JP3094694B2 - コーティング用チョコレートの製造法 - Google Patents
コーティング用チョコレートの製造法Info
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Description
レートの製造法に関する。
スケット、パンなど種々の菓子・パン類にチョコレート
をコーティングした食品が市販されている。コーティン
グ用チョコレートに要求される品質は、コーティング後
のチョコレートが速やかに乾くこと、チョコレート表面
の艶が良いこと、ひび割れを起こしたり剥離したりしな
いこと、および風味の良いことなどが挙げられる。
して、構成油脂の融点が28℃以上もあるような、通常の
固形チョコレートを使用すると、コーティング後のチョ
コレートがひび割れを起こしたり剥離したり、あるいは
低温で硬くなりチョコレートの味が感じ難くなったりす
るという欠点を有する。
体油(大豆油、菜種油など)を混合することによって上
記欠点を解決しようとすると、チョコレート自体の融点
が低くなり乾き速度が遅くなるとともに、ベタついて手
や包装紙を汚したり、あるいはチョコレート表面に液状
油が滲みでて、所謂、汗かき現象を起こしたりするとい
う欠点を生ずる。
ュ・ペーストリーやスポンジケーキ或いはシューエクレ
アのような柔らかいものである場合、少しの応力によっ
ても対象物が変形するため、コーティング後のチョコレ
ートのひび割れや剥離現象の発生は著しい。
を解決することを課題とするものであり、特にコーティ
ング対象物が上記するシューエクレアのような柔らかい
菓子・パン類である場合、コーティング後のチョコレー
トが常温(20〜30℃)においても速やかに乾き、艶が良
好で、またコーティングされた当該被コーティング物が
多少の応力により変形してもひび割れを起こし難い柔軟
な(フレキシブルな)特性を有した、さらに冷蔵温度域
においても柔らかい、コーティング用チョコレートを得
ることを課題とする。
に、本発明者が種々検討を行う中で、チョコレート中の
油脂成分として所定量のジ飽和モノリノレート(S2L)を
含有する油脂とラウリン系油脂との両者が存在すること
の重要性を知り、更に検討を行った結果、この発明に到
達した。
として、ジ飽和モノ不飽和グリセリド(S2U) 30〜85%
を含有し、且つジ飽和モノ不飽和グリセリド(S2U) 中
、ジ飽和モノリノレート(S2L) が35%以上である油脂
(以下、S2L含有油脂という)とラウリン系油脂とを併
用することを特徴とする、コーティング用チョコレート
の製造法、である(但し、%は重量基準で示した。以下
同じ)。
脂例えばサフラワー油、ひまわり油、コーン油、菜種
油、大豆油とりわけ前2者の油脂を、飽和脂肪酸に富む
エステルと公知の方法でエステル交換し、必要に応じて
分別を行うことにより得られる。特にエステル交換を、
1,3-位に選択性を有するリパーゼを作用させて行い、飽
和脂肪酸源として、遊離脂肪酸またはその1価アルコー
ルエステルを用いるときは、チョコレート油脂中の障害
になりやすいトリ飽和グリセリド(S3)成分の生成が少
ないので、エステル交換油の分別で除去する必要がない
利点がある。またパルミチン酸もしくはステアリン酸、
またはそれらの1価アルコールエステルは、コスト的に
有利なS 源である。
リセリド組成は、ジ飽和モノ不飽和グリセリド(S2U)30
〜85%、ジ不飽和モノ飽和グリセリド(SU2)及びトリ不
飽和グリセリド(U3) の合計を15〜70%、トリ飽和グリ
セリド(S3)0〜6%である。
数16〜22個の飽和脂肪酸(S) 2残基と不飽和脂肪酸(U)
1残基が結合したグリセリド(S2U)で、U がα位に結合
したSSU 、β位に結合したSUS 及びそれらの混合物の何
れでもよい。このうち不飽和脂肪酸(U) がリノール酸
(L) であるものがジ飽和モノリノレート(S2L)である。
S2L はともに温度変化(-20〜25℃) に対する物性変化が
より少ないが、SLS よりも、SSL の方がソフトであるに
もかかわらず乾き特性に優れるので有利である。
