JP3092977B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物

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JP3092977B2
JP3092977B2 JP03168907A JP16890791A JP3092977B2 JP 3092977 B2 JP3092977 B2 JP 3092977B2 JP 03168907 A JP03168907 A JP 03168907A JP 16890791 A JP16890791 A JP 16890791A JP 3092977 B2 JP3092977 B2 JP 3092977B2
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幸男 今井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアリーレンスルフ
ィド樹脂が本来有する良好な強度、剛性を実質的に保持
したまま、高い伸びを示し、高靱性化され、かつ改善さ
れた摺動特性をもつポリアリーレンスルフィド樹脂組成
物に関する。本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂
は、上記のような特性をもつが故に摺動部材として広い
分野で利用され得る。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド(以下、「P
PS」と略記する)樹脂で代表されるポリアリーレンス
ルフィド樹脂は優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性お
よび電気絶縁性をもつ高性能エンジニアリングプラスチ
ックスとして知られている。その代表的な用途の一つ
に、高剛性を生かした高荷重下で用いられる摺動部品
(摩擦・摩耗部品)があり、この用途では、主として、
PPSとガラス繊維、炭素繊維またはアラミド繊維など
の強化繊維とからなる組成物またはPPSとそのような
強化繊維およびポリテトラフルオロエチレンを代表とす
るフッ素樹脂とからなる組成物の形態で用いられる。
【0003】上記のようなPPS樹脂組成物からなる摺
動材料は、高速摺動下においてはその摩擦蓄熱によって
材料の軟化または焼付きを起こすため、その使用は、摩
擦蓄熱の少ない低速摺動下における使用に限定されてい
る。このようなPPS樹脂組成物の摺動部品の摺動性を
さらに向上する試みとして、これらのPPS樹脂組成物
に、チタン酸カリウムウイスカー、黒鉛、シリカ、ケイ
酸アルミニウム、二酸化チタンまたは熱硬化性樹脂を少
量配合することが提案されている。しかしながら、十分
な摺動性向上効果が達成されないかまたはPPS樹脂組
成物本来の優れた特性のいずれかが損なわれるという問
題があった。また、高速摺動下における使用を可能にす
るには至っていない。
【0004】上記のような状況から、PPS樹脂組成物
からなる摺動材料としては、発熱を抑えて高速摺動下で
の使用を可能にし、かつ、高温下での剛性を改善するこ
とが求められている。
【0005】一方、PPS樹脂は優れた機械的性質、剛
性を有するものの、脆いという欠点も併有している。こ
の課題を解決するためにPPS樹脂に熱可塑性エラスト
マーをブレンドすることが知られており、それによって
脆さが改善されるものの剛性が低下する。この難点が解
決されれば、PPS樹脂組成物からなる摺動材料の用途
は、より拡がることが期待される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
アリーレンスルフィド(以下、「PAS」と略称する)
樹脂組成物が本来有する良好な機械的性質、剛性を実質
的に保持したまま、高い伸びを示し、高靱性化され、か
つ、高速摺動下での摩擦係数およびその変動が低減し、
発熱が大幅に抑制された摺動材料として有用なPAS樹
脂組成物を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、(A)P
AS樹脂50〜99重量%、(B)熱可塑性エラストマ
ー50〜1重量%からなる樹脂混合物100重量部、
(C)下記一般式(1)および(2)で表される芳香族
マレイミド化合物の中から選ばれた少くとも一種の化合
