸送部材が導電層であり、前記
    電界集中領域が該導電層の上に形成された絶縁層から構
    成されており、前記電子放出部材が、該絶縁層に一部を
    埋没させるように配設された粒子から構成されている、
    請求項1または2に記載の電子放出素子。
  8. 【請求項8】 前記電界集中領域の厚さが1000Å以
    下である、請求項1または2に記載の電子放出素子。
  9. 【請求項9】 前記電子放出部材が、お互いに接触せず
    に独立して配設された複数の粒子から構成されている、
    請求項1または2に記載の電子放出素子。
  10. 【請求項10】 前記電子放出部材が、負の電子親和力
    を有する材料の粒子から構成されている、請求項1また
    は2に記載の電子放出素子。
  11. 【請求項11】 前記粒子はダイヤモンド粒子である、
    請求項10に記載の電子放出素子。
  12. 【請求項12】 前記ダイヤモンド粒子は人工ダイヤモ
    ンド粒子である、請求項11に記載の電子放出素子。
  13. 【請求項13】 前記ダイヤモンド粒子は気相合成法に
    より合成されたダイヤモンド粒子である、請求項11に
    記載の電子放出素子。
  14. 【請求項14】 前記粒子は、ダイヤモンド構造を部分
    的に備えたカーボン粒子である、請求項10に記載の電
    子放出素子。
  15. 【請求項15】 前記ダイヤモンド粒子の最表面原子
    は、水素原子と結合した終端構造を有する、請求項11
    に記載の電子放出素子。
  16. 【請求項16】 前記カーボン粒子の最表面原子は、水
    素原子と結合した終端構造を有する、請求項14に記載
    の電子放出素子。
  17. 【請求項17】 前記ダイヤモンド粒子は600℃以上
    の水素雰囲気に曝されて形成された、請求項11に記載
    の電子放出素子。
  18. 【請求項18】 前記カーボン粒子は600℃以上の水
    素雰囲気に曝されて形成された、請求項14に記載の電
    子放出素子。
  19. 【請求項19】 前記ダイヤモンド粒子が不純物を含
    む、請求項11に記載の電子放出素子。
  20. 【請求項20】 前記カーボン粒子が不純物を含む、請
    求項14に記載の電子放出素子。
  21. 【請求項21】 前記不純物がイオン注入により形成さ
    れている、請求項19に記載の電子放出素子。
  22. 【請求項22】 前記不純物の密度が1×1013個/c
    3以上である、請求項19に記載の電子放出素子。
  23. 【請求項23】 前記不純物がイオン注入により形成さ
    れている、請求項20に記載の電子放出素子。
  24. 【請求項24】 前記不純物の密度が1×1013個/c
    3以上である、請求項20に記載の電子放出素子。
  25. 【請求項25】 前記電子輸送部材が、低仕事関数材料
    から構成される導電層である、請求項1または2に記載
    の電子放出素子。
  26. 【請求項26】 基板の上に電子輸送部材を形成する工
    程と、該電子輸送部材に対して、電界集中領域を介して
    接触する電子放出部材を配設する工程とを包含する、電
    子放出素子の製造方法であって、 前記電子放出部材を配設する工程が、液状硬化性絶縁物
    質と所定の粒子との混合物を、前記電子輸送部材として
    機能する導電層の上に付着させる工程と、 該液状硬化性絶縁物質を硬化させる工程と、 該硬化させた絶縁物質の表層部のみを選択的に除去し
    て、該混合物に含まれる該粒子の一部を露出させて、該
    粒子の露出した部分を該電子放出部材として機能させる
    工程と、を含むことを特徴とする電子放出素子の製造方
    法。
  27. 【請求項27】 前記選択的除去工程が化学的エッチン
    グ処理による、請求項26に記載の電子放出素子の製造
    方法。
  28. 【請求項28】 前記化学的エッチング処理が水素プラ
    ズマ照射プロセスである、請求項27に記載の電子放出
    素子の製造方法。
  29. 【請求項29】 基板の上に電子輸送部材を形成する工
    程と、該電子輸送部材に対して、電界集中領域を介して
    接触する電子放出部材を配設する工程と、前記電子輸送
    部材の表面を粗面化する工程とを包含する、電子放出素
    子の製造方法であって、 前記電子輸送部材の表面を粗面化する工程が、前記電子
    輸送部材として機能する導電層を溶射法により形成する
    工程を含むことを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  30. 【請求項30】 基板の上に電子輸送部材を形成する工
    程と、該電子輸送部材に対して、電界集中領域を介して
    接触する電子放出部材を配設する工程と、前記電子輸送
    部材の表面を粗面化する工程とを包含する、電子放出素
    子の製造方法であって、前記電子輸送部材の表面を粗面化する工程が、前記基板
    を粗面化して、粗面化された基板の表面に前記電子輸送
    部材を形成する工程を含む ことを特徴とする電子放出素
    子の製造方法。
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