酸(S) 1残基と不飽和脂肪酸(U) 2残基が結合したグリ
セリド(SU2)で、USU 、UUS 及びそれらの混合物であ
る。ここに飽和脂肪酸(S) の鎖長はハードバターの構成
脂肪酸として一般的な炭素原子数16〜22個である。な
お、以下において、トリ飽和グリセリドはS3、トリ不飽
和グリセリドは U3 とあらわすことがある。
トな食感と乾き特性を得るために、特に、S2L含有油脂
はジ飽和モノ不飽和グリセリド(S2L) を30〜85%含有
し、且つジ飽和モノ不飽和グリセリド(S2U) 中 、ジ飽
和モノリノレート(S2L) が35%以上である要件を満た
すことが重要であり、またジ不飽和モノ飽和グリセリド
及びトリ不飽和グリセリドといった低融点トリグリセリ
ドは15〜70%、トリ飽和グリセリド(S3 )は0〜6%
であるのが好ましい。
上記S2L 含有油脂とラウリン系油脂を併用することであ
る。このラウリン系油脂の代わりに、非ラウリン系油脂
のハードバターを使用すると、コーティング後のチョコ
レート表面において良好な艶が得られない。
核油またはこれらの硬化油あるいはこれらの分画油など
が例示でき、特に沃素価1以下になるまで水素添加した
パーム核油硬化油、またはその分画油でSFI値が10℃
で60〜85、20℃で60〜85、35℃で10以下の融解性状のシ
ャープなラウリン系油脂が好適である。
混合割合は、前者20〜70重量%と後者80〜30重量%であ
るのが好ましく、これらの範囲を逸脱する場合はチョコ
レート自体が柔らかくなり過ぎたり、あるいは低温で硬
くなり過ぎたりする。
分全量に対し40〜100 重量%となるように使用するのが
好ましい。チョコレート中には、以上の混合油脂の他に
カカオマスや全脂粉乳の使用により必然的に混入してく
るカカオ脂や乳脂肪などが含まれる。
リドが存在することは必須ではないが、例えば脂肪酸鎖
長の長い大豆油や菜種油の極度硬化油を少量添加するこ
とによって、乾き特性を改善し、油分の滲み出しを防止
する効果を有する場合がある。しかし、このS3の量が多
くなりすぎると、口溶け性を低下させるので留意する必
要がある。
できる。即ち、チョコレートは前記のトリグリセリド成
分を含有する油脂成分の他、チョコレートの通常の成分
例えば、カカオマス、あるいはココア、糖類、粉乳、乳
化剤、フレーバー、色素等を含むことができ、またカカ
オ成分に代えて、アーモンド粉末などの堅果粉末、ピー
ナツバター、粉末チーズ等を使用し、チョコレート以外
の風味を与えたり、ホワイトチョコレートベースに色を
つけた所謂カラーチョコレートとすることもできる。
子・パン類にコーティングすることが可能であり、特に
対象物がデニッシュ・ペーストリーやスポンジケーキ或
いはシューエクレアなどのような柔らかいものに好適に
使用することができる。また、冷蔵保管しても硬くなり
難いため被コーティング対象物が冷蔵保管の必要性のあ
るものに対しても有効である。
明効果を明瞭にする。
位特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換し、蒸
留によりエチルエステル部を除去してS2L 含有油脂を
得た。この油脂のS2L 成分は48.3%、その他のS2U 成分
は 6.6%、SU2+U3成分は44.5%、S3成分は 0.6%であっ
た。一方、パーム核油を1段で分別し収率50%で得た高
融点画分を水素添加して沃素価1以下のパーム核油極度
硬化油を得た。
トを製造して、粒度17μ、粘度1100cP(東京計器製、
B型粘度計、3号ロータ,12 rpm) のチョコレートを得
た。このチョコレートを融解して45℃にてシューエクレ
アにコーティングし、5℃の冷風下で3〜4分間冷却固
化したところ、ひび割れもなく、剥離も起こらなかっ
た。更に、冷蔵下に一晩置いてもひび割れは生じなかっ
た。
を使用して、以下の配合にて同様にチョコレートを製造
した。 ○チョコレート配合 カカオマス 15.5部 全脂粉乳 4.5部 脱脂粉乳 6 部 乳糖 32.5部 砂糖 3.5部 S2L 含有油脂 14 部 パーム核油極度硬化油 17 部 レシチン 0.4部 香料 適量