物0.1〜10重量部、さらに任意成分として(E)強
化繊維5〜100重量部および/または無機充填材5〜
80重量部、ならびに必須成分として(D)少くとも一
方の末端に官能基をもつシリコーン化合物〔上記
(A)、(B)、(C)、(E)成分の合計100重量
部に基づき0.1〜25重量部とからなるPAS樹脂組
成物によって達成される。
【0008】
【化3】 式(1)中、R1 はフェニレン基または置換基を有する
フェニレン基を含む二価の有機基である。
【0009】
【化4】 式(2)中、R2 は2価の炭化水素基、nは0,1また
は2である。
【0010】従来、PPS樹脂に対しシリコーン化合物
を添加しても、その摺動性を大きく改善することはでき
なかったが、上述の(A)PAS樹脂、(B)熱可塑性
エラストマー、(C)芳香族マレイミド化合物とからな
る樹脂組成物に特定のシリコーン化合物を添加すること
によって、未添加樹脂組成物の諸性質、特に相溶性およ
び靭性を損うことなく摺動性が著しく改善されることは
意外であった。また、多くのシリコーン化合物は熱可塑
性プラスチックに添加すると成形品表面に移行する性質
をもつが、本発明で用いる特定のシリコーン化合物を
(A)PAS樹脂、(B)熱可塑性エラストマー、
(C)芳香族マレイミドからなる樹脂組成物に添加する
ときは、意外にも成形品表面への移行がみられず、この
ことが、上記目的の達成に寄与するものと考えられる。
【0011】本発明で用いるPAS樹脂は、実質的に繰
り返し単位−R−S−(R:アリーレン基)からなるポ
リマーである。好ましくは、下記式(3)
【化5】 で表わされる繰返し単位からなるポリパラフェニレンス
ルフィド樹脂、およびこの繰返し単位を70モル%以
上、より好ましくは90モル%以上含むランダム共重合
体およびブロック共重合体である。共重合体中の少量共
重合成分としては、下記式で表わされるアリーレンスル
フィド単位が挙げられる。
【0012】
【化6】
【0013】PAS樹脂には、一般に、特公昭45−3
368号公報で代表される製造法により得られる比較的
分子量の小さい重合体を、重合後酸素雰囲気下で加熱
し、あるいは過酸化物等の架橋剤を添加して加熱するこ
とにより架橋および高分子量化した、いわゆる熱架橋型
PAS樹脂、ならびに特公昭52−12240号公報、
特公昭54−8719号公報、特開昭61−7332号
公報で代表される製造法により得られる直鎖状で高分子
量の重合体、いわゆる直鎖型PAS樹脂等があるが、本
発明では、いずれも使用することができる。
【0014】本発明で用いられるPAS樹脂の溶融粘度
は、射出成形や押出成形などの通常の方法で成形品を得
ることが可能であれば特に制限はないが、温度300
℃、せん断速度101 〜104 sec-1下でのみかけの
溶融粘度が概ね100ポアズ以上、30,000ポアズ
以下のものが、樹脂物性と成形性の面から好ましい。
【0015】本発明で用いる熱可塑性エラストマーとし
ては、ジエン系エラストマー、ポリウレタン系エラスト
マー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラ
ストマー、ポリオレフィン系エラストマーなどが挙げら
れ、芳香族マレイミド化合物との反応性の高いものが好
ましい。
【0016】ジエン系エラストマーとしては、ポリブタ
ジエン系エラストマー、ならびにスチレン・ブタジエン
・スチレンブロック共重合体エラストマーおよびスチレ
ン・イソプレン・スチレンブロック共重合体エラストマ
ーによって代表されるビニル系芳香族炭化水素と共役ジ
エンとからなるブロック共重合体系エラストマーが挙げ
られる。ポリブタジエン系エラストマーは、1,3−ブ
タジエンをチタン、コバルト、ニッケル、バナジウムな
どの遷移金属成分と有機アルミニウム化合物成分からな
る重合触媒やブチルリチウムその他のアルキルリチウム
からなる重合開始剤を用いて重合することによって得ら
れるエラストマーである。その市販品としては、例え
ば、日本合成ゴム(株)製JSR−BR820が挙げら
れる。
【0017】ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとから
なるブロック共重合体系エラストマーとしては、(a)
スチレン含有量10〜50重量%のスチレン・ブタジエ
ン・スチレン型ブロック共重合体エラストマー(以下
「SBS系エラストマー」という)、(b)これらのブ
ロック共重合体に選択的に水素添加を施したスチレン・
エチレン・ブチレン・スチレン・ブロック共重合体(S
EBSエラストマー)、および(C)これら(a)、
(b)のブロック共重合体に小量の不飽和ジカルボン酸
またはその誘導体を付加せしめた変性ブロック共重合体
が挙げられる。
【0018】ここでいう変性ブロック共重合体に含まれ
る不飽和ジカルボン酸またはその誘導体は、公知のもの
でよく、例えば、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイ
ン酸、イタコン酸、シス−4−シクロヘキサン−1,2
−ジカルボン酸、ならびに、これらのジカルボン酸の酸
無水物、エステル、アミド、イミドなどを挙げることが
できる。なかでも、マレイン酸、フマル酸、無水マレイ
ン酸がより好適である。
【0019】上記SBS系エラストマー、SEBS系エ
ラストマーおよびそれらの変性ブロック共重合体は市販
品を入手することができる。例えば、SBS系エラスト
マーとしてはアサヒプレンT430(旭化成工業製)、
SEBS系エラストマーとしてはタフテックH1041
(旭化成工業製)、クレイトンG1652(シェル化学
製)、SBS系エラストマーの酸変性ブロック共重合体
としてはタフプレン912(旭化成工業製)、SEBS
系エラストマーの酸変性ブロック共重合体としてはタフ
テックM−1913(旭化成工業製)、クレイトンFG
−1901X(シェル化学製)などが挙げられる。
【0020】ポリウレタン系エラストマーは、主鎖にウ
レタン結合−NHCO−O−を持つゴム状弾性体であ
り、ポリエステル系ポリオールをジイソシアネート化合
物と反応させることにより得られる。ポリエステル系ポ
リオールの代表例としては、1,4−ブタンジオールと
アジピン酸とのエステルで末端にヒドロキシル基を含む
ものが挙げられる。ジイソシアネート化合物の具体例と
しては、MDI(4,4′−ジフエニルメタンジイソシ
アネート)、TDI(トリレンジイソシアネート)、
1,5−ナフタレンジイソシネートなどが挙げられる。
ポリウレタン系エラストマーの市販品としては、例え
ば、東洋紡績(株)製ウレタンE3095A、バイエル
ジャパン(株)製デスモパン590が挙げられる。
【0021】ポリアミド系エラストマーとしては、ポリ
ウンデカンアミド(ナイロン11)およびポリドデカン
アミド(ナイロン12)のようなポリアミド成分のハー
ドセグメントとポリエーテル成分または脂肪族ポリエス
テル成分のソフトセグメントとからなるブロック共重合
体エラストマーが挙げられる。ポリエーテルソフトセグ
メント成分の具体例としては−(OR)n −(Rは炭素
数2〜12のアルキレン基)で表わされるポリエーテル
が挙げられ、脂肪族ポリエステルセグメント成分の具体
例としてはポリカプロラクトンおよびアルキレングリコ
ールHO−R′−OH(R′は炭素数2〜12のアルキ
レン基)とジまたはトリカルボン酸(R〃)−(COO
H)2-3(R〃は炭素数2〜12のアルキレン基)とから
生成するポリエステルが挙げられる。ポリアミドエラス
トマーの市販品としてはグリルアミドELY−2742
(EMS CHEMIE社製)、ペバックス6333−
SN00(東レ製)が挙げられる。
【0022】ポリエステル系エラストマーとしては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
トのようなポリアルキレンテレフターレートのハードセ
グメントと上記と同様なポリエーテル成分または脂肪族
ポリエステル成分のソフトセグメントからなるブロック
共重合体エラストマーが挙げられる。ポリオレフィン系
エラストマーとしてはエチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジ
エン共重合体などが挙げられる。
【0023】本発明の樹脂組成物においてPAS樹脂と
熱可塑性エラストマーの配合割合は、PAS樹脂50〜
99重量%に対し熱可塑性エラストマー50〜1重量%
の範囲であり、好ましくはPAS樹脂70〜95重量%
に対し熱可塑性エラストマー30〜5重量%の範囲であ
る。熱可塑性エラストマーが1重量%未満では、樹脂の
耐衝撃性、伸びおよび可撓性の改善効果が小さく、熱可
塑性エラストマーが50重量%を超えるとPAS樹脂自
体の強度、耐熱性、剛性が著しく損なわれる。
【0024】本発明で用いる芳香族マレイミド化合物は