トを製造して、粒度17μ、粘度1800cP(東京計器製、
B型粘度計、3号ロータ,12 rpm) のチョコレートを得
た。このチョコレートを融解して45℃にてシューエクレ
アにコーティングし、5℃の冷風下で7〜8分間冷却固
化したところ、ひび割れもなく、剥離も起こらなかっ
た。同様に、冷蔵下に一晩置いてもひび割れは生じなか
った。
位特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換し、蒸
留によりエチルエステル部を除去したものを1段分別し
て収率60%で高融点画分を分取してS2L 含有油脂を得
た。この油脂のS2L 成分は76.9%、その他のS2U 成分は
14.3%、SU2+U3成分は 8.8%、S3成分は1.0 %であっ
た。一方、パーム核油を1段で分別し収率50%で得た高
融点画分を水素添加して沃素価1以下のパーム核油極度
硬化油を得た。
トを製造して、粒度19μ、粘度1500cP(東京計器製、
B型粘度計、3号ロータ,12 rpm) のチョコレートを得
た。このチョコレートを融解して45℃にてシューエクレ
アにコーティングし、5℃の冷風下で9〜10分間冷却固
化したところ、ひび割れもなく、剥離も起こらなかっ
た。同様に、冷蔵下に一晩置いてもひび割れは生じなか
った。
トを製造して、粒度17μ、粘度1200cP(東京計器製、
B型粘度計、3号ロータ,12 rpm) のチョコレートを得
た。このチョコレートを融解して45℃にてシューエクレ
アにコーティングし、5℃の冷風下で9〜10分間冷却固
化し、一晩置いたところひび割れを生じた。
TM、F社製品)
トを製造して、粒度18μ、粘度1200cP(東京計器製、
B型粘度計、3号ロータ,12 rpm) のチョコレートを得
た。このチョコレートを融解して45℃にてシューエクレ
アにコーティングし、5℃の冷風下で9〜10分間冷却固
化したところ、ひび割れは生じなったが、コーティング
したチョコレート表面は艶の悪いものであった。
を製造したところ、チョコレート自体が極めて柔らか
く、このチョコレートを45℃にてシューエクレアにコー
ティングし、5℃の冷風下に10分間冷却し次いで一晩置
いたところ、ひび割れは生じなったが、コーティングし
たチョコレート表面を手で触れるとチョコレートが手に
付着して乾きの悪いものであった。
てS2L 含有油脂とラウリン系油脂とを併用することによ
り、コーティング対象物がカステラやシューエクレアの
ような柔らかい菓子・パン類に対してもひび割れや剥離
現象を起こし難く、かつコーティングしたチョコレート
の艶が良好であって、しかもこのような被コーティング
対象物を冷蔵保管してもひび割れや剥離現象を起こし難
いフレキシブルな特性を有したチョコレートを得ること
ができるようになったのである。
Claims (2)
- 【請求項1】チョコレート中の油脂成分として、ジ飽和
モノ不飽和グリセリド(S2U) を30〜85%含有し、且つ
ジ飽和モノ不飽和グリセリド(S2U) 中、ジ飽和モノリ
ノレート(S2L) が35%以上である油脂(以下、(S2L含
有油脂という)とラウリン系油脂とを併用することを特
徴とする、コーティング用チョコレートの製造法。 - 【請求項2】S2L含有油脂のトリグリセリド組成が、ジ
飽和モノ不飽和グリセリド(S2U) 30〜85%、ジ不飽和
モノ飽和グリセリド( SU 2 ) 及びトリ不飽和グリセリド
(U3) の合計を15〜70%、トリ飽和グリセリド(S3) 0〜
6%である、請求項1記載の方法。
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JP04311382A JP3094694B2 (ja) | 1992-10-27 | 1992-10-27 | コーティング用チョコレートの製造法 |
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-
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