前記一般式(1)で表わされる化合物と一般式(2)で
表わされる化合物に大別される。一般式(1)におい
て、R1 はフェニレン基または置換基を有するフェニレ
ン基を含む二価の有機基である。かかる有機基としては
下記式で表わされる二価有機基が挙げられる。
【0025】
【化7】 上記有機基中のXは直接結合または下記の式で表わされ
る二価の基である。
【0026】
【化8】 また、上記有機基中のY1 〜Y8 は炭素数1〜8のアル
キル基または水素であって、R1 に相当する各ラジカル
中のY1 〜Y8 の少くとも一つはアルキル基である。
【0027】また、一般式(2)で表わされる芳香族マ
レイミド化合物において、R2 は二価の炭化水素基、好
ましくは炭素数1〜8のアルキレン基であり、nは0,
1または2である。一般式(1)で表される芳香族マレ
イミド化合物の具体例としては、p−フェニレンビスマ
レイミド、m−フェニレンビスマレイミド、(2−メチ
ル)m−フェニレンビスマレイミド、4,4′−ジフェ
ニルエーテルビスマレイミド、4,4′−ジフェニルス
ルフィドビスマレイミド、4,4′−ジフェニルスルフ
ォンビスマレイミド、4,4′−ジフェニルメタンビス
マレイミド、3,3′−ジフェニルエーテルビスマレイ
ミド、3,3′−ジフェニルスルフィドビスマレイミ
ド、3,3′−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、
3,3′−ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4′
−(2−ジメチル)ジフェニルメタンビスマレイミド、
4,4′−(2−ジメチル)ジフェニルエーテルビスマ
レイミド、4,4′−ビフェニレンビスマレイミド、
4,4′−ジフェニルイソプロピリデンビスマレイミ
ド、3,4′−ジフェニルイソプロピリデンビスマレイ
ミド、1,4−ビス(マレイミド−4′−フェノキシ)
フェニレン、1,3−ビス(マレイミド−4″−フェノ
キシ)フェニレン、4,4′−ジフェノキシジフェニル
スルホン−4″−ビスマレイミド、4,4′−ビス(マ
レイミド−4″−フェノキシ)ジフェニルスルホンが挙
げられる。一般式(2)で表される芳香族マレイミド化
合物の具体例としては、一般式(2)においてR2 が−
CH2 −および−C2 4−のものが挙げられる。これ
らは単独で用いても2種以上を組合せ用いてもよい。
【0028】芳香族マレイミド化合物はPAS樹脂と熱
可塑性エラストマーとの相溶性を著しく改善する効果を
奏する。この効果を達成するために、PAS樹脂と熱可
塑性エラストマーとの樹脂混合物に対する芳香族マレイ
ミドの配合割合は、樹脂混合物100重量部に対し0.
1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
芳香族マレイミドの量が0.1重量部未満では相溶性向
上効果が小さく、また、芳香族マレイミドの量が10重
量部を超えると、樹脂組成物が増粘し、成形性が悪化す
る。
【0029】本発明のPAS樹脂組成物において、強
度、耐熱性、剛性および寸法安定性を改善するために、
強化繊維および/または無機充填材を配合することがで
きる。強化繊維としては、ガラス繊維、ポリアクリロニ
トリル系およびピッチ系などの炭素繊維、チタン酸カリ
ウム繊維、炭化ケイ素繊維、アスベスト繊維、セラミッ
ク繊維、グラファイト繊維、ステンレス繊維などの無機
金属繊維や芳香族ポリアミド(アラミド)繊維などの有
機系繊維が挙げられる。無機充填材としては、カオリ
ン、クレー、ベントナイト、ゼオライト、マイカ、雲
母、タルク、ウオラストナイト、フェライト、ケイ酸カ
ルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バ
リウム、硫酸カルシウム、二酸化モリブデン、黒鉛、セ
ッコウ、ガラス、ビーズ、ガラス・バルーンなどが挙げ
られる。必要ならばシラン系、チタネート系またはアル
ミネート系などのカップリング剤でこれらの強化繊維お
よび無機充填材の表面を予備処理したうえ使用すること
ができる。
【0030】強化繊維および無機充填材の配合量は、P
AS樹脂と熱可塑性エラストマーとからなる樹脂混合物
100重量部に基づき、それぞれ5〜100重量部およ
び5〜80重量部が好ましい。
【0031】本発明の樹脂組成物は一方の末端または両
末端に官能基をもつシリコーン化合物を含むことを主要
な特徴としている。このようなシリコーン化合物を添加
することによって、未添加PPS樹脂組成物の強度、剛
性を実質的に損うことなく、伸びが付与され、靱性が高
くなり、かつ摺動特性が改善される。
【0032】好ましいシリコーン化合物は次式(4)で
表わされる。
【化9】 式(4)において、末端のRは水素、メチル基、ビニル
基(−CH=CH2)、アミノプロピル基(−CH2CH
2CH2NH2)、その他のアミノ基含有炭化水素基、−
36OC24OHなどのヒドロキシル基末端炭化水素
基、
【化10】 などのグリシジル基末端炭化水素基が挙げられる。ここ
で、Rの少なくとも一方は、水素およびメチル基以外の
基、すなわち、官能基をもつものでなければならない。
本発明で用いられるシリコーン化合物は分子量500〜
50,000のもの(上記式(4)においてn=4〜7
00)、望ましくは、5,000〜20,000(同じ
くn=60〜270)のものである。これらのシリコー
ン化合物は単独でも、または2種以上を組合せて用いて
もよく、また、末端に官能基をもたないシリコーン化合
物を併用してもよい。
【0033】本発明で用いられるシリコーン化合物の市
販品としては、サイラプレーンFM3325、(両末端
アミノ基、変性シリコーン油)およびサイラプレーンF
M5526(両末端エポキシ基変性シリコーン油)(い
ずれもチッソ製)が挙げられる。併用してもよい、末端
に官能基をもたないシリコーン化合物としては、例えば
日本ユニカー製L−40が挙げられる。
【0034】シリコーン化合物の配合量は、PAS樹脂
と熱可塑性エラストマーとの混合物、芳香族マレイミド
化合物および任意成分である強化繊維および/または無
機充填剤の合計重量100重量部に対して0.1〜25
重量部、好ましくは0.5〜15重量部である。シリコ
ーン化合物の量が0.1重量部未満では本発明の目的が
達成されず、また、25重量部を超えるとPAS樹脂本
来の剛性が低下する。
【0035】本発明の樹脂組成物には、本発明の目的達
成に支障のない範囲で熱安定剤、紫外線吸収剤、発泡
剤、難燃剤、着色剤、離型剤、ガス吸着剤等を含有せし
めることができる。
【0036】本発明の樹脂組成物は一般にペレットの形
態とされたうえ、主として射出成形および押出成形用の
成形原料として用いられる。ペレットの製造手段は特に
限定されるものではないが、PAS樹脂と熱可塑性エラ
ストマーと芳香族マレイミド化合物とシリコーン化合物
を予めタンブラー型ミキサーやヘンシェル・ミキサーな
どの混合機によりドライ混合した後、PAS樹脂の融点
以上の温度で一軸または二軸押出機内で溶融混練後、押
出し、切断してペレットとする方法が代表的である。こ
の場合の溶融混練温度は、PAS樹脂の融点以上の温
度、すなわち、285℃〜380℃、好ましくは290
〜340℃である。芳香族マレイミド化合物、シリコー
ン化合物、無機充填剤および強化繊維を加える時期も上
記の方法に限定されるものではなく、PAS樹脂と熱可
塑性エラストマーとを混合する前にどちらか一方に加え
るか、予備混合後の前記樹脂混合物に加え、再度混合す
る方法を採ることができる。強化繊維はその破損を防ぐ
ために混練過程中にある樹脂組成物に押出機の中間位置
から混入することが好ましい。
【0037】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、PAS樹脂が本
来有する好ましい特性、すなわち、機械的性質、剛性、
耐熱性、耐薬品性および電気絶縁性などが実質的に損わ
れることなく、良好な耐衝撃性、伸びおよび可撓性を有
し、かつ、芳香族マレイミド化合物によって付与された
樹脂成分の相溶性が損われることなく、シリコーン化合
物によって優れた摺動特性および可撓性を発揮する。特
に、本発明の樹脂組成物は高速摺動下での摩擦係数およ
びその変動が小さく、発熱が大巾に抑制されている。従
って、本発明の樹脂組成物は、軸受、軸シール、カムな
どの摺動部材、例えば、OA機器や家電製品の摺動部
材、耐熱性が要求される自動車用摺動部材、耐薬品性が
要求されるケミカルプラント用摺動部材などとして有用
である。
【0038】
【実施例】以下、実施例について本発明の樹脂組成物を
具体的に説明する。PAS樹脂として、ポリパラフェニ
レンスルフィド樹脂パウダー・トープレン“T−4”パ
ウダー(トープレン製、溶融粘度900ポアズ)を使用
した。T−4パウダーと、熱可塑性エラストマー、芳香
族マレイミド化合物(N,N′−m−フェニレンビスマ
レイミド(大内新興化学工業製“バルノック、P
M”)、シリコーン化合物、ガラス繊維チョップドスト
ランド(旭硝子製03MA404)を表1に示す割合で
混合して樹脂組成物を調製した。熱可塑性エラストマー
としては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共
重合体(SBS)(旭化成工業製アサヒプレンT43
0)、SBSの水添物(SEBS)(旭化成工業製タフ
テックH1041)、およびSEBSの酸変性物(SE
BS−M)(旭化成工業製タフテックM1913)を使
用した。
【0039】シリコーン化合物としては両末端アミノ基
変性シリコーン油(サイラプレーンFM3325、チッ
ソ製)および、比較のため、末端に官能基をもたないシ
リコーン油(L−40、日本ユニカー製、粘度104
st)を用いた。混合に際しては、各成分をブレンド後
に二軸押出機を用いて300℃にて溶融混練しペレット
化した。ガラス繊維は押出機途中から混練樹脂組成物に
加えた。
【0040】各樹脂組成物は300℃、金型温度110
℃で射出成形して物性評価用試験片を作成し、次の基準
に準拠して物性を評価した。結果は表1に示す。 引張強さ、伸び:JIS K−7113(試験速度 5
mm/分) アイゾッド衝撃強さ:JIS K−7110、ノッチ付 テーバー指数:JIS K−7204(摩耗輪:テーバ
ーCS−17,1000回転当り摩耗量(mg)として
表示) 限界PV値:JIS K−7218,A法(V:80c
m/秒、P:任意、摩擦距離:1500m、接触面積:
2cm2
【0041】
【表1】
【化10】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 101:00 83:04) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 81/00 - 81/02 C08L 83/00 - 83/08 C08L 53/00 - 53/02 C08L 9/00 C08L 101/00 C08K 5/34 - 5/3415

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリアリーレンスルフィド樹脂5
    0〜99重量%、(B)熱可塑性エラストマー50〜1
    重量%からなる樹脂混合物100重量部、(C)下記一
    般式(1)および(2)で表される芳香族マレイミド化
    合物の中から選ばれた少くとも1種の化合物0.1〜1
    0重量部、ならびに(D)少くとも一方の末端に官能基
    をもつシリコーン化合物(上記(A)、(B)、(C)
    3成分の合計100重量部に基づき)0.1〜25重量
    部とからなることを特徴とするポリアリーレンスルフィ
    ド樹脂組成物。 【化1】 式(1)中、R1はフェニレン基または置換基を有する
    フェニレン基を含む2価の有機基である。 【化2】 式(2)中、R2は2価の炭化水素基、nは0、1また
    は2である。
  2. 【請求項2】 (A)ポリアリーレンスルフィド樹脂5
    0〜99重量%、(B)熱可塑性エラストマー50〜1
    重量%からなる樹脂混合物100重量部、(C)下記一
    般式(1)および(2)で表される芳香族マレイミド化
    合物の中から選ばれた少くとも1種の化合物0.1〜1
    0重量部、(E)強化繊維5〜100重量部および/ま
    たは無機充填材5〜80重量部、ならびに(D)少くと
    も一方の末端に官能基をもつシリコーン化合物〔上記
    (A)、(B)、(C)、(E)成分の合計100重量
    部に基づき〕0.1〜25重量部とからなることを特徴
    とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。 【化3】 式(1)中、R1はフェニレン基または置換基を有する
    フェニレン基を含む2価の有機基である。 【化4】 式(2)中、R2は2価の炭化水素基、nは0、1また
    は2である。